ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

新型コロナとインフルエンザのダブル感染を防ぐ アイデア広場 その 693

2020-09-30 18:12:02 | 日記

 日本では、PCR検査の拡大は必ずしも望ましくないという議論がなされています。なぜ検査が望ましくないかという理由が、私にはいまひとつ分からない点でした。その点が少しわかったことが、今回の収穫でした。分かった点は、PCR検査の精度にいくつかの問題があるというものでした。PCR検査には、「偽陽性」と「偽陰性」が一定の割合で生じるというものでした。偽陽性は、「感染していない人が検査で陽性と出てしまう誤り」になります。日常的な用語を用いれば、誤って陽性にしてしまうことです。一方、偽陰性は「感染している人が検査で陰性と出てしまう 誤り」です。新型コロナに感染しているにも関わらず、陰性となってしまうことです。PCR検査は完璧ではないから、一定の確率で誤り起きるというわけです。2020年7月6日の感染症対策分科会の資料では、「偽陰性率は30%、偽陽性率は1%」と「仮定」して、記述が進められています。PCR検査の偽陰性率は30%程度で、見逃しが3割程度あるということになります。意外と、いい加減な検査だという思いでした。いい加減な検査に、1回1万8千円を出すのは躊躇してしまいます。
 厚生労働省の退院基準は、2回の検査で続けて陰性となることを退院の基準の一つにしています。退院基準は、24時間以上の間隔をおいて、2回の検査を続けて陰性となることになります。一方、偽陽性率の方にも、厄介な問題が生じます。偽陽性率の値が1%なのか0.01%なのかは、PCR検査の拡大の影響を論じる際には重要なキーワードになります。偽陽性率が1%ならば、陰性の人を1万人調べると100人が陽性と誤判定されるわけです。陽性と間違って判定された方は、病院やホテルに隔離されることになります。無駄な隔離が、100人分増えるというわけです。100万人を調べれば、1万人の誤った陽性者が、隔離されることになります。この1万人が、医療崩壊を招く原因になるかもしれないのです。その意味でも、偽陽性率の実際の値が1%なのか、あるいは0.01%なのかは、重要な値になります。他方、PCR検査の偽陰性率の精度が30%程度では、「陰性証明書」の信頼性は低いことになります。偽陰性率は、ウイルス量や感染からの日数によって、検査の数値が変わることになるようです。
 新型コロナの感染から診断に、潜伏期間の約5日に加え、発症から診断まで7日ほどかかることになります。感染防止のための有効な手段がなく、感染経路の不明な陽性者が増えています。感染者を特定するために、アプリの使用も行われています。接触確認アプリでは、感染者との接触情報は「何月何日に接触があった」という形で通知されます。通知時間情報があれば、より詳しく感染した場所が特定できます。例えば、7時から9時の間に感染したという通知が来れば、通勤時間に感染した可能性が高いことが分かります。「通勤電車の中で感染がおこった」という可能性は、重要な情報になります。通勤時間における感染の情報は、価値が高いものです。陽性者の記憶をたどる人海戦術の感染追跡では、情報収集が後手後手になり難しい面がでてきます。通勤電車における無症状者が、複数の陽性者と接触がわかれば、絞り込んだ感染者追跡が可能になるわけです。
 新型コロナウイルス感染の拡大は、大きな社会的なショックを引き起こしています。見えないものへの恐怖心と、逆にそのような恐怖から逃れたいという心理が人間には働くものです。ソーシャルメディアは、読者の心理を見越して注目を引く発言が多くなります。この発言が、人々を疑心暗鬼にしてしまいます。この混乱を収めるためには、最新の状況を迅速に、客観的なデータとして提供する必要があります。特に、マスクやソーシャルディスタンスが、この感染症に有効であることが実証されつつあります。最新のコンピュータ「富岳」を使い、マスクによる飛沫の拡散防止効果などを計算した結果を公表しています。それによると、不織布、ポリエステル、綿を使ったマスクの防止効果は不織布が最も高いという結果になりました。でも、飛沫の体積でみると、どの素材も約8割の飛沫の飛散を防いでいます。マスクをつけていれば、ある程度飛散は防げるということです。一方、直径20マイクロメートル以下の小さな飛沫は、マスクと顔のすき間から1割以上漏れ出たという結果もでています。
 ウイルスの含んだ飛沫を、できるだけ飛散させないマスクが求められているわけです。そんなニーズに、応える会社が現れました。東京工業大学発スタートマップのゼタは、極微細な繊維を効率的に生産する技術を持っていました。この会社が、ウイルスを捕集できるナノファイバーを安定して生産することに成功したのです。ゼタの実験では、このナノファイバーで作ったマスクは、新型コロナと同サイズの微粒子を95%以上捕集しているのです。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界の高機能マスク需要は高いものがあります。従来の高機能マスクは、静電気でウイルスを捕まえる仕 組みでした。静電気を使うマスクは、呼吸の際に生じる水分の影響で短時間のうちに効果が低滅するため、1日に何度も交換する弱点がありました。この繊維で作った不織布マスクは、ウイルスを捕まえる力が強く洗濯して繰り返し使える利点があります。分子間力でウイルスを捕まえる力のあるナノファイバーなら、繊維が壊れない限り効果が続くわけです。
 一つの効果だけでも素晴らしいのですが、それにもう一つの効果を加えれば、より素晴らしいマスクができます。青森特産の染料「あおもり藍」は、A型インフルエンザウイルスを不活性化する働きがあることが分かりました。この藍は、以前より細菌やカビなどへの抗菌効果があることは証明されていたのです。実験では、A型インフルエンザウイルスを犬の細胞に混ぜると感染性ウイルス約6000個を検出しました。ところが、藍葉エキスを混ぜると全く検出されなかったのです。「あおもり藍」は、強いインフルエンザ不活性効果をもつことが確認できたわけです。東北医科薬科大学(仙台市)、あおもり藍産業協同組合(青森市)との共同研究で、ウイルスに効果があることを確認したのは世界で初めてのことでした。「インフルエンザウイルス阻害剤」として特許出願し、予防商品の開発を行うようです。夏が過ぎて、秋や冬になると新型コロナウイルスとインフルエンザのダブル感染が心配されています。新型コロナを95%以上捕集する繊維とは、強いインフルエンザ不活性効果持つ「あおもり藍」を組み合わせれば、素晴らしいマスクができます。ぜひ、ダブル感染を防ぐマスクを作ってほしいものです。
 余談ですが、久留米緋(かすり)を使ったご当地マスクが話題になっています。緋に、ダブルガーゼを組み合わせたマスクも作っています。4月には、200枚売れた日もあるようです。ちなみに、このマスクは1300円だそうです。夏には、保冷剤を入れるポケット付きなど工夫も多様のようです。久留米緋のマスクは、肌触りのよさや洗える利便性に加え、ファッション感覚で求める方も多いのです。自分の顔にフィットするように、オーダーメイドのマスクを求める人もいるようです。マスクのオーダーも多く、県外からも来店者がいるのです。ここまで分かれば、高性能のナノファイバー繊維の布地に、「あおもり藍」付加し、ファッション性のあるマスクの発想が生まれます。冬季に心配されている新型コロナとインフルエンザのダブル感染を防ぐと同時に、ファッションセンスを磨く人たちが現れるかもしれません。


