ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

スポーツの話 箱根駅伝 その3 監督の役割

2016-10-28 19:56:24 | 日記
スポーツの話 箱根駅伝 その3 監督の役割

 箱根駅伝の勝利には、監督の指導力が大きな要素になります。コースの状況、レース展開、気象条件、相手選手力関係などの把握が、熟練監督の持ち味です。短期間で自校の選手を成長させることは可能でも、他校の選手の分析までは手が回らないものです。監督1年目では、なかなか成果をあげることはできません。監督が役割について、嘉納さんとトット記者が話し合います。

記者「監督の仕事には、どんなものがあるのですか」
嘉納「箱根駅伝で良い成績を収めるには、スカウトと育成、そして実践的強化の3つの部門があります。良い選手を獲得し、選手の素質を伸ばす練習をします。最後の本番で力を発揮する精神的トレーニングをするわけです。でも、これらをすべて監督でやろうとする無理が生じます。今の箱根駅伝は、役割分担をしながら行っています」

記者「名監督の条件は、どんな点ですか」
嘉納「そうですね。選手の指導だけでなく、選手の獲得が上手な方ですね。長距離では、高校のレベルが向上しています。強い高校生が入ってくる大学が、箱根駅伝でも上位を占める傾向になっています。もちろん選手の走力だけでなく、人間的性格なども加味してスカウトをしているようです。監督と高校の関係も大切です。大学の都合で監督を替えると、高校と大学の関係が崩れてしまいます。次の年から、良い選手が入ってこないということも生じかねません」

記者「継続的に良い選手を受け入れて、伸ばしていく。伸びなければ、高校の側も良い選手を送り込んできませんよね」
嘉納「はい、選手が不足しているチームでは、練習が不十分な選手でも能力のあると思われる選手に20kmの区間を託することになります。これは監督の立場からすると、とても不安なことなのです。いわゆるブレーキをおこす選手は、この手の選手に起こるわけです。繰り返しの練習の中で、安定した能力を確認したいのです。この確認が、監督の仕事にもなりますし、次の大会の資料にもなるわけです。」

記者「ある人数の選手が競い合い、安定した能力が発揮出来る環境をつくっていくわけですか。選手もうかうかできませんね。地方から来る選手も多いと思うのですが、故郷を離れても自分の能力を発揮出来るものなのですか」
嘉納「箱根を走る選手は、高校時代にトラックの5000mで14分40秒から50秒で走らないと勧誘されません。さらに同じ14分40秒でも、関東と地方の選手では、地方の選手のほうが価値があるといわれています。伸びしろが、大きいのです。ここ数年、東洋大学が安定した成績を残しています。福島や東北の選手を勧誘した成功の事例といわれています。地方の選手は、高校の先輩でなくとも、同じ県出身者がいるだけでも落ち着いて練習に取り組めるのです。高校2年に有力な選手がいる場合、あえて3年生を勧誘して、有力選手に自校の情報を送ることもします。狙いはもちろん、有力な2年生の選手を勧誘することです」

記者「選手が安心して練習できる環境を整えているわけですね」
嘉納「はい、もっとも最近は高校生の間でも情報交換は盛んです。有力大学の勧誘情報は、すぐに広がります。高校生の側でも、大学の戦力を分析し、自分が走れる大学を選ぶ選手もいます。大学の選手も、メールで練習の情報交換をしています。この練習情報は、高校生のほうにも伝わります。高校生の選択肢は、かなり広いものになっているともいえます」

記者「大学での練習は、どのようなものなのですか」
嘉納「早稲田が全盛のときは、中村監督がリディア-ド方式で練習を進めていました。この方式は、目標とする大会に10週間ほどかけて準備していくのが特徴です。厳しい練習を積み重ねて、あえて体調を落とすのです。その後、疲労回復をしながら状態を仕上げて本番に臨む方式です。でも、今の長距離は瀬古や宗兄弟の時代に養われたノウハウを絶対だと考えないほうが良いようです」

記者「すると、どんな状態で仕上がるのが良いのですか」
嘉納「箱根の中継で解説者が『軽く仕上がっている』とか『重く仕上がっている』と言うことがあります。身体が重く仕上がっている場合、試合運びを慎重に進め、無駄な動きがなく、中盤から軽くなり良いレースができるのです。逆に、軽く仕上げると、前半から飛ばしすぎてしまったりします。余計な動きや無駄な動きが、多くなるわけです。箱根駅伝のような長丁場の場合、身体を重く仕上げることが鉄則とされています。これはグリコーゲンが燃焼し、脂肪をエネルギーに転換するまでの時間とも考えて良いかもしれません」

記者「監督の仕事は、難しいということが分かりました。今は、どのような方が監督になっているのですか」
嘉納「箱根駅伝がこれだけ注目され、テレビの視聴率だけでなく、大学の経営までに影響を与えるビックイベントになりました。監督も多面的能力が求められています。そのためか、箱根駅伝に出る大学の監督は、外部から招聘されることが多くなっています。確実に選手を勧誘し、素質を伸ばし、大会で勝つノウハウを持つ人材は限られてきます。箱根駅伝が注目されていますが、実力では1月1日のニューイヤー駅伝のほうが、はるかにレベルの高い大会なのです。この駅伝は、秒単位の走りが要求されます。箱根駅伝の監督は、実業団で実績を積んできた選手が指導者になり、実業団の知恵をもっている人になります。実業団の練習内容は、ただ長く、速く走る練習だけではなく、地味に効いてくる練習内容が多いのです。監督の仕事は多肢にわたります。その中で優秀な成績を上げる監督に注目をしていきたいものです」
記者「監督をこのような視点から見る方法もあったかと感心しました。箱根駅伝の楽しみが増えました。ありがとうございました」

