ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

経済発展と犯罪の減少を両立させた日本

2016-09-30 19:56:26 | 日記
経済発展と犯罪の減少を両立させた日本

2015年の刑法犯認知件は、、戦後最少になりました。テレビのワイドショウでは、殺人や強盗などが相変わらず取り上げられています。でも、殺人や強盗凶、わいせつなどの風俗犯も軒並み減少しています。当然、少年犯罪も減少しています。残念なことは、65歳以上は刑法犯は23000人と横ばいで推移したことです。日本における治安の良さにについて、話をトット記者が遠山さんに聞きました。

記者「日本は先進国の中で唯一、犯罪を減少させながら、経済発展を成し遂げた国だということを聞きました。本当なのですか」
遠山「はい、日本の皆さんはあまり知りませんが、先進国では高い評価を受けています。できるだけ刑務所を回避し、犯罪者を社会に復帰させることが日本の司法の基本なのです。検察主導により、刑務所に入れても早く社会復帰させる基本システムがつくられました。検察主導のこのシステムに、裁判所がさらに刑を軽くする寛刑主義で支え、日本独特の刑罰システムがつくられました。これが有効に機能しているわけです。国際比較をすると、日本は世界一安全な国になっています」

記者「犯罪を犯した人には、厳しい罰を与えたほうが効果的だと思っていたのですが、違うのですか」
遠山「法治国家である以上、法に従って犯罪者を罰することは当然です。でも、法の執行の厳罰化は、効果の面でしっぺ返しが来ることがあります。米国では1980年代から、厳罰化キャンペーンが始まり、刑務所の過剰収容が始まりました。当時50万人の受刑者が、現在250万人になっています。受刑者を1年間収容すると、一人300万円かかります。それが250万人ですから、7.5兆円を刑務所にかけているわけです。ちなみに日本の一人当たりの受刑者の費用も300万円です。ここ何年かは受刑者が7万人で推移してますので、費用は、2100億円です。日本の35倍以上の費用をかけていることになります。米国では厳罰化を進めたが結果、長期受刑者が激増し、刑務所関係の予算は破綻状態になっています。厳罰化が、国民の税金の無駄使いという事態を招いているわけです」

記者「日本の司法関係の優れた知恵を見たように思います。お金をかけないで、効果を上げるシステムは素晴らしいですね。ところで、刑務所で困っていることなどがあったら、教えてください」
遠山「刑務所には懲役刑以上の一般受刑者がいます。もう一つは、罰金などを払えないため働く労役受刑者がいるのです。労役受刑者が増えると、一般受刑者の管理で手一杯の刑務官の負担が過重になります。たとえば、酒気帯び運転で30万円の罰金の刑を受けた人がいます。この人の場合、刑務所で収監されながら働きながら30万円を払うことになります。労役受刑者の日当は、5000円ですから60日間働くことになるのです。作業内容は、一般受刑者と同じになります。最近、低所得者層が多くなり、罰金など払えない労役受刑者が増えてきています。日本の刑務官の仕事量は、フランスの刑務官の倍以上になっているのです」

記者「低所得者の方が増えていることは、分かっていました。でも、その影響が刑務所内まで及んでいるとは思いませんでした。最近、米国などでは民間刑務所が運営されていると聞いています。その運営はどうなっているのですか」
遠山「日本では人口10万人あたり、収監者数は58人です。米国では、730人になります。多くの税金を使っているため、民間に運営を任せ、節税をしようとする政策のようです。米国には、民間刑務所が数多くできるようになりました。民間刑務所の収容対象は、不法移民の収監数が多いようです。米国では、移民法に関連した収監に特化した民間刑務所も現れています。移民法の関連で刑務所に収監される人が増えたため、刑務所も人口が過密になったのです」

記者「不法移民の収容が多いのですか。米国は、建国以来移民を積極的に受け入れ、ヨーロッパなどより移民に寛大だと聞いていました。これは、間違っていたのですか」
遠山「いいえ、米国は合法的移民に関しては積極的で寛大です。問題は、不法移民なのです。不法移民が数字上増えることには、いくつかの理由があるようです。そのひとつが、民間刑務所による事情です。収容者が増えれば、民間刑務所の運営は円滑になり、利益をあげることができます。民間刑務所が移民犯罪の取締りを積極的に実施するように、政府に働きかけているのです。米国の民間刑務所は、社会の安全とか治安を守るという以前に、利益を追求しているように思えます」

記者「民間資金を導入する方式で運営するPFI刑務所を、日本でも運営をしています。米国の民間刑務所と比較してどうなのでしょうか」
遠山「受刑者の懲罰に関わる部分は、国が責任を持っています。刑罰権を民間に委託している国は、世界中どこにもありません。刑務所の一部の仕事を、民間に移譲するわけです。刑務作業や職業訓練などが、民間職員に任されている分野です。米国の民間刑務所でも日本のPFI刑務所でも、成功しているかどうかは再犯率が低下して、社会復帰が向上する点で評価されています。フランスの場合、再就職率を40~50%にすることを民間刑務所に求められています」

記者「日本の基本システムを維持していく前途に、障害のようなものはあるのですか」
遠山「裁判員制度の運営が、これからの課題になります。この制度が始まる2008年と2014年を比べると、懲役20年以上の受刑者の数が4倍近く増えています。裁判員制度が取り入れられてから、厳罰化の方向になっているのです。ここが、少し不安があります。早く仮釈放をすれば、再犯が少なくなることが、追跡調査で分かっています。刑務所には長期収容をしないで、早く刑務所から出して、円滑に社会復帰させることです。日本の基本システムが崩れていくならば、日本の治安水準は少しずつ低下していく可能性があります」

記者「私も含めてマスコミは、日本の治安の良さを理解した上で報道すべきだということが分かりました。もう少し、事実に基づき、他国との比較や歴史的な経過なども調べながら、治安や司法制度を理解していきたいと思います。ありがとうございました」

注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



刑務所のお医者さんは大変です

2016-09-27 21:36:31 | 日記
刑務所のお医者さんは大変です

 刑務所で医療行為をする医師が、不足しています。定員が328名のところ、充足されているのは254名のみです。法務省でも待遇改善を図りながら、定員確保の対策を進めています。今回は、刑務所の医療に詳しい遠山さんに、トット記者がインタビューしました。

