130万人が亡くなる多死社会に備える
日本で亡くなる人は、2015年130万人を超えました。この数は第二次大戦で日本人が死亡した260万人を、2年で凌駕していくものです。団塊の世代は今後、死亡者数が急増していきます。2039年の167万人でピークになります。それまでの期間、日本は第二次世界大戦の悲惨な死亡状況より、さらに多くの人が去って行く時代になるのです。この多死社会に対する備えが、まだまだ不十分です。死をタブー視することなく、準備することが求められています。健康寿命を満喫しているキンさんに、トット記者が話しを聞きました。
記者「短期間で、死亡者数がこれだけ急増する日本の現象が、世界から注目されています。どのような状況になっていくのでしょうか」
キン「人口統計学などの見地からすれば、以前より予想されていたことです。学問の常識と、一般人の意識には乖離があります。日頃付き合いのあった人達が、ポロリポロリとお亡くなりになっています。その現実が、学問のレベルに人々の意識を引き寄せているともいえるのです。自分の思いを残しておきたいと、エンディングノートを購入する人が増えています。でも、このノートを最後まで書いた人は、2%程度です」
記者「自分の考えを綴るということは、素晴らしいことですよね。でも、それが完結しないのは、不思議です」
キン「自分が判断出来なくなった場合に備えて、受けたい治療を明確に示す事前指示書には70%の人が賛成しています。でも、実際にこの指示書を作っている人は3%です。余命が少なくなったとき、80%の高齢者が自宅で過ごしたいと願っています。でも、逆に80%の人達が、病院や高齢者施設など自宅以外でなくなっているのです。終末期の具体的な生活や療養については、考えたくないという人が多いのですよ」
記者「人間の弱さを見たように思います」
キン「そこで弱さを感じるようでは、起業にはなれませんよ。130万人が死亡していく現実、終末期のことは考えたくないという高齢者の存在に商機を見いだすのです。東京23区内での孤独死は、2013年度で7440件です。これらの方には、身内の人もいます。これらの親族に代わり、遺品を整理する業者への需要が増えているのです」
記者「親族の方が、やれば済むのではないですか」
キン「はい、なかなか難しいこともあるようです。多くの遺族は、賃貸物件から退去などの切羽詰まった状況になります。死後何日もたって発見されたような場合は、臭いの除去や殺菌・消毒も必要です。臭いがきつい部屋での整理は、慣れない人には困難なのです。期日以内に退去作業をし遺族に遺品をお渡しするには、この種の仕事に精通した遺品整理業者に、お願いしたほうが良いようですよ」
記者「確かに葬式やお墓などについては、心の準備ができています。でも、故人の遺品までには思いが及びませんね。仕事内容と費用は、どうなのですか」
キン「ある孤独死の事例では、遺品がトラック3台分で、作業は3人で2日間の料金が、13万円でした。現金や貴重品、思い出の写真などのは、処分する前に必ず立ち会いの方に確認しながら作業を進めます。作業員は、できるだけ女性を1人加わると良いですね。故人が女性の場合、男性には見られたくないものもあるものです」
記者「確かに、毎年130万人以上が死亡するということは、そのことに関わる仕事が増えることになりますね。時代を先取りする人なら、ビジネスチャンスと捉えます。ところで身内に迷惑をかけないために、高齢者が気をつけておくことはどんなことなのでしょうか」
キン「終末医療についての自分の意思を、明確にしておくことですね。万が一のときの治療について、病院から事前意思表明書の提出が求められます。本人の意思がわからないまま、治療を選ばなくてはならない場合もあります。家族の精神的負担は大変なものですよ。『心肺停止になったとき心肺蘇生を希望するのか、しないのか』、『気管切開を行うか』など、本人が決めておくことです。その場で、子ども達に決めさせるということは、酷というものです」
記者「もちろん、生きたいという人も多いのでしょうね」
キン「当然です。頑張りたいガン患者に、医師がホスピスを勧めて、患者が意欲をなくすこともあります。今は、医師の方が患者や家族の意向を尊重して治療に当たることが当たり前になっています。本人が望んでいれば、危篤になっても病院に行かず、住み慣れた自室で最期を迎えることもできます。望まぬ延命を拒否する自由もあるのです。ちなみに私の母は、延命処置を『全部いらない』と意思が明確でした。子ども達は、余裕をと笑顔で最後まで尽くしましたよ」
記者「自分の終末の不安を減らすことは、残った人生を充実させると聞いたことがあります。不安を減らす方法は、どのようなものがあるのでしょうか」
キン「私の場合、お墓ですね。ある町の墓地は、40%が無縁墓でした。少子化や過疎が進み、墓守が絶えてきたのです。荒れ果てた墓や不法投棄された墓石を、各地で見かけます。そうはなりたくないですね」
記者「確かに、日本でも公営墓地や合葬式の墓の事例が増えています。今後も、増えていくのでしょうか」
キン「入った墓が無縁にならないと確証が得られれば、不安は軽くなりますね。居住地と出生地がずっと同じという人は、10%程度しかいません。住まいの近くに墓を移したいと希望する人が増えています。貧しくても、誰でもが遺骨を納める場所を確保できる福祉の観点が求められます。そうすれば、喜んで相続税をはらえるんですが!」
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。