異分野の連携を進める仕掛け アイデア広場 その 692

2020-09-29 22:40:44 | 日記


 日本が欧米に追いつくことを目指していた時代は、情報を輸入することに価値がありました。でも、日本も世界のフロントランナーになり、持っている情報量だけでなく、情報をもとに考える力が求められるようになりました。考える力が大切だと認識された事件が、PISA(経済協力開発機構による国際的な生徒の学習到達度調査)でした。このPISAは、知識量ではなく生活の中で応用する力を問う問題に移行しています。日本の教育が、実際の生活に応用できる問題に対応しきれていないことが明らかになりつつあるのです。持っている情報量の多寡ではなく、情報を選別する力や情報を結びつけて活用する力が先進国では評価されています。今の時を生きる人々にとって、情報の選別は避けて通れない問題です。情報の真偽や情報の質を見極めるときは、複数の情報源にあたり、共通項を探すことになります。
 日本企業や日本人は、現代の課題に向き合う必要が高まっています。少子化や高齢化などは、これからの世界が直面する課題になってきます。日本は、その課題の渦中にあるわけです。日本には、この課題を解決する人材がいないわけではありません。日本の専門教育は、世界トップクラスの研究を行う実力ある研究者たちを養成することに成功しています。問題は、研究者間のコミュニケーションもふくめて多様な知の結集が苦手なのです。多様なものの存在を認めつつ、それにうまく融合する人間が求められているともいえます。異分野とコミュニケーションする力を持つ人材は、新たな課題で成果を上げる可能性が高いのです。異分野の人材と共通の課題を解決する場合、コミュニケーションが大切になります。でも、この異分野同士のコミュニケーションが、意外と難しいのです。共通の話題がすぐには見つからないときに、音楽とか絵画を間に挟むと会話がスムーズに進むことがあります。芸術は世界共通であり、会話をはずませやすいツールになります。専門の知識と芸術などの教養が、国際人には必要と言われる所以です。少し視線を外し、異分野に関心を持つことは、まったく新しいアイデアをもたらすことになります。
 IAEA(国際原子力機関)では、福島において医師と住民のコミュニケーションに問題が起きていると考えました。IAEAは医師と住民の解決のために関係者をウイーンに集めて会合を開いたのです。ウイーンで、福島県立医科大学の医師、長崎大学の医師、広島大学の医師、放射線医学の研究者たちの話し合いがもたれました。この話し合いの中で、住民が置かれている状況や心情に対して、医師の力が及ばないことが露呈したのです。医者は、医学のフレームでしか考えられないという制約があったようです。原発事故のあった住民に対して、「医学的には問題がない」「原爆と比べれば被ばく量はごく低い」といった言葉を安易に発していました。住民の立場からすると、原子力発電所の事故を招いたのは、原子力技術とそれを支える電力会社と政府です。原子力をめぐる諸事情には、日本固有のものがあります。医師の立場からすると、原子力政策までは踏み込めないことになります。
 原発事故を招いた社会的フレームの中で、被害者市民は医者と向き合います。日本では、医師になるためには医学を学べばよいと考えられていました。市民が何を抱えているのか、医学のフレームのみで見るのは限界があります。日本では地震、津波、原子力などの各分野では最先端の研究が行われてきました。各分野の専門家は、世界先端の業績を上げていたのです。でも、「分野」と「分野」の間のコミュニケーションが下手な方が多いのです。つまり、医学の分野と原子力の分野のコミュニケーションが、うまくいってなかったということになります。安易な言葉が不安を増幅し、医師と住民の問に信頼関係を築くことに失敗したとも言えます。この場合、住民の方がより良い方向に行くための共通の目標を設定することができれば、両者のコミュニケーションをスムーズにできる糸口ができたかもしれません。共通の目標を達成するための議論を進めていけば、連携を強められる可能性がでてきます。でも、これも失敗したようです。
 ニホンザルやヒヒ等の動物は、基本的には仲間内で食物を分かち合うということはありません。でも、ゴリラやチンパンジーのような類人猿は、餌を分け合います。人間の大人の間でも、分配が行われます。大人同士の中で分配が行われる場合、親子間でも分配が行われます。付き合った時間の長さや密度によって子どもと親は親子になれるのです。「親しみ」をそだてることは非常に難しく、親子、兄弟ですら、親しきのなかにし節度が必要になります。人との繋がりというのは、人に迷惑をかけることによって成り立っているのです。人間は言葉で刺激を与えながら、相手の表情や目の動きを読み相手の気持を理解してきました。言葉を使って自分をあますところなく表現することは難しいのです。でも、「親しみ」は、言葉を超えて表現したり、伝えたりすることができます。
 文化には、酒を2種類に使い分けるのが一般的のようです。英国でも、パブでワイワイ飲むのはビールでした。そして、腰を据えて話し込むときはスコッチになるのです。中部アフリカにも、バナナで作った度の低いカシキシと蒸留酒のカニャンガがあります。意識的にでも無意識的にでも大事なことを話す時は、食事を伴うことが少なくありません。みんなで食べると、食事がより美味しく感じられることが、共食の不思議な魅力です。食事の場を設けるということ自体が、和解を前提にしているのです。お酒が加われば、より親しみが深まります。そのお酒にも、深まりを促進する2つの種類があるようです。
 「課題解決」や「アイデア発想」のために必要なことは、「異分野の連携」です。でも、分野をまたいだ不十分な連携が、まだまだあるのです。ある意味で、最先端の研究の間をつなぐ「知の回路」がないともいえます。そんな中で、法律と経済学の連携の萌芽が見られるようになりました。経済学者は、「法律を変えたらどうなるか」を検討せずモデルを組み立ててきた経緯があります。最新のモデル構築のために、経済大国アメリカには経済学博士号と会社法の両方の博士号を持つ教授がたくさん排出されるようになっています。世界的には、会社法を経済学的に分析する方法が主流になりつつあります。日本でも経済学と会社法の両方博士号を持つ学者は増えてきているのです。異分野とコミュニケーションする力を持つ人は、社会の中でもチャンスが与えられやすい環境になっています。多様な知の連携には、研究者間の協力に加えて、研究者と行政の間の知の結集もふくまれるようです。行政の縦割りの弊害が、問題になっています。行政においても、学問においても、産業においても、異分野の融合が、これからの新しい分野を作り出しています。そして、連携や融合を助けるコミュニケーションの仕組みが、食事や飲酒の習慣に隠されているかもしれません。



