ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

快感原則を優先する人たちのお付き合い アイデア広場 その664

2020-08-31 18:53:29 | 日記


 最近の小売店は、特売品と定番品などではなく、「生活必需の商品」「心を豊かにする商品」に分類するようです。単に胃袋を満たす時代から、舌で味わう時代へ、そして現在は頭で楽しむ段階に移行しています。消費者はいつでも手に入る生活必需品を望んでいるのではなく、心の豊かさや毎日の精神的充足感を楽しもうとしています。別の言葉で言えば、欧米志向や都会志向から日本志向や地方志向を目指すようになりました。私有主義からシェア志向へ、そしてブランド志向からシンプルなカジニアル志向への転換が見られます。個人志向から社会志向へ、利己主義から利他主義への流れともいえます。もっとも、心を豊かにする商品はただ棚に置いておくだけでは売れません。これらの商品は、あれこれ思考した消費者が、店頭でその価値の詳細を伝えられることにより、買われるようになるようです。
 一部の企業は、企業活動をすることによって生み出される社会的な費用を払わないケースがあります。たとえば、この活動で生み出される排気ガスは、健康被害を招きます。健康被害のこの費用を、払わない企業もあります。商品だけ売って、その商品がもたらすマイナス面を隠してしまうわけです。あとで分かってしまうウソを平気でつく人たちがいます。「その場しのぎで、その瞬間だけうまくいけばいい」と考えるのが、快感原則というものです。ウソを平気でつく人は「その場だけなんとかなればいい」という快感原則を優先しているわけです。一部の企業の行動は、この快感原則を真似ているのかもしれません。社会活動には、常識の範囲があります。万一、それを越えた場合のルールもあります。限度を超えれば、社会的制裁を受けるルールが待っているのが普通です。
 この社会制裁を、利用する人たちもいるのです。東ヨーロッパに寒い季節がやってくると、西バルカン半島の貧困難民がドイツにやってくるのです。この時期の風物詩になっています。西バルカン半島のアルバニアやセルビアからの貧困難民は、直行バスでベルリンにやってくるのです。1999年まで続いたコソボ紛争の時には、難民を受け入れる体制をEU各国が築きました。紛争が終わり、アルバニアやセルビアが難民を生む条件はなくなりました。でも、難民ではない貧困者がドイツにやってくるのです。アルバニアやセルビアからの貧困難民は、申請をしても却下されることを知っています。彼らには、ドイツ政府から1月130ユーロの「小遣い」が支給されます。この130ユーロは、母国ではほとんど月収に相当する額になるのです。ダメといわれるまで、少なくとも彼らは一冬を暖房のきいた施設で過ごすことができます。
 国によるセーフティーネットの水準を高めすぎると、モラル・ハザードの問題が起こります。政情が安定した今日では、アルバニアやセルビアが難民を生む条件はありません。申請がダメだとと数ケ月後に決定されれば、彼らは祖国に送り返されます。アルバニアやセルビア政府が、国を出ていった難民は自国の国民ではないと拒否することもできます。送還を拒否すれば、彼らは流浪の民になってしまいます。でも、西バルカン諸国は、送還される難民を引き受けることに協力的なのです。西バルカン諸国は、将来EUに加盟したいと希望しています。今のうちからEUに協力姿勢を示すことで、EU加盟を有利に運ぼうとする遠謀神慮があるのです。寒い冬の間、自国民を養うことができない貧しい国は、他国で養ってもらう方法を考えたわけです。ドイツは、避難民を受け入れることはしませんが、一定期間生活を保障することをします。いずれ、西バルカン諸国の国々が経済的に発展すれば、貧困難民はドイツに来なくなります。それまでの辛抱だと、割り切っているのかもしれません。企業や難民に限らず、「人間関係を良好に保つ」という感覚を持たないやっかいな人や企業、そして国が少なからずあるという現実を、私たちは理解しておくべきかもしれません。
 時代は、コミュニケーション能力を重視する流れになりつつあるようです。仕事の会話、日常生活の会話、趣味の世界で遊びを交えたコミュニケーションを重ねながら、自己の成長を図ることは楽しいことでもあります。この場合の条件として、自分の言いたいことを、正しく相手に伝えることができる能力が求められています。そして、相手の言っていることを正しく理解する能力が大切になります。自分の尺度だけが正しいとする思考方式は、柔軟性を失います。会話を通じたコミュニケーションの中に、多くの楽しみや愉快さが生まれます。その継続を望むのであれば、おたがいが一定のルールを守ることが、人間関係の基本になります。一部の人が快感原則を優先すれば、ルールの基本は崩れます。正しく伝え、正しく理解することが、大切になります。このコミュニケーション能力の育成には、相当な訓練が必要になります。
 「できない」ものを小さく刻んでいくと、大きくできるようになる瞬間がやってきます。毎日、目標に近づいているとはっきり感じられることを工夫しながらやっていくわけです。たとえば、商品が売れない状況に直面したとします。売れない理由を、不況やコロナのせいにするのでは面白くありません。売れない商品を売りたければ、商品の持つ価値を概念化とか言語化することになります。消費者に分かる言葉や概念を使って説明していくわけです。普段から、少しでも多くの商品情報や消費者嗜好の情報を得ようとする姿勢が求められます。消費者のニーズが自分の情報の中にあれば、瞬時に解決策が見出されるでしょう。
 余談ですが、不況やコロナ過の中では、売れない理由を滔滔と述べる人たちがでてきます。不平や不満ばかり言う人とのつきあいは、避けたほうが賢明のようです。また、強固な宗教的信念を持つ人には、理屈だけでは対応ができません。これらの人たちとのおつきあいは、時間の無駄になることが多いのです。聞く耳を持たない相手には、さっさと見限ることも選択肢になります。異議を唱えるよりも、別の視点から議論を補うような言い方をする人がいれば、その人とのコミュニケーションを多くしたほうが実りの多い時間を過ごすことができるようです。


