経済発展と犯罪の減少を両立させた日本
2015年の刑法犯認知件は、、戦後最少になりました。テレビのワイドショウでは、殺人や強盗などが相変わらず取り上げられています。でも、殺人や強盗凶、わいせつなどの風俗犯も軒並み減少しています。当然、少年犯罪も減少しています。残念なことは、65歳以上は刑法犯は23000人と横ばいで推移したことです。日本における治安の良さにについて、話をトット記者が遠山さんに聞きました。
記者「日本は先進国の中で唯一、犯罪を減少させながら、経済発展を成し遂げた国だということを聞きました。本当なのですか」
遠山「はい、日本の皆さんはあまり知りませんが、先進国では高い評価を受けています。できるだけ刑務所を回避し、犯罪者を社会に復帰させることが日本の司法の基本なのです。検察主導により、刑務所に入れても早く社会復帰させる基本システムがつくられました。検察主導のこのシステムに、裁判所がさらに刑を軽くする寛刑主義で支え、日本独特の刑罰システムがつくられました。これが有効に機能しているわけです。国際比較をすると、日本は世界一安全な国になっています」
記者「犯罪を犯した人には、厳しい罰を与えたほうが効果的だと思っていたのですが、違うのですか」
遠山「法治国家である以上、法に従って犯罪者を罰することは当然です。でも、法の執行の厳罰化は、効果の面でしっぺ返しが来ることがあります。米国では1980年代から、厳罰化キャンペーンが始まり、刑務所の過剰収容が始まりました。当時50万人の受刑者が、現在250万人になっています。受刑者を1年間収容すると、一人300万円かかります。それが250万人ですから、7.5兆円を刑務所にかけているわけです。ちなみに日本の一人当たりの受刑者の費用も300万円です。ここ何年かは受刑者が7万人で推移してますので、費用は、2100億円です。日本の35倍以上の費用をかけていることになります。米国では厳罰化を進めたが結果、長期受刑者が激増し、刑務所関係の予算は破綻状態になっています。厳罰化が、国民の税金の無駄使いという事態を招いているわけです」
記者「日本の司法関係の優れた知恵を見たように思います。お金をかけないで、効果を上げるシステムは素晴らしいですね。ところで、刑務所で困っていることなどがあったら、教えてください」
遠山「刑務所には懲役刑以上の一般受刑者がいます。もう一つは、罰金などを払えないため働く労役受刑者がいるのです。労役受刑者が増えると、一般受刑者の管理で手一杯の刑務官の負担が過重になります。たとえば、酒気帯び運転で30万円の罰金の刑を受けた人がいます。この人の場合、刑務所で収監されながら働きながら30万円を払うことになります。労役受刑者の日当は、5000円ですから60日間働くことになるのです。作業内容は、一般受刑者と同じになります。最近、低所得者層が多くなり、罰金など払えない労役受刑者が増えてきています。日本の刑務官の仕事量は、フランスの刑務官の倍以上になっているのです」
記者「低所得者の方が増えていることは、分かっていました。でも、その影響が刑務所内まで及んでいるとは思いませんでした。最近、米国などでは民間刑務所が運営されていると聞いています。その運営はどうなっているのですか」
遠山「日本では人口10万人あたり、収監者数は58人です。米国では、730人になります。多くの税金を使っているため、民間に運営を任せ、節税をしようとする政策のようです。米国には、民間刑務所が数多くできるようになりました。民間刑務所の収容対象は、不法移民の収監数が多いようです。米国では、移民法に関連した収監に特化した民間刑務所も現れています。移民法の関連で刑務所に収監される人が増えたため、刑務所も人口が過密になったのです」
記者「不法移民の収容が多いのですか。米国は、建国以来移民を積極的に受け入れ、ヨーロッパなどより移民に寛大だと聞いていました。これは、間違っていたのですか」
