ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

ホタテ養殖・ホタテ御殿・売り手市場  アイデア三題噺 229

2019-04-30 16:08:00 | 日記

 中国人のホタテ好きは、歴史的なもののようです。北海道が蝦夷地と呼ばれていた時代から、ホタテやコンブを輸入していたのです。その見返りが、蝦夷錦でした。江戸の大商人が喉から手が出るほど欲しがった中国の豪華な衣服です。中国では、おかゆやスープに干し貝柱は欠かせません。でも、中国の海域は環境汚染でホタテの餌となる珪藻類が減少しているのです。さらに、養殖の効率を上げようと貝の養殖密度を上げたために、成長不良のホタテができています。ホタテの主要輸出国であるアメリカは、不漁になり世界的に供給が追いつかない状態が続いています。
 ホタテ市場は、年々消費が増加しており、その値段も高騰していく傾向が続いています。ホタテを安定供給出来れば、有力な産業になることは確実です。日本の農産物の輸出は、1兆円に近づいています。その中で最も多い品目が、ホタテ貝なのです。和牛肉の247億円やリンゴ140億円をはるかに上回る477億円となっています。毎年、輸出は3%ずつ伸ばしています。北海道を訪れた中国人観光客は、大量に買っていく姿が定番で見られます。日本のホタテの値段は、あちらから見れば、まだまだお得感があるようです。
 北海道の北に位置するサロマ湖には、「ホタテ御殿」が建ち並んでいます。ホタテ養殖をしている佐呂間漁協組合員の年収は、5千万円を超えプロ選手並の所得になっています。この漁協組合員の平均貯金額は、2018年に1億5千万円を超えたとも言われています。ホタテは、稚貝から成長するまで4年かかります。この貝は、主に植物プランクトン(珪藻類)を捕食して育ちます。その植物プランクトンは、太陽光を浴びながらリンや窒素などの栄養塩を吸収して育ちます。ホタテがエサにする植物プランクトンは、窒素やリンを吸収するためには鉄分が必要になります。この貝はは海水中のプランクトンを食べて成長するので、フルボ酸鉄の過不足がが成長を左右することになります。この海域には、アムール川からオホーツク海に運ばれるくるフルボ酸鉄が豊富にあるのです。
 以前サロマ湖は、小さなカキやエビがいるだけの資源が乏しい湖でした。稚貝の放流や流氷対策、漁獲ルールの策定、漁協は毎月の会議で漁業者が意見を出し合いながら、組合員は持続可能な養殖場に育てていったのです。漁師は自分の腕を大切にするので、一匹狼が多いのです。でも、1人の力は限られています。サロマ湖は、雨や春の雪解けなどで水質の状況はいつも変わります。サロマ湖に設置したセンサーから水温や塩分濃度などのデータが、スマホに届きます。その水の様子を把握し、良く育つようイカダの場所や貝をつるす高さを調節していくのです。毎朝、スマホで湖の様子を点検する作業は欠かせません。
一定量の質の高いホタテを毎年生産すれば、確実に売れる市場が世界にあるのです。みんなでやっていこうという意識になれば、持続可能な養殖ビジネスが構築されます。湖を酷使することなく、養殖場を適正に維持していったわけです。漁獲が安定し、裕福になったのは平成になってからだということです。令和になっても、持続可能な漁獲を創意工夫しながら続けてほしいものです。