記者「刑務所の医療は、どのように行われているのですか」
遠山「はい、受刑者は入れ墨や覚醒剤の注射など打った者が多く、C型肝炎の陽性の比率が高いのです。入れ墨をした皮膚は、皮膚呼吸ができなくなります。若気の至りが高齢になると、徐々に肝臓に負担をかけるようになるのです。名古屋刑務所には、人口透析器が配備され、人工透析が必要な受刑者を受け入れています。透析器は、常時フル稼働の状態になっています。名古屋刑務所は、定員が2500名です。そのうち70歳以上の受刑者が、5%、60代が12%程度収容されています。所内でも高齢者医療が課題になっているのです」

記者「犯罪を犯すような方は、元気が良いのでしょうね」
遠山「反対ですね。受刑者の半数以上が、病気を持っています。何らかの薬を常用しているのです。彼らは、生活習慣病の罹患率が非常に高いのです。さらに、虫歯も非常に多く、そのほとんどが治療をしていません。健康診断を受けたり、良い食生活を送ってくる者はほとんどいない状態です」

記者「受刑者は、潜在的に病気を持っており、それがいつ発病するか分からない状態でいることになります。お医者さんはたいへんですね。」
遠山「はい、刑務所に入るような人に対しては、早期診断や早期治療に力を入れれば、犯罪の抑止になるという医師もいます。糖尿病の受刑者も、多くなっています。彼らは糖尿病が初期の段階であれば、刑務所で劇的に改善していきます。刑務所の規則正しい生活とバランスの取れた食事が、良い結果をもたらしているようです。でも、重症の糖尿患者で人口透析を受ける受刑者の寿命は、ある程度限られてきます」

記者「お医者さんが、刑務所に勤務することを嫌がる理由にはどんなことがあるのですか」
遠山「高い医療技術を求める医師には、刑務所内の医療行為だけでは不満なのです。医療技術の向上という目的が、達成する環境にないのです。刑務所の常勤医は、週3日の勤務で、年収1000万円ほどです。一般的な医師の年収が2000万円と比較すると少ないかもしれません。多くの医師は、専門分野の知識や技術を高めようとする要求が高いのです。医師も受刑者の治療やその要望に答えながら、研究に励んでいます。刑務所でも、残りの4日間は大学での研修に当てることを奨励してます。できるだけ、医師の要望をかなえようとはつとめているのですが!」

記者「医師は、病気を治すことが勤めだとして医療の道に入りました。でも、彼らも人間ですから、給料が低いとか、治療が大変という職場には入りたくないと思います。給料とか医療業務が大変という以外の理由はないのですか」
遠山「はい、こちらの方が原因ではなかい思われることがあります。最近、刑務所内の死亡で弁護士に訴えられるケースがあるのです。刑務所では起きてはいけないことが、3つあります。脱走と暴動、そして受刑者の死亡です。受刑者が死亡すると、家族や親族を巻き込んで訴訟に持ち込もうとする弁護士がいるのです。弁護士は勝てる見込みがない案件でも、訴訟に持ち込もうとします。訴訟の期間中、弁護士は着手金や訴訟費用など弁護士収入があるのです。年収100万円以下の弁護士が、現在2割を超えています。彼らの貧しい所得が、ゆすり屋のような弁護士活動を生み出しているというわけです」

記者「司法試験に合格した人達が、国のお墨付きを受けて、ゆすりやたかり行う側面があるということですか」
遠山「はい、医師として働く以上、避けられないことが患者の死です。『後医は名医』という言葉あります。最初の診断をくだすことは、困難を伴います。でも、しばらく経てみれば、病名は分かります。最初の診断と後の病名が違えば、悪徳弁護士がつけいる隙が出てきます。医療に真剣に向かい合っている医師を、食い物にする人達に嫌気がさしているのかもしれません。これが、刑務所の医師の士気を低下させている一つの理由でしょう」

記者「何か、世知辛い世の中になってきましたね。それで医師を確保する対策はあるのですか」
遠山「難しいです。一般社会の福祉が停滞するすると、高齢者や障害者が刑務所に多く入るようになります。彼らにとって住む場所や身寄りがない場合、刑務所のほうが居心地が良いのです。一方、高齢者や障害者は一般人に比べ、病気になりやすいのです。どんなに刑務所の環境が良くとも、心身の前提条件が悪ければ病気を多発させることになります。多発する病人の治療に医師が苦労します。死亡する受刑者が増えれば、訴訟をもくろむ弁護士も増えてくるということです」

記者「刑務所で働くお医者さんのなり手のない理由が、よく分かりました。知識や技術を高めたいが、その環境が整えられていない。そして訴訟の危険があることなど、私たちの世界では分からないことだらけでした」
遠山「私たちも、できるだけお医者さんの確保に努力をしています。近くに、適当な方がいればご紹介をお願いします」

注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



100 人の弁護士と集合知

2016-09-23 21:33:36 | 日記
100 人の弁護士と集合知

 優秀な人材をコンパクトシティが集めようという、計画があります。日本で優秀な人材は、医師と弁護士といわれています。ところが、弁護士の中で、不遇な環境で働いている人が少なくありません。彼らは、民間の法律事務所に雇われることなく、一人で弁護士活動をしています。でも、やりたい弁護活動ができません。この弁護士に、コンパクトシティは注目しました。彼らの能力を活用するシステムをつくったのです。藤堂さんにトット記者がインタビューした内容です。

記者「コンパクトシティが、弁護士100人を雇用するというのは本当なのですか」
藤堂「はい、優れた人材を集め活用することは、町を豊かにします。100人の弁護士雇用の費用は、5億円です。1人500万円になります。これに弁理士10名、会計士10名を、同じ条件で雇用しました」

記者「弁護士を500万円で雇用できるのですか。弁護士に相談すると30分、5250円以上の相談料がかかると聞きました。それだけでかなりの所得になるのではないですか」
藤堂「日本人は、情報を『タダ』と考えています。相談料を払う人が少ないのです。年収が100万円以下の弁護士が、2割もいるといわれています。平成27年度の司法試験の合格者が、1850人です。上位で合格した若く優秀な司法修習生は、大手法律事務所が大金で青田買いしています。でも、下位の人達は、ワーキングプアになってしまいます。」

