ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

コンビ店内の食事は消費税をゼロにする作戦  アイデア広場 その 544

2020-04-30 18:13:46 | 日記

 2019年の全国コンビニ売上高(大手7社の既存店)は、10兆円を超え、店舗数も5.5万店、そして来店者数が年間170億人になろうとしています。順調に成長してきたコンビニ業界ですが、いくつかの課題も出てきています。人手不足の問題です。そのために、24時間営業に赤信号が出ている地域もあります。次に、売上げは増えたのですが、客数は3年連続で前年を減少しているという問題もあります。そんな中で、高齢者の利用が増えているという嬉しい状況も生まれつつあります。利用客のうち60代が2割の34億人を占めて、お客さんの高齢化も確実に進んでいるようです。これから、コンビニは確実に増える高齢者に照準を合わせる工夫が求められています。
 そこで、コンビニの利益確保と安心できる高齢者の生活、そして地域の活性化という課題を同時に解決する仕組みを考えてみました。医療費のかからない地域や介護費のかからない地域は、社会保障費が少なくなります。ちなみに、社会保障費は120兆円になります。このうち医療や介護費を合わせて50兆円になります。これらの費用が少ないということは、地域住民の方が元気だということでもあります。しかも、行政は潤っているともいえます。健康なシニアをより健康にすることが、地域を豊かにすることにもなるわけです。
 糖尿病になると、ガンの発症率が高くなることは知られています。両方を併発した場合、糖尿病専門医のいる病院で、ガン治療を受けることになります。糖尿病と認知症の2つの病気を併せ持つ人も、増加しています。軽い運動を継続的に実践することが、糖尿病と認知症の両方の改善につながります。孤独感を覚えるとき、脳は老化のスピードを上げてしまい、認知症が進むという悪循環に陥ります。脳の老化を阻止する特効薬は、コミュニケーションなのです。地域の活性化には、交流の場を設けることが大切になります。交流の場ができて、コミュニケーションが活発になれば、シニアが孤独になったり単調な生活に陥るリスクが少なくなります。2本の足で体を動かして、交流の場に来られるうちは、健康だとみなされるでしょう。健康の維持には、バランスの取れた食事、適度な運動、脳を使う環境を整えておくことになります。市町村で、このような配慮ができていれば、地域住民は健康になり、住民の所得は知らず知らずに向上していきます。
 健康のために食べるなどの基本的欲求と交流やコミュニケーションなどの社会的欲求が融合した時に、多様な人間関係が生まれます。単に一人で食べる孤食より、親しい仲間と食べるほうが楽しくなります。食べて、話して、そして、そこに運動をしなければならないという仕掛けが施されていれば、元気な地域が生まれることになります。その仕掛けに使われる候補が、全国に5.5万店近くあるコンビニなります。コンビニはPOSデータを分析し、商品の売れ行きに応じた商品を適時提供してきました。現在必要とされるのは、個人の情報になりつつあります。ある大手コンビニは、スマホアプリを刷新し購買履歴履に合わせた個別の商品の提案を始めています。他のコンビニ大手も、個人の購買履歴に合わせた商品やサービスを提案するようになり始めています。すでに、多くのシニアに関するデータが蓄積されてきています。このデータを基に、高齢者が求めるニーズを具現化しようとしています。具現化したサービスをスマホのアプリで提供できる仕組みを作ることができれば楽しいものです。サービスの中には、商品情報や健康や体力維持増進の情報、そして仲間との交流に関する情報をソフトから提供するわけです。
 地方のコンビニを、地域の中核にするヒントは子ども食堂にあります。経済的事情が苦しい家庭の子ども達が、居場所をなくしている現実があります。そんな中で、安心して過ごせる憩いの場を提供し、子ども達に美味しい食事を提供する「子ども食堂」が存在感を高めています。栄養士や教員を目指す大学生が、子ども達に食事を提供しているケースもあります。食糧を大量に廃棄する企業へは、厳しい視線が注がれています。環境や社会課題への取り組みを重視する社会の流れがあります。であれば、廃棄される食糧がフードバンク通じて子ども食堂に提供されることは評価されることになります。子供たちが、集まり、食事をし、交流を深めることは素晴らしいことです。最近は、ここに学ぶ機能を加えた子ども食堂も現れてきました。食事や教育の知識を持つ方たちが関与することになれば、子どもの成長は順調に伸びていくこといなります。
 こんな仕掛けを、コンビニ導入したいわけです。現在、地方の多くのコンビニは、店内で食事をする小さなスペースがあります。以前は、数人の友達が集まり、そこで、雑談をしながらプチランチをすることも多かったようです。でも、8%から10%へ消費税が上がった際に、店内での食事は10%の消費税がかかることになりました。これで、このスペースの利用は、ほとんどと言っていいほどなくなってしまいました。「もったいない」ことです。このスペースを、起爆剤に使いたいわけです。このスペースで食べれば、消費税ゼロにすれば、多くの高齢者は食べに集まります。持ち帰りは、8%の消費税がかかり、狭いスペースで食べれば消費税ゼロにしたらどうなるでしょうか。この消費税ゼロの対象を60歳以上にすれば、37億人の移動は大規模に起こります。高齢者の移動が増えることは、高齢者の運動が増えることを意味します。最近の弁当は、多様なニーズに応える形で進化し続けています。生活習慣病対策やメタボ改善を狙った弁当も、簡単に用意できる時代です。1日前にスマホで求めていれば、割引料金で提供できるでしょう。「1回の食事が500キロカロリーになるヘルシーランチを提供してください」、「地産地消の食材で作ってください」「塩分や油分を控めで、美味しい弁当をお願いします」などの要望も工夫次第で美味しく仕上げることが可能になっています。
 WHOは、2007年に高齢者に優しい都市づくりをめざしました。毎日のリズムを整えながら暮らしているシニアは、満足度は高いと言われています。脳は使えば使うほど、その機能を維持してくれます。脳の積極的活用は、認知症を予防する効果があります。シニアが、いつまでも元気でいる街づくりが求められています。でも、なかなか実現をみていません。コンビニには,24時間人が訪れています。そこで基本的欲求である食事を満たしている人は多いのです。でも、ここに交流の中核であるコミュニティが、形成されているわけではありません。この基本的欲求と社会的欲求を結びつけることができれば、地域は活性化します。その手品が、コンビニにおけるスペースでの食事に対する優遇税制、消費税ゼロです。ここで大切なことは、テイクアウトした場合は、消費税8%が従来と同じ点にすることです。コンビニで食事をする高齢者は、急増するでしょう。人が集まり、一緒に食事をすれば、交流が生まれます。34億人の以上のシニアの移動が始まります。運動量が、飛躍的に増加します。バランスの良い弁当を食べて、コミュニケーションをし、運動をする仕掛けを、コンビニ内での消費税ゼロで実現するわけです。消費税は、社会保障費を堅実するために設けられたものです。シニアがそもそも元気であれば、社会保障が整備されていることになり、消費税を上げる必要がありません。社会保障の持続性を保ちながら、コンビニ周辺の人々の健康を確保するアイデアでした。