日本で亡くなる人は、2015年130万人を超えました。この数は第二次大戦で日本人が死亡した260万人を、2年で凌駕していくものです。団塊の世代は今後、死亡者数が急増していきます。2039年の167万人でピークになります。それまでの期間、日本は第二次世界大戦の悲惨な死亡状況より、さらに多くの人が去って行く時代になるのです。この多死社会に対する備えが、まだまだ不十分です。死をタブー視することなく、準備することが求められています。健康寿命を満喫しているキンさんに、トット記者が話しを聞きました。
記者「短期間で、死亡者数がこれだけ急増する日本の現象が、世界から注目されています。どのような状況になっていくのでしょうか」
キン「人口統計学などの見地からすれば、以前より予想されていたことです。学問の常識と、一般人の意識には乖離があります。日頃付き合いのあった人達が、ポロリポロリとお亡くなりになっています。その現実が、学問のレベルに人々の意識を引き寄せているともいえるのです。自分の思いを残しておきたいと、エンディングノートを購入する人が増えています。でも、このノートを最後まで書いた人は、2%程度です」
記者「自分の考えを綴るということは、素晴らしいことですよね。でも、それが完結しないのは、不思議です」
キン「自分が判断出来なくなった場合に備えて、受けたい治療を明確に示す事前指示書には70%の人が賛成しています。でも、実際にこの指示書を作っている人は3%です。余命が少なくなったとき、80%の高齢者が自宅で過ごしたいと願っています。でも、逆に80%の人達が、病院や高齢者施設など自宅以外でなくなっているのです。終末期の具体的な生活や療養については、考えたくないという人が多いのですよ」
記者「人間の弱さを見たように思います」
キン「そこで弱さを感じるようでは、起業にはなれませんよ。130万人が死亡していく現実、終末期のことは考えたくないという高齢者の存在に商機を見いだすのです。東京23区内での孤独死は、2013年度で7440件です。これらの方には、身内の人もいます。これらの親族に代わり、遺品を整理する業者への需要が増えているのです」
記者「親族の方が、やれば済むのではないですか」
キン「はい、なかなか難しいこともあるようです。多くの遺族は、賃貸物件から退去などの切羽詰まった状況になります。死後何日もたって発見されたような場合は、臭いの除去や殺菌・消毒も必要です。臭いがきつい部屋での整理は、慣れない人には困難なのです。期日以内に退去作業をし遺族に遺品をお渡しするには、この種の仕事に精通した遺品整理業者に、お願いしたほうが良いようですよ」
記者「確かに葬式やお墓などについては、心の準備ができています。でも、故人の遺品までには思いが及びませんね。仕事内容と費用は、どうなのですか」
キン「ある孤独死の事例では、遺品がトラック3台分で、作業は3人で2日間の料金が、13万円でした。現金や貴重品、思い出の写真などのは、処分する前に必ず立ち会いの方に確認しながら作業を進めます。作業員は、できるだけ女性を1人加わると良いですね。故人が女性の場合、男性には見られたくないものもあるものです」
記者「確かに、毎年130万人以上が死亡するということは、そのことに関わる仕事が増えることになりますね。時代を先取りする人なら、ビジネスチャンスと捉えます。ところで身内に迷惑をかけないために、高齢者が気をつけておくことはどんなことなのでしょうか」
キン「終末医療についての自分の意思を、明確にしておくことですね。万が一のときの治療について、病院から事前意思表明書の提出が求められます。本人の意思がわからないまま、治療を選ばなくてはならない場合もあります。家族の精神的負担は大変なものですよ。『心肺停止になったとき心肺蘇生を希望するのか、しないのか』、『気管切開を行うか』など、本人が決めておくことです。その場で、子ども達に決めさせるということは、酷というものです」
記者「もちろん、生きたいという人も多いのでしょうね」
キン「当然です。頑張りたいガン患者に、医師がホスピスを勧めて、患者が意欲をなくすこともあります。今は、医師の方が患者や家族の意向を尊重して治療に当たることが当たり前になっています。本人が望んでいれば、危篤になっても病院に行かず、住み慣れた自室で最期を迎えることもできます。望まぬ延命を拒否する自由もあるのです。ちなみに私の母は、延命処置を『全部いらない』と意思が明確でした。子ども達は、余裕をと笑顔で最後まで尽くしましたよ」
記者「自分の終末の不安を減らすことは、残った人生を充実させると聞いたことがあります。不安を減らす方法は、どのようなものがあるのでしょうか」
キン「私の場合、お墓ですね。ある町の墓地は、40%が無縁墓でした。少子化や過疎が進み、墓守が絶えてきたのです。荒れ果てた墓や不法投棄された墓石を、各地で見かけます。そうはなりたくないですね」
記者「確かに、日本でも公営墓地や合葬式の墓の事例が増えています。今後も、増えていくのでしょうか」
キン「入った墓が無縁にならないと確証が得られれば、不安は軽くなりますね。居住地と出生地がずっと同じという人は、10%程度しかいません。住まいの近くに墓を移したいと希望する人が増えています。貧しくても、誰でもが遺骨を納める場所を確保できる福祉の観点が求められます。そうすれば、喜んで相続税をはらえるんですが!」
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。