ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

外国人労働者を長期間定着させる仕組み アイデア広場 その 468

2019-05-21 15:59:55 | 日記
  
 日本の労働力は、現在はもとより、将来にわたって不足すると予想されています。人手不足の場合、青田買いの奪い合いが起きます。現在、優秀な人材の青田買いが横行しています。青田買いが始まると、企業は人材確保に消耗戦を繰り返すことになります。そこで、人材の争奪戦で消耗しないように、企業と大学の間で協定が結ばれます。でも、協定はいずれ形骸化します。時代が求める人材が、変化してきているのです。変化は、協定の想定する状況を超える環境になってしまいます。今の労働市場は、外国人労働者なしではビジネスを持続できない実態があります。
 そこで、外国人労働者の受け入れとその定着について考えてみました。外国労働者が増えれば、事故は増え、問題は確実に増えます。何らかの対策で、事故が全てなくなるということはありません。事故は必ず起こるという認識で、外国人の労働者を受け入れることになります。外国人労働者の多い自治体では、すでに独自の制度を設けているようです。例えば、外国人の方が困ることは、病気です。病気になり、病状を説明する場合、患者も医者も言葉の問題が出てきます。そこで、日本語の分かる母国の方が、安い料金で通訳を引き受けているのです。医療の現場で、言葉による意思疎通が可能になれば、その地域は外国人労働者が働きやすく住みやすい場所になります。医療通訳の存在は、大きな意味を持っているわけです。
 優秀な人材は、どの企業でも、そして地方の市町村も求めています。日本は、生産年齢人口が減少していく国です。多くの地方は、外国人労働者を必要としています。でも、彼らは地方よりも大都会に働く場所を求めるようです。地方と大都会には、ミスマッチがあります。このミスマッチを少なくする工夫を、知恵ある自治体は考えるようです。人材の奪い合いで、選ばれる国にならないといけません。フィリピンやインドネシアの人びとが、日本や韓国、そして台湾に出稼ぎに行きます。当然、その待遇を比較しています。以前は、日本を選ぶ人が多かったのですが、現在はそうでもありません。日本という名前だけでは、外国人を雇うことは出来なくなっているのです。つまり、出稼ぎをする国を選ぶ段階での選択と日本国内での選択を経て、日本で働いてやるという気持ちで日本にやって来るという状況になりつつあるのです。
 知恵ある自治体は、外国人が働きやすい環境を整えていきます。医療通訳の配置などは、その初歩的配慮になります。地域の生活を安心安全に暮らすことができるリーダーを育てておくことも大切になります。できれば、リーダーには外国人になってもらうことです。今の学校は、人と違うことができない縛りがでてきます。外国の方は、その縛りがありません。均一な教育よりも多様な教育ができる人を、リーダーにするわけです。例えば、ベトナム人の労働者が多い場合、ベトナム人の方をリーダーにするわけです。職場には不満や不快なことがあります。外国人労働者の方が、職場や地域に不満を持つことは当然でてきます。それに耐えることも必要ですが、ストレスを発散させることも大切になります。自治体は、リーダーを通して地域の外国人労働者のストレスを上手に軽減する仕組みを作っていくことになります。
 余談ですが、リーダーが心身的に安定していれば、同国の人びとに手厚いケアができます。でも、リーダーが不安定ならば、ケアは不十分にな状態になります。そこで、リーダーの心身安定を維持する工夫をしなければなりません。一番の特効薬は、家族と過ごすことです。家族を呼び寄せ、家族が地域に貢献できる仕組みを作るわけです。お父さんは、農業技術者として働き、母親は介護士として働き、子どもは留学生として勉強するという具合です。合間を見て、医療通訳や法廷通訳、地域の困り事の相談、そして自治体との連絡調整など役割をこなしていくことになります。自治体だけで、全てを準備できるわけではありません。最初から、完璧な対応ができるわけでもありません。でも、少しだけ住みよい環境や働きやすい環境ができれば、長期間にわたり地域に住んで働いてくれる外国人労働者が増えるようになります。