記者「1980年代の高度成長期には、契約1本が500万円になり、土地の明け渡しが成立すれば、家が1軒建ったと聞いています。弁護士の方は、今それほど厳しい状況になっているのですか」
藤堂「高度成長期には、司法試験に合格する方が、500人未満でした。高度成長と少数の法曹人口という状況が、弁護士の稀少価値を高めたのです。この当時は、法曹界も豊かな時代だったといえます。豊かな所には、他国から富を奪いに入ることが自然の流れです。この当時から、米国政府は貿易不均衡を是正するために、参入障壁撤廃を要求するようになります。この障壁撤廃の要求の中に、外国人弁護士の日本国内での自由化がありました。」

記者「なるほど、それで司法試験の合格者を増やす方向に切り替えたわけですか。1995年ごろは730人、2000年には990人、2005年には1450人になっています」
藤堂「合格者を増やすだけでは、解決になりません。合格者を、いかに戦力として育てていくかが課題になります。司法研修期間だけでは、不十分です。実際の業務の中で経験を積むことが必要なのです。上位合格者には、その道が開かれていました。でも、下位の合格者には開かれておりませんでした」

記者「合格者を増やした理由は、外国人弁護士に対抗しうる量と質を持つ国内弁護士を養成することでした。どうして、下位の合格者の道を閉ざしたのですか」
藤堂「弁護士会において、民事や刑事の分野に興味関心を持つ弁護士が集まり、派閥化していたのです。派閥化は、その分野の専門家を育てました。でも、人材の若返りを阻むことにもなったのです」

記者「それで、道を閉ざされた弁護士を100人雇用したわけですか。でも、下位の方は、法廷とかで力が発揮できるのですか。優秀な若手は、大手法律事務所で活躍しているのでしょう。彼らには、かなわないのではないのですか」
藤堂「裁判は、先例重視で行われてきました。膨大な事例が、集積されています。集積された事例から、刑の相場が形成されています。たとえば、殺人の事例ですと、殺した人数が3人以上であれば、95%が死刑になっています。殺した人数が一人であれば、0.2%が死刑になっています。2人の場合は、ケースケースごとに判断されています。事例の集積は、刑事でも民事でも同様に相場が形成されているのです」

記者「すると、上位者でも下位者でも、法律の専門家であれば、ある程度の流れは最初から分かるということですか。もし、下位者が上位者に勝つことができれば、楽しいでしょうね」
藤堂「はい、勝てないまでも良い勝負に持ち込むことは、不可能ではありません。チェスの世界王者とアマチュアでチェスに詳しい人や詳しくない人の連合チームによる対抗戦が、2回行われました。1回目は、王者になすすべくもなく破れます。2回目は24時間の間に専用のネットで、この手を指すとどういう盤面の展開になるかの予測に基づき、意見交換がなされた上で刺されました。50手ぐらいまでは、両者譲らず五分五分でした。62手目でようやく王者が辛勝したのです。王者に、世界チャンピオン戦を含めたどんな対戦よりも、大きなエネルギーを費やしたと言わしめた対戦でした。チェスの王者とワールドチームの対戦は、天才対集合知の試合でした。この集合知を、法廷で利用することにしたのです」

記者「でも、多くは負けるのでしょう」
藤堂「はい、最近の裁判所の動向をお話しましょう。裁判所は判決を出す前に、和解で解決することが多くなっています。2012年における地方裁判所の訴訟事件のうち、判決は47000件です。和解が57000件でした。裁判が始まる前から、どのような判決になるかは、事件のタイプで大枠は決まっているともいえます。もう一つは、民事裁判の訴訟制度に対する満足度は、20%以下です。この制度の利用のしやすさは、22%程度です。民事訴訟制度に対して、80%以上が不満を持ち、利用しにくいとする人は、80%未満になります」

記者「100人の弁護士を雇用して、民事訴訟を中心に運営をしていくことですね。どんな戦術をとるのですか」
藤堂「知的財産の訴訟などで、困っている中小企業を対象として引き受けることにしています。でも、全てを引き受けることはできません。依頼を厳選します。引き受ける場合、弁護士や弁理士や会計士の意向を確認してからにしています。負けにくい案件だけを引き受けるようにしています。彼らの活動の場を確保し、能力を伸ばしていくことが狙いです。弁理士や会計士と知恵を出し合って、訴訟を継続していきます。相手の体力を消耗させる戦術をとるわけです。相手に訴訟に勝っても、利益はでないことを理解させれば良いのです」

記者「ところで5億円のお金はどこから出すのですか」
藤堂「以前もお話しましたが、道路の補修を高齢者にしてもらっています。セメントなどの材料は、町が支給します。簡単な工事用具は貸し出しをしています。でも手当は出さないでやってもらっています。道路の補修費を高齢者が行ったことで、6億円の節約ができました。このお金を使いました」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。




未来の子どもが困っています

2016-09-21 22:19:34 | 日記
未来の子どもが困っています

 トット記者には、8ヶ月のお子さんがいます。可愛くてしょうがないようです。毎日を楽しく過ごしていましたが、日本の先行きがどうなるか心配になってきました。わが子の将来が、大丈夫なのかを考えるようになってきたのです。今日は、トット記者と藤堂さんとの日本の将来についての話です。

記者「親ばかといわれていますが、8ヶ月のわが子は本当に可愛いですね。どうしてなんでしょうか」
藤堂「わが子を見ただけで、父親の中には、バソプレシンという愛情ホルモンの分泌が高まるのです。わが子の世話をすれば、愛情ホルモンの分泌は、もっと高まります。父親の愛情が高まると同時に子どもの愛情も高まるのです。親と子の愛情が高まれば、安定した関係ができてきます。安定した関係が、子どもの安全基地を確かなものしていきます。子どもの安定性の指標は、親と子の関係の深さです。安全基地を持つことは、心理的安定だけでなく、心身の健康や将来の長寿にもつながるものです」

記者「なるほど、私の子どもは大勢の子どもが集まるところでも、親がいれば大いばりで遊んでいます。離れると、泣き出すようですが。ところで、なかなか保育園には入れないのですが、どうなっていくのでしょうか」
藤堂「今は難しいようですが、私は、楽観しています。いずれ保育園に入ることを希望する乳幼児は、全員が入れるようになるでしょう。国民も、国も、政治家も保育園に入ることに反対する人達は少数派です。いずれ、反対する人や理屈をこねる人は、抵抗勢力として排除されていくでしょう。抵抗勢力として表出しているのは、厚労省と文科省です。二つの省が、既得権を固持しています。子どもの権利も顧みず、省の利益のみを守っていることが、明らかになりつつあります。その理不尽さが叩かれ始めると、渋々認めることになります。横浜ではすでに、待機児童の問題は解決しています。東京などでもミニ保育園の形式で、解決の方向に向かっていくことでしょう。土地が高騰しているところに、法定の基準で保育所を建てることは無理なのです。東京でも空き家は、多くあります。これらを利用できるという、法律ができればすぐに解決することです。保育の時間や年数も柔軟な取り扱いが増えていくと思いますよ」