中国の強権的対外進出を止める仕組み アイデア広場 その663

2020-08-30 19:44:32 | 日記

 2018年ごろから、新彊ウイグル自治区の再教育施設に世界の目が集まり始めています。
この自治区のウイグル族をめぐって、アメリカ議会は「空前の弾圧」として中国を非難するようになりました。アメリカ議会は、中国が100万人のウイグル族を不当に再教育施設に収容していると非難しているのです。中国政府は、過激思想の影響の受け人を再教育していると主張してきました。アメリカではウイグル族弾圧に加担した者を処罰する方針が、共和党や民主党の党派を超えて支持されている状況です。トランプ政権は、ウイグル族を強制労働させる生産活動に関与しないよう企業に警告した。アメリカ国務省は、新彊生産建設兵団が強制労働も活用していると指摘しています。アメリカ財務省は、今年7月この兵団幹部2人を、人権侵害に関与した疑いで制裁対象に加えたのです。
 1950年当時、この地域はイスラム教徒のウイグル族が圧倒的多数を占めていました。ウイグル族が圧倒的多数を占めたこの地域が1955年に新彊ウイグル自治区となったのです。この流れから、新彊ウイグル自治区に漢民族の復員兵を大量に入植させる目的で兵団が設立されました。中国共産党と国民党が内戦を行っている間は、軍隊が必要とされていました。でも、内戦が終結すると軍隊の解除がはじまります。その解除された共産党の軍隊が、新彊ウイグル自治区で活動を始めることになったのです。新彊生産建設兵団は、中華人民共和国の西部にある新彊ウイグル自治区で、開墾と辺境防衛を行う任務についたわけです。この兵団は、準軍事的政府組織と位置付けられており、中国西部を拠点とし、300万人近い団員を抱える準軍事組織といえるものでした。蛇足ですが、このような兵団は、中国各地に存在し、独自の生産施設と経済力を持っています。その既得権は、中央政府といえども、侵すことができないとされています。
 ウイグル自治区は、世界最大規模を誇る中国の綿花栽培や製糸、そして繊維産業の中心地になります。綿花栽培事業では、中国産綿花全体の3分の1に当たる量を収穫しているのです。新彊生産建設兵団は、綿花栽培事業に40万人に上る農作業員が働いています。この兵団は、ほかにもトマトの輸出など幅広い事業を営んでいます。兵団は他の従業員と共に、多くの製品を世界に供給しているのです。兵団が自分たちだけで綿花の収穫や繊維産業を行っていれば、大きな問題にはなりません。ここにきて、中国政府が新彊ウイグル自治区のウイグル族に、縫製などの強制労働を強いていることが徐々に明らかになってきているのです。でも、ウイグル族の従業員が、強制労働を強いられているということを証明するのは非常に困難です。外国企業が、ウイグル族の強制労働を明らかにすることは、公安などの監視があって難しいのです。
ウイグル族の多くはイスラム教徒で、漢民族中心の中国とは異なる文化を持っています。2008年の北京オリンピックの頃までは、お互いの文化を尊重する気風があったのです。最近では中国当局が、中国の価値観でウイグル人を見る傾向が強まっています。そして、再教育施設や強制収容の話題が出てくるようになりました。再教育施設収容された人物やその家族から取材して、その詳細な事実を西側の報道が把握するようになったのです。ウイグル自治区では、ウイグル族を含む100万人の少数民族が強制収容されています。再教育施設では、自己批判が繰り返されているのです。文化大革命と同じパターンの自己批判が、繰り返されているのです。文化大革命では自己批判により、2000万人から6000万人の人達が死に追いやられました。再教育施設では、ムスリムであることを自己批判し、豚肉を食べないことを自己批判することが繰り返されています。再教育施設は、ウイグル語の使用を禁じられ、思想や行動を矯正してから社会復帰を促しています。
 ウイグル自治区では、社会信用システムが独特な様式で導入されています。社会信用システムの点数が低いと、再教育施設へ送られるのです。ウルムチ市の住民の信用スコアによれば、基礎点100点から始まります。まずウイグル人であるというだけで、マイナス10ポイントになります。毎日礼拝しているとか、宗教知識があるとかでも、マイナス10ポイントになります。パスポートを持てば、マイナス点が付きます。ウイグル人は、地元当局による漢族との強制結婚にも抵抗できないのです。ウイグル人は、地元当局による漢族居住地域への強制移住にも抵抗できません。ウイグル人の強制労働の仕組みを、他の工業地帯に移動させているともいわれています。この地区のムスリムから尊厳と信仰、そして伝統と文化を奪いとる姿が浮き彫りになりつつあるのです。
 中国政府は、ウイグル族の人権問題を海外から批判されることに強く反発しています。ウイグル自治区の安定を維持しようと、高圧的な手段に出るほど、リスクが高まっています。ウイグル自治区に高圧的な手段に出るほど、同地域の経済はますます不安定になってきています。西側企業は、中国企業に強制労働をなくすようにしてもらいたいのです。でも、彼らは中国政府に要求できない立場にあります。いずれも倫理や政治、社会に関わる問題であり、西側企業だけで解決するには荷が重すぎるものがあります。このように問題のある新彊生産建設兵団との取引に対して、アメリカ政府はアメリカ企業に禁止令を出しました。アメリカ企業に限らず西側企業は、中国国内の消費者に商品を届けるだけを目的にしたいという本音があります。中国国内の工場を維持すれば、強制労働で生産された原料を使ってしまうリスクが生じるかもしれません。この原料やウイグル労働者を使った製品が、西側諸国に流れて、出所が判明すれば西側企業の死活問題になります。この企業は、西側の消費者からバッシングの対象になる可能性が出てきます。最終的に、同自治区と関係がある中国サプライヤー企業と、手を切らなければならなくなるわけです。欧米の消費者の反発を回避するには、ウイグル族の強制労働を避ける必要があるわけです。
 中国の人権侵害が明らかになりつつある状況が進めば、経済的サプライチェーンが縮小することになります。理想的な解決策は、中国政府がウイグル族弾圧を止めることです。このような弾圧がなくなれば、西側諸国と中国の経済的サプライチェーンは拡大していきます。西側諸国も、自由を侵されるウイグル族の人々の悲劇を黙って見ているわけにもいかなくなりつつあります。でも、中国がウイグル地区を中国化するために使った年数は50年以上もかけています。この50年間の中には、ウイグル族との協調路線もあったのです。でも、徐々に漢民族がウイグル自治区に商圏を広げ、漢民族の地域を広げ、圧倒的な力を蓄えたうえで、現在の弾圧を行うまでになりました。漢民族の対外進出は、ウイグル自治区だけでなく、チベットや南シナ海や東シナ海の尖閣諸島にまで及んでいます。この進出には、ウイグル族との協調路線の時期があったように、ある時期を過ぎると行動をエスカレートして、次の機会を待つ姿勢を取ってきました。世界の中国を見る目は、厳しくなっています。このような実態を見た国々は、弾圧や強権的対外進出が経済的にも、政治的にも、軍事的にも割の合わないことを、中国自身に理解してもらう政策を行うことになります。もちろん、一時的に中国との経済交流で、利益を目指す国々もあります。でも、その利益に対する自国の被害が大きくなることに気づく国も出てきています。中国が、ウイグル地区を中国化するのに50年かかりました。ウイグル族の弾圧がわりに合わないものだとわからせるには、50年の単位の政策が必要なるという覚悟を持って、西側諸国がことに当たることになります。


有機米農法を進化させる  アイデア広場 その 662

2020-08-29 19:46:32 | 日記

 新米が出てくる季節になりました。稲穂が実り、その重みで「こんにちわ」とお辞儀をする姿には、心安らぐものがあります。でも、コメ農家にとっては、心配な状況になっています。全国一の産地である新潟の概算金引き下げで、新米の値下がり傾向が鮮明になりつつあります。最高級米の魚沼産コシヒカリは、60kgが5%安い1万6500円で、2年連続の下落しているのです。次のランクである産地を指定したブランドコシヒカリも、一律900円下げています。さらに、産地を特定しない一般コシヒカリは60kgが1万4千円になっています。「新之助」は、2017年のデビュー時に大粒で魚沼コシヒカリと並ぶ最高級ブランドに位置づけられました。この新種は、デビュー時には大粒で食味が良く、高温耐性のある品種で最高級ブランドになりました。この新興ブランド米「新之助」が、今回大きく引き下げたのです。他県からも相次ぎ新興ブランド米が登場し、競争が激化しています。
 日本には、農産物を世界のどこよりも高く買ってくれる国民がいました。コメの価格は、2019年産まで5年連続で上昇を続けてきたのです。その反動もあり、消費者の需要が大幅に減ることになりました。JA全農にいがたは、2020年産米について、産地に仮払いする概算金を引き下げると述べています。新米は、美味しいものです。おいしい米を作るために、農家の方は田植えの時期や肥料の与え方など栽培の仕方を工夫しています。農薬や化学肥料を使えば、収穫時にアミロースの数値を低い状態に持っていけるのです。アミロースが少なければ、美味しいお米になります。新米が値下がりし、美味しいコメが出回っているという状況にも関わらず、在庫米が増えているのです。農林水産省が発表した6月末の民間在庫は、201万トンと4年ぶりの高水準になっています。消費者の生活防衛意識の高まりから、コメ離れも続いているのかもしれません。
 日本のある階層は、安全や健康に重点を置きつつあります。東南アジアの富裕層は、健康意識がますます高まっています。彼らは、農薬に関して安全や安心の観点から、厳しい目が注いでいるのです。人間の価値判断が、「食べ物が高いとか安い」より、安全に比重が傾いてきています。台湾では、政府が今後5年間、有機栽培に補助金を出して推進しようとしています。もちろん、EUなどでも有機農業に多くの補助金をだして、自然を守ろうとしています。有機農業をしている田畑には、小さな虫がたくさん住んでいます。その虫を求めて、カエルやドジョウ、トンボまでがやってきます。生物種が多い田畑で耕作された作物は、安全安心の評価を獲得できるものになります。日本の有機米が量産されれば、1つのビジネスチャンスになるかもしれません。
 お米に関しては、田植えをし、農薬をまいておけば、ほぼ手入れをする必要はなくなり、収穫を迎えることができます。昔は重労働であった除草の作業は、農薬を使っていれば必要のない仕事になりました。日本の有機米農業は、全生産量の0.2%と非常に少ないのです。この最大の理由は、除草にあります。除草と本気で取り組めば、毎日7kmを歩く作業量になります。もし、この作業が軽減されるならば、有機米農法は急速に普及するでしょう。あるロボット工学者は、人間がしていた作業は全てロボットで完結できるようになると豪語しています。有機農業で登場が待たれる機械が、水田用除草ロボットなのです。水田用除草のロボットが完成することは、有機農法にとって画期的なことになります。水田用除草ロボットの完成が、有機農業への転向を促す強力な誘因になるかもしれません。
 床に落ちた細かいごみを拾いながら、床面に紫外線を照射し消毒剤を噴霧するロボットが活躍しています。最新の清掃ロボットは、建物内部を走行すると、3Dカメラやセンサーで周囲の情報を取得できるのです。最新の清掃ロボットは、人工知能(AI)が地図を作製することができます。細かいごみを拾いの一連の作業を、縦横50~60センチ程度のロボットが黙々とこなしています。ロボットの頭脳は、急速に進化をとげています。もし、このロボットがアイガモ農法のアイガモと同じような働きをすれば、楽しいことになります。稲を傷つけずに、雑草だけを取るロボットを、作ってほしいものです。除草剤を使わない農法は、世界から評価されます。長年使われてきたラウンドアップは、アメリカの訴訟で、1兆円に及ぶ和解金を支払うことになりました。除草剤のリスクが、取り上げられるようになりつつあります。
 余談ですが、輸入リンゴが店頭で存在感を増して、手ごろな価格で消費伸ばしています。
ニュージーランド産リンゴを扱う都内の果実商社の5~7月の販売量は、前年同期比3割増えています。主力品種の「ジャズ」や「エンビー」は、酸味と甘みのバランスが良く、国産のフジなどに比べ小ぶりだが、歯触りが良いのが特徴です。輸入リンゴは、国産リンゴが少ない夏場に供給されてきました。輸入リンゴは前年より3割高いのですが、1個250円程度の国産に比べれば安い値段になります。都内の食品スーパーではこのニュージーランド産のリンゴ、4個入りが540円程度うられています。リンゴは、1年を通じて多くの管理作業が必要な作物です。冬が過ぎた3月からリンゴの枝を切り、4月に肥料と下草刈り、受粉と摘花作業など非常に多忙な作業が待ち構えています。リンゴ栽培で最も大変な作業は、農薬散布で20種類以上の害虫を抑えるために行います。でも、農薬を使わず、育てる農法があります。奇跡のリンゴと言われているものです。このリンゴは、農薬や肥料を使わず育てています。このリンゴは、みずみずしくほのかに甘く腐りにくい特徴があります。この農法で収穫のピークを夏場にもってくることができれば、外国産リンゴに負けない品種になり、楽しいビジネスになること請け合いです。