ネットと実店舗の融合・生鮮食品・世界の潮流  アイデア三題噺 236

2019-05-20 18:09:25 | 日記

 東京首都圏などでは、生鮮品などの食品がインターネット通販の主戦場になってきたといわれています。ある利用者は、「普段は1週間分の食料をまとめて買うが、かさばる野菜などを届けてくれるので便利です」など利用のメリットを語ってくれます。食料品の中でも野菜や果物は、品目ごとに違う温度帯で管理を必要としました。その管理と物流コストが、事務用品や衣料品にくらべ高くなることがネックです。きめ細かな管理が必要なために、生鮮品はネット通販の「鬼門」とされてきたのです。アマゾンジャパンは、この鬼門に挑戦しています。この企業は、首都圏で展関する生鮮宅配の品目を増やし関西進出も検討しているようです。
 そこで、食品のネット通販が今後どのようになっていくのかを考えてみました。海外における食品のネット販売の動きは、日本以上に活発のようです。アマゾンは、世界各地でネット通販を拡大しています。中国でもネット通販大手のアリババ集団が、「フーマー鮮生」を展開しています。この二つのネット通販に比べると、日本は遅れていると言われています。経済産業省によると、食品食飲料のネット販売比率は2017年にようやく2.4%になったばかりです。事務用品の37.4%や衣類・服装雑貨の11.5%に比べてまだまだ小さいシェアです。食料品は、温度管理などの難しさがあります。この分野に参入する企業の多くが、赤字とも言われています。日本で大きく先行するアマゾンも、利益を出している分野ではなさそうです。
 それではなぜ、この食料品分野のネット販売に資金を投じているのでしょうか。そのヒントは、ネットと実店舗の融合にあるようです。世界最大のスーパーチェーンを展開するウォルマートは、物流網と生鮮品のネット販売を強化しています。自社単独だけではなく、マイクロソフトやグーグルと提携して強化を進めているのです。中国のフーマー鮮生も、ネットとリアルの融合を目指す動きを示しています。この動きは、日本でも進んでいます。楽天と西友がタッグを組んで、ネットと実店舗の共同戦線を形成しようとしています。
 生鮮食品は、見てから買うという消費者の志向が強い商品です。いくらビジュアル技術が発達したからといって、生ものに関しては、消費者の目がポイントになるようです。アマゾンは、2017年アメリカの高級スーパ-のホールフーズー・マーケットを買収しています。この買収は、消費者が現物を見て買う志向を改めて認識したものでしょう。中国のフーマー鮮生も、この消費者の目を重視します。その上で、購入してもらった商品を30分以内に届けるサービスを加えているのです。
 アマゾンは、首都圏の一部エリアで生鮮・冷蔵食品の取扱品目を2100品目に増やしています。共働き世帯の増加や高齢者は、このネット宅配を歓迎している面もあります。このニーズに応える体制を、作っているように見えます。当然、利用者の生活実態が分かり、購買データの幅を広げ日用品などの販売につなげる狙いもあるでしょう。日本は、ある意味で先進消費大国です。その購買データを集める格好の国なのかもしれません。蛇足ですが、消費者が求める新鮮な野菜を提供できる仕組みを作れば、ビジネスチャンスになるわけです。それを実践して、年商1000万程度の利益を上げている方もいるようです。ポイントは、健康に良い、食べやすく小分けにしてある、レピシが付いているなどのようです。

先進技術・人のおもてなし・観光産業の発展   アイデア三題噺 235

2019-05-19 21:22:22 | 日記

 2018年日本は、3000万人の訪日外国人を受け入れるまでになりました。政府は、この人数を4000万人まで増やそうとしています。日本人は1億2000万人ですから。1人の訪日外国人の方を、3人の日本人でおもてなしをすることになります。家族単位で考えると、全ての家族が訪日外国人に関わる時代に入ったと言うことになります。お互いが、楽しい雰囲気で交流を続けていきたいものです。
 そこで、訪日外国人のおもてなしについて考えてみました。外国に行って、空港で荷物などを待つ時間や通関業務が長くなると、苦痛に感じてきます。早く、観光を始めたいとという気持ちが、削がれてしまうのです。それが、個人だけでなく、地域や国に対する第一印象になったとしたら、観光のマイナスになります。日本を見たい海外旅行者の願いをスムーズに叶えることも、観光立国の課題になります。機内から通関手続きまでの移動を、一貫してサポートする取り組みを加速していくことも必要になるでしょう。
 日本のおもてなしも、日々進化しています。障害者に対しては、自動走行技術を使った空港やホテルのバリアフリー対応が進んでいます。バス停から専用アプリを起動すると、無人の車いすが到着し、客を目的地まで自動的に運ぶ送迎の実用化が進められています。この車いすは、人が乗った状態状で障害物を検知すると自動的に停止する優れものです。目的地まで利用者を送り届け自律走行で戻ってくるので、空港や駅ホテルなどに導入可能になりつつあります。これからの観光業は、超高齢化社会に着目した世界標準のサービスが大切になります。日本に限らず、富裕層は高齢者に多いのです。障害者を高齢者の予備軍と考えれば、障害者の方へのサービスのノウハウの蓄積は重要な資産になります。高齢者や障害者の移動については、速さと安全性を両立させ、その上でのおもてなしが求められることになります。
 近年、小中学校では英語の授業の一環として、街に出て訪日外国人と英語で話しかけることを校外授業を行っているところがあります。最初、子ども達は、英語で話しかけることはハードルが高いと感じていたようです。でも、やって見ると、子供たちは楽しんでやっている様子です。子どものうちから、積極的にコミュニケーションを取る経験は貴重な体験です。日本という国を理解してもらうためには、多くの日本人に接してもらうことが大切です。いろいろな考えを持った日本人がいることが分かれば、ステレオタイプの表面的な理解を超えて、本当の姿を見てもらうことができます。
 訪日外国人の悩みの種は、迷路のような日本の道だそうです。城下町などでは、当然他国の人を迷わす縄張りになっています。外国の方が迷うのは、ある面で当然でしょう。そんな城下町の背景を説明できるガイドがいれば、より一層日本の理解が深まるかもしれません。これを解決する電子看板も、開発されています。電子看板にスマホをかざすと、目的地まで道案内してくれるのです。開発したナビシステムに従って歩けば、迷わずに目的地にたどり着くものです。日本の衛星「みちびき」を使えば、誤差が数センチ単位で表示され、より優れたナビになっていくでしょう。人と人とのコミュニケーション、そして先進技術による便利さを具現したガイドの工夫を織り交ぜながら、日本の観光業を進歩させていきたいものです。



