ファンタジアランドのアイデア

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がんと仲良く生活する仕組み  アイデア広場 その1047

2024-06-16 16:41:29 | 日記

 「敵の敵」は、味方ということが言われています。その論理が通じるなら、困り者の花粉症にもプラス面もあるということになります。花粉症のようなアレルギー症状をもつ人では、ガンの発症リスクが低下するとの調査結果がでたのです。がんの中でも、すい臓がんは最悪のがんといわれ、5年の生存率が1割程度となっています。花粉症の方は、このすい臓がんの発症リスクが4割も低下するというのです。すい臓がんのリスクが、花粉症になると低下するという研究結果がでたのです。このすい臓がんの他にも、花粉症に困っている方は、大腸がん、食道がん、胃がん、口腔がん、喉頭がん、子宮体がん、脳腫蕩などの発症リスクが低下することが分かってきました。困りものの花粉症が、がんの発症リスクを低下させるというわけです。
 花粉症は、花粉に対するアレルギー反応によって起こります。花粉に対してIgEという抗体が作られ、免疫細胞の一つである「肥満細胞」の表面に結合します。ちなみに、IgEは免疫グロブリンの一種になります。これは、 身体のなかに入ってきたアレルギーの原因物質(アレルゲン)に対して働きかけ、身体を守る機能を持つ抗体になります。 IgE抗体は、普通は血液中にとても少ない状態にあります。でも、アレルギー体質の場合は血液中に大量のIgE抗体が存在するといわれています。人間の体は、同じ種類の花粉が再び体内に入ると、IgE抗体と「抗原抗体反応」を起こしますIgE抗体と抗原抗体反応を起こし、肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が出されるのです。このヒスタミンなどの化学物質が、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった症状を引き起すことになります。花粉症は一度発症すると完治はまれで、長く付き合っていかなければならない病気です。花粉症が多いのは、免疫の働きが活発な10代になります。歳をとるとともに、この有病率は低下していきます。症状の重症度も、軽症の傾向を示し、年齢とともに症状が楽になったと感じる方も多くなるようです。過剰な免疫反応が起こっている花粉症の人は、免疫監視機構の働きも強まっています。この過剰な免疫反応が、良い意味でも悪い意味でも、いろいろな現象を引き起こします。たとえば、がんは細胞の老化ともいえる病気になります。年齢を重ねると、毎日発生するがん細胞の数は増えていきます。加齢とともに、臓器の表面を覆う上皮細胞の遺伝子にキズが積み重なり、がん細胞が発生します。一方、「免疫監視機構」も加齢とともにパワーを失いますから、それとともにがん細胞が急増するメカニズムが働きます。免疫細胞が、がん細胞を察知して未然に倒す「免疫監視機構」も加齢によってパワーを失うというわけです。でも、そこで花粉症によって、免疫監視機構の働きが強化されるようになれば、福音が訪れるという構図が出てきます。
 現在、日本では年間約100万人がガンを発症し、30万人ががんで死亡しています。70~90%のがん患者が、ガンの進行や転移により痛みを体験しています。進行は、各種の抗がん剤により、ガンの進行を抑えることができています。また、痛みに対する処方は、進歩しています。医学の進歩により、痛みを軽減する仕組みも改善されているのです。がん性疼痛の薬物療法は、世界保健機関方式の「3段階除痛ラダー」が用いられることが多いようです。一般的には、第1段階ではアスピリン、アセトアミノフェンなどの非オピオイド鎮痛薬で治療を始めます。痛みが増すにつれ、第2段階では効果の弱いオピオイドを追加していきます。さらに痛みが強くなると、第3段階では効果の強いモルヒネを使用することになります。もっとも、日本の医療はより極め細かく患者の痛みに対応しています。適切に使用することで、80%の患者のがん性疼痛をコントロールしているようです。末期がんになれば、3段階除痛ラダーに加え、癒しを加えた療法をホスピスの施設で求めることになります。