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



新宿のバスターミナルを47都道府県のアンテナショップに

2016-10-25 20:56:43 | 日記
新宿のバスターミナルを47都道府県のアンテナショップに

 2016年1月から6月の上半期の訪日客は、前年同比28%増の1200万人と過去最高を記録しました。今のペースが続けば、年間2500万人程度の訪日客の可能性が出てきています。観光庁によると、2015年の外国人宿泊数は、2014年より46%増えて6600万人泊になっています。特筆すべき事は、三大都市の宿泊者数より地方が上回ってきたことです。旅慣れた訪日客は、日本全国各地を歩き始めているのです。外国人リピーターの要望が多様化したため、受け入れ側の知恵や工夫が求められています。今回は、藤堂さんに訪日客の要望を充たしながら、地方への観光客を増やす方策をトット記者が聞きました。

記者「日本は、2020年に訪日客4000万人を目指しています。この目標達成の鍵は、地方への誘客といわれています。地方への分散誘客は可能ですか」
藤堂「日本へのインバウンドは、急激に増えています。ある面で喜ばしいことですが、首都圏は飽和状態になっています。地方には、まだまだ宿泊の受け入れ潜在能力があるのです。地方がインバウンドを持続的に受け入れることは、4000万人を受け入れる事に繋がります。継続的インバウンドが、地方に富をもたらし、雇用を確保し、地域の活性化に貢献するからです。」

記者「新宿高速バスターミナルの上に、高層ビルが建築されました。そこに、47都道府県のアンテナショップができました。建設費が500億円という巨大な投資です。これを藤堂さんが運営している福島復興対策法人が運営なさっています。目的は、地方に誘客をすることだそうですが、意図するするところはどんな点なのでしょうか」
藤堂「私どもの復興対策法人は、東日本大震災で多くの応援を頂いた地方自治体の皆様に何とかお返しをしたいと思っていまいした。深い感謝の気持ち表すために47都道府県が使えるアンテナショップを建設しました。各都道府県には、5店舗を準備しました。テナント料は、無料です。ただし、アンテナショップのテナントを使用する店舗には、利益の10%を供出していただいています。新宿の一等地ですので、お店の努力しだいでは利益を確保することは容易なはずです」

記者「確かに新宿高速バスターミナルの真上ですから、地方に行くには最高の場所ですね。JRを使えば、新宿から東京や羽田には20~30分でしょう。高速バスも、JRも、飛行機も使えて、日本全国どこへでも行ける場所です。ここをどのように活用するのですか」
藤堂「全国各地にの名店が、新宿高速バスターミナルの真上にあるのです。SNSなどで確認するまでもなく、商品を手にとって確認できます。それも47都道府県のベスト5を間近に、手にとって、さらには味比べまでできるのですよ。最高のアンテナショップになると確信しています」

記者「ところで、500億円の資金はどうしたのですか」
藤堂「前にも報告しているように、ファンタジアランドでは、原発事故に伴う除染廃棄物を搬入する中間貯蔵施設が完成しています。さらに政府の要請により、この中間貯蔵施設が最終貯蔵施設になりました。その時の補償金が、巨額なものだったことは皆様もご承知の通りです。貯蔵施設の面積は、20k㎡です。そこの上に太陽光パネルを設置しました。設置費用は3750億円です。そこから生じる売電金額は、年間500億円になります。この500億円をアンテナショップの建設に使いました。」

記者「テナントには、各都道府県ごとに5店舗が入れることになっています。でも、売上げの多い優良店舗が優先されるということは、おかしくありませんか。一律に公平に、平等に割り当てるのが普通ですよ」
藤堂「はい、普通はそう考えます。でも活性化を促す場合、一律主義とか公平・平等に扱っているテナントショップは効率が悪いのです。一番人気の売れ行きを伸ばしている店舗に、「ひいきといわれても」一番良い場所を提供したほうが、売上げは伸びるのです。そして、この店舗のある地方にリピーターが流れるのです。これを公平に平等に配置すると全体の売上げもリピーターも増えません。アンテナショップの役目を果たさないのです。つまり単に税金をムダに消費しているということになってしまいます。10億円かければ、10億円以上の見返りがなければ、ムダな税金の使い方です」

記者「アンテナショップを通じて、地方に多くの誘客をもたらしたテナントを優遇するということですね。売上げを増やしているテナントを『ひいきする』という意味が、分かりました」
藤堂「はい、そうなります。半年で成果が上がらない店舗は即退場ということになります。次の店舗は該当の都道府県の商工会で決めてもらっています。テナントに入り、商売をする人には商売に集中してもらいたいのです。テナントに入るための出資金は必要ありません。利益を上げれば、その10%を復興対策法人に払い、利益の90%で店舗を回していけば良いことです。東京の一等地をこの条件で商売できる条件はないはずです。自分の地域の良さをアピールしながら、郷土の名産品を工夫して販売すれば良いのです」

記者「確かに、訪日客は、見て確かめて、比較して希望の地方に行くことができますね。しかも、交通の利便性はこれ以上ないほどの場所です。ところで、最近のインバウンドの傾向はどうなっているのですか」
藤堂「以前は、中国人による爆買いが話題になっていました。でも、あの現象は異常なのです。もっと地に足の着いた営業をしなければなりません。注目したいのは、台湾の観光客です。中華圏で流行するものは、台湾で人気が出てから広がる傾向があります。彼らには雪のある東北地方のスキーと、今治市と尾道市を結ぶしまなみ海道が人気があります。台湾の方を受け入れて、成功している地方の『おもてなし』にこれからのヒントがあるかもしれません。台湾に限らず、どの国のどの層を狙うか、各地方自治体は戦略的に動くことです。新宿のアンテナショップは、その一助になるはずです。上手に利用して頂きたいと思います」

記者「原発で生じた汚染土の貯蔵施設の上に太陽パネル設置して、年間500億円も売電で稼いでいるとは知りませんでした。稼ぐ地方のモデルとして、これからもいろいろ教えていただきと思います。今日はありがとうございました」


ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



必要なときに必要なアイデアを作る

2016-10-21 21:36:34 | 日記
必要なときに必要なアイデアを作る

 流行が、すぐに変化する時代です。短いサイクルで商品の盛衰が進みます。ブランド商品が成長期に入れば、販売目標を高めに設定して果実を得るアイデアが求められます。成熟期になれば、その期間をできる伸ばすアイデアが求められます。さらに、衰退を予測し次の商品の開発に取りかかることになります。すると、開発商品のためアイデアが必要になります。アイデアが次々と必要とされ、必要に応じたアイデアを作らなければ生き残れない時代になっています。今回も平賀さんにトット記者が、必要なアイデアの作り方についてお話を伺いました

記者「日本はゲーム大国だと思っていたら、いつの間にか欧米に追い越される立場にいたとは知りませんでした。どうして、こんな事態になったのですか」
平賀「以前は、押しも押されないゲーム大国でした。欧米諸国は、日本の優れたゲームを分析し、その長所や短所をシェア(共有)していったのです。太平洋戦争中日本の零戦が、アメリカによって徹底的に解体分析され、その性能や弱点が暴かれました。零戦に勝つためにグラマンが開発されたことと、同じことが起きたと思って下さい。欧米人は情報を交換しながら、日本のゲームの良さを分析し、乗り越えていったのです」

記者「確かに、日本のやり方は師匠から弟子に伝えていく形式でした。でも、欧米ではシェアしたゲームのノウハウを、みんなが使えるものに変えるプロセスをたどったわけですか」
平賀「はい、ゲームのノウハウは、アイデアのかたまりです。欧米は分析したゲームを、再生産可能な形に変換して、大量生産していったのです。いわばアイデアを大量生産していったともいえます。アイデアを他の人達とシェアできる形にしたわけです。シェアをすることと情報管理を上手に行ったことで、質の高いゲームをたくさん作り出しています」

記者「アイデアは、自分が属する業界のことを知り尽くした上で、異分野の知識を組みあわせて作るものでしたよね。それが、一人ではなく複数で作れるということですか」
平賀「そうですね。アイデアを上手に作れない人は、自分の好みの情報だけを吸収する傾向があります。個人の中で、専門知識と異分野の知識を吸収する人が上手に作れる人です。前にも述べたように、アイデアは突然やってくるものではありません。真剣に考えて脳に入力した情報が、組合せの工程を経ながら、一定の結論に変換して外部にアイデアとして出力するということなのです。経営のトップは、自らの学習に割ける時間は限られています。そこで、自分の知らない思考形式、学問体系、先端知識などを手に入れる仕組みを持っています。考え方が対立する専門家を取り込み、双方の視点を取り入れ、最終的決断を下すことは良くあることです。自分の脳以外の場所で、アイデアを作る仕組みもあるということです。イエスマンだけ回りに集めれば、その会社は危ないことは歴史が示すところです」

記者「自分だけでできない場合、どういうパターンがあるのですか」
平賀「まず、社内の仲間があります。生きた情報は、固定したものではなく、速いスピードで融通無碍に変化していきます。この生きた情報が、なければ質の高いアイデアはできません。他人より速く行動するある特異な人に、情報が集まる傾向があります。情報が集まってくる人と、組むことが大切です。全分野にわたって、専門家になることは不可能なわけです。社内の異分野の人達と有機的に結びつくことで、質の高いアイデアを作ることができるようになるのです。各分野の専門家がミックスしている組織は、それだけいろいろな角度から情報を組合わせることが可能になります」

記者「質の高いアイデアが、一人ではなく複数でできることはなんとなく分かったように思います。それ以外のパターンはありますか」
平賀「最近は、社外の人材との交流が注目されています。成長産業の現場では、商品開発において人事でも営業でも業務の遂行には速い柔軟な対応が求められます。多くの良質のアイデアは、このような成長産業から作り出されます。一般に個人が自分の専門分野に詳しくなればなるほど、新しいアイデアは出にくくなります。その分野に詳しくなるほど、新しいアイデアに否定的になるようです。また、人事評価の記録が重視される企業では、新しいアイデアが出にくいという報告もあります。個人の才能と努力を最大化するには、組織の柔軟なマネジメントが必要になります。個人の才能が社内で発揮されない場合、外部との接触によりその才能を開花させるマネジメントも取り入れられるようになってきました。異業種の企業との人材交流が、コンサルタント会社によって企画されています。盛況ということは、有益な何らかの理油があるのでしょう」

記者「確かに、国内での異業種との交流があることは聞いています。そのほかには、ありませんか」
平賀「外国との交流になりますね。有名なところでは、シリコンバレーがあります。先端の知識との接触により、必要なアイデアを持ち帰る人は多いようです。日本の巨大企業の会長が、シリコンバレー詣でを繰り返していることはよく知られています。映画産業を抜いたゲーム産業のメッカは、モントリオールになっています。ゲームのアイデアを作り出すのであれば、モントリオールでの交流は有意義なものになります」

記者「個人でできないアイデアは、社内の仲間と作ります。社内の仲間とできない場合、社外との交流を生かします。国内でできない場合、外国人の持つ知識と組合わせてアイデアを作っていくということですか」
平賀「はい、そうなります。アイデアを作り出すには、知的文化や知的環境が大切になります。それらの環境を、自分で作り、仲間と作り、社外の交流で作り、はたまた外国の知人と作るということになります。役立つ生きた情報は、ある特定の人に集まる傾向があります。この人物を大事にすることが、アイデア作るときの要諦です。間違っても、今考えていることや進捗状況を報告に来させてはいけません。聞きたいときは、上司が行って聞くのです。得がたい人材に報告の義務など負わせて、彼の貴重な時間を奪ってはいけないのです。義務的な報告の合間に、彼からいくつかのアイデアが消えているかもしれないのです」

記者「必要な時に必要なアイデアを作るということは、アイデアを作り続ける人々の知的文化や知的環境を整えることだったのですね」
平賀「はい、アイデアは一人の人間だけでは作れない高度なものになっています。先端のアイデアをシェア(共有)した者同士が、異分野との組合せを行います。そこからさらにより高みに昇華するするアイデアを作り出していくわけです。アイデアが集まり、アイデアをより高度化していく工程ですね。新しい組合せで経済活動が活発化すれば、それは技術革新になります」