SNSから人々のメンタルを探る  アイデア広場 その  691

2020-09-28 17:49:53 | 日記


 現代社会では、うつ病やパニック障害など精神面の不調を訴える人が増えています。企業にとっても、社員のメンタル疾患にどう対応するかは大きな課題になっています。職場の人間関係や家庭の問題など働く人々の悩みは多様になってきました。メンタルヘルスへの対応には、問題を未然に防ぐ一次予防、早期に発見し対応する二次予防があり、そして、治療や再発を防ぐ三次予防があるわけです。ストレスの少ない働き方や職場環境整備などの一次予防が重要になります。もちろん、二次予防や三次予防への工夫を重ねて、メンタルヘルスの維持には各企業ともに努力しているところです。メンタルの不調は誰にでも起こるものでもあり、そして治るものでもあります。どのような状態になった時に、不調を訴えるのか、その前段階で把握できれば、一次予防の段階で快癒できることになります。
 SNS (Social Networking Service)から知能や精神状態、生活習慣を見抜く実験に総務省傘下の情報通信研究機構が成功しました。ツイッターの投稿内容とアンケートの内容を、AIに学ばせたのです。実験では、AIが短文投稿サイトの情報から人々の内面を表す23種類の特徴を推定しました。学習を終えたAIは、ツイッターから人々の内面をあぶり出す規則性を次々と発見したのです。以前から、世界各地でこのような実験や研究が行われていました。フェイスブックは、個人の大まかなメンタルの傾向を推定できるとした報告を出していました。一般に、SNSの文章を分析し、「開放性」「誠実性」「外向性」「協調性」「神経症傾向」の大まかな傾向が把握できる技術はあったのです。この大まかな傾向は把握でき、その解析成果を「Big5」と呼んでいました。今回の情報通信研究機構の解析成果は、「Big5」の一線を越えたと見る専門家も多いようです。
 ネット上で行き交う短い文面から、その先の相手がどんな人かを確かめたいという研究は、世界各地で行われていました。今回は数百の少ないデータでも、AIを賢く用いることで、新たな手法の開発したことに高い評価が出たようです。この実験では、AIがツイッターの情報から人々の内面を表す23種類の特徴を推定しています。知能や性格のほか、統合失調症やうつ病の精神状態、飲酒や喫煙の生活習慣も読み取っています。たとえば、「いいね」をされた頻度が多いと「漢字の読み書きの能力が高い」とか、毎回のつぶやきで文字数のばらつきが大きいほど「統合失調症の傾向がある」とか、「飲む」「歩く」「時刻表」などの単語を多く使う人は「飲酒の習慣がある」とかの特徴を抽出しているのです。誰もがつぶやけるSNSは、今では社会参加のインフラになっています。そのインフラから、人の内面や健康状態を探り出す技術が開発されつつあるわけです。
 かつてフェイスブックの個人情報は、世論操作の標的となったことがあります。2016年の米大統領選では、民間企業が「いいね」の対象分野を5000項目に分けて調べたようです。フェイスブックの個人情報は世論操作の技術として、政治広告に使われたとみられています。また、2018年、うつ病の兆候をフェイスブックに並ぶ単語から3カ月前につかめるとする研究が発表されています。社内のSNSに流れる文章から、「うつ」の症状が現れることを3ヶ月前に予測できるとされるわけです。これが、高い精度で実現すれば、うつ病の対策が可能になります。SNSの情報から個人の特徴を読み取る技術は、年々進歩しているようです。一方、面白いSNSの発信方法もあるようです。ロサンゼルスにあるファッションハウスと大学が、共同でファッションデザインの授業を行っているのです。光ファイバーの衣装をデザインし、光のショーを演じる授業を行っているのです。たとえば、着ている人の脈拍の速さに連動して、光のショーが演じられるわけです。脈拍が早くなれば、赤の光が強くなり、脈拍が遅くなれば、青の光が優勢になるというものです。この光のショーは、ツイッター上のやりとりに表れる感情を分析し、それに沿って色を調節する衣装までも作成しています。SNSを分析するだけでなく、その結果を素早く色彩で表現できる技術も、実現可能になってきているのかもしれません。
 一人ひとりの従業員の可能性を引き出し、生産性やイノベーションを高めることは、企業の理想です。企業の発展と持続のためには、従業員の活気と生産性は必須の条件になります。長時間労働になっても、ギリギリまで努力した経験が成長につながることもあります。以前にはできなかった仕事ができるようになれば、自分の成長を誇らしく思うようになります。俗な言葉で言えば、一皮むけて、一人前になったといわれるようなものです。仕事のスキルをためには、ストレスにあえて身をさらさなければいけないときもあります。社員が心身とも健康な状態で働いてこそ、企業は発展できることになります。健康とは、仕事の成果を上げるためにも必要なものです。仕事のできない形だけの健康は、不健康を呼ばれるものになっていきます。満足する課題を少しずつ高めたり、増やしたりすることも、会社の仕事になります。
 人の内面を知る新技術を目の当たりにしたとき、人々の反応は2つに割れるようです。まず、先に立つのは薄気味悪さを感じる人がいます。SNSのつぶやきから内心まで分かれば、脳の中に監視の目がいきとどきます。そこに、不安と恐怖を感じる人が現れます。一方、Alの解析を「見張り」ととらえず、「見守り」と思う人にとっては、この技術が光明となります。このシステムを応用すれば、人々のストレスレベルを把握し、その分析も可能になります。もちろん、社員のメンタル面を調べることもできるようになります。一次予防の段階で、社員を癒すことができる道具になるわけです。この新技術は、産業や経済を大きく変えることになるかもしれません。





利益を上げながら楽しい心理状態になる  アイデア広場 その690

2020-09-27 22:24:19 | 日記


 1つのスキルで、長く職場で活躍する事は難しい時代になりました。副業をしながら、新しい職種のスキルをマスターする人たちも増えているようです。副業による収入が時給900円とすると、会社で残業する方が、時給は高くなります。でも、新しいスキルをマスターすると思えば、良いスキル獲得のチャンスになるかもしれません。時給9千円の仕事は、ピアノの調律や司法書士による登記の代行になるようです。資格を取るために時間と労力が必要になります。時給9万円以上の仕事は、市場分析や事業戦略立案支援などのプロフェッショナル・サービスになります。いくつかの高度な副業をこなさなければマスターできないスキルになります。米国スリーエムという会社には、有名な15%ルールがあります。この15%ルールは、勤務時間の15%を業務以外の仕事にあててもよいというルールです。米国では1つの分野に才能を持つ人が、他の分野でも活躍することは、賞賛されることなのです。もっとも、15%ルールを利用しようと思えば、本業の生産性向上が前提となります。
 本業へのプラスの影響を考えて、副業を推奨する大手企業が増えてきています。技術の急速な変化の中で、現在の持つスキルの賞味期限が短くなっているのです。副業をするとかしないにかかわらず、自らの人生を自らデザインする時代になってきたようです。これからは、自分にあったキャリアを選択していく中で、充実感を得る時代でもあるようです。副業を通じて作り上げてきたネットワークを、本業で活用する事例も増えています。働く立ち位置からすると、この会社からは「お金」を得て、あちらの会社では「やりがい」や「スキル」を獲得するという働き方が可能になるかもしれません。もちろん、企業にとっても優秀な人材は、必ずしもフルタイムの正社員とは限らないようです。重要なプロジェクトに参加してもらえれば、良いというケースもあるようです。このような人材は、有能であることが条件になります。
 有能な人材の条件は、時間をムダに使わないことが目安になります。使う時間の配分をできる社員が求められます。頭でわかっていることでも、書き出すことで、よりわかりやすくはっきりと確認できます。自分の目標を書き出せば、その目標を達成するために必要な時間配分ができることが大切になります。時間を無駄にしない行動様式も大切です。資料を、何十冊ものファイルに分類して管理しても、検索に時間がかかっては意昧がありません。複雑な分類法より、一冊のファイルにまとめたほうが分かりやすく、効率的です。整理には、誰にでも使いやすい明快さやシンプルさが求められます。求めのられているゴール地点から逆算して、どの仕事にどのぐらい時間を使うのかを決めます。決めたゴールを細分化して、その細分化した仕事をゲーム形式で処理しながら、ゴールに到達するのも面白いかもしれません。このような人材は、仕事の中に楽しみを見出しているわけです。
 仕事を抱えたまま、日曜日を過ごしても楽しくないものです。仕事を抱えたままでは、月曜日からの仕事が大変になるだけになります。そんなときは、休日出勤も楽しいものです。集中して仕事をこなすためには、不必要な外からの刺激をできるだけ遮断することになります。休日は、外部から邪魔な電話などの邪魔が入りません。この良好な環境の中で、たまった仕事を一気に処理してしまうことも選択肢になります。仕事も、軽すぎると力が付きません。かといって、過度の仕事量になるとつぶれてしまいます。適度な仕事量が、自分の能力を伸ばすことができます。平日には、適度な仕事量で、能力を高める訓練をしていくわけです。いかに短い期間で、仕事や趣味、そして家族などの満足度を最大化にするか目指すことも、長い人生には必要なことです。人生のあらゆる事を、70~80点程度に抑えながら、バランスよく楽しみたいものです。バランスよく生活していると、仕事の中でも、趣味の中でも、生活の中でも楽しいことが数多く見つけられるようです。
 余談ですが、現代社会ではメディアとの接点は重要になります。人々がメディアに求めているものは、新しい情報や気分転換というものです。これにこたえるものとして、時事ニュース,消費行動の広告,娯楽,生活トレンドに影響するドラマなどあります。会社は、人々が求める情報や気分転換を利用しようとします。たとえば、テレビコマーシャルを打つと、広告効果が生じます。テレビは、瞬間、瞬間の面白さを大事にするメディアです。分計というものがあって、一分間ごとの視聴率が出ます。視聴率が上がれば、これをさらに上げようとします。番組づくりの姿勢も、「いかにチャンネルを変えられずにすむか」が最大の目的になるようです。視聴率の低い番組は、途中で変えられることもしばしばです。マス・メディアは、大衆への見せ方に工夫を重ねてきています。でも、ここで一歩引いて、考えたいのです。テレビは、地上波とBSから1日数百の番組が流されています。テレビ局は、視聴率が高ければ放送を続け、低ければ打ち切ります。視聴者がなぜこの番組を見て、あの番組を見ないのかという理由の中に、次の商機があるように私などには見えてしまいます。見たというデータと見なかったというデータは、金の卵のように見えます。視聴率という見方から少し離れると、別の楽しい側面が見えてくるようです。ある意味で、楽しさはいつでも、どこでも見つけられるのかもしれません。
 一流のプロフェッショナルは、相手の「言葉以外のメッセージ」を感じ取る力を持つようです。ある老夫婦が、飛行機の窓際に座っていました。その窓際には、若い女性の写真があったのです。客室乗務員は、窓際の写真に気づき、写真とともに旅をするご夫婦に感動しました。その客室乗務員は「窓際の方にも、おひとつどうぞ」という言葉とジュースを差し出したのです。もちろん、老夫婦は感激しました。乗務員が感動しただけで、ジュースを用意するという行動がなければ、乗客に感謝されることはありませんでした。窓際の方にも、おひとつどうぞという行動をとったところに、感性に根差したサービスのすばらしさがあるのです。人の思いに敏感であることは、サービス業の基本になります。一流のプロフェッショナルは相手に「言葉以外のメッセージ」を伝える力も持っているようです。そして、伝えることで相手を楽しくし、自分も楽しさをいただくといううらやましい人たちなのかもしれません。
 現在のビジネスは、顧客、商品、課金の仕方、支払い方法、資源の5つの領域から収益を得るパターンがあります。たとえば、土地という資源を所有している有名大学の例を挙げてみましょう。イギリスのオックスフォード大学は、世界大学ランキングで3年連続1位に選ばれています。この大学が世界中から優秀な人材を集め、高度な教育を、有用な人材を輩出しています。すると、オックスフォード大学のある街全体の価値が上がり、不動産価格が上昇するという現象を引き起こしているのです。また、自宅で学習塾を開くと、原価や初期費用はかかりません。学習塾の評判が良ければ、受講者増えます。塾講師の能力(資源)が高ければ、無から有を生じるように利益を生み出していきます。顧客、商品、課金の仕方、支払い方法、資源のどの分野からでも、工夫次第でどんな分野においても、成功体験が享受でき、そして利益を上げることができます。利益を上げることが楽しいことであれば、工夫次第で楽しい心理状態になれるわけです。