リスクゼロを目指す  アイデア広場 その543

2020-04-29 17:07:04 | 日記


 インフルエンザの流行時期には、インフルエンザの予防接種を受ける方が増えてきます。高齢者などには優遇処置も取られ、格安で受けることができます。最新の流行の場合、ワクチンをしても、株の違いにより効果が低い場合も出てきます。効果が低いだけでなく、副作用のリスクが心配されることもあります。ワクチンの接種は、身体的経済的損失を考慮にいれて行うことになります。でも、リスクをゼロにすることはできないようです。これを、似たような事例は、いくつか出てきます。
 家の中で、事故がもっとも多い場所は浴室です。浴室は非常にすべりやすいうえに、無防備な裸で利用するため大怪我につながりやすくなります。リスクを避けるために、手すりを付けることになります。その箇所は、出入口ドアの利き手側、洗い場と浴槽の間、浴槽の向かいの壁側など、事故が起こりやすい場所に設置することになるわけです。浴室には、危険なポイントがいくかあります。その危険な場所を安全に使いこなすスキルを、健康なうちから老後に向けた対策として習熟しておくことも一考になります。浴室で最も多い事故は、ヒートショックです。年間、2万人弱の方がなくなっています。室内から浴室内の温度を一定にしておくことが、防止のポイントなります。一つの方法として、入る前に、高めの温水シャワーを高い位置から浴槽に向かって放流するやり方があります。温水シャワーを出し続けると水蒸気が拡散し、室内はスキチームサウナ状態になります。サウナ状態にして、室内と浴室内の温度差を解消しておくという手法です。もっとも、温水シャワーがもったいないという方は、リスクを少し覚悟することになります。
 最近は、学校や職場でのいじめのリスクもあります。イジメのターゲットは、誰でもなる可能性があります。今回の新型コロナウイルスは、首都圏で流行しています。この首都圏の方が地方に来ると、イジメの対象になることがあります。以前、原発事故で避難した子供がイジメにあって、自殺をしたという報道もありました。深刻なイジメも、最初は不自然さへのちょっとした「からかい」から始まります。軽い「からかい」なら、気晴らし程度で、罪の意識はほとんど感じないようです。でも、これを繰り返すうちに、次第に感覚が麻痺していきます。軽いからかいを繰り返すうちに、からかいがイジメにエスカレートしていきます。からかいを行っている子どもは仲間を作り、仲間の結束が高まっていく傾向があります。からかわれている子どもは、孤独な立場で悲惨なイジメを受ける状態になるわけです。
 イジメを防ぐ初歩的で大切な方法は、不自然の存在を共有し認知することになります。普段から、人間は多様であることが自然であることを理解させることが大切になります。
人間は多様であることを理解すれば、子どもたちも安易に違いを言い出すことはありません。皆が同じであることのほうが、むしろ不自然だということを強調しておくことです。不自然さの認知は、各人の置かれている状況や価値観などによって異なります。イジメの防止は学校の教室であれば、教員が個々人の多様性を理解させる役割を果たすことになります。
 イジメは、誰かとの「違い」を不自然なこととして、指摘するところから始まります。社会のスタンダードと少しでも異なるところがありさえすれば、イジメが起こる可能性が出てきます。不自然さは、スタンダードからの乖離という状況の中に、リスクがあるわけです。自然なグループに属する人たちが、不自然さをからかったりすることへの抵抗がなくなるとリスクは高まります。最初に指摘した人が影響力のある人物であれば、その不自然さは周囲から認知されてしまいます。イジメは、何の落ち度もない人間に生きる希望を失わせ、ときに死にさえ至らしめるリスクになってしまうのです。でも、幅広いスタンダードや多様性、公平なリーダーなどの存在は、イジメを防止する力になります。
 原発事故では、多様なリスクが生じました。避難した子供がイジメに合うとか、放射能のリスクを常に心配するという状況に置かれたのです。核爆発や原発事故では、放射能による被害を受けます。その影響には、確定的影響と確率的影響があります。確定的影響は、核爆発が起きた直前の被害です。この影響には、骨髄障害による機能低下や免疫機能低下、白内障、脱毛などの症状があります。確率的影響は、時間が経るにしたがって、病状が現れるものです。実効線量200ミリシーベルト程度になると、固形ガンによる死亡率で比例関係が認められます。この影響は、固形がん(甲状腺ガン)、白血病、遺伝病などの症状を伴います。
 放射能による人体影響の評価や判断は、広島や長崎での原爆投下の影響調査が基準になります。広島と長崎の原爆で、死を免れた12万人の60年以上にわたる追跡調査があります。広島と長崎の知見を、国際原子力機関(IAEA)も利用しています。この他に、アメリカとソ連の冷戦時代に行われた核実験において、兵士による人体実験に近いことも行われたようです。でも、この資料は軍事秘密ということで公開がされていません。軍事関係以外で知る手がかりは、広島と長崎の60年間にわたる追跡調査からの知見だけになります。この知見からは、確率的影響は閾値が、200ミリシーベルトということになります。100ミリシーベルト以下では、目に見えるガン患者が増えなかったということです。放射線の影響については、今後チェルノブイリ原発や福島原発の影響調査が行われ、詳細な結果が出てくることになるでしょう。おそらく、リスクゼロということはないかもしれません。
 最後になりますが、「子どもを駅まで送ってくれませんか」などの近所付き合いで、子どもの面倒をお互いに見る人たちがいます。地域の信頼できる顔見知りが、子どもの送迎や託児を1時間ワンコイン程度の謝礼でやる地域があります。昭和初期の時代は、ノーマネーで当たり前に見られた光景です。ワンコインを介しても、信頼でつながったネットワークの存在は心強いものがあります。このような共同体集団は姿を消して、機能体集団に移行しつつあります。であれば、機能体集団を使いながら社会を持続可能な方法で維持していく仕組みを構築することになります。信用スコアの出現です。名前、生年月日、住所に加え、契約遂行能力、性格、対人関係、趣味も指標に組み込む契約遂行能力や、性格、対人関係など、総合的な信用スコアに換算する試みが進められています。このプラットプオーム上の評価や口コミのデータが、力をもつようになりつつあります。このネットワークに、我が子を託す流れが出てきます。親とすれば、我が子の安全を守りたい心境になります。でも、子育てにおける安心と安全の追求には、どこまでいっても終わりがありません。リスクが伴います。このリスクは、なかなかゼロになりません。むしろ、コミュニティの中で子育てをするには、「子どもを死なせない」というレベルまで下げることができれば、子どもを自由に育てることが可能になるかもしれません。昭和初期の様子を土門拳氏が、写真で残しています。その作品を見ると、当時はリスクがたくさんある中で遊んでいたことが分かります。でも、子ども達の自由な様子を見ることができる写真でもありました。


ムスリムの経済圏に食い込む発想  アイデア広場 その 542

2020-04-28 17:51:43 | 日記


 有名なお話があります。靴のない国に行って、「裸足で生活するので靴は売れない」という報告をするビジネスマンがいます。一方、同じ国に派遣された別のビジネスマンは、「靴を履いていないので、潜在需要が非常に高い」と報告しています。ビジネスの社会でポジティブに活動するためには、現状をしっかりと把握し、そこから可能性を見出すことになります。パキスタンや中東では、厳格なイスラム教徒が多く、女性のスポーツ市場の開拓は難しいと考えられています。ここを突破すれば、大きなビジネスチャンスが生まれます。
 イスラム教では、ユダヤ教徒やキリスト教徒が神の教えを正確に理解しなかったので、神がムハンマドを使わしたことになっています。この予言者は、570年頃アラビア半島のメッカで生まれたとされています。ムスリムにとって、ムハマドはアラーの使徒であり、かつ預言者になります。ムスリムとはムハマドの口から発せられた言葉が、アラーの言葉そのものと信じる人達です。ムスリムの女性には、「異性の視線を集めることができない」という宗教上の制約があります。彼女たちは、男性の視線を避けるために「ヒジャブ」をかぶり、外出します。もちろん家庭内では、ヒジャブを付けないで生活をしているようです。こんな伝統的生活に、変化が見えてきています。
 日本人がフィットネスに使う費用は、4610億円です。人口が日本の5分の1のオーストラリアは、2050億円になります。オーストラリアのスポーツの客単価が、非常に高いことがわかります。この国には、町の至る所にジムがあり、走る人びとの姿を見かけることも多いのです。この国で、ムスリムの女性がフィットネスクラブに通うようになってきました。スポーツや運動が日常的に行われている地域に居住するとで、運動に興味や関心を持つようになったようです。オーストラリアでムスリム女性は、初めてジムに足を踏み入れ、運動の楽しさを知ったということです。高い会費という条件でも、ムスリムの女性入会者が増えています。あるジムは160人の顧客を抱え、会費は月16000円になります。日本の平均的ジムより、少し高いようです。女性専用ジムなら、ヒジャブをかぶらずに運動ができます。当然、トレーナーも女性になります。男性の目を気にせずに、トレーニングに励みたいというムスリムの女性心理があります。多くのダンスプログラムを、パーソナルトレーナーが指導する形式が生まれています。女子専用ジムの出現も当然ですが、プログラムの内容も新しいものが次々に生まれる状況が続いています。
 スポーツ好きのムスリム女性が増えてきたおかげで、ムスリム向けの新しい商品開発が促されてきたのです。彼女たちに販売するスポーツウエアは、全身を覆うデザインを採用しています。宗教上の制約が、そのようなデザインを要求するわけです。ムスリムの女性用に作ったスポーツウエアが、一般の方にも売れ始めたのです。全身を覆うデザインは、紫外線を防ぎ、体のラインを隠すというメリットがあります。このスポーツウエアは、紫外線が強い地域では、皮膚ガンを防ぐ効果があります。肥満をカバーするために、ムスリムでない方も購入するようです。
 オーストラリアのイスラム教徒の人口は、2016年に60万人になり、オーストラリア全体の2.6%になっています。この国のムスリム人口は、5年前から27%も増えているのです。イスラム圏の人口増加は、キリスト教など他の宗教をはるかに凌駕しています。ムスリムの女性スポーツフアッションが受け入れられれば、大きなビジネスチャンスになります。ムスリムの人口は、全世界で16億人です。この人口が、今後ますます増加するのです。オーストラリアを含むスポーツ人口が多い欧米と中東の入り交じった文化背景があれば、大きな市場が生まれることは確実でしょう。ムスリム女性に、スポーツ愛好家が増える要素が芽生えつつあります。でも、スポーツだけでは大きな市場にはなりません。イスラム圏を見ると、お菓子に目がないようです。甘いものが、文化として定着しています。アルコールを飲まない文化なので、甘さに惹かれる人が多いようです。ムスリムが好むお菓子や飲料水が、一つのビジネスターゲットになります。そして、現在イスラム圏の中で経済的に成長している国々は、肥満と糖尿病の増加に悩んでいます。甘いもの嗜好が、肥満や糖尿病を増加させています。それを防ぐために、スポーツは有効な手段になります。さらに、肥満を防ぐ機能食品の開発などがビジネスチャンスになります。スポーツウェアウとダイエット食品、そして肥満防止のノウハウを融合した商品とサービスの開発が可能になります。
 余談ですが、1970年代後半以降,日本製中古車貿易で市場を牽引してきたのはパキスタンの人たちでした。日本の車は、イギリスと同じく右ハンドル仕様になっています。旧イギリス領植民地は、基本的に左側通行で右ハンドル車の国になります。これらの代表的な拠点としては、パキスタン,アラブ首長国連、ニュージーランド,ケニア、ウガンダ,タンザニア,南アフリカ,イギリス,アイルランド、チリ、ペルーなどが挙げられます。パキスタン人企業家は、積極的にこれらの海外市場を開拓し、日本の中古車を売りさばいたわけです。
 中古車や中古部品貿易業は,移民企業家が積極的に参入してきたニッチ産業でもあります。パキスタン人企業家は,友人や知人といった同胞を積極的に世界各地の拠点に配置していきました。このパキスタン人や印僑の基盤を利用して、ビジネスを拡大させていったのです。彼らは、中古車の輸入規制が緩和されたという噂を聞くと,言語的な障壁をものともせず市場へ進出しました。印僑やパキスタン人のコミユニティが、すでに世界各地に形成されている利点を持っていました。安定した取引が可能となれば,親戚や友人を移住させて配置し,自社の支店を開設する方式をとります。日本を出た中古車は,あるパキスタン人企業家から別のパキスタン人企業家へ渡ります。いくつかのパキスタン人企業家を渡って、エンドユーザーまでたどり着くわけです。このようなニッチなビジネスを、辛抱強く行ってきたのです。彼らは、現地を知っています。家族や部族を中心としたコミュニティも、形成されています。そこに、日本の企業もムスリムに合った製品を共同開発して、イスラムの世界に供給する仕組みを作ってはどうでしょうか。イスラムの人口は、中国を凌駕しています。大きな経済圏が形成されれば、大きなビジネス市場が生まれます。

