ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

LPガスの配達を合理化する 「ふくしま」を少し良くするアイデア その38

2017-10-31 16:18:35 | 日記
 インドネシアの首都ジャカルタでは、LPガス(プロパンガス)が急速に普及し、市民の生活を豊かにしています。日本をすでにこの豊かさを享受してます。LPガスは、東日本大震災においても、避難所で活躍していました。電力や都市ガスは、災害により寸断され復旧までかなりの時間がかかりました。でも、LPガスは、都市ガスのエリアでも活用され重宝されていました。このガスボンベを各家庭に設置する仕事が、負担になりつつあります。いわゆる人手不足です。
 そこで、LPガスを各家庭に切らすことなく補充する方法を考えてみました。配達をする人が、少なくなっています。配達人の確保が、ボトルネックになっているようです。LPガスの小売価格の高止まりは、一部市場での供給を独占する企業の存在です。もう一つは、高い配送費用の障壁があります。今回は、この配送費用を軽減する方法を考えてみたわけです。1000戸に、LPガスを配送するノルマがあるとします。残量が少ないボンベを、適時交換することになります。
 京セラはあらゆるモノがネットにつなががるIoT専用の通信端末を開発しました。これをボンベのメーターに付けます。通信方式を使った端末に比べ、消費電力は10分の1以下で済むという優れものです。バッテリーも、最大5~10年持つため、外部給電が必要ありません。残量の少なくなったボンベを、センサーからネットを通じてパソコンに自動的知らせてきます。それらのデータにより、ボンベの交換を効率的に行えば、良いというわけです。LPガスを使用している家庭が、福島市には5万世帯以上あります。地域におけるボンベの配置状況とガスの残量の変化から、前日のうちに最適な配達計画を立て置くことができます。悪天候の場合は少なく、良好な天候の続く日は、少し多目に配達する工夫を柔軟にできるようになります。お天気情報なども充実しているので、楽しい配達ができるかもしれません。
 ごみ収集車の委託があるように、LPガス配送の委託ビジネスが成立します。配送は、条件にあった地域と設備を備えたところだけを引き受けます。配送車から直接、ボンベ交換ができる場所に限ります。その代り、配送料を通常の3分の2程度に割引ます。この業界でも、人手不足は忍び寄ってきています。ちょっとしたビジネスになるかもしれません。




尖閣諸島領海への侵入常態化について  その2  アイデア広場 番外

2017-10-31 16:05:22 | 日記
 今年に入り中国公船の領海侵入は、昨年に比べ増加するなど挑発行動は常態化しています。中国側の新しい試みも行われています。8月に200隻以上の漁船が、接続水域に押し寄せました。そこに中国の公船が領海侵入をするのです。漁船と公船がセットで領海侵入を続ける初の事例です。外務省幹部は「自国の領海で当局が漁船を取り締まるように見せ、領有権を強調したのだろう」と話しています。自衛隊機の中国軍機向けのスクランブルは昨年、前年比81%増の842回と最多を記録しました。尖閣国有化以降、中国は海と空から挑発を続けています。現時点において、中国は軍艦による行動は控えています。軍事的な衝突を望まないのは日本と同じのようです。外務省は、漁船や公船によ活動が既成事実にならないように抗議を続けています。
 そこで、どうしてこのような挑発行動が続くのか、その解決策はないのかを考えてみました。かなり前になりますが、1978年4月の100隻を越す中国漁船が日本の領海に侵入した事件がありました。日本に援助を求める鄧小平の改革開放政策は、保守派の反対行動にあっていたのです。保守派は、その意思表示として100隻の漁船を派遣したわけです。鄧小平は一段高い位置で、改革派と保守派のバランスを図る手法をとっていました。鄧小平が胡耀邦の後ろ盾になり進めた改革開放や党幹部の特権に対する挑戦は、保守派勢力の反発にあうという党内事情があったのです。  
 中国では、保守派と改革派が一致して、行動する条件がいくつかあります。例えば、尖閣列島の棚上げ論に対して、保守派も改革派も一致して行動していました。棚上げ論は、改革開放が始まる以前に、中国が日本の経済協力を引き出すまでの路線でした。円借款の新規供与が終了した(2008年)後は、保守派と改革派が別々の行動をとるようになりました。経済的利益が、一致した行動をもたらす条件になります。もう一つの例では、中曽根政権時代に起きた清国参拝の事件がありました。中曽根政権は、ソ連と対立する中国を経済協力や友好関係協力の強化で支援してきました。この頃中国は、ソ連の脅威に直面していた時代です。1985年頃には、中国とソ連の緊張関係が緩和する方向に動き出していたのです。中国とソ連の緊張関係がなくなるとともに、中国は中曽根首相の靖国参拝を批判するようになります。そして、中国共産党内の権力闘争が顕著になるのも1985年からです。中国が、ソ連を牽制するための日米安保や日本の自衛力を容認した時期は過ぎ去っていたのです。国内の権力闘争が激しくなると、日本を擁護する党内勢力は非難されるのです。
 中曽根と胡耀邦は個人的信頼関係で結びついていました。靖国参拝は、胡耀邦を政治的に窮地に追い込みます。党内保守派は、胡耀邦の対日政策を攻撃したのです。中日友好の指導者は、権力闘争で攻撃の対象になります。中国の政策は、国力の伸長とともに変化します。国力の充実とナショナリズムの高まりは、日本の実効支配をする地域に対する挑戦が、今後ますます強まっていくことになります。尖閣列島を巡る対立で、中国は引くことはありません。でも、利益と強力な武力の有無が、状況を早めたり遅くしたりする要因にはなるようです。

