ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

SNSによるうわさの拡散を軽減する  アイデア広場 その 636

2020-07-31 18:39:22 | 日記
 ティッシュの特売回数が、少なくなっています。特売にかかりやすい低価格ブランドティッシュが、1年前に比べ2割弱上昇しているのです。仕入れ価格の上昇を受けて、スーパーやドラックストアが利幅を削ってまで安売りする状況ではなくなりました。以前、ティッシュペーパーは、洗剤おむつと並んで三白商品と言われていました。これらは、特売の目玉にされることが多かったのです。でも、洗剤はコンパクト化により、おむつは通気性などの高機能化により、安売り商品から撤退していきました。今また、ティッシュも特売商品から抜け出しているようです。
 ティッシュの輸入ソフトパックは、店頭価格が200円程度で好調です。外箱がなくフイルムで包装したソフトパックと呼ばれるティッシュが、存在感を増しています。販売が好調になった背景には、箱入りティッシュの値上がりがあります。箱入りのティッシュの品薄感は、2019年11月頃まで続いていました。ソフトパックは、以前からありました。でも、型崩れしやすいという理由で販売が伸びなかったのです。ところが、ティッシュは値上げの状況が続いたために、割安感が出てきました。安いために、その利便性を工夫する愛好家が生まれました。徐々に評価を上げて、ティッシュ全体に占めるシエアが約1割にまで高っています。
 ティッシュを取り巻く環境は、この1年半で激変しています。1994年以降は、200円前後で推移します。ところが、家庭紙最大手の大王製紙は、2019年6月出荷ぶんから10%以上の値上げをしました。家庭紙の他社も、これに追随したのです。現在は、箱入り5箱パック入りの代理店卸値は現在285円から350円になってきました。各社が、消費税10%増税前の駆け込み需要も見据えて備えていました。さらに、悪い言ことが起きました。2018年から2019年にかけて、国内製紙各社でティッシュの生産設備にトラブルが続出したのです。ある意味で日本の製紙会社の施設は、老巧化しています。無理な生産は難しい面があるようです。そして、決定的な理由は、物流コストの高騰です。国内製紙各社が、物流コストの上昇により値上げに踏み切っているのです。
 ティッシュは、製品単価が安いため隙間なく積み込まなければなりません。隙間なく積み込まなければ、輸送効率が上がらないのです。人手で荷物を積み降ろす作業が求められるために、ドライバーにとっては重労働になっていました。この一年で、全産業の物流費は2割から3割上がっています。売上高に占める物流費は、洗剤など日用品雑貨で3~4%になります。化粧品は、2%前後に止まっていますが、ティッシュなどの家庭用紙は物流費に占める割合が7%前後になります。物流費の増加が、ティッシュ業界には大きな負担になっていたのです。重労働の作業では、運んでくれるドライバーがいなくなってしまうという危機感を業界は持っています。家庭用紙業界では、トラックの運転手不足の影響が他の業種以上に深刻でした。それが、値上げの大きな理由になっています。
 この業界にも、コロナショックが襲いました。アマゾンで販売されるトイレットペーパーの出品価格が、跳ね上がったのです。12巻ひとパックのトイレットペーパーが、2020年2月17日の497円から2月28日には3500円になってしまったのです。NTTの言語分析ツールで追跡したところ、2月28日には88万件に急増したのです。それ以前のトイレットペーパーに関するツイートは、1000件に満たない流れだったのです。この急な値上がりは、SNSのうわさの拡散によるものでした。感染拡大を受けてトイレットペーパーが、中国に輸入を依存しており、品薄になるとの間違ったうわさが流れたのです。良く調べれば、すぐに間違いだと分けるうわさが、コロナショックやマスク不足などの情報とともに流れ出たわけです。ティッシュなどの国内出荷に占める中国からの輸入量は、全体の3%に過ぎません。在庫も、十分にある状態だったのです。買い急ぎとドライバーの不足が、トイレットペーパー不足を招きました。普通の消費行動を取っていれば、何の問題も起きなかったのです。
 SNSで情報が拡散する流れは、コロナウイルスが人間に感染し発病する流れと似ています。ウイルスは、人間に「付着」し、細胞に「「侵入」するという感染になります。感染をすると、細胞内で自己増殖をし、次に「飛散」の段階をくぐりぬけて、外部の他人に付着するという流れを作っています。情報の拡散は、まずスマホにうわさが送られてきます。そこで、除去する人もいますが、見る人もいます。ラインなどで結ばれている人たちは、受け入れることが多くなるかもしれません。受け入れれば、感染と同じ状態になります。そのうわさに尾ひれをつけて、仲間に送ります。これが自己増殖と飛散に類似した流れになるわけです。トイレットペーパーに関する自己増殖と飛散が飛躍的に増加したために、88万件にものなってしまったわけです。
 余談ですが、SNSの良くない面が、強調されることが多くなりました。うわさの拡散や長時間の視聴は、精神を阻害するなどの弊害が述べられるようになりました。でも大局にみると、素晴らしい功績を上げているのではないかと言われ始めています。1993年は、インターネットが初めて社会の主流に入り込んできた年になります。この年代の12歳から24歳の年齢層は、歴史上初のデジタル世代と言われています。12歳から24歳の年齢層の生活は、圧倒的なまでにネット上の活動で評価されているのです。一方、1993年以前のアメリカでは、12歳から24歳までがもっとも暴力や犯罪が多かった年齢集団だったのです。銃器犯罪が多いとされるアメリカでも、1993年以降の20年間で暴力犯罪が半数以下にまで減少しているのです。日本は言うまでもなく、EUなどの諸国でも、12歳から24歳の年齢層の犯罪は減少しています。西欧社会は、1993年以降、暴力犯罪が急速に減少している事実があります。この理由は、SNSにあるという仮説がこれから検証されていくでしょう。
 SNSのウソを見破れる人は、鋭い人かもしれません。でも、SNSのウソにつき合える人は温かい人です。良い人の基準というのは、いくつもあるようです。気配りのできる人、面倒見の良い人、優しい人、思いやりのある人、裏表のない人などは、良い人として認められます。相手の気持ちをくみ取って行動できる人は、機微のわかる人です。人間存在を向上させるためには、憎悪などの感情や病気にあえて身をさらさなければいけない場合も出てきます。そんな中で、悪いうわさは自分からはしないで、そのうわさを聞いても誰にも伝えない人でいることも、これからの世界では必要なマナーになるかもしれません。



