ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

小鳥の不思議な能力を利用する  スモールアイデア NO345

2019-11-30 18:35:57 | 日記


動物のなかで、進化の極致としてヒトがいます。確かに、今日の文明を見れば、そのことが自明のこととなります。でも、人間の文明における知識では、わかないことも多いのです。そして、できないことも数多くあります。そんな人間の難題を、やすやすと行うことのできる動物がいることもわかってきました。最近の知見では、動物のなかで、もう一方の極致として鳥の存在が注目されています。フクロウは急降下して、地上の獲物をキャッチして飛び立っていきます。そのとき、捕らえられる獲物は、フクロウが近づく音に気が付かないのです。これを利用したものが、新幹線です。この最新の列車は300キロ近い高速で走行していても、ほとんど音がしません。時代の先端を行く新幹線は、フクロウの羽の構造を真似てパンタグラフを作っているのです。カルガモの親の後を、インプリンティングされたヒナたちが順に歩く姿は、私たちに癒しをもたらします。この順序良く歩く姿を真似たモデルとして、複数の自動車が一定の車間距離をとって運転する仕組みが工夫されています。ヒナたちの動きが、高速道路などをハンドル操作なしに自動運転することに、応用されるかもしれないのです。
 鳥の中には、人間の英知が及ばない知的可能性が存在するようです。多くの鳥の特徴に、群れで行動することがあります。弱い鳥の集まり、少ないエネルギーで効率の良い採餌を確保することが知られています。鳥は、警戒心が強く臆病です。でも、生きていくための手段として、利用できるものを利用します。その一つに、混群があります。小さな鳥は、食性の近い異なる種類の鳥の混群をつくるのです。群れを大きくすることで、大きな鳥から自分を守り、そして種を守る行動をとっているわけです。弱者が強者に対抗する知恵は、鳥の社会に見ることができます。
そこで、弱者が強者に向かう知恵や工夫を考えてみました。いま東南アジアで、中国に対して対抗できる国はありません。中国は、海外に軍事力を展開していきます。フィリピンは以前、領有権問題で中国と対立していました。でも、現在は中国から一歩引きながら、自国の利益と将来の権益を守ることに徹しています。フィリピンは、南シナ海で中国と妥協し、経済的利益を優先しているわけです。軍事力で対抗するより、経済優先が現状にあった戦術だからです。国家の運営が困難になった場合、まず、国民が生き残りを図る工夫をします。小鳥が、えさ場を確保することで「良い」とする姿勢に似ているかもしれません。弱い小鳥が自分と種を守るために、猛禽類に無駄な抵抗することをしない行動と似ています。
日本の尖閣諸島には、中国艦船の侵入が続きます。航空機の侵犯も多くなりつつあります。中国の侵犯に、日本は国家として対処していくことになります。微笑外交が続くとしても、この侵入や侵犯は、今後100年にわたって続くことを覚悟する必要があります。小鳥の戦術を使えば、猛禽類が疲れることを待つことになります。経済成長が低下している中国がこの勢いのまま海外に進出を続けることに、限界が見え始めてきています。中国には、いくつかのアキレス腱があります。一気に建設した鉄道や道路橋などインフラが、近い時期に一斉に老巧化する状況が訪れます。これを再建築し、大規模補修する人材も資金も少なくなっているのです。さらに、国民を満足させる社会保障費を、人口ボーナスの無くなった中国に出せる余裕がなくなりつつあります。もっとも、GDP世界2位の国が、すぐに衰退するわけではありません。侵入や侵犯に耐える覚悟と抵抗が、中国の経済を徐々に消耗させます。中国の限界を弱者である周辺国は、いろいろな角度から突いていくことになります。もっとも、日本が中国に対抗している戦術を、他国を同調させようという意図には無理があります。鳥の行動を学ぶことにより、鳥の叡智に近づくことができるかもしれません。
鳥の知恵は、国家の存続を超えて、地球の存続を明るいものする可能性を持っています。器機をつけた放鳥から人工衛星を介して、情報をリアルタイムで受信する方法をバイオロギングといいます。このバイオロギングの調査から、鳥の渡りのコースがしだいに変化してきていることがわかってきました。異常気象の年は、鳥が移動する位置の風向が大きく変化していたのです。鳥の移動のデータは、気象衛星の記録ともよく合致しています。鳥の渡りのコースがしだいに変化する原因は、おそらく地球温暖化によるものだともいわれています。今後、人間のいない調査のできない地域の温度や風向などが明らかになってくるでしょう。それとともに、地球の気候が緻密に把握されることになります。
 余談ですが、現在の人工知能(AI)が急速に進化し続けているのは、AIが単独に学習しているだけではありません。AIは、原理的には世界中のどのAIが学んだ成果もすべて瞬時に共有できます。世界各地に分散しているAIが、ネットワークを通じて互いに学習し情報を教え合うことができるようになるわけです。この仕組みを、鳥の移動についても利用できるでしょう。鳥の移動の記録だけでなく、通過した地域の風向や風速もデータ化することができるようになります。もちろん、海上の変化も把握できます。鳥に装着させた小型ビデオカメラやセンサーなどの装置を通じて、画像やデータを記録する学習データが鳥からも得られれば、気象予報の機械学習の精度が上がります。そのデータや分析から、今までになかった有意義な知見が得られるかもしれません。その知見の中に、地球温暖化の解決のヒントがあれば面白いのですが。