遠山「いいえ、米国は合法的移民に関しては積極的で寛大です。問題は、不法移民なのです。不法移民が数字上増えることには、いくつかの理由があるようです。そのひとつが、民間刑務所による事情です。収容者が増えれば、民間刑務所の運営は円滑になり、利益をあげることができます。民間刑務所が移民犯罪の取締りを積極的に実施するように、政府に働きかけているのです。米国の民間刑務所は、社会の安全とか治安を守るという以前に、利益を追求しているように思えます」
記者「民間資金を導入する方式で運営するPFI刑務所を、日本でも運営をしています。米国の民間刑務所と比較してどうなのでしょうか」
遠山「受刑者の懲罰に関わる部分は、国が責任を持っています。刑罰権を民間に委託している国は、世界中どこにもありません。刑務所の一部の仕事を、民間に移譲するわけです。刑務作業や職業訓練などが、民間職員に任されている分野です。米国の民間刑務所でも日本のPFI刑務所でも、成功しているかどうかは再犯率が低下して、社会復帰が向上する点で評価されています。フランスの場合、再就職率を40~50%にすることを民間刑務所に求められています」
記者「日本の基本システムを維持していく前途に、障害のようなものはあるのですか」
遠山「裁判員制度の運営が、これからの課題になります。この制度が始まる2008年と2014年を比べると、懲役20年以上の受刑者の数が4倍近く増えています。裁判員制度が取り入れられてから、厳罰化の方向になっているのです。ここが、少し不安があります。早く仮釈放をすれば、再犯が少なくなることが、追跡調査で分かっています。刑務所には長期収容をしないで、早く刑務所から出して、円滑に社会復帰させることです。日本の基本システムが崩れていくならば、日本の治安水準は少しずつ低下していく可能性があります」
記者「私も含めてマスコミは、日本の治安の良さを理解した上で報道すべきだということが分かりました。もう少し、事実に基づき、他国との比較や歴史的な経過なども調べながら、治安や司法制度を理解していきたいと思います。ありがとうございました」
注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。
2015年の刑法犯認知件は、、戦後最少になりました。テレビのワイドショウでは、殺人や強盗などが相変わらず取り上げられています。でも、殺人や強盗凶、わいせつなどの風俗犯も軒並み減少しています。当然、少年犯罪も減少しています。残念なことは、65歳以上は刑法犯は23000人と横ばいで推移したことです。日本における治安の良さにについて、話をトット記者が遠山さんに聞きました。
記者「日本は先進国の中で唯一、犯罪を減少させながら、経済発展を成し遂げた国だということを聞きました。本当なのですか」
遠山「はい、日本の皆さんはあまり知りませんが、先進国では高い評価を受けています。できるだけ刑務所を回避し、犯罪者を社会に復帰させることが日本の司法の基本なのです。検察主導により、刑務所に入れても早く社会復帰させる基本システムがつくられました。検察主導のこのシステムに、裁判所がさらに刑を軽くする寛刑主義で支え、日本独特の刑罰システムがつくられました。これが有効に機能しているわけです。国際比較をすると、日本は世界一安全な国になっています」
記者「犯罪を犯した人には、厳しい罰を与えたほうが効果的だと思っていたのですが、違うのですか」
遠山「法治国家である以上、法に従って犯罪者を罰することは当然です。でも、法の執行の厳罰化は、効果の面でしっぺ返しが来ることがあります。米国では1980年代から、厳罰化キャンペーンが始まり、刑務所の過剰収容が始まりました。当時50万人の受刑者が、現在250万人になっています。受刑者を1年間収容すると、一人300万円かかります。それが250万人ですから、7.5兆円を刑務所にかけているわけです。ちなみに日本の一人当たりの受刑者の費用も300万円です。ここ何年かは受刑者が7万人で推移してますので、費用は、2100億円です。日本の35倍以上の費用をかけていることになります。米国では厳罰化を進めたが結果、長期受刑者が激増し、刑務所関係の予算は破綻状態になっています。厳罰化が、国民の税金の無駄使いという事態を招いているわけです」
