コンビニが、24時間営業の押しつけや食品ロスの問題で、世間から批判をあびています。でも、冷静に考えれば、コンビニは日本の重要なインフラです。この店がなくなった日本は、想像もできません。ベターな選択は、お互いの批判よりもオーナーも本部も適度な収益を上げながら、末永く社会に貢献でいる道を模索することでしょう。特に、食品ロスの問題については、社会的関心が高い話題になっています。もし、この問題を上手に対処すれば、批判をチャンスに変える妙手になる可能性があります。
そこで、コンビニの復権を促す妙手を考えてみました。イギリスの食品廃棄量は、毎年720万トンを排出し、生ごみの処理に数十億ドルを使っています。包装容器に入ったケニア産のエンドウ豆、フィリピン産のマンゴー、トルコ産のトマトなどが次々に廃棄の順番を待っています。過剰な食料生産や食料の焼却処理は、エネルギーを消費し、二酸化炭素を排出します。生ごみの処理には、世界の温室効果ガス排出量の10%を占めているのです。
エンドウ豆を輸出するケニアでは、何百万という人々が飢えに苦しんでいます。世界の食料廃棄が、年間13億トンを上回ります。一方、8億人を超える人々が栄養不足に苦しむ現実もあります。日本の年間廃棄量は、600万トン台で高止まりしています。食品ロスは国内の課題にとどまらず、国際的な環境や貧困問題ともつながっているのです。まだ食べられる食品が大量に廃棄される社会の仕組みを、見直す機運が高まってきました。世界各国から届いたトマトなどが、十分食べられるのに、もうすぐごみ箱行きになります。これと同じことが、コンビニ弁当にも見られます。弁当も、廃棄される時間が迫っているというわけです。
食品ロスが起きる根は、深いものがあります。農家は販売する作物がなくなると困るので、どうしても過剰に生産します。消費者は消費者で、作物の見てくれを重視します。多くの農家が、見た目が悪くて出荷できない作物を安く販売することになります。アメリカでは、全作物の4分の1以上が、見た目のせいで廃棄されています。このような無駄に、世界の視線が集まるようになってきています。セブンイレブンやローソンが、弁当の値引き販売にかじを切りつつあります。この値引きには、加盟店のオーナーからの要請もありました。コンビニの食品ロスの処分費用は、相当部分が加盟店の負担になります。安くしても売れれば、加盟店の利益が確保できます。処分費用が、少なくなるからです。
コンビニなどの小売業が廃棄する食品は、66万トンと全体の1割程度にすぎません。製造業は、137万トンで、外食は133万トンになります。さらに、それ以上の存在が、家庭から出る食べ残しで、291万トンと4割超を占めているのです。政府は、食品ロス半減の目標を掲げています。でも、家庭から出る廃棄量が、最近は逆に微増傾向をたどっているのです。もし、この増加傾向をコンビニの妙手で、減らすことができれば、コンビニの評価は高まるでしょう。
妙手の仕組みのお話になります。食品の流れは、トレーサビリティーでたどることができるようになりつつあります。消費者の健康意識の高まりから、食品の安全性,栽培や飼育から加工・製造・流通などの過程が明確になっています。流れが分かれば、その食品がどのような経路をたどるかが分かります。廃棄されるはずのものが、再利用させていることもわかります。再利用するという手法は、いろいろあります。消費期限の近づいた弁当などを実質値引きし、売れ残りを減らすことも一つの方法です。安い果物や野菜が、高級ジャムの素材として利用されることもあります。子ども食堂に配布することも、一案でしょう。過剰生産した野菜も、ジュースにする加工工場があれば、有効利用できます。このジュースを、優先的にコンビニ店が購入することも一案でしょう。本部が、工場建設の資金を農家に支援する方法も考えられます。
食品の流れは、ゲームに使えます。例えば、4つ大手コンビニチェーンが、各々10万個の弁当を作ったとします。そのうち何個あまり、何個廃棄したかがスマホで見える化するわけです。余りが少なく、廃棄物を有効利用したコンビニチェーンが、高く評価されるゲーミフィケーションを作ります。コンビニの廃棄物をどのように処理しているのかを、消費者が見て評価するわけです。評価は、最適個数を作っているかどうか、廃棄の量が少なくなっているかどうか、廃棄を少なくする工夫をしているかどうか、環境に対する影響はどうなっているかなどの点から見ていきます。評価に参加する人は、廃棄物の減量に賛同する100万人の消費者にお願いします。100万人が参加するゲーミフィケーションを、毎日行うわけです。消費者の意識を変えたコンビニチェーンの工夫や取り組みも、評価の対象になります。ゲームに参加している間に、食品ロスへの意識が高まり、社会全体としてロスが減少すれば楽しい試みになります。そして、コンビニの挑戦が、社会の課題を解決することに繋がってほしいものです。