人生100年を幸せに生きる工夫 アイデア広場 その689

2020-09-26 18:20:48 | 日記


 人生100年の時代に入り、できるだけ長い生活を幸福な状態で過ごそうという方が増えています。自分は幸福だと感じている人は、仕事の生産性が30%高く、創造性は3倍にもなるといいます。幸福感の高い職場は、生産性や創造性が高くなります。同じように、幸福感の高い地域は、文化の質が高くなり、創造性の豊かな地域になります。自分に取っての幸福が分かれば、その幸福の近くで働き、生活するようにすれば良いわけです。日常生括に不安がなく、環境が整っている地域は、幸せを用意してくれます。自然に健康になり、気晴らしもでき、災害のリスクが回避できれば、幸福が近づいてくるわけです。
 水害に襲われれば、幸せではない状態になります。他の人が水害にあえば、心ある人は心を痛むものです。最近の水害や津波で被害を受けた場所は、昔の人々が避けていた所で多くが起きています。海や川から適度に離れた高台には、水が押し寄せません。海や川の近くの場所は、利便性や得難い風景に囲まれています。そして、海や川の景色がよく見える付近は、危険な場所に様変わりします。水害や津波の記録は、古文書にあるものです。このような場所には、居住地を設けない理由があったのです。故人の知恵には、合理性があります。でも、現在は昔の海を埋め立てした場所に、コンクリートを大量に利用したマンションを増設しています。結果として、内水氾濫の災害をもたらしています。近年保険会社は、このような危険な地域の住居に対する保険金を高く設定する傾向も出てきています。
 新しい髪型やメイク法を考えているとき、今まで経験のないおしゃれに出会い、心ときめくときもあります。生きている限り、そしておしゃれをあきらめない限り、何回でも心ときめくときを経験します。そんな順調な時だけではありません。筋肉が落ちたため姿勢は姿勢も悪くなるし、うつむき加減に歩くようになるときもあります。急激に筋肉が落ちて、自慢のハイヒールが履けなくなるときもあります。でも、体調が良くなり始めた頃、筋トレやウオーキングなどを開始し筋力が少しずつ戻す努力を続けていくと、顔の表情も明るくなるときがやってきます。食べるものに気をつけ、頭皮マッサージや顔の筋トレなどにもトライするようになります。こんな上昇トレンドのときは、心ときめくものです。変化のときはやって来るそのたびに新しい可能性が生まれ、新しいおしゃれの扉が開くわけです。そこには、幸せの波が押し寄せてきていることを実感するものです。
 コップスは関連性もない、別々のものを引き合わせることで新たな価値を創造する能力になります。外から入ってくる断片的で一見価値のない情報を、即座に価値のある情報に変えてしまう能力ともいえます。ここに、「もったいない」という価値観で、あるものを有用なものに変えることができれば、楽しいことになります。東武動物公園に、体長3.5mのフクちゃんというビルマニシキヘビがいます。この長いヘビは、月に一回くらい脱皮するのです。あるとき動物園では、脱皮したヘビの皮を何かに利用できないかと考えたようです。昔から、へビの抜け殻をお財布に入れておくと金運がよくなるといわれていました。そこで、このヘビの抜け殻を「お金が貯まるヘビの皮」として200円で売り出したら、動物園の人気グッズになったのです。「もったいないという価値観」と「お金が貯まるヘビの皮」を見事にドッキングさせたわけです。価値のなかったものを価値あるものにした時、幸せのひと時がやってきます。
 何が快適で、何が不幸せかを自分自身で確認しておくことは大切なことになります。快や不快の経験の中から、自分に適した快や幸せを選択する能力を磨いていくわけです。今回のGOTOキャンペーンでは、高級ホテルが人気になっています。高級ホテルや旅館の良さを、体験する良い機会になっているようです。ベイスオブザピラミッド(BOP)の人口は、40億人を超え、世界人口の半分を占めると言われています。BOPは、所得において底辺を構成する人々です。このレベルより、さらに低い国際貧困ラインは、1日1.9ドル以下とする見方があります。1日1.9ドル以下で暮らす世界の貧困人口は、2002年に16億人でした。近年は、8億人程度になったと言われています。高級志向の体験と貧困の体験は、快や不快を認識する選択肢になるかもしれません。
 近代世界は、市民革命と産業革命、そして国民国家の形成という3つの出来事から成立したと言われています。この中に流れるキーワードは、進歩です。進歩をよしとし、進歩のうちに生の充実を求める感性は、近代社会の全体に浸透しています。進歩主義は、効率や迅速を求めます。でも、この効率主義に疑問も出てきています。進歩主義は、平穏さを乱し、安らかさを壊す可能性の大きいというのです。進歩主義によると、自分が幸せだと感じる基準がどんどん高くなっていくのです。最初は、自転車で満足していたものが、バイクになり、バイクがだめで自動車になるという具合です。自分にとって幸せだと感じる基準が上昇していけば、永遠に満足できない状態が続くことになります。幸せだと感じる基準をすごく高く設定してあると、それ以下の生活は不幸になってしまうのです。進歩を推し進める競争、緊張、労苦、忍耐の要素は、幸福の基調たる平穏さとうまく折り合うものではないようです。ある意味で、幸福は華々しいものでも晴れがましいちのでもなく,必死になって求めるものでもないものかもしれません。
 幸福は、財産がたくさんあるとか、地位が高いとかに属するものではありません。熱を帯びた幸福や幸福への願いは、幸福の本性にそぐわないようです。幸福は、穏やかさ、安らかさ、ゆるやかさを基調とするもののようです。楽しさや幸福を上手に実現するためには、計画性も大切だといわれています。幸福とは、ものすごく大きな塊ではなく、小さな喜びを重ねていくものといわれるようになりました。幸福は、小さな感動や喜びが少しずつ積み重なって形成されていくというのです。であれば、小さな喜びを見つけることのできる人、小さな喜びを作れる人、人に小さな喜びを与えることのできる人の住んでいる地域に住めば、幸福な生活を末永く送ることができるかもしれません。