SNSによるうわさの拡散を軽減する  アイデア広場 その 636

2020-07-31 18:39:22 | 日記

 ティッシュの特売回数が、少なくなっています。特売にかかりやすい低価格ブランドティッシュが、1年前に比べ2割弱上昇しているのです。仕入れ価格の上昇を受けて、スーパーやドラックストアが利幅を削ってまで安売りする状況ではなくなりました。以前、ティッシュペーパーは、洗剤おむつと並んで三白商品と言われていました。これらは、特売の目玉にされることが多かったのです。でも、洗剤はコンパクト化により、おむつは通気性などの高機能化により、安売り商品から撤退していきました。今また、ティッシュも特売商品から抜け出しているようです。
 ティッシュの輸入ソフトパックは、店頭価格が200円程度で好調です。外箱がなくフイルムで包装したソフトパックと呼ばれるティッシュが、存在感を増しています。販売が好調になった背景には、箱入りティッシュの値上がりがあります。箱入りのティッシュの品薄感は、2019年11月頃まで続いていました。ソフトパックは、以前からありました。でも、型崩れしやすいという理由で販売が伸びなかったのです。ところが、ティッシュは値上げの状況が続いたために、割安感が出てきました。安いために、その利便性を工夫する愛好家が生まれました。徐々に評価を上げて、ティッシュ全体に占めるシエアが約1割にまで高っています。
 ティッシュを取り巻く環境は、この1年半で激変しています。1994年以降は、200円前後で推移します。ところが、家庭紙最大手の大王製紙は、2019年6月出荷ぶんから10%以上の値上げをしました。家庭紙の他社も、これに追随したのです。現在は、箱入り5箱パック入りの代理店卸値は現在285円から350円になってきました。各社が、消費税10%増税前の駆け込み需要も見据えて備えていました。さらに、悪い言ことが起きました。2018年から2019年にかけて、国内製紙各社でティッシュの生産設備にトラブルが続出したのです。ある意味で日本の製紙会社の施設は、老巧化しています。無理な生産は難しい面があるようです。そして、決定的な理由は、物流コストの高騰です。国内製紙各社が、物流コストの上昇により値上げに踏み切っているのです。
 ティッシュは、製品単価が安いため隙間なく積み込まなければなりません。隙間なく積み込まなければ、輸送効率が上がらないのです。人手で荷物を積み降ろす作業が求められるために、ドライバーにとっては重労働になっていました。この一年で、全産業の物流費は2割から3割上がっています。売上高に占める物流費は、洗剤など日用品雑貨で3~4%になります。化粧品は、2%前後に止まっていますが、ティッシュなどの家庭用紙は物流費に占める割合が7%前後になります。物流費の増加が、ティッシュ業界には大きな負担になっていたのです。重労働の作業では、運んでくれるドライバーがいなくなってしまうという危機感を業界は持っています。家庭用紙業界では、トラックの運転手不足の影響が他の業種以上に深刻でした。それが、値上げの大きな理由になっています。
 この業界にも、コロナショックが襲いました。アマゾンで販売されるトイレットペーパーの出品価格が、跳ね上がったのです。12巻ひとパックのトイレットペーパーが、2020年2月17日の497円から2月28日には3500円になってしまったのです。NTTの言語分析ツールで追跡したところ、2月28日には88万件に急増したのです。それ以前のトイレットペーパーに関するツイートは、1000件に満たない流れだったのです。この急な値上がりは、SNSのうわさの拡散によるものでした。感染拡大を受けてトイレットペーパーが、中国に輸入を依存しており、品薄になるとの間違ったうわさが流れたのです。良く調べれば、すぐに間違いだと分けるうわさが、コロナショックやマスク不足などの情報とともに流れ出たわけです。ティッシュなどの国内出荷に占める中国からの輸入量は、全体の3%に過ぎません。在庫も、十分にある状態だったのです。買い急ぎとドライバーの不足が、トイレットペーパー不足を招きました。普通の消費行動を取っていれば、何の問題も起きなかったのです。
 SNSで情報が拡散する流れは、コロナウイルスが人間に感染し発病する流れと似ています。ウイルスは、人間に「付着」し、細胞に「「侵入」するという感染になります。感染をすると、細胞内で自己増殖をし、次に「飛散」の段階をくぐりぬけて、外部の他人に付着するという流れを作っています。情報の拡散は、まずスマホにうわさが送られてきます。そこで、除去する人もいますが、見る人もいます。ラインなどで結ばれている人たちは、受け入れることが多くなるかもしれません。受け入れれば、感染と同じ状態になります。そのうわさに尾ひれをつけて、仲間に送ります。これが自己増殖と飛散に類似した流れになるわけです。トイレットペーパーに関する自己増殖と飛散が飛躍的に増加したために、88万件にものなってしまったわけです。
 余談ですが、SNSの良くない面が、強調されることが多くなりました。うわさの拡散や長時間の視聴は、精神を阻害するなどの弊害が述べられるようになりました。でも大局にみると、素晴らしい功績を上げているのではないかと言われ始めています。1993年は、インターネットが初めて社会の主流に入り込んできた年になります。この年代の12歳から24歳の年齢層は、歴史上初のデジタル世代と言われています。12歳から24歳の年齢層の生活は、圧倒的なまでにネット上の活動で評価されているのです。一方、1993年以前のアメリカでは、12歳から24歳までがもっとも暴力や犯罪が多かった年齢集団だったのです。銃器犯罪が多いとされるアメリカでも、1993年以降の20年間で暴力犯罪が半数以下にまで減少しているのです。日本は言うまでもなく、EUなどの諸国でも、12歳から24歳の年齢層の犯罪は減少しています。西欧社会は、1993年以降、暴力犯罪が急速に減少している事実があります。この理由は、SNSにあるという仮説がこれから検証されていくでしょう。
 SNSのウソを見破れる人は、鋭い人かもしれません。でも、SNSのウソにつき合える人は温かい人です。良い人の基準というのは、いくつもあるようです。気配りのできる人、面倒見の良い人、優しい人、思いやりのある人、裏表のない人などは、良い人として認められます。相手の気持ちをくみ取って行動できる人は、機微のわかる人です。人間存在を向上させるためには、憎悪などの感情や病気にあえて身をさらさなければいけない場合も出てきます。そんな中で、悪いうわさは自分からはしないで、そのうわさを聞いても誰にも伝えない人でいることも、これからの世界では必要なマナーになるかもしれません。



サーモンの陸上養殖の可能性  アイデア広場 その 635

2020-07-30 18:02:27 | 日記


 世界中で、サーモンの消費が増えています。サーモンの輸入価格が、10年で2倍以上に上昇しています。この魚の人気は、中国やアジア圏で人気が高まり、企業の争奪戦の様相を呈しているのです。サーモンは和食人気と相まって、非常に人気が出てきています。近年は、各国の寿司愛好家への需要が増えています。サーモンだけでなく、世界の1人当たりの魚介類の消費量は、過去半世紀で約2倍に増えました。特に、中国は魚の消費が増えています。ノルウェーの生産するすべてのサーモンを供給しても、足りない状況が続いています。
 ノルウェーは、魚の扱い方や鮮度管理などを日本を手本に学んできました。日本の沿岸漁業者の給与均年収は240万円に止まりです。でも、日本の技術を身に付けたノルウェーでは、養殖業者の現場担当者の所得が3倍の720万円にもなります。給料が良いので、人材も医療系など多様な分野から若者が集まってきています。最先端の技術と優秀な人材が、ノルウェー漁業の成長を支えているのです。国も、最新設備を搭載した漁船や「いけす」、などに国家戦略として投資しています。ノルウェーは、年間約90万トン生産量の95%を輸出しています。回転寿司の中で、最も人気のあるサーモンの世界最大の供給国はノルウェーになっているのです。
 2017年の天然魚と養殖魚の生産量は、前年より3%増加して2億トンとなっています。養殖魚の生産量は、1億1千万トンを超え、その存在感を増しています。海洋から捕獲する天然物が減少する中で、養殖魚の存在感が増しているわけです。世界のサーモンなどサケマスの養殖量は、350万トンと10年で約1.5倍に増えました。現時点では、自然環境に左右されやすい海面養殖が主流になっています。この海面養殖には、リスクが伴います。欧州を中心に、海上養殖の餌や排漬物による汚染が問題となっています。海面養殖には適した漁場が限られ、欧州などの環境規制でこの先の大きな増産が難しい状況になります。
 日本の真珠の大産地で、アコヤガイの大量死が続いていいます。三重県志摩市の英虞湾では、貝の呼吸器官が縮み死んでしまう現象が拡大しているのです。鹿児島県では赤潮が発生し、8万7千匹のブリが死にいたっています。この大量死の被害総額は、1億2千万円を超えました。酸素は、生物が呼吸をするために欠くことができません。北東太平洋の定点では、表層水中の酸素濃度が50年間で約15%も減少しています。酸素の量が減るのは、温度が高いほど、気体は海水中に'溶けにくくなるためです。海水温の上昇により水産資源の減少も顕著になっている現実も出てきているのです。
 養殖には、海面養殖と陸上養殖があります。輸入価格の高騰を受けて、全国各地で陸上養殖に取り組む組織や企業が増えているのです。陸上養殖は、海水を使わないので魚の病気の防疫対策がしやすくしやすいのもメリットです。海面養殖の場合、期間が長いほど自然災害や病気のリスクが高まります。陸上養殖では水温や酸素量の環境条件を一定に保てば、夏場も安定した出荷が可能なります。陸上養殖のサーモンは、通年出荷が可能になり、安定した供給ができる利点があります。陸上養殖事が軌道に乗れば、サーモンの安定供給が期待でるわけです。海洋の変化に対応出来るように、海面養殖から陸上養殖に移行する流れはこれからも続くようです。
 国内の養殖業者だけに任せられないとして、商社や水産大手が海外に乗り出しています。丸紅と日本水産は共同で、今年の4月デンマークの養殖会社ダニッシニサーモン(DS)を買収しました。ダニッシュサーモンは、欧州で主流のアトランテイックサーモンの魚種を養殖する企業です。この会社は、閉鎖循環式と呼ばれる陸上養殖技術に強いものを持っています。サーモンは、世界的に需要があります。サーモンは、餌が比較的少なくとも、効率的に陸上養殖ができる魚種になっています。海上養殖に比べ価格は割高ですが、環境配慮のリターンを訴えて、プレミアブランドといて販売できるメリットがあるのです。さらに、サーモンで効率的な養殖ができれば、他の業種にその養殖技術が応用される可能性も出てきます。陸上養殖の技術は、高級魚のトラフグやヒラメなどにも広がりつつあるのです。
 陸上養殖の普及に向けた最大の課題は、コストになります。養殖コストの7割が、餌代という現実があります。さらに、海上養殖と比べると、養殖プラントの初期投資と水の循環に使う電気代など維持費がかかります。各養殖業者は、養殖魚の成長に合わせた独自の飼料を開発しています。大豆のミールなども、養殖用の飼料として利用されています。餌代を抑えながら、魚を大きくし、市場の求める品質の魚を出荷することを追究している中で光明も現れているようです。
陸上養殖の最大の利点は、基本的に養殖場所の規制がないことです。この利点を、最大限に使って陸上養殖の未来を探ってみました。そのヒントは、カナダのバンクーバー市にありました。2014年、カナダのバンクーバー市は、すべての野菜廃棄物のリサイクルを義務づける法律を可決しました。多くの企業は、リサイクルを義務づけるこの法律が現実性をもたないと非難したのです。一方で、このチャンスを待ちか構えていた会社がありました。カナダのエンテラ社は、野菜の廃棄物を利用する仕掛けを作っていました。この会社は、グローバルな問題である食品廃棄物と人類の栄養不足という2つの課題の解決策を用意していたのです。
 大量の売れ残り、古くなった野菜やサラダなどを廃棄する大手食料品店がありました。これらの企業は、リサイクルを義務化された条例に苦慮していたわけです。この野菜の廃棄物を、有料で受け入れる施設ができました。古い果物、野菜など甘酸っぽい匂いのするゴミの山を積んだダンプカーが、処理施設入ってきます。野菜廃棄物を満載したダンプの重量を計ると、積荷を下ろし、あとで空車の重さを計ります。その重量差によって、廃棄物の重量を把握するわけです。エンテラ社は「廃棄物」を有料で受け取り、ミキサーにかけてドロドロのジュースにします。このジュースを、アメリカミズアブの幼虫に食べさせるのです。
 驚くべきことですが、5 kgのアブの幼虫が100トンのくず野菜を餌として食べてしまうのです。この5kgのアブの幼虫は、6トンの肥料と6トンのタンパク質の豊富な幼虫を作ります。幼虫の糞と蛹の抜け殻が、6トンの肥料になります。アブの糞から作られた肥料は、地元の農家や家庭菜園に利用されています。タンパク質の豊富な幼虫は、ニワトリや養殖場の高品質の飼料になります。廃棄物を有料で受け取り、受け取った野菜で肥料や飼料として販売するビジネスを行っているわけです。
 陸上養殖の支援とゴミ問題の解決を計画している自治体があれば、一つのビジネスプランが出てきます。たとえば、首都圏の近くの自治体を想定します。近隣の市町村の生ごみを有料で処理する施設を作ります。ここで、まず収入を得ます。次に、この施設で肥料と飼料を作ります。これを陸上養殖の飼料として使います。肥料は、近隣の有機農法を行う農家に供給します。首都圏近郊であれば、サーモンの需要は寿司チェーンを中心の旺盛です。陸上養殖の初期における施設費は、半額ほどの援助をするような施策を行えば、企業は喜んで誘致に応じるかもしれません。