優れた料理人の半歩先をいく料理  スモールアイデア NO 277

2019-04-29 19:45:47 | 日記

 多くの料理人は、美味しいものを食べてほしいと願っています。これを実現するためには、料理の腕と一定の経営感覚を持つ必要があります。調度品にお金をかけるだけでなく、料理の腕を磨くためにお金と時間をかけることが求められます。レストランの料理人は、この夢を手放なすことなく、精進してほしいものです。料理の基本をはずさない人は、良い仕事をしますし、そのひたむきさには一本のシンが通っています。天職というものは、天から降りてくるものではなく自らの力によって見つけ出し創り出すものです。
 そこで、料理人について考えてみました。お客さんが、料理の本質に至るには時間がかかります。親が子どもを一人前に育てるように、料理人がお客さんを育てる場面もあるようです。料理人は、お客に料理の本質へ近づくように導きます。お客もそこに至るように、振る舞うことも求められるわけです。美味しいものを知ることは大事です。でも、その喜びと支払いのバランスも重要な要素になります。高額な食材ばかり使うのは、料理人の陥りがちな危険な自己満足になる場合もあります。目の前にある食材で、最善を尽くす料理人でありたいものです。一人前になった食通は、高級食材や調度品にお金をかけるようになったお店に、警戒感を抱く場合さえあるのです。
 とはいっても、お店の雰囲気が食体験に大きな影響を与えることは事実です。この事実を、もはや無視することはできません。お客さんを店に惹きつける効果と、お客さんの増やして利益を高めること、この2つのバランスをどのように取るかという課題が出てきます。通のお客さんは、細部を怠りだした店を見て、「ああ、この店はあぶないのかな」と不安になりがちです。現実の問題として、店の装飾にどれだけの費用を使うべきかというのは難しい問題ではあるのです。メディアにアピールする場合もあります。テレビのクルーを料理場に入れて、調理の様子を放映するわけです。この場合は、注意が必要です。テレビで料理は短時間で起承転結をつけるために、一種のやらせが行われる場合があります。見抜かれると、かえって逆効果になることもあります。
 料理人は、食事全体を俯瞰しています。皿の盛りつけ、単純な料理と複雑な料理の使い分け、食感の対称を工夫するなど多様で複雑で、そして深いスキルに裏打ちされた料理を提供します。例えば、肥満系の方に甘くて脂肪の多い料理を出せば、喜んで食べてもらえるでしょう。でも、それではお客の健康を悪化させる食事を提供していることになります。料理人のスキルが、生きる場面になります。白皿と黒い皿に置いた同じお菓子を食べ比べると、不思議なことに白い皿の方が10%甘く感じるのです。皿の形でも、お菓子の甘さは変わります。四角い皿よりも丸い皿のほうがが甘く感じるのです。さらに重いスプーンでものを食べたときのほうが、料理の味をより高く評価する傾向が人間にはあります。チョコレートを星の形にすれば、甘みよりも、人々は昧をより苦いものと予想するのです。人間は、食器や食品の形からも、料理の善し悪しを評価してしまうわけです。美味しい料理を提供しながら、お客の健康を考慮するスキルも必要になるようです。
 美味しい料理は、刻々と姿を変えていきます。一人で食べるより、誰かと一緒に食事をすることで、脳内のエンドルフィン分泌が盛んになります。食事の時間は、会話しやすい時間でもあります。楽しい話題が飛び交う食事は、美味しくなります。完璧な料理に出会えることは、難しいと理解しておくことが無難かもしれません。この刻々と変化する見えない部分に、優れた料理人は気配りをしています。彼らは、それに合わせて、半歩先の料理を提供しているのかもしれません。




こんな故郷を取り戻したい  アイデア広場 その 463

2019-04-28 18:40:54 | 日記

 生まれ故郷を離れたくないお年寄りは、数多く存在します。でも、離れざるを得ない状況が、現実として出現してきています。居住者が少なくなった故郷の森林や農地の40%は、集落のお年寄りが管理しているのです。農村は、水利を供給する川や湖沼、そしてため池などの管理、集落の道路、農道、用排水路の管理を行わなければなりません。農村を離れる人が増えています。もろもろの管理をするお年寄りに負担がのしかかっているわけです。故郷がなくなるということは、用水路や農道が疲弊していくことでもあるのです。
 疲弊していく故郷の環境は、維持していかなければなりません。疲弊を食い止めるのは、高齢者自身という気構えがほしいものです。そのためには、故郷に残るお年寄りが健康寿命を全うすることです。高齢者、高齢者家族、ご近所付き合い、農協の仕事、村の支援などが円滑にいけば、自身の健康寿命を全うできます。2人の夫婦関係が良ければ長寿を達成できます。ご近所の相互扶助があれば、一人で働くよりは分業体制ができます。農協が家族の労働や収獲に合わせた販売を行ってくれれば、安定した収入が得ることができます。役場は、事業の拡張を図ることなく、住民が必要とする施策を行えば、地域は持続できます。
 豊かな町や村の予算を見ると、100億円を超えるところが多いようです。大企業が進出したり、火力発電所の立地があるなど、外部資本に頼る町村に限られているようです。財政の弱い町村は40億円程度になっています。同じ程度の人口構成でも、このような違いが出てきます。であれば、予算が40億円で町を豊かにする工夫をしていけば良いわけです。今の予算の中では、人件費の割合が多くなっています。この人件費に当たる労働を、お年寄りがわずかずつでも行えば経費は節約されます。ある町村では、5年の間、職員数を減らし、簡易な土木工事を住民が行いました。すると、60億円の貯蓄ができたそうです。役場の縦割り機能を横断的な機能に変え、職員の意識改革を進めた結果でした。もちろん、住民の意識改革も必要でした。村長や議員も、低額報酬になったといいます。
 ここでは、健康寿命を全うできるという想定でお話を進めていきます。いつか、お年寄りの健康寿命を全うできる仕組みをお話ししすることになるでしょう。そのヒントは、冨山の薬売りの仕組みを使うことです。民間の人材を使いながら医療・薬剤費の軽減をはかるものになるでしょう。横道にそれましたが、故郷の小川と用水路を兼ねる場所に、ホタルを呼び込んだり、ドジョウやフナを生息させることは楽しいことでしょう。環境整備に節約したお金を使うのです。放置された農家を、人の住める場所に手入れをしておくことも面白いかもしれません。お年寄りがそこに集まり、お話や民具を作る場にすることもできます。ホタルとドジョウ、そしてフナを見たいという都会のお年寄りの憩いの場にしても良いのです。日本の原点を見たいという外国人に来てもらうのも、面白いかもしれません。外国には農作業のバイトをしながら、宿と食事を保障してもらう旅行者もいます。そんな若者を受け入れる施設にしても良いでしょう。この種の話題は、SNSを通してすぐに広まります。受け入れは、身の丈にあった人数にして、負担がかからないようにしておくことです。急いで拡大すると、お年寄りの負担が多くなります。1ヶ月の受け入れを10人程度に制限しておくことが無難かもしれません。外国の方が簡単に理解できるほど、日本文化は浅くはできていません。表面を理解していただくだけでも、かなりの時間と労力が必要です。村のお年寄りが身振り手振りで理解してもらうことになるでしょう。
 余談ですが、町村が豊かになれば、住民の所得は向上します。低額報酬の村長や議員の給与も当然値上がりしていきます。「分」に応じた生活は、いつの時代でも当たり前のことです。豊かになれば所得は向上し、予算がなければ所得は減るというものです。でも、今の暮らしは、貧しくなっても豊かな時代の生活を維持しています。結果として、国は1000兆円借金をし、市町村もそれ相応の借金をしながら住民にサービスをしている流れになっています。どこまで、この連鎖を断ち切りたいものです。
 