内水氾濫の脅威と分散避難  アイデア広場 その 688

2020-09-25 17:45:55 | 日記


 内水氾濫の脅威が注目されるきっかけになったのが、2000年9月11日起きた東海豪雨でした。愛知県東海市で、1時間雨量114ミリを観測 したのです。 名古屋市で、1日降水量428ミリの観測は、これまでの最高記録の約2倍にあたるものでした。被害概況は、全壊31棟、半壊172棟、床上浸水22,894棟、床下浸水46,943棟に及んだのです。約22万世帯の58万人に避難勧告・指示が出されました。避難者が、約6万5千人の方が避難所に避難したのです。被害額は、約8,500億円に及ぶものでした。ちなみに、内水氾濫は、排水できなくなった雨水が下水道や側溝からあふれ出す現象になります。東海豪雨では、東海道新幹線が220本運休し、駅と駅の間で34本の列車が停止するにいたりました。気候変動で豪雨災害が激しさを増す中、市街地での「内水氾濫」が頻発しています。内水氾濫は、コンクリートに覆われた都市部において、特に起こりやすい現象になりつつあります。
 ちなみに、東京都の水害に限ると内水氾濫の被害額が、71%を占めているのです。2019年の台風19号では、武蔵小杉のほかに130以上の自治体で内水氾濫による浸水が発生しました。一部のタワーマンションは、電源設備が水につかり、電気や水道は1週間以上途絶えました。市街地が水没すれば、密集する家屋や事業所が被災するリスクは大きくなります。地下空間が浸水し、電気設備や交通、物流のインフラに障害が発生する恐れがあります。東海豪雨などの都市災害を参考にして、多くの自治体が排水機能を高めるポンプや雨水をためる地下空間の整備を進めてきました。でも、大都市のインフラを守る対策が十分進んだとはいえない状況です。ハザードマップの重要度が高まっていますが、作製が間に合っていない自治体も多いのです。
 大きな水害が発生すれば、一般家庭の被害も大きくなります。建物などに被害を受ければ、すぐに元の状態にしたいと人は思います。でも、建物損壊をすぐに元通りにすることができない事情もあります。建設関係の労働者が、減っているのです。2025年度の建設技能労働者は216万人になり、2014年度に比べて37%も減ると推測されています。災害地に建設関係の労働者を派遣する余裕は、現在の日本にはないといえます。建築の分野では需要があるからと言って、すぐに供給が行われる状況にはないのです。供給能力を上回る需要が起きれば、建築資材の高騰や人件費の高騰を招く結果になります。建築資材を現地に運ぶことも、スムーズにいかない事情もあります。流通システムにおいても、ドライバー不足が深刻です。災害地への支援も、ままならない状況が現実の問題として存在しています。
 気象状況の変化も、心配事です。21世紀末の地球の平均気温が、産業革命の時代から4℃上昇すると計算した専門家もいるようです。近年、気候変動や海面水温の上昇が続いています。大規模な台風や豪雨が、発生する危険性は高まっているのです。もっとも、世界の熱帯低気圧の発生数は少ないともいわれています。でも、非常に強い熱帯低気圧の数は増えるという統計もあるのです。温暖化で、大規模な大気の流れの変化が見られます。特に、日本上空の偏西風が北の方向に移動しているのです。偏西風の北上は、台風を動かす風が中緯度帯で弱くなることを意味します。偏西風が弱くなると、台風の移動速度が下がる要因なると考えられるのです。台風の移動速度が遅くなれば、風雨にさらされる時間が増え、災害が受けやすくなります。高い海水温からは多量の水蒸気を陸地にもたらされます。いわゆる豪雨です。強い熱帯低気圧の発生は、その最大風速や降水強度が増す可能性が高いとされるのです。
 気象庁の気象研究所は、太平洋側に接近する台風が増えたとする分析結果を公表しました。1980~2019年の過去40年間の観測データを使って、日本に接近する台風の特徴を解析したのです。太平洋側の地域で、1980~1999年の前半20年間と比べて2000~2019年後半20年間の台風の年平均の接近数が増えたことがわかります。前半の年平均1.55個から、後半には同2.35個と1.5倍となっているのです。地域別では、静岡は1.4倍、名古屋は1.3倍、和歌山と高知は1.2倍に増えています。気象庁の研究チームは、台風の移動速度が平均で10%遅くなるとの予測をしています。東京付近では、台風の平均移動速度が現状の毎時36kmから32kmへと約10%下がるというのです。台風の移動が遅くなれば、風にさらされる時間が長くなり、災害の危険性が増すことになるわけです。
 先日、知人から福島市の水害について、話を聞く機会がありました。彼の住んでいる地域は、2019年10月12日から13日にかけて阿武隈川に沿って北上してきた台風19号によって被害を受けた場所でした。今年に入り、この地区でアンケート調査があり、その結果を教えてくれました。その一つに「警戒レベル3が発令されたときに、自宅を離れて避難しますか」という質問がありました。この回答に、興味を持ちました。ちなみに警戒レベル3とは、「大雨・洪水警報」や川の「氾濫警戒情報」などが発表され、自治体からは「避難準備・高齢者等避難開始」という情報が出されます。この情報が発表されたら、お年寄りや体の不自由な人など避難に時間がかかる人は避難を始めて下さい。そのほかの人も避難の準備をしたり自主的に避難を始めたりする段階というものです。知人の地域の40%の方は、避難すると答えています。一方、60%の方は避難を考えていないようです。その中で印象に残った意見がありました。「・・・・でも、目の前のあの川の流れを見ると、それだけで不安感が高まります。避難する意志はあるものの、現実的には困って、家にいるように思います・・・」実際に、突然の災害が襲ってきた場合、それに対処するにはかなりの体力と実行力がなければできないようです。近年の災害から学ばされることは、分散避難が原則だということのようです。避難は、自らの避難先を自分で決めるべきだということです。避難先は、安全な自宅の2階に避難する在宅避難を第一に選択します。第二に、知人宅やホテルなどの自宅外避難を選択します。第三に、一と二がかなわない場合、指定された避難所を選ぶということになるようです。
 2020年9月に発生した台風第10号は、日本に接近後に朝鮮半島に上陸した台風です。一時は「大型で非常に強い」台風となったことから過去最強クラスと言われ、特別警報の発表も予想されました。今回の台風10号ではホテルや親戚・知人宅、安全な自宅などに分散する形式の避難が増えました。政府の「GoToトラベル」の割引適用もあり、各地のホテルには宿泊予約が殺到したのです。この台風では、ホテルなどに分散して避難する「分散避難」が初めて大規模に実施されました。ホテルに避難された方は、停電もなく食事も提供され、安心感があったと述べています。満室で、ホテルを利用できない人も多かったのです。内閣府は、ホテルや親戚や知人宅、安全な自宅などを含む分散避難を検討するよう通知しています。台風10号の接近した福岡県東峰村は、親戚や知人宅への避難を推奨していました。今回の分散避難の増大は、避難先の事前検討や在宅避難を想定した食料の備蓄などの課題も浮かび上がってきたのです。高齢化の進む地域では、高齢者自身が安全に非難する仕組みをいくつか作っておくことが求められるようです。