新興国の電気自動車開発へエールを!  アイデア広場 その253 

2017-10-30 20:20:19 | 日記
 

 電気自動車は、ガソリン車の3分の1程度の部品でできます。電気のみで走る自動車(EV)は、モーター、蓄電池、インバーターがあれば走るのです。新興国の自動車産業からは、EVでは高度な擦り合わせは不要になり、新規参入が容易になると考えているようです。アメリカのテスラや中国の比亜迪など、エンジン車の開発経験のない企業でもEV市上場の販売台数で上位に立っている現実があります。一方、中国では完成車向け部品供給を担う現地メーカーが台頭しています。でも、技術や品質面の課題も多いようです。10年単位で使用する電気自動車の関連部品は、性能面の要求が参入のハードルを高くしているのです。
 そこで、新興国が電気自動車で優位に立てる可能性があるかどうかについて考えてみました。今年に入り、中国政府がガソリン車やディーゼル車の製造販売の中止を検討しています。イギリスやフランスも内燃機関搭載車の販売を禁止する方針を打ち出しています。とは言え、欧州の内訳は、50%がハイブリッド車とPHV、15%がEVと燃料電池車、残りがガソリン車やデイーゼル車といった内燃機関のみで走る車を想定しているようです。蓄電池の給能力といった課題があるため、行きすぎたEVシフトは調整が必要になるというのが、専門家の意見です。でも、時代の流れは、確実に内燃機関から離れていくことになります。
 欧州では太陽光発電などの再生エネルギーが余る時代に入っており、EVシフトへのニーズは大きいものがあります。欧州はデイーゼル車による大気汚染の深刻さから、EVに置き換えたいのです。ガソリン車はその巻き添えを食っているようです。EVの最大市場である中国も、国内産業を育成しつつ、大気汚染を食い止めたいという思惑があります。2万台の電気自動車を急速充電器で1度に充電するには、50万キロワットの原子力発電所1基分の発電設備が必要になります。50万キロワット火力発電で賄おうとすれば、二酸化炭素排出量を減らせません。火力発電に依存したままなら、EV普及とエンジンの効率は環境面に対する悪影響は同程度のものになるのです。電気の供給の面からも、電気自動車の普及には調整が必要になるようです。
 EVシフトが進めば「車のコモディティ(汎用化)が進む」「従来の技術や部品が不要になる」という考えがあります。でも、現実はかなり厳しい障害があるようです。EVの電池とモーターは、過酷な高温の砂漠や極寒のシベリアにおいて自由に走れる仕様にすることが難しいのです。例えば、電気自動車の中核技術に、リチウムイオン電池があります。現在、いろいろ改良されて、性能は向上しています。この改良された電池でさえ、セ氏マイナス30度から100度までの幅広い環境で使える電池はできていないのです。先進国の自動車産業の競争力を支えてきたのは、新興国が模倣しにくい高度な擦り合わせの能力でした。電気自動車は部品が3分の1になっても、個々の部品の品質の高さを維持しながらすり合わせをすることになります。これを電気自動車に行うことは、技術の蓄積のある先進国でも困難です。新興国の一層の研究とキャッチアップを期待したいものです。

白菜が安いとき高いときの農家の対応  アイデア広場 その252  

2017-10-30 20:00:51 | 日記
白菜が安いとき高いときの農家の対応  アイデア広場 その252  

 この2~3年の間の白菜の値動きを見てみました。最も高い値段は、1kg当たり383円で、最も安い値段が126円でした。安いときには、豊作貧乏になります。畑にある白菜を、トラクターが潰している光景をテレビが放映することになります。白菜の安値が続いているときは、消費者が安心して食べられるときです。でも、農家の方にとっては苦しいときになります。
 そこで、安定した白菜の生産と販売について調べてみました。畑にある白菜を潰すくらいなら、他に利用する手だてはないものかと考えます。白菜を加工しておけば、潰したり安売りしたりすることはなくなります。白菜の漬け物やキムチに加工して、販売することは可能です。本物の漬け物やキムチにすれば、かなりの期間長持ちします。キムチなどにすれば、発酵食品として体に優しい食品として付加価値を付けて売り出すことも可能でしょう。
 白菜の生産量日本一は、長野県です。年間20万トン以上を生産しています。高値の時は、東京市場が良い稼ぎ場になります。でも、安値の時は、輸送費にもならいときがあるようです。この時期の安価で豊富な白菜の解決方法を考えるわけです。解決方法は、一つではありません。日本には、大規模な野菜の直売所が16,000店以上あります。ここで販売することも可能でしょう。日本の白菜の生産量は、約90万トンです。そのうち長野県と茨城県で45万トン以上生産しているのです。残りの県は、数万トン程度になっています。白菜生産の手薄な県の直売所は、一つのターゲットになります。輸送費が格安になるなどの条件が付けば、直売所や漬け物工場は良い市場になります。
 農家にとって安定して購入してくれるお得意さんがいることが、安定した経営を継続できることになります。都会の人にとっても、「かかりつけの農家」を持つことは保険をかけることになります。神戸震災や東日本大震災、そして最近の台風などによる災害に対して、セーフティーネットを構築している人が増えています。今を助けることが、未来の自分を助けることに繋がると考えるわけです。これらの繋がりのできたお得意さんには、高いときでも安いときでも一定の値段で供給を続けることです。もちろん、高いときは市場より安く、安いときには消費者が少し高くとも買うという姿勢も大切です。
 中国人は、白菜を縁起が良いものと考えています。このことは、故宮博物館に行くとよく分かります。白菜は翡翠で作られ、堂々と第一級の宝物として展示されているのです。日本の名物料理は、すき焼きです。すき焼きに白菜はつきものです。もうお分かりですね。そうです。中国人がすき焼きを食べる時には、神戸牛はもちろんですが、白菜を食べ放題にするぐらいに用意しておくのです。
 最後に、全国の白菜を一同に集めて、白菜の食べ比べコンテストなどがあれば楽しいですね。