記者「今待機児童がたくさんいるのに、なぜ、そんなに簡単に解決するんですか」
藤堂「大局的に見ると、今の日本は優秀な人材が必要なのです。トットさんのお子さんが、75歳になる頃、日本の人口は1億2千万人から8千万人に減少しています。生産性の高い優秀な稼ぎ手が、今以上に求められる時代になります。優秀な人材は、小さいときから一定の訓練や教育をしていかなければ、育てられません。訓練や教育には、教育者や指導者は欠かせません。保育園や幼稚園からの一貫した教育が必要になります。乳幼児における成長の足踏みは、許されない日本の社会状況があります。職に就きたくても付けない、職があっても子どものあずける保育所がない環境では、乳幼児の全面発達は望めません。繰り返しますが、国民も、国も、政治家も、優秀な人材を育てることを望んでいます。さらに現在不足している労働の担い手として、母親の力を是非とも必要としているのです。誰が考えても保育所は、必要不可欠なものなのです」

記者「確かに、コンビニやホテルなどにいくと外国人労働者が増えています。それほど、労働者を必要としているのですか」
藤堂「経済産業省の試算では2030年までに1800万人の外国人労働者を受け入れる必要があるとされています」

記者「これからの日本は、どうなるのでしょうか」
藤堂「かなり厳しい時代になります。今年の国の予算ですが、約100兆円で編成しています。そのうち税収は50兆円です。残りの50兆円は国債という借金です。この予算編成が続くと仮定すると、トットさんのお子さんが75歳になるとき、日本の借金は、現在までの1000兆円の借金プラス3750兆円の計4750兆円になっています。現在の国民総生産が、500兆円です。恐るべき借金を未来のお子さん達は、引き受けることになります」

記者「どうすればよいのでしょうか。子ども達がかわいそうです」
藤堂「最低でも、年度ごとの経常収支が黒字になるように務めることです。この指標は、国力を表す物差しでもあります。これを維持し、時間を稼ぎながら、次世代が働きやすい環境を準備することでしょう。個々人が、今の世代より稼げる人材になることなのです。親の世代が、やっておくべきこともあります。ブラック企業を排除していくことです。ブラック企業は、人材を使い捨てにしていきます。ブラック企業は、人の健康を犠牲にして働かせます。採用だけして、次々とリストラをしていきます。人材を浪費する企業です。国を滅ぼす元凶でもあるのです」

記者「みんなが、健康で継続的に働ける職場が望ましいですね。長い目でみれば、みんなが健康で長期間働き続けられたほうが、所得を稼ぎ続けることができるわけですから。経済的にも、安定した社会になりますね」
藤堂「その通りです。いまだだけの利益を重視して、従業員の健康を無視する会社を、社会全体として淘汰しておくべきなのです。それが、大人に課された一つの課題です。」
記者「子ども達は、大変な世の中で生きていくことがよく分かりました。可愛いというだけの接し方ではなく、世の中をたくましく生きていく訓練や教育もしなければならないことが分かったような気がします。今日はどうもありがとうございました」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。




インドの成長を支えた農業

2016-09-16 21:52:04 | 日記
インドの成長を支えた農業

 インドは中国と共に巨大な人口と国土を持ち、長い歴史と独特の文明を培いながら存続してきました。1820年代には、世界のGDPの15%を占めていた国でもあります。近年、その経済成長と科学技術の高度化が注目されています。今回は、インドの経済成長の原動力になったとされる農業について、トット記者が蒲生さんにインタビューします。

記者「インドのすごさとは、どんな点なのですか」
蒲生「米国の10分の1の予算で、火星に衛星を到達させています。しかも計画決定から2年という驚異的スピードで達成させました。他の国には、できないことです。医療関連では、心臓外科の技術が世界最高水準です。米国の心臓外科よりも手術後の生存率が高く、その手術費は10分の1というものです。すでに、米国のコール事業は、インド経由で行われていることも周知のことです。」

記者「そんなに、凄い国なのですか。カースト制があり、遅れた国だとおもっていたのですが。でも、宇宙関連とか医療とかの最先端の発展に、農業がどのように関係しているのですか」
蒲生「人口の大部分を、農民が占めています。農村の所得が向上しないと、国としての安定性を欠くのです。インドは1日3kgの穀物という賃金が、長い歴史の中で維持されてきました。農民の貧困層は、雑穀を常食としていました。それが20世紀になると、米の消費が増加していきます。2008年の調査では、男性が6kg、女性が3.5kgという状況になっていました。貧困層においても、食用油や果物、肉や卵の消費を増やしています。農村が豊かになっていることを示しているわけです」

記者「1960年から始める『緑の革命』によって、農村の生産力が増大し、豊かになったのではないですか」
蒲生「インドでは、緑の革命に先立って、土地の生産性を上昇させています。その当時、すでに成長過程に入っていたのです。村落の有力者は、未耕作地の開拓に優先権利を持っており、政府もこれを認めていました。彼らは、資金にものを言わせ灌漑施設をつくり、利益を集中的に得る構造をつくりました。灌漑施設は、荒れ地を耕作地に変えます。さらに、従来の一作地が二作地以上の作付けをすることにより、総作付け面積が増大したのです。当然、村落の収入は飛躍的に増加しました。」

記者「でも、村落の有力者だけが、灌漑農業の利益を受けていたのではないのですか、どうして貧困層の所得が上がるのですか。おかしいと思います」
蒲生「インドの農村部における収入は、農業耕作から55%、非農業部門から35%となっています。非農業部門の収入は、出稼ぎによるものです。インドでは、道路や鉄道建設に多くの農民が出稼ぎに従事しました。貧困層の出稼ぎは、経済的面だけでなく、カーストからの自立を促す行動でもあったようです。村落の有力者は、農民の出稼ぎを阻止しようとしました。でも、この流れは変わらなかったのです。インドの土地台帳を精査すると、村落の有力者層から貧困層への土地移動が読み取れます。別の見方をすると、村落内で上位カーストの土地が減少し、支配力の低下が読み取れるのです」