恐竜の愛情DNAが人間にも潜んでいる  スモールアイデアNO 286

2019-05-18 18:53:29 | 日記

 最近、親の子どもに対する虐待が大きく報道されることが多くなりました。子を持つ親として、切なくなるときがあります。昔から、子は鎹(かすがい)と言われていました。子に対する愛情が夫婦のかすがいになって、家庭を円満にしていくものでした。その子を虐待する行為は、今までの人間のあり方を破壊するものです。でも、人間はなぜ子どもを大切にしてきたのでしょうか。母親は自分の食事を削ってまでも、子に与える光景が見られます。この利他性はどうしてできるのでしょうか。このヒントは、最近急速に進んだ恐竜の研究にありました。
 そこで、親が子どもを大切にする根源的理由を探ってみました。出産時に、オキシトシンというホルモンが分泌され、母親が子どもを献身的に育てることが知られています。不思議なことに、愛情を注げば注ぐほど母親は、このホルモンの分泌を増やしていくのです。また、オキシトシンと同じように、バソプレシンも子どもへの愛情に関わるホルモンと言われています。これらは、愛情ホルモンとも言われ、わが子の世話をすればするほど、このホルモンの分泌は高まるのです。わが子を見ただけで、父親の中にはバソプレシンという愛情ホルモンの分泌が高まる方もいるようです。いわゆる「親ばか」といわれる父親ということが、できるかもしれません。この時、父親の愛情が高まると同時に子どもの愛情も高まるのです。母親は、子どもを産むと学習能力が高まるとも言われています。こんな常識に、虐待の報道が水を差しているわけです。
 近年、世界各地で新たな恐竜の化石が、相次いで発掘されています。その中で、ある種の恐竜の卵の化石が、ーか所に集中して大量に発見されているのです。このことから、恐竜が子育てをしたのではないかと推論されるようになってきました。一般に動物は、子孫を残す戦略として、2つの方式があります。卵をたくさん産んで自然に任せる方式です。魚の産卵などはその典型と言えます。何万という卵を産み、その数%が成長すれば良いという方式です。もう一つは、少なく産卵し、親が大事に育てるというものです。この代表が、人間ということになります。
 恐竜の行動様式を知る場合、現在の爬虫類や鳥類の特徴を調べることになります。爬虫類や鳥類の子孫とされるからです。恐竜に近い現在のワニ類や鳥類の卵の温め方を、まず調べます。恐竜の卵が発見された地形や場所、そしてその特徴を見ると、植物の葉や枝を含む土に卵を産む種と砂に産卵する種の2つのわかれるそうです。現在の鳥の中にも、卵を温める抱卵の代わりに、土や砂の中に卵を埋めている事例はあるようです。抱卵する種の卵は、土と砂の両方から見つかっています。土の場合は、腐敗した植物が発酵する際に出す熱で卵を温めています。砂の場合は、太陽光や地熱で卵を温めています。面白いことに、温められた卵の配置は、サークルになっているのです。中心部が砂や土でその周りに卵が円の配列で並んでいるのです。これは、親の恐竜が卵の無い中心部にうずくまり腕や羽毛で日光の紫外線を遮り、雨から卵を守ったと説明さえています。6600万年前から、子を守る習性が芽生えていたことに驚きを感じました。
 余談ですが、ロシアのシべリアで原始的な鳥類といわれる草食恐竜、ハドロサウルス類の化石が見つかっています。恐竜が栄えた6600万年前の白亜紀末期のシべリアは、涼しい気候でした。この当時のシべリアの夏の平均気温は19度と、恐竜には寒い気候だったのです。こんな涼しい土地で、恐竜はどうやって卵を温めたのだろうかと疑問をいだいた科学者がいました。どうやら、ハドロサウルス類は植物の発酵熱を利用した可能性が高いのです。この草食恐竜は発酵の熱を使って卵をかえしていたようです。別の種類の竜脚形類は、砂に産卵し太陽光や地熱で卵を出す熱で温めたと考えられています。恐竜達は、住んでいた土地の気候にあわせて卵の温め方を使い分けていたわけです。寒い地方に進出するにあたり、抱卵のスキル増やしながら、子孫を残していく知恵を持っていたのでしょうか。このようなハドロサウルス類のスキルと知恵が、寒冷のシベリアで子孫を繁栄させていった理由なのでしょう。別の見方をすると、寒い地方に適応することで恐竜の知能の発達を促したとも言えるかもしれません。母親は子どもを産むと学習能力が高くなるといわれますが、白亜紀の時代からこの能力があったとしたら驚きです。もっと驚くべきことは、この時代から親は子どもに対する利他性をもって、子どもを育てていたことがわかったことです。