いじめ相談を系統的に行う仕組み アイデア広場 その 661

2020-08-28 21:58:15 | 日記


 文部科学省は、2019年10月17日、2018年度のいじめの認知件数を公開しました。いじめの認知件数は前年度比13万件増の54万件で過去最多を更新しています。この54万人の中には、自殺にまで追い込まれた子どももいたのです。普通は、「自殺したい」と思っていても、「歯止め」が掛かれば、自殺までには至りません。自殺を防ぐ「歯止め」には、「内的な歯止め」と「外的な歯止め」があります。内的な歯止めとは、この世に生まれてきたのだから、自殺はしてはいけないという強い思いがあります。どんなに辛くても、自分で死んだらいけないという、自分の内から出てくる抑制力です。一方、「外的な歯止め」は、多くが「家族」との関係になります。「今は頼りない自分だけど、もし死んだら。きっとお母さんもお父さんも大変だ」と思う気持ちがあります。両親にしっかり愛され、受け入れられて育った子どもには「内的、外的歯止め」が発達します。ここが、一つの防波堤になっているわけです。
「いじめられる」子どもについては、多くの意見や議論がされています。でも、「いじめる子のほうの問題があまり論じられない」ことが、とても気になっています。いじめは、いじめる側が当然悪いのです。でも、いじめる側のその動機や解決策が、あいまいに済まされているようです。いじめをする子どもの共通点は、その子の「存在そのもの」が認められていないことです。いじめっ子の保護者には、一見子育てに熱心に見える方が多いようです。表面的なしつけになりやすく、学習やスポーツの成績は良くても、道徳心は育っていないケースが見られます。彼らは、家庭でも学校でも、「存在そのもの」が認められていないのです。「愛情を持って育てられ」、「存在をきちんと認められている子ども」は、いじめに走らないようです。
 いじめっ子は誰にも「存在」が認められず、受容されていないことが、基本にあります。ではどうすれば、いじめをしないようになるのでしょうか。子どもは、正解が好きです。そして、勉強ができるようになる子が、教師も好きなのです。いじめに走る子どもは、学習に秀でていたり、世情に明るかったりと長所がたくさんあります。彼らは、承認欲求が強いため、影ではなく表で活躍し、認められる場面を設定すると良い結果が出ます。この子ども達には、その持ち味を大切にし、得意な分野で活躍していけるよう支援していくやり方が良いようです。「わかった」「できた」と感じる体験を、増やしていくことになります。授業で参加感を持たせ、達成感を積みあげ、学習に集中できるようにしていきます。一人ひとりが、その「持ち味」を尊重されるクラスや社会では、いじめは起こりません。
 いじめられても、反発できない「弱い」子どもが増えていることも事実です。自分には力がないとか、能力がないと自信を喪失しているようです。でも、ここで視点を変えることができれば、面白いことになります。能力がないと思えば、いじけるだけです。「無能」を力と思えば道は開けるのです。無能の力は、「教えを乞う力」であり、「失敗を許される力」であり、「助けてもらえる力」に変わるのです。「教えを乞う力」は、質問を自由に出きる力に変わります。「失敗を許される力」は、何度でも課題に挑戦する力になります。「助けてもらえる力」は、協力を求める力でもあり、助け合う力にもなります。「協力」は自分に能力がないからこそ、困ったときには協力し合うことに抵抗感を持たない得難い特質に変わるのです。今話題のソーシャルスキルの中には、援助を求めるスキルが重要な位置を占めています。援助を求めるスキルを学べるクラスは、最先端のソーシャルを教える場になります。こんなクラスを育てていくことは、教師の大切な役割になっています。よい教師は子どもと共に笑い、ダメな教師は子どもを笑うといいます。そんな実践の場を、提供しているわけです。
 いじめられている子どもにとって、学校は勉強するどころではなくなります。いじめが続くかどうかは、いじめられた子どもが、父親、母親と相談できるかどうかが、一番のポイントになります。父親や母親と相談できる子どもは、いじめられにくいという経験則があります。いじめを受けた時、その辛さを両親に打ち明けられ、親子が協力してこの課題に向き合う姿勢が大切になります。両親としっかり話し合い、その課題に立ち向かうことで、辛いいじめを克服していく力が育っていきます。「いじめという困難そのもの」よりも、「その困難をどう受け止めるか」という「態度」が重要になります。話し合いや課題に向き合う場合、いじめの事実を裏付ける確かな物証を確認する作業も大切になります。家族力が低下していると言われていますが、このような話し合いのできる家庭は強いと言えます。
 いじめに負けた子ども達は、ほとんど「現在」を生きようとはしません。新しい試みを恐れるあまり、過去の適応様式を繰り返してしまいます。結果として、よりいじめが悪化する方向に流れていきます。「過去の不幸」を嘆き、昔の生活や「過去の栄光」ばかりに心を奪われてしまうのです。いじめを克服する子ども達は、「今、この時」を生きています自分の「過去」を十分に踏まえながら、現在を認識し、その中で学校生活を送ります。いじめにあえば、うつ状態になることもあります。不眠や食欲不振が、よく現れます。そんな時の態度が、方向を決めます。眠れるようにはなったのですが、まだ食欲が山ませんと言う子どもがいます。もう一方で、人まだ食欲は出ないのですがおかげさまで夜はよく眠れるようになやましたと言う子どもがいます。望ましいケースは、後者です。自分がもっている「プラス面」に目を向けられるように、常に志向していくことが壁を乗り越えるカギになります。
 文部科学省は2019年10月17日、2018年度のいじめの認知件数を54万人と公開しました。文部科学省や厚生労働省は、この問題を放置することなく、介入する姿勢を示しています。各市町村の相談事業に費用を助成し市民団体と共同して子どもの相談に乗る体制を整える相談事業も行うようになりました。各行政機関には、いじめに関する情報が蓄積されつつあります。一方、生徒や学生の社会だけでなく、一般社会でも、セクハラやパワハラが横行しています。今の社会では、いじめはあるものと覚悟しておく必要はあります。
 経営者のモラルも低下し、社員の健康を考えず使い捨てのように利益のみを追求する企業もなくはありません。学校だけでなく、一般社会のいじめに関する問題が、一つの行政機関で情報提供できるサービスを構築してほしいものです。人の一生は、いじめとのせめぎあいのようなお付き合いを続けなければなりません。そんな時代に、子どものいじめ相談とか勤労者のパワハラ相談といった細切れの相談体制だけでは、全体的解決には程遠いように思えます。