電気自動車が克服すべきの部品開発は異次元   アイデア広場 その251  

2017-10-29 16:01:12 | 日記
 

 自動車の主要市場は、先進国から新興国に移りつつあります。新興国では、部品工業が十分に発達しているとはいえません。電気自動車は、この部品供給に不安のある新興国にとっては取り入れる価値のある車と考えられています。投資家のバフェットは、中国の電気自動車会社の比亜迪(BYD)に10%投資しています。日本は半導体や液晶パネルの分野で世界一の地位を占めていました。でも、新興国の韓国や台湾にその地位を奪われています。リチウムイオン電池でも、韓国に奪われる歴史を繰り返すかもしれません。幸いにも、電気自動車に不可欠な急速充電では、日本発の規格が国際標準として承認されています。将来の技術の一角は、確保したともいえます。
 そこで、電気自動車の部品に関する開発状況を見ながら、電気自動車の未来を考えてみました。電気自動車が、実用化に耐えられるにはどのような性能が必要なのでしょうか。一つの目安がタクシーです。タクシー車両は、5年で50万kmの耐久性が求められます。日産のリーフの場合、5年または10万kmの保障ですので、業務用にはまだまだ難しい状況です。5年50万kmという耐久性を実現し、充電に要する時間をガソリン車の給油と同じ程度に短縮することが課題になります。その課題の中には、さまざまな部品の品質向上が含まれています。蛇足ですが、業務用の車両は、初期の購入費量が多少高くとも、燃費の効率や耐久性が重視されます。車の利用には、燃焼費、車の購入費、保険代、税金、メンテナンスなどの費用がかかります。ガソリン車はまだまだ、燃料供給時間、生産体制、基本性能の保障、メンテナンス体制の充実などで優位性を保っています。これらの課題を、電気自動車は2030年までに克服していくことになります。
 高級車は、快適性、安全性、カーナビなどの情報化、環境負荷の低減などクリアして信頼を得ています。この高級乗用車に搭載されているマイクロコンピュータの数は50個を超えているのです。車のソフトウエアが、肥大化しているわけです。車が消費する電力は、走る以外にも多く使うように設計されています。電気自動車は、この要請にも応えることになります。消費電力の増大に対応し、電力ケーブルの太さを抑えるためにはシステムの高電圧化はさけられません。パワーウインドウなどのモーターの小型化や高効率化には、駆動電圧を高くする必要があります。高電圧化のためには、制御回路とデバイスの耐電圧を高め各電動機の耐電圧の向上が求められます。半導体デバイスの耐電圧対する要求は、高級車では1500ボルトなる可能性もあります。なかなか汎用化できないレベルの技術になります。高電圧化で品質の悪い部品を使うと、発熱に耐えられず破損や爆発の危険性が生じます。その意味で、日本メーカーはハイブリッド車の開発を通じて「熱マネジメント」の技術を蓄えており一目の長があると言われています。
 もっとも、日本が優位に立っていた半導体が負けています。優位な技術を盗んだり、守ったりするビジネスが、起業として成立するかもしれません。


登山は自己責任・救助は民間企業 「ふくしま」を少し良くするアイデア その37

2017-10-29 15:50:04 | 日記
 2017年の7~8月の夏山シーズンに、山岳遭難が全国で611件発生したという記事がありました。3年連続で600件を超えています。遭難者の年齢を見ると、全体では60代以上が51%を占めています。中高年の登山人気が、続いていることがわかります。山登りは危険が伴います。登山の事故は、自己責任が世界の常識です。でも、日本は違っているようです。事故に遭おうと思って、山に登る人はいません。でも、想定外の事故が起きるわけです。事故が起これば、本人がまず困ります。次は、遭難者を救助する人が困ります。日本の山登りは、登山者の自己責任を問えないの現実があります。
 そこで、本人の救助にも役立ち、救助隊にも利益になる福島独自の山登りの仕組みを考えてみました。福島県の条例で、「山登りは自己責任で行うこと、事故に遭っても公的救助隊は出さないこと」にします。救助は、民間企業が行うことにするわけです。福島にある駒ヶ岳などの日本100名山と浅草岳などの福島100名山での遭難事故には、民間の救助隊があたるというものです。民間の救助企業は、事前に登山保険などを通して前金をもらっておきます。JAFの制度を応用したものと考えていただければ、分かりやすいかもしれません。
 保険金を事前(当日でも可)に払った方が、山に登るときにはGPSを渡します。このGPSは「みちびき」に対応した機種で、誤差が数cmという優れものです。発信器をの役割もあり、登録者の登山移動状況が一目瞭然でわかるというものです。危険な箇所には、危険を知らせる発信器を設置しておきます。山の監視員は、歩行の速度や地形の急峻に対応した登り方などを見て、体調を予測します。通常より異常な歩き方や休息の取り方が頻繁になれば、ドローンを飛ばし、その状況を画像で把握します。回復可能なら山登りを続けてもらい、体力的に無理ならば下山してもらいます。
 山登りする人は、自分の安全を常に把握してもらうという安心感を得ます。最悪の場合、救助してもらうこともできるわけです。救助する企業からすれば、ビジネスとして収入を得ることができます。収入は、冬はスキー、夏は山登り、春は山菜とり、秋は紅葉というサイクルで稼ぐことになります。山に詳しいベテランが、自然が好きな人達に、山の素敵さを体験してもらいます。そして、体験してもらいながら、お金を稼ぐということです。


中国共産党を理解する その1 戦後の中国共産党の行動を振り返る

2017-10-28 18:21:41 | 日記
 トット記者は、1ヶ月に1つのレポートを提出する課題があります。今回は、2年前(平成27年6月8日)に提出したレポート(「中国共産党の行動パターン」)の全文です。中国共産党の行動様式を改めて理解しようとしたものです。資料は古いのですが、現在の中国を知るにはある程度納得できるものと考えます。このレポートの趣旨にそっていくつかの課題を提示していきたいと考えています。まずは、このレポートに目をお通し下さい。次の「その2」は、「尖閣諸島領海への侵入常態化について」の予定です。