働き方改革・高齢者のモチベーション・社会保障費の抑制 アイデア三題噺288

2019-11-28 17:52:35 | 日記

東南アジアの多くの国は、平均寿命の伸び伴い、社会保障関連の歳出が膨らんできました。シンガポールおいて、2019年度の社会保障関連の予算は、5年前に比べ66%の大幅増となっています。シンガポールやべトナムなど東南アジアの政府は、定年年齢の引き上げ策を打ち出しています。高齢者に経済的に自立してもらい、社会保障費用の抑制につなげようという意図があるようです。年金を早く支払うより、高齢になるまで働いてもらった方が、財政的にプラスになります。結果として、経済全体も活性化するという考えです。
 日本においても、社会保障費の増加は大きな課題になっています。人生100年時代を迎え、定年後も長く働き続けることが求められるようになりました。働くことを希望する高齢者は、70歳まで働ける環境整備が、政府の勧告を受けて本格化しています。中高年層が,長く働き続けるための施策を計画されるようになりました。厚生労働省は、45歳以上の中高年層の会社員に特化したリカレント教育の講座を準備しています。これらの年代層が、65歳以上になっても働ける講座内容を用意しているわけです。2020年度予算の概算要求に、1億9千万円を計上しているのです。
 今までは、20歳ぐらいまで学校に通い、20歳から60歳まで働き、80歳まで老後を過ごすというサイクルでした。それが25歳ぐらいまで学校に通い、25歳から70歳ぐらいまで働き、100歳まで老後を過ごすというサイクルになろうとしています。でも、高齢の労働者になればなるほど、人件費は高くなり、生産性が低くなるという声も出てきました。25歳から70歳にいたる時空間を経るにしたがって、技術の進歩は急速に進んでいきます。過去に、修得した技術だけでは、未来の仕事に適応できなくなります。新しい局面に対応できるセカンドキャリアが、必要になるわけです。そして、このセカンドキャリアを支援することが、求められるようになりました。専門学校などで、PCのスキル、英語、簿記、社会保険労務士などの資格を取得の支援を、厚生労働省はおこなおうとしています。2020年度は、1800人程度を対象に試験的に実施する方針です。
政府に先立ち、民間企業も対策に乗りだしています。先進的な企業では、副業の効用を認めています。会社の業務に影響のない限り、多くの業種を経験することを求めているのです。副業の経験が、巡り巡って自社の業務向上や新たな発想に結びつくことを期待しているようです。ひとつの職場で何十年も同じ仕事を続けることは、難しくなっていると会社も社員も感じています。いずれ、会社を離れて、新たな就業に付くことを覚悟しているともいえます。同じホワイトカラーでも別の会社で活躍できるかという不安を持っています。副業でという形で働いてみて、不安も解消されスムーズな転職に繋がることが期待されているわけです。
でも、現実の副業の現場は、少し違う様相を示しています。副業で人気の仕事は、簡単な事務作業になっています。副次的仕事の多くは、データ入力や郵便物の封入など特別なスキルや習熟がいらないものです。主流は、無理のない作業量で一定の収入が確保できればよいという傾向が見られます。時給が割高でも、体力や技術的に負担の大きい仕事は敬遠されるのです。多くの副業において、将来を見越したキャリアアップを狙う人達はマイナーのようです。
技術革新のスピードが上がり、現役で働く期間がどんどん長くなります。もちろん、持っているスキルを磨くことにも大切です。でも、それだけでは十分ではありません。今の仕事に隣接するノウハウの修得も、重要になります。たとえば、ライターが写真撮影の技術を身につけること、カメラマンが職場で記事の書き方を学ぶことです。2人でやっていた仕事を1人でなせることになれば、仕事の質は向上します。雇用する会社も、少ない人数で、多くの仕事をカバーする人材を求めます。単純労働に飽き足らず、よりスキルアップを望む人材を増やす仕組みの構築が望まれます。
三菱自動車は2020年度から、スマホを使って研修が受けられるオンライン講座を開設するようです。車務系を中心に、7000人が対象となります。通勤中などいつでもどこでも、スマホを通して350の講座を受講できるのです。1回の講座は15分程度で、通勤中にスマホで受講できる仕組みです。随時、映像で気軽に受講できます。幅広い知見を身につけてもらうことが、1つの狙いです。幅広い分野で学び直しの機会を提供して、新たなビジネス創出につながることを期待しているようです。
働く意欲のある健康な高齢者には、長く働いてもらい医療費の削減につなげる施策が各国で採用されています。長く働いてもらうためには、新しい技術の習得にも挑戦してもらわなければなりません。全国の大学で、リカレント教育(社会人の学び直し)を後押しする動きが広がっています。企業は、AIのスキルを修得する人材の確保の必要に迫られています。大学も社会や企業のニーズに応えるために、カリキュラムを整備しています。リカレント教育には、コストがかかります。コストが、この仕組みの弱みになっています。でも、発想を変えると違うステージが見えてきます。働けなくなった人に失業保険や年金を支払うより、政府がお金を出して職場で働いてもらったほうが社会保障費は減少します。働いてもらえば、失業保険金を払うこともなく、逆に税金が国庫に入ります。これからのリカレント教育の進め方は、高齢者が、体力が落ちても仕事へのモチベーションを維持していくための思考法などを重点的に支援することになるかもしれません。