家族の介護実力を高める アイデア広場 その 660

2020-08-27 20:31:29 | 日記


 あるホスピスの遺族会は、亡くなった一年後に開かれています。その会の光景に、男女の特徴が現れるというのです。女性の方も、旦那さんを亡くすと一時的には深く悲しみを現すそうです。でも、しだいに自由を手に入れて、行動が積極になるのです。ご主人を看取った奥さんは、服装が少々華やかになり全体的に若返り、元気になるという傾向が出てきます。一方、奥さんを亡くしたご主人は、まず、ネクタイが地味になります。次に、体重が少し減り、白髪が増え、シワが増えてくると言います。伴侶に先立たれた男性は、平均寿命が短くなるが、女性は延びるというデータもあるようです。私たちは、多くの仮面をつけ、様々な鎧をまとって生きています。伴侶がいなくなることで、その仮面が少しずつ剥がれていくのかもしれません。
 私の知人には、一つの言いぐさがありました。「もし老いて死を迎えるという時は、できるだけ家にいますよ。あと1週間くらいしか、もたないのではないかとなったら、病院に入れてもらうのです」と話していました。そして、その通りやってのけたのです。最後の1週間はかなり痛みに耐えなければならなかったようです。でも、入院して痛みを取る治療をしてもらい、1週間後になくなりました。家族には、最小限の看護だけで済ませていたようです。お墓や葬式のことなどを、きれいに生前処理をしていたことには感心したものです。元気なうちに、家族の意思決定が難しいことを処理しておくことが、家族に迷惑をかけないことだと言っていました。食事ができなくなったら、それが寿命だと割り切り、穏やかな死を迎えることだとも言っていました。彼は、亡くなる数週間前まで、家の中を歩く運動を続けていたのです。
 次は、介護を理想的に行っていたご家族のお話です。お婆さんを頂点に、自分の息子夫婦と娘夫婦が近くに住んでいました。このお婆さんが、歩くこともままならない状態になります。在宅介護をすることになりました。この息子夫婦と娘夫婦、そしてその子供を含めた5人で、「ローテーション」を組み、介護をしていたのです。一人に負担が、集中しないようにしていました。無理をして、体の状態が悪くなると、前向きな介護が難しくなります。頑張る人には、「介護の休みを与えなければならない」という体制がとても大切になります。いつでも、前向きな状態で介護にあたることが、介護される方にも介護する方にも、良い影響を与えます。「ローテーション」を組めるかどうかは、大きな「家族の実力」になります。家庭の介護力は家族構成や経済力、介護する人とされる人の性格により家庭ごとに異なります。そして、大切なことは、人間の限界もわきまえておくことが必要だということです。
 同じ「家族の実力」でも、時間の経過とともに家族の介護力は変わってきます。現実的には、メインになる介護の担い手は、長男の嫁の方、もしくは実の娘さんがガンバルことになることが多いようです。患者さんの死が近くなった時、それまで関わっていない家族が急に飛んで来る場合があります。ずっと介護に携わってきた方は、疲れています。そんな時に、元気な兄弟があれこれ言い始めると、家族の実力は低下していきます。在宅より、養護施設が良いとか、病院に入院させたほうが良いという意見を出してきます。ある人は、このような人たちの現象を、「ポッと出症候群」と言います。財産分与などでは、特に強く権利を主張するようになるようです。常識的には、もっと頻繁に見舞いに来るべきだったというものが普通です。来なかったことを言及せずに、財産分与の権利のみを主張します。このような事例には、深入りしないほうが無難のようです。一般的には、看取りの時期には、介護を必要とする本人の意思、家族の協力体制、充実した施設の利用方法など3点から、考えていくことになるようです。
 介護の現場では、介護されるほうも介護するほうも、「うつ状態」に陥る人は多いようです。うつには、基本的に次の8つの症状があります。不眠が続く、食欲がない、全身がだるい、将来に希望がない、興味や集中力の低下、自責の念が強くなる、自殺を考え始めるなどあります。このうち4~5個を持つようになると、本格的なうつ状態に入ると言われています。「がんばる人」「責任感の強い人」「まじめな人」ほど、この状態を抱え込むようです。介護の現場は、仕事量が増えても人手不足です。人ひとりの仕事の負荷だけが増えていくと、心を病んでしまいます。特に、自分のことより家族を含めて他人のことを優先する「心優しい人」は、病んでしまいます。
 介護の問題は、「終末期のケアーの問題」とかなり共通している点があります。あるグループホームを訪れると車イスの人、寝たきりの人、ときに大声で叫ぶ人がいます。こんな施設では、先が思いやられると、初めて訪れた人は思ってしまいます。でも、この状況を見て、要介護の進んだ人たちを受け入れている素晴らしい施設と評価する洞察力が必要です。いずれ寝たきりになっても、大声を出すような状態になっても受け入れてくれる施設であることの証明なのです。余談ですが、赤ちゃんの発達と「老いの進行」に関して、「頭部尾部法則」があります。子どもは頭から発達し、次に末端の足に発達していく法則です。老人の場合は、足から衰えが始まります。衰えてくると、例外なく、まず歩けなくなります。お年寄りも、末期がん患者さんも同じですが、必ず足から始まります。これらの人々を介護福祉士の人たちが、お世話をしています。でも、介護福祉士の人たちの生活が成り立たない状況が出ているのです。新たに介護福祉士を目指す学生も、少なくなっているのが現実です。
 こんな負の状況を、変える仕組みを考えてみました。負の状況では、ほとんど「現在」を生きようとはしません。「過去の不幸」を嘆き、昔の生活や「過去の栄光」ばかりに心を奪われています。敗者の領域は、あらゆる可能な行動や、自由に表現する能力を抑制してしまいます。ポジティブな勝者の領域は、「今、この時」を生きています。自分の「過去」を十分に踏まえながら、現在を認識し、その中に生きています。困難そのものにこだわらず、自分がもっている良い点に目を向けるわけです。ポジティブな意識で介護士の方が働ける環境を作り出す施設で、お世話になりたいものです。