記者「アイデアが求められる理由が、わかりました。企業が求めるアイデアは、一定の論理や必然性があるのですね。何か、簡単にアイデアをつくることが恥ずかしくなりました」
平賀「そうは考えないでください。アイデアを作ることは、頭の体操にもなります。老化防止には、良いトレーニングになります。すき間産業などでは、簡単なアイデアで業績を上げている企業も多いですよ」


ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



アイデアを量産する

2016-10-18 21:15:47 | 日記
アイデアを量産する

 私たちの生活は過去の人びとが考えたアイデアによって支えられています。現在でも各種の産業は、優れたアイデアを求めているのです。製造業、宣伝広告、販売業では日常的にアイデアを作り続けています。作られたアイデアは、知的財産、知的所有権、新製品開発などの実利的なものになります。現在は、社会の要請から、大量のアイデアが求められています。今回も平賀さんに、アイデアをたくさん作るお話をトット記者が尋ねました。

記者「セレンディピティはアイデアと関係していると聞いたのですが、どうなのでしょうか」
平賀「セレンディピティという言葉は、思わぬものを偶然に発見する能力とか幸運を招き寄せる力という意味です。近年、この言葉がアイデアを考える上でキーワードになってきました。前にアイデアの質を高めるためには、知識をたくさん仕込むことも大切だということをお話しました。セレンディピティを、高める本の読み方があります。自分の興味のある分野だけ読んでいては、この能力が高まらないのです。意識して、好きな分野と意識していない分野の本を読んでいくことで、この能力を高めることになるのです」

記者「偶然に発見するとか幸運を招き寄せるということは、分かったように思います。どうすれば捉えられるのでしょうか」
平賀「『偶然』が現れる瞬間を捉えるには、セレンディピティのプロセスを良く理解しておく必要があります。アイデアのプロセスは、『集める』、『並べる』、『組合せる』、『選ぶ』でした。脳は、各行程で事実と事実の関連性を探る作業をしています。セレンディピティの『思わぬもの』や『幸運』は、この各行程でひょっこり顔をだします。その瞬間、捕まえないとすぐに隠れてしまいます。アイデアを集める作業を始めたら、いつでも周到な準備や心構えが必要になるのです」

記者「思いつきや幸運を捉えるために、準備が必要なのですか」
平賀「はい、大変重要です。見えないものを見えるようにしておく日常の工夫や努力が、セレンディピティを引き寄せ、アイデアをつくることになるのです。普段であれば見逃す偶然が、常に問題解決に取り組んでいる人には、偶然ではなく新しいアイデアの糸口になります。問題解決を考えている人達は、その『思わぬもの』がピースとしてここに入ったら、解決の構図や引出をたくさん準備しています。言葉で捉えられない場合、絵とか図という形で捉える準備をしている場合もあります。もちろん、この準備にはデータを収集し、分析する地道な日常的努力が必要であることはいうまでもありません」

記者「アイデアを日常的に作り出すことが求められています。どうすればアイデアを量産できるのでしょうか」
平賀「量産するツールとして、アイデアボックスという手法があります。下の表は、横軸が、流通、種類、地域、運搬手段の4つが並んでいます。縦は5つそれぞれ並んでいます。これらの組合せは、理論的に3125通りになります。この中から10%でも良いアイデアの萌芽が出れば、多くのアイデアが作れることになります」

流通 種類 地域 運搬手段
コンビニ ②衣類 東京・大阪 鉄道コンテナ
スーパー 飲料水と酒類 仙台市 大型トラック
問屋 生鮮品 登米市 ④小型トラック
個人商店 レジャー用品 昭和村 自転車
①通信販売 電気家具 ③限界集落 人間(宅配ボックス)

記者「具体的には、どのようにするのですか」
平賀「たとえば、①通信販売、②衣類、③限界集落、④小型トラックという組合せで考えて見ましょう。通販は今現在、小売業では、コンビニと並んで売上げを伸ばしている業種です。これからも、売上げを伸ばしていきます。限界集落では、スーパーや個人商店が撤退しています。気に入った衣類は、通信販売で買うパターンが増えてきました。問題は、限界集落内の家と家の距離、そして限界集落同士が離れていることなのです。これらの集落を小型トラックで、個々の家に配達することは、ドライバーを酷使しコストがかかり過ぎるのです。この4つのワードから配達の最終段階で、ドライバーの酷使を軽減しコストをいかに減らすかという課題が出てきます。この課題を解決するアイデアが、必要になります」

記者「確かに、具体的な課題が出てきました。どうすれば、アイデアは出てくるのですか」
平賀「限界集落の中心に荷物をおいて、そこからは人間が運ぶことにすれば良いというアイデアが出てきます。付け加えれば、中心にある家に宅配ボックスを設置します。ボックスに取りに来た場合100円引きにします。ボックスのある家の方が運ぶ場合、100円を支給するのです。限界集落では宅配ボックスを使用し、ドライバー労力を軽減し燃費を抑えるのです」

記者「大都市の場合は、どんなアイデアが出てきますか」
平賀「スーパー、生鮮品(ジャガイモ)、大都市、鉄道+小型トラックという組合せで考えてみましょう。北海道は、日本のジャガイモの7割ほど生産しています。これを、大消費地に安く供給するという課題設定です。産地でジャガイモを鉄道コンテナで、人口密集地の大都市に運びます。ジャガイモで充たされた鉄道コンテナを小型トラックで、スーパーの駐車場に運び、そこで販売するのです。コンテナは自動販売機になっていて、100円を入れると市価の半額でジャガイモが出てくるというものです。人手やコスト抑えることができます。アイデアボックスからは、自動的に組合せが出てきます。その中から、アイデアの萌芽や『ピース』を選んでいけば良いのです」