記者「一定の農業改革が行われているところに、緑の革命が起こったということですね」
蒲生「緑の革命は、高収量の品種、肥料の多投入、灌漑の3つから成り立つものです。すでに、貧困層でも一定の収入を獲得しており、肥料を購入することが可能だったのです。肥料の点が、アフリカの農業と違う点です。アフリカは肥料の投入ができないために、土地はやせ、収穫量が上がっていません。高収量の種を蒔き、肥料を投入し、大量の農作物収穫し、市場に出していく。化学肥料の生産も飛躍的に発展しています。肥料工場は、フル生産を続けるという仕組みができたのです。インドは、中国と米国に次ぐ世界第3位の肥料消費国になっているんですよ」

記者「でも、灌漑施設は、村落の有力者が抑えていたわけですよね。どうして、農業用水を貧困層は得ることができたのですか」
蒲生「はい、インドのような気候の暑い地域では灌漑を続けた場合、塩害を起こすことになります。そこで、目先の利いた農民が、井戸灌漑を行ったのです。この灌漑は、河川灌漑に比較して塩害の被害を減少させます。井戸灌漑は、多くの農民に農業用水の供給を可能にしました。でも、心配も起きています。多くの井戸灌漑が行われたため、地下水位が低下する問題が生じています。日本の点滴栽培などの技術を導入し、安定的な農業生産を考える時期になっているようです」

記者「農業分野が、インドの経済成長に貢献したと先ほど言われました。どんなことなのですか」
蒲生「農村地域が、工業やサービス分野の高成長を支えた重要な市場だったのです。農村の貧困層、そして農村から出ていって都市の貧困層になった人々の消費は、工業品やサービスの70%程度を吸収していたのです。さらに、農村における住宅建築件数は、都市部における住宅建設よりも格段に多いのです」

記者「農村におけるサービス業の提供には、どんなものがあるのですか」
蒲生「農村地域からの観光客が、非常に多いのです。インド国内の旅行総数は、1987年3480万回、1992年8100万回、2015年22億回と拡大しています。国内旅行に参加した73%は、農村からの人々です。旅行や観光業は、交通、飲食、ホテルなど複数の分野にまたがる重要な産業です。これらのことが、インドの経済成長を支えてきたといわれるゆえんです」

記者「インドの労働人口は、農業52%、サービス34%、製造14%といわれています。農業に従事する人々が一定の生活ができれば、経済成長は加速しますね。ところで、今後のインドの農業の課題はどんなものですか」
蒲生「インドでは、せっかく収穫した農産物の廃棄率が非常に高いのです。廃棄率が、35%にも及び、年間7500億円の損失をだしています。インドの道路網は330万kmで世界第2位ですが、その多くは劣悪です。流通機構が整備されず、食品加工の割合が極端に低いのです。さらに、輸送コストが高く、生産コストの全体を押し上げています。この点を、改善していけば、インドの成長はより確かものになっていきます」
記者「日本の点滴農業や低温物流が導入されれば、インドの農業はより発展することがわかりました。次は、別の産業分野についても教えて下さい。今日はどうもありがとうございました」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



漢字が難しくて覚えられない

2016-09-13 21:31:13 | 日記
漢字が難しくて覚えられない

 日本の「漢字平仮名交じり文」は、海外の人々が日本の風土になじむ大きな障害になっています。日本人の小学校6年生の隼人君も、漢字になじめない一人です。隼人君は、漢字がなぜこんなに難しいのか、常日頃疑問に思っていました。どうしてこんな文字ができたのか、奈々ちゃんに聞きにきました。今日は、日本語の漢字について知見を深めて行きたいと思います。以下は、隼人君と奈々ちゃんの会話です。

隼人「国語の教科書にある漢字は、難しいと思う。覚える漢字の数が多すぎて、たいへんですよ。もっと簡単な漢字を使う事はできないのですか」
奈々「日本の漢字は、ずいぶんやさしくなったのですよ。たとえば、戦前の漢字は、かなり難しいものでした。たとえば国民は『國民』」と表示されていました。予告は『豫告』、独立は『獨立』、自発は『自發』というものでした。難しいでしょう」

隼人「そんな難しい漢字を本当に使っていたのですか」
奈々「はい、昔の人達は、難しい漢字を使いこなしていたのです。でも、やさしくせざるを得なくなった理由があります。戦争に負けたからです。」

隼人「戦争に負けると、漢字はやさしくなるのですか。」
奈々「隼人君と同じように、漢字は簡単にすべきだと主張する教育関係の方もいるのです。日本語の漢字を覚えることが、児童生徒にとって非常に重い負担となっているというわけです。小学校の段階で、文字を覚えたり書いたりすることだけに、多く時間を割くことは、無駄が多くなるというのです」

隼人「僕と同じ考えの先生方がいたのですね。感激です。ところで子どもの立場に立った先生達って、どんな方なのですか」
奈々「隼人君には難しいかもしれませんが、1945年9月2日から日本は、占領下に置かれたのです。戦前の軍国主義教育を是正するために、米国教育使節団が派遣されてきました。その方達の提言と日本人の教育関係者の叡智で今日の教育制度ができたのです。その改革の中で、重視されたものが国語教育でした。教育使節団の結論は、ローマ字の採用でした。でも、日本の教育関係者は、漢字教育を守り通したのです。一方、教育使節団の趣旨を取り入れることもしました。ローマ字の教科書などをつくり、小学校の児童に教えました。ところが、今はローマ字教育が英語教育にとって混乱の元になっているといわれています」

隼人「日本が占領されている過去があったとは、知りませんでした」
奈々「軍国主義から民主主義への転換にあたって、国語改革は多くの面で貢献しています。漢字の簡易化は、日本国民の学力を短期間で高めたともいえます。漢字の簡易化の影響を受けた世代が、団塊の世代です。この世代は人口が多いというだけなく、経済発展にも大きく貢献しました。戦後の廃墟から、日本が復興できたのは教育改革があったからともいえます」