認知症にならずにコロナ過を乗り切る アイデア広場 その659

2020-08-26 19:40:31 | 日記

 生きていく上では、自分にとって快と感じられることも不快と感じられることもあります。その中で楽しい生き方をすることが、望ましいようです。その生き方が、今問題になっている認知症を予防する良い方法と言われるようになりました。認知症を予防するには、生活習慣病の予防と日常の行動や思考の活性化の2点から考えることができるようです。まずは、認知症が急増する60歳を過ぎたら、意識的に自分の体と脳を使う生活を行うことになります。日常生活で、「好き」「快い」と感じる機会を増やすことが、認知症を予防する第一歩となるわけです。笑いや音楽は、副交感神経を優位にします。ストレスと緩和する作用があります。交感神経は、強いストレスに立ち向かうためには必要です。でも、長く交感神経を使い続けると、ストレス過になり心身が不調になります。結果として、加齢を加速し、認知症を進めることにもなりかねません。
 認知症が、表面的には記憶障害が現れ、その内側には海馬の機能低下で始まるごとはよく知られています。人間の脳は、短期の記憶が海馬に、長期の記憶が大脳皮質にと分けて保管しています。薬の飲み忘れなど最近のことを忘れてしまうのは、海馬の機能が低下するためです。認知症の脳では、記憶を司る「海馬」が萎縮するために、もの忘れなどの症状が起きることになります。最近の知見では、認知症は海馬だけでなく、感情を支配する「扁桃核」も萎縮することが分かってきました。扁桃核とは、原始的な情動を想起させる脳の機関をいいます。扁桃核を通過する記憶は、「感情記憶」と呼びます。脳内では海馬が記憶を司り、扁桃核が感情を支配する役割を担います。扁桃核の機能低下でも、認知症が始まることが最近の新しい知見になります。
 扁桃核とは、脳の大脳辺縁系と呼ばれる部分の内側深くにある1.2cmのハート型の部位になります。この部位の機能は、もともと自分の敵か味方かを判断するセンサーでした。人間は他者に会うと、その人を瞬時に快と不快に分別する力を備えています。扁桃核を通過する記憶は、好き、嫌い、快不快など感情がともなうことで記憶を残しやすいという特徴を持っています。働き方、生活習慣、人間関係、性格が、扁桃核に良い刺激を与えることができれば、良い印象が高まることになります。さらに、不快に感じられることを快に変えていくことが扇桃核を刺激し、その機能を高めることになります。この機能を高めることが、認知症の予防につながるわけです。扁桃核は、その人の行動を継続して最後までやりとげるために重要な働きをしているのです。一方、日々の生活で受ける刺激が少なく、喜怒哀楽の感情の起伏が乏しいと、扁桃核の衰えが早いことも知られるようになりました。
 認知症は予防処置を取らなければ、徐々に症状が進行していきます。第1期はもの忘れなど記憶障害が中心で、日常生活はほぼ普通に送ることができます。認知症の初期症状は、同じことを何度も話したり聞いたりするようになり、ものや人の名前が出なくなる特徴があります。次に、置き忘れとか、しまい忘れが目立つようになります。この初期は、時間や場所の感覚が不確かになります。一つの事例は、病院で出された薬の管理ができなくなることがあります。初期の認知症では、体の運動機能は保たれたまま、認知機能だけが損なわれていきます。第2期では、人の顔がわからなくなり、料理や買い物、入浴を自分でするのが難しくなります。第3期では、萎縮が全体に及ぶだめ、認知機能だけでなく体の行動機能も低下していきます。この状態が徐々に進み、ほぼ寝たきり状態となり、全面的な介護が必要になってくるのが第3期になります。軽い認知症の第1期の段階で進行を抑えることができれば、生活に大きな支障はないようです。
 公務員や学校の先生は、退職後、認知症になる人が多いといいます。公務員や教師の退職後、認知症になる人が多いことは、医師の共通認識のようです。マンネリで、変化を好まない公務員のような職業に従事している人たちには要注意です。定型的な仕事をしている人が、突然普通の暮らしになったときの戸惑いは大きいようです。認知症の初期症状は、以前にあった関心や興味、そして義務感が失われたとき起こります。さらに、関心や義務感を発揮する場を取り上げられた場合、認知症の症状は加速します。完全に関心事や義務感と距離を置く生:活になると、老化が一気に進んでしまうようです。「認知症になる脳」と「ならない脳」の分かれ目は、40歳代からの生活と言われています。このころから、本気で趣味を楽しむ生活に向き合うことが、自分一人だけでなく、家族、そして地域に貢献することを肝に銘じておくことも無駄ではありません。
 便利なサービスや商品の増加にともなって、私たちは日常の煩雑な作業から解放れる傾向があります。でも、煩雑な作業からの解放は、認知症の予防という点からはあまり好ましくありません。スマホをかざすだけで、会計が済むシステムは望ましくない点もあるのです。財布に小銭かたまってしまうことは、認知症の初期症状をチェックする一つのポイントになります。計算ができなくなると、お札しか出さなくなるので、財布に小銭がたまってしまうのです。現金での買い物は、お金の管理ができているのかをチェックする機能も果たします。可能なかぎり、自分で買いに行くようにしたいものです。買い物に付随する運動は、老化を抑え、認知症の進行を予防することになります。60歳を過ぎたら、あえて手間をかける生活にシフトチエンジしていくことも豊かな老後の選択肢になります。
 余談ですが、認知症患者460万人と認知症の予備軍400万人と言われる人たちが、日本では生活をしています。その中で予備軍の人たちは、症状の進行を予防するために、いろいろな工夫や活動を行っています。現金を持って買い物に行って、頭と体を使う生活をしていました。公民館に行って、高齢者向けのイベントに参加して学習やコミュニケーション能力を養っていました。でも、今回のコロナショックにより、外出自粛が行われています。これによって、高齢者の活動はかなり低調になっています。高齢者は重症化しやすいというマスコミの報道は、一層の外出の自粛を促しています。
 大阪府は、厚生労働省の重症化の基準に忠実のようです。その大阪府の高齢者の重症患者は、増えています。高齢者の重症化が増えれば増えるほど、高齢者の積極的活動は減少していきます。でも、高齢者の積極的活動が減れば減るほど、認知症の進行が進むことになるのです。2016年から2019年の大阪府の4月の死亡者は6840人でした。それが2020年4月の死亡者は、7705人に急増しました。1か月で、866人の死亡者が増えたのです。大阪府の人口は、882万人です。死亡が増えた要因は、新型コロナウイルスの影響であることが間違いないでしょう。この病気で死亡する人より、この関連死のほうが多いとみられるわけです。気楽なシニアは、今を怖がって焦って暮らすより、やりたいことをやって暮らしたいと望んでいます。今を心身ともに健全な状態で乗り切って、人生100年の今後の25年を健やかに過ごす人生設計を構築する野心を持っているのです。野心を持つシニアが増えれば、コロナによる死者が増えるかもしれません。でも、元気な老後を送るシニアも増えることにもなるのです。