空き家対策と保育問題を同時に解決する  アイデア広場 その 467

2019-05-18 00:00:59 | 日記

 2018年の調査において、地方を中心に人口減少などで空き家が増え、戸数も最多の846万戸に上ったことが分かりました。住宅総数も、2013年より179万戸多い6242万戸と過去最多を更新したのです。総務省によると、戸建ても含めた空き家の数は、2013年時点で約820万戸でした。それが、ますます進行しているというわけです。東京や大阪などの大都市でも、空き家率は1割を超えており、開発の可能性を秘めているようです。
空き家の増加の原因は、人口減で需要が伸びていないのに、大量の住宅建設が続いていることにあります。2018年度の住宅着工戸数は、約95万戸と前年度よりも0.7%多い状況です。人口が減少しているにもかかわらず、住宅の供給は過剰なために、老朽化の進む空き家の価値が低下しているわけです。空き家には、賃貸や売却の予定がある物件と将来の使い道が曖昧な物件の2つがあるようです。賃貸関係の物件は、430万戸が空き家になっています。もう一方の410万戸を超える曖昧な物件は放置されているものも多いのです。
 そこで、800万件を超す空き家対策について考えてみました。空き家を使って、新ビジネスを立ち上げるスタートアップ企業も増えています。古民家をカフェやゲストハウスなどに改築するNPOも多いのです。風光明媚な土地柄にある空き家を、このように利用すれば、空き家も喜ぶことでしょう。持てる資源は、徹底的に有効活用するという姿勢が求められています。その意味で、地域の農産物や魚介類をふんだんに使う民泊への利用も、有効な空き家活用になるでしょう。でも、カフェや民泊だけでは、800万件の空き家が大幅に減ることはありません。
 空き家の利用で問題になるのは、ゴミ屋敷のような荒廃への対策です。このような利用価値のない空き家は、地域の治安や美観を低下させていく負の要因になります。周辺住民から、危ないので何とかしてほしいという要望は多くあります。それに対して、行政は予算が足りないとか、手間がかかると及び腰の姿勢が目に付きます。解体費用は、空き家の所有者に請求するのが原則になっています。でも、持ち主すらわかない物件が多く、請求する持ち主の所在が分からない事例もあります。この荒廃の問題を解決できれば、空き家の有効活用が促進されます。
 この解決のヒントは、法律的な側面と資金的な側面があります。法律的には、所有者が曖昧な場合、その空き家の利用の権限は住民に委ねるとするわけです。住民は、治安の悪化を防ぎ、美観を良くする方向で空き家を再利用していくことになります。資金の側面では、行政がお金を出すのではなく、住民がお金を出すことにします。解体費用が100万円であれば、住民がお金を出し合って費用を工面するわけです。持ち主が現れるまで、住民がその地を利用できる仕組みにします。例えば、この空き家の空き地を利用して、花壇や家庭菜園をしたい人に、有料で貸し出します。100坪の空き地であれば、5坪に区切り、20人の年1万円で貸し出せば、20万円の収入になります。空き家の土地は、有効利用でき、地域の治安や美観は維持されます。働く人が街中にいることは、治安の安定をも促します。持ち主が現れたら、解体費用プラス利子を請求するような仕組みにしておきます。お金を出した住民に、利益をもたらすようにするわけです。
 どうやって施設を減らし、町をコンパクトにしようがという時代になっています。毎年新築される90万戸以上の家を、町の中心部に集めたほうが良いのです。農地や工場跡地などでの住宅の新築をできるだけ抑え、宅地に誘導する政策がベターになります。水道の配水管の老巧化が、問題になっています。広域に配管を配置するよりも、狭い地域配管を集中したほうが、維持にしても補修も低コストで運営が可能です。戸建てや賃貸マンションなど所有者が単独の空家では、リノ べーションが進み始めています。リノべーションができたところは、新たな居住者を募ったり、オフィスや店にの転用する地域もあります。
 次に、宅地や町の中心部に人を誘導する仕掛けになります。町をコンパクト化すれば、無駄な予算を減らすことができます。この余裕のできたお金の使い方になります。例えば、シャッター通りの商業施設が、空き家対策で復活したとします。ここにシェアオフィスが増えれば、テレワークの普及を促す拠点になる可能になります。この可能性をより高めるために、補助金を出すようにします。テレワークを導入する企業なら、自宅近くのシェアオフィスを安い費用で賃貸できれば、心を動かすかもしれません。市外の住民が使用する場合、3ヶ月間無料とか、年間使用料を半額にするとかの優待制度を設けます。
 でも、金銭的優遇だけでは、人はなかなか集まらないものです。利便性の高い駅の前という立地と費用の安いオフィスの二つの上に、家族の問題を解決することが求められます。空き家対策でリノべーションされた住宅やオフィスを借りる場合、中学生以下の子ども一人につき賃料5,000円を値引きするのです。もちろん、2000万円住居を購入する場合も、中学生の子どもがいる場合、1人につき150万円値引きするというような優待制度を設けます。地域のまちづくりを重視する町は、子育て世帯が住みやすい街づくりを目指します。お金プラス、教育が、住みやすい街づくりには欠かせません。町の中心部に入居したり、職場に通う場合には、保育園の入園を優先するという優待制度も当然考えられます。保育園は施設の外観より、保育士の質が重要になります。良い保育士の方を雇用することに、行政は多くのエネルギーを使うようになるかもしれません。
 手持ちの資源に可能性を見いだし、それを上手に活用、改善していくことが求められます。空き家を利用して、荒廃した家を住民が有効活用できる仕組み代えていきます。工夫次第では、もともと利益を生み出さなかった空き家が、利益を生み出すようになります。その利益を使いながら人びとを町に呼び寄せます。利益だけでは、寂しいものがあります。家族の充実を満たす施策も必要になります。それが、質の高い保育園です。良くを言えば、小学校と中学校も大切です。そして、もっとも重要な教育機関は、高校になります。高校のレベルが高ければ、親は安心して居住する地域になります。豊かさには、経済的要素と教育的要素が不可欠です。人が集まり、シャッター通りは活用されるようになりました。この通りは、人が往来するようになり、商店は活況を呈します。そんな街づくりができれば、良いなとと願っています。