南シナ海での米中軍事演習のバランスシート アイデア広場 その687

2020-09-24 18:02:50 | 日記


 中国の軍事費は、増大しています。総合的に国力が増大すれば、国境の境界は大きくなり、弱くなれば国境は小さくなると考える国もあるようです。中国は、軍事費の増大に伴い海軍を増強し、自国の領土を広げようとしています。この国は、国際問題で自国の利益に合致しない国際ルールは遵守しないという態度をとることが多いのです。以前、アメリカとソ連においても、互いに突っ張り合って軍艦同士が衝突する事件がありました。東シナ海や南シナ海の小競り合いは、アメリカとソ連の衝突をほうふつさせます。中国は、自国にとって不正義であるならば、現状は変更されるべきだという主張を持っています。この国にとって現状は、あくまで「不正義」なのです。
 中国は、アヘン戦争に敗れていなければ、当時において世界のGDPの20~30%を占めていた大国でした。アヘン戦争に敗れたために、領土を縮小されてきたという意識があります。中国沿岸部では、植民地の様相を呈し、インド国境ではインドに浸食されたという意識があるのです。アヘン戦争の原因は、イギリスの輸入超過にあったのです。イギリスに広まったお茶の代金は、清国に銀で支払うシステムでした。お茶の代金を節約しようとして、イギリスはインドでアヘンを生産し、お茶の代金の代用としたのです。清国は当然これを拒否し、戦争になり敗北に向かうことになりました。中国は、アヘン戦争以来の中華民族の屈辱をいまだに晴らされていないと考えています。この国にも国連海洋法条約があり、批准しています。でも、中国は国連海洋法条約が欧米に押しつけられたものだから、従う必要はないとしているのです。これが、日本や東南アジアでの小競り合いの原因になっています。
 2020年7月上旬、中国軍が珍しい注意分散作戦の動きに出ました。南部戦区司令部配下の部隊が7月1日から5日にかけて西沙諸島で演習を開始しました。東シナ海では、台湾と日本などを含む地域を担当する東部戦区の部隊が同時に演習したのです。7月ほぼ同時期、黄海では中国北部や朝鮮半島方面を管轄する北部戦区の部隊が演習始めます。中国軍は、7月、インドの国境地帯で緊張状態にあったのです。中印国境、南シナ海、東シナ海、黄海の「4正面」で、一斉に軍を動かしたことになります。中国は、1950年代初頭、朝鮮戦争に介入しました。このとき、世界の目は朝鮮戦争にそそがれていました。この裏で、中国はチベットを一気に武力併合してしまったのです。中国の注意分散作戦は、注意しなければならない軍事事項になっています。
 そんな中、中国軍の注意分散作戦に目もくれず、アメリカ軍の2隻の空母が、7月4日に南シナ海で大演習を始めたのです。米空母ニミッツとロナルド・レーガンが7月4日、南シナ海で8年ぶりの大演習を始めました。空母1隻の演習と2隻のそれでは、意味合いが異なります。アメリカ軍が、演習の場に南シナ海を選んだのにも理由があります。このアメリカ軍の演習は、艦載機などを使って静止目標の中国の人工島群を瞬時に粉砕する攻撃演習でした。アメリカ軍の演習は、艦載機などを使って中国戦略原潜を丸裸にすることを可能にしたともいわれています。それを見せつけるように、8月中旬、アメリカの衛星画像企業が、海南島にある潜水艦基地の入り口の画像を公表したのです。有事になれば、中国の潜水艦が逃げ帰る場所もなくなるとのメッセージを中国に発したわけです。
 中国の沿岸部にある天津から香港までには、この国の富である人材、資金、技術資源、エネルギーが集中しています。南シナ海は、中国が第一列島線を越える縦深性のある緩衝地帯としての役割を果たしています。縦深性とは、攻撃側の前進を遅らせ時間を稼ぎ占領地の増加による敵の消耗を目的とする地帯になります。さらに、中国軍にとって南シナ海域は、米中有事の際に最後まで温存したい海域になります。南シナ海域は、SLBM搭載の戦略原子力潜水艦を展開させる場所になるのです。SLBMは、潜水艦発射弾道ミサイルで、潜水艦から発射する弾道ミサイルを指します。また、核弾頭を装備する戦略兵器であり、爆撃機および大陸間弾道ミサイルと並ぶ主要な核兵器運搬手段です。この最終兵器のSLBMを守る聖域を南シナ海に作るために、ここに中国軍は人工島群を建設しました。中国軍は人工島群を建設し、ミサイルや戦闘機で守りを固めてきたのです。空母キラーの異名を持ち、命中精度が極めて高いとされる中距離弾道ミサイルも配置しています。要は南シナ海に、最後の報復手段であるSLBMが残っている限り、アメリカ軍が中国国家中枢への核攻撃をためらうだろうという思惑があります。
 アメリカと中国軍は、中は7月から9月にかけて、南シナ海などで大規模な軍事演習の応酬も繰り広げました。この一連の演習から、「米中有事」に双方がどんな軍事作戦を展開するかの手がかりが見えてきました。空母1隻に通常は2隻程度が随伴する攻撃型原子力潜水艦がとどめを刺す戦争計画が示されていたのです。空母1隻だけだと、敵の攻撃で甲板が使えなくなり、出撃していた艦載機が着艦できなくなります。南シナ海のSLBMさえ無力化できれば有事や平時を問わず中国の立場を大幅に弱められます。アメリカ軍のSLBM部隊は、中国軍の手の届かない海域にあります。報復で中国軍がグアムなどを攻撃しても、アメリカ軍のSLBM部隊は無傷で残ることになります。軍事の世界では実践で使われない兵器こそ、最良の兵器という考えがあります。今回は、その戦術の一端を垣間見たようです。
 これからも、中国の軍事費の増加と海外進出のニュースは話題になります。国際政治の本質は、富と資源の分捕り合戦ともいわれています。デマや捏造の情報を流し、自国に有利なシステムを作り、富が自国に流れるようにする仕組みの構築に、大国はしのぎを削っています。中国の人口ボーナスがなくなり、富の分配が今までのように贅沢にはいかなくなります。今後の中国は、内部からの政治的にも社会的にも変化を余儀なくされてきます。このような事実を的確に把握しながら、中国を理解することになります。事実の積み重ねから、中国との交渉術を周辺国は作り上げていくことになります。中国で起きる事件は、確度の高い情報を基に観察する叡知が求められます。感情論を排した判断を積み重ねなければなりません。日本は一筋縄ではいかない手強い交渉相手という認識を中国が持つようになれば、一つの抑止力になるかもしれません。