認知症の幸せな生活をデザインする。  アイデア広場 その 519

2019-11-26 17:08:24 | 日記


 不幸にも、58歳でアルツハイマー認知症と診断された女性がいました。この女性は、スコットランドの方でした。彼女は介護施設に入らず、自立して生きることを選びました。驚くべきことですが、彼女はアルツハイマー病をわずらいながらも、ユーモアやアイデアの溢れる本を出版したのです。スコットランドの認知症患者の事情は、世界でもっとも恵まれている国のようです。この国は、アルツハイマー型認知症の当事者が自立できるように、支援するツールをたくさん用意してありました。彼女にとって、イギリス全土を回って公演をすることが生きる原動力になっています。
 そこで、最近の認知症の実情について考えてみました。認知症の患者が増加するとともに、その実情も明らかになってきています。認知症になっても、すぐに重症化するわけではなく、治療や支援によっては、症状を遅らせることができることもわかってきました。そんな中で、認知症の症状があまり進行しない人に注目が集まっています。彼らの特徴を簡単に言うと、明るく、出歩いて、おしゃべりする人だということです。今までは、認知症の予防に特によいとされているものが、有酸素運動でした。アルツハイマー型認知症は、海馬が萎縮することによって病状が進行します。海馬を元気にするような生活を送ることが、健康な脳を保つ秘訣になるわけです。もちろん、認知症予防の中で運動は最も有効性が高いことは変わりません。そのためには、運動の次に頭を鍛えることやバランスのよい食事があげられます。家の中やじっとしているのではなく、用事がなくても独りでスーパーや公園に行く習慣を作りたいものです。独りでスーパーなどに行って、誰かと喋ることは、認知症の病状を抑える働きをするわけです。スーパーに行くことは、有酸素運動である歩くことにつながります。話すことは、脳を使うことになるわけです。
 認知症の方を支援するツールも、いろいろ出てきています。その中で、スマホは強力な支援ツールになりつつあります。初めて行く場所でも、スマホのナビを道案内に活用できます。家族の方も、どこにいるかを知ることができます。友達との飲み会も、店の名前さえ聞くことができれば、スマホを使って行けます。健常者が習慣的に行ってきたスマホの使い方を、認知症当事者に役立つようなマニュアルの作成が求められる時期のようです。スマホには、その潜在的可能性があります。いくつかのビジネスが、認知症の方の分野に入り込んできています。認知症の人向けのツアー会社は、海外旅行、山歩きに出かける手伝いをしています。症状が軽い場合、国内外旅行や冒険旅行を手掛ける業者も出てきています。
 もっとも、健常者とは違う対応が求められます。発語が困難な人もおり、普通なら5分で済むことが、1時の聞き取りが必要になる場合もあります。彼らの中には、5分しか記憶を保持できない人もいます。5分しか記憶を保持できないので、話の内容がメビウスの輪のように繰り返されることもでてきます。身体的な衰えも出てきます。「最近、エスカレーターに乗れなくなった」という方もいます。「動いているものに飛び乗るのはすごく怖いんだ」という理由です。階段の上り下りも、どこに足を置いていいのかわからず、手すりがないと上ることができない方もでてきます。これらの状況を把握し、状況に合わせた支援が必要になります。
 障害が増えても、その人が持つ豊かな感情は、健常者と同じように変わりません。人間の本質というのは、健常者でも障碍者でも変わらないようです。できないことにいつまでもこだわるのではなく、できることを大切にする姿勢が求められます。嫌なことは、認知症になっても嫌なのです。失敗しても怒られない環境が、認知症の人には必要になります。低下した機能を補い、本人が嫌がることを避ければ、介護する人もはるかに楽になります。
 記憶が保持できないといった機能の低下には、程度の差があります。認知症と接している方の中には、優れた発想を持つ人がいます。症状の軽度な方は、自分の思いや感情を少しですが表現できます。この症状の軽度な方に話を聞けば、重度の方の思いを推測できるというのです。確かに、この手法を使って重度の方の思い追及することが可能になりました。事例も増えてきています。その結果、認知症でも自尊心、怒り、虚栄心、喜び、嫉妬といった人間の根源的な部分は、変わらないことが明らかになってきたわけです。社会とつながり、人と繋がりがりがあれば、認知症になっても生き生きと暮らせるのです。彼らの行動を奪わないことが気持ちを安定させ、症状の進行を遅らせることも明らかになってきています。病状が進行しないためには、社会とつながることの大切だということが明白になりつつあります。
 最後になりますが、できることを大切にすることが元気な認知症の当事者に共通することのようです。とすれば、このできることをできるだけ長く使えることを工夫することになります。軽度の症状をもつ当事者は、仕事のやり方を忘れるので、手順をノートに書いて、それを見ながら仕事をしています。指示を受けたことをメモして、忘れないようにする当事者もいます。さらに、スマホで音声を聞き取り、それをメモ代わりにする兵も出てきています。このような工夫は、若いうちから訓練しておけば、認知症になっても症状の進行を遅らせる意味で有効です。幸せな認知症の生活を過ごしたいのであれば、若いうちから訓練と工夫が必要のようです。




幸福の中で生活をする  スモールアイデア NO344

2019-11-23 23:28:16 | 日記


 今年は、雨風により川の氾濫が相次ぎました。堤防の近くの家が、被害にあう映像がテレビを通じて流れていました。被害を受けた地域の復興も、大きな課題になっています。水道や道路橋など老巧化したインフラの補修も多額の費用を要します。疲弊している地方の市町村では、無限の補修は難しくなっています。ある市では、5万人の市民が、1㎞の範囲に住んでいます。水害の起きにくい適度な高さの平地になっているそうです。平坦で歩きやすい街が、高齢者を健康にしています。82歳の女性が、週1~2回、自宅からスーパーまでの1.5kmを40分かけて歩いていけます。日常生活で歩く環境が整っており、自然と外出し、住民同士の交流がスムーズにいっているのです。お金をかけずに楽しめる場所があれば、気晴らしの場にもなります。自然と健康になり、気晴らしもできれば、シンプルな幸福をもたらすように思えます。
 そこで、幸福とはどんな状態なのか、幸福に過ごすにはどうすればよいのかを考えてみました。科学の進歩が速く、「幸福」だと診断できる測定器ができたのです。人体の無意識の微小な「ゆらぎ」は、その人の幸福感と密接な関係があることは経験的知られていました。緊張し体の硬直した状態の反対を連想すれば、幸福感の状況が分かりやすいと思います。ゆらぎを測定する測定器は、日立製作所が開発したものです。この幸福感計測技術を使えば、幸福の実証的な数字が出てきます。この技術をスマホと連動させて、どんな場面で幸福感が高まるかを計測できるようにしたいものです。
 幸せがどんなものかを、知ること必要になります。経済的には豊かさを増したにもかかわらず、幸福ではないという人びとも増えています。幸福は、必ずしも財産がたくさんあるとか、地位が高いとかではないようです。でも、幸せを維持するためには、経済的裏付けが不可欠のようでもあります。適度のお金は、必要になります。快適な状態が長く続くことが、幸せを構成する一つの要素になるようです。ある意味で、幸せは悩みのないこと、感情の穏やかなこと、自然の摂理にかなった状態ともいえるようです。
 余談ですが、相対仮説というものがあります。相対仮説によると、他人と自分を比較して他人より優位な状況にあれば幸福と感じます。反対に、自分が劣位にあれば、不幸を感じるというものです。他人との比較をするから、自分の劣位が気になるという心理状態です。この考えを逆にすれば、他人と比較しなければ身の丈に合った生き方ができるわけです。こんな境地になれれば、相対仮説を脱却できることができるかもしれません。
 豊かな現代では、楽しさや幸福は個人的なものになってきています。何が快適で、何が幸せかを自分自身で確認しておくことが重要になります。確認するためには、快や不快を体験しておくことも必要です。快や不快の経験の中から、自分に適した快や幸せを選択する能力を高めるわけです。自分に取っての幸せが分かれば、その幸せの近くで働き、生活する仕組みを作れば良いことになります。幸福は、小さな感動や喜びが少しずつ積み重なって形成されていきます。
 現在は、人生100年の時代に入りました。自分は幸福だと感じている人は、仕事の生産性が31%高く、創造性は3倍にもなるそうです。幸福感の高い職場は、生産性や創造性が高くなります。同じように幸福感の高い地域は、文化の質が高くなりや創造性の豊かな地域になります。幸せな人たちが、1㎞四方の中に一定の地域に住むことになれば、住みやすい発想が次々に出てくるかもしれません。楽しさや幸福を上手に実現するためには、計画性も大切です。快適な状態を長期間にわたって継続させる仕組み作りは、種を蒔く時期も必要です。水害に襲われれば、幸せではない状態になります。であれば、安全な高台に生活の場所を設けるようになります。他の人が水害にあえば、心ある人は心を痛むものです。であれば、一緒に、高台に住めるように工夫することになります。
 水害や津波の記録は、古文書にあるものです。故人の知恵には、合理性があります。最近水害や津波で被害を受けた場所は、昔の人々が避けていた所で多くが起きています。川から適度に離れた高台には、水が押し寄せません。でも、川の景色がよく見える川岸は、危険な場所に様変わりします。幸福は、華々しいものでも晴れがましいちのでもないようです。でも、日常生活に不安がなく、歩く環境が整っていたり、健康の増進を促したり、自然と外出をする気持ちにしたり、住民同士の交流がスムーズにいく仕掛けができている地域は、幸せを用意してくれます。自然に健康になり、気晴らしもでき、そして災害のリスクが回避できる環境で過ごせれば、幸福が近づいてくるようです。