スキマ作業・AIとロボット・費用対効果  アイデア三題噺 234

2019-05-16 17:05:32 | 日記

 近未来の2100年以降、ほとんどの仕事は、人工知能(AI)やロボットが遂行していくことが予想されます。現在は、自動化の間に入る「スキマ作業」を人間が請け負うという形の省力化が主流です。回転寿司の握りはロボットが自動的に行います。でも、ネタを形良く切ったり、味付けをしたりするのは人間の仕事になっています。いずれ、AIセンサーが高度化し、刺身の切り口や形を学習してしまえば、人間並みの寿司をお客に提供できるようになるかもしれません。掃除機のルンバにしても、効率的に使うためには、動きやすい空間を人間が作る必要があります。いずれ、高所のゴミも小型ドローンがハタキのように落として、それをルンバが吸い取るように進化していくかもしれません。現在、人間とロボットの共同作業が行われています。AIの進化とロボットの進化により、徐々に人間の仕事が奪われていることになるようです。
 そこで、AIやロボットに置き換わる過程でどのような問題が出てくるのかを考えてみました。変なホテルで有名なハウステンボスは、ロボットの導入が盛んでした。最盛期には、27種類233体ものロボットが働いていたとされます。このロボットは、1台500万~800万円と決して安くはありませんでした。1人の従業員を雇用すれば、給料や社会保険などの費用が500万円程度かかります。これをロボットに帰れば、2年目から人件費がまるまる浮くと計算をしたのです。当時、ハウステンボスのホテルは、144室で年間3~5億円の利益を出していました。この状況から、経営者は、1店舗100室の変なホテルを、3~5年で100店に増やそうともくろんでいました。1店舗を100室と少なく見積もっても、2億円の利益が出ると計算していたようです。でも、現在ロボット主体のホテル経営を軌道修正しているようです。営業の過程で半数のロボットを解雇しているとの報道もあります。ホテルというホスピタリティが重要な要素になる産業では、コミュニケーション能力のないロボットがいつまでも主役にはなれないのかもしれません。
 製造業ならば、ロボットにコミュニケーション能力は必要ありません。ロボットの場合、24時間操業が可能のために、8時間労働の人間の3人分働けます。そして、土日の休みも必要がありません。有給休暇も取りません。ロボットの休業日は、検査や修理のときだけです。技術の進歩により、AIの性能も向上し、ロボットの動きも滑らかになり人間らしくなってきています。これらのAIとロボットを企業が、人間に代えて採用するかどうかは、費用対効果の視点からになります。企業が人手を機械に代えるか否かは、技術的に可能かどうかではありません。機械が賃金よりも高かったら、経営者は人間をそのまま雇い続けるのです。
 余談ですが少し前まで、コンピュータ囲碁大会が行われていました。この大会にアルファ碁は参加しなかったのですが、1位が中国の「絶芸」、2位が日本の「デープゼンゴ」でした。この1位と2位は、ずば抜けた力を持っていました。ある人達から、この囲碁大会で4位になった日本の「AQ」に、注目が集まりました。「AQ」は1人の愛好家が、たった6ヶ月という短期間で、一定の性能を発揮するようにしたものです。プロの棋士を破ったグーグルのアルファ碁は、運用コストが3年で40億円になります。アルファ碁の開発には多くの技術者が関わり、かつ数年かかって創り上げました。この開発費や研究者の給料を含めると、運用コスト以上の金額を使っているのです。絶芸」も「デープゼンゴ」も、かなりの運用コストがかかりました。でも、。「AQ」は、少ない運用コストと開発費で一定の性能を発揮したのです。コンピュータ囲碁大会の成績は、速さと強さ、そして費用対効果のヒント与えてくれます。AIやロボットをを使う場合、運用コストや開発コストを超える利益を上げることが求められるわけです。