ダリアで町おこし  アイデア広場 その686

2020-09-23 17:56:34 | 日記


 花卉(切り花)消費は、国内ではクリスマスなや彼岸などの時に伸びます。切り花の単価の変化は激しく、経営が不安定になる弱点があります。平常時は、切り花の単価が低いレベルで推移しているのです。生産者の経営の安定には、花の栽培と稲作や大豆などを使う味噌作りなどを織り交ぜながら、通年を通して生産活動を行うことになります。そこに、追い風が吹いてきました。日本の切り花が、海外から認められるようになってきたのです。需要期が異なる海外への販路が開くことができれば、経営の安定につながります。花卉の輸出が加われば、通年の活動がより円滑になり、農家の収入が増えるというわけです。高品質の切り花を必要なときに、必要な量を正確に供給できる技術をもてば、海外からのニーズに応えることができるようになります。
 切り花の国内生産額は、2000億円程度になり、切り花の輸出額は、100億円程度です。2020年に入って、海外との取引は、1社当たりの販売額が減っています。でも、販売額は2019年と同程度の売り上げになる見込みのようです。コロナショック時においても、癒しの効果がある切り花への需要が増えているという事情がありす。切り花の世界市場は、キクやバラ、カーネーションなどがよく知られています。その中で、日本産は同じキクでも、平均相場より高い評価を勝ち取っているのです。日本特有の品種が評価されて、今後とも輸出は増加する傾向にあるようです。
 そんな切り花の市場で、注目されている町があります。福島県の南部にある塙町は、東京の大田市場に年間20万本以上のダリアを出荷しています。この町の農協は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けての販路拡大をもくろんでいました。オリンピック前の2017年9月には、花卉栽培の国際認証システムのMPS(人にも環境にも配慮した花卉認証システム)の仮認証を受けました。MPSは花卉の先進国オランダに本拠地を置く団体が認証を行っています。この認証は世界51カ国で運用され、花卉の生産者や生産者を対象にした国際規格になります。認証取得には、農薬、肥料、重油、電気、水、そして廃棄物などの管理が求められるのです。生産者は、竹の粉末や貝化石肥料を入れた土壌で栽培をするなどの工夫をして、優れた花卉を栽培しているわけです。塙町はダリアのほかに、季節に応じて山から切り出したドウダンツツジや桜を出荷しています。
 塙町の生産技術に、目を付けた企業があります。「FLOWER KING (フラワーキング)」(塙町)は、花卉の輸出を手掛けている企業です。輸出は2017年に開始し、当初1千万円強だった年商が、2019年に約2億円に拡大しています。この会社の社長は東京都内で花店を経営後、2004年に中国に進出しました。北京を拠点にペット関連事業などを手掛け、現地で商売のノウハウを吸収したのです。2012年に、北京で花の小売りを開始します。流通過程を精査した結果、自前で輸出会社を設けた方が、コストを抑えられると判断し、2018年に都内に日本法人を設けます。2019年には、花の仕入れ先だった塙町に本社を移すという経過をたどります。福島県の市町村から集めた花卉類を、塙町から借りた閉校小学校の校舎で梱包します。
 塙町で梱包してトラックで羽田空港や成田空港に運び北京や上海、広州、香港に空輸するのです。流通コストを減らし、輸送期間も短縮することで、現地での品質や価格競争力を保つ工夫を重ねています。塙町のダリアだけでなく、浪江町産のトルコギキョウ、昭和村産のカスミソウの取り扱いも始めています。須賀川市産のユキヤナギ、川俣町産の観葉植物、アンスリウムの取り扱いも始めているのです。県内各地から花を集めて自社で梱包、航空便などで中国に直送し、現地法人が販売する流れです。梱包時は花や木が傷まない範囲でできるだけ多く箱詰めします。花と混載することで輸送コストを軽減できると言います。
 世界の潮流は、環境に優しく、経済的に貧しい人々を向上させる仕組みを賞讃する流れになっています。花の町「はなわ」をさらに発展させる仕組みを考えてみました。花の町「はなわ」に、ケニアとエチオピアから技能実習生を受け入れる発想がでてきます。海外の技能実習生に、ダリヤの栽培技術を身につけてもらうのです。もちろん、トルコギキョウ、カスミソウ、ユキヤナギ、アンスリウムも対象になります。通年を通してダリヤをはじめとする花卉類を供給する体制を整えるわけです。技能実習生が一定の技術をつけたら、ケニアとエチオピアの母国に帰国してもらって、ダリヤなどの栽培を行ってもらいます。塙町とケニアやエチオピアで、気候の状況を見極めながら生産調整をしていくわけです。上海や北京との取引が順調にいくようになれば、直接ケニアやエチオピアから上海に集荷することも可能になるでしょう。アフリカなどの新興国の人々の雇用を確保しながら、塙町も豊かになる仕組みです。
 ケニアとエチオピアは、花卉の輸出で有名な国です。この国で生産されたバラは、中東経由で東京や大阪の花屋さんに運ばれてきます。切り花は、ケニアなどの他にも、コロンビア、エクアドルケニアなど赤道付近の温暖な国で大量に生産されています。コロンビアなどの国は、単一品目を周年栽培し、消費地となる先進国向けに出荷しています。温暖なこれらの国々ならば、化石燃料を使わずに栽培は可能でしょう。農薬や燃料の使用量を抑えた生産が、環境を配慮する上からも求められているわけです。これらの国から技能実習生を招き、基礎から栽培スキルを身に付けてもらうわけです。幸い、塙町の近くの矢吹町には、農業短期大学校もあり、花卉に関する科目を受講できる環境が揃っています。基礎からスキルをつけたいという場合、矢吹町にある農業短期大学校で受講することもできます。海外で生産されたダリヤなどの花卉類は、中東から沖縄に空輸され、沖縄から福島空港を経由して、陸路で東京に出荷することも可能になります。塙町と海外の各所で生産されたダリヤなどの花卉類を、通年を通して消費地に供給できるようになれば、安定した生産と販売を確保することができます。豊かな生産地になることも、夢ではないようです。


ファンタジアランドにおけるトット記者の文章の作り方   令和2年9月23日

2020-09-23 11:17:29 | 日記


今まで、1500を超えるブログを書いてきました。
最近、このブログ1500の内容の中から、2つか3つを合体して文章にすることもあります。
このようにして出てきたものが、ファンタジアランドのお話になります。
基本は、参考文献の中の気に入った部分を40文字以内の1行で文章にまとめます。
気に入った文章は、一つの本から10~100行程度作ります。
40文字以内の1行の文章を1万行ぐらいで、ひとまとめにします。
1万行の中から問題意識とかかわりがある文章を25~100行選びます
この25~100行を並べ替えながら、相反する文章や時事問題からアイデアを出します。
最近は日経新聞の話題から具体例を引き出して、アレンジすることが多くなりました

余談ですが、どうしても新型コロナウイルスの話題が多くなります。面白いのは、今までの社会で当たり前のことが、コロナショックで当たり前でなくなったことです。そのことによって、不利益を受けた企業が増えました。でも、当たり前でなくなったことによって、多くの利益を得ている企業も出現してきています。ある意味で、ブルーオーシャンのビジネスチャンスが生まれているともいえます。このチャンスを生かす企業に注目していきたいと考えています。