自然の猛威に強い街づくり  アイデア広場 その518

2019-11-22 21:50:39 | 日記

 日本列島を直撃した台風15号と19号は、日本列島に大きな被害をもたらしました。特に、停電により携帯電話やスマホが使えなくなった地域が1都14県に及びました。携帯の
基地局は、最大瞬間風速40mに耐えることが求められます。台風15号では、約60mの強風が吹き、通信ケーブルを取り付けた電柱や基地局が倒れました。ドコモ、KDDI、ソフトバンクの合計で、2000局強の基地局が停止したのです。
 通信大手各社は、自治体の庁舎庁など重要な拠点の基地局には自家発電装置を設置し、災害に備えていました。でも、周辺の基地局では、24時間以上持つ蓄電池を備えた基地局が少なかったのです。大手3社は、それぞれ10~20万の基地局を抱えています。でも、わずか数時間の利用で切れる蓄電池の設備で対応していたようです。これが、通信障害を長引かせた理由のようです。通信障害だけでなく、水の被害も深刻な事態をもたらしました。福島県郡山市にある日立やパナソニックの工場では、電子回路の基板用材料を生産する設備に浸水したため、操業を停止に追い込まれました。操業再開に2カ月近くかかり、サプライチェーンに影響が出ています。「雨にも負けず、風にも負けず・・・」という詩がありますが、最近のインフラは雨や風に負けてしまうこともあるようです。
 一般家庭の水害も、甚大でした。被害を受ければ、すぐに元の状態にしたいと思うことが人情です。でも、すぐに元通りにすることができない事情もあります。建設関係の労働者が、減っているのです。2025年度の建設技能労働者は216万人になり、2014年度に比べて37%も減る見通しになっています。建設業は働き手が減るペースが速いために、外国労働者を確保する動きが活発になっています。ただ、やって来る労働者を雇うだけでは、良い建物や建築物はできないようです。それなりのスキルが求められているわけです。災害地に建設関係の労働者を派遣するほどの余裕は、現在の日本にはないといえます。建築資材を現地に運ぶことも、スムーズにいかない事情もあります。ここ数年、ドライバー不足は深刻になってきています。物流経費が、3割近く上昇しているのです。建築の分野では、需要があるからと言って、すぐに供給が行われる状況にはないといえます。もし、供給能力を上回る需要が起きれば、建築資材の高騰や人件費の高騰を招く結果になります。
 そこで、地球温暖化が進み、自然の驚異が高まる中においても、災害に強い街づくりを考えてみました。南北5km、東西4kmの町があり、ここに住む人は人口密度がバランスよく配置されています。南北5㎞、東西4㎞の町に平均的に水道管や電線が設置されており、その維持費は多くかかっています。地盤の弱いところに水道管があれば、破損する割合が高くなります。災害の時に補修なのどの費用も高くなります。もし、南北5㎞東西4㎞の町で、南北1㎞東西1㎞の範囲に人々が住むようになれば、残りの19㎢の水道敷設や電気通信網のインフラは最小限で済みます。この人々が集中的に住む1㎢の場所のインフラを強固にすれば、雨対策や風対策に備えやすくなります。通信大手各社は、従来通り自治体の庁舎庁など重要な拠点の基地局に、耐用性のある自家発電装置を設置すればよいことになります。人の住まない19㎢の地域のインフラ整備の費用は、軽減されます。その軽減された費用を、中心部のインフラ強化に使うことができます。
 もちろん、「俺は広い土地で暮らしたい」という方もいます。その方は大変でも分散系の電源や水源を利用していただく仕組みを使うことになります。中央アジアの内モンゴルは、大型発電や送電線からの電力供給を受けていません。この地域は、分散型電源の小型風力発電と太陽光発電を選択しています。1軒屋で暮らしたい方は、自家発電や井戸水で生活する仕組みを導入していただくことになります。もちろん、自治体は太陽光や蓄電池などの補助を行うことになります。道路のインフラは、自分たちで行うことになります。長野県のある事例では、村は道路工事の資材を提供し、村人は労力を無償で提供するという仕組みを採用しています。村道や農道の経費は、公共事業で行う場合に比較して、5分の1で済んでしまいました。物流の中心は、人口密度の高い1㎢の範囲になります。19㎢の地域は、物資の流通は減少します。道路の強度は高くする必要はなく、村道や農道レベルで十分になります。昔の富山県の農村風景を思い出せば、一つのイメージが出てくるかもしれません。
 余談ですが、人口密度の低くなった土地の利用法を考えてみました。秋田県羽後町は、ソバ処で有名になりつつあります。羽後町そば栽培研会を前身とする「そば研」は、612軒の農家からソバ栽培を受託しています。会員の農家も40倍の612軒に増えました。そば研の栽培面積は、1998年の100倍に相当する318haに拡大しています。2018年12月期の販売高は、1億4300万円になったのです。国内のソバ需要は、年間13万トン程度です。13万トンのうち、4分の3は輸入になっています。国産そば粉を求めるそば好きは多いのです。国産化が進めば、そのそばを求める需要は確実に増加します。町の中心部に人々を集めれば、周辺部の土地利用が課題になります。地元ブランドを余った土地を使って育てることも面白いかもしれません。政府は、山村部の土地の境界を決めやすくする新しい手法を導入するようです。航空写真やレーザーで境界状況を把握し、現地で立ち会わなくても自治体と所有の間で境界を画定できようにする案ができるようです。広い土地利用が、実現できます。そして、便利で素早い土地利用が、可能になるかもしれません。