人間の欲求から市場を開発する  スモールアイデアNO 285

2019-05-15 23:10:15 | 日記

 日本の自動車は6000万台ですが、実際に稼働しいる台数は全体の3%程度です。勿体ないお話です。そこで、最近流行のプラットフォームが登場します。このフォームを利用する運営事業者が現れ、アマゾンなどの事業者の提供するサービスを利用するユーザーが出てくることになります。ネットワークを通じて企業と個人、あるいは企業と大衆が簡単に結びつけられる世の中になりました。アイホンなどのモバイル機器が、10億単位で普及しています。全員でなくとも、1万人とか1000人とかのコアな客層を見いだせば、プラットフォームを通じて、ビジネスが成り立つ時代です。以前は、空いている部屋の情報を提供し、その部屋を利用するとか、使わないバックを集めて、1ヶ月定額で貸し出すなどの形式で行っていました。でも、最近はそれらの中に変化が見られるようです。
 そこで、シェアビジネスの中に見られる変化を探ってみました。車のシェアは、すでに世界各国で行われています。大きなビジネスに発展していることは、周知の事実です。そこに、プラスアルファーが、付くようになりました。例えば、ミニバンを持つような方は、キャンプが好きな方や車を使いながら野外活動を楽しむ方も多いようです。この車の所有者から、車と一緒にテントやグリルもシェアしてもらうのです。車だけでなくキャンプの道具もシェアして、楽しいキャンプができるようです。また、ホテルや旅館では、社員の車を旅行客にシェアするという形でのサービスを行っているとこともあります。ちなみに、ユーザーの利用料金は、1日平均5000円程度です。実際は1.5日分(7500円)の利用を行うことが多いようです。
 21世紀の製造業は、製品の待つ利便性や機能性、そしてエンタテインメント(娯楽性)を融合した企業が成長しているようです。性能がよく品質が高くても、世界の市場で、必ずしも成功するとは限らない事例が増えています。グローバルな市場では、多様で異なる消費者や市場の嗜好に合わせて付加価値を追求していいます。この市場を知る上でヒントになる都市が、東京になります。3000万人の巨大市場は、実験の場にふさわしい都市です。東京に進出し、東京を去って行く外国企業は多いのです。一方、試行錯誤を繰り返しながら、利益を上げていく企業も少なくありません。
 近年、遊びの効用が叫ばれています。遊びには、娯楽や楽しさの要素が含まれています。利便性や機能性だけでは、不十分な面があります。ここに、娯楽性の要素を付け加えられれば、サービスとして付加価値の高いものになります。ユーザーが自然に楽しむ娯楽性を把握できれば、新製品の開発やデザイン、そしてサービスに利用できます。人間の楽しさを把握する術があれば、これからのビジネスに大きな武器になります。
 その武器の有力な候補が、MRI(核磁気共鳴画像法)です。これは、核磁気共鳴現象を利用して生体内の内部の情報を画像にするものです。例えば、記憶中枢の海馬が活発に活動しているかどうかなどを、このMRIでわかります。ビジネスの側としては、この装置で消費者の深層心理が探ることができれば、申し分ないわけです。「この商品が欲しい」という欲求が、脳のどの部分が関与し、人間がどのように行動をしているのかを調べるわけです。それを客観的データとして蓄積し、消費者の本音を浮き彫りにしていくのです。「好き」、「嫌い」、「欲しい」が脳のどの部分が感じているかを把握します。利便性や機能性、そして娯楽性を満足させた時の脳の様子が、画像として把握できれば、その画像が現れるデザインや商品を開発すれば良いことになります。巨大な消費者、医療器具としての多数のMRI、そして脳科学者が存在している東京は、ビジネスチャンスが眠っている宝の山かもしれません。