即席ラーメンの値上がり・健康志向・アムール川  アイデア三題噺 228

2019-04-27 17:27:31 | 日記
 即席ラーメンが、値上がりしています。その中でも、海藻を使ったものが目に付きます。わかめラーメンなどの90品目が、6月に4~8%値上げするようです。この種のラーメンの値上げは4年半ぶりになります。理由は、ワカメの不漁によるものです。特に、人気の三陸ワカメは、前年同期と比べ3割少ない状況です。日本全体のワカメの自給率は、25%まで低下していまます。中国や韓国からの輸入物が、多く出回る状況が続いているのです。中国や韓国でも、健康志向から海藻の人気が高まっています。海藻の値段も、高めに推移しているわけです。結果として、海藻を使う即席麺などの製品価格にも、影響が出始めたということです。
 そこで、海藻、特にワカメの収獲について考えてみました。ワカメは主産地である東北の収穫量は、前年より3割少なく、卸値は2割高で推移してます。岩手県や宮城県のワカメは肉厚で、三陸ワカメとして珍重されています。三陸でも有名な「重茂のワカメ」は外海の激しい潮流にもまれて育つため、肉厚だでやわらかいという評価を得ています。このワカメの成長には、鉄分が欠かせないのです。一般に、魚や貝類の餌になる海藻やプランクトンは、鉄分が必要になります。植物プランクトンは光合成をする際に、鉄がないと葉緑素を十分につくれません。この鉄を供給してくれるお助けマンは、海に注ぐ川になります。川の源は森林で、そこから流れ出す鉄分が海の生物の成長を促すわけです。森から流れ出る鉄はフルボ酸鉄となって、海へ運ばれ、植物プランクトンに取り込まれます。フルボ酸鉄が多ければ多いほどプランクトンも増えます。森の生態系の維持が、海の幸にも必要だと言うことになります。
 余談ですが、瀬戸内海が綺麗になりすぎて、魚やカキが取れなくなったということがあります。行政の指導で、海に有害物質を流さない仕組みを作ったのです。その結果、山から流れていた鉄分やその他の栄養素が、瀬戸内海に入らなくなりました。広島の美味しいカキなどは、ずいぶん迷惑を被ったことが思い出されます。三陸海岸のフルボ酸鉄は、北上高地から太平洋に流れる川から供給されます。でも、これ以上に大切な流れがあります。ロシアの大河アムール川の森林でできたフルボ酸鉄が、オホーツク海へ運ばれるのです。このフルボ酸鉄がアムール川からオホーツク海へ、そして海流に乗り三陸沖に運んできます。いわゆる親潮には多くのフルボ酸鉄が含まれているわけです。南下する親潮と北上する黒潮がぶつかり、潮目を作ります。そこにプランクトンが大量に発生し、そのプランクトンを求めて魚群が集まるという構図です。
 私たち人間は、魚だけに目を奪われがちです。でも、海藻や貝類にとっても、素晴らしい生育の場所なのです。海藻は、健康志向の高まりから世界中で人気のある食材になってきました。その値段も、徐々に高止まりで推移しています。三陸の海を守っていきたいものです。心配は、アムール川にダムでもできた場合、日本の漁業はどうなるのだろうかという点です。でも、これも人間の英知で解決できるとポジティブに考えています。

