2019年の全国コンビニ売上高(大手7社の既存店)は、10兆円を超え、店舗数も5.5万店、そして来店者数が年間170億人になろうとしています。順調に成長してきたコンビニ業界ですが、いくつかの課題も出てきています。人手不足の問題です。そのために、24時間営業に赤信号が出ている地域もあります。次に、売上げは増えたのですが、客数は3年連続で前年を減少しているという問題もあります。そんな中で、高齢者の利用が増えているという嬉しい状況も生まれつつあります。利用客のうち60代が2割の34億人を占めて、お客さんの高齢化も確実に進んでいるようです。これから、コンビニは確実に増える高齢者に照準を合わせる工夫が求められています。
そこで、コンビニの利益確保と安心できる高齢者の生活、そして地域の活性化という課題を同時に解決する仕組みを考えてみました。医療費のかからない地域や介護費のかからない地域は、社会保障費が少なくなります。ちなみに、社会保障費は120兆円になります。このうち医療や介護費を合わせて50兆円になります。これらの費用が少ないということは、地域住民の方が元気だということでもあります。しかも、行政は潤っているともいえます。健康なシニアをより健康にすることが、地域を豊かにすることにもなるわけです。
糖尿病になると、ガンの発症率が高くなることは知られています。両方を併発した場合、糖尿病専門医のいる病院で、ガン治療を受けることになります。糖尿病と認知症の2つの病気を併せ持つ人も、増加しています。軽い運動を継続的に実践することが、糖尿病と認知症の両方の改善につながります。孤独感を覚えるとき、脳は老化のスピードを上げてしまい、認知症が進むという悪循環に陥ります。脳の老化を阻止する特効薬は、コミュニケーションなのです。地域の活性化には、交流の場を設けることが大切になります。交流の場ができて、コミュニケーションが活発になれば、シニアが孤独になったり単調な生活に陥るリスクが少なくなります。2本の足で体を動かして、交流の場に来られるうちは、健康だとみなされるでしょう。健康の維持には、バランスの取れた食事、適度な運動、脳を使う環境を整えておくことになります。市町村で、このような配慮ができていれば、地域住民は健康になり、住民の所得は知らず知らずに向上していきます。
健康のために食べるなどの基本的欲求と交流やコミュニケーションなどの社会的欲求が融合した時に、多様な人間関係が生まれます。単に一人で食べる孤食より、親しい仲間と食べるほうが楽しくなります。食べて、話して、そして、そこに運動をしなければならないという仕掛けが施されていれば、元気な地域が生まれることになります。その仕掛けに使われる候補が、全国に5.5万店近くあるコンビニなります。コンビニはPOSデータを分析し、商品の売れ行きに応じた商品を適時提供してきました。現在必要とされるのは、個人の情報になりつつあります。ある大手コンビニは、スマホアプリを刷新し購買履歴履に合わせた個別の商品の提案を始めています。他のコンビニ大手も、個人の購買履歴に合わせた商品やサービスを提案するようになり始めています。すでに、多くのシニアに関するデータが蓄積されてきています。このデータを基に、高齢者が求めるニーズを具現化しようとしています。具現化したサービスをスマホのアプリで提供できる仕組みを作ることができれば楽しいものです。サービスの中には、商品情報や健康や体力維持増進の情報、そして仲間との交流に関する情報をソフトから提供するわけです。
地方のコンビニを、地域の中核にするヒントは子ども食堂にあります。経済的事情が苦しい家庭の子ども達が、居場所をなくしている現実があります。そんな中で、安心して過ごせる憩いの場を提供し、子ども達に美味しい食事を提供する「子ども食堂」が存在感を高めています。栄養士や教員を目指す大学生が、子ども達に食事を提供しているケースもあります。食糧を大量に廃棄する企業へは、厳しい視線が注がれています。環境や社会課題への取り組みを重視する社会の流れがあります。であれば、廃棄される食糧がフードバンク通じて子ども食堂に提供されることは評価されることになります。子供たちが、集まり、食事をし、交流を深めることは素晴らしいことです。最近は、ここに学ぶ機能を加えた子ども食堂も現れてきました。食事や教育の知識を持つ方たちが関与することになれば、子どもの成長は順調に伸びていくこといなります。
こんな仕掛けを、コンビニ導入したいわけです。現在、地方の多くのコンビニは、店内で食事をする小さなスペースがあります。以前は、数人の友達が集まり、そこで、雑談をしながらプチランチをすることも多かったようです。でも、8%から10%へ消費税が上がった際に、店内での食事は10%の消費税がかかることになりました。これで、このスペースの利用は、ほとんどと言っていいほどなくなってしまいました。「もったいない」ことです。このスペースを、起爆剤に使いたいわけです。このスペースで食べれば、消費税ゼロにすれば、多くの高齢者は食べに集まります。持ち帰りは、8%の消費税がかかり、狭いスペースで食べれば消費税ゼロにしたらどうなるでしょうか。この消費税ゼロの対象を60歳以上にすれば、37億人の移動は大規模に起こります。高齢者の移動が増えることは、高齢者の運動が増えることを意味します。最近の弁当は、多様なニーズに応える形で進化し続けています。生活習慣病対策やメタボ改善を狙った弁当も、簡単に用意できる時代です。1日前にスマホで求めていれば、割引料金で提供できるでしょう。「1回の食事が500キロカロリーになるヘルシーランチを提供してください」、「地産地消の食材で作ってください」「塩分や油分を控めで、美味しい弁当をお願いします」などの要望も工夫次第で美味しく仕上げることが可能になっています。
WHOは、2007年に高齢者に優しい都市づくりをめざしました。毎日のリズムを整えながら暮らしているシニアは、満足度は高いと言われています。脳は使えば使うほど、その機能を維持してくれます。脳の積極的活用は、認知症を予防する効果があります。シニアが、いつまでも元気でいる街づくりが求められています。でも、なかなか実現をみていません。コンビニには,24時間人が訪れています。そこで基本的欲求である食事を満たしている人は多いのです。でも、ここに交流の中核であるコミュニティが、形成されているわけではありません。この基本的欲求と社会的欲求を結びつけることができれば、地域は活性化します。その手品が、コンビニにおけるスペースでの食事に対する優遇税制、消費税ゼロです。ここで大切なことは、テイクアウトした場合は、消費税8%が従来と同じ点にすることです。コンビニで食事をする高齢者は、急増するでしょう。人が集まり、一緒に食事をすれば、交流が生まれます。34億人の以上のシニアの移動が始まります。運動量が、飛躍的に増加します。バランスの良い弁当を食べて、コミュニケーションをし、運動をする仕掛けを、コンビニ内での消費税ゼロで実現するわけです。消費税は、社会保障費を堅実するために設けられたものです。シニアがそもそも元気であれば、社会保障が整備されていることになり、消費税を上げる必要がありません。社会保障の持続性を保ちながら、コンビニ周辺の人々の健康を確保するアイデアでした。