ファンタジアランドのアイデア

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筋肉の増量がハッピーな生活を実現する  アイデア広場 その1408

2024-06-19 07:42:43 | 日記


 シニアの世代になると、歩けるだけで良質な生活ができていると、妥協することも多くなるようです。生活の質を、自力で歩けるトイレに行けるなど最低限の日常生活レベルをイメージするようになるわけです。この最低限の日常生活レベルから一歩抜け出して、より広範囲に動ける体をつくることも、豊かな生活実現の選択になります。「人生の質」を上げる課題は、シニアの生きがいになるかもしれません。その生きがいを実現する手段が、筋肉トレーニン(筋トレ)という形で提示されるようになりつつあります。筋トレを普段の生活に取り入れるかどうかで、その後へ人生が大きく違ってきます。そこで、良質な人生を送るために、筋トレの効果について考えてみました。
筋肉量は20代をピークに年1%の割合で減少し、50代で30%、60代で40%も落ちていきます。何もしないでいると、筋肉は加齢によってどんどん減っていきます。筋肉の減少は、歩いたり走ったりといった基本的な動作の衰えをもたらします。シニアにとって、大切なことは、適度な負荷の筋トレを日常生活に無理なく組み込んで、継続することになります。もっとも、筋トレといっても、マシンを使ったハードな筋トレの必要はありません。簡単なスクワットでも、効果的な筋トレになります。ある97歳の方は、普段は杖を使ってゆっくり歩いていました。この方が、運動教室で用意したスクワットを中心とした簡単な筋トレに取り組んだのです。この97歳の方は、シニア世代向けの簡単な筋トレによって見違えるほど歩き方が変わりました。3カ月後には、杖なしで小走りできるようになったのです。80代でも、90代でも、筋トレを始めれば筋肉は増えることが実証されています。
 筋力トレーニングも、有酸素運と同じように大切な運動になります。筋力運動はウエイトトレーニングのような高強度のものをイメージしがちです。でも、スポーツジムの高度な筋力トレーニングをするだけが、筋肉運動ではありません。筋力運動には、低強度のものでも有用であると考えられていいます。この筋力トレは、週3日で十分です。ある意味、7日のうち4日休んでよいと思えば気が楽になる運動かもしれません。筋肉トレによる骨格筋の増加そのものが、生活習慣病の予防や改善に効果があります。筋肉が増えれば、代謝が増え、脂肪の燃焼効率を高めます。肥満を防ぎ、生活習慣病を予防することになります。筋力トレーニングは、なかでも「老化は足からくる」として、スクワットが推奨されています。足が丈夫になれば、ウオーキングが自由にできます。有酸素運動が、いつでもできる体になるわけです。スクワットには、歩行と転倒予防に重要な太ももの筋肉などが鍛えられるという利点もあります。ここで留意すべき点は、筋肉トレーニングした日は、肉や魚などのたんぱく質を多めに摂取することです。これらを摂取すると、筋肉量の増加が加速するのです。低強度で、短い時間でも運動の効果を得るために積極的に日常生活に取り入れる姿勢が大切になります。
 蛇足になりますが、筋肉を増やすためには、運動によって体を動かすことが不可欠になります。運動して筋肉を使うと、筋肉の組織に傷がつき、血液が出ます。筋肉は、「傷つく」ことによって増える性質があるのです。筋肉が「傷つく」ことによって増える仕組みは、超回復と呼ばれています。超回復には、ある程度は筋肉痛を感じるくらいの運動が効果的になります。傷がつき、血液が出ることがスイッチになって、筋肉の肥大が起こります。出血というダメージを受けた筋肉では、筋肉を増やすもとになる幹細胞が活性化して増殖します。幹細胞が活性化して増殖し、筋線維にくっつくことで、筋線維が太くなり、新しい太い筋線維が作られる仕組みになっています。