経済的豊かさ・本当の幸福、幸福を目指すベクトル  アイデア三題噺 233

2019-05-14 16:11:06 | 日記

 日本経済が戦後急速に成長を遂げたのですが、幸福度が上昇していないと言われています。日本人の生活満足度は、1963年の63.5%から1995年の72.7%がピークになりました。この年の72.7%をピークにして、それ以降は低下傾向を続けています。この生活満足度と経済成長が、結びついていない点に注目が集まっているのです。
1人当たり実質GDP(国民総生産)は、1963年の26万円から、2007年の404万円へと15.4倍に増加しました。所得の上昇だけでは、幸福を得られないということを示したわけです。2008年度国民生活白書はこのことを踏まえて、「経済的豊かさは生活満足度の上昇に結びついていない」と指摘しています。経済的豊かさが生活満足度の上昇に結びついていないという現象は、先進国に共通していることでもあるようです。
 そこで、生活の満足度や幸福について考えてみました。2010年におけるアメリカの1人当たりGDP46,000ドルは、1985年当時17,000ドルの2.7倍の豊かさをもたらしました。でも、自分が幸せと考える人の比率は、ほとんど変化しなかったのです。そこで、幸福を測る尺度が、GDP からGNH (国民総幸福量)というもので計ってはどうかという意見が出てき始めました。この概念は、ブータンという国から発信された概念です。 精神面での豊かさを重視するものと考えて良いでしょう。国民の幸福は、精神的豊かさ、社会や文化の洗練された豊かさによるものとしています。
 経済成長が必ずしも幸福感や生活の満足度を高めるわけではないことは、先進国の中で証明されてきました。福祉の理想を求めて、ヨーロッパの近代福祉制度は試行錯誤を繰り返してきました。その変遷は、経済力や福祉政策だけでは幸福に到達しないことを示してきた歴史ともいえます。この世界に完全無欠な福祉社会など存在し得えないと断言してしまえば、身も蓋もありません。ヨーロッパでは、幸福を求めて人間が生きていくうえで欠かせない要素に、自助努力があるということに達したようです。人間が生きるための社会基盤は、自助努力を尊重することを前提にを構築する必要があると仮説を立てるようになったわけです。まだまだ、明確なものはなく、これからも幸福を求める旅は続くようです。
 一方、世界で最も幸福な国といわれているブータンは、どうなのでしょうか。幸福の価値基準が、「家族が互いに助け合っているかどうか」、「睡眠はどれくらい取っているか」、「医療機関の距離はどれくらいか」、「自殺を考えたことがあるか」、「人をどれだけ信用できるか」「自分が幸せだと思うか」などにあるようです。ブータンは、貧しい国でした。他国を旅行する人びとも、少なかったのです。他の世界に存在する別の価値に関する知識が、少なかった時代が続きました。ブータンにおける高い幸福は、人々が等しく貧しい状況の中で培われてきたものでした。ブータンの人びとは、より少ない物品やサービスで心の満足感を得ていたともいえます。現在、GNH (国民総幸福量)が高いとされるブータンの人びとも、魅力的な物を見ると目が輝き始めるようです。最新のエレクトロニクス商品、ファッションブランドを手に入れたがります。豊かさを象徴である物品やサービスを目の前にすると、自分の欲求を抑えることは難しいようです。
 ブータンと似た環境に、スイスがあります。この二つの国では、医療機関が近くにあることが、幸せの一つになっています。スイスは医療機関との物理的距離を、ヘリコプターなどの機動力で補っています。ブータンは、心理的距離で補っているかもしれません。世界で最も経済的に裕福なスイスと経済的には貧しいが幸福であるとされるブータンに、幸福のヒントが隠されてるように思えます。それが分かれば、人間のベクトルはそちらに向かうことになります。幸せに向かっていると分かれば、より楽しい人生になるかもしれません。



奇行の人・人を活かす仕掛け・商品開発  アイデア三題噺 232

2019-05-13 19:02:42 | 日記

 注意散漫になることは、一般的人間のある意味で特性になります。あることをやろうとしている時に、別の事柄に注意を引きつけてしまうと、それを無視することが難しいのが人間です。さまざまなものが部屋や机の上にあると、そのものに注意が分散しやるべき作業から意識を逸らされてしまいます。その意味で、普通の人にとっては、乱雑な机や散らかった部屋は、仕事の足を引っぱる危険が充満しているともいえます。一般的に言えば、机や部屋の中はきちんと片付づけて、注意が作業から逸れることを避ける工夫をすることになります。ところが、このきちんとできない人やきちんとしないで勝手にやっているような人達が、いろいろな新しい発想やものの見方を量産する現象も出てきています。さらに、驚くべきことは、これら勝手にやる人達を優遇する起業や組織まで出てきているのです。
 そこで、これらの「勝手にやる人達」(異常に好奇心の強い人や奇行の人)について考えてみました。アリストテレスによると、「狂気の混じらない天才はかって存在しなかった」ということになります。偉大な作家の中にも、この種の傾向を持った人達が多いのです。ドイツの大文豪のゲーテは、双極性障害 といった気分障害をもっていたことが分かってきました。アスペルガーでは、アインシュタイン、ルーカスなどの有名人がいます。日本では、平均的私立高校の平均的生徒が、大学入試模擬テストで全国一位になった例があります。全国一位になったこの生徒は、テストのー週間後に発病したそうです。
 古代ギリシャおいて、詩人は高い評価を得ていました。詩人は神からインスピレーションを受取り、神の言葉を美しい詩として世に送り出す貴重な存在と認められていたのです。でも、詩作の際には、詩人は狂気の状態に陥っていました。古代ギリシャでは、好奇心の強い人や奇行の人を上手に生かす装置や仕組みが、社会に用意されていたとも言えます。奇行の人々は、既成の常識や思い込みに流されることなく型破りなアイデアを作ることがあります。そのアイデアが、社会や文化に新しい風を吹き込むこともあるわけです。現代でも、この仕組みを作ることは可能でしょう。その萌芽も、出はじめているようです。
 副業を奨励する企業が、増えてきています。これには、本業を違う角度から、俯瞰できる人材を育成する狙いがあるかもしれません。工場での事故を、個人の視点から捉える企業は中の下とされます。個人の起こした事故を組織として捉える企業が、中の上と評価されるわけです。その理由は、個人の作業は、組織の中に組み込まれています。組織が長時間労働や過重な作業を強いていれば、いずれ個人が疲弊し事故を起こす流れになります。良い組織は、事前に適正な時間と作業の中で働いてもらう環境整備をしているわけです。
 これからの社会や企業は、新しい発想やアイデアが重視されます。このような発想やアイデアを必要に応じて、数多く量産できる人材育成をする環境整備は、どうすればできるのでしょうか。これらの人材は、ゼロからイチを生むエネルギーや創造性のある人達です。ヒントは、無理をしないで利益を上げている企業にあります。企業は、決った商品だけを生産しているわけではありません。新しい商品開発のために、試作品を自社の生産ラインを使用して作ることもしなければなりません。生産ラインがフル稼動していれば、試作品のテストはできません。実稼働率を70%~90%の範囲で生産を行っていれば、試作品のテストは可能です。いわゆる遊びが、ある状態です。稼働率を少し下げ、時々点検をしたりメンテナンスした方が、生産ラインは継続的に使えることになります。このことは、生産ラインだけでなく、人的資源に言えるのです。生産ラインも人間も、ある面で遊びがないと力を出せない場面が出てきます。遊びが、生産性や新しい商品開発を生み出す仕掛けの一部なのかもしれません。