優秀な官僚の節度ある行動  アイデア広場 その541

2020-04-27 17:32:04 | 日記

 2018年に岐阜県で、豚コレラが発生しました。この豚コレラのウイルスは、野生のイノシシにも感染したのです。すると、1年足らずで豚コレラの感染エリアは、1万㎢を超える勢いで拡大してしまいました。この感染は、養豚産業へ甚大な影響を与えています。しかも、この事態が終息する気配はないのです。多くの病原体が、人間と家畜、そして野生動物の間を行き来するようになってきています。今回の新型コロナウイルスにしてもマーズにしても、コウモリやラクダなどの野生動物と家畜を介して感染が広まったと推定されています。感染症は、病原体の問題だけではなく、野生動物の問題、そして経済問題として理解される流れになってきました。
 動物と人間の感染が、現実味を帯びた事件がありました。2003年の鳥インフルエンザが、その一例です。鳥インフルエンザの人への感染は、弱毒型と強毒型がありました。弱毒型のインフルエンザは、H7N9型といわれ2003年から流行しています。強毒型は、H5NI型といわれ、感染した家禽は発症し100%が斃死してしまいます。2003年以降のH5NI型は、トラ、ネコ、ネズミの噛乳類に全身感染を起こし死亡させています。H7N9型ウイルスは肺の中で増殖するが、発熱や肺炎は起こさないことが示されています。困ったことに、H7N9型鳥インフルエンザは既に人型に近づいてきていたのです。H7N9型の流行の以降は、2019年6月現在1568人死亡615人となっています。新型コロナウイルスのようにパンデミックにならなくて、少し安心しています。
 鳥ウイルスが人型に変化するには、人の体温で効率良く増殖できるようになる必要があります。ウイルスが増殖するのに好都合な温度は、鳥型ウイルスと人型ウイルスでは異なっています。ウイルスの増殖回数と増殖量が増えると、連動して変異ウイルスの数が増えることになります。H7N9型ウイルスは遺伝子変異により、人の体温と同じ低温で増殖しやすいように変化することが心配されていました。鳥インフルエンザの遺伝子変異により、人に容易に感染するウイルスに変化することが危倶されていたわけです。でも、この鳥インフルエンザは、収束に向かいつつあるとみられています。
 細菌やウイルスの感染は、人間は人間、動物は動物という単純な区切りができなくなっています。野生動物から家畜に感染した病気が、人間に感染することも起こりつつあるのです。とすれば、人間を対象にした医学だけでなく、動物を対象にした獣医の知見も必要になったと判断すべきです。日本は、獣医学部を52年間も新設してきませんでした。ペットの獣医さんや家畜の獣医さんは見かけますが、野生動物と感染症の問題などに携わる獣医さんの姿は、影が薄いようです。現在は感染症の被害を見ればわかるように、獣医の知見がなければ重大化する事例が多くなっています。
 2018年8月に、中国でアフリカ豚コレラは発生が確認されました。2019年春までに全土に拡大したのです。中国の豚肉生産量は、2018年に5400万トンでした。これは、世界の豚肉生産量の50%を占めています。次の年の2019年には中国全体で豚の飼育頭数が、前年同月に比べ40%減ってしまったのです。豚肉の価格は、2倍以上になっています。この感染拡大には、中国特有の文化があります。冷凍や冷蔵の豚肉は、鮮度が落ちるという食文化が根強いのです。豚を生きたまま生産地から、消費地に移動させる仕組みをとっています。内陸部の主要産地と沿岸部の消費地が分かれているため、豚の移動が必要になるのです。この移動が、感染を拡大させたとされます。今回の新型コロナウイルス感染で、中国の都市はロックアウトされました。人の移動も豚の移動なくなり、アフリカ豚コレラの感染拡大の要因であった感染経路が立たれました。アフリカ豚コレラが下火になったことを祈っています。
 まだ、アフリカ豚コレラのワクチンはできていません。世界のワクチン製造企業は、研究開発をしています。日本にもこのワクチンを作ることが期待されている企業があります。アメリカやEUにもあり、認可を申請している企業もあると聞いています。でも、問題があるのです。鳥インフルエンザ問題は終わったとし、このパンデミツクへの軽視する風潮が流れています。この鳥インフルエンザの感染を防ぐために、ワクチンが作られていました。製造備蓄されていた数千万人分のプレパンデミックワクチンが、使用期限切れとなったのです。当然、廃棄することになります。せっかく危機に備えて製造したワクチンが、無駄になるわけです。ある専門家は、廃棄予定のプレパンデミックワクチンの事前接種を希望者に行うことを薦めています。プレパンデミックワクチンを接種し、防御免疫の記憶を賦与しておく戦略を提起しているのです。免疫の記憶を付与しておけば、このウイルスの変種が流行しても、人体が免疫を素早く生産することができるという考えです。まったく免疫の記憶を持っていなければ、無防備な状態で食い荒らされてしまうという危惧があるわけです。もっとも、このワクチンの副作用が心配されます。いまのところ、新しいプレパンデミックワクチンの安全性は、臨床試験での重大な副反応は起こっていないということです。蛇足ですが、いずれ新型コロナウイルスのワクチンが作られることになるでしょう。そのときに、過剰生産されたワクチンが、廃棄されるかもしれません。作った企業に、被害が及ぶことがないように各国が配慮したいものです。
 余談ですが、今回の新型コロナウイルスの感染では、陰性と陽性を調べる検査体制の不備が指摘されています。これには、厚生労働省の医務官や医師会の意向があったとされます。医療崩壊を食い止めるために、医療従事者を確保したいと考えたようです。検査に必要な人員を極力少なくし、病院に来る患者を少なくしようという配慮があったようです。でも、不安を持つ人が病院に押し寄せ、結果として病院がクラスターの発生源になっているケースもでてきました。台湾や韓国のように、サーズやマーズで学習した検査体制を集中的に行ったほうが、良かったのではという意見も出てきています。
 52年間も獣医学部が新設されなかったことやサーズやマーズで学習した検査体制が生かされなかったことなど、国民の未来の利益が守られていないように見えます。そこで、この原因を探ってみました。2015年8月に文科省を退職した局長さんがいます。彼は、退職した2か月と経たないうちに私立の有名大学の教授として再就職しました。公務員にも、職業選択の自由があります。キャリアのすべての再就職を、禁止することはできません。現在、省庁による再就職先の斡旋は、法律によって明確に禁止されています。この元局長の再就職を不自然に感じた監視委員会が、調査に乗り出したのです。すると文部科学省の人事課にいたOBが、斡旋をしていた事実が分かりました。明らかな違反行為と認定されたわけです。私立大学は、補助金や許認可が欲しいので、文科省に弱い面があります。許認可の見返りが欲しければ、見返りに天下りを受け入れるように文部科学省のOBが仕組んだとみなされたようです。このように、許認可に関して見返りを求める流れは、形を変えて続いているようです。獣医学部への新設の許認可は、文科省も関係しています。
 もう一つの流れは、族議員(業界の意向を代表する)と官僚が改革によって自分たちの既得権益を失わないようにすることです。一部地域では、産業関係の獣医師不足が指摘されていました。52年も新設されていなければ、不具合もでてきます。でも、新しい獣医師が増えれば、今までの獣医師の既得権が侵されます。官邸は新しい獣医学部の新設に意欲的でした。でも、既得権を犯される側からすれば、望ましいことではありません。族議員と官僚のタッグは、強力な抵抗勢力として存在します。今回の場合、官僚側からのリークに対して官邸側が天下りの暴露で対抗したという見方を取ってしまいました。新型コロナウイルス、世界経済の落ち込み、サプライチェーンの再編、少子高齢化、平和な生活などの問題が山積しています。国民も政治家も官僚も、広い視野で大所高所の目線で行動していきたいものです。