 昔は、風邪は万病のもとと言われました。今は、肥満が万病のもとと言われているようです。筋肉が減ると、体内の糖がエネルギーとして使われにくくなります。筋肉が減ると、体重や体形に関係なく、糖尿病に発展しやすくなることが分かっています。糖尿病は、体内で消費や貯蔵しきれなくなった糖が血液中に増えてしまう病気になります。筋肉は、体のエネルギー源である糖の貯蔵や消費という役割を果たしています。この筋肉の量は、体重計やBMIではわかりません。これらの指標の増減よりも、「体組成」に注意を払いたいものです。体組成とは、全身の筋肉や脂肪、骨、水分などの割合のことになります。筋肉の視点からは、「体組成計」で自分の筋肉の量を測り、その変化を見ていくことが重要になります。健康への最大の投資は、筋肉を維持することと言われるようになりつつあります。
 近年、この筋肉がホルモンを分泌することが分かりました。ホルモンを分泌する臓器は、脳の下垂体、すい臓、甲状腺、副腎などが知られていました。その働きも、人間の生命活動に不可欠なものとされていたわけです。ホルモンを分泌する器官と同じような働きが、筋肉もある事実が判明したのは、2000年代に入ってからのことになります。筋肉が分泌するホルモンは、「マイオカイン」と総称されています。これは、現在、30種以上が確認されているのです。マイオカインとは、ギリシヤ語のmyo (筋)と、kine(作動物質)を組み合わせた言葉になります。マイオカインは、筋肉を動かすことで筋肉から分泌されます。筋肉は、体重の3~4割を占める大きな器官になります。今では、「筋肉は人体最大の内分泌器官」と言われるまでになっているのです。さらに、以前は筋肉を動かすために、脳から筋肉に対して指令が一方的に送られていると言われていました。今では、筋肉からも脳に向けて指令が上がると言われるように、様変わりしています。
 さらに、筋肉の評価が高まっています。筋肉が分泌するホルモンの中には、認知症やガンを予防することに効果が期待できるものもあるのです。今までは、経験則的に認知症を防ぐために、あるいは発症を遅らせるためには、運動が良いと言われてきました。これが、実証されつつあるのです。マイオカインには、認知症以外の病気を抑え込む効果もあることが明らかになってきています。イリシンというマイオカインは、筋肉から分泌された後、血流に乗って脳に到達します。イリシンが脳に到達すると、脳の中でBDNFという物質が多く分泌されます。BDNFは、Brain Derived Neurotrophic Factor(脳由来の神経栄養因子)のことです。BDNFという物質が多く分泌されると、情報伝達に役立つ神経細胞が作られるのです。結果として、この物質が多く分泌されると、脳の機能が高まることが分かってきました。逆に、筋肉が萎縮すると脳の機能が低下することも分かってきました。萎縮した筋肉は、"マイオカインのうち、脳にプラスに働くホルモンが分泌されにくくなるのです。さらに、萎縮した筋肉は、認知機能が低下する方向に働きかけるホルモンを分泌するようになります。萎縮した筋肉は、認知機能が低下する方向に働きかけるホルモン(へモペキシン) を分泌するようになります。このヘモペキシンは海馬に働きかけ、認知症の発症を促進する働きさえするようになるようです。
 シニアに限らず、社会的孤立は、今や国のプロジェクトとして進めるべき課題となっています。孤立が続けば、加齢を加速化し、うつや認知症へ導くことを速めます。逆に、人々とコミュニケーションの場を設ければ、加齢も認知症への流れを緩めることができます。日常生活で誰かと会うために外出する機会があれば、少しでも体を動かすことができます高齢者が孤立すれば、筋肉がますます落ちていくことになります。外に出て、人々との接触が増えれば、エネルギーとして多く使われ、生活習慣病などの発症のリスク低下にもつながっていきます。運動は足腰に筋肉をつけ、万病を予防するだけではなく、孤立を防ぐ上でも重要な要素になります。一つの運動の中に、「体を動かす」、「頭を使う」「人とふれあい」の3つの要素が含まれている場合と、理想的な活動になります。ある地域に、卓球グループあります。卓球仲間が、週に決まった日に練習をします。ここでは、ゲームで対戦するライバルに勝つために練習をします。練習は工夫を加え、ラリーにおいて優位になる作戦を練ります。ゲームや練習は、頭を使い、人と人のふれあいの場になります。練習に出るために、日頃の生活は節制をするようになります。このような仲間と練習場所、そして各自に合った活動が、理想的な運動(筋トレ)になるかもしれません。理想的な運動の場を利用して、筋肉を使えば、認知症やガンの予防になるということは、楽しさと健康を同時に手に入れることも可能になるわけです。