東京の成長が、日本の経済を支えています。現在の子ども達に負担をかける社会保障システムを、何とかしなければなりません。その解決策が、東京の成長です。鄧小平ではありませんが、成長するところから豊かになるという解決策になります。東京の強みは、市場規模、経済集積、人口集積です。通勤の利便性は非常に高く、質の高い生活ができるインフラを備えているのです。さらに1800兆円の個人資産があるのです。このインフラと豊富な資金を活用しての経済成長は、大きな可能性を持っています。世界の企業も高度人材も、東京の潜在能力を評価し、進出の機会を模索しています。世界が躊躇している理由は、岩盤規制と子どもの教育なのです。
そこで、進出を促す教育の仕組みについて考えてみました。東京都は誘致すべき外国企業として、情報通信、医療、化学、電子・精密、金融などを上げています。でも、規制改革が進まず外国企業の進出は停滞しています。外国企業の進出が盛んなシンガポールが、参考になります。低い法人税、そして企業が申請すれば3日程度で進出が認められる制度など外国企業を優遇する仕組みがよく整っています。多く優秀な高度人材も、シンガポールで研究開発に従事しています。その優秀な人材が、安心して働けるもう一つの環境も用意しているのです。それが、国際バカロレアの充実です。簡単に言えば、国際バカロレア機構が認めた学校を卒業した生徒は、世界の有名大学に入学ができるというものです。高い研究能力を持っている高度人材は、親として自分の子どもが、自分と同じ境遇で学問や研究に挑戦してしてもらいたいと考えています。高度人材を海外から呼び寄せるためには、お金や研究施設の充実だけはなく、子弟の教育環境が大切なのです。残念ながら、日本はこの教育環境の整備が遅れています。
宮城県の仙台に、「東北では最初の国際バカロレアの認定を受けた3~12歳の幼稚園と小学課程ができた」という記事がありました。喜ばしいことです。高度人材は、企業だけでなく地域社会に大きな波及効果をもたらします。経済効果はもちろん、知的環境を高める働きを持っているのです。日本の教育システムの改善は、国際化に向かう起爆剤になるかもしれません。世界大学ランキング200の中に入るのは、東大と京大だけです。経済大国3位の日本からすると、寂しいことです。
提案です。日本の小中高の一貫教育で、成果を上げているのは筑波大学の付属の小中高です。このレベルの一貫教育を、各都道府県に設立することです。国際バカロレア機構は、柔軟な知性の育成と国際理解を目的としています。これらを達成するために共通のカリキュラム、そして試験や資格を用意しています。これらの課題を乗り越えるためには、高い知性と柔軟な創造力を育成する教育システムの構築が必要です。この課題に解決の尖兵は、小中高の先生になります。高いレベルでの意識改革と高い能力を持つ先生の確保が、最初のハードルになるでしょう。国際バカロレアや高度人材の人々から見ると、日本の教育は世界の水準からやや低いレベルに位置するようです。高い感覚を持つ人を集め、世界の子ども達の能力を触発する教育を実践し、世界の教育レベルをはるかに超える成果を上げたいものです。このような環境が整えば、潜在的可能性を持つ日本に、高度人材は雲霞のごとく集まるでしょう。