健康寿命と資産寿命を伸ばす設計   アイデア広場 その 540

2020-04-26 08:43:39 | 日記


金融庁は、資産形成や運用などの目助に取り組む必要性を国民に促しました。例の2000万円を持つことで、生涯の生活を豊かに暮らせるというものです。これは、ある意味で本当のことのようです。また、ある意味で別のことを、国民に告げているようでもあります。終身雇用や年功序列賃金、そしてたくさんの退職金や万全な年金支給が、これまでと同じようにはできませんと言っているようでもありました。公的年金だけでは、十分な水準の生活ができなくなります。働いていた時の50%程度の収入で老後は推移していき、中長期的には実質的に低下していくことになります。これは、日本の人口構成や生産性を考慮すると、当たり前の予測になります。生き方としては、現在の50%以下で生活を再構成する方法があります。もう一つは、75歳までを現役の期間として、少し高めの人生設計を再構成する方法があります。40~50代は、人生の準備期間になるわけです。老後の長期化で生じる問題は、「健康寿命」と「資産寿命」をいかに延ばすかに集約されます。後期高齢者は、近い将来、体力が衰えて、病気になって死ぬという人生設計の上で暮らしているともいえます。不運にも、新型コロナウイルス感染し重病化すれば、人生設計が短縮されることになります。
 ニュージーランドのお話です。この国のご婦人が、乳がんの手術をしました。これは、大変な手術だったのですが、2日で退院させられたのです。お医者さんから、退院後10日間、通院するように言われました。ご婦人は、車椅子に乗るのも大変な症状でした。その体では、運転もできないし、通院なんかできませんと訴えたのです。お医者さんからは簡単に、「それは大丈夫、福祉協会の人に言ってあるから」という答えが返ってきました。次の日から、毎日9時半の通院に間に合う時刻に、誰かが車で迎えに来てくれたのです。治療が終わると、また誰かが来て自宅まで送ってくれることが10日間続き、無事治療が終了したということです。
 病院の送り迎えは、ボランティアの方たちが行っていたのです。病院の送迎が、情報の力で人の善意をうまく流れていたわけです。毎日暇な人はいなくても、一年中、365日忙しい人もいません。善意のある人たちが、事前に「私の住所はどこです」とか「空いている日時はいつです」などと、事前に登録しておきます。この情報のデータベースができていて、送迎できる登録者の名簿ができていたわけです。福祉協会の方が、大勢のボランティアの名簿の中から、条件に合いそうな人を派遣する仕組みを作っていたのです。この仕組みの構築には、ユーザーとボランティア側のマッチングが不可欠になります。これができれば、素晴らしい仕組みになります。
うまくいっているところは、それなりの理由があります。うまくいっているところを見つけて、真似する方が手っ取り早く確実です。福祉事業やビジネスでは、どんな力を借りてもいいから結果をよくすることが大事です。カンニングも、認められる世界になります。カンニングなしに、自分だけでやらなくてはいけないのは学校のテストぐらいでしょうか。この世界では、ユーザーのニーズを「うまく相手から聞き出す」ことが重要になります。正解は、ユーザーに教えてもらうものです。その要望にそって、事業を構築していけば、効率的で合理的な仕組みができるわけです。最近、キャッシュレス化が進み、店員のいない売り場も増えてきました。高齢者にとっては、とっても使いづらいお店です。でも、1%の消費者にターゲットを絞って、販売する方法もあるわけです。売り場に店員がいなければ、人件費が節約できます。その分、製品を安く提供できるわけです。安く良い製品を買いたいというお客には、人的サービスを抜きにした商品を提供できる仕組みも理にかなった販売方法になります。短所は、無視して長所を伸ばす。こんな思考方法も認められるのかもしれません。
世界に先駆けて電子政府を作り上げてしまった国が、新しくEUに加盟したエストニア共和国です。この国では、行政のすべての手続きが電子化された国で、デジタルサービスを享受しています。IDカードさえあれば、確定申告、住民登録、年金や各種手当の申請、自動車の登録手続き、国民健康保険の手続き、運転免許の申請と更新、選挙、銀行口座の開設、病院の診療履歴へのアクセスといった公的サービスも民間サービスの利用もできる優れものです。エストニア高齢者にこのIDシステムの利用状況を聞いて見ると、「一度試してみると、電子の世界はきっと好きになるでしょう」という答えが返ってきました。「電子の世界は人生を楽にします」という声が、エストニアの高齢者でした。IDカードの運用は、AIがあって初めて可能になる仕組みです。日本では、新型コロナウイルスショックでいろいろな対策が出されています。例えば、全国民へのマスクの配布です。これも、電子政府ならば、すぐに配布されるでしょう。しかも、感染の進んでいる地域を選んで、優先的に配布できます。10万円の配布についても、マイナンバーをすべての国民が登録していれば、法案が通過したと同時に、各自の銀行口座に振り込まれます。消費は、日本各地にすぐに生まれることになります。
「効率優先で人間的な対応を回避」するという流れは、人工知能(AI)のおかげでこれからも進んでいきます。人工知能と人とが、二人三脚で生きていく時代になります。蛇足ですが、認知症の症状を進行させないことが重要です。認知症になっても症状があまり進行しない人は明るく出歩いて、おしゃべりする人です。一方、認知症の方を介護している家族にとっては、徘徊することに心配があります。こんな時に、スマホの位置情報は役に立ちます。スマホには、「位置情報」をオンにすると、自分が今どこにいるのか地図で知ることができます。位置情報が分かるセンサーを靴に装着しておくと、認知症の方がどこを徘徊しているかすぐに特定できます。外に出ていくのが大好きだし、遊ぶのも大好きだという認知症の方は、病状の進行が抑えられます。これは、得難いことです。かといって、糸の切れた凧のように、なってしまうことも困ります。こんな場合、スマホのアラート機能を利用します。スーパーなどでは、賞味期限の切れた商品のバーコードをスキャンするとアラートが鳴る仕組みになっています。認知症の方が、範囲以外の危険地域に出るような場合、アラートがなるようにしておくわけです。アラートがなった場合、それを解除する手順を踏まないと鳴りやまないようにしておけば、不慮の事故を防げる可能性が大きくなります。
定年なり、そこで仕事人生が、終わるわけではありません。定年になってから、自分の得意なスキルを活かした第二の人生を始めるわけです。第二の人生は、ある面で恵まれています。年金という制度は十分ではありません。でも、一定の生活が保障されています。十分でない生活を、切り詰めて生活をしていく生き方もあります。少しだけ働いて、年金プラス仕事の収入という選択もあります。いわゆる定年起業というものです。この起業は、じっくり取り組むことがコツのようです。成長や拡大を目指さないで、コツコツやっていくことが良いというわけです。万が一失敗したときでも、失うものを少なくしておくのが鉄則です。ポジティブな方には、失敗が次なる成功の母などと割り切って、挑戦する方もいるでしょう。考えて、行動して、反省するサイクルを繰り返せば、元気な高齢者になれます。「健康寿命」と「資産寿命」を、まとうできる人生を過ごせるわけです。副業を公認する企業も、増えています。定年前に、自分の好きな分野で、一定の知識やスキルを高めておいて、定年後に花開かせる選択肢もあるかもしれません。定年後を、謳歌したいものです。