北朝鮮の軍人の有効活用が南北統一を円滑にする  スモールアイデアNO 284

2019-05-12 17:12:04 | 日記

 日本は、1950~52年の朝鮮戦争の特需で経済復興の足場を築きました。韓国と北朝鮮は、この大戦で北と南に分断されることになります。朝鮮戦争をはさんで、韓国と北朝鮮の経済と軍事の競争が始まりました。初期においては、経済も軍事も北朝鮮が優位に立っていました。でも、半世紀を過ぎた頃には、韓国と北朝鮮の体制間の競争は、韓国の勝利で勝負がついたのです。ある時期から、北朝鮮は戦闘機や戦車などの通常兵器は劣勢になり、韓国には挽回不可能と認識するようになりました。通常兵器の劣勢を、核兵器やミサイルなどの大量破壊兵器で補おうとして、その体制を構築したわけです。核兵器やミサイルの存在が、東アジアを不安定にしています。でも、楽観主義者は、いずれで韓国と北朝鮮は一つの国家となるだろうと希望しています。
 そこで、南北が統一されて、一つの国家として発展する希望を探ってみました。日本の復興の牽引車になった産業は、鉄道です。1945年以前、世界レベルで最も優れた鉄道を作り、運用していたのは満鉄(南満州株式会社、日本帝国の特殊会社)でした。敗戦後、現在のJRの前身である日本国有鉄道(国鉄)が、満鉄の優秀な人材を数多く採用したのです。国鉄は、世界に誇る新幹線事業に、その人材の活用しました。
 中国の解放軍の陸軍が、大幅にリストラされたことがあります。解放軍は、陸軍が中心でした。でも、経済の発展とともに、沿岸部に軍の中枢を配置するようになります。上海などの工場地帯を守るには、海軍や空軍が必要とされるようになります。陸軍は敵を引き込み、補給線が伸びきったところを撃破する戦術を採っていました。現在の中国でこの戦術を使うと、国の富が集中する沿岸部が壊滅的な損害を受けることになります。そのために、海軍や空軍の増強に力を入れているわけです。そこで、陸軍のリストラが何度か行われました。そのリストラされた兵士を採用したのが、中国の国営鉄道だったのです。リストラされた人員の多くは、鉄道産業に引き取られます。軍人の技術が活かされ、現在中国は鉄道大国に成長しました。
 韓国と北朝鮮の統一には、北朝鮮の非核化や軍人の産業転移が進められます。多くの軍人が、新しい職業に就かなければなりません。軍関係者を縮小するとき、その人材を活用することは多くのメリットがあります。北朝鮮の持っている軍事技術とそれを支える技術者の活用は、南北統一の繁栄をもたらす資源になるでしょう。
 余談ですが、ミサイルや核兵器の配置換えは困難を伴います。一つの事例は、キューバ危機があります。旧ソ連が、キューバに中距離ミサイルを配置しようとした事件です。アメリカのケネディ大統領は、海上封鎖をしてこれを阻止しました。国際政治には、表と裏があります。この時の取引は、トルコに配備されていたアメリカの中距離ミサイルを撤去することでした。アメリカはキューバからミサイル撤去し、ソ連はトルコからミサイルを撤去させたことで満足したわけです。考え方によると、ソ連の有利な取引だったかもしれません。設置予定のものと設置していたものの交換で済ませたのですから。