隼人「戦前の教育とは、どのようなものだったのですか」
奈々「戦前の教育制度は、一般大衆と一部の特権階級の二つの形がありました。日本の児童の約85%が初等教育で学校を終えます。15%の裕福で能力のある生徒が、中学に進んで学習するというものでした。日本の教育は、中央集権化された19世紀的パターンに近いものだったといえます。でも、児童生徒たちが精神的には明敏であり著しく勤勉であることが日本の特質だったのです。これは、米国教育使節団の皆が認めるところでした」

隼人「みんな僕より、真面目だったわけだ」
奈々「一人一人の資質は、潜在的に高いものがあったということです。漢字の簡易化により、別の分野に力を注ぐことができました。おかげで科学や工学関係に進む人材が増えました。中学校に入る割合も、戦前の旧制中学15%から戦後の新制高校が30%から50%へと上昇していきました。1947年以降生まれの団塊の世代が1962年に高校に入るときには、64%を越えていました」

隼人「なぜ、戦争に負けたのに経済成長ができたのかわかりません。何か理由があるのですか」
奈々「理由になるかどうか分かりませんが、歴史的な事例がいくつかあります。一つの国家が発展する場合、文字の改革が重要な『カギ』になります。たとえば、中華人民共和国です。この国は、簡体字を採用しました。簡体字の普及は、文盲が多かった全人民に読み書きの能力を身につけさせました。これは、人民にとって大きな福音でした。でも、簡体字の普及は、それ以前に使われていたはんたいじ繁体字を読めなくしました。このことは、共産党支配以降に認められた言説だけが流通するようになります。簡体字の普及は、中国において歴史を断絶させるための情報統制という側面があったのです。共産党の簡体字政策の本質は、それ以前の中国に存在していた知識を遠ざけることでした。中華人民共和国の成立で、中国4000年の歴史は、文字の面では、断絶してしてしまったともいえます。諸外国においても、類似の例は見られます」

隼人「どんな例ですか」
奈々「ロシアでは1917年のロシア革命後、ロシア語の3つの文字表記を排除しました。3つの文字表記を排除した後は、特殊な訓練を受けないと、革命前のロシア語は読めなくなったのです。ソ連政権はロシアの知的遺産の中で、国民に知らせたほうが良いものだけ選んで、新しい文字表記で伝えていったのです。これも歴史を、断絶した例といえます」

隼人「すると、日本においても占領軍の行った国語教育の改革は、歴史の断絶という意味を持っていたのですか」
奈々「それを否定することはできないと思います。米国教育使節団は、ローマ字の役割をいくつかのの観点から重視しています。音標文字のシステムは比較的習得しやすく、学習過程全体を非常に容易にすること。芸術、哲学、科学技術に関する知識や知恵にさらに近づきやすくなること。そして最後に次の一文があります。『国家の孤立性と排他性の精神を支える言語的支柱をできる限り崩し去る必要がある』と。教育使節団が求めたのは、日本の言語的支柱である『漢字平仮名交じり文』の消滅だったようです。それを日本の教育学者が、阻止して日本の現在の繁栄に貢献したとも考えられます」

隼人「漢字の成り立ちには、恐ろしく深い理由があることが分かりました。もう少し気合いを入れて勉強します。今日はありがとうございました」
奈々「最近隼人君は、いろいろな意見の中で、物事を積極的に見る目ができてきたようですよ。あせらず急がず、納得いくように勉強して下さいね」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



税金を払わない人達  パナマ文書の脅威

2016-09-09 18:08:19 | 日記
税金を払わない人達  パナマ文書の脅威

米国はイランに対して金融制裁を行っていました。でも、フランスの銀行パリバは、イランとドル送金などの金融取引をしていたのです。パリバは、送金を隠していたために、2014年6月米国司法省から1兆円の罰金の処分を受けています。今回は、金融制裁とパナマ文書、そして節税スキームについて、二宮さんにトット記者がお話を聞きました。
 

記者「米国はなぜ、厳しい金融制裁をするのですか」
二宮「9.11事件後、米国はテロに対して厳しい態度で臨むようになりました。特に、金融取引は、米国の力が発揮できる分野ですので、有効に使っています。パリバだけではありません。マカオの銀行は、北朝鮮関連企業との取引で米国の金融制裁を受け、実質破産しています」

記者「金融制裁って、銀行も潰してしまうほど厳しいものなんですか」
二宮「世界の債権の6割以上がドル建てです。ドル取引の禁止は銀行としての死を意味するのです。パリバが1兆円の罰金を払う理由もそこにあります。スイス銀行は、秘密主義で有名でした。そのスイス銀行に対して、米国は銀行法を改正させたのです。米国はスイス金融最大手に、米国富裕層の脱税を幇助した罪で790億円の制裁金を科しました。この米国の金融制裁に、スイスは屈服しました。この意味は、非常に大きなものでした」

記者「どんな意味を持っていたのですか」
二宮「トットさんもご存じのように、2015年6月、FIFA(国際サッカー連盟)の汚職が、大きく報道されました。このFIFAの件に関しても、スイス銀行が米国に対して、膨大な量の情報提供をしたといわれています。スイスの屈服は、スイス銀行の守秘義務を固く信じていたアフリカの独裁国家の権力者に恐怖感を与えました。独裁国家の資金移動が赤裸々になることを意味するからです」

記者「英領バージンでは、匿名口座や匿名での会社設立が許されています。これがなぜ問題になるのですか」
二宮「テロ組織や暴力団は、国内での金融取引が禁じられています。そこで海外の匿名口座に、逃げ場を求めてきたのです。匿名口座と匿名資金が、テロリスト、日本の暴力団などに利用されてきました。タックスヘブンにおける最大の闇が、この匿名口座と匿名資金の存在なのです。海外の匿名口座は、税金の払いたくない個人や企業にも利用されてきました。海外の匿名性を利用して、国際的な規制の網から逃れていたわけです」

記者「パナマにあるモサック・フォンセカ法律事務所によって作成された租税回避の秘密文書は、どんな意味をもつのですか」
二宮「利益を上げている企業や資本家が、タックスヘブンなどを利用して、税金を支払わない現実があります。残念ながら、実質的脱税行為があっても、法に反することが立証できない限り日本の税務署は課税はできないのです。パナマ文書により、税務当局は明確に脱法行為を指摘しやすくなっています。」