日本文化の基層を観光の目玉にする アイデア広場 その539

2020-04-24 18:09:12 | 日記


 ビッグデータを利用している有名な温泉地があります。これは、兵庫県にある1400年の歴史を持つ城崎温泉です。ここで「ゆめぱ」という温泉の外場を利用するために、電子化された外湯用の入浴券(ゆめぱ)が考案されたのです。これを持てば、現金を持たずに外湯巡りや飲食が可能になったわけです。「ゆめぱ」の導入後、お客はこれをかざすだけで、入浴も飲食、そしてお土産も簡単に買えるようになりました。さらに、この券を使うお客さんの動向を、客観的に把握できるようになったのです。お客さんの町巡りと売上げの関係が、「見える化」できるようになりました。この利点の一つは、お客の流れが分かるようになったことです。その流れをみると、夜遅くお客が増えるお店がありました。そのお店は、店の開店を遅くし、夜の営業時間を長くしたのです。その結果、売り上げがそれまでよりも多くなったというわけです。また、商品の購入状況から売れ筋商品を集中的に生産することも可能になりました。「見える化」の予測機能は、生産数量を適切に調整し、過剰生産の解決に繋がりました。お客さんの満足度を高め、地元も利益を享受する仕組みを構築したわけです。
 ビックデータの利用は、アメリカが先進国です。この国では、クレジットカードの盗難が多いのです。問題があれば、対処するのが人間です。クレジット盗難を、ビックデータで対策を行っている会社もあります。クレジットを盗んだ人たちには、一定の購買傾向があるようです。例えば、盗まれたクレジットカードで、犯人がスニーカーを買います。さらに、2台分のガソリンを入れると、カードは使用不能になるのです。ビッグデータは、豊富なデータを分析して、犯人の傾向を特定し、クレジットの使用を停止するわけです。盗まれた人も、一安心というわけです。予測と絞り込みにより、悪意ある盗難とみなされクレジットカードの使用を停止したのです。検索履歴や購買履歴のデータ集積から、人々の行動や嗜好が、高精度に推定できるようになったともいえます。データを集積し分析することで、個々人の興味や関心を明らかにすることも、次の行動を予測することも可能になりつつあるわけです。
 観光業では、中国人の爆買いも一段落しました。観光客の一極集中的受け入れは、リスクが伴うことも明らかになってきました。イギリスなど欧州勢は1人あたりの消費額を伸ばし、存在感を高め始めています。欧州勢は、日本文化の深層を知ろうとしています。「日本の自然は素晴らしい」、「日本の森や山は力強い」と感想を述べます。彼らの中には、日本での歴史的な体験を求めている人もいます。それには、日本文化の基層を理解するためには、冬の気候を体験することが早道です。世界には「オーシャンセブン」という「世界7大海峡横断泳」という挑戦があります。ドーバー海峡の横断は、よく知られています。津軽海峡も、そのひとつなのです。日本人には、何とも思われないものに価値が付与されるなる時代のようです。イギリス人が、津軽海峡を泳いで渡ったという記事が大きく載っていました。津軽海峡だけではなく、欧州には少なくなったブナの広葉樹林、豪雪地帯に住む動物や鳥に彼らは感動するようです。であれば、「かんじき」をつけて雪を踏みしめて山に登り、ブナの林を見てもらう観光もあるかもしれません。日本文化の基層の一部は、雪国に住む人達の営みによって形成されてきました。見て体験してもらうことも、理解を深めることになります。
 日本を知るために訪れる外国人には、カプセルの利用も増えています。カプセルホテルの多くは、極小の就寝空間です。個室にいながら、さまざまな端末を手元に置くことで、広範囲に物ごとをコントロールしています。安い、便利、都市文化の先進性を体験しながら、このホテルを利用してもらうことは、ある意味で日本文化を理解してもらうことかもしれません。極小の就寝空間に、彼らは日本の幕の内弁当や盆栽の類似性を見いだすようです。カプセルホテルの多くは、サウナや大浴場を備えています。この就寝空間を確保した上で、次の行動に移す基地としての機能を持つようです。全ての機能を施設内部で完結させるのではなく、外部の施設を利用するという考え方が出てきます。飲食などは、都市の既存の飲食店の利用を促すという発想が出てきます。一室を確保して本屋、洋服屋、レストランや飲み屋などの街を自分の部屋の延長としていくわけです。東京は、世界で最もミシュランガイドの多い都市です。和食を楽しみにする人達には、食の楽園を堪能することもできます。すべての機能が施設の内部で完結させるのではなく、外部の都市へ開いていくことが可能になります。都心の飲食店を利用する工夫が、楽しさを倍増させることでしょう。この外部の都市の延長線上に、日本の基層を体験してもらうという発想が出てきます。発想だけでなく、外国人の要望を聞きながら、その場所を推薦する演出も楽しいかもしれません。多くのデータが集まれば、どのような観光地やツアーを希望しているのかを、事前に把握できるようになります。ここに、カプセルホテルのお客の要望と地方の観光地のマッチングを行うアイデアがでてきます。
 たとえば、東武浅草駅から特急リバティ会津で福島県の会津田島へは直通で行けます。会津田島駅と只見駅を結ぶバス路線があります。この地域は、日本でも有数の豪雪地帯です。会津の豪雪、豊かな自然、雪国の文化となれば、欧州の旅行者は触手を動かす要素は多くなります。ちなみに、JR只見線から見る雪景色は、中国人観光客のスポットになっています。欧州系の人たちには、巨大なブナ林や豪雪地帯の生活を体験してもらうようになります。彼らに豪雪を見てもらい、雪下ろしを体験する観光を薦めたいものです。日本文化の成り立ちが、少しは理解してもらうことができるかもしれません。この旅を、1泊2日で行えるようになれば楽しいものになるでしょう。
 カプセルホテルを後にしている間に、極小の就寝空間をロボットによって掃除やベットセットが完了していれば、さらに面白いことになります。福島県は、原発事故のあった地域になります。原発の解体や補修では、ロボットが極小空間で活躍しています。このロボットの性能は、着実に向上しています。原発事故で開発したロボットの進化は、復興の象徴となる可能性を持っています。この象徴を、ホテルの万能ロボットとして使用するわけです。掃除ロボットは、浴室とトイレ、そしてベットセットが苦手です。この3大難関を克服するロボットを開発するわけです。只見観光から帰ったカプセルホテルには、人手をかけずに新たにベットがセットされているという仕掛けです。客室清掃員の人手不足を心配することなく、利益を上げてくれる仕組みが実現するかもしれません。日本文化の基層を理解していただいて、ホテルは人手をかけずに利益を上げる構図ができてほしいものです。