うつ病を軽減する街づくり  アイデア広場 その634

2020-07-29 18:15:39 | 日記


はじめに
 最近は、体調が悪くても休めない環境にある職場もあるようです。疲れているとはわかっていても、ペースダウンすることを職場の状況が許しません。うつ病になって入院する職業の筆頭ともいえるのが、学校教師になっています。がむしゃらに働き続ける人達は、うつ病に蝕まれやすくなります。良い職業人を演じし過ぎると、ストレスをためてしまうことになります。現代の就活における最低の条件は、有給休暇を気兼ねなく取れる会社かもしれません。

1、個人の対策
 半数以上の勤労者が、現在の仕事や職業生活に関して強い不安や悩み、そしてストレスがあるという調査報告もあります。このような状況の中では、自己防衛を図る知恵を持つ必要があります。笑いが、精神的ストレスを軽減する働きのあることが研究のすえ分かってきました。さらに、笑いと泣くこと、喜びと悲しみも人びとのストレス軽減を可能にすることが分かってきています。とすれば、これらを生活の中に組み込む仕掛けも必要になります。たとえば、落語や漫才を生活の中に入れてしまうわけです。受験生が、勉強時間のスケジュールに組み込むようなものです。
 笑いあり涙ありの落語を聞くことは、ストレスの発散には効果的です。この笑う環境を整えようとした場合、小さいことから始めます。テレビやラジオで落語や漫才を、自動録画をしておけば、一年間で1000題ほどたまります。これだけあれば、笑う環境が整います。家庭用の自転車マシンをこぎながら、1000題の落語や漫才を聞くのも面白い生活になります。自転車で有酸素運動を行い、その合間に落語を聞くわけです。落語は30分程度聞いて、ストレスと発散します。
 食べること、特に調理することが、重要になります。料理は非常に創造的な作業ですから、脳の働きを高めます。女性の方が長寿な理由は、献立という複雑な作業を長年続けているからかもしれません。男子も健康長寿を目指すならば、「基本メニュー」をしっかり覚えることが求められます。調理を継続的に続けるためには、安い材料で簡単に作る調理の腕を持つことになります。出汁のきいた味噌汁や煮魚、カレーライスを確実に仕上げられるスキルを身に付けると、未来は明るくなります。作る、動く、食べるという基礎的な生活が継続できれば、ストレスに対する耐性はできます。

2、社会の弱体化とその復元
 成長ばかりを考えてきた今までの都市政策は、限界を露呈してきています。旧市街から、郊外に発展してきたスプロール現象は、道路や下水道の公共投資の効率を悪化させてきています。スプロール現象は、環境保護の視点からも問題です。都市の持続可能性に、赤信号をともしているわけです。災害に弱い地域に、住宅などが建設されています。そのために、地震や台風による被害が頻繁に発生するようになってきました。
 財政力指数という言葉があります。これは、行政サービスの提供に必要な費用に対して、その町の税収入の割合をいうものです。この指数が高いほど、健全な自治体といえます。少ない予算で、住民の皆さんを健康にすることができれば、理想的な自治体ということができます。医療費も少なく、介護費用も少ない町は、ある面です理想的といえるわけです。ウオーキングで町おこしを行っている自治体もあります。歩きたくなる歩道を作り、多くの人々が、正しい歩き方を続ければ、医療費も少なく抑えられるという考えです。

3、うつ病の改善の事例
 うつ病の患者に、必要以上に多くの薬の投薬が行われてきたといわれています。そこである実験が行われました。うつ病の患者に、薬のグループと運動処方のグループに分けて実験を4ヶ月間行ったのです。この結果は、どちらもグループにも同程度の幸福感をもたらしたのです。この幸福度の改善で、運動が抗うつ剤と同じだけの効果があることが分かりました。でも、時間が過ぎるにつれて、効果に差が出てきました。抗うつ薬を飲んだグループは、6ヶ月後38%が再びうつ状態に戻っていたのです。運動療法をしたグループは、6ヶ月後の再発率はわずか9%でした。運動療法は、「うつ」の状態から90%以上を解放したことになります。うつ病を考えれば、運動は良いことになります。前頭葉の血流が低下することが、うつ病のサインになります。運動をすれば、血流は脳にも体にも流れます。身体的な活動は、気分を向上させる効用があるだけでなく、その効果が持続することが分かりました。
 うつに導く強いストレスは、感情に影響を与えます。感情には、喜びなどの単体で存在するだけでなく、複合して現れることも多いのです。悲しみの中に、喜びが同居することもあるということです。喜びと悲しみの複合は、ストレス拡散に非常に効果があるといわれるようになりました。人間の感情には、喜び、高揚、幸感、快感、悲しみ、落胆、修、恐怖、不安、怒りなどがあります。負の感情が多くなれば、「うつ」の状態になりやすくなります。適度に発散する機制がなければ、より悪い状態に落ち込みます。最悪のケースは、うつ病までになる場合もあります。一般に、適応規制を働かせて、最悪にまで至らず、平静を保つ人が多いわけです。

4、地域の中にある復元力
 ランニングなどで、肉体疲労の状態にすると、深い眠りに陥ることができます。深い眠りにつくことができれば、朝起きた時にセロトニンが分泌されます。この物質が分泌されれば、ストレス耐性は高まります。さらに、セロトニンは、メラトニンとなります。メラトニンは睡眠物質ですから、良好な睡眠をもたらすことになります。このようなサイクルを、個人で作ることが普通の考えです。もし、これを個人の習慣ではなく、地域の習慣にしたらどうなるでしょうか。
 昭和の中頃まで、日本にはセブンイレブンなどのコンビニ店はありませんでした。テレビも、夜の12時ごろには終了していました。社会全体が、眠る仕組みが整っていたのです。今の産業構造は、24時間3交代で生産活動を行う仕組みになりました。眠る仕組みが、複雑化してきたわけです。そこで、こんな自治体の首長が出てきてほしいと思うわけです。まず、3交代の生産体制を止める企業を誘致します。もちろん、税制を優遇します。夜の生産は無人工場で行います。たとえば、現在世界中で需要のあるマスクなどは、ロボットが自動生産できます。ロボットの作ったマスクにひと手間かけて、付加価値を高める作業も必要です。この作業を人間の都合の良い時間、つまり昼間に行う仕組みを作るわけです。
 次に、健康テックの技術を充実させます。たとえば、住民の顔の表情や脈拍、血圧、体温の生体情報をこの技術で収集が可能です。カメラやウェアラブル機器を通して、社員の生体情報を収集している企業もあります。いわゆる、健康テックというものです。IoTと連動していれば、常に、社員の健康状態を把握できる体制ができるわけです。社員の人のまばたきや視線移動から、集中力やリラックス、疲労状況を分析することもできます。健康情報に基づき、社員が医師からの健康改善の提案を受けることもできます。この仕組みを町全体で行うわけです。
 町ごと、医療と介護、プラス健康施設にしてしまいます。町にいるだけで、自然に免疫力を付ける要素が加われば、理想的な地域になります。笑いやユーモアが、町の日常生活に組み込む仕掛けを作ります。この町で生活をしているうちに、いつの間にか笑いのスキルを身に付け、免疫力が高まるというものです。個人や地域の人びとの免疫を強化し、地域を明るく住みやすい場所にします。笑いやユーモアの活動が、住民の健康増進に繋がる仕組みを作っていくわけです。人の健康を高める仕掛けが隠されている地域があれば、素晴らしい場所になる。
 でも、これだけでは自己満足の町になります。「うつ」にならない、そして元気になる町は、次のビジネスに打って出ます。40 歳から 64 歳でひきこもり状態にある人は、 61万人になります。小中学校の不登校の子ども達は、14万人になります。そして、イジメは54万人に及んでいます。これらの子どもは、不登校になりやすいのです。これらの方を対象に、オンライン治療やオンライン教育を提供していくことになります。もちろん、テレワークも用意します。元気に過ごしている町全体が、気分の沈んでいる人たちへの激励のメッセージになるわけです。