記者「具体的にどんなことがわかり、どのような影響がでるのでしょうか」
二宮「パナマ文書は、「匿名口座」や「匿名資金」の「真の所有者」を明確にします。この文書は、テロ組織のマネーロンダリングの実態を明らかにするでしょう。そして、マネーロンダリングに関連していた企業や銀行が、金融制裁をうけることになります。巨額の損失を被ることは間違いありません。この文書により、詳細な取引実態が明らかになります。タックスヘブンを悪用した脱税企業の手口が白日の下にさらけ出されることになるのです。今回のパナマ分書の流出により、国際的な厳格化の動きが早まっています。各国の課税の動きが、アップル、マイクロソフト、スターバックスの業績悪化や株価下落の原因になっているわけです」

記者「各国の動きは、どうなっていますか」
二宮「パナマ政府は、租税情報交換協定を各国と締結する意向です。パナマ政府の情報が開示されれば、他の海外関連の法律事務所にも捜査が及びます。日本の株式にも、外国法人の法人名義を使った『真の所有者』が分からない証券が大量に存在しますよ。英国が積極的ですね。メイ首相は、税金は文明社会で生きていくために支払う対価だと強調しています。税逃れスキームに対する罰金を、企業や資本家だけでなくスキームの助言者にまで拡大するようです」

記者「税逃れスキームって何ですか」
二宮「税を回避する方法です。企業の節税のスキーム考案のために、優秀な弁護士や会計士が多数で従事しています。会社の納税額を減らすためにだけ、多数の有能な頭脳が動員されているのです。税逃れスキームを売り込む会計事物所や弁護士、そしてコンサルタントも存在するんですよ」

記者「税逃れスキームって、どんなことをするのですか」
二宮「英国の会社の場合ですが、約40億円の税逃れをねらった企業がありました。約40億円の税逃れの成功報酬は、4億円だということでした。個人や企業が、自分から税逃れスキームをわざわざ考案ずることはほとんどありません。助言者を通して、市販の税逃れスキームを買う場合がほとんとです。英国では、助言者に対して、スキームを利用した企業が納税すべきであった100%の金額を罰金として徴収する案ができています。4億円のために、40億円の罰金を支払うことになります。税逃れを助言する側の責任を追求することは当然です。今回の規制案は、税逃れスキームにストップをかけると期待されています」

記者「ロー・スクールやビジネス・スクールの租税法の授業は節税法の講義から始まると聞きました。彼らは大学の中で優秀な頭脳を持っている学生達です。なぜか、悲しいですね」
二宮「そうですね。とびきり優秀な頭脳が租税回避のような非生産的な活動に使われているわけです。優秀な頭脳が立ち向かうべき問題は、世界にはいくらでもありますよ。そんな場に戻って欲しいですね」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。




税金を払わない人達  グローバル企業

2016-09-06 17:21:29 | 日記
税金を払わない人達  グローバル企業

 アップルが、EUから1.5兆円の追徴金を払うように訴えられました。米国政府は、米国企業の狙い撃ちだとし巨額の追徴金の要求を控えるように求めています。今回は、なぜ有名なグローバル企業が、訴えられるようなことになったのかを、二宮さんにトット記者がインタビューしました。

記者「企業が払う税金は、どのようになっているのですか」
二宮「日本の企業に課される実行税率は、30%前後です。たとえばスズキ商社が決算前に、100億円の利益が見込まれるとすると、30億円の税の支払い義務が生じるわけです」

記者「多くのお金が、取られますね」
二宮「はい、そのお金で道路や橋などのインフラを整備したりするわけです。医療や介護にも使われています。税金は文明社会で生きていくために支払う代償ということになります」

記者「全ての企業が業績を上げれば、税収は豊かになり国民の生活は円滑にいくことになりますね」
二宮「ところがそうでもないのです。世界最大のネット書店はアマゾンで、多くの利益を上げています。でも、アマゾンの日本法人であるアマゾンジャパンは、日本で法人税を払ってきません。アマゾンは日本の法人税の納税義務もないということで、法人税を払わないままなのです。また、電子書籍の電子データ販売のサーバーが米国にあるという理由で、消費税も払っていません。日本国内においてアマゾンで買い物をしても、海外購入扱いになってきたのです」

記者「そんなことが可能なんですか」
二宮「はい、日本の税務署もおかしい考え、140億円の追徴課税を行いました。ところがアマゾンは、米国に税金を払っているので、日本と米国の政府で決めて下さいと言ってきました。日米政府で話し合った結果、140億円の追徴金は取り下げられたのです」

記者「アマゾンは、日本のインフラを利用しています。それでも米国に税金を持って行かれるのですか」
二宮「税を払わずに他国のインフラや社会制度を使う行為は、『ただ乗り屋』と呼ばれています。グローバル企業は、各国の国民資産や税金でつくられたインフラや社会制度を利用しています。たとえば、アメリカの実効税率は、約40%です。グーグルはアイルランドの税制を利用して、12.5%という低い税率の適用を受けていました。アマゾンのクレジット決済センターも、アイルランドのダブリンにあります。これらの企業も、『ただ乗り屋』だったといえます」

記者「米国は、EUの追徴金に反対し、アップルを擁護していますよね。つじつまが合わないように思うのですが」
二宮「アップルは、米国で上げた利益は米国に税金として収めさせています。米国以外の国で上げた利益を、税率の低いアイルランドに集中させてきたのです。アイルランドの法人税率は12.5%です。でも、アップルがアイルランドに払う実質的な税率は、年々低下しています。2003年の1%から、2014年には0.005%にまで下がっていたのです。アップルは、アイルランドの子会社が製造業者から製品をを仕入れ、欧州やアジアに売っているという形にしています。子会社を経由した取引や優遇策を使うことで税負担を軽減していたわけです」

記者「12.5%の税金をどうして、0.005%まで下げられるのですか。信じられません」
二宮「たとえば、スズキ商会とサトウ発明商社が特許使用契約を結んでいるとします。サトウ発明商会が特許使用料として、スズキ商社に100億円請求するとします。すると、スズキ商社の100億円の利益は、ゼロになり納税義務はなくなります。利益が実質ゼロになれば、法人税支払いの義務を逃れることができます。同じように各国で出た利益を、特許使用料や商標権使用などの名目で支払うことで、利益を実質ゼロにすることは可能なのです」

記者「米国は、自国の企業家をすべてを守っているのですか」
二宮「ケースバイケースですね。たとえば、米国の医薬大手ファイザーとアイルランドの同業大手のアラガンが、2015年11月に合弁に合意しました。ファイザーがアラガンを買収し、アイルランドに持ち株を会社を設立するというものです。この買収劇は、実効税率40%の米国から12.5%のアイルランドに移すことにより、巨額の節税を意図したものです。でも、2016年4月に米財務省は、節税目的のM&Aに規制をかけたため、この合弁は成立しませんでした。米国も自国の税金を外に出すことには、難色を示しているのです」