100億人を支える昆虫食  スモールアイデア NO 538

2020-04-23 17:41:16 | 日記


 従来あまり活用されていなかった昆虫のタンパク質に、注目が集まっています。8億人を超える人々が、飢えに苦しむ現実があります。そして、8億人以外の何十億という人々も、タンパク質の栄養不足に悩んでいます。加齢により、サルコペニアになる人が多いのです。サルコペニアというのは、加齢とともに筋肉の量が減り、筋力が低下する現象をいいます筋肉が減ることで、食べたものの余剰分が脂肪として蓄積され、肥満になりやすくなります。加齢になっても、たんぱく質の摂取し筋肉を増やしておくことが望まれるわけです。でも、動物性のたんぱく質は、高価で一定の所得階層に供給が限られています。昆虫は、たんぱく源として優れた特徴を持っています。少ない餌で、大きく育ち、多くのたんぱく質を供給することができます。問題は、昆虫を食べる習慣への心理的嫌悪感にあるのです。
 そこで、昆虫の持つ優れた栄養資源としての可能性を探ってみました。昆虫は、今か3億6000万から4億1000万年前のデボン紀に誕生しました。誕生から数億年たった1億4000万から2億1000万年前のジュラ紀に、最盛期を迎えます。でも繁栄すれば、その敵も現れます。昆虫はジュラ紀に現れた恐竜に追われて、夜行性を余儀なくされていきます。同じように、恐竜から逃げ隠れていた夜行性の原始哺乳類たちの食料源となりました。人類の誕生は、500万年前と言われています。森で細々と生活する人類は、昆虫を食べながら命をつないでいたのです。その名残が、現在のサルに見られます。サルは虫が好きで、特にゴキブリが大好きです。人類は、樹の上で昆虫を捕まえるのに役だつ身体的特徴を進化させました。食虫の性質は、手の器用さ、手と足の分化、頭脳の発達という基盤のうえに獲得されてきたものです。人類は採集活動を行い、「昆虫を食べること」は古くから行ってきた自然な行為だったのです。
 食べたものは、人間の口から胃や腸を通って、大便として排泄されます。考古学は、昔の人の生活を調べることが使命になります。故人が何を食べたかを、大便の中にその痕跡を探し出そうとする手法は、至極当然のことです。大便は、考古資料としては2通りの形状となって考古学者の眼前に登場します。その一つは、個別の塊となった「糞石」として見つかります。もう一つは、大便が堆積し、土壌化した「トイレ土壌」として現れます。糞石は、カナダにおいて1960年にすでに分析法が確立されていました。アメリカでの昆虫考古学の特色の一つが、糞石の中から出土する昆虫の研究になります。
 アメリカ大陸の古代先住民たちは、ときおりシロアリの糞石を残しています。9500年前の糞石には、シロアリの痕跡がありました。この糞石の昆虫相は、シロアリが78%も含まれていたのです。古代先住民たちはときおり、シロアリだけの食事を摂っていたことを示唆しています。以前、現在のアメリカ合衆国に居住していたアナサジ族たちの糞石も発見されています。彼らは、バッタを食べていました。アナサジ族の周辺の環境が変化し、低木草原が優勢になったようです。バッタの数が増え、その増えたバッタをよく食べるようになったのです。人が食べるだけでは追い付かず、家畜化した七面鳥にもバッタを食べさせたようです。畑に群がるバッタの被害を防ぐために、七面鳥が使用されたのです。アナサジ族がバッタをよく食べるにつれて、糞石中の七面鳥の骨も増加していることから、推測される仮説です。人間は、地球上に現れたときから昆虫とは深い関わりを持っていたことがわかります。
 現在、日本の昆虫食の代表格といえばイナゴと蜂の子になります。この蜂の子に関しては、蜂蜜、蜜蜂、ローヤルゼリー、プロポリス、ハチ毒などが有用なものとして知られています。イナゴに代表されるバッタ類は、高タンパクで低脂肪という特徴を持っています。広い世界を見渡せば、シロアリを食べる種族もおります。シロアリ類は脂肪分に富み、高エネルギーの食物になります。富岡製糸工場は、世界遺産で知られています。その当時の紡績工場で過酷な労働を強いられた女工たちは、煮えた大量の蛹をおやつとして食べていました。イスラム教は、豚肉を食べないことで知られています。そのコーランによれば、マホメットは、魚とバッタを食べることは法の許すところと述べているようです。昆虫食は、現在は忌避されるように見えますが、有史以来食べ続けられてきた食材ということがわかります。
 タイでは、すでにコオロギの養殖が進んでいます。このコオロギの利用法は、直接人間が食べる方式と養殖魚に飼料として利用する方式があります。日本のイナゴや蜂の子は、昆虫の外観を残したまま食べられました。でも、この方式は最近の若者には受け入れられないようです。昆虫食は、外観は昆虫の形を残さず加工して栄養分だけを生かすのが通例になっています。タイの提携農家から仕入れたコオロギを、加工して食品にしています。コオロギの粉を入れたパンが、ヨーロッパで好評を博すなど、形を変えて取り入れられています。でも、養殖の飼料としての工夫が、より進んでいるようです。コオロギを養殖用にするならば、昆虫の形をしたままでも餌として使用できます。現在、コオロギやハエ幼虫の養殖は各地で行われています。幼虫を乾燥させた商品を、養殖飼料に5%を混ぜると、養殖魚のサイズが大きくなるという効果があります。近年、注目を集めている植物工場の技術は、昆虫の大量飼育に応用できることが分かってきました。
 たんぱく質を迂回方式で、量産する養殖業が進展しています。ある企業では、ハエの一種である「イエバエ」を使った魚の飼料を開発しました。イエバエの幼虫は飼料になり、安定供給できる強みがあります。ペルー沖で大量にとれるカタクチイワシは、養魚場ではよく使われる飼料でした。でも、このカタクチイワシは、変化の激しいエルニィーニョ現象によって、漁獲量が不安定なのです。一般的にマイワシやカタクチイワシの餌魚の価格は、変動が激しくなります。変動の激しい飼料は、養殖経営にはマイナス要因になります。
 養殖場と植物工場、そしてイエバエの繁殖施設を隣接に作ります。養殖場の汚染水とイエバエの排泄物は、植物工場で使用します。イエバエの排泄物は、植物工場の肥料として利用するわけです。イエバエの幼虫は、飼料として使われ、養殖漁が大きく育ちます。養殖場の汚れた水は、植物工場で使用されます。作物は収穫され、外部には汚染物質を出すことのないクローズとシステムが、完成することになります。養殖場と植物工場をつなぎ合わせれば、魚と野菜を同時に作れる環境にやさしいクローズドシステムができるというわけです。
 昆虫はその栄養価の高さとバイオマスの大きさから、未来の食と期待されています。世界で食べられている昆虫の大部分について、きちんとした栄養価分析が行われていない現状があります。昆虫の種類は、現在100万種以上が知られています。昆虫食には、栄養、生産性、未利用資源の活用といった研究分野もあり、発展途上の段階にあります。特徴は、少ない飼料で多くのたんぱく質を作り出す可能性を秘めている点です。100万種類の中には、より少ない飼料で、大量のたんぱく質を作り出す種もあるかもしれません。現在牛肉1㎏作るために穀物を10㎏以上使います。飢える人たちが8億人いる現実を考慮すると、ある面で悲しいことです。飢える人たちが飢えないように穀物を供給し、少ない穀物で多くの肉を作る工夫が求められるわけです。その候補に挙がっているのが、昆虫食になります。地球に共生する仲間として、貴重な食料として、昆虫を見直すべき時代がきているともいえます。
 余談ですが、ジャガイモは16世紀にヨーロッパに渡りながら、キリスト教徒に忌避されてきた歴史があります。理由は、ジャガイモが聖書に載っていない食材だったからです。そのジャガイモが認められてきたのは、18世紀になってからです。栽培しやすい作物で、食料としての栄養価も高いことが次第に認められていったわけです。忌避の段階から評価の段階に向かうには、科学的事実より人々の感情に受け入れてもらえるまでの時間が課題になります。昆虫食の歴史は古く、現在でもその名残は残っています。ヨーロッパの人々が、忌避から受け入れた時間を考慮すれば、昆虫食が受け入れられる優位性は数多くあります。昆虫食のタブーをできるだけ早めに、乗り越えてほしいものです。



遊び心としての二重らせん階段  アイデア広場 その 537

2020-04-22 18:10:48 | 日記


 同じグーグル検索を使っても、スクリーン上に現れる情報は微妙に違います。家内のパソコンと私のパソコンで検索すると内容が違うので、少し戸惑うことも出てきます。私たちが情報へアクセスするのではなく、情報が私たちによって来るという状況がままあります。
IT企業は、SNSを使用することで、いつ誰と通話や通信をし、何を買ったかを解析されています。かなり前に買った砂時計の広告が、いつまでも出ていると、少し遅れたサイトかなと思ってしまいます。消費の主体を細分化することで、より多くの商品を販売し、消費欲を煽ろうとする消費社会の中にいることを実感します。人びとを「大衆」「分衆」「小衆」などのように、徐々に細分化する手法が確実に具現化しているようです。現代社会の特徴は、常時接続指向と切断指向、自由と監視、異質性の減退とその主張、そしてマッチング精度の向上という流れがあるようです。
 そこで、これらの特徴を考慮しながら、今回のコロナショックを加味してビジネスの方向性を考えてみました。晩婚化や非婚化によって増えた30~40代の単身女性がいます。彼女たちは、経済的に裕福です。30~40代の単身女性は、飲食費や美容、家電、旅行などの趣味に費やす資金余裕がります。もちろん、普通のワンルームマンションに住む方もいますが、デザイナーズマンションなど個性を満足させるマンションを選ぶ方もいます。消費が、多様化しているともいえます。ビジネスの立場からは、差異化を提示した商品やサービスを開発していくことになります。これらの単身女性をターゲットにしたワインバーや美容が、次々と出現するようになります。女性ひとりでも入りやすく、周りの視線を気にせずラーメンを食べることができる部屋を備えたお店なども出現します。これらのお店は、現れては消え、そして似たようなお店が出現するという流れができています。
 現代の特徴から見ると、すべて何でも手に入る仕組みに満足はするけど、もの足らないという人たちもいます。そんなもの足らない人たちのヒントになる事例が、1991年ソ連崩壊の女性の生き方にあります。この当時、ロシアの女性は男性と同等の権利を得て、社会で活躍できることを求めました。制度上は、週休2日制で男女平等になっていました。でも、この平等が、「本当の平等」だったのです。男性と同等の労働を強いられたのです。彼女たちは、西側のフェミニズム運動に高い関心を示した。と同時に、西側の文化を吸収しようとしたのです。多様性のないロシアのファッションが、一般的でした。西側から紹介される多彩なデザインが、ロシアの女性たちには、本当に目新しい洗練されたものだったのです。彼女たちが知ったことは、美しく暮らしや美しい生活は自分の手で作り出すものだということでした。西側のファッションの型紙を手に入れて、自分たちで作り始めたのです。それは、オンリーワンのファッションでした。提示されているものを手に入れる一方、自分で作り出す道も満足度を高めるようです。
 話は飛びますが、新宿区役所前カプセルホテルには、年間約5万人、1日30人以上訪れます。このホテルは、外国人客は全体の3割以上を占めるほど人気があります。カプセルホテルは以前、会社などの労働でかいた汗を流し、翌日の仕事への英気を養う場でした。ここへの宿泊は、通勤時間を睡眠や入浴の時間に置き換える権利を買うものだったと言えます。ある意味で、労働の再生産の場だったわけです。でも、今はその立ち位置は変わりました。あえて極小空間に、居心地のよさを求める外国人がいるようです。体を休めるだけであれば、この極小空間ですべて済ますことができます。広い風呂や清潔なトイレは、館内に完備してあります。食事は、少し外出すれば、世界でも有数の飲食店が揃っています。ミシュランガイドが推奨する店は、世界の都市の中でも最大を誇っています。カプセルホテルの延長線上に、生活に必要なものはすべてそろっているわけです。
 このような流れを、コロナショックは一気に破壊してしまいました。ホテルに泊まる人は激減しました。でも、ホテルの宿泊者は減少しましたが、軽い新型コロナ感染者を受け入れることで、一息ついています。困ったのは、カラオケ店です。風通しが悪く、人が密集する場所では、感染リスクが高いとされているわけです。でも、見方を変えるとカラオケ店は安全な場所になります。ひそかにこの店には、1人利用が増えていたのです。会社に出勤する前に、喫茶店代わりにひとりカラオケ店を利用する人たちもいたのです。一人で、楽器を持ち込んで防音室の代わりに使用する人もいました。カラオケボックスには「朝うた」というメニューもあり、30分300円から利用できたのです。1人で1室を使えば、密室とはいえ、家と同じような環境になります。人との接触もありません。
 この危機を利用して、新しいことをやろうする人たちがいます。ある面で、絶好の機会になります。人は自由を奪われた時に、ストレスや悩みが増します。このストレスの解消や発散をさせる工夫をしなければなりません。その場所の一つが、カラオケ店になります。歌はダンスと同じように、最も古い感情の発散方法でした。そして、高度な文化でもあったのです。自分だけの空間で、自分の思いを歌で、発散させるわけです。歌が上手であれば、芸術の域まで高めて、昇華できるかもしれません。家に一人でいるよりも、ずっと健康的で文化的なひと時を送ることができます。経営者の方は、この機会に少し遊び心をくすぐる仕掛けを作ってはどうでしょうか。福島県会津若松市の飯盛山に、戊辰戦争で戦死した白虎隊の墓があります。この飯盛山に、「さざえ堂」があります。このさざえ堂は、二重構造のらせん階段になっています。行きと帰りが別々の通路を通り、人と人が合わないのです。カラオケの部屋に入る通路を二重構造のらせんにして、接触ができないようにしては、どうでしょうか。費用は掛かりますが、遊び心と衛生管理に配慮したものになります。蛇足ですが、自衛隊はダイヤモンド号のコロナ対策で感染者を出しませんでした。重症患者に接触した隊員と軽症患者に接触した隊員の通路を別々にして、感染のリスクを低くしたと言われています。