最後に
 幸せな生活を過ごしたいのであれば、若いうちから訓練の積み重ねが必要です。脳は、楽しいことが大好きです。面白いと思えることには、手を出してみることです。面白いことを感じるには、ドーパミンの分泌が多ければ良いことになります。ドーパミンを効率的に増やす方法は、小さな達成感を数多く味わうことです。大きなものを望んでいたらなかなか手に入らないけど、小さい幸せだったらどこにでもあります。小さな幸せを提供し続けることのできる街づくりを、目指すことも面白いかもしれません。

なぜノンレム睡眠とレム睡眠があるのだろうか アイデア広場 その 633

2020-07-28 19:19:43 | 日記

はじめに 
 睡眠不足は、脳震盪を起こしているのと同程度の悪影響を及ぼすという実験結果もあります。脳震盪を起こした状態では、競技に向かっても受験を受けるときにも十分に力が発揮できません。多くの分野で、睡眠の質が問われる時代になっています。健康な人は、ノンレム睡眠のときには脳の活動レベルが低下します。これには、理由があります。覚醒時における脳の活動は、非常に活発です。その上、睡眠の時間まで活発にすると、脳の機能が損傷するためです。ノンレム睡眠は大脳を鎮静化し、大脳の機能を回復させるための休養の時間なのです。「脳を休めさせて下さい」という生体の要求なのかもしれません。入眠の前には、手足の指先が温かくなることが知られています。手足の指先が温かくなるのは、末梢から熱を逃がすために毛細血管が拡張しているからです。脳の熱を、放出する活動をしているわけです。睡眠は、人間を守る素敵な仕組みになっています。
 脳には、覚醒(活動状態)、ノンレム睡眠、レム睡眠という3つの状態があります。人は、1日の3分の1を眠って過ごします。この8時間の眠りのうち、6時間がノンレム睡眠、2時間がレム睡眠といわれています。首をしっかりとさせて、行儀よく眠っているときがノンレム睡眠です。だらりと横になって眠り、まぶたの裏で眼球が動いているのがレム睡眠といわれているものです。深いノンレム睡眠の確保が、健康を保証するといわれています。健康な人は、ノンレム睡眠のときには脳の活動レベルが低下します。覚醒時における脳の活動は、非常に活発です。睡眠の時間まで覚醒状態になっていると、脳の機能が損傷してしまうのです。これは、脳震盪と同じような悪影響に及ぼすことになります。もし、受験に良い体調で臨める睡眠が保証できるホテルがあれば、受験生が押し寄せるでしょう。もっとも、このホテルでも能力以上の成績は獲れません。でも、能力を極端に落とさずに勉強の成果を発揮できる得がたいホテルになるのです。

1、睡眠の有効性
 受験生が受験に望むときには、大きなストレスを抱えています。ストレスを抱えながら、受験生は最大の能力を発揮しようとします。受験において、質の高い睡眠ができれば、自分の能力を出し切ることができる経験的にしられています。ある局面では、1点とか2点が合格ラインの分かれ道になります。競技者が、コンマ1秒を争う状況と似ています。
 アイデアを大切に育てているときは、頭の中では事実と事実の関連性を懸命に探しています。ある意味で、緊張状態になっているわけです。競技や受験と同じ状態といえるかもしれません。この状態の時は、視野が狭くなり、事実と事実の関連を俯瞰できない状態になります。追い詰められた、ストレスの高い状態といえます。このような状態にあるときに、良質の睡眠を取った人たちは、全体を俯瞰し、事実と事実の中に新しい関係を見つけることができることが多いのです。睡眠の研究が、激務をスムーズに遂行する新しいやり方を見つけつつあります。
 オリンピックの各競技は高度化し、コンマ何秒の争いになることも当たり前になってきました。選手達のコンディション調整が勝負の分かれ目になります。そんな中で、睡眠の重要性が最近話題になってきました。各競技とも、洗練されたトレーニング方法を確立しています。その効果を挙げるための栄養摂取の知見も蓄積されています。でも、睡眠の知見がまだ不十分のようです。スポーツ界では、食事のみならず睡眠と競技力の関係が注目されはじめています。トップ選手は、試行錯誤をしながら、睡眠の取り方を工夫しています。
 睡眠の状態によって、トレーニングの成果が左右されることが分かっています。この種の研究は、アメリカやカナダで盛んです。先験的事例では、2011年に行われた男子バスケットチームを対象にした研究があります。実験に参加した選手に、毎日10時間はベットに横になり、寝たりしてもらうのです。休息や睡眠ができる時間を確保したわけです。すると、フリースロー成功が高まったのです。実験選手を毎日10時間ベッドに入れると、フリースロー成功は10本当たり平均7.9本から8.8本に増えたのです。
 実験に参加した選手については、核磁気共鳴画像法(MRI)で睡眠中の様子を、観察することができるようになりました。自然な睡眠の状態で、各種のデータを取る技術が進歩してきました。自然な状態で、脳や血液の流れを計測できる技術が開発されたわけです。睡眠の質や量が及ぼす影響を、実験を通して明らかになりつつあります。世界最高レベルで戦うスポーツには、強いストレスを伴います。もし、スポーツ選手の睡眠と競技力の関連が解明できたならば、強いストレスにさらされている受験生やアイデアを産生する人々の福音になるかもしれません。
 
2、睡眠と健康
 湿度が30~40%なると、喉や鼻が乾いてきます。乾燥が進むと、インフルエンザなどにかかりやすい状況になります。湿度を上げれば良いのですが、部屋全体の湿度を上げるには多くのエネルギーが必要です。この課題を解決するために、個人用の加湿器が開発されてきました。この個人用の加湿器は、売れ行きが順調です。それだけ、冬の乾燥には注意が必要だと皆さんが考えているのでしょう。でも、すぐに蒸気が拡散してしまってもったいないように思います。
 そこで、蒸気が拡散しない加湿器を考えてみました。これは、夜の睡眠用に使用します。長さ200~220cmで半径50~70cmのドーム形の加湿器をかぶって睡眠を取ります。このドーム状の加湿器に湿気を送り込みます。そのドームの中で睡眠を取るわけです。ドームの端に、湿気の漏れをある程度防ぐ弁や膜を設けてあります。湿度50%程度の中で睡眠を取れば、喉や鼻に違和感を持たずに熟睡が可能になります。疲れが激しいときは、酸素濃度を少しだけ高くすれば、疲労回復には効果があるかもしれません。
この種の器具は、高価になる場合があります。そんな時には、自分で作ることも可能でしょう。アパートの個室に野外用のテント張ります。個室がある程度外気の温度を遮ります。さらに、テント内は寝袋や体温で一定の温度が確保されます。そこの中で、小さな加湿器を使います。この方法は、湿度と温度管理も一緒に可能になる方法です。加湿器とテントを併用する工夫に加え、湿気が抜けるところにビニールの袋を貼るというものです。野外活動する人などは、用具は揃っていることでしょう。野外活動は、夏だけでなく、四季を通じて行うことも合理的な利用方法です。加湿器に天然のアロマを入れることも、考えられます。
 ストレス関連の不眠症は、現代病とされています。この病を和らげるアロマの配合もあるようです。寝る前に、このアロマを加湿器に数滴たらしておけば、朝方はスッキリということになるかもしれません。もっとも、純粋なアロマの精油は水に溶けないので、改善や工夫が必要になるかもしれません。アロマの中には、美しい肌を作る物質もあるようです。睡眠の中のノンレム睡眠中は、皮膚の血管に血液が多く流れる時間でもあります。皮膚の新陳代謝をはかり、不純物を除去する時間になるわけです。この時間を有効に使った美肌効果を高める仕組みをが、考案されても良い頃でしょう。
 睡眠の時間帯に、皮膚に優しいアロマを加湿器に入れておけば、相乗効果で皮膚を美しくするかもしれません。睡眠は、人生の3分の1を占めています。この睡眠は、人間の免疫力を高めたり、記憶力を高めたり、そして肌の再生を促す時間でもあります。この大事な時間を、乾燥した状態ですごすことはもったいないことです。できるかぎり、睡眠をより快適な時間の中ですごし、翌日の活動の準備に備えたいものです。ビジネスの機会は、健康、記憶、美肌などと現代人が要望する形で揃っています。あとは、その切込みだけになるようです。