水墨画・化粧筆・すりあわせ   アイデア三題噺 227

2019-04-26 17:36:54 | 日記

 見えるままに描くことで、自然の本質にせまろうとす姿勢が、西洋的な洋画にはあります。一方、千変万化する墨色を基調に山河の景観を描き出す「水墨山水」もあります。後者は、中国や日本に見られるものです。中国では晋の時代(西暦311年)、匈奴が普の洛陽を占領して20万の市民を虐殺、さらに長安をも蹂躙した歴史があります。普の朝廷は南京へと逃れ、官僚や知識人、一般市民も故郷を捨て南方へと大量移住するのです。祖国の敗北と破滅によるきびしい現実を、画家は生きるために描き続けました。山水画は、かなわぬ夢想としての理想郷を描いたものです。泰平にひたっていた日本南画と、同じ次元には比べられないという意見もあります。中国水墨画の真髄はたくましく、きびしく、はげしいというわけです。一方、日本の南画家には、たくましさ、さびしさ、はげしさが欠けていとも言われています。中国で生まれた水墨画は、鎌倉時代以降、日本にも伝えられました。でも、その芸術性はいつの時代でも感銘を与えるものです。
 その流れを汲む横山大観の「生々流転」は、水戸徳川家に伝来した明代の青味を帯びた古墨を使いました。墨は、煤に膠を混ぜて固めて作られます。植物油の煤は菜種やゴマなどの種類によって、黒の中にわずかですが、茶や赤紫、そして青などの色があります。でも、近代以降は、石油などの大量生産の煤が使われるようになると、微妙な青味を帯びた黒を作ることができなくなりました。水墨画は、和紙、墨、水、そして筆によって作品の生命を得るとも言われています。和紙も墨も、そして筆も、それを作り出す製造技術と技能者によって製品が脈々と作られてきました。
 水墨画に関わってきた企業は、和紙や墨、そして筆を作る職人を抱えて生産に従事してきたわけです。近代に入り、大量生産の時代になると、和紙や墨なども衰退していくことになります。一方、優雅に生き残る場合もあります。書道の筆を化粧筆に変えて、成功した地域がありました。ここの地域で生産された筆は、化粧筆として受け入れられたのです。しかも、日本ではなく、ハリウッドなどで最初に使われたのです。今では、関係者が誰でも必需品として使っています。筆は、簡単に大量生産できます。事実、この地方の筆は、中国産に負けて衰退する一方でした。でも、化粧に必要な要素を、この筆は持っていたのです。筆の毛先が型崩れしないのです。この筆の製法には、簡単な技術の組合せではできない「すりあわせ」という技術の存在がありました。化粧筆は、真似のできない「すりあわせ」という技術の存在があってハリウッドに受け入れられたのです。すりあわせ型のものづくりは、習得することに時間がかかります。このものづくりは、手間のかかる生産工程があるのです。他の企業が参入しても、利益を出すラインに持っていくことが困難なのです。結果として、参入障壁が高く、独自の価格設定ができます。ブランド品の成立です。筆にすり合わせの技法があるならば、和紙にも、墨にあるはずです。これを見いだせば、新しいビジネスが可能になります。ぜひ、古い製法の中に眠っている技術を取り出し、利益を出してほしいものです。