コロナ過を乗り切るホテルの衛生力 アイデア広場 その658

2020-08-25 18:26:49 | 日記


 東北新幹線のお盆期間の利用状況が前年に比べ8割ほど減りました。新型コロナウイルスの感染が再び広がり、県外からの帰省や旅行客が低調でした。山形や秋田新幹線は約85%の減少となり、名物のUターンのピーク日もなかったようです。東日本高速道路によると、お盆の時期の東北の高速道路の交通量の平均は、前年の6割程度でした。2019年は東北道を中心に50回の渋滞が起きたのですが、今年は全く渋滞が発生しなかったようです。観光地で目にする県外ナンバーの車も、例年に比べて減少していました。例年は、観光地を賑わしていた中国人観光客の姿も見えませんでした。
 観光地では、近場から訪れる客が多く、県外客の宿泊需要が伸びなかったという流れだったようです。東北6県のお盆期間の宿泊施設利用は、各県内の宿泊客が中心になっていました。日本三景の松島の有名ホテルも、県内の宿泊客が多かったのです。青森市内の温泉ホテルは、感染防止のため、客室の稼働率を5割に抑える策にでました。結果として、適度のお客が訪れる好結果に繋がっています。福島県内施設の8月の延べ宿泊数は、前年同月の5割ほどの見通しになっています。その中には、稼働率を8割程度のホテルもあれば、3割を切るホテルもあるようです。秋田県男鹿市の宿泊補助や県のプレミアム付き宿泊券の利用で、ホテルの稼働率はお盆期間の利用は順調でした。男鹿市内のホテル利用は県内や近県からの利用がほとんどだったといいます。Go Toトラベルのほか、県と町が宿泊割引キャンペーンを実施し、8割ほどの宿泊客は利用したとのことです。
 2~3日前、Go Toトラベルに関して、知人と話す機会がありました。彼は、Go Toトラベルを利用して旅を楽しんできました。近場の会津若松を、中心に回ってきたとのことです。この度の旅行で印象に残ったことが、2つあったそうです。午後6時から始まって6時半までの沈んでいく夕焼けに心洗われたと言います。時間は、ほんの20分から30分の間の太陽が沈む動きでした。もう一つは、新型コロナウイルス感染対策の徹底した光景でした。ホテル清掃は、従業員の方が自然な形で徹底して行っていました。彼は、バイキング料理を好んでいます。新型コロナウイルス感染の中で、バイキング料理を安全に行うことは難しいことだと思っていたようです。この難しい課題の解決を、実践しているこのホテルの姿に感動したそうです。すべての小鉢にサランラップをかぶせて、接触感染を防ぐ対策に感心していました。心配性の彼は、従業員の過労を考えていたようです。知人は、農家の出なのです。昔の農民は、夏の重労働が重なり、9月に亡くなる農民が多かったのです。今回の新型コロナウイルス感染対策には、ホテルも従業員の方も以前より仕事量を増やしています。農家の過労とホテルの従業員の方の過労が重なっているようでした。
 新型コロナウイルスで打撃を受けたホテル業界は、再生に向かって「衛生力」を磨いているようです。コロナショック後のホテルの集客は、ブランド力や価格に加え、衛生面の信用力がカギを握ります。アメリカのホテル大手マリオットは、世界の7300店を対象に新しい清掃基準を設けるようになりました。このホテルは、除菌剤の自動スプレーなど次世代型の衛生機材の開発に乗り出すようです。もう一方の雄であるヒルトンは、アメリカ医療研究機関メイヨー・クリニックの感染症防止専門チームに助言を仰いでいます。科学的分析に基づいて清掃や除菌技術を高めることを、ヒルトンはねらっているようです。手始めに、客室のリモコンや空調パネルなど人がよく触る10カ所を「重点清掃エリア」に指定しています。収益回復には、繊密な清掃や衛生で安全性のアピールが欠かせない時代になったようです。
 世界各国が経済活動を再開し、ホテル需要も徐々に回復の兆しを見せています。あるアメリカの調査会社によると、6月7日から13日のホテルの客室稼働率は、7割を超えたとしています。ホテルニューオータニ大阪も、8月の予約開始1週間で50室以上の予約が入っています。特に、スイートルームの宿泊に計4万円分の食事券が付く1泊8万円(2人)のプランが好調のようです。三重県の伊勢志摩では4つのホテルもお盆期間中、例年に近い水準の利用がありました。この伊勢志摩では、稼働率8割のホテルもあるのです。京都の鴨川沿いで、京町家を一棟貸しする宿への問い合わせが急増したそうです。8月の3分の2は予約で埋まり、9月は好調で、関西圏の宿泊者が半数を占めようです。近場で、少し高めの宿泊施設に人気が集まっているようです。
 近場の宿泊施設やリゾートで復調の兆しがあった一方、都市部の既存の宿泊施設は苦戦が続いているようです。大阪や京都など都市部の観光地は、閑散とした状況が続いています。京都市の中心部にある錦市場は、7月下旬に人出が一時的に回復しました。でも、感染拡大が続く8月には、京都市の中心部にある錦市場から再び客足が遠のいていきました。この商店街振興組合の方は、「Go To」に期待していたが一時的だったと落胆しています。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は、入場者数を通常の半分程度に制限しています。USJの周辺ホテルからは「Go Toの効果は感じない」との声が聞こえます。「夏の甲子園大会」の中止や宝塚歌劇団の公演中止が、影響したという声が多いのです。これらの地域は通年にわたって、観光客が自然に押し寄せてくる場所でした。でも、コロナショックで、人出がなくなった時の対策が不十分な地域でもあったようです。恵まれた条件に、甘んじていたのかもしれません。
 観光業復興のヒントになる事例があります。日本の一流デパートで販売を担当していたやり手の方が、転職先にインドを選びました。彼女は、インド各地でオープンする大型小売店でのマナー講座が必要になると見抜きました。日本のデパートおけるサービスやマナーは、世界最高と言われています。インドでは、従来型の「売ってやる」式の販売サービスからの脱皮が求められていました。質の高いサービスが、提供できない実態があったのです。彼女の狙いは、的中しました。日本デパートで養ったスキルは、インドの大型小売店で引っ張りだこになったのです。アジアには、それらの条件に該当する国がいくつかあります。日本が持っているサービスのノウハウを、海外のニーズに合わせて試してみるという挑戦です。
 コロナ感染拡大が続く中、秋以降の状況も予断を許さないものがあります。新型コロナ禍を経験した宿やホテルは、一段の工夫や配慮が欠かせません。ホテルや観光施設が自ら工夫し、新たな需要を作りだすことが求められます。ホテル各社にとって清潔さは、以前から重要な要素でした。そこに、衛生管理の要素を一段高めに加えるわけです。もう一つ大切なことは、環境、社会、コーポレートガバナンスの3点です。従業員にコロナ感染が広がれば、風評被害も想定されます。営業を軌道に乗せるには、従業員の安全確保も欠かせません。従業員が充実した環境の下で、生き生きと働いている職場は高く評価されます。ホテルの運営を安全に行うことを続ければ、大きな評価を得ることができるわけです。もし、このホテルの運営方式がうまくいけば、このノウハウを海外のホテルに応用できることは言うまでもないでしょう。日本に観光客を呼び込むだけでなく、日本式のホテルサービスや衛生管理の行き届いた運営を海外に輸出したいものです。もちろん、低コストで高品質の運営を、そして従業員を酷使しない方式で可能にしなければなりません。


時代に逆らう農業 アイデア広場 その657

2020-08-24 20:18:51 | 日記


 医薬と農薬大手のドイツバイエル社が、2018年にアメリカモンサントを買収しました。モンサントの除草剤「ラウンドアップ」は、40年以上販売されてきた世界的商品です。日本でも売られているので、おなじみの除草剤です。この除草剤を2015年3月に、WHOの専門組織が「発がん性の疑いがある」とするグループに分類したのです。その疑いは、リスクのレベルが「赤身肉」や「夜勤」などと同じグループの分類に属するものでした。このラウンドアップの「発がん性の疑いがある」ということに、目を付けた人たちがいました。
 集団訴訟を専門に手掛けるアメリカの弁護士が、原告に呼びかけたのです。彼らは、成功報酬型の弁護士で、訴訟を主導し、賠償金を得ようとしたわけです。アメリカで起こされていた訴訟の原告は、約12万5千人にまで膨れ上がりました。ドイツバイエル社は、除草剤の発がん性をめぐる訴訟で、1兆1600億円の和解金を支払うと決めたのです。和解金がここまで膨れ上がったのは、アメリカ特有の訴訟制度の陪審員制度によるものでした。一般市民から選ばれた陪審員の判断は予想がつきにくく、「判官びいき」になりがちです。医療費は高いため、健康関連の裁判では日本とは数桁違う水準に賠償額が膨らむ傾向があります。成功報酬型の弁護士は勝つために、案件に応じて有利な判断が出そうな訴訟の場所を選ぶことが多いのです。カリフォルニア州は環境意識や健康意識が高いために、この種の裁判では原告に有利な判決が出やすい地域になっています。カリフォルニア州の個別訴訟では、高額の賠償命令が3件相次いてでていました。当然、カリフォルニアでの裁判になりました。市民は、農薬が遠く離れた北極圏のホッキョクグマの体内からきわめて高い濃度で検出されることを知っています。農薬が、広い海を泳ぎまわるイルカの体内からきわめて高い濃度で検出されています。このような事情を考慮して、バイエル社は1兆1600億円の和解金を支払うと決めたわけです。
 環境を守る意識は、世界中に広がっているようです。逆に見れば、環境を守り、環境を維持しながら作物をつければ、大きなビジネスチャンスがあるということになります。そんな事例を示した農業団体があります。高知県中土佐町の農業団体では、高知県立大学と連携して、米の比較調査をしました。その結果、土佐の米は、粒立ち、香り、うまみ、粘りなどが優れていることが分かったのです。その米の優れている理由も、高知大学の学生の調査で明らかになりました。土佐町の田んぼには、水質が良くなければ生息しない昆虫や水生昆虫が多くいたのです。生物群集を構成する種の数が多いほど、群集の資源利用率が上がります。水辺の生き物調査によって種の数が多い環境で作られているから、安全で美味しいコメができたことになります。良い環境で作られたコメは、付加価値を生み出す時代でもあるのです。
 生態系の多様性は、近年あたりまえのように受け入れられるようになりました。たとえば、小鳥たちは食べなければ生きていけません。スコットランド研究者は、セキレイが昆虫を捕まえるスピードを計ったとき、その速さは秒単位だったといいます。小鳥の中には、寒い夜には一晩で体重が10%も減る鳥もいるのです。小鳥は、翌日の昼間にせっせと食べて減った体重を回復しなければ、夜の間に死に至ってしまうこともあります。セキレイが昆虫を捕まえるスピードが、分単位になると死んでしまいます。鳥類を研究している人たちは、鳥の生態を調査するだけでなく、昆虫の生態も調査します。クマタカの餌には、リスやヤマドリが多くなります。猛禽類は、リスやヤマドリなどの餌生物がふんだんに住む森林がないと生きて行けないのです。鳥の生態を調べることにより、生態系のあらゆることに研究のメスが入っていきます。結果として、食物連鎖の頂点に立つ猛禽類が生きていられる自然そのものが、大いに価値があることになるわけです。その環境で作られる農作物は、自然を体現した食べ物と評価されることになるわけです。
 農薬や化学肥料を使わない有機農法が、先進国で評価されるようになっています。有史以来、この農法を最も合理的に行ったケースが、ナイルの氾濫農法です。ナイル川流域には、肥沃なシルトが上流から「浸食によって移動」してきました。土壌鉱物は、その大きさにより磯、砂、シルト、粘土の4種類に分類されます。その中で、農業に適したものがシルトなのです。ナイルの洪水は、農作物と競合する雑草をすべて削り落として水没させていきます。ナイルの氾濫農法では、雑草は除去され、ほぼ完璧に耕作された状態になり、さらに施肥された状態になり、種播きを待つばかりの畑ができていたのです。ほぼ完璧に耕作され、施肥された畑が、労働コストゼロでできあがったわけです。農薬や化学肥料を使わない有機農法が、古代エジプトで花開いていたわけです。
 さらにさかのぼれば、有機農法の元祖は、焼畑農業になります。焼畑農業は、傾斜地での無施肥、無耕作、無灌漑、無除草剤、無農薬の農業ということになります。火の利用による狩猟採集民や焼畑農業民による栽培方法は、古代エジプト農民が行っていた洪水による氾濫農法と同様のものだ言えます。焼畑農業は、耕作放棄地にも対応しやすい栽培方法になります。山間地の耕作放棄地周辺には、生物多様性が残っており焼畑農業には適地といえます。2~3年はその場所で栽培を行い、雑草が強くなれば、別の場所に移動します。焼き畑農業を行うサイクルを繰り返せば、生態系は守られます。多様な植物種がすむことで、土壌中の窒素の分解と循環が活性化され、群集全体の生産が増加します。そこの一部分を耕地にしても、数年で離れれば、生態系は元に戻ります。糖尿病などの生活習慣病の最良の薬は、縄文時代の食事という説も出てきています。つまり、焼き畑農業で作られる穀物は、付加価値があるということになります。
 高知県大川村が、話題になっています。村議会員のなり手がいなくなるというのです。現在の日本では農村人口の高齢化で、山間地にある農地がどんどん放棄されています。平成29年の荒廃農地面積は、全国で約28.3万haとなっています。東京23区の面積が6.2万haですから、1年間で約4倍強の農地が荒廃しているのです。人口が減り税収も減る現象は、長い歴史を見ると珍しいことではありません。高度成長時代は、競争に明け暮れて地域の多様性や固有の伝統が忘れ去られていきました。近年、国内総生産に代わる幸福の指標が作られています。世界各地で、地方の良さを数値化する動きも出てきました。分限を理解した節度ある行動、伝統を尊重する地域に、高い幸福の指標が与えられる時代になりつつあるようです。
 この高い幸福を獲得する農業は、焼き畑農業になるかもしれません。焼き畑農業に適した農地は、毎年東京都23区の4倍ほど生まれています。その農地は、荒廃が進んでいきます。でも、それはある意味で自然に帰っていることです。その自然の中で焼き畑農業を行うのです。焼畑農業は、無施肥、無耕作、無灌漑、無除草剤、無農薬の農業です。氾濫原の農法と同じように、植え付ける穀物の種類を問わず、最も労働力を節約できる農業形態になります。一定の区間を焼いて、種を蒔くだけです。実れば収穫し、有機農産物を愛する人に供給すれば良いのです。こんな農業を続ける人が現れると、面白い物語ができます。