記者「問題解決を考えている人達は、その『ピース』がここに入ったら、課題解決が可能になるという構図や引出をたくさん準備しているという意味が初めて分かりました。3125の組合せの中にそのピースがあれば、アイデアは出てくるということだったのですね」
平賀「はい、工場生産では原料から最終製品まで作り上げる時間をできるだけ短くすることが求められます。完成品を1個作る時間を全ての工程で認識された現場は、士気が高いといえます。士気の高い現場からは、アイデアが豊富に出てきます。引出の準備ができている職場ともいえます。流通でも同じことがいえます」

記者「アイデアは、懸命に考えている人からは出てくるが、考えない人からは出ないことがよく分かりました。そして、闇雲にアイデアを考えようとするより、アイデアのツールを利用する方法もあることが分かりました」
平賀「アイデアの量産は、アイデアボックスだけでなく、いろいろなツールがあります。自分にあったツールを利用すると楽しくアイデアが出てきますよ」


ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。


アイデアの作り方

2016-10-14 21:38:49 | 日記
アイデアの作り方

アイデアを重視する社会になってきています。以前は、元気で明るい人材が求められていました。元気ということは、健康で仕事を継続的に行うことができるという評価基準です。明るいということは、職場の人間関係を円滑にするという基準で選ばれていました。現在は、問題が起きたときどのようにアイデア出しながら、その問題を解決したかという点が評価されています。今回は、平賀さんにアイデアの作り方をトット記者が尋ねます。

記者「アイデアを出せる人材が求められています。アイデアを出すと何か良いことがあるのですか」
平賀「そうですね、今はスマートフォンのゲーム市場には、3万から4万のゲームアプリが出回っています。ゲームエンジンができたため、ゲーム制作のノウハウがなくとも、アイデアさえあれば開発者になれるのです。スエーデンの小さな会社が開発したゲームアプリは、1ドルで販売されています。このゲームは全世界で累計5000万件ダウンロードされました。アイデアが、利益を生む時代なのです」

記者「アイデアをだせる人材が、求められることはわかりました。どうすればアイデアを作れる人になれるのですか」
平賀「初歩な方法には、足したり引いたりし、大きくしたり小さくしたりなどがありました。たとえば、調味料の穴を大きくし、使用量を増やすなどというアイデアもありました。でもアイデアの基本は、すでにあるものを組み合わせて新しいものをつくることです。パソコンなどのツールを使えば、アナログな手法より、ずっと簡単に組合せを行うことができます。アイデアは、デジタル的手法によって『集める』、『並べる』、『組み合わせる』、『選ぶ』という手法になっていきています」

記者「アイデアを作り出す手法として、ブレーンストーミングが有名ですよね。この方法の有用性はどのように評価されているのですか」
平賀「はい、『集める』という点では、優れたものです。でも、ブレーンストーミングから直接『有効なアイデア』を得ようとしても上手くいかないようです。大勢の人から断片的なアイデアを出させても、有効なアイデアにならないのです。アイデアを有効にするためには、物事の関連性を見いだし、それを繋げていくことが必要になります。アイデアは、広い既存の知識と専門的知識を組み合わせから生まれています」

記者「防犯ミラーは、防犯のために使われていました。でも、今は店で困っているお客様がいたときに利用するモノになっているといいます。アイデアは、このような思いつきや着想ではないわけですね」
平賀「広い意味では、それもアイデアです。でも多くのアイデアは、広く深く潜行しながらつくられるようになっています。有効なアイデアは、いったん自分の頭で咀嚼しなければなりません。生まれたてのアイデアは、壊れやすいので大事に育てることになります。このアイデアを咀嚼する段階で重要になるのが、物事の関連性を見いだす力になります。アイデアを日常的に作る人は、事実と事実の関連性を探る力を高めていくことが大切です。アイデアを作り出す中で、養う力は徐々について行きます」

記者「アイデアを出す人は、『良い意味でいい加減な人』がいると聞いています。それはどういうことなのでしょうか」
平賀「アイデアを大切に育てているときは、頭の中では事実と事実の関連性を懸命に探している緊張状態なのです。この状態の時は、視野が狭くなり、事実と事実の関連を俯瞰できない状態になっています。この緊張状態が続いている時に、ほんの瞬間的にですが、事実との関連性が具体的な形で出てくるときがあるのです。このほんのちょっとした瞬間、出現した幸運を捉えなければなりません。この瞬間を逃すと、アイデアは獲得できません。『ほんの瞬間』とは、緊張が解けてぼんやりしているとか、ぶらぶらしている状態なのです。このぼんやりとかぶらぶらといった状態を『いい加減』と見る人もいるのでしょう。アイデアの豊富な人は、関心が広く、好奇心が強く、好みが複雑で、曖昧さに寛容な傾向がみられます。普通の仕事を真面目にしている人には、少し奇異に感じられるのかもしれませんね」

記者「いったん問題を放棄したり、課題と関係のないことをするような人達が、アイデアをたくさん出すと聞いていました。放棄したような状態の時に、緊張状態が解放されてアイデアが出現する機会になっていたわけですか」
平賀「そうなりますね。大企業でもアイデアを生む人達には、良質な環境を準備する傾向が出ています。彼らの貴重な時間を、外部からのつまらない電話やメールなどで妨害されないようにしています。仕事が道楽と思えるような環境を整え、アイデアの女神が微笑むことに備えている会社もありますよ」

記者「心身を緊張状態に追い込んだり弛緩させたりすることは、相当なストレスがかかるのではないですか」
平賀「その通りです。高度な頭脳を使う場合、心身の健康を維持しなければなりません。早起きして太陽の光を浴びると、脳内物質のセロトニンが活発に生産されるようになります。セロトニンは、ストレスに対する耐性を高めてくれる物質でもあります。夜になるとセロトニンは、メラトニンという物質に変換されます。このメラトニンは、睡眠を誘う物質です。メラトニンが、夜の深い良質な睡眠をもたらします。大切なことは、この睡眠中にアイデアを形成する事実と事実の関連を整理する作業が行われていることなのです。そして、ぐっすり眠れれば、心身の疲れも取れ、再び高度な頭脳活動が続けられるようになります」