記者「日本の司法関係の優れた知恵を見たように思います。お金をかけないで、効果を上げるシステムは素晴らしいですね。ところで、刑務所で困っていることなどがあったら、教えてください」
遠山「刑務所には懲役刑以上の一般受刑者がいます。もう一つは、罰金などを払えないため働く労役受刑者がいるのです。労役受刑者が増えると、一般受刑者の管理で手一杯の刑務官の負担が過重になります。たとえば、酒気帯び運転で30万円の罰金の刑を受けた人がいます。この人の場合、刑務所で収監されながら働きながら30万円を払うことになります。労役受刑者の日当は、5000円ですから60日間働くことになるのです。作業内容は、一般受刑者と同じになります。最近、低所得者層が多くなり、罰金など払えない労役受刑者が増えてきています。日本の刑務官の仕事量は、フランスの刑務官の倍以上になっているのです」
記者「低所得者の方が増えていることは、分かっていました。でも、その影響が刑務所内まで及んでいるとは思いませんでした。最近、米国などでは民間刑務所が運営されていると聞いています。その運営はどうなっているのですか」
遠山「日本では人口10万人あたり、収監者数は58人です。米国では、730人になります。多くの税金を使っているため、民間に運営を任せ、節税をしようとする政策のようです。米国には、民間刑務所が数多くできるようになりました。民間刑務所の収容対象は、不法移民の収監数が多いようです。米国では、移民法に関連した収監に特化した民間刑務所も現れています。移民法の関連で刑務所に収監される人が増えたため、刑務所も人口が過密になったのです」
記者「不法移民の収容が多いのですか。米国は、建国以来移民を積極的に受け入れ、ヨーロッパなどより移民に寛大だと聞いていました。これは、間違っていたのですか」
遠山「いいえ、米国は合法的移民に関しては積極的で寛大です。問題は、不法移民なのです。不法移民が数字上増えることには、いくつかの理由があるようです。そのひとつが、民間刑務所による事情です。収容者が増えれば、民間刑務所の運営は円滑になり、利益をあげることができます。民間刑務所が移民犯罪の取締りを積極的に実施するように、政府に働きかけているのです。米国の民間刑務所は、社会の安全とか治安を守るという以前に、利益を追求しているように思えます」
記者「民間資金を導入する方式で運営するPFI刑務所を、日本でも運営をしています。米国の民間刑務所と比較してどうなのでしょうか」
遠山「受刑者の懲罰に関わる部分は、国が責任を持っています。刑罰権を民間に委託している国は、世界中どこにもありません。刑務所の一部の仕事を、民間に移譲するわけです。刑務作業や職業訓練などが、民間職員に任されている分野です。米国の民間刑務所でも日本のPFI刑務所でも、成功しているかどうかは再犯率が低下して、社会復帰が向上する点で評価されています。フランスの場合、再就職率を40~50%にすることを民間刑務所に求められています」
記者「日本の基本システムを維持していく前途に、障害のようなものはあるのですか」
遠山「裁判員制度の運営が、これからの課題になります。この制度が始まる2008年と2014年を比べると、懲役20年以上の受刑者の数が4倍近く増えています。裁判員制度が取り入れられてから、厳罰化の方向になっているのです。ここが、少し不安があります。早く仮釈放をすれば、再犯が少なくなることが、追跡調査で分かっています。刑務所には長期収容をしないで、早く刑務所から出して、円滑に社会復帰させることです。日本の基本システムが崩れていくならば、日本の治安水準は少しずつ低下していく可能性があります」
記者「私も含めてマスコミは、日本の治安の良さを理解した上で報道すべきだということが分かりました。もう少し、事実に基づき、他国との比較や歴史的な経過なども調べながら、治安や司法制度を理解していきたいと思います。ありがとうございました」
注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。