3、スムーズな入眠方法
 睡眠が大切な事は、分かりました。問題は、どうすればスムーズに睡眠に入れるかということになります。寝室に入ると、自動的に眠りに導かれる部屋できれば、ビジネスの種になるでしょう。昼の太陽光のような「青白い光」を頭の上から浴びると、脳は覚醒し活動的になります。夕焼けのような「オレンジ色の光」を低い位置から浴びるとくつろぎモードになります。いわゆる眠りのモードになるわけです。太陽が沈むと、セロトニンが睡眠を誘うメラトニンに代わっていきます。高い位置から頭上への直接照明は、太陽と同じで無意識に活動的なモードに切り替える光になります。
 メタモルフォシィという照明があります。この照明は、気分や情況に応じて、部屋全体の色の微妙な調整を可能にするものです。個々人の眠りにつく情況に合わせて光を調節してくれる優れものです。光の調整は、国際線の飛行機の深夜や夜明けに行われています。昼間の明るい太陽光は身体を活動的にし、夕暮れの光はくつろぎのモードにすることが知られています。寝る前には、明るい蛍光灯よりも、夕焼けのようなオレンジ系統の光を低い位置からあびると、睡眠に導かれるということになります。
下からの間接照明とオレンジ色は、覚醒を低下させていきます。寝床にはいると、自動的に頭上の明るい光から、照度を落とし、間接照明に変わる器具を開発することも面白いでしょう。個人差もありますので、それに対応できる睡眠導入照明システムなどができれば、ビジネスの種になります。ついでに、入眠を助けるアロマの香りを漂わせる要素も入れておけば、さらに効果的かもしれません。
 目の疲れは、単に目だけの疲れというわけではありません。体全体が疲れている時に、個々人が持つ弱い身体の部分が異常をきたすと考えればよいと思います。膝の痛みをかばえば、腰痛を悪化させることがあります。部分的故障は、体全体から見ることも必要になります。目の疲れと肩の疲れが連動していることが多いのです。そこで、マッサージの登場になります。人の手によるものが、最も効果的なでしょう。最近のマッサージ機の性能も向上しています。疲れを軽減し、眠りに誘う機能もそれなり良くなっています。
 この素晴らしい寝室とマッサージ機を用意してはどうでしょうか。眠りは飽和した多くの情報を、睡眠中に脳内で整理し加工して、アイデアとしてアウトプットする機能があります。会社の厚生部で購入し、社員が個人的に使うようになれば、社員の士気は向上することでしょう。そして、会社も優れたアイデアを、社内で産生することができるかもしれません。そんな生産的な睡眠ルームができれば、会社も社員もウインウインになります。

4、深遠な睡眠
 ヒトのDNAを調べていくと、魚類に行き着きます。5億年ほど前、海の中で魚類を中心に動物は爆発的な進化をとげ、さまざまな姿の生きものが誕生しました。両生類は、4億年前に水辺に進出します。進出というとは聞こえは良いのですが、本当は魚類に海から追われて仕方なく水辺に逃れてきたものです。両生類が陸上での生活を始め、しばらくは生態系の頂点に立っていました。両生類は淡水のあるところで生活しなければならず、繁栄も長くは続きませんでした。大型両生類は、2億年前(三畳紀末)に絶滅しました。生存競争に負けたわけです。
 両生類の次に繁栄したのは、爬虫類でした。爬虫類は両生類と違って、水辺から地上に進出していきます。これも進出というよりも、水辺から両生類に追い出されていったというほうが正しいでしょう。3億年前に紫外線や高濃度の酸素に耐える体に進化させながら、陸上に進出していきます。水の制約がなくなれば生活領域を広げることは容易で、地球規模で新天地を開拓していきました。爬虫類は陸の新天地に向かう途中で、歩行に適した四肢を獲得するなど進化が急速に進みました。いわゆる恐竜の時代が訪れるわけです。
 私たちの祖先であるある哺乳類も、約2億年前にあらわれます。でも、恐竜から狙われる立場にあったわけです。ゆっくり寝ていれば、良い食糧にされる立場にありました。寝ていても、常に細心の注意を払うDNAが形成されていくことになります。人類の脳は食うためと食われないために、それぞれ最適に設計された最高の情報処理装置でもあります。動物は高度になれば、脳の機能も高度化します。脳の機能が高くなると、それを冷やす仕組みが作られます。ヒトの場合、汗腺や睡眠による冷却装置になるわけです。でも、この装置ができる過程で、緊急の事態に対処できる睡眠方法を人類は身につけていきます。恐竜に襲われるときには、すぐに逃げる行動様式ができました。深く寝ないことも、生きるための大切な能力だったのです。文明が発展して、恐竜から襲われることはなくなりました。でも、この恐怖から逃れるDNAは残っているようです。

最後に
 情報化社会の渦中の中で、人は休むことなく情報と格闘しています。情報の世界で、「トレードオフ構造を見つけた場合」は、ビジネスの種になります。トレードオフ構造というのは、「あちらを立てればこちらが立たず」という関係です。たとえば、睡眠は深く眠らなければならないという流れと、危機にさいして睡眠は小まめにとらなければならないという流れがあります。この両立しない課題を、ビジネスにしてみてはどうでしょうか。
 私たちの祖先は、恐竜や肉食猛獣から狙われる立場にありました。これらから身を護る方法を進化させなければ、人類は絶えてしまったことでしょう。恐竜に襲われるときには、すぐに逃げる行動様式ができました。人間には、生きるための行動と生命の防衛行動を行うDNAが延々と機能しています。人間にとって深く寝られないことも、生きるための大切な能力だったのです。それが、レム睡眠として機能している理由かもしれません。こまめに睡眠を取って、「喰われる」環境を乗り切ることが、人類の宿命になっているようです。
 情報化社会になり、ヒトは休むことなく情報と格闘することになります。脳は、常に熱を持った状態で活動するようになりました。なぜか、恐竜の時代に戻ったような状態です。脳疲労が問題になっているとすれば、それを取り去る方法を開発すれば良いということです。でも、長くゆっくり眠る時間が、制限される仕事環境もあるようです。小まめに眠るスキルを身に付けることは、疲労を軽減する意味で現在人の武器になります。現代においても、こまめに睡眠を取って、「食われる」環境を乗り切ることが求められているようです。蛇足ですが、短い時間の睡眠で危機を避け、強いストレスを克服する能力を明らかにすることができれば、受験やスポーツの世界で力を発揮するヒントを産み出すかもしれません。



毒物に対して免疫をある体づくり アイデア広場 その632

2020-07-27 17:45:44 | 日記


1、日常的に毒物を吸収している
 私たちが、日常的に吸ったりする空気や食べたりする食べ物には毒性物質が含まれています。その毒性物質には、水銀、鉛、アルミニウム、ヒ素、ダイオキシン、アセトアルデヒドなどがあります。例えば、鉛の毒では、ローマ皇帝の例が有名です。ローマの皇帝は、ワインを鉛のグラスで飲むことを好んでいました。そのために鉛中毒を起こし、短命であったとされています。軽い症状でも、貧血や注力散漫、重くなると腎炎や脳炎という病状になりました。これが、古代ローマ帝国の皇帝に愚帝が現れた理由かもしれません。
 毒性による症状は、近代アメリカでも見たれました。アメリカの大統領府は、ホワイトハウスです。この白い建物は、アメリカの人々のあこがれの建物です。西部劇の風景には、白い建物がでてきます。でも、ここで育った子どもには、貧血や腎炎になる子どもが多かったことが知られています。白いペンキには、鉛が含んでいます。子どもは、塗られた白いペンキをなめていたのです。分からないうちに悲劇が、進行していたわけです。今は、これほど極端なことはありません。でも、知らないうちに悲劇が訪れるかもしれません。

2、解毒力を高める
 大気や食物、そして日常生活から、毒性物質を摂取する生活は続いているわけです。飲酒を大量にすれば、毒性物質を多く摂取することになります。これらの望ましくない物質を、できるだけ早く体外に放出する仕組みを人間は持っています。体の中から、毒性物質を排除する力を解毒力といいます。野菜には、この解毒力があります。野菜が持つ食物繊維は、毒性物質を繊維に搦め手から、体外に排出する重要な働きをするのです。この食物繊維は、全ての野菜と雑穀、そして豆類に含まれています。一定量の野菜繊維を摂取することが、解毒力を高める効果を持つことが分かります。
 現在は、食物繊維より優れた解毒作用をある物質の開発が進められています。今、注目されているのは、ネギです。ネギのピリッと辛い味、ツンと鼻にくる匂い、涙が出るなどの成分は、硫黄化合物になります。この硫黄化合物は、毒性物質を水溶化し、体外に排出する働きを持っているのです。毒性物質を解毒する仕組みが働かない場合、呼吸器の炎症、末梢神経障害、ホルモン異常、ガン、肝臓障害、腎臓障害そしてアレルギーという病状を招くことになります。さまざまな毒物による病気の危険性を軽減するための対策が、研究されているともいえます。
 解毒する仕組みは、体に入った毒性物質を第一相酵素によって別の物質に変化させていきます。そして、第二相酵素でさらに分解し、水溶化し、さらに尿や汗や大便として体外に排出する仕組みをつくったわけです。食物繊維の多い食物を摂取し、毒性物質を排出する仕組みが一つです。もう一つが、硫黄化合物によるより積極的排出になります。繊維と排出の二つの機能を持つ食品開発ができれば、ビジネスの種になるかもしれません。私たちは、危険と常に隣り合わせていると覚悟することです。ゼロリスクは、この世にありません。余談ですが、新型コロナウイルスのワクチンが実用化することになるでしょう。その場合、必ずと言っていいほど、副作用を生ずる人がでてきます。その人による訴訟が、ワクチン開発の停滞に繋がります。ワクチンの効果とその副作用を覚悟の上で使用するかの判断を迫られる時が来ます。その時の心構えは、リスクゼロはないということです。