記者「アイデアは、単なる組合せではなく、個人の健康や職場の配慮があって、初めて豊富にできることがわかりました」
平賀「はい、繰り返しになりますが、『集める』、『並べる』、『組み合わせる』、『選ぶ』る工程の中で、人はアイデアを生み出す作業を意識的にかつ無意識的に行っているのです。無意識の中に格納されたアイデアが、突如出てきたときに、捕まえる準備をしていないと逃げられてしまいます。苦労して育てたアイデアを、いつでも捉えられるように準備をしておくことです。そのためには、メモはいつでも携帯すべきでしょう。アイデアの質を高めるためには、知識をたくさん仕込むことも大切です。仕込んだ知識を、いつでも使える状態にしておくこともさらに大事になります」

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。




スポーツの話 箱根駅伝 その2 タスキをつなぐ

2016-10-11 21:37:37 | 日記
スポーツの話 箱根駅伝 その2 タスキをつなぐ

 正月の風物詩になっている箱根駅伝は、見どころが数多くあります。今回は、一区間約20kmを確実にタスキをつなぐ走者の重要性について見ていきます。お話は嘉納さんで、聞き手はトット記者です。

記者「嘉納さんのお爺さんは、国際オリンピック初代委員です。そして、校長を務めていた東京高等師範は、第1回箱根駅伝の優勝校でもあるのですね。因縁を感じていますか」
嘉納「いいえ、戦前の箱根駅伝は、一種のお祭りと考えた方が良いと思います。初期の頃は、陸上部だけでは人数がたりず、他の部に応援をお願いして、選手をそろえていたほどです。最も助っ人は、その道の学生チャンピョンのレベルの人達です。箱根駅伝のターニングポイントは1987年です。箱根駅伝の全区間がテレビで生中継されるようになり、現在の隆盛をもたらしたのです。箱根駅伝は実業団駅伝に比べれば、記録や安定性などではまだまだ未熟です。でも、見方によっては楽しめることが多くあります」

記者「箱根で勝つためには、どのようにすればよいのでしょうか」
嘉納「ブレーキをおこさない走者をつくることです。たとえば最初の1区に走る走者に求められることは、安定性です。1区は、各大学とも出遅れることだけはしたくないので、慎重にレースを進める選手を選びます。集団のペースに合わせて、静かに集団の流れに乗っていくのが基本パターンです。スローペースになっても、イライラしない。中途半端に引っぱることはしないのです。先頭に立つときは、引き離すときだけです」

記者「私などは市民マラソンで最後のラストスパートをして、気持ちよく走り終えて、冷たいビールを飲んだときは生きていて良かったと思いました。選手の皆さんはどうなのでしょうか」
嘉納「そうですね。5000mであれば4000mまで楽なペースで走り、残り1000mだけ追い込んで走る練習があります。このような走り方は、一般の愛好家の方に見られます。最後だけ追い込んで終わる練習は、心地良い疲労感はあります。でも、箱根の実践では役に立ちません。インターバルでも1000mを2分55秒で走るのと3分で走るのでは、練習の成果が全く違うものになります。1000mを3分で行くのか、2分55秒でいくのかを練習を通じて、確実に身体にしみこませておく必要があるのです。箱根で最善の成果を発揮するためには、練習の中で実践を想定した計算された走りが求められます。天候や自分の体調を考慮し、なおかつ実践で最高の成果が出せるように練習を重ねていくのです。気持ちよく走って、気持ちよく終わる練習では、20kmの長丁場を安定して走りきることはできないのです」

記者「箱根では『山神』が出てきて、逆転劇を起こしています。山登りの走者は、どんな練習をしているのでしょうか」
嘉納「山登りについては、夏頃から平地組とは別にチーム編成をして、霧ヶ峰高原などの高地で合宿をします。夏の合宿でアップダウンの練習をしながら、9~10月頃から山登り専門の練習に入ります。坂のある町で育った選手は、膝を上手く使い、柔らかい走りをするようです。最近監督達が注目していることは、子どもの時の遊びの様子です。子どもの時に、外で夢中で遊んでいた選手が強くなる傾向があるというのです。今後の観察や検証が必要ですが、もしそうなら選手養成には長い時間がかかるということになります。もう一点述べておくことは、下りの走りです。箱根の下りでは、ブレーキをかけてはいけないのです。ブレーキをかけると、足にマメができてしまい、走れなくなることです」

記者「区間により走り方が違うんですね。あと、走り方が単に走るだけでなく、状況に応じた走りをしなければならないことも分かりました」
嘉納「箱根では、無難につなぐ選手が絶対に必要になります。駅伝も野球と同じで大砲ばかりでは勝てないのです。大砲を生かすつなぎの選手を丁寧に育てなくてはいけません。監督の腕の見せどころでしょう」

記者「監督の指導力の中に、選手を見抜く力があると聞きましたが、具体的にどのようなことなのでしょうか」
嘉納「良い監督は、動きの良い選手ばかり取るのではなく、精神力や性格を考慮しながら選手の補強を行っています。私生活がしっかりしている選手は、信頼が置けるのです。故障なしに練習を積んでいる選手は、得がたい存在になります。つなぎの区間である復路では、気持ちが安定していて、どんな状況でも平常心で走る選手が必要になります。ケガのない信頼のおける選手を起用することになりますね」

記者「山登りの練習に強化を励めば、平地の区間が疎かになりますね。その逆でも、いけません。どうすれば、バランス良く強化できるのでしょうか」
嘉納「それは、近年の上位校を見れば分かりますよ。正月の箱根駅伝を見ながらその答えを見つけてください」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