記者「税金を払わない人達に対する対応は、どのようになっているのですか」
二宮「EUは、スターバックスがオランダで受けた優遇措置を違法と判断して、追徴課税を取るように指示をだしています。アマゾン、グーグル、フェイスブックなどにも各国の厳しい目が注がれつつあります。OECDなどでもグローバル企業の過度の節税を防ごうという規制案をつくりつつありますよ」

記者「グローバル企業、特に『ただ乗り屋』に厳しい風が流れていることがよく分かりました。今日はありがとうございました」

注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。




小学校のプール利用について考える その3 民間企業のアイデア

2016-09-02 21:43:01 | 日記
小学校のプール利用について考える その3 民間企業のアイデア

 小学校の屋内温泉プールを民間企業に運営を移管したことで、小学校が、プールに使っていた諸費用がゼロになりました。町の収入も、わずかですが増えています。さらに、温水プールの周年利用が、住民の健康に良い影響を与えていることも分かりました。今回は、プールを運営しながら、民間の企業がいろいろなアイデアをだし、地域の活性化に貢献していることを明らかにします。起業やアイデア事業に詳しい平賀さんに、トット記者がインタビューしました。

記者「民間企業が、小学校の室内温水プールを管理するようになりました。いろいろな利点が生じているようですが、詳しく教えていただけますか」
平賀「はい、小学生の泳力が向上している点についてお話しましょう。水泳の最初の関門は、浮くことと呼吸ができることです。プールでは、監視カメラを回しています。このカメラの解析映像度は、最高レベルのものです。泳ぐ小学生の映像を分析し、泳げる子どもの特徴や泳げない子ども特徴を把握しました。泳げない子どもは、け伸び(プールの底や壁をけり、体を一直線に伸ばして進むこと)の姿勢が良くないのです。泳げない子どもには、この点を重点的に伝え、折に触れアドバイスしています。映像を分析し、すべての児童の進歩状況を把握しました。これを学校の先生方と話し合いながら、泳力の向上を図り、満足のいく成果を上げたというわけです」

記者「映像を利用し、水泳の授業に役立てたということですか」
平賀「前回、藤堂がお話したように、児童の皆さんはほとんど200mを泳ぐことができるようになっています。映像の利用は、児童の皆さんよりも、大人の皆さんに良い影響を与えているようです。この運営企業は、3つのサービスを充実させています。小学校で使用する以外の時間帯が、『稼ぐ』本命になります。3つのサービスが、途切れなく利用者が訪れる仕組みを構築していく有力な道具というわけです」

記者「途切れなく利用者が訪れれば、ある程度利益は確保できますね。でも、なかなか難しい面もありますよね。3つのサービスとはどんなことですか」
平賀「エリア、プログラム、クラブの3つのサービスです。エリアは、施設の使い勝手をよくすることです。たとえば高齢者には、バリアフリー化が必要です。段差のない滑らない床を、使用しています。滑って、骨折でもしたら大変ですから。プログラムは、運動能力や要望に応じた運動処方を提供することです。たとえば、メタボは体重を減らすだけでは、改善しません。食事や睡眠が、運動と同じように重要になります。さらに、もっと難しいのは、今現在の生活習慣を変えることです。このことを理解していただいた上で、運動処方を提供しています。特に、睡眠を確実に確保し、食事の時間が夜遅くならないようにしていただいています。その上で、個人オーダーの運動処方を提供しています」

記者「3つ目のクラブサービスとはどんなことですか」
平賀「はい、運動は一人ではなかなか継続できない面があります。仲間が必要なのです。『同じくらいの能力の仲間』、『近所の気の合う仲間』、『教える人と教えられる人の相性が良い仲間』、『子どもを通じた大人の仲間達』などが、長続きの要素になります。これらの人達を対象に、泳ぐコースを優先的にそのグループに割り振るなどの配慮をするわけです。週2~3回、泳いでいる方の医療費が、年間3~4万円少ないとのデータも出ています。ここでも町の財政を助けていることが、分かっています。」

記者「3つのサービスを充実することで、途切れない入場者を確保したわけですか。さらに健康増進と予算の節約と、『プール』は活躍しますね」
平賀「はい、当初の予定では年間延べ60万人の2億4千万円でした。それが、75万人に増え、入場料も3億円に増えました。利益は、再投資と社員へのボーナスに回しています。もう一つの『稼ぎ』は、入場者のデータです。入場者のデータが、健康産業の商品開発の『種』になります。これに付加価値をつけて、健康産業に販売しています」

記者「入場者が、データになるのですか」
平賀「データの質が悪ければ、分析の信頼度は落ちます。この室内温泉プールに来る人達は、健康に高い意識を持っています。健康や運動についての高い意識を持つ凝集性の高い集団です。運動を継続する人は『どのような特性を持つか』、『なぜ続けるのか』、『どのような食生活をしているのか』、『どんなものが欲しいのか』などが分かります。これらの映像データと生のテキストデータは、企業にとって次の商品開発の宝庫になるわけです」

記者「噂のビックデータの件で聞いた話ですが、データの量が大事だということです。ビックデータは、相関関係から新たな知識が得られることが最大の利点です。でも、ビックデータ分析には、悪いデータいわゆるノイズの問題があります。ノイズの影響を排除し、分析の質をためる研究を積み重ねていく必要があると聞きました。どういうことなんでしょう」
平賀「はい、ビックデータは、量が質に転換するという思想です。コンピュータの進歩で可能になったシステムでもあります。演繹法であれば、真実に到達します。帰納法では、真実には近づくけど真実には到達しないというジレンマがあります。ビックデータは、帰納法を基本にしています。相関関係による新しい知識を作り出すことはできますが、真実に到達することは難しいようです。精度の高いデータを初めから使用すれば、より精度の高い分析が可能になるわけです」

記者「室内温泉プールの入場者の増加で稼いで、さらにデータで稼ぐという意識には脱帽です」
平賀「この民間企業は、次にデータマイニングの技術者と障害者の雇用を考えています。わずかですが、雇用も増やしています。その理由は、近いうちにお知らせします」

注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。