3、常識を変える
 今まで、汗はアトピー皮膚炎に悪い影響を与えるとされてきました。でも、この皮膚炎に対しては、汗を避ける必要のないことが明らかになってきたのです。アトピー皮膚炎の対策では、汗は炎症の緩和に役立っているという見解が有力になってきました。汗の中には抗菌ペプチドが含まれていて、自然に免疫機能の作用が行われているのです。アトピー皮膚炎の対策では、この汗のポジティブな面を活かす流れになっています。
 今まで、嫌なものとか、無駄といわれてきたものをポジティブに評価する気運が出てきています。たとえば、ハイエナは死んだ動物の腐敗した肉を喜んで食べます。何となく、嫌な動物という評価を受けてきました。でも、ハイエナがいなければ、大地は腐敗した死骸により汚染されていたことでしょう。そこで、当然のことながら大地の清掃員として評価されているわけです。それ以上に、高い評価を受けている点が出てきています。ハイエナは、遠くから死臭を素早くかぎつけて、死骸を食べてしまいます。この動物は、腐った肉を食べても身体を壊しません。強い免疫機能を持っているのです。この臭覚と免疫機能の仕組みがわかれば、人類の健康に寄与するのではないかと考えられるのです。
 もし、ハイエナの強力な免疫機能の仕組みが解明されれば、いろいろな分野で福音をもたらします。家畜の分野において、少しくらい腐敗した飼料を食べても「OK」という家畜の飼育方法が開発されるかもしれません。日本の食料廃棄量は、2200万トンに及びます。日本人の食べる米の消費量は、860万トンです。腐敗に耐える免疫機能を備えた家畜は、廃棄される食料の利用率を高めます。廃棄物を飼料にする過程も、簡易になる可能性を持っています。ハイエナの強力な免疫機能の研究は、十分にやりがいのあるものになります。

4、腸内細菌の可能性を探る
 健康長寿には、栄養や運動、そして人の付き合い、栄養には多くの腸内細菌の働きなどが関与していることが分かってきました。栄養や運動は、健康な生活にも影響を与えることが明確です。それでは、どの程度それぞれを行えばよいのかという問題が出てきます。1日中運動をしていれば、良いというわけでもありません。どの腸内細菌増やせば、健康寿命を伸ばすことができるのかも不明です。
 ここで、量子コンピュータの登場になります。量子コンピュータの中で、量子アコーリング方式は、組み合わせ最適化問題を対象にした特化型のものです。これを使って、最良の組み合わせを作ります。アニーリング方式は、工場の生産工程や新薬の候補物質の組み合わせや株取引の銘柄構成にも利用できる優れものです。巡回セールスマンの問題は、目的地が5カ所なら経路は12通りです。10箇所だと、約18万通りになります。20箇所では約6京(1兆の1万倍)通りになり、スパコンでも計算に時間がかかります。100か所になれば、現在のスーパーコンピュータでは計算不能になります。組み合わせ最適化問題は、多数の組み合わせの中から最適な選択肢を求めます。ある工場内の従業員の移動距離を、最大45%縮めるといった成果もあげています。これは小さいことのように見えますが、生産現場では大きな成果になるのです。
 いろいろな野菜を食べている人は、腸内細菌の種類が多く便通の良いことが分かっています。腸内細菌の活動から生み出される物質は、健康に大きな影響を及ぼしています。金メダルを取るようなアスリートは一般の人に比べ、1.5倍ほど多種類の菌を持っています。その腸内菌の多さが、身体に良い働きをもたらしています。アスリートは、規則正しい食事と睡眠をベースに鍛え抜かれています。一般の人より自己管理が厳しいアスリートは、日々の変化がはっきり現れ可視化しやすいのです。ここに、どの腸内細菌の組み合わせがベターなのかを、量子コンピュータで調べることも可能になるかもしれません。また、ここにハイエナのどの腸内細菌を組み合わせれば、強い免疫ができるかがわかれば、楽しいビジネスチャンスになります。


アイデンティティと状況的人間関係   アイデア広場 その631

2020-07-26 19:44:14 | 日記


 日本人は、「いい加減にする」とか「適当にやる」という不真面目なことが大変苦手です。赤ん坊の頃から、何でも真面目にやることを強いられてくることが多かったのです。多くの人びとが「いい加減さ」を許さず、明確なものを求める傾向が今でも主流です。特に、高齢者には、「いい加減は悪いものであり、いい加減さを許さない」という刷り込みありました。でも、日本のこの風潮に変化が見えてきたのです。多くの人々に、異なものを受け入れる土壌が出てきました。外国人労働者の受け入れなどは、その好例になるでしょう。戦前生まれの高齢者にとって、生き生き老いる方法や楽しく生きる方法などは、考えるに値しない問題でした。でも、100歳まで生きる時代になると、元気に生きて楽しむことは、自分自身のためだけではなく、社会にとっても有用なことだと知らされるようになりました。いい加減な生き方の試行錯誤を通じて、有用な生き方が実現されるかもしれない時代になったわけです。
 「いい加減」の対極に、「アイデンティティ」があるようです。心理学者のピアジェ(1896~1980)やエリクソン(1902~1994)は、発達段階説の中でアイデンティティを強調します。自己というのは、成長しながら獲得するものであると、彼らは主張したわけです。子供は,現実的に親や社会の人々と触れ合う中で発達していきます。その中で、自己の確立をモデルとしていたわけです。昔は家に一台のラジオやテレビで、みんなが同じドラマや音楽を聞いて見て楽しんでいました。「笛吹童子」の時間になれば、家族がNHKラジオに耳を傾けていました。全人格的な人間関係とは、強い結びつきです。当時の家族には、この結びつきがありました。全人格的な人間関係とは、それを得るためにはお互い自分の全てをさらけ出す必要があります。この人間関係は、相手のことを全て知ってあらゆる状況下で結ばれている絆ともいえるものだったのです。
 一方、リースマン(1909~2002)は、近代社会では自己が多元的になっていくのは避けられないと考えていました。身分や血縁、階級、家族、性などの従来の固定的な制度が、流動化しています。友達と塾の先生、そしてバイト先の先輩とでは、自己は全く違った関係になります。テレビが貴重な時代は、テレビの持っている家に集まり、相撲やプロレスを見たものです。やがて2台目のラジオ、2台目のテレビが当たり前になります。すると、親子でも、違うドラマや音楽を楽しむようになります。自分と自分自身との関係だけではなく、自分と他人との関係にも変化が生じてきたのです。全人格的な人間関係」から「状況的な人間関係」への変化が出てきたとも言えます。
 少し前までは、多くの人々が60歳前になくなる短命社会でした。多くの人は、老年問題に心をわずらわす前に亡くなっていたのです。多くの高齢者は、「死ぬまではたとえわずかでも前に進めるだけは進むべきだ」という気概がありました。時代は進み、60歳で定年になり、100歳までで生きる人が現れてきます。老後の40年間を、真面目一方だけでは暮らすのが大変だということが認識されるようになったわけです。75歳以上の高齢者は、いくつもの疾患を抱えているケースが多いものです。病院に通って治療をしても、若い頃より病気の治り具合が遅くなっています。高齢者は複数の疾患を抱えている場合、そのすべてを治療することば不可能だとも気づき始めます。日本人は、40年間、「老」と付き合う生活になって、気づき始めたことが多く出てきたのです。
 近代化が進むと、エリクソンのいう固定的な自己の確立は難しいことが分かってきます。個人や集団あるいは制度などが自らのあり方を振り返り、情報を把握し、そして修正していく姿が見られるようになります。いわゆる状況的な人間関係が出現してきました。状況的な人間関係とは、関係に応じて異なる自己を使い分けることです。日本では、「和をもって貴しとなす」という精神が堅持されてきました。でも、目を海外に向けると、「異をもって貴しとなす」という精神があることに気づきます。世界を見渡すと、白黒をはっきりさせない生き方も選択肢としてあったのです。明確に示すことはできなくとも、「和と異」の範囲内の正解に気づいたわけです。
 乳幼児の笑顔を見ると、親は自然と笑顔になってしまいます。かわいいものを見ると自然と笑みがこぼれるので、気分が良くなることが分かっています。可愛いは、主観的と思われがちです。可愛いは、よく見ていくと、そこには一定の様式があることがわかります。可愛いモデルに、ディズニーランドのミッキーマウスがいます。世界中で愛されるこのミッキーマウスが登場したのは、1928年でした。ミッキーマウスは、最初やんちゃでいたずら好きのキヤラクターでした。初期のミッキーマウスは、頭が小さく手足も長かったことが分かっています。このキャラクターは、時が経つにつれて、頭が大きくなり丸みを帯びていくのです。頭部が非常に大きく手足が短いものは、かわいいと感じられることが分かってきたからです。可愛いものは、「快」をもたらすという見解は、大部分の研究者に受け入れられています。ビジネス目的で作られたキヤラクターは、頭部が大きく手足が短い幼い体型に変わっていく流れができてきたのです。時代が、状況的な関係を受け入れてきたわけです。
 絶えざるセルフモニタリングにより常に修正され、変わり続けるものとなりました。セルフモニタリングは、自分の行動や活動を記録することで目的の行動を強化し、モチベーションを上げていくものです。私たちは、絶対的な価値を基準にして、行動することが困難となりつつあります。状況を判断しながら、軌道修正を図ることも良い場合があるとわかり始めたわけです。「良い加減」な生き方が、ストレスを軽減し、健康な生活を可能にすることが実証され始めてきました。リラックスできる相手と一緒にいることが、何も悪いことではない時代がやってきたともいえます。血縁や法律上の関係を超えて、一緒にいるとリラックスできる相手を選ぶことも認められるというわけです。「良い加減」な生き方が物事の視野を広げ、思考の柔軟性を高めるとポジティブ評価される場合もあるようです。これからの時代は、良い加減な生き方や適当な生き方には、若いうちから現れてくる事象になります。この事象を乗り切るためには、常に「いかに怠けるか」ということを訓練することが必要になるかもしれません。