中国の行動規範を変える工夫  スモールアイデアNO343

2019-11-21 22:35:16 | 日記


 アメリカは、1913年にすでに工業生産でイギリスを抜いていました。その後、アメリカは世界の覇権を握りつつけてきました。2010年中国は、工業生産でアメリカを抜きましたが、これは歴史的転換点になるかどうか話題になりました。GDPで、中国がアメリカを抜けるかが問題ではなく、いつ抜くかの問題といわれたものです。中国経済がアメリカを抜くことは、自明のこととして語られていたのです。中国がGDPで世界一なったとき、軍事費の支出でも世界一になるとも言われていました。10年前の2010年ごろは、このような論調が述べられていました。
 アメリカ政府は、複数の中国企業の製品を政府調遠から閉め出しました。取引先の企業に、厳しいサプライチェーン管理を求めるようになったのです。推奨リストや利用すべきでない機器の「非推奨リスト」も、現れています。2020年8月からは、これらの製品を使う企業との取引も打ち切る予定になっています。国防総省や他のアメリカ政府機関は、推奨リストの提言の基準に準拠した企業のみを取引先にしていくようです。2018年オーストラリア政府は、ケーブルの工事でファーウェイ製の機器を排除しています。アメリカ製か中国製かの棲み分けが、強いられるようになりつつあります。
 近年は、安全保障上の理由で国家が関与を強めています。外部の企業から購入した電子機器の内部に、セキュリテイー問題が潜んでいることがあります。電子機器の弱い部分を介して、侵入が計られることが多いのです。巧妙なサイバー攻撃を水際で完全に止めることは無理だというわけです。電子機器類の調達元や業務委託先など、取引関係にある企業の同時対策が求められます。アメリカのNASAは、携帯にトラップドア仕掛け情報を集めていました。中国が、それをすることをアメリカは警戒しているようです。アメリカの同盟国は、中国製の電子製品の不買を推し進めるようになります。日本の防衛省は、入札企業に対して、サイバー防衛策の厳格化を求め始めています。これも、アメリカとの同盟がなせるわざといえるようです。
 アメリカは、同盟国の盗聴もしています。偽情報をあたかも本当のように流しながら、他国を攻撃することも行います。さらに、血を流した同盟の組織を平気で裏切ることを行っています。でも、中国もまたこれらの行為と類似した行動を取るようになり始めました。アメリカのプロバスケットボール協会の幹部が、香港の抗議デモを支持するツイッターに投稿し増した。NBAのツイッターに中国政府は反発し、NB A(北米で展開する男子プロバスケットボールリーグ)の試合放映を一部中止すると発表したのです。中国政府は、香港問題について外国人が意見を述べることは内政干渉にあたるとしています。NB Aは事態の沈静化を図ろうと早々と投稿を削除した。アップルは、香港のデモ参加者を取り締まる警察の位置情報を発信していました。アップルは、なぜかこのアプリの配信を停止したのです。中国は、アップルにとって売上高では世界3位の市場なのです。その市場の利益が、中国政府によって減少させられることを恐れたとも言われています。
 中国は、アフリカ諸国の「国内問題には干渉しない」という約束をしています。でも、外国人が中国政府にとって気に入らない意見を表明した際は、介入する権利があると考えています。中国政府は、国内における言論を検閲してきました。その統制を、世界に広げつつあるようです。統制の対象は、外資系企業、国際的メディア、西側諸国の大学の講義や研究活動にまで及ぶようになってきました。途上国の政府や企業は、中国を怒らせないよう気をつけざるを得なくなっています。アメリカのホテル大手やユナイテッドは、台湾を国家と表記をしたことを削除しています。中国政府の圧力に屈した外国企業は、少なくありません。今は巨大な中国市場を前に、西側企業は中国政府を怒らせないように神経を尖らせるのです。中国が内政干渉だとする範囲は、中国の近現代史、イスラム教徒などの人権、南シナ海と東シナ海の中国の領有権と急速に広がりつつあります。監視の対象は、外国政府の様々な声明や政策にまで及びつつあるのです。20年前なら、中国政府がかけてくる圧力を一蹴できました。現在は、中国の圧力に対抗出来る国は少なくなってきています。
 一方、中国にも逆風が吹いています。アメリカの貿易摩擦で、中国経済が変調をきたしているのです。その現れが、中国に輸出された製品が、港で山積みされているのです。工業生産が低下し、消費が落ち込んでいます。経済のバロメーターと言われる「銅」の需要も減退しています。上海市内にある家電販売総額は、マイナスが続いています。採算を度外視した格安セールが、頻繁に開かれています。でも、格安セールを頻繁に開くことは、需要の先食いとなります。欲しいものは独身の日に買うので、格安セールで無理に買い物をしないとの声も出てきています。今までの、中国では考えられないことです。
 中国政府の圧力に対する西側諸国の企業や大学の対応は、ほとんどが場当たり的です。この圧力が続けば、西側諸国が大事に育ててきた自由がいとも簡単に失われてしまいます。
西側各国も中国に対し、言論の自由を制限しようとする動きには毅然とした態度を取る時期に来たようです。経済的圧力をある程度受け流しながら、西側諸国の基本原則を作ることが求められています。中国に対する組組織行動の基本原則を作ろうという試みが必要になってきたわけです。
 1つの試みは、アフリカで対等な企業活動の実践を行うことでしょうか。各国の企業活動の良さを、見せていくことになります。アフリカは、後発の優位性を生かして発展しています。現在12億人の大陸の人口は、2050年までに24億人に倍増すると推定されています。固定電話の整備が遅れていたために、携帯電話が爆発的に普及しました。ケニアのモバイル送金事業「エムぺサ」は、携帯で街中にある代理店をATMのように使えます。アフリカは銀行支店の整備を飛び越え、モバル金融へと突き進んでいます。アフリカには、中国はもちろんインド、韓国、EU、日本などの企業が進出してきます。この競合の中で、各国の良さを演出していくわけです。もし、今の姿勢を貫けば、中国の独断専行が浮き彫りになります。アフリカの経済活動の中で、世界標準の考えや行動様式を中国に理解してもらう場にしたいものです。