銀行には有望な人材が眠っている スモールアイデアNO 276

2019-04-25 17:31:57 | 日記

 数年年前まで、銀行員はエリート呼ばれ生涯安泰とされていました。彼らは、社会的信用を勝ち取り、安定した収入を手にいれた人達でした。都市銀行はもちろん地方銀行においても、労働上の保護を受けながら、一定の年収を維持できる存在だったのです。就職を希望する大学生が、銀行を敬遠する傾向が出てきたのです。大手都市銀行が、2017年に一般職などの採用抑制の方針を示めした。それ以来、学生が敬遠する動きが続いているのです。実は、決済と融資、そして預金という銀行の三大機能に陰りが見え始めています。クラウドファンディングの台頭は、銀行を介さない決済や融資の広がりを具現化しています。ビットトコインやネットで出資を募るクラウドフアンディングは、これからも台頭する流れになっています。アフリカのエルペサ(モバイル決済)は急速に成長し、クレジットカード業界と銀行業界を追い抜いてしまいました。世界では、銀行口座なもたない人が17億人に達しているのです。
 そこで、逆境にある銀行についての明るい展望を考えてみました。銀行内の業務において、定型的な作業は、事務系ロボットに置き換わろうとしています。単純な事務作業であれば、ロボットで代替できる環境が整ってきました。数字や文字のインプットやアウトプットのような学習は、機械でも可能です。機械は、人間よりはるかに迅速かつ正確にアウトプットを行います。人工知能(AI)や、金融とITを融合したフインテックは、これからもの浸透していくことは確実です。その導入により、人間の行員がリストラされる不安が学生にはあるようです。融資の判断も、いまや人工知能の業務になりつつあるようです。
 余談ですが、銀行を敬遠する事件が起きました。優良銀行と言われていたスルガ銀行が、融資をする業務において、銀行員が預金残高を改ざんして多額の貸し込みをしたことが明らかになったのです。会社が、組織的に行っていたことが明らかになりつつあります。一時、一世を風靡した消費者金融は、社会的な制裁を受けて、カードローンの表舞台から姿を消しました。この消費者金融に代わって表舞台にたったのが、銀行だったのです。でも、銀行には、消費者金融のような無担保、無保証人で、貸し出せるノウハウの蓄積がありませんでした。実際にカードローンの審査をしている保証会社の多くは、銀行ではなく消費者金融だったのです。スルガ銀行の改ざん問題は、消費者金融の手法をつかったために起きたともいえます。
 銀行にも新しい、風が吹いているようです。銀行員の転職が、活発になっているのです。地銀を含めた銀行員の転職者数は、2008年の直後と2017年度と比べ4.5倍に増えています。銀行の転職者の5割は同じ金融業界で同業他社を転々とすることが多かったのです。それが近年は、同業に転職する銀行員は3割どまりに低下し、コンサルテイングや建設・不動産業界へ進出しているのです。興味深いことは、地銀の東京支店で活躍しているエース級の人材の転職が顕著なのです。東京は3000万人の人口を要し、世界で最も裕福な都市とも言われています。豊かな東京において、各地銀の東京支店は、収益を支える越境融資や有価証券の運用にあたる重要な場所です。そこには各銀行のエースが派遣され、精力的に活動しているのです。そのエースが、転職をしているのです。
 彼らは、豊かな地域におけるお金の流れを熟知しています。その知識や情報は、計り知れない価値を持っています。ある意味で、彼らが転職する企業は、発展の可能性を秘めているともいえます。それは、さておき、地域に貢献する企業を育てたいという地銀の行員も数多くいるのです。地方には、優良企業でありながら、後継者がいないために、廃業する企業もあります。地銀の中には、これらの問題に取り組みたいという行員もいます。東京で磨いた知識や金融技術で、これらの課題を彼らが解決しする可能性も出てきます。銀行の上層部が、これらの問題を軽視していたのかもしれません。最近になって、地銀の収益は低下をたどるようになっています。今後も、ますますこの傾向が続くとされています。地域の企業再生に挑戦しようとしたが、厳しい残業規制で思うように仕事ができず、志の実現が難しかったという行員もいます。これらの行員のモチベーションを、杓子定規な規則や仕事で縛るのは得策ではないようです。権限を大幅に与えて、力を出し切らせるような仕事をさせてみてはどうでしょうか。蛇足ですが、日銀は10年後には地銀の6割が赤字になると試算をしているようです。