スポーツの話 箱根駅伝 その1 10人の選手をそろえる

2016-10-07 20:47:32 | 日記
スポーツの話 箱根駅伝 その1 10人の選手をそろえる

 箱根駅伝は、10人で走ります。1人約20kmを走るわけですが、練習も大変です。日頃から20kmの距離をこなしていないと、本番では走りきることはできません。でも、距離を踏めば踏むほど、スピードを養う力は失われます。かといって、スピード練習ばかりしていると持久力は低下します。スタミナが付きやすい選手と付きにくい選手は、どうしても出てきます。距離とスピードのバランスをどのようにすれば良いのか、嘉納さんにトット記者がインタビューしました。

記者「スピードと持久力の両方を高める練習というものはあるのでしょうか。以前は、インターバルトレーニングが、スピードと持久力を高めるトレーニングとして脚光を浴びていましたが」
嘉納「はい、インターバルトレーニングは、現在でもスピードと持久力を高める有力なトレーニングです。でも、現在は『ポイント練習とつなぎ練習』という形で、長距離の練習をするスタイルが増えています。練習には身体に負荷をかけて鍛えると同時に、休養や栄養をとって回復させる二つの面があります。ポイント練習は重要度が高く、負荷の高い練習になります。ポイント練習の次の日は、クールダウンを意識したつなぎの練習を組み込むことになります」

記者「練習に強弱を加えながら、持久力とスピードをらせん状に走力を高めていくということですか」
嘉納「はい、ポイント練習とつなぎ練習がこなせれば、順調に走力は高まります。実践的走力も、付いてくることになります。一般にポイント練習は、週に2~3回組み込まれています。選手は、ポイント練習とつなぎ練習の意味をよく理解することが大切です。練習のきついポイント練習の終了後、食事が食べれない状態でも食べなければなりません。きつい練習は、身体の筋繊維を損傷することになります。傷めた筋繊維を修復すれば、以前より強い筋力や持久力で走ることができるようになります。筋繊維の修復には、栄養の補給が不可欠です。走るだけで食事をしなければ、走力は急激に低下して行きます。」

記者「練習をして、走力が低下することがあるのですか」
嘉納「はい、適切な栄養の補給と休養を取らなければ、選手生命は絶たれます。常識です」

記者「箱根駅伝で戦うためには、どのような選手をそろえればよいのでしょうか」
嘉納「はい、20kmを61分30秒で走れる選手を10人そろえることです。でも、これは難しのです。そこで60分で走るエースとか、62分で走るつなぎの選手が出てくるわけです。この2分は、私たちが考えるより、かなり大きな意味を持ちます。ある監督は、同じ62分の選手でも、その中身を検討していきます。5000mを15分、10000mを30分30秒で走る選手が、箱根の各区間でどのようなペース配分で走ったかを、一人一人調べていきます。当然日々の練習でも、20kmの走りのペース配分を調べていきます。後半のペース配分が乱れる選手は、後半の安定に重点をおいた練習が目標になります。選手も修正課題として、意識しながら練習を行うことになります」

記者「いやびっくりしました。華やかな沿道をひたむきに走る選手に、そのような課題が課されていたと思いませんでした。監督がただ単に、現在の状況の指示を出しているだけかと思っていました」
嘉納「そうですね、4区にエースクラスを持ってこられるような学校なら、選手層の厚いチームを編成したといえますね。監督も安心でしょうね」

記者「ところで、駅伝はロードを走るわけですが、練習でもロード中心になるのですか」
嘉納「難しい質問ですね。ロードはアスファルトでつくられている道を走ります。硬い道路を長い時間走っていると、足を痛めます。長距離走者は、骨粗しょう症になることが多いのです

記者「なぜですか、運動して身体を鍛えていれば、骨も強くなると思うのですが」
嘉納「簡単にいうと、長距離走者はカロリーを多く消費します。その時にビタミンB1とカルシウムが多く必要になるのです。その補給を怠るとカルシウムが不足し、骨や歯のカルシウムを使って、不足を補うわけです。補給しなければ、骨も歯もカルシウム不足の弱い組織になってしまいます。骨粗しょう症は、長距離走者の職業病、いや『選手病』ともいえるかもしれません。特に女子の選手には多く見られますね」

記者「なるほど、一般に考えられるよりも選手の身体は、繊細につくられているわけですね。かといって、練習の質を下げれば、勝てませんよね。どのような対処をしているのですか」
嘉納「はい、各大学ともいろいろな対策を立てています。まず、栄養管理です。専門の栄養士を雇用して、選手の献立をつくっています。これはよく知られているように、マラソンなどでも選手、監督、コーチ、トレーナー、マネージャー、そして栄養士などのチーム一丸で金メダルを取る方式が有名ですね。駅伝の世界にも徐々にこのような形式が取り入れられてきています。次に目新しいものは、クロスカントリーコースの導入です。硬いロードの上を走るだけの練習ですと、どうしても足を痛める選手が出てきます。柔らかい自然の起伏のある土の上で、足を守りながら走る距離を確保するわけです。クロカントリ-をやると、関節の可動域が広がることがわかってきました。青山大学、神奈川大学、東海大学などはクロスカントリーコースを取り入れ、成績を向上させています。そのほかにも、低酸素室での練習や高酸素カプセルの充実など、各大学が対策を立てています」

記者「今月の10月15日(土)に立川で箱根駅伝の予選会が行われますね。関東学連に加入している大学が50校参加するということです。ここから10校が晴れて箱根駅伝に出場できます。距離は20km、各学校12名が参加し、上位10名の合計タイム上位10校が、箱根駅伝に出場できます。今まで伺った対策を、各大学がどのように練習に生かしてきたか見たいものです。今日はありがとうございました」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



覚醒剤受刑者の治療を考える

2016-10-04 22:16:18 | 日記
覚醒剤受刑者の治療を考える

 覚醒剤取締り法違反で検挙される人は、ここ何十年も毎年1万人を超えています。刑務所の収容人数は、7万人で推移してきました。その7万人のうち、20%が覚醒剤の受刑者です。薬物経験者まで含めると50%にも及んでいます。刑務所の受刑者で最も多い罪は窃盗で、2番目が覚醒剤になります。今回は、覚醒剤の受刑者についてその治療と更生についてトット記者が遠山さんにお話を聞きました。