宗教弾圧・宗教の潜在力・宗教の偏向性  アイデア三題噺287

2019-11-20 22:09:19 | 日記

 アメリカは、中国が経済発展に伴って民主化するという楽観的な見方を持っていました。この楽観的見方は、この50年間で変わりつつあります。見方を変えた一つの要因が、宗教政策です。中国には、1千万人以上のカトリック教徒がいます。中国のカトリック教徒は、政府系とバチカン系に別れて宗教活動をしています。このバチカン系の人々が、陰に陽に中国当局の圧力を受けていることが明らかになってきました。中国の宗教弾圧は改善どころか、悪化の一途をたどっていると認識する人びとが増えてきたのです。宗教の自由を認めない中国共産党を、糾弾する風潮が強まっているのです。
 中世から近代、近代から現代へと進むにつれて、宗教が役割は衰えてきました。宗教の政治や経済に及ぼす影響は、徐々に低下してきたという流れがあります。プロテスタントが多いドイツやイギリス、北欧などの地域では教会離れが顕著です。移民の流入に悩むこれらの地域では、ムスリムが増加しています。皮肉なことですが、10分の1税が入らなくなったプロテスタントの教会は、維持できなくなりました。その維持できなくなった教会が、ムスリムの礼拝施設であるモスクになっているのです。ビザンチン時代にソフィア大聖堂と呼ばれた教会が、オスマントルコ時代において、一級のモスクとして利用されていたことを思い出します。宗教を信仰する人々は、普段の生活で節制しており、基本的には生活が乱れません。年をとっても、自分の生き方を見出せる人は幸せです。難を言えば、信仰に熱心な人ほど自分の信仰は尊いと考え、他の宗教の価値を認めない傾向が出てくることでしょうか。
 そんな姿を、韓国とアメリカに見ることがあります。そこで、この二つの国のキリスト教の特徴を見てみました。韓国のキリスト教は、朝鮮王朝の末期以来、教育や医療の分野で近代化を主導してきました。プロテスタント教会は、韓国の近代化と重ね合わせてポジテイブなイメージで成長してきた経緯があります。韓国の人口は約4700万人で、その1380万人(約3割弱)がキリスト教の信者です。韓国では、毎月の収入の1割を献金する熱心な信者が少なくないのです。収入の10分の1を神に捧げることは、聖書の教えに基づくものです。
 韓国の歴代大統領の半数ほどが、キリスト教の信者です。現在の文在寅大統領も、カトリック教徒です。元大統領の金大中はカトリックであり、李明博や金泳三、そして李承晩はプロテスタントになります。経済成長とともに、韓国の教会は豊かになりました。教会は、世俗の勢力拡大に力を注ぐようになったのです。特に、プロテスタントはその傾向が強く現れました。プロテスタント教会は大きくなると牧師は経済的に恵まれた状態になるので、希望者が多くなりました。近年、韓国のプロテスタント教会は聖職者を無計画に養成したために、能力のない牧師が増加するという弊害も見られます。プロテスタントの大型教会に対する批判は、蓄財や賛沢な暮らし、そして世襲にあります。プロテスタント教会の多くは、外部に対して収支を公表していません。公表しなければ、調べたくなるのが人情です。あるプロテスタントの大型教会を調べたところ、予算が45億円もあったということです。
 ヨーロッパでは今、キリスト教徒の教会離れがかなり深刻な形で進んでいます。似た状況が、韓国のプロテスタントに見られます。1990年代になり、プロテスタント教会はマイナス成長になりましたが、カトリックは増えています。この点は、ヨーロッパと似た状況があります。カトリック教会は、2005年から収支を公表するようになりました。韓国のカトリック信者は増加しており、それに比例して聖職者も増えています。韓国のカトリック教会の聖職者はローマ教皇庁の影響下にあります。聖職者の教育が行き届いているのかもしれません。韓国では、カトリックとプロテスタントは厳密に区別されています。現在、プロテスタント教会は過去の栄光に反して社会的信頼が失墜しているように見えます。このプロテスタントとカトリックの信者たちが、韓国では一定の政治勢力になっているのです。
 話は飛びますが、トルコ当局がアメリカ人牧師を拘束した事件がありました。トルコに拘束された牧師は、キリスト教プロテスタントの長老派の聖職者でした。牧師の拘束に対して、トランプ米大統領は2018年8月にトルコへの経済制裁を発動したのです。この経済制裁で、トルコ通貨は大暴落しました。トルコ当局が10月に牧師を解放した後、通貨は回復し、以前の経済状況を取り戻したという流れでした。この牧師の釈放は、アメリカ中間選挙を前にトランプ氏の支持基盤を固める働きをしました。トランプ大統領は、キリスト教プロテスタントの長老派なのです。 
 長老派は、選民意識を持っています。選民意識を持つ人は非難をされても、打たれ続けても、信念に向かって一途に進み続ける傾向があます。彼らは、自然が破壊され生物が地上から消えていくことに、それほど哀惜(あいせき)の念を持ちません。地球温暖化や進化論をあまり信じていないという面もあるようです。トランプ大統領が温暖化論争に対して、関心が低い理由もこの辺にあるのかもしれません。選民意識を持つ人は、神に救われる人と滅びる人が生まれる前から決められていると信じています。彼らは、自分が正しいと思ったら、決して怯むことはありません。宗教の力は、衰えてきたと考えられてきました。でも、一神教の世界では、まだまだ力を温存しているようです。日本に住むキリスト教徒が人口の2%という数字は、世界的に見ると圧倒的に低い数字です。さらに、イスラム教徒に至っては、0.01%以下の10万人未満という数字になっています。政教分離の中で教育されてきた日本人には、まだまだ知られていない宗教の世界があるのかもしれません。