レポート 「中国共産党の行動パターン」
1, 1988年代の中国共産党内の確執
 1988年頃、中国共産党内では改革派と保守派の対立があった。対立の原因は、悪政インフレに対する趙紫陽と李鵬の政策の違いです。この年の中央委員会で緊縮政策が決まりました。これは保守派の李鵬の主導で進められたものです。首相の李鵬は長老達のバックアップを受けて、趙紫陽総書記から経済政策の決定権を奪ったのです。党が主導することとが建前の中国ですが、首相の力が強くなると党書記は何もできなくなることがあるのです。1988年の悪政インフレによる左右の対立において、鄧小平は保守派と妥協して趙紫陽総書記を見捨てました。中国では春節に引退した党幹部の長老を訪ねる習慣があります。このときの長老の意見が、大きな意味を持ちます。政治局拡大会議は、正式メンバー以外の党長老を集めて開かれる最も重要な会議に位置付けられています。この会議では、正式メンバー以外の長老が重大な決定権を持っていたのです。党の政治局常務委員の上に最高実力者がいれば、その人物の意向で決定される仕組みがありました。天安門事件以降保守派が、経済を運営をしました。でもこの経済政策は経済を停滞させたのです。そこで1992年鄧小平は南方を視察し、発展と改革の加速を呼びかけました。経済の停滞が国を滅ぼすと考える彼は、生産向上に役立つことなら何でもやるという指示を出したのです。その背景にあったのは、経済停滞により資本主義に破れていったソ連の姿がありました。南方講話が中国の急成長を出現させたのです。
 1986年頃、鄧小平は一段高い位置で、改革派と保守派のバランスを図る手法をとっていました。鄧小平が胡耀邦の後ろ盾になり進めた改革開放や党幹部の特権に対する挑戦は、保守派勢力の反発にあっていました。1978年の中国漁船が日本の領海に侵入した事件は、日本に援助を求める鄧小平の改革開放に対する保守派の反対行動の表れでした。1986年北京で起きた民主化運動では、保守派意向を受け入れ鄧小平は胡耀邦党総書記を切り捨てました。1989年4月に胡耀邦が死去し、これをきっかけに学生が民主化運動に立ち上がりました。学生らが民主の女神を立てて西側への憧れを隠さなかったことに鄧小平は衝撃をうけた。これを引き金に天安門の弾圧が行われます。でもこのとき、鄧小平とともに権力闘争に学生を利用した改革派の趙紫陽にも責任があることを理解しておくべきべきです。
 中国は日本の世論が割れたりすると、その点を突いてきます。日本の世論はマスメデイアを通じてわかりやすいものになります。中国の民主集中制は、党や政府内部で意見を闘わせても良いのですが、外部に対しては結束して事に当たります。党内や政府内部の対立点は、表に出ない仕組みになっています。党内や政府内部の資料を収集する作業が、困難になります。この点が、中国の理解を難しくしています。社会主義体制がまだ維持されていた時期は、新華社通信とタス通信の内部資料交換がありました。それを参考に、理解できる面がありました。でも、社会主義体制の崩壊後は、タス通信から得られる情報の価値が目減りしてきています。日本のメデイアは、米国やEUの情報を大金を出して買っています。でも、中国についてはそれができない状況があります。1990年代日経新聞は、中国進出企業から内部文書を閲覧し、特ダネを連発していました。それも段々できない状況になっています。民主集中制の壁を乗り越えて、情報を聞き出す仕組みがまだ不確実なのです。中国が対外的に行う宣伝と実態があまりに距離があることも、中国理解を困難にしています。共産党は民衆の違法行為や大使館の破壊などの暴力を見逃し、民衆に迎合する態度を取る場合があります。日本人の何十倍も戦争被害の記憶を引きずる中国人は、日中のトラブルを日中の民族問題にまでに拡大させていく傾向があります。中国メデアは、日本がどう反応するか見ています。中国を相手にする場合、絶対にぶれずに一貫した姿勢で臨まないと問題の解決を難しくします。日本の世論がまとまったときは、中国に対して非常に強い力になるとこを日本人は理解しておくべきです。

2, 2002年代の中国共産党の勢力図
 中国は国防や基幹産業以外の民営化を行いました。でも党が権力を握る中央政府や地方政府が、国有企業を支配する構造に変化はなかったのです。むしろ2002年からは、党内には下層から上層部までの経営者の利害を代表する勢力が形成されました。経済発展は、外国への輸出依存や不動産投資に依存する経済構造でした。膨大な貿易黒字は、過剰資金として株や不動産に流れ込み多くの富裕層を生み出します。長老派は、国有化財産の私物化について上海派より上手に既得権を守る術を身につけています。中国では毎年2000万人以上の雇用が生まれます。そのためには成長率8%以上の成長が必要です。8%の成長を目指すためには、鉄道や道路のインフラ整備、住宅や医療への大規模投資を行うことが不可欠でした。共産党との結びつきがあれば、土地の払い下げや株のインサイダーが容易です。不動産投資では、農村幹部はわずかな保証金で農民を異動させ、農地を転売し巨額を富を獲得しました。中国の政治システムの中では、情報はトップに近づくに従って多くなります。結果として、党内には下層から上層にまでに利害構造が形成されたのです。
 2006年頃、党上層部には共生団出身の胡錦濤、上海派の江沢民、太子党の習近平の流れがあった。江沢民は、経営者の利益を重視し、その政策を進めてきました。上海派は、改革の恩恵を享受してきた都市の新興富裕層が基盤になります。この派は、金融引き締めや所得配分政策を牽制する勢力でもあります。経営者の利益集団が党内に力を持ち、金融引き締めや資産税に対する反対勢力になるのです。伸長著しいのは、習近平をはじめ革命元老を親に持つ太子党です。党長老や二世政治家の太子党は、江沢民の専横に対する反発から胡錦濤を支持してきました。習近平は抗日戦争に従事した元老の息子で、軍のインナーサークルの出身です。江沢民や胡錦濤は、確固とした軍歴がありません。軍歴のない指導者の悩みは、制服組をいかに統制するかという点にあります。胡錦濤も江沢民も軍事費を増大させることで軍を手なずけ、統制してきた面があります。胡錦濤は、海軍や空軍を優遇しています。さらに、四川大地震で確執があった災害救援の教訓から、災害援助に功績のあった軍人を重視する人事管理をしています。2012年の党大会において、胡錦濤は軍の主張に迎合して、政権を維持する選択を行うと予想されます。
 胡錦濤は2007年の党大会で共生団出身の李克強を、後継者にすることに失敗しました。共生団出身者は十分な政治思想教育を受けています。公平な所得配分や弱者対策を主張しその実現を目指しているともいえます。環境対策や省エネにも熱心に取り組んでいます。その特徴は清廉だが経済活動や地方政治の実戦が少ないことが弱点です。胡錦濤は、経済の恩恵を受けない層に恩恵が行きわたるような政策を考えていました。農民は個別の問題では末端の党組織に反抗しますが、胡錦濤政権に期待をかけている面もあります。胡錦濤派の汪洋は、産業構造転換が行き詰まる中、最強の調査機関を使って汚職摘発の援護射撃にでました。さらに、検察力を使い汚職摘発で追放した幹部の後には、共生団出身者を送り込みました。でも、胡錦濤が送り込んだ共生団出身者は、慣れない経済や治安対策などで失敗が目立ち、問題が表面化してきました。検察権力を動員した反腐敗闘争を激化させたことで、既得利益集団の長老派が警戒を強めました。長老派は、胡錦濤から李克強への権力継承が自らの既得利益を犯すと考えました。ここにいたり、長老派と江沢民が手を結びました。その結果、党上層部で劣勢になった胡錦濤は、習近平を李克強の上位にする人事を飲むしかなかったのです。胡錦濤の権力は低下し、習近平への権力委譲が成立することになります。
 太子党は政治的主張より、経済的利益で結びついたネットワークが強みになっています。毛沢東や鄧小平時代に太子党は政治への進出を禁じられていました。でも、その力は基幹産業で蓄えられていたのです。基幹産業である国有企業を支配する党幹部は、恩恵をこうむってきたわけです。2003年国家の安全と国民経済に関わる重要な産業以外は、市場競争の中で育てる民営化政策に移行しました。太子党は国有企業の民営化の過程でで多くの利益享受し、経済発展の先頭を担うようになったのです。国有企業を支配する党幹部には、一族や関係者に恩恵をもたらす金城湯地の政策になりました。国有企業は、それぞれの産業において独占的地位が約束され、高額な利潤が確保できるようになっていたのです。民営化は、国有企業の高級幹部と私営企業の経営者層を代表とする有力な利益集団を作り出しました。さらに、江沢民は太子党の政界進出を解禁しました。太子党は、ぞくぞくと党の要職を占めるようになります。上海派や党長老は既得権を守るため胡錦濤の水清き政策を嫌い、習近平を次期最高指導者にすることになったのです。

3,中国を知る方法
 四川大地震は、中国共産党の内部の力関係を垣間見せた事件でもあります。四川大地震は、約7万人の死者を数えました。この災害の時、国務院と人民軍の対立が表面化しました。国務院からは温家宝首相が自ら発生した日に現地入りして、救援の陣頭指揮をとりました。機動力のある人民軍が到着したのは、次の日でした。この地震災害における軍の行動は鈍く、救援に必要不可欠なヘリコプターの派遣も遅れました。温家宝首相は、軍の対応に不満を隠しませんでした。もっとも、この時軍は台湾危機に備えていたのです。台湾では民進党のクーデターの噂がありました。人民軍はこれに対応して一級戦備体制を取っていたため、救援活動に遅れたといわれています。各国の救助の受け入れについても、党最高指導部と政府の間に亀裂があったとされます。中国は国防の基幹産業や重要施設を内陸部に建設することを行ってきました。四川省は、核保有施設が集中し、戦略上の要衝です。外国の救援隊に、現地情報が漏洩することを極端に恐れたようです。日本の救助隊は、人民軍がすでに救助作業を終えている生存者がいない現場に回されました。日本の救助隊に手柄を上げられれば、メンツが丸つぶれになるからです。中国にとって最も屈辱的なことは、公の場で日本を賞賛したり日本に謝罪することなのです。
 北京大学などの知識人を輩出する大学は、党や政府の幹部を送り出しています。一方、政府や党の間違いには前面に立って戦ってきた歴史がありました。天安門事件でも、知識人は怒りの声を上げ、政府の行動を批判してきました。これに対して、政府は天安門デモに参加した知識人を弾圧する一方、知識人への待遇改善も進めました。知識人は職場から配分された住宅を市価よりはるかに安い価格で購入できます。また、購入した住宅を市価より高い価格で売却もできるのです。彼らは、住宅の配分、進学、就職、社会福祉などの豊かさを享受できる階層になっています。知識人は既得権層に組み込まれ、腐敗に鈍感になりつつあります。既得権層と反対の立場にあるのが農民です。農民は耕地を耕す権利は保障されましたが、土地の転売や土地を担保にした借金はできません。党や政府の幹部は、医療や養老年金の恩恵を享受できます。でも、国民の7割を占める農民は、この権利から排除されています。農民工は出稼ぎに行き、無権利の状態で働き、低賃金の労働力として酷使され、都市に定住することができません。経営者は労働者を自由に使い、そして切り捨てていくことができるのです。このことが他国にまねの出来ない中国の競争力だったのです。中国の経済成長の核は、不動産や輸出産業でした。この産業の発展を支えたのは、農民に対する二重収奪の政策だったのです。北京中心地の繁栄とは裏腹に、天安門から数十km郊外には砂漠化した荒れ地が広がり、水道もなく、井戸に頼る農民がまだまだいるのです。
 胡耀邦を師と仰ぐ胡錦濤は、チベット問題で強弁姿勢を示したことで、最高位に駆け上がりました。チベット問題を強弁姿勢で解決したあとは、少数民族対策が地方幹部の強弁ぶりを争う場になってしまった。胡錦濤はそれでもチベット経済向上のために、鉄道をチベットまで通す事業を完成した。この鉄道を効果的に利用したのは漢民族だけでした。チベット民族の経済成長や文化の向上には負の遺産になっています。2001年9.11テロを理由に、中国政府がウイグル族を弾圧しないように、ブッシュ政権は中国に警告をしていました。でも、2002年に、ブッシュ政権は中国の主張通り、ウイグル族の一部をテロと認めています。その理由は、アメリカのイラク侵攻に対して、中国が国連で拒否権を使用しないことと取引をしたためです。今中国の公安当局が最も警戒していることは、反体制派や台湾独立派、チベット独立派やウイグル族の過激派との接触する人達です。
 少数民族以外の漢民族の中にも、現在の政策に不満を持つ人達はいます。2006年には集団陳情がもたらす事件は、9万件以上に達しました。市場経済の進展に伴い、経済的資源を独占する経営者層と資源を持たない労働者や農民の対立は先鋭化しています。高度成長を続いているにもかかわらず、所得配分は不公平で、購買力に貧富の差が大きくなっているのです。一連の市場化や改革開放の享受者は、共産党であり一般国民との格差は広がるばかりです。2008年日本を訪れた経営者団体の幹部は、現在の政権が労働者や農民のことばかり考え、経営者の立場を考えていないなどと述べています。また、北京大学の教授は、雑誌の中で陳情者の99%が精神的問題のある偏執者であると発言しています。農村幹部は、農民に対する専制的支配を保ちながら、地区の収入の不足を様々な名目を付けて負担を求めます。1990年の後半から、農民は各地で不合理な負担や重税、そして農民幹部の腐敗に対する陳情を行うようになりました。多くの異議申し立てや集団陳情は続いていますが、共産党の支配を揺るがすまでには至っていません。中国の都市部には、隣組に似た居民委員の組織があります。この組織は相互扶助を支えることが主な役割ですが、公安下請けにもなっています。市場化に伴い、都会では居民委員の力にも陰りが見え始めています。
 2001年ジェトロの調査によると、年間10億円以上の被害企業は11%、1億円以上は31%にのぼるとされています。中国では海賊版が堂々と専門店でも売られています。もちろん路上での安物の海賊版もあります。ブランド名の模倣、デザインの模倣、特許技術の無断使用など進出企業は問題を抱えてます。これらの問題は、弁護士だけでは解決出来ないのが実情です。中国には日本にある法律は全てあります。でも、その法律が日本と同じように機能するかどうかには多くの疑問があります。欧米企業は中国に進出するにあたって、裁判の準備、ネット対策、調査会社との契約など準備をしてきています。中国では、模造品にやられて大きなダメージを受けるか、彼らをたたきのめすかの二つに一つです。模造品をつくる会社を一件摘発するごとに、3000ドルから5000ドルの費用がかかります。これらの調査会社と中国や欧米企業は契約し、自己防衛をしています。もちろん、模造品を摘発する調査会社があるように、模造品をつくる会社を守る調査会社もあります。模造品を製造する組織の裏には、ハーバード出身の弁護士などがいて、脇の甘い企業を狙い撃ちにしています。これらの違法会社は、商標登録や特許申請をちゃんと調べてから、模造品を集中的につくっているのです。日本的感覚では、苦戦するのはやむを得ないと思えます。
 中国市場は、法治ではなく人冶によることもあります。このような市場に米国が強い態度を取れない理由は、中国はすでに米国国債の最大の保有国だからです。中国が米国国債を売り払えば、米国国債のみならず貿易金融の基軸通貨であるドルの信用不安を招きます。さらに、オバマ政権が中国に配慮しなければならない事情は、経済大国になり軍事面でも存在感を高めていることもあります。米国国債の保有が、対米外交の切り札になると中国が考え、米国も様子見の態度を取っています。イラクをはじめ米国が海外で戦争する費用を、米国国債購入で米国を助けているという批判が中国内部にはありました。中国は将来に備えて、ドルに代わる基軸通貨の模索を始めているともいわれています。もちろん、米国は中国と対話を進める一方で、中国に対する警戒を解いたわけではありません。米国は軍事技術を中国に移出することが危険であるという議論は周知徹底しています。米国は高度技術の流出に対してきちんとした基準がありますが、日本には甘い点があるようです。

4,中国との交流
 日本でも中国でも、経済や環境の分野でも有用な人材は不足します。日本と中国はともに有能な人材の取り合いになります。現在の日本的感覚では、若手の有能な人材を雇用できなくなります。日本企業の中国進出ばかりでなく、中国資本の日本上陸も本格化してきました。中国人を雇うばかりでなく、雇われる日本人も増えてきます。雇用の面でも事業の面でも、問題が数多く生じています。中国では正面から行ってダメといわれても、あきらめてはダメで、何らかの方法があります。中国人の思考方法や行動特徴を理解し、円滑な交流を模索すべきです。たとえば、中国人は冷たい食べ物を嫌います。また、中国人に食事の時間に食事をさせないことは、最大級の侮辱になります。店の格や料理の品数や種類、座席で自分がどのくらい重視されているか判断します。米国企業はこれらの情報を把握した上で、消費者との交流を重視し、広報セクションを運営しているのです。日本の企業では、消費者との交流を重視している企業が少ないのが実情です。
 日本人には、中国人の行動不可解な面が見られます。たとえば、中国人は不利な問題に対して、逃げて逃げまくります。中国進出企業の悩みで最も多いことは、「売掛金の回収難」です。中国人社会で「謝る」ことは、責任を負わなければならないことになります。文化革命の時代は、自分の非を認めた段階で辛いことが待ち受けていたのです。多くの犠牲者が出たことは、歴史が証明しています。餃子事件で責任追求を瞬味し、日中関係を危うくする場面でも、責任を明確にすることを最後の最後までしませんでした。偽物食品が中国社会に広く出回っていますが、責任を取る姿勢は少ないのです。中国は絶えず遊牧民に侵略され、脅威にさらされてきた歴史があります。そのような環境は、身近な同族だけを信頼し、他民族に対しては打算とリアリズムで乗り切ることをに鍛えられてきたのです。中国ビジネスは、不合理、不公平、不誠実、不愉快の4つです。中国ではすごいお金持ちでない限り、身の回りのブランド品は偽物であることが中国の常識です。2009年、高級品は中国のほうが高くなっています。日本に来た時に、高給品を買う中国人が増えています。中国の店の品物を、中国を信用しないという不思議なことが起きているのです。
 中国の政策は、国力の伸長とともに変化することを理解することです。尖閣列島の棚上げ論は、改革開放が始まる以前に、中国が日本の経済協力を引き出すまでの路線です。円借款の新規供与が終了した(2008年)後は、棚上げ論が変わるのは当然の成り行きでした。中曽根政権は、ソ連と対立する中国を経済協力や友好関係協力の強化で支援してきました。中曽根首相の靖国参拝が外交問題になるのは、中国共産党内の権力闘争が顕著になる1985年からです。1985年に中国は中曽根首相の靖国参拝を批判しましたが、この時期中国とソ連の緊張関係が緩和していたときでした。ソ連を牽制するための日米安保や日本の自衛力を容認した時期は過ぎ去っていたのです。中曽根と胡耀邦は個人的信頼関係で結びついていました。靖国参拝は、胡耀邦を政治的に窮地に追い込みます。戦前の抗日戦争から親日派のレッテルが、政治の凶器として使われてきた歴史があります。胡耀邦の対日姿勢は、保守派から見ていささか日本に偏り過ぎていたともいえます。胡耀邦に反発する党内保守派は、胡耀邦の対日政策を絶好の標的として照準を合わせて攻撃したのです。胡耀邦から胡錦濤に至るまでの対外政策は比較的穏健で、対日関係を極めて重視してきたといえます。でも、中国国力の充実とナショナリズムの高まりは、日本の実効支配をする地域に対する挑戦は今後ますます強まっていくことになります。
 中国の存在感と大国化を直視することを避ける傾向が、日本国民に出ています。強大な中国が隣に存在する限り、中国なんか嫌いだと言って済ますことのできない時代が来ています。中国を感情論で見ることが多いのですが、感情に流されず事実に即して中国を見る姿勢が求められています。中国で起きる事件を、確度の高い情報を基に観察し、感情論を排した冷静な判断を積み重ねることが必要です。事実の積み重ねから、中国を付き合いやすい相手に変える交渉術を我々は持つべきです。日本の不景気が続くと間違った中国脅威論ばかり先行します。これは日本や中国にとって良いことではありません。中国のことを熟知しているのはチャイナスクールの人達です。今、チャイナスクールの人達は非難にさらされています。この裏には感情論が主体の対中強弁論があり、これが主流になっています。中国と日本のことを研究し理解している専門家が、チャイナスクールとジャパンスクールです。今まで日本では親中派の人がいて、中国側は友好商社や友好人士を選別する狭い交流を行ってきました。中国には日中友好という言葉はありますが、中美友好とか中ロ友好という言葉はありません。不思議な現象です。中国の転換が成功するか否かは、肥大した党内利益集団を、指導部が統制できるかどうかにかかっています。それまでは、日本との軋轢は続くと思われます。中国にとっても、日本は一筋縄ではいかない御しにくい、手強い交渉相手という認識のようです。



幸せのつかみ方  アイデア広場 その250

2017-10-28 18:16:57 | 日記
 地域の中学で最上位の成績の子どもが有名高校に入学した時、自分は初めて平均以下の成績を取ることに気がつきます。生徒たちは、当然ながら、この現実にひどい衝撃を受けることになります。成績がもたらすプレッシャーが、抑うつ状態をもたらし、彼らを内向きに引き込む場合もあります。この光景は、学校だけでなく、上場企業の新入社員にも見られるものです。私たちの生活は、一定のプレッシャーやストレスを避けることはできません。
 そこで、ストレスなどとどのように付き合っていくのかを考えてみました。全てのストレスを、取り除くことはできません。メンタルトレーニングをすれば、全てのストレスを克服できるという楽観論にも組みできません。その種のトレーニングをすれば、精神が鍛えられるといった即物的価値観がうつの状況を解決しないことも分かってきています。スポーツにおいて、一番長い時間を費やすのは練習時間です。練習で課題を克服することになるわけです。試合でできることは、練習で行ってきたこと以上はできないのです。このことは、学習でも仕事でも同様なことが言えます。
 練習は、できないことをできるように努力することです。できないことをやるわけですから、練習は苦痛であり不快なものになります。でも、時には自ら進んでストレスを体験することも必要です。ストレスを取り除くと考えるのではなく、自分を鍛える負荷とするのです。学業や仕事の失敗を、トレーニングの負荷と考え、打開していくわけです。小さな失敗があっても、精神的に負荷のかかるトレーニングだと割り切ることです。精神を鍛える場はあくまで、学校であり、職場であり、練習の場であることを理解することです。この中で、回避することやストレス耐性が付いてきたわかると楽になります。人の罵声は、笑顔で受け流し、自分の課題に取り組むことができるようになります。
 単純な作業でも、ゲーム性を持たせると効果が上がることがあります。時間内にどこまで正確にたくさんこなせるかなどのゲーム性を持って作業をすれば、苦痛がある程度回避され、業務効率が向上するときもあります。限られた時間で、自分の強みと弱みをどのように組み立てるのかの能力を構築していくわけです。オールマイティの能力を持つ人はいません。自分の楽しめる場所で、良いモチベーションを維持していくことになります。多くの人は、次の売上目標を達成できれば、もっと「幸せ」になれると考えます。成績がもうワンランク上がれば、もっと「幸せ」になれると考えます。でも、これでは不幸せの蟻地獄に入り込みます。次の売上げの次は、どうなるのか。ワンランク上の成績の次は、どうなるのか。キリがなく、幸せは山の彼方に遠のくだけなのです。今自分の楽しめる場所で、自分のモチベーションを維持することができる場所で、幸せを確実につかんでいくことです。一定の負荷を楽しみ、モチベーションを維持していくことができれば、幸せという果実を大きくしながら、獲得して行くことができるのです。

遺伝子組み換え及びゲノム編集技術の開発を急ぐ アイデア広場 その249 

2017-10-27 16:59:45 | 日記
 

 遺伝子組み換え技術により、大量のインシュリンを生産することができるようになりました。世界で4億人以上の人々が、この薬の恩恵を受けています。金額にして90兆円になります。この組み換え技術は、生物の細胞から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、新しい性質を細胞に持たせるものです。この技術の欠点は、偶然に頼る点でした。長い時間と手間を要し、誰もが簡単にできる技術ではなかったのです。近年、注目されている技術が、ゲノム編集技術です。ゲノム編集とは、狙った遺伝子を高い確率で壊すことのできる技術です。悪い遺伝子を破壊すれば、良い遺伝子だけが残るというものです。もちろん、ゲノム編集は、動物の遺伝子に植物の遺伝子に組み込むことも可能です。この技術を利用すると、十数%の成功率で、目的の遺伝子を変えていくことができるのです。
 そこで、この二つの技術が今後どのように開発されていくのかを考えてみました。アメリカの食品医療局は、遺伝子組み換えのダイズやトウモロコシを認めています。日本では、遺伝子組み換えの食品の輸入を認めていません。でも、加工食品に使用することは、認められています。日本で販売されている醤油や味噌に使われる大豆は、遺伝子組み換えが使われているといわれています。日本でよく知られている遺伝子組み換えの植物には、青いバラがあります。このバラは、自然界に存在しないものです。遺伝子組み換え技術を駆使して、14年をかけてつくり出したものです。2004年、バラの遺伝子にパンジーの青色の色素をつくる遺伝子を組み込んで作られました。
 アメリカの食品医薬局は、早く成長するサケを、食用に販売することも認めています。この魚も遺伝子組み換え技術によって、誕生しています。農産物や水産物に応用する傾向は、強まっているのです。ブラジルでも、遺伝子組み換えのサトウキビを認可したようです。このサトウキビを使った砂糖の販売許可を、各国にも申請していく計画です。中国もこの技術に力を入れています。遺伝子組み換え技術の欠点は、偶然に頼るために時間と人手がかかることでした。ゲノム編集技術は、この欠点をカバーします。この技術は、アイデア次第で多くの遺伝子をつくる潜在力を持っています。これからは、多くの生物のDNAの解読が進みます。この解読に伴い、ゲノム編集の領域は飛躍的に拡大していきます。リスクもあります。パンドラを開いたという人もいます。早く、「希望」を見つけるように開発体制を整えてほしいものです。
 蛇足ですが、5億年前から地球の生物は、合計5回の大量絶滅を体験しています。過去に起こった絶滅の痕跡は、地層中の生物化石を調べてくることで分かってきました。いろいろな年代の地層を比較して、どのような動物が生息し、息絶えたかが分かるようになったのです。その時の環境に適応するように、生物は作られていたということです。長い地球の中で、パンドラの箱は何度も開かれて、そして閉じられてきたようです。今回も乗り切れることを期待しています。

ニュータウンの末路と復興  アイデア広場 その248  

2017-10-27 16:47:11 | 日記
 

 多くのニュータウンは、同じ型の住宅を供給してきました。5階建てのアパートに代表されるように、土地の密度を高めて、土地を計画的に余らせ、残った余剰地を有効活用する方式を取ってきたわけです。町中の場合、前から住んでいた居住者のために高層住宅を供給し、密度を高めて集約する方式です。このような戦後の住宅供給は、現在の少子高齢化の時代には適合しないと言われるようになっています。
 そこで、少子高齢化社会に適合する居住について考えてみました。ニュータウンは、端から端まで同じアパートか、同じ戸建て住宅で埋め尽くされている居住地が良いとされてきました。同じ型の住宅を供給し、瞬時に利益を上げいたのです。宅地と住宅に資本を投資して、利益の最大化のために、短期間で大きな利益を上げることが、良いとされてきたわけです。でも、資本家が一人だけ勝つような仕組みは、長続きしないものです。かっては華やかだったニュータウンが、今は衰退の象徴のような存在になっています。望ましい居住地は生産性のある人達が集まり、良い環境の中で家族を育てる場なのです。多くの世代が、同一の場所で一緒に生活をすることが望ましいのです。
 今ニュータウンの高齢者は、町中の医療環境の整った地域に移動をはじめています。タウンはさらに、衰退を加速させることになりました。ところが、医療環境の整った理想の居住地が、どこにあるか分からないのです。住宅の情報は、溢れています。でも、一本化されていません。不動産屋さんには、公営住宅やUR賃貸住宅、そして公社の賃貸住宅の情報が流通していないのです。住みたい場所を探すための情報が、分断されているわけです。一ヵ所で、理想の居住地が分かる仕組みがあれば、高齢者の人口移動はより容易になります。体が動かなくなってから、居住地を探そうとしても、なかなかできない現実があるのです。
 ニュータウンでは、長期間にわたって良好な状態で居住することはできないのでしょうか。長年住み慣れた場所は、得がたいものです。住み慣れた地域というものは、多くの問題解決の引き出しが備わっています。この引き出しは、居住者のコミュニケーションの積み重ねの中から作られてきたものです。このような地域では、あそこのお医者さんは、薬をたくさん処方するとか、強い薬ですぐに治すお医者さんは誰さんとかいう情報が容易に手に入ります。小学校の誰々先生は、面倒見が良いなどの噂もすぐに入るわけです。長年培ってきた便利な人間関係を断ち切るには、勇気がいります。
 ある高層住宅に住む高齢者は、午後の3時頃になるとベランダに出てくるそうです。下を通る小学生の帰る姿や話し声を聞いているのです。小学生の姿がなくなる頃、部屋に入るという日課です。人は一人ではなく、多様な人々の接触の中で生きるようにできています。ニュータウンの衰退を防止するヒントは、多様な人々のコミュニケーションの中にあるようです。