参考文献 

もったいない主義 小山薫堂 幻冬舎新書 2009.3.30
生物模倣 アミーナ・カーン 松浦俊輔 訳 作品社 2018.5.25
学力格差を克服する  志水宏吉 ちくま新書 2020.8.10
ブロックチェーン 岡嶋祐史  ブルーバックス 2019.1.20
一生使える服選び 森本のり子 宝島社  2016.4.25
家族の実力 柏木 哲夫  幻冬舎 2007.12.20
盲点力  多胡 輝  新講社 2004.4.12
公務員はなぜ認知症になりやすいのか 長谷川嘉哉 幻冬舎新書 2013.9.30
対論!生命の誕生 高井 研  他 インターナショナル新書 
プログラミングができる子の育て方  竹内 薫  日本実業出版社 2018.9.1
音楽が聴けなくなる日 宮台真司 他  集英社新書  2020.5.20
超時短術 越川慎司  日経BP  2019.9.2
考え続ける力 石川善樹  ちくま新書 2020.5.10
人的環境のユニバーサルデザイン 阿部利彦 他 東洋館出版社 2019.11.11
反穀物の人類史 ジェームズ・C・スコット 立木 勝 訳 みすず書房 2019.12.19
芸術人類学講義  鶴岡真弓  ちくま新書  2020.3.10
エンジェル投資家とは何か 小川悠介 新潮社 2019.12.20
SDGs時代のゴミ問題 松藤俊彦 丸善出版  2019.12.20
続ける力  伊藤 真  幻冬舎新書  2008.3.30
水道、再び公営化! 岸本聡子 集英社新書 2020.3.22
私たちが食べる動物の命と心 バーバラ・J ・キング 須部宗生 訳 緑書房 2020.3.1
プロフェッショナルの仕事術 妹尾昌俊  学事出版  2019.9.6
学びの羅針盤 吉川雅子 他 丸善ライブラリー 2020.1.30
アクティブ・ラーニングとは何か 渡部 淳  岩波新書  2020.1.21
暮らしは今日も実験です 本多さおり 大和書房  2019.3.3
一生モノの読解力 福島美智子 他 実務教育出版 
リハビリ 長谷川 幹  岩波新書  2019.7.19
地域が育てる科学の芽 藤嶋 昭  学研 2018.12.11
子どもを輝かせる10のお話 日野原重明 実業之日本社 2007.12.10
ソーシャルメディアの生態系 オリバー・ラケット 他 森内 薫 訳 東洋経済新報社
2019.9.7
免疫と病の科学 宮坂昌之 他 ブルーバックス 2018.12.20
おいしい料理は愛情と工夫から 源川暢子 日経BP社  2019.3.15
人生を輝かせる10のお話 日野原重明 実業之日本社 2007.12.10
交通情報となりわい 平川 南  吉川弘文館 2020.2.10
こころの人類学  煎本 孝  ちくま新書 2019.3.10
ロボットとシンギュラリティ 木野 仁   彩図社 2019.9.20
異文化理解の問題地図 千葉祐大 技術評論社 2019.3.21
スピーチ・ツリー 眞山徳人  洋泉社  2017.5.16
超テニス観戦術 神谷勝則   カイゼン  2020.2.27




アイデアの発想過程を視覚化する方法  アイデア広場 その 685

2020-09-22 17:51:38 | 日記


 アイデア作成には、一連の過程があります。これは、既存の要素を新しい組み合わせでつくり出すことができます。アイデアを作り出したい人は、データをできるかぎり収集します。この時に、本や新聞と接する量の多いとか少ないとかによって、データの格差が生じることがあります。次に、収集したデータの組み合わせを、徹底的に考えに考えます。次が難しいのですが、いったん考えたことを忘れて、潜在意識にデータの組み合わせをまかせることになります。いわゆる「寝かせる」とか「熟成させる」という期間を準備することになります。この期間が、どれくらいになるかは、なかなか難しいのです。でも、この作業を人に、必ずアイデアが湧いてきます。散歩をしている時とか、お風呂に入っているときに、ふとアイデアが顔を出してきます。この瞬間を捕まえないと、アイデアに逃げられてしまうことを、アイデアマンは経験済みでしょう。アイデアを捕まえ、次にそれを誰にでもわかるように具体化するという流れになります。もし、このアイデアが熟成されている期間やアイデアが出てくる瞬間を視覚化できれば面白いことになります。
 この面白いことを実現するヒントが、「コウイカ」にあるようです。このコウイカは、コウイカ頭足綱に属し、無脊椎動物の中でももっとも知能が高い動物なのです。コウイカは、変装の名人です。どこを泳いでいても、海の中の背景に溶け込むことができるのです。この変装の名人は、青や茶色、ピンク、白の色調を様々に変えらます。幅広い迷彩パターンも、つきつめるとすべて3つの基本的型に収まるといいます。コウイカの見事な迷彩は、天敵の捕食動物への対応として発達したものでしょう。もちろん、コウイカの皮膚の色は、求婚を目的にした場でもその能力を発揮します。迷彩色を自由に操るものが、求婚においては優位な地位を獲得します。周りの環境の変化や自分の中の変化が、皮膚の色という形で表現できる動物ということができます。このイカの皮膚は、色に関して多機能の能力を発揮できるわけです。人間の衣服も、コウイカの皮膚のように多機能になると面白くなります。
 この面白いことをやろうとした大学とファッション店があるのです。コウイカを念頭に、ロサンゼルスにあるファッション店と提携している大学があります。光ファイバーによる光と色を織り込んだデザインの授業を、双方向的に行っているのです。衣装デザインの一つは、着た人が回転すると、地球の磁場に応じて色が変わるというものです。コウイカの迷彩パターンが、光ファイバーと磁場の変化で変わるのです。コウイカの汎用迷彩模様が、ファッションの素材を用意しています。もう一つは、衣服を着ている人の脈拍の速さに連動して光のショーが演じられるというものです。脈拍が早くなれば、赤色の華やかな色が現れたり、脈拍が落ち着いていれば、青色になるというものです。さらに、ツイッター上のやりとりに表れる感情を分析し、それに沿って色を調節する衣装を作っているのです。感情の変化が、衣服の色が変化することによって、視覚化されるというものです。脈拍の状態や感情の変化を、着ている服の色で表すことができれば、自分の情況を自分が把握できるわけです。もちとん、他人にもわかってほしい場合は、他人に服の変化を見てもらえば良いことになります。
 IT革命が起こってかららは、脳が集中的に疲れる「脳疲労」が、顕在化しています。勤労者の過半数が脳疲労状態にある事態は、人類史上で経験したことのないものです。パソコン作業では、耳・鼻・舌・皮膚といった目以外の情報処理器官の重要性が低下しています。現在主流のパソコン作業では、情報が目から脳に直接行くだけの刺激に限定されています。脳の疲労が、蓄積しやすい作業パターンになっているのです。脳疲労は、眠りにつくまでに難問が待っています。脳が活動状態にあり、眠りの状態にスムーズに移行しない状態を、過活動状態といいます。過活動状態の脳疲労は、睡眠が取りにくい状態になっているのです。脳疲労が問題になっているとすれば、人間の英知はそれを取り去る方法を開発すれば良いわけです。過活動状態の脳疲労の解決には、経験則があります。激しい肉体疲労の場合、お風呂に入り、マッサージなどをおこない、疲労を取り除きます。マッサージで筋肉の疲労物質を取り除くことができれば、肉体はスムーズに眠りにつけます。脳疲労の場合、肉体的疲労を経由してから、眠りを確保するという流れになるわけです。肉体が眠りにつけば、脳疲労は軽滅するという理屈です。
 この疲労の蓄積過程を素早く把握できれば、過労に至る前に対策をとることができます。疲労を血液検査などで調べることも、一つの方法になります。でも、疲労の手前、疲労、過労、命に係わる状態などのレベルを、服装の色彩で分かれば、対策を取りやすいことになります。我慢強い人は、無理をしがちです。周りが、その疲労の度合いを把握できるようになれば、個人でだけでなく、集団として対策を立てることができます。脈拍の状態や感情の変化を、服の色で表すことができることが可能であれば、疲労も服の色で表すことが可能になるかもしれません。
 笑いと泣くこと、喜びと悲しみも人びとのストレス軽減を可能にすることが分かってきた。笑いや悲しみは、精神的ストレスを軽滅する働きのあることが研究のすえ分かってきたのです。落語には、人を笑いに誘い込み、泣かせるものもあります。感情には、喜びという単体で存在することもありますが、複合という形で現れることも多いのです。喜びと悲しみの複合は、ストレス拡散に非常に効果があるといわれるようになりました。人間の感情には、喜び、高揚、幸感、快感、悲しみ、落胆、修、恐怖、不安、怒りがあります。これらのストレス解消法は、これからの社会では有効に使われることになります。疲れているレベルがわかれば、より効果的に笑いや運動療法が使われることになります。コウイカの変装術を、疲労の視覚化に利用することは、その一つになるかもしれません。