プラットフォームとブランドメーカーの相克  アイデア広場 517

2019-11-19 23:40:42 | 日記


 シューズメーカーの大手ナイキは、アマゾンの直営サイトを通じた自社製品の販売を打ち切ることを明らかにしました。アメリカのアマゾンの直営店が取り扱うナイキブランドは、衣料品が1000点程度になります。でも、ナイキ直営以外第三者による出品は、アマゾン全体では2万点以上になるのです。この中には、ナイキブランドのものもありますが、模造品も混在しているのです。アマゾンの仮想商店街には、正規品と模造品が混じって流通しているわけです。ナイキがアマゾンの仮想商店街に進出した理由は、ここに出店をすることで、模造品の一掃を意図していたと言われています。この一掃に、アマゾンが力を注ぐと期待したわけです。結果として、アマゾンの直営サイトを通じた正規品の販売でも状況は改善しませんでした。今後、ナイキのようにアマゾンから離脱する有名ブランド企業が、増えるだろうという観測も、アメリカでは上がっています。
 アマゾンは、アメリカでも日本でも圧倒的な流通物流基盤を築いてきました。この企業を利用する場合、8~15%程度の販売手数料が必要になります。さらに、消費者の声を進出メーカーには提供せずに、アマゾンが自由に使う権利を持っています。ブランド企業では、多様化する消費者の声を拾いきれないといった不満もでているのです。アマゾンのようなプラットフォームは、儲けがあるうちは、デザインを変更しようとはしません。このようなシステムに対して、一部のブランド企業は不満を持っているわけです。
 これらの不満を持つ企業の中には、ネット直販で中間業者を省き、質の高い商品を低価格で堤供し、消費者の支持を獲得しようという動きが出始めています。ナイキが、その企業の走りという言うこともできます。ブランド商品を求めるコアな顧客層に最新モデルを、提供する試みを行っているのです。直接的に消費者との関係を深めたほうが、プラットフォームへの手数料も省け、消費者により良いものを低価格で提供できるという考えです。もし、このシステムが主流になると、アマゾンなどのプラットフォームは素通りされることになります。もしそうなれば、販売手数料もコアな情報も入らない事態になります。
 いくつかの分野で、このような動きが始まっています。々月7500円を支払うと月2回、1㍑のビールが2本届いて、専用サーバーを楽しめる趣向が始まっています。ビールの申し込みは自社サイトに限定し、大手通販サイトでは買えない仕組みを作っているビール会社も出てきました。新鮮なたる詰めビールを、工場から消費者宅に直送するサービスに力を入れているのです。化粧品メーカーでも、プラットフォームを通さずに、販売を行う企業が出てきています。資生堂は、その日の肌の状態や天候に合う化粧液を自宅で調合できるサービスを始めました。消費者の自宅には、5種類の化粧液の原料が入った専用マシンが届くのです。スマホで行う測定と掛け合わせから、8万通りの配合パターンから最適なスキンケア化粧品を提供すサービスです。従来のプラットフォームでは、とてもできない高度なスキルを要求されるものです。模造品や模倣ができないサービスを、ブランド企業が行うことに特徴があります。食品や化粧品企業が、プラットフォームのネット通販サイトを介さずに消費者に直接向き合う動きを強めているわけです。
 余談ですが、情報検索のプラットフォームにおいても異変が起きています。若者を中心にネット検索の世界で、「グーグルや百度や離れ」がじわり進んでいるのです。検索エンジンの利用数でグーグルが前年同期比8%も減っています。これらのプラットフォームは、ビックデータやAIを使いながら、個人の購買行動を熟知するようになりました。検索を繰り返すうちに内容の選別が進み、自分好みの情報しか出てこなくなる不具合が出てきています。好みと異質のバランスが、検索には必要です。グーグルや百度の検索エンジンは、本来の役割を損なうとデメリットが指摘されるようになったのです。一方、新興の検索丁エンジンとして注目される米ダックダックゴーは49%も伸びています。
 プラットフォームの武器は、多様な商品群と集客力になります。この集客力が弱まれば、プラットフォームとしての地位がゆらぐ恐れがでてきます。このサイト大手に不都合な真実が出てきています。中国の事例です。上海の有名大学病院と似た名前の病院が、百度の検索上位に表示されました。この病院は、上位の検索結果に食い込むために、多く費用が百度に支払われていたとされています。この病院で患者が受診し、不要な治療を受ける事件が相次いだといわれています。プラットフォームの検索結果の作為的な順位づけや広告の多さに、嫌気が差す人が増えているのです。中国においても、百度の独走に待ったをかけるバイトダンスの検索エンジンを使う人も増えています。
 アマゾンのネット販売は、非常に便利です。でも、このプラットフォームは、1年間に購入した合計金額を簡単に出す事ができません。合計金額が簡単に出ない仕組みは、アマゾンの意図的なデザインの結果なのです。I T技術は、進化しています。70年以上の人生を、全て記録できる時代になっています。ライフログの技術を使えば、自分の行動と購買金額をリスト化することが容易です。自分の好きな行動と購買金額の多い順に、事例を並べることが可能です。そこで、身の丈にあった購買行動が理解できるわけです。アマゾンの仕掛けは、その理解ができにくい仕組みになっているのです。
 プラットフォームの利用者も、徐々に気づき始めています。ブランド企業も、プラットフォームの利用を制限する動きが出てきました。危機が迫れば、解決策を出すことになります。素通りへの懸念を強めるアマゾンジャパンや楽天は、対策に走ることになります。これらの企業は、仮想商店街の付加価値を向上させようと工夫を始めました。アマゾンは、倉庫に商品を預けるだけで、海外に販売できるサービスを行っています。通関手続きや販売金の回収などは、プラットフォームが引き受ける仕組みです。ブランド企業が出品さえすれば、顧客獲得や物流を担ってくれる便利な流れです。物流や海外販売など付加価値を高め、現在維持しているプラットフォームの地位を死守しようとしているわけです。消費者は、プラットフォームの便利さとブランド商品をいつでも適正価格で取得できる環境を享受したいものです。