日本が風力発電で生きる道  アイデア広場 その462

2019-04-24 16:46:36 | 日記

 風力発電は、再生エネルギーの有力な資源になります。現在、世界の電力量の4%を占めるまでになっています。世界の風力発電量は、5億kwになり、毎年5000万kwずつ増えていく流れができていのです。原発50基分を毎年風力発電が、つくり出して行くわけです。一方、日本の風力の最大発電能力は、2015年度末で約303万Kwでした。20年度には、1100万kw、30年度に5600万kwに伸びる予定です。風力発電などの部品は、強風や塩害などにより摩耗や故障をします。そして、部品を供給し、風車を維持修理する人材が必要になります。故障のない風力発電の部品はないので、風力発電が運転している限り、この仕事がなくなることはありません。
 そこで、風力発電を維持管理する人材の養成について考えてみました。風力発電で力を付けている国が、中国です。世界トップテンに5社の中国企業が入っているのです。世界市場で大きなシェアを握る中国勢は、コスト競争力で優位になります。でも、中国国内市場において大きな成長が見込めず、中国の風力発電企業は、過当競争状態にあるのです。政府の補助金も減額されて、国内の競争は厳しい状況になっています。中国の風力発電企業は、海外展開に活路を見いだそうとしています。これと相応するように習近平政権は、風力産業の輸出に力を入れる方針を掲げていいます。広域経済圏構想一帯一路は、アフリカやパキスタンなどの中央アジアに展開していく流れです。この場合、中国の弱点は製品の信頼性にあります。世界に展開する上で、中国製の信頼獲得が非常に重要になるのです。そのための対策を中国企業は、工夫しています。
 日本をはじめとする先進国での運転実績があれば、新興国での販売が有利に働きます。中国企業が日本の風力発電市場で実績を上げて、自社製品の信頼の実績を積み上げようとしているのです。中国製風力発電が、低価格で日本に攻勢をかけています。日本企業は、この安値攻勢に対してなすすべがないようです。もう一つは、日本の電力市場の魅力です。日本の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度では、2017年度までlkw時あたり55円でした。これは、国際的にみると非常に有利な電力買い取りなのです。風力発電にしても、太陽光の発電にしても、1kwが5円以下での取引が多いのです。2018年度に20円に下がりましたが、それでも他国と比べると非常に魅力的な価格なのです。日本で実績と信頼を獲得し、世界の仲間入りを果たすという戦略になります。その間に日本の高い売電で利益を上げるという一石二鳥の戦略です。
小型風車で世界3位の「上海致遠」は、2019年6月に日本専用の陸上風車を投入することになりました。この中国企業は、イタリアやアメリカなど世界20カ国以上に展開しています。
 上海致遠が6月に発売するのは、出力が19.2kwの小型風車で日本に進出します。一般に出力が、20kw以上の風車が大型で、それより小さいものが小型に分類されます。大型風車の場合、環境アセスメントに5年程度要することもあるのです。計画から稼動までに時間がかかることが欠点になります。小型風車なら、稼働までの時間を大幅に短縮できるのです。周辺の生態系への影響などを調べる環境アセスメントが、3カ月以内に終わります。上海致遠は日本国内で250基の運転実績があり、22年までに2500基に拡大する計画です。さらに、小型メーカーの青島安華新元風能も、年内に日本で100カ所に設置することになっています。有利な日本市場で、着々と中国勢が布石を打っている姿が浮かび上がります。
 風力発電は建設するだけでは、十分ではありません。建設した風力発電を効率良く稼動させていくことが求められます。稼動を円滑に行うためには、維持や修理に優秀な人材とコストが必要になります。風力発電の修理や維持のできるスキルを持つ人材が、求められる時期がきます。このスキルを持った人材は、付加価値のある技術者として必要不可欠になります。小型風車は設置が容易なー方、故障が起きやすいのです。世界に何十万機とある風力発電は、故障を繰り返します。故障期間をすぐに把握し、修理することもスキルの中に含まれます。故障してから修理するよりも、故障する時期を把握しておき、その前に部品を交換する仕組みがより円滑に稼動を継続することができます。このシステムは、日本のお家芸になります。コマツのコムトラックスは、IoTが注目される前から世界中の建機の稼働率をしらべ、部品の交換時期を把握していました。このようなシステムの知識やスキルも必要になります。世界中の風力発電の稼働率を把握し、部品の供給や修理の時期をIoTで最適化を図ることも必要になります。
 大型風力発電の風車設備は、電気機器、制御装置、駆動部、ブレードなどが凝縮された電気工学・機械工学の結晶ともいわれています。大型風車1基あたりの部品は、1万点近くにものぼり、自動車産業にも匹敵します。風力発電企業は、独自の仕様で大型風力発電を造ります。中核の技術は、秘密になっています。中国の企業の場合、世界のトップテンに入る5社の内、何社かは倒産するリスクを抱えています。おそらく、統合や吸収合併されていくでしょう。中核の技術が、紛失してしまう危険性があります。もし、現在稼動している風力発電の中核技術を全て把握する人材がいれば、その人材の付加価値は非常に高いものになります。
 各会社のシステムが分かれば、摩耗しやすい部品や修理をする時期が把握できます。日本の得意とする多品種少量生産の技術が、生かせることになります。その時期に合わせて、多品種少量の部品を発電所の近くに配置しておけば良いわけです。注文があれば、リードタイムを最少にして、供給できる体制を作るわけです。日本の企業が生きる道は風車の生産ではなく、1万点に及ぶ風車の部品を多品種少量生産できる体制を作ることです。品質を維持して、先方が望んでるものよりもほんの少し上の部品を渡すことになります。次に、維持や修理に優れたスキルを持つ人材の養成でしょう。付加価値を高めていく人材は、一朝一夕に養成することができません。時間とコストをこの人材に投入する忍耐が必要になるかもしれません。風力発電は、地球環境に優しいエネルギー装置です。環境を守りながら世界の地域に貢献する人材も大切です。こんな人材を育てることも、日本の役割になるかもしれません。