生物兵器の攻撃に備える  アイデア広場 その536

2020-04-21 18:08:08 | 日記

生物兵器の開発が、確実に各国で研究を進めていると考えることは常識のようです。軍事の世界では、感染症の予防と治療、そして生物兵器の開発はメダルの表と裏といわれています。今回の新型コロナウイルスは、テロの武器になる要素が十分にあります。テロリストが、ターゲットとする国や地域に向かいます。このテロリストが、新型コロナウイルスにあえて感染し、都市でクラスターとして歩き姿を想像してください。自爆テロリストが動けば動くほど、感染は静かに潜航していきます。10~14日後に、一挙に感染が広がります。各国政府は感染症を用いたテロを念頭に、今回のコロナ対策を真剣に取り組んでいる様子が垣間見えます。軍事関係者は、ワクチンを政治と経済と関連づけて考えます。今回の新型コロナウイルスによって生じた損失は、500兆円とも1千兆円とも言われています。この損失を、3か月程度で与えることができるのです。
 今回の新型コロナウイルスを大量破壊兵器の類似したものとすると、日本はすべての大量破壊兵器を経験したことになります。1945年8月の原爆投下に被害が一つです。次に、1995年3月に起きた地下鉄サリン事件です。そして、今回の新型コロナウイルス感染となります。近代国家は、これらの兵器に対する攻撃に対処する備えをしています。今回の新型コロナウイルスが蔓延したダイヤモンド号において、自衛隊の見事な処置は、備えの一端を示したものでしょう。地下鉄サリン事件においても、自衛隊は警察の化学防護装備などに支援をしていたことが伝えられています。自衛隊では、核兵器、生物兵器、そして化学兵器(NBC兵器)による攻撃への対処能力の向上を図っていることがわかります。兵器の開発は、盾と矛の拮抗が続く限りなくなることがありません。
 例えば、ある生物兵器の開発がありました。ペスト菌は感染力が強いので、生物兵器として開発されてきた経緯があります。ペストに感染したときに治療をしなければ、ペストで死亡することになります。ペスト菌には抗生物質を投与すれば、治療効果が現れます。このままでは、有効な兵器にはなりません。菌の中には、抗生物質を投与すると、活性化するものあるのです。ベネズエラ馬脳炎ウイルスは、抗生物質を投与すると活性化し、脳脊髄脳炎を進行させる特徴を持ちます。ある国では、この2つの全く異なる病原体を組みあわせて、より強力な病原体を作る研究が行われたのです。ペストの治療で抗生物質を使えば、馬脳炎ウイルスが活性化するのです。馬脳炎ウイルスが活性化すると、脳脊髄脳炎が悪化し、死亡にいたるという恐ろしい菌の開発です。この合体した菌に感染した人は死ぬという仮説ともとに、サルを使って実験したのです。ペストの治療を抗生物質で行ってても、行わなかった場合も、サルたちは死亡していったのです。もちろん、このような病原体の開発や実験は、国際法や条約で禁止されています。ただ単に禁止されているだけでは、守る縛りが弱くなります。守る環境整備が、つまり国際機関の強い監視能力が必要になります。国際機関の査察が、自由にできるルールの常態化が求められるわけです。
盾と矛の関係で、有効な対策は自国の戦力を高めることがあります。戦力は、武器の優劣だけでは測れないようです。その例として、スイスがあります。スイスは戦争に巻き込まれれば、国土の大部分は初日から戦場になるだろうと想定しています。空襲で多く国民に被害がでるが、被害者を救助することは困難だと割り切ります。同情だけでは、侵略の問題は解決しないという姿勢です。敵の使う手段としては、空爆の他に、陰険で巧妙な宣伝を通して、スイス国民の心の中に疑惑を植え付けようとします。また、生物兵器で攻撃された場合には、ワクチンが不足します。その場合、ワクチンの配布戦略は働き盛りの30代ぐらいのサラリーマンに優先的に与えることになっています。素朴な人道主義や偽物の寛容は、悲劇的な結末を招くとしているのです。非常時では、買い占めは全て処罰されます。スイスには、死刑制度がありません。でも、戦時において、国民の生命を危うくする者は全て死刑になるのです。どんな情報でも敵には有益であるので、沈黙は国家防衛に協力することになるとしています。今の新型コロナウイルス過に見舞われている日本にたとえると、「外出しない」、「不安をあおるSNSを発信しない」、「接触しない」などが、国家防衛に協力することになるということでしょうか。
 余談ですが、国境紛争のある国々では兵器の性能が向上しています。軍事力や経済力の強い国と対峙するためには、弱者は弱者の戦略や戦術を駆使することになります。核兵器を持てば、防衛に有利となります。その報復力を恐れて、大きな攻撃ができなくなるわけです。インドとパキスタンは、仲が悪いとされています。そのインドが、核兵器を持ちました。すると、パキスタンも核兵器を作り出したのです。核兵器の製造は非常に高価な事業となり、国の防衛予算の相当部分取られます。その維持費にもかなりの費用と人員が必要とされます。核兵器の数十分の1程度でサリンなどの化学兵器が作られます。その化学兵器でも、生物兵器の600倍のコストがかかるといわれています。生物兵器は、有毒菌の保存の難しさと使いにくさで生産が難しいのです。ソ連のアフガニスタン侵攻により、アメリカがパキスタンに軍事援助を行った時期がありました。軍事援助を得たパキスタンは、その資金を核兵器の研究に振り向けたといわれています。さらに、パキスタンと北朝鮮はミサイルと交換に核技術を提供した可能性が高いともいわれています。1993年あたりにパキスタン、イラン、北朝鮮の三国がミサイル開発で協力したことも事実のようです。現在では、市販されているドローンにGPSをセットすれば、爆弾も化学兵器も運べる時代になっています。
 生物兵器の開発現在も進められていることは、常識とされています。生物剤が散布された場合には、被害が拡大する前に認知することは困難になります。生物兵器にも使用される生物剤は、初期症状だけでは原因の判定が困難なのです。これが散布された場合には、被害が発生し、拡大した段階に至って原因が推測されます。感染症の全国的大流行などの危機に対して、常に国家も国民も備えておくことが求められます。備えとして、感染症のシミュレーションやワクチンの配布戦略を明示しておくことが求められます。ある意味で、今回のコロナショックは、日本のインフラ(物理的なものだけでなく精神的なものを含めて)を考える良い機会になったのかもしれません。


