ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

三世代住居の復活の知恵  スモールアイデアNO 290

2019-05-27 19:37:22 | 日記

 経済協力開発機構(OECD)の中で、日本は小学校から大学への公的支出(2015年)は、最低になっています。日本の親が子どもを大学まで行かせるとなると、1人1000万円は必要と言われています。子供の教育費は、各家庭で用意することが求められているわけです。子ども教育も大切ですが、働く人の老後にも目配りをしなければなりません。ご夫婦2人がともに働いていれば、厚生年金をもらえます。定年後、ご夫婦の場合月々の年金額は約20万円というのが平均的なところになります。現在、40~50歳の方は2人で月15~18万円くらいの生活を考えておくことが現実的かもしれません。
 最近になって、世帯の収入が減ったために共働きが増えるようになりました。収入が減り、子育てにも不都合が出てきています。保育所の定員が思うように増加しないために、年老いた親を頼る若い夫婦も出てきています。子育ての支援を、高齢者世代に求めて近居を志向する傾向が強まったともいえます。確かに、子どもが育つ環境は、老若男女、さまざまな人に子どもたちが接することが、子どもの可能性を伸ばすことは経験的に知られています。また、住み慣れた地域が重要であることは、多くの震災の事例で証明されています。例えば、東日本大震災のときに1万5千人以上の方が亡くなりました。でも、避難された方がその数年後には、二次被害と言うことで1万6千人以上の方が亡くなっているのです。住み慣れた地域が、いろいろな問題を解決する「引き出し」を持っていたのです。夫婦だけの世帯より、祖父母と父母、そして子どもの世帯のほうが、いろいろな引き出しを持つことができるようです。
 そこで、3世代の生活について考えて見ました。3世代住居では、介護の問題が生じます。祖母の終末期には、家族全体が心身ともに疲労が蓄積して、苦労する姿が見られました。健康に動ける平均的な年齢は、男性72歳、女性75歳と言われています。いわゆる健康寿命です。でも、最近の介護保険制度は上手くできているようです。普通は、要介護5の寝たきりの方は、月36万円かかります。でも、介護保険を使えば、1割の自己負担で済むのです。この制度を使えば、1年間で43万2千円になります。10年間、寝込んでも432万円で済むということになります。もちろん終末期は、金銭的問題以外にもご家族にとっても大変なことがでてきます。でも、2人で1000万円程度老後に準備しておけば、金銭面で子ども達に迷惑をかけないという心の余裕が生まれます。3世代で過ごせば、家賃や食事など、家全体の家計では節約が可能です。これからの安定成長では、3世代の生活も一つの選択肢になるでしょう。蛇足ですが、若夫婦が独立して家を建てれば、数千万円のお金を使うことになります。3世代住居になれば、1000万円の教育費と老後の介護費用は簡単に準備できるわけです。
 問題は、古今東西人類が難儀し続けている嫁姑の葛藤になります。若い人と年寄りでは、食べる物寝る時間、起きる時間も違います。この両者の関係で隠居というタイプの部屋が生まれるようになったとも言えます。嫁と姑の間には、他人としての「壁」を1枚立てておくほうが良いようです。隠居という住居の棲み分けは、長年をかけた知恵の結晶のようです。
嫁と姑がお互いに高く評価すべき存在だと思えば、自然と人間関係は豊かになることも、経験的に知られていることでもあります。
 3世代の生活は住居内の人間関係が円滑にいけば、ある面でこれからの社会では有効に機能する生活形態になります。血圧やコレステロール値を下げると、寿命はだいたい4年ぐらい延びます。年を取ることに良いイメージを持っていた人達は、平均して7.5年程度長生きしているのです。体を節制する以上に、良いイメージのほうが健康には効果的のようです。住居内で良いイメージで過ごせるようになれば、1世代住居より経済的にも社会的にも優れた面が出てきます。世の中は、どうしたら施設を減らしたり、行政をコンパクトにするかという時代です。家庭においても、この流れ推進する人達が出てきています。節約し、子どもの教育費や老後の備えをしようとしているのです。
 一国には一国の、一家には一家の分限があります。分限を定めてそれに応じた暮らしをすることが望ましいわけです。分限を定めなければ、たとえ世界中の富を所有しても不満が噴出してしまうでしょう。自分を他人と比較ばかりしていると、自尊心が傷つき自分自身を見失います。ほどほどに満足する生活習慣をつけることが、大切な知恵になります。3世代住居の中では、嫁と姑の問題の克服や子育ての問題を解決する中で、ほどほどに満足する仕方ややり方を学んでいくことです。これができれば、多様なニーズや変化に対応する経験を積んで、引き出しの多い人材になっていくことができるようです。3世代は、課題も多く出てきます。でも、この古くて新しい3世代の生活は、楽しいことも、役立つことも次々生まれてくるようです。