アジアの物流はドライバーが中核になる   スモールアイデアNO275

2019-04-23 21:48:41 | 日記

 地続きのタイ、カンボリア、ベトナム、ミャンマーなどのASEAN諸国は、大動脈の交通インフラを整備してきました。国境を越えた物流が、各国を結ぶ道路や鉄道などの交通インフラを通して活況を呈しているのです。中国から企業が、東南アジアに移動する姿が見えるようになりました。東南アジアにも、部品企業が根付くようになってきました。その部品とリーズナブルな労働力が、魅力を醸し出しているのです。問題は、物流に関わるドライバーの能力にあるようです。例えば、べトナムでは物流の品質がまだ低く、「運転手に持ち逃げされる」ので高いものは送らないという段階でした。でも、サプライチェーンがアジア各国に広がり、その部品をお互いに融通しあう体制になりつつあります。製品の原材料や部品の調達から、組み立て製造、在庫管理、配送、販売、消費までの一連の流れが、国際標準になってきたのです。持ち逃げされるとか、届けば良いという物流のレベルでは、国際競争力に破れていくことになります。
 そこで、アジアの物流のレベルを上げる仕組みを考えてみました。このヒントは、アメリカにあるようです。トラック輸送は、アメリカ大陸でもっとも重要な輸送手段になっています。ドライバーは、2100マイルの長距離輸送を行い、少なくとも1回は燃料を補給します。主要ハイウェイには、総計2500カ所以上のトラックサービスエリアが整備されています。アメリカ全体で、毎日、数千人のドライバーが2500カ所のトラックサービスエリアに流入して来るのです。1日平均1億ガロンの燃料を購入し、そのコストは、1日で4億ドルを超えるのです。この数千人のドライバーが、確実に利用するサービスエリアになれば、巨額の利益を獲得できます。
 アメリカの場合、数百台のトラックを擁するような運送会社は、ほとんどの長距離輸送を請け負っています。この会社にとって、燃料費がドライバーの人件費に次いで大きな変動費になります。ドライバーの賃金は、固定していますのでなかなか削減できません。運送会社は、安全に時間通り荷物を運搬してくれることをドライバーに託すわけです。アメリカの素晴らしいところは、トラックサービスエリアが充実していることです。ドライバーは、このエリアで食事、睡眠、シャワーを取るのです。身体を良い状態に保ちながら、輸送の任務を果たすことになります。この食事やベットルーム、そしてシャワーのサービスは洗練されたものです。ドライバーは実際にかかる費用よりも、安い価格でサービスを享受しています。その理由は、多くのトラックに利用してもらえれば、1日4億ドルの燃料費の多くが確保できることにあります。損して得取れということです。利用してもらうために、運送会社にもドライバーにも満足してもらえるサービスを工夫しているのです。
 多くのトラックサービスエリアは、チェーン店です。このチェーン店は、数百店舗を擁しています。トラックサービスエリアは、長距離輸送追跡システムにおける重要な要素の1つになります。膨大な数のトラックとそのドライバーは、ITシステムによってサポートされています。運送会社は移動するドライバーを追跡し、燃料をもっとも安価に調達できるように手配します。トラックサービスエリアのチェーン組織は、この流れを把握し燃料費を提示していきます。それに加えて、ドライバーの要望を満たすサービスをしていくわけです。
 アジアにおいても、国を横断した物流が活発化していきます。ドライバーに過酷な労働条件を強いれば、物流の劣化を招きます。アセアン諸国は、大動脈の交通インフラを整備してきました。国境を越えた物流が、これからも活発化します。その主力は、大型トラックになります。アメリカ式のトラックサービスエリアが、導入されることは当然予想されます。ドライバーを優遇し、燃料費のコスト削減に協力する仕組みが構築されていくことでしょう。ここに、コムトラックのような仕組みを導入を推進してほしいわけです。アセアン諸国を走るトラックのエンジンの稼働状況を、サービスエリアで把握するのです。エンジンの消耗具合のデータやエンジンの稼働状況から、タイヤの消耗具合が把握できれば、タイヤ生産のリードタイムは短縮されます。トラックの生産や消費の流れをサービスエリアをとおして把握できます。それに基づいてトラックオ生産台数や販売戦略を練ることが、可能になります。トラックドライバーは、トラックを一晩駐車し、少し眠り、シャワーを浴びます。その間に、トラック点検をしておけば良いわけです。ドライバーには優しく、運送会社には、リーズナブルな燃料を提供し、トラックの部品交換や修理で利益を得るサービスエリアチェーンを構築してはどうでしょうか。



春の紫外線・生物の地上進出・免疫機能   アイデア三題噺 226

2019-04-22 19:33:45 | 日記

 春の日差しが強くなると、嬉しさとともに心配事がでてきます。暖かくなると人間は、開放的になります。浮き浮きする気分になるわけです。その一方で、春は紫外線が強くなり、お肌が荒れる季節でもあります。未来の皮膚を考えると、あまり当たりたくない光線でもあります。紫外線には、細胞の蛋白質を変性させる作用があります。人間の皮膚は、タンパク質でできています。強い紫外線は、皮膚に対して有害な作用をもたらすわけです。皮膚を守ることが、必要になります。
 そこで、紫外線から肌を守ることを考えてみました。地上への適応した生物にとって、紫外線との闘いはサバイバルの歴史ともいえます。5億年ほど前、動物は爆発的な進化をとげ、さまざまな姿の生きものが誕生しました。でも、それは海の中だけの爆発だったのです。太陽の強い紫外線に耐える生き物は、いなかったといえます。でも、約4億年前頃に、生きものたちは陸上に進出を始めたのです。まず植物がコケ類として進出しました。コケ類がしだいに多様化、大型化しながら内陸へと広がり、やがて陸地をおおいつくすようになります。動物は、植物に約1億年遅れて地上に進出してきます。紫外線に対する適応を持って、地上に進出してきたわけです。まずカエルを想像していただければ良いでしょう。幼いときには、水中で生活し、大きくなると地上でも暮らせるようになっています。紫外線を防ぐ仕組みは、生物が地上に進出した4億年前からの適応戦略ともいえるものでした。現在地上に生息している多くの生物は、この適応戦略に成功して生き残っているわけです。もっとも、これまでに地球に現れた生きものの99%が絶滅したと考えられています。ということは、現在30万種の生物が生息していますので、3000万種の生物が絶滅したことになります。
 紫外線は、生物が地上に進出したときからの死活に関わる課題でした。現在生息している30万種の生物には、紫外線を防ぐ仕組みがあるということになります。動物に限定すれば、神経器官、消化吸収器官、循環器官、運動器官を持った個体を守る体表面をつくり出してきたことになります。動物の種は、地上に進出した当時の環境に適応しながら自然淘汰を経て進化してきました。適応の仕組みが、現在の人間のDNAにも隠されているかもしれません。最近のゲノム研究を持ってしても、30億あるゲノムの中には、分かっていない機能が数多くあるのです。ゲノムの機能不明の領域の多くは、単純な配列の繰り返しで占められています。ゲノムの機能不明の繰り返し配列は、「ジャンクDNA」と呼ばれています。ヒトゲノムの場合、ゲノム全体の約半分は、ジャンクDNAといわれています。このジャンクDNAの中に自然淘汰を果たしてきた領域が発見できれば、楽しいことになります。最近の医療における治療の仕組みは、人間の持つ免疫力や再生能力を生かす方向に向かっています。哺乳類のゲノム解析は、200万円程度で行うことができます。紫外線や免疫関係の研究をしている方に、資金援助をしてはどうでしょうか。クラウドファンディングを通して、援助をするのです。紫外線を効果的に防御する仕組みを、発見してくれるかもしれません。