地域を少しずつ豊かにする  アイデア広場 その 656

2020-08-23 21:29:46 | 日記


 神奈川県小田原市に、尊徳神社があります。二宮尊徳が、祀られた神社です。彼が行った桜町嶺における成功例は、今日でも復興のモデルになります。「荒地を開くに荒地の力をもってし、衰貧を救うに衰貧の力をもってする」という言葉を残しています。荒れ果ててしまっている農村であっても、生産能力と利潤獲得能力は潜在しているという意味があります。荒廃した桜町嶺でも、潜在的生産能力を持つ田畑があり、村人が力を発揮することにより、生産力を高める潜在力が秘められていました。でも、分限を超える消費をすれば、徐々に貧しくなります。その村の持つ分限を超える浪費は、慎むべきだったのです。分限を理解し、その範囲内での生活を心がけることが、生産能力を発揮し、利潤を獲得することに繋がるわけです。
 桜町の荒廃は、現在の地球温暖化による被害にたとえることができるかもしれません。化石燃料の過剰な使用は、地球の温暖化を急速に進めています。海面の上昇により、太平洋の島国は海水の下に沈もうとしています。北極圏の地表の氷は解けて、地球の温度上昇を加速化させています。一方、地球へのエネルギー供給の源である太陽熱は、変わらず供給されています。今回のコロナショックで、各産業で使用する化石燃料は大幅に減少しました。でも、太陽光発電や水力発電、そして風力発電は、通常通り稼働し、人類にエネルギーを供給しています。分限の立場からすると、地球の荒廃を救うエネルギーは、太陽エネルギーということになります。温室効果ガスを排出しないで、人類にエネルギーをいつでも、有り余るエネルギーを供給することを示してくれました。人類は、必要以上にエネルギーを使いすぎて、地球の荒廃を招いていきたともいえます。荒廃を救う方法は、太陽エネルギーを上手に使うということになります。
 過剰に使わず、あるものを有効利用することが、荒廃を救う一つの方法になります。分限の立場からすると、高度成長時代に拡大しすぎた制度やインフラが無駄を生じるものに変質してきています。イギリスは植民地経営で、巨万の富を得てきました。でも、支配されている植民地の人々の抵抗運動が始まると、獲得する富に比べ支出する費用が逆転する現象が生まれました。植民地からの収入が減っているにもかかわらず、イギリスは官僚組織を拡充し、植民地経営費用を増やすという無駄を拡大してきた歴史がありました。日本の地方自治体も、イギリスの植民地政策と同じように、人員を肥大させ、無駄を増やしてきたように見えます。
 そんな中で、思い切った改革をした村がありました。51人いた村の職員を34人減らしたのです。職員を減らして、資金を作りだしました。その資金をいち早く子どもの医療費や高校生の授業料まで無料にしてしまったのです。補助教員を村単独で配置して、学童保育を充実させるなど、教育環境を整備したのです。保育や医療の充実策が受けて、近隣から転居する人達が増えてきました。さらに、子育て対策を評価した企業が、村に工場を建設ようになりました。昔は、電気と水道のインフラの存在が進出の条件でした。今は優秀な労働力が揃っていれば、進出の条件になります。若い働く人達が、安心して働ける環境は、企業にとっても魅力ある政策になります。
 人口の減少は、地方の税収を減らしていきます。各町村の歳入の中で半分近くを占める地方交付税は、人口や面積などに応じて算出されます。人口の減少に伴い多くの町村は、地方交付税を前年度より減らしていくことになります。もはや町村には、以前のように住民にフルサービスする体力はありません。福祉や教育を何とか維持するのが、精一杯の状況です。道路の老朽化対策や橋梁の補修などは、後回しにせざるをえなくなっています。でも、戦後の繁栄を体験した地方自治体の多くは、無い物ねだりをする地域が依然として絶えないようです。惰性で職員を増やしていくほどの余裕は、今の日本の地方自治体にはありません。でも、今までの自治体の運営を急に変えることは、職員にはできないことです。市民やそのリーダーである人たちが改革をしていくことになります。その市民の意志をくみ取った政治家が、率先して改革を推し進めればハッピーな町になります。
 もっとも、リーダーだけでは、コトは成就しません。この改革に成功した村の素晴らしい点は、簡単な道路の舗装などを村人自身が行ったことです。村は、道路舗装に必要なセメントや用具を貸し出します。労力は、村人自身が行うことになりました。すると、一般の業者に発注するよりはるかに安い金額で、道路は補修されることになりました。村の公共施設なども、自分たちで運営し、予算を極力減らして行ったのです。村人は、成長時代に身に付いた行政頼みの限界を理解していました。行政に頼らず、自分たちの労力や知恵を出し合って、村に貢献する姿勢を示しました。「荒地を開くに荒地の力をもってし、衰貧を救うに衰貧の力をもってする」という言葉を実践したわけです。村の荒廃を村にある人的資産を使って改善しました。そして、住民やリーダーが知恵を出して、村の荒廃の原因を補修していったわけです。
 余談ですが、地方自治体は人件費を節約するために、臨時職員を採用することが多くなりました。この弊害が、出てきています。非正規雇用を増やすと、行政の運営の中で得た経験やノウハウが役所に蓄積しにくくなります。町民との対話ややり取りで獲得した経験やノウハウは、見えない大切な財産です。人件費のカットや仕事のカットは、真に無駄なものを排除していくという姿勢が求められます。非正規雇用の増員によって、人件費はカットされました。でも、サービスが悪化し、運営のノウハウの蓄積が粗雑になれば、市民の損失が増えることになります。市民には、利益に応じた税負担をすることが原則です。税金の使い道は、地域社会に還元する仕組みが求められます。地域の病院や学校などへ、資金協力をする社会貢献も時には必要になります。地域が市民の小さな力で、豊かになればハッピーです。それには、リーダーの指導力も必要になるようです。