コロナ過から出てきたアイデア アイデア広場 その630

2020-07-25 18:35:30 | 日記


はじめに
 2020年は、新型コロナウイルス感染に世の中が翻弄されています。そんな中で、ビジネスの商機や次の飛躍を準備する人たちもいます。先日、新聞を見ていて4つの可能性のある分野に気づきました。それは、宅配事業、オンライン教育、学校給食、そしてバーチャルリアリティー(VR)でした。

1、物流のギャップを埋める工夫
 新型コロナ前には、翌日の配送が普通でした。現在は、配送が3日から5日遅れることも珍しくありません。日本の誇る宅配にも遅れが出てきています。ヤマトは、九州、四国・中国地方などから北海道に運ぶ荷物が最大1日の遅れることもあるようです。佐川急便や日本郵便も、長距離の荷物や郵便物の配達が遅れがちになっています。外出自粛が強いられたことで、ネット通販の利用が急増しています。指定した日時に荷物が届く利便性に、改めて気がついた人も多いようです。その反動として、利用者が増加し、宅配の輸送能力を超えている実情があります。特に、食品や消費財の配送ドライバーの人手不足が深刻化しているのです。この分野のドライバー不足が進めば、当然の宅配の分野に悪影響を及ぼします。
 でも、よく流通業界を眺めると、使用可能にもかかわらず、使われていないトラックが数多くあるのです。コロナウイルスの感染拡大で、トラックの輸送能力に偏たりが生じているようです。自動車メーカー向けの部品は、4月中旬以降前年に比べ7割減になっています。10トン車に積み込む荷物は、1~2 トン にとどまっています。100円払って10円もらっているような状態が続いているわけです。工場の稼働低迷で、自動車部品など産業用資材を運ぶトラックが余っています。一方、日用品が多い宅配や食料品では不足気味になっています。ヤマト運輸の5月の取扱個数は、前年度月比約20%増の1憶6000万個でした。日本郵便のゆうパックも4月は、26.5%を超えています。物流関係者は、荷物が今後とも増加しそうだと述べています。私見ですが、コロナ明けは物流が増えると予想されます。オンライン医療を利用する高齢者が増え、薬の宅配件数が急増することも予想しているからです。
 トラック運送事業の国内市場規模は、約16兆円です。ここに荷物量と輸送能力のミスマッチが生じているわけです。景気悪化による輸送量の減少の影響を受けやすいのは中小企業の業者です。おそらくトラックの使用状況は低下することでしょう。この低下したトラックをシェアで借り受けるスタートアップが現れるかもしれません。そして、いくつかの壁を克服することになります。まず、トラックの仕様の違いもあり余った車両を宅配などに対応するのは難しい点、食品を運ぶのに必要な保冷装置が事業用貨物を運ぶトラックにはついていない点、食品の衛生状態を維持する基準が荷主ごとに違う点などが壁になります。これらの3点を克服すれば、新しいビジネスを構築できます。たとえば、この3点を克服するコンテナを格安で作ることができれば、スタートアップは可能です。トラックに冷凍・冷蔵仕様にしてしまうコンテナを載せるだけで、3点を克服するアイデアを具現化してしまうわけです。できれば、国内だけでなく、インドや東南アジアにも販路が開けます。インドや東南アジアでは、冷凍・冷蔵の物流が増加しています。それを低コストで簡易に行えるコンテナが大量生産できれば、ビジネスチャンスになるかもしれません。

2、オンライン教育が実証した利点
 原発事故の影響で福島県会津若松市に避難の大熊町の大熊中学校は、7月21日から夏休みに入りました。大熊町は、原発事故で避難区域に指定されました。そのため、現在でも避難生活をしている家庭があるわけです。その一部が、会津若松市にある大熊町の中学校に通学しています。大熊中では感染拡大に伴う休校期間中に登校日を設け、オンライン学習を実施していました。
 大熊中では、夏休みは予定通りとなりました。日本の多くの学校は、新型コロナによる臨時休校期間は各市町村によって終業式は学校ごとに日程が異なる状況になっています。さらに、200時間の授業の遅れも、大きな問題になっています。でも、オンラインのインフラが整備されていれば、200時間の授業の遅れはでなかったことを、大熊中学校は実証しています。
 今回のコロナ危機で明らかになったことに、裕福な大学は、オンライン授業をスムーズにできたことがあります。一方、通信回線の混雑回避に神経を使いながら、授業に使うデータ量の削減に気を使って授業を行う学校もあったということです。全員確実にアクセスできる環境を作らなければ、オンライン授業も教材配信もままなりません。教育におけるオンラインの安定した稼働は、重要なインフラになります。オンライン教育でデジタル化が進めば、先進的学習形態を先取りできるのです。このインフラは、教育だけでなくオンライン診療やテレワークの拡大の整備にも欠かせないものです。今回のコロナ危機では、日本のオンラインが脆弱であることが分かりました。その中で、危機に直面し、危機と葛藤した市町村の中には、インフラ整備を着実に行った自治体もあったということです。

3、学校給食休業の波紋
 緊急事態宣言による学校給食の停止により、多くの生乳が行き場を失いました。原料となる生乳が学校休業で余り、業界では急きょバターへの加工を進めるようになりました。バターや脱脂粉乳の工場をフル稼働させて、処理しています。保存期間が短い生乳の廃棄を避けるため、長期保存が可能なバターや脱脂粉乳に振り向けているのです。4月から6月のバター生産量は22000トンと前年同期よりも29%増加しています。バターの在庫量も、4月末時点で32000トンと10年ぶりの水準まで積み上がっているのです。バター不足の常態化した日本では、珍しい光景です。にもかかわらず、家庭用バターが品薄の状態が続いています。クリスマスやバレンタインの時期が、家庭用のバター消費が最も増える季節です。その12月や2月を上回る需要が、家庭で起きていたのです。外出自粛に伴い、家庭における調理製菓の材料需要が急増したことに起因しています。家庭用バターが品薄の状態が続くのは、在宅生活で需要が急増したことが理由になっています。現在、新型コロナ感染者が急増しています。いずれ、学校の休校や給食の停止などの第2波がくるかもしれません。その時には、生乳の需要構造を変える可能性もあります。ある面で、予想できればチャンスを待つだけになるかもしれません。