記者「覚醒剤取締り法違反では有名人が逮捕され、世間に大きな話題を投げかけています。でも、なかなかなくならないようです。覚醒剤で受刑者になった方の特徴を教えて下さい」
遠山「覚醒剤の再犯率は高く、4年以内の再犯率は30%になります。長期服役者の増加現象が、まったく止まっていない原因が覚醒剤の受刑者なのです。薬物使用者が再び刑務所に入る再入率は、近年55%に上昇しています。その多くが、覚醒剤の受刑者なのです。性犯罪の再犯が話題になります。でも、それは3%程度です。覚醒剤はその10倍の30%になっているのです」

記者「『健全な身体に健全な精神が宿る』といわれています。刑務所で糖尿病患者のように規則正しい生活を送ることで、治療の効果を上げることはできないのですか」
遠山「残念ですが、身体訓練や精神の鍛錬では覚醒剤の誘惑を取り払うことはできません。覚醒剤がやめれないのは、依存症によるものです。依存症は、精神や意志の力では防止できません。日本でも、刑事収容施設法により、薬物受刑者に対して『特別改善指導』が義務化されました。現在、日本の全ての刑務所で、薬物受刑者に対して何らかの指導がなされています」

記者「薬物というのは覚醒剤や麻薬などの総称ですよね。薬物対策は、外国ではどうなっているのですか」
遠山「中国では、薬物の取引には、死刑という厳罰で取り組んでいます。フィリピンでは、大統領が代わってから、厳しく薬物取引を取り締まっています。でも、ほとんどの国では、刑罰より治療が優先されていいるのです。先進国の中で、薬物使用によって刑務所に入る国は、日本くらいになっています。EUは、薬物の密輸や密売には重罪で望んでいます。でも、個人の使用に対しては、刑罰より治療を優先しています。薬物使用者に対して、刑罰の厳罰化による再犯防止は効果がないのです。再犯防止には、治療それもグループでの治療が一番効果が上げることも分かっています。薬物依存には、社会復帰を支援するという非刑罰化の立場を取る国が大半です」

記者「覚醒剤の依存症のメカニズムは、どのようなものなのですか」
遠山「覚醒剤を摂取すると、中脳の辺縁系でドーパミンが大量分泌されます。ドーパミンは、意欲とか快感に関連した物質です。ドーパミンの大量放出は、多幸感を得ることができるのです。ところが大量放出後、ドーパミンの枯渇が生じます。ドーパミンの枯渇は、意欲の減退や不安に襲われ、禁断症状を誘発します。覚醒剤の乱用者は、快感を得るためと禁断症状を和らげるために、再度薬物を使用することになります。覚醒剤の問題は、この薬が強力な依存性を持ち、使うごとに精神が犯されていくことにあります」

記者「意志や身体の力では、矯正できないことがわかりました。どのような治療があるのですか」
遠山「薬物依存症において難しいことは、薬をやめることではなく、やめた状態を続けることなのです。薬物をやめる場合、二度と手に出さないと決意するより、とりあえず今日一日使わないようにすることです。薬物依存が進むと、友人は薬物使用者ばかりになります。生活は全て薬物中心に回って動きます。薬物関係の仲間と離れ、自助グループで新しい仲間と付き合う方法が有効です。仲間のいる繁華街に行かないで、その時間は近所を散歩をして過ごすわけです。とにかく、その日一日は、薬を使わないようにする工夫を続けるのです」

記者「覚醒剤の密輸を摘発する方法もあるのではないですか。覚醒剤がなくなれば、覚醒剤を使用することはないのですから」
遠山「どの国も、最初は禁止します。密輸を厳しく取締り、薬物使用者を厳しく処罰する方向で対処するのです。でも、これがことごとく失敗していきます。取締り強化で覚醒剤の供給が減れば、薬の価格は高騰します。高騰しても乱用者は、薬物を求めます。密輸するほうも価格が高騰すれば、利益は莫大になるために、危険を冒してでも供給量を確保し続けます。取締りと密輸のイタチごっこになり、密輸側が勝利という構図が続いたわけです」

記者「確かに依存者が減れば、密輸する方も利益が減ります。覚醒剤使用者が減少することは、密輸組織の利益が減ることになりますね。違法な組織が、弱体化することにも繋がるわけですか」
遠山「覚醒剤の受刑者には、刑務所で罰を与えただけでは、犯罪の連鎖から抜け出すことはできません。覚醒剤の再犯を減らすためには、処罰に加えて、『治療』という新しい仕組みを導入することが求められます。PFI刑務所では、薬物依存離脱指導として、ダルクが開発したプログラムを取り入れています。治療で変えることのできる要因、犯罪の原因になっている要因に的を絞って治療を重点的に行うようにしています」

記者「覚醒剤の再犯防止の難しさが、少し分かりました。新しい治療方法ができて、再犯率が下がるとよいですね」
遠山「はい、新しい治療の萌芽が出てきました。脳科学者とゲーム関係者との協力で画期的治療方法が開発されてきました。現在の脳科学の技術を使えば、人間を永遠に満足を感じさせることが可能になっています。脳の快楽中枢にセンサーを置けば、快楽を感じ続けることができるのです。そして、ゲームクリエイターは、『人間を飽きさせない』技術を持っています。現在、脳科学者とゲームクリエイターが、覚醒剤依存症の行動パターンと依存に入り込んでいく背景を把握することに努めています。いずれ、『薬をやめることではなく、やめた状態を続ける』をゲームをプレイすることで、解決できるようになるでしょう。この二つの分野のコラボレーションで、薬物依存症の問題は解決できる日が来ると思いますよ」
記者「興味深いお話をありがとうございました」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。