笑いを取り入れた福祉行政   スモールアイデアNO 274 

2019-04-21 16:33:05 | 日記
 
 心疾患とガンによる病気が、日本人の課題になってきました。心疾患に導く前段階に、高血圧症があります。最大血圧が140以上の場合、または最小血圧が90以上の場合は、高血圧症とされています。塩分の取り過ぎが、この高血圧に良くないようです。塩辛いものを食べると、一時的に血圧が上昇します。血中のナトリウムイオン濃度が高まり、それを薄めようとして血液中の水分量が増えます。水分量増えると血管内圧が高まり、心臓はより大きな力で血液を押し出すことになるわけです。これが、血圧が高くなる理由です。でも、腎機能に問題がなければ血圧はじきに下がっていきます。
 増えたナトリウムイオンは、水分とともに腎臓から排出される仕組みを人間は持っています。ただ、日常的に高塩分食を摂り続けていると、血中のナトリウムイオン濃度が下がりきらない状態になります。ナトリウムイオンが下がらない状態になると、腎臓で水分が再吸収されて、体内に残ることになります。血液の水分量が増えた状態が維持されてしまい、血圧が高い状態を継続するこになるわけです。糖尿病や痛風は贅沢病と言われています。ある意味で、高血圧症も贅沢病といえるのです。海に囲まれて海塩が入手しやすかった日本は、「高食塩食文化」を生んだとされます。ローマでは兵士の給料として、塩が配給されたほど貴重なものでした。韓国や中国でも、塩が重要な税の財源になっていました。高血圧症が多い東北地方は、長い冬を過ごすために、塩蔵・塩乾品や漬物のような食塩を使った食品保存技術が発達させた経緯があります。塩の摂取は、個人だけの問題でなく、地域全体の食生活から派生しているもののようです。
 高齢になると、免疫機能が衰えて、感染症に罹りやすくなります。こうした免疫機能の劣化は、「免疫老化」と呼ばれています。免疫老化が進むと、異常細胞が増殖してガン化するのです。もっとも、ガン細胞は、健康体の方でも日常的に発生しています。免疫機能が正常であれば、この発生したガン細胞を無害にしてしまいます。でも、免疫老化が進むと、異常細胞が増殖してガン化することを、体の免疫システムが抑えも機能しなくなっていくのです。
 怖がってばかりいては、楽しくありません。最近の知見は、免疫を強化する簡単な方法を提示してくれます。笑いやユーモアが、心臓血管系や免疫系のはたらきを改善する効果を持つことを教えてくれたのです。笑いなどが、免疫効果のあるサイトカインやナチュラルキラー細胞の活動を高めることを明らかになってきました。笑いのある生活が、免疫老化を防止することが分かりました。その笑いやユーモアの有効利用を、もう少し広く深くしていく工夫が求められるわけです。笑いが伝染して、集団の笑いというものになることが見られます。落語や漫才の会場で、大勢の人々が一斉に笑うと、面白くもないのにつられて笑ってしまう光景があります。笑いには、人びとを結びつける絆のようなポジティブな作用があるようです。
 歳を取ると、体力、気力、さまさまなところに衰えが出てきます。人間の衰えは、心身の状態と環境との相互作用のなかで顕著になってきます。環境には、自然環境だけでなく、社会という環境もあります。人間の場合、自然環境よりも付き合いなどという社会環境がより大きな影響力を持つようです。社会環境の中に、笑いやユーモアが多ければ、どうなるでしょうか。個人だけでなく地域全体で、笑いを共有できる地域社会になることができます。笑いやユーモアが個人や地域の人びとの免疫を強化し、地域を明るくする要素になります。人間が生きるためには、福祉に関するインフラを整備する必要があります。そのインフラに、笑いやユーモアの知見を取り入れてはどうでしょうか。