4、愉快なバーチャルリアリティ(VR)の利用
 あるアンケートによると、夏休みに使うお金を昨年より減らすと答えた人は46%と約半数になるようです。減らす人に理由は、新型コロナウイルスの外出自粛で、使い道がないためと63%の方が答えています。夏休みの過ごし方で最も多かったのは、自宅でゆっくり過ごす方が61%と、前年の56%から増えています。預金に回す方が32%で、収入が減ったためが26%と続いています。国内旅行は、13%から7%に減少しています。国外海外旅行も、4%から0.5%に下がっています。里帰りは、前年の15%から9%に減少しています。
 コロナ過で里帰りをしたいが、躊躇している姿が浮かび上がってきます。ある調査によると、高齢者の3割の方が墓参りを行うとしています。高齢者の3割は、約1千万人になります。お花にしても線香にしても、大きな消費を伴うものです。このような要望に対して、指をくわえて、眺めるだけではいけません。ある起業は、高齢者を対象とした旅のVRのサービスを始めました。高齢者が行きたい場所を指定すると、スタッフが現地まで赴き360度の写真を撮影します。この写真を、スマホを通してVRで見るというサービスです。 VR旅行を初めて体験した68歳の男性は、年をとるほど健康を壊すリスクが高まり、このような楽しみ方も良いものだといっています。依頼者は、施設にいながら専用の機器を使って映像を楽しむというものです。
 東京のある旅行会社と札幌の高齢者向け介護付が提携して、この手法を利用した新しいサービスを始めたのです。介護施設にいながら、自分の墓参りができるというものです。スタッフが墓参りを代行する際に、専用の機器を使って動画を撮影します。介護施設の入居者を対象に、スタッフが墓参りの様子を撮影しVRで披露するサービスです。スマホをセットしたVR用ゴーグルを装着すれば、里帰りや墓参りの仮想現実が再現されるわけです。
 福島県福島市は、ふるさと納税の返礼品に新たに墓参り代行サービスを加えました。コロナ過で、帰省をためらっている方も多いのです。墓参りのできない人の悩みを、解決したいとしています。市内の事業者が、墓の掃除、献花、線香を代行することになります。この利用者には、墓掃除の前後の写真を送付し、確認してもらう仕組みです。故郷の墓参りを希望するけど、今のコロナ過を考慮して、移動を控えている人たちには触手を動かす規格のようです。金額は少し高めで、必要な寄付金額は44000円以上となっています。一般より、少し高めに設定されているようです。でも、ふる里への寄付ということで、気持ちを大きくしてほしいところかもしれません。もう一工夫を加えても、良いのかもしれません。お墓の掃除、献花、線香の写真だけでなく、VRのサービスも加えてはどうでしょうか。先祖伝来から続くお寺のお墓であれば、お寺のご住職の一言を加えるとか、付近の風景をVRにするサービスなどを加えると、楽しいものになります。本人を仮想現実の中に入れることも、当然のサービスになります。本人の里帰りや墓参りの映像を、仮想現実の技術を使って作成するわけです。



素早い意思決定とやりがいのある生産現場 アイデア広場 その629

2020-07-24 18:28:16 | 日記


 以前、訪日する中国人が、争って購入する電化製品がありました。中国人の訪日の方は、ドラツグストアや家電量販店で多くの買い物をし、持ち帰りました。持ち帰りが大変になり、次に取られた方法は代理者を通じたネット通販でした。でも、日本からネット取引しようとすると、いくつかの規制に抵触するという問題が生じたわけです。その時力を発揮したのは、中国に生産ラインを持っている日本企業です。中国国内で生産すれば、その規制は無縁のものになります。訪日する中国人が求める日本様式の細かに配慮された電化製品が、日本企業によって中国で生産されたわけです。日本で買わなくとも、中国で日本製品が作られ、購入する道が開けたというわけです。中国の消費者にとっても、日本の企業にとてもウインウインの関係が生じたことになります。
 宮城県の仙台市に本社があるアイリスオオヤマは、中国で売り上げを伸ばしています。この会社は、中国ネットの通販の売上高が2018年までの5年間で10 倍になっています。
アイリスは、毎週月曜日の担当者が一堂に会し議論を戦わせています。企画段階からトップが関与し、意思決定を速くし、商品開発を瞬時に行うのです。どんな機能を搭載するか、価格帯や想定する消費者など、3~4回のこの会議で決まります。年間1000ほどの新商品を出す原動力は、この会議の意思決定の早さによるものです。他社であれば、企画や製造、販売を別々の部門で積み上げながら決定されていきます。それでは、中国やアジアの流れに遅れていくようです。瞬時の決断で進めることができれば、中国に限らず、アジアの複雑な市場をスムーズに開拓できる可能性が出てきます。
 アイリスは、少し前までプラスチックの収納ケースの製造を行っていた地方の企業に過ぎませんでした。収納ケースの生産ラインは、主に成形と組み立て、そして梱包の3工程と短いものです。このプラスチックの収納ケースに、LEDなどの電化製品の製造が加わってきました。シンプルな生産工程の収納ケースの生産ラインは、金型を変えれば様々な商品が作れました。消費者のニーズにあった商品を素早く作れる生産体制が整っていたわけです。電化製品の外装は、電気スタンドにしても、テレビにしても大部分がプラスチックで作られています。この会社は、外装を外注しませんでした。同じ工場で内製化しながら、製造原価を抑える工夫を重ねてきたわけです。アイリスの工場は、古い生産設備を有効利用してきています。現在では、アイリスはアメリカに4カ所、中国に4カ所、EUに2カ所の製造と流通の拠点を持つまでに成長しています。
 日本の大手家電メーカーは、「選択と集中」で相次いで家電分野から撤退しています。
アイリスの液晶テレビは、大手家電メーカーから転職してきた技術者によって生産されているのです。転職してきた技術者は、細かいレベルで画質を調整しジャパンブランドの品質を維持しています。中国の消費者のスピードに付いていくことは、なかなかできない企業が多いようです。その中で、年間1000のアイテムが、日本や中国やの消費者のニーズに基づいて開発されています。変化の激しい中国中間層のニーズを、確実につかむ商品開発をしているのです。日本人の厳しい目に合格した商品が、企画・開発・販売されているわけです。アイリスは、大手メーカーを離れた技術者の再雇用にも成功している事例になるようです。
 変化の激しい世界の中で、中国だけが例外というわけにはいきません。中国国内では、ローンの支払いが増えて、食費や衣類に使う支出が減ってきています。中国の人口ボーナスも徐々に下降しています。それに伴い高齢者の医療介護費は、徐々に増加しています。一人一人の消費は確実に減少することになります。そこで、中国がだめなら、次の狙いは東南アジアということになります。アジアの各国の中間層は、消費意欲が旺盛です。その消費も画一的な消費行動が徐々に姿を消して、消費の方向性が読みにくくなっています。アジア各地の中間層内部には、多様な嗜好を持った人達が現れています。移り気で、多様化した変化の激しい消費者のニーズに素早く応える企業が優位に立てます。日本にも中国にも撤退に伴って、優秀な企業の技術者がリストラされています。この転職技術者を活用することは、合理的な経営になります。素早い意思決定、1000のアイテムを開発する技術と生産能力、優れた再雇用の技術者、そしてこれらを組み合わせてきた経営能力があれば、新天地でも安泰でしょう。
 会社は、能力の高い社員を確保しなければなりません。社員の働きがあって、会社はなりたちます。ただ、能力のある社員だけで、会社は安泰というわけではないようです。営業成績は、個人の営業スキルと関係していると思われていました。でも、良好な職場の人間関係が営業成績を継続的に上げていくことが分かってきたのです。職場の仲間が喜んでくれることが励みになって、次の営業活動に拍車がかかるのです。幼児が母親から距離をとって冒険し失敗すれば、すぐに戻り、慰められ励まされる光景があります。母親をベースに、外界に挑戦し、大きく育っていく幼児の発達過程が見られます。外界に出て、挑戦し成功すれば本人も母親も喜んでくれます。営業成績と職場の関係も、幼児と母親のような関係があるようです。新しい試みに挑戦し、どうすれば問題を解決できるかに重点をおく企業が増えています。その場合、個人だけではなく、職場が物心両面の支援する環境が欠かせないようです。
 とはいえ、個人の高い能力は必要です。その能力の育成には、個人自身と周りの工夫が必要になります。個人の仕事は、計画をきちんと書き出せばそのモチベーションが高まります。何が重要であるかをわかっている社員は、短時間で重要な事を片付けられます。スケジュール表には、その日に済ませたいことを全て書くようにします。能率が最高に達するのは、午前中です。この時間帯に、コアな仕事を完成させるようにします。成功を収める社員は、たくさんの仕事を処理できます。その仕事のやり方は、一定の時間はただ一つの仕事に集中する方式になります。一日の計画を立てることで、所要時間を見積もります。邪魔の入る時間を予測し、60%を計画した仕事に、20%を時間泥棒に、20%を新たな課題を考えることに使います。毎日、目標に近づいている達成感を感じながら、仕事の質を高めていく社員を雇用し育てていくことになります。
 幸福感の高い職場は、生産性や創造性が高くなります。自分は幸福だと感じている人は、仕事の生産性が30%高く、創造性は3倍にもなります。課題を自分で選んで取り組むことは、幸福感や意欲が高めます。幸福感を構成する因子として、年収や学歴より「自己決定」が大きな役割を果たすのです。タイムリーなことに、幸福だと診断できる測定器ができました。人体の無意識の微小な「ゆらぎ」は、その人の幸福感と密接な関係があります。この幸福感計測技術はスマホと連動させ、どんな場面で幸福感が高まるかを計測できるといいます。問題解決を優先する職場で、働けたら幸福かもしれません。素早い意思決定、1000のアイテムを開発する企業であれば、優れた技術者にも自己決定できる商品開発に取り組む機会が増えます。この幸福感計測器をつけて、企業も個人も仕事の充実さを把握しながら楽しい仕事をしたいものです。



アイデアとコミュニケーション能力  アイデア広場 その628

2020-07-23 18:39:04 | 日記
アイデアとコミュニケーション能力  アイデア広場 その628

はじめに 
 人工知能(AI)が多くの職種に進出してきます。その中で、比較的浸食されない職種があります。それらの職種は、保育士や小学校の低学年の教師、デザイナー、独創的な会社経営者などがそれに当たります。これらの職種に共通の特徴は、アイデア産生能力や社会的コミュニケーション能力の要素を含んでいることです。アイデアを出し続けることで大切なことは、新しいものを考えようとする意志