今の韓国大統領府とは断捨離も選択肢になります アイデア広場 その655

2020-08-22 18:35:55 | 日記


 韓国は、いずれ北朝鮮との統一を実現しようとしています。ドイツのように統一が実現し、経済的豊かさや民族の尊厳を勝ち取ることを願っています。北朝鮮は、残念ながら経済復興に失敗しています。その分を韓国が肩代わりすることになる朝鮮の統一には、30兆円のお金がかかるといわれています。北朝鮮と韓国が統合することになると、その後の30年間に240兆円コストがかかるともいわれています。この240兆円コストをどう調達するのかが、課題になります。統一した朝鮮は、日本にも協力を求めることでしょう。日本は、このことに協力をすることになります。でも、現在の徴用工問題に見られるように、一度決まった国際条約を反故にする姿勢には、多くの日本人が不快感を持っています。このまま韓国政府の主張を受け入れるようなことになれば、日本が240兆円を延々と払い続けるようになってしまうかもしれません。今の日本政府は、韓国の理不尽な行為に対しては、妥協しない態度を示しています。この一線は、ぜひ日本国民とともに守ってほしい思いです。
 1945年に独立した韓国は、朝鮮戦争などを経て経済復興を遂げてきました。当時は、日本からの経済協力や安全保障上の支援が行われました。日本に対して、強い批判ができない状況が続いていました。その韓国は、1997年の通貨危機を克服する過程で激変しました。通貨危機以降の流れで、グローバル化に成功し、経済力を付けてきたのです。韓国の社会政策は、いまや日本とは違う道を行っている部分が少なくありません。日本をモデルにしていた政策を、転換したことを意味しています。日本式資本主義との決別は、日本の影響が薄れていくことを意味します。日本との良好な関係を維持しなければならないという切実さは、韓国社会から失われたといえるようです。
 朝鮮の植民地経営は、朝鮮の人びとの協力がなければ成立しませんでした。この経営に協力した人びとが、対日協力者といわれる人びとです。1945年に韓国が独立した後、対日協力者への清算が行われ始めました。でも、1950年の朝鮮戦争で、この清算が中断しました。朝鮮戦争でアメリカ占領軍は、行政能力が高い対日協力者を軍政庁要員として雇用したのです。蛇足ですが、日本では1946年に公職追放が行われました。この公職追放で、日本の戦前の精算が終わったとされています。一方、韓国では、対日協力者の登用が、保守派や親日派問題を繰り返し提起される背景になるのです。対日協力者問題の清算が不十分であったという認識が、1945年からくすぶり続けていました。そして、対日協力者の行った日本と締結した条約は、無効だと言い始めるグループまで現れています。文政権は、これに対して日和見の姿勢を示しています。
 いくつかの指標を見ると、韓国の国内事情はあまり好転していないことがわかります。OECDによると2015年、65歳以上の韓国人の45.7%が貧困状態にあると報告をしています。高齢者の45,7%以上が貧困という数字は、OECDの加盟国の中で最悪の数字になります。もう一つの面は、厳しい競争社会を生きる人々の不安心理の現れが自殺の急増に見られます。韓国の全世代の自殺者は、10万人あたり24.3人になっています。2017年における70歳代の自殺者は、10万人当たり48.8人になります。80歳代は、70.0人に激増しているのです。日本は、15.8人となり、10年連続減少を続けています。高齢者は、将来の展望が持てず、自らの命を絶つという構図になっているようです。将来の不安要因の一つが、年金制度になります。
 韓国の国民年金は、勤労者が一定の年代まで働き、その間に基金を蓄積します。基金を蓄積し、その基金を対象者に支給する仕組みになっています。でも、積み立てられた基金が、本格的支給される時点で消滅する構造になっているのです。若い世代は、働き損ということになってしまいます。韓国政府は、基礎年金とは別の保険料を払って、年金を受け取る新たな国民年金の制度も進めています。この国では、社会保障が不十分なために、高齢者も働かざるをえない状況があるのです。韓国は、高齢者の貧困層への年金制度が最も弱い国の施策の一つといえます。基礎年金は、毎月2万5千円を受け取ることができるようです。日本の人の定年後は平均の夫婦世帯で月々約20万円というのが普通です。
 韓国では、持てる者と持たぎる者の葛藤が深まっています。今までになかった勢いで、格差拡大が進行しているのです。韓国はもともと、他者とのつながりを重視する集団依存主義的な意識の強い社会でした。通貨危機以後においても、繋がりを重視の意識は残っているのですが、個人単位での厳しい競争を強いられるようになってきました。繋がり重視の意識は残っているのに、個人単位での厳しい競争を強いられるようになっているわけです。人びとの意識が、社会の流れについて行けず、不安心理を大きくなっています。儒教に根付いた意識が障害となって、社会の流れについて行けず、高齢者の不安が増幅されているとも言えます。国内に不安要因がある場合、その対策は外国に向けられることが多いのです。現在、この対象は日本に向けられているようです。
 韓国経済は、貿易依存度が8割近くになっています。日本が3割程度ですから、貿易の重要性が非常に高い国です。景気回復が遅れている韓国では、若い世代の収入が思ったより伸びていません。韓国では、若者の10%が職業につけない状況が続いています。若者の深刻な就職難が進む一方、リストラされた中高年の増加という複雑な実情もあります。若い世代は、親の面倒をみる儒教的な習慣を捨てる傾向も出てきています。若年層の失業率は、失業のボリュームゾーンを形成しているのです。このゾーンの所得が少ないために、若い世代が、高齢者に支援できない状況になっています。高齢者の不安が、より増幅する流れができているわけです。
 韓国のトップ企業は、世界に羽ばたいています。サムソンなどの企業は、日本の半導体企業に勝利しています。これらの企業は、電化製品で日本の高級志向を逆手にとって、使いやすさで市場を席巻しました。韓国の電化製品の勢いが、日本を見下す一つの原因になったようです。一方、日本と韓国の協力も地道に進んでいます。出光興産や石油各社が、韓国のタンクを借りています。日本の灯油の中には、韓国で備蓄されているものもあります。西日本ならば、北海道の石油備蓄基地より、早く供給が可能になる立地条件を持っています。日本の灯油消費状況に応じて、韓国から輸入するというしくみを構築しています。
 一般的に、政治は理念と利害状況のバランスを取りながら行われます。経済状況が好転しない限り、このバランは難しい舵取りになります。文政権は、理念を重視します。この大統領の理念は揺らぐことがないようです。南北統一の理念を追求していく姿が、テレビに映し出されています。でも、日本への配慮は見えません。強い者にすり寄り、弱者には厳しく接することが、韓国の歴史に根付いた行動様式と言われています。以前より、弱ってきた日本がその対象になっているようです。国内の不安要因を今は、日本にその矛先を向けています。日本と離れる韓国を、隣人としてこれからお付き合いをすることになります。仲良くなれないという歴史的事実を両国が、知恵を出し合って、克服していきたいものです。でも、決定的な傷を残さない程度に様子を見ることも、お隣同士のお付き合いかもしれません。今の文政権に何を提案しても、受け入れられることはないようです。
 最後に、厳しいことだけでは、解決になりません。両国が得意なこと、困っていることを持ち寄って、解決するテーマを考えてみました。出てきたアイデアは、少しだけウインウインなる「ツアーイベント」です。全日空も日本航空も、そして大韓航空も大幅な赤字が続いています。ツアー客の飛行機の利用が増えれば、少しは赤字が減少することになります。日本国民は、新型コロナウイルス感染に不安を持っています。でも、感染しているかどうかを調べるPCR検査を自由に受けられないのです。一方、韓国はPCR検査縦横にやる能力を持っています。そこで、日本で新型コロナウイルス感染に不安を持っている人を、韓国でPCR検査を受けるツアーを企画するわけです。毎日、千人単位で全日空も日本航空も、そして大韓航空も利用して、PCR検査ツアーを行います。もちろん、このツアーは観光地にはいかず、空港内で過ごします。PCR検査を受け、時間つぶしに免税店巡りをし、お土産を買うことができます。終われば、日帰りで帰ることになります。両国の航空機の利用率を少しでも、増やす発想でした。