教育にオンラインゲームを導入する是非  アイデア広場 その516

2019-11-18 07:29:08 | 日記


 家庭用やスマホ、そしてパソコン向けを合わせたゲーム産業の規模は、1400億ドル(15兆円)になろうとしています。動画配信と映画、DVDの合計が970億ドルで、CDと音楽配信の合計が200億ドルです。映画や音楽よりはるかに大きな産業になっています。ゲームをする人の数は、22億人と世界人口の3割占めるまでになりました。高速通信規格5Gの普及を背景に、世界のゲーム人口は今後10年で倍増するとの見方が有力です。今後10年で、ゲーム人口は40億人に倍増する可能性もあるのです。
 ゲームの成長力を取り込もうと、異業種がゲームに触手を伸ばす動きが広がってきました。ゲーム分野のクラウド技術で他社に先行すれば、世界中のソフト会社がクラウドの顧客になることになります。クララウドゲームは、操作にかかわる計算処理を端末機器ではではなくデータセンターが担っています。クラウドの大手のマイクロソフトは、ゲーム専用機での実績やそのノウハウを持っています。もちろん、5 G時代のゲームの競争は、クラウドの巨人であるアマゾンも加わる可能性があります。これからのゲームの競争は、クラウドの覇権に直結することになります。
 一方で、オンラインゲームの負の要素も明らかになってきました。子ども達のゲーム依存者の増加は、世界的に深刻な問題になりつつあるのです。文科省の全国学力テストの分析によると、ゲームの時間が長い子どもほど平均正答率が低くなる傾向があります。中国政府がゲーム規制を強めている理由は、子どもへの悪影響です。世界保健機関(WHO)は、ゲーム依存を精神疾患と位置づけました。負の要素が強調される限り、ゲーム産業は飛躍的な発展が抵抗にあいます。ゲームの良い点を、見つけることが急務になっているようです。ゲームといっても、何でも悪かったり良かったりするわけではないことが明らかになってきました。
 学力の観点から、小学校の教育内容を見てみました。小学校の学習指導要領には、「確かな学力」という項目があります。そこには、基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させることが明記されています。例えば、第2学年では, 千の整数について習得することなどです。第3学年では、万の単位について知ることが記されています。図形では、二等辺三角形,正三角形などについて理解し,作図などができるようにすることになっています。これらの基礎的・基本的な知識及び技能を活用して、課題を解決する能力が求められています。ゲームをし過ぎる子供は、これらの基礎的なことが身についていないといわれるわけです。
 確かに、ボタンを押すだけの頭を使わない課金ゲームは、熱心に行っても学力はつかないようです。でも、良いゲームには、小学校で獲得した知識や技能を活用しながら、問題を解決していく力を訓練するす要素が含まれているのです。これらのゲームには、計画、行動、評価、改善という流れがあり、脳を多面的に使うステージが設定されています。ステージが進むと、考えるだけではクリアできず、試行錯誤を求められる質の高いゲームもあるのです。さらに、試行錯誤を繰り返さないとクリアできないステージも設けられています。これらのゲームは、子ども達に考える力を付けます。計画、行動、評価、改善という実践能力は、成長しても必ず生活やビジネスに役立つものになります。
 ゆとり教育全盛期は、記憶中心の学習が悪いものとされてきたきらいがあります。でも、記憶中心の教育が悪いのではなく、記憶したものを応用しない教育に問題があったのです。皮肉なことですが、日本がゆとり教育に入ったころから、世界の先進国は記憶中心の教育に入っていきました。そして、日本に追いつく教育制度を構築しつつあります。悪かったのは詰め込みではなく、詰め込みをした後の知識の使い方を教えなかったことに問題があったのです。ゲームでできるとこととできないところが分かってきました。良いゲームには論理的に考え、課題を克服していく能力が高められる面を持っています。でも、学力テストで計られる記憶中心の力はつきません。良いゲームを行うことが条件として、一定の記憶力を高める学習が前提条件になります。ゲームをやりながら、成功している人たちがいます。ゲーマーだった外科医は、腹腔鏡手術の手際が良いともいわれています。ゲームで培った能力が、ビジネスにも応用できると言われるようになってきています。
 ゲームよっては、数についての感覚を豊かにするステージをたくさん提供してくれます。良いゲームは、子どもたちがなかなかできない体験を、疑似体験として経験してもらうことも可能です。ゲームが記憶力向上にはあまり役立たないことを押さえた上で、ゲームの思考を深める側面を利用することは理にかなっています。今までは、ゲームの魅力に振り回されてきた子供たちや大人が多くいたようです。ゲームの実態を、とらえることができなかったからです。今は、ライブログというツールがあります。ライブログは自分自身の行動や思考の結果、状態、体験などを画像や映像、文字情報などで記録したデジタルデータです。ゲームの時間、学習時間、音楽視聴記録などもスマホのアプリで視聴履歴を自動記録できます。ライブログは、自分の行動を改善するための物的証拠として使うことが可能になりました。このデータを活用しながら、ゲームと学習、そして仕事などをバランスよく行っていくことができる時代になっているのです。利用しても、損はないようです。



英語力を高めるツールと工夫  スモールアイデアNO 342

2019-11-16 18:38:07 | 日記

 英語の重要性が、強調されています。国際化の流れを受けて、英語を学ぶ若いビジネスパーソンも増えています。英語は、読む・聞く・書く・話すことの4つのスキルと高めることが求められます。この中で、話すことを苦手とする人が多いようです。もっとも、日本人の英語力は、「話す」だけでなく、読み、書き、聞くことも良くないのです。日本は、アメリカのNPOが主催する英語テストであるTOEFLでは、アジアの中で平均点数が最低なのです。日本人が英語を学習する場合、この4つのスキルをバランス良く勉強し、数多く英語に触れることが求められているようです。
 会社ぐるみで、英語力を向上させた企業があります。IT企業として有名な楽天は、会議で英語を話すことが普通になっています。この会社は、2010年に社内公用語の英語化を宣言しました。宣言当初は、2%だった楽天の外国籍社員率が今20%になっているのです。当初は社員の自主性に任せていたのですが、どうしても英語力が上がらない状況が続いたそうです。そこで、全社員の英語学習費用の全額を社負担とし、就業時間内に勉強できる仕組みを作りました。英語の必要性、具体的な目標、成長の実感、楽しさの4つの要素を組み合わせて、社員のモチベーションを高める支援しました。結果として、今の姿があります。
 勉強で大切な事は、理解と注意力になります。英語も理解して覚えるという作業が欠かせません。文章を読めて、書けて、聞くことが分かり、自分で話せるようになって、始めて理解したことになります。これを覚えて、いつでもアウトプットできるようにしておくわけです。英文は、単語を繋げていくだけや丸暗記だけでは十分ではありません。単語は文章の中で位置付けることによって、初めて覚えられるのです。英語で勝ち抜くためには細かい単語の暗記ではなく、文章で覚えた方が優位に立てます。情報をまとめすぎてしまうと、繋がりがわからなくなり、覚えられなくなることはよく経験します。英語の場合も、単語だけでは情報がまとまりすぎて、繋がりが分かりにくくなるのです。文法や英語特有の言い回しも、文章を覚えることによって、しっかり身につくことが経験則で分かっています。
 シュリーマンは、トロイの遺跡を発掘したことで有名です。彼は、また語学の天才としても知られています。シュリーマンは、丸暗記で外国語を効率的に修得しました。彼の場合、必要に迫られて外国語を習得しました。必要に迫られることは、学びを修得するために不可欠な要素になります。この修得が、容易にそして楽しくできれば、学びは興味深いものになるでしょう。容易に学ぶためには、自分のレベルに合った英語教材を選ぶことが大切になります。分かるレベルで、その中に新しい内容が少し含まれている教材が、望ましいものになります。必要に迫られて、分かるレベル以上の難しい教材を学習すれば、モチベーションが下がるデメリットに直面します。暗記するためには、自分の好きな文章を選ぶと容易に覚えることができます。これまでは、自分の好きな音読のできる英文を手に入れることが難しかったのです。でも、現在は自分の好きな英文を音読させるツールができて、いつでも手に入れる環境が整いつつあるのです。
 グーグル翻訳は、外国語を音声で読み上げてくれます。スマホに向かって話せば、瞬時にテキストの文字列に変換してくれる機能もあります。英語を音声で読み上げの機能は、勉強に使えます。いつでも、どこでもこの機能が使えるわけです。音声で読み上げ機能は、独学の強力なアシスタントとなります。楽天の会社で行っていた、「必要性」、「具体的な目標」、「成長の実感」、「楽しさ」の要素を、スマホはかなえるツールになります。余談ですが、中学校の英語を考えてみましょう。中学校では、中間考査や期末考査があります。期限が決められた定期テストは、子ども達のモチベーションに影響を与えます。心理学で言う「締め切り効果」は、勉強の効率を高めます。分かる基本的な文章を覚え、復習をします。復習は教科書だけでなく、問題集と一緒にやったほうが良いようです。スマホの機能と学校の定期テストを利用して、自分の英語能力の高まりを知ることも楽しいかもしれません。