契約打ち切り・人材の生かし方・安定成長  アイデア広場 その535

2020-04-20 18:05:07 | 日記


日本は、人手不足の状態が続いていました。その間に、人材派遣業は多くの事業に人材を斡旋してきました。人手不足や働き改革を追い風に、このビジネスは成長を続けてきたのです。でも、コロナショックが起こり、人材派遣業界でも契約打ち切りの件数が増えてきました。契約していた労働者の方は、雇い止めに合うケースも増えているのです。職を失えば、収入源を失うことになります。これらの弱者の方への支援が、社会問題となっています。新型コロナショックが収束すれば、いずれ経済活動も正常化します。状況が落ち着けば、人手不足に直面する見通しです。今回、雇い止めのイメージがつきまとった人材会社は、人材確保が難しくなる恐れがあります。拙速な雇い止めは、経済状況が回復した時に、批判を浴びるリスクがあります。一方、雇われる方からすれば、雇い止め平気で行う人材会社を見極める機会になるわけです。コロナ明けには、良い会社を選びたいものです。
 雇い止めを考える場合、創業から現在まで続く年数が大きな指標になります。創業の期間が長いということは、会社が安定していることを示します。創業200年以上の企業は、全世界で5586社あります。日本には創業200年以上の会社が3146社あり、その数は当然世界一になります。これらの会社を見ると、雇用も安定していることが分かるのです。長く続く企業に、革製品のお店があります。欧州やアフリカ、中東、北米を渡り歩いたユダヤ人皮革職人たちは、腕一本で会社を興しているのです。ユダヤ商人が成功すれば、その対極に華僑がいます。中国大陸からの移住を余儀なくされた華僑の皮革職人たちも、腕一本で身を立てています。皮革にかかわる仕事は熟練が必要で、よい革ができると高く売れます。この仕事はかなり高度な仕事で、誰にでもできる仕事ではありません。皮革にかかわる仕事は、長い製造工程があり、独自の販売綱もあり、外に出せない秘密も多いのです。でも、利益が大きいために、確実に仕事をこなしていくことで、事業を継続することができることになります。少しずつ会社を成長させることを、年輪経営といいます。年輪経営のおかげで、創業以来、ほんのわずかですが、増収増益を続けているケースが多いのです。創業200年を超える企業には、ブロックチェーンにも似た確固とした守りがあるようです。
17世紀後半にオランダから輸入された革製品に、金箔を貼った革のタペストリーがありました。この革製品は、豪華絢欄の堂々としていて権力者が持つにふさわしい美術品だったのです。タペストリーは、驚くほど高額でした。幕府はタペストリーの技法を真似てみるように、国内の皮革職人たちに命じました。日本の皮革職人たちは技法を研究して、タペストリーの真似だけでなくそれ以上のものを作り出しました。この作品は、紋様を施し金銀の光沢をもった壁革で、将軍や大名らに献上されるまでになります。この独特の技術は、深化を遂げたて姫路革による和製金唐革製品につながっていくのです。これが、200年以上続く企業の一例です。
社員がフル回転で隙間なくギリギリで働いている組織は、生産性は高いとみられます。でも、誰かが一人休むだけで、代わりの人がいないために、組織全体が一気に崩壊してしまうケースもでてきます。全員が隙間なく働いて、高い生産性をあげる状態をメタ安定状態という場合があります。渋滞学で、よく言われる渋滞前の状態をいう概念です。仕事を抱え込んでメタ安定状態になりながら、表面は成果を出している状態があります。この状態は、自転車操業のようになっているため、何か故障がでれば、生産はゼロになってしまいます。ブラック企業の過酷な労働によって支えられた生産やサービスは、決して持続可能なものではありません。社員がフル回転で隙間なくギリギリで働いている組織は、ブレに弱いメタ安定状態といえます。無理な成長は、必ず組織のどこかにひずみを生んでしまうため、短命になりがちなのです。長寿企業は、これらの場面を長年にわたって乗り越えてきた実績を持つわけです。
近年、日本を目指すアジアの若者が激増しています。日本で働くアジア系人材の数は、約110万人(2018年)です。これら外国人(とくに高度人材)の多くは、自国のエリートもしくは上位層の人になります。「若者」の定義を、国連基準に倣って15歳から24歳までとします。15歳から24歳の人口の0.38%といわれる知能指数(IQ)140以上を「天才」と呼ぶそうです。東アジアとASEAN地域だけで、200万人を超える天才がいる計算になります。ちなみに、日本人の若者のなかに、IQ140の天才に該当する者は5万人程度しかいません。若いアジアの人材には、有能な人材が潜んでいます。アジアはまさに、これからの時代を担う人材の宝庫といえます。そして、その若者たちの一部が、日本を虎視眈々と狙っているわけです。
中国人は高校時代に、1日の勉強時間が平均14時間を毎日行っています。大学入試でライバルに勝つため、この時期は一心不乱に勉強するのがこの国の日常活動です。韓国も同じように、受験勉強に力を入れています。日本で働くアジア系人材のなかには、日本人にはない能力をもった若者が数多くいます。この有能な人材を雇用することは、日本企業の発展を助けることになります。企業は社員を選ぶ権利を持ちますが、働くほうも企業を選ぶ自由があります。優秀な中国人の会社選びの最重要ポイントは、発展空間にあります。この会社には「発展空間がない」と判断された時点で、すぐに転職活動を始めてしまいます。発展空間とは、「自分がその会社で成長する可能性」を表す概念になります。中国人を会社につなぎとめておくには、「発展空間」を感じさせる必要があます。たとえば、入社5年目の中国人の先輩の肩書きがまだないような会社の場合、見限ってすぐに辞める用意を始めます。昇進の機会が用意され、スキルアップの可能性があると判断すれば、その会社に長く働くようとするわけです。
日本企業が、外国人労働者に気持ちよく働いてもらう工夫が求められる時期になっています。本国より、高い給料を払えばよいという時代ではなくなっています。日本の各企業も、工夫をしています。例えば、ベトナム人社員の多い作業現場では、ベトナム人をその現場のマネージャーにして、意思疎通を図っている事例もあります。さらに進めて、ベトナム人社員のリーダーに、ベトナム人留学生の採用を任せるなどのやり方もあるようです。外国人材は、同じ国籍から複数名採用することが、長く働いてもらう要件になっているようです。中国人社員には、日本に住む中国人の消費動向を調査してもらっています。この調査が良い成績を続ければ、3年以内に上海支社の総経理候補にするなどのモチベーションを高める手法もあるようです。母国での販売代理店制度は、ステップアップを望む外国人材の希望にはピタリ合致したものになっています。中堅機械メーカーは、外国人材が母国で販売代理店を開業できる制度を作り成功させています。これらの成功を収めている企業は、年功制度の要素をできるだけ排除して、国籍や性別にとらわれない実力主義を前面に出しています。
多くの外国人人材は主体的に発言し、自分をアピールしようとする意識を強くもっています。仕事の課題に対し、多民族国家出身の外国人ははっきり表現します。しかも、契約で決まった仕事を、重視します。国際基準から見れば当たり前のことですが、日本人には理解できない行動になる場合もあります。仲間の仕事を、手伝うことをしません。もちろん、仕事を訊いたり、教えあったりすることもあまりありません。逆に、自分の仕事をだれかに手伝ってほしいともいいません。互助の意識が強い日本人からすれば、これらの外国人の行動が理解できません。でも、メリットさえあれば、どんな異質なメンバーでもチームワークは生まれるのです。違いを受入れ、それに合わせて少しずつ行動を変えていくことが、日本人にも外国人にも必要なことです。
 余談ですが、外国人を雇用するメリットは意外なところに出てきます。外国人材を活用方法に、日本人の若手社員の能力を引き出す効果があるのです。日本の若者は、目立ちたくないという意識が強く、自ら先頭に立たない傾向があります。ただ、先導してくれる人がいて、若者が刺激を受け続ける環境に置かれると、この若者は驚くほど変わるのです。まわりに積極的に発言するメンバーがいれば、とたんに火がつき、自分の意見を述べ始めます。外国人社員がどんどん前に出ていくその姿勢は、日本人若手社員の格好の導火線になります。日本人の成長スピードを上げるには、外国人材を社内に取り込むことが効果的と言われる所以です。同僚の外国人材から受ける刺激や触発が、日本人社員を大きく変化させています。日本の若手社員を生かすも殺すも、職場の環境しだいですというわけです。