 人間のあくなき追及は、この末期がんにもメスを入れるようになりました。画期的ながんの薬が、開発されました。本庶 佑 氏は、ガン免疫療法の開発でノーベル賞を受賞しました。体に備わる免疫の仕組みを利用してガンを攻撃する治療法は、ガン免疫療法といわれます。この原理を使う薬品は、オプジーボとしてガン治療で使われています。その新薬が、従来の抗がん剤などでは治せない末期がんでも高い効果を示しているのです。一般人の体には、1日に数千個ものがん細胞ができています。免疫細胞が、このがん細胞を排除しているわけです。オプジーボは、免疫細胞の力を適切に使うことを支援し、末期ガンでもがん細胞を排除することに成功しているのです。課題は、このオプジーボが高価すぎるという点です。「敵の敵」は味方という意味で、嫌われ者の花粉症の免疫監視機構の仕組みが明らかになれば、免疫細胞の能力を高めるメカニズムが開発されるかもしれません。そうすれば、安価な免疫抑制剤ができるという期待が生じます。
 また、別の切り口を提示する起業もあります。がんは全体で約6割、早期であれば9割が治ります。岩手県盛岡市にあるコンソーシアムは、唾液だけでがんリスクの検査ができる新手法を開発しました。コンソーシアムは、医療機器開発のアイカムス・ラボな医工系スタートアップになります。この起業の検査は、手術や採血に比べて利用者の負担が軽いという特徴があります。唾液による判定は、新型コロナウイルス禍のPCR検査で一気に広がりました。もっとも、唾液によるがんリスクの検査は、既にサリバテック(山形県鶴岡市)が手掛けていました。この会社の対象となるがんは、肺や胃、大腸といった5~6種類に限られています。コンソーシアムの次世代シーケンサー(NSG)は、遺伝子情報を高速で読み取ることができます。がん細胞が出す特徴的なマイクロRNAの有無で、がんリスクの判定をする仕組みです。このNSG解析にかけることで、肺がんや胃がんなど13種類のがんのリスクを検査できるのです。コンソーシアムによる検査は、より多くの種類のがんに対応できる特徴があります。問題は、検査料が高いと言う点です。検査料は、1検体10万~15万円を想定しています。できるだけ早く、検査料を3~5万円程度にしたいと考えているようです。実現すれば、福音になります。
 最後になりますが、がんの原因に放射線が影響する点を考えてみました。妊娠したことに気づかずにX線検査を受け、奇形児が生まれるという俗説がります。奇形が生まれる確率は、意外と高いのです。放射線に関係なく自然に起こる先天異常の確率は、4~5%あるとされています。たとえば、福島の原発地区で奇形の子が生まれたとすると、大きな問題になるでしょう。でも、ある面で100人に4~5人が生まれてくるのです。一般に、X線検査の線量から考えて、妊婦が奇形児を産むことはり得ません。広島や長崎の原爆で胎内被曝した人たちの平均子宮線量は、180ミリシーベルトとされています。この時に胎内被曝した3000人の追跡調査では、白血病や小児がんの増加がないことを示しています。被曝については、自然放射線によって、日本人は1人あたり年間平均2.1ミリシーベルトを被曝しています。国際平均は2.4ミリシーベルトなので、日本は比較的、自然放射線が少ない地域といえるようです。ブラジルのガラパリでは10ミリシーベルト、イランのラムサールは4ミリシーベルトです。ガラパリやラムサールの地城における発がん率の上昇は、認められていないのです。
 がんの発生は、色々な要因によって起きます。生涯でがんに罹患する確率は、男性54%、女性は41%となっています。発がんリスクの上昇は、肥満男性で22%、やせ型の男性で19%、喫煙で60%になります。さらに、受動喫煙の女性で2~3%、運動不足の人で15~19%になります。放射線の100ミリシーベルトを超えた被曝では、発がん率が0.5%上昇するとされています。発がんのリスクが、低いことが分かります。蛇足ですが、100ミリシーベルト未満の被曝に関しては、科学的に発がんの増加を証明できない状況にあります。一方、発がんの要因については、放射能よりも他の要因が関していることが分かっています。チエルノブイリ原発では、放射能の被害より避難による被害がはるかに大きかったのです。避難による精神的ストレス、慣れ親しんだ生活様式の破壊、経済活動の制限が被害を大きくしたわけです。放射性物質の処理だけでは、被災者への支援が十分でないことを明らかにしました。これと同様なことは、能登半島地震や東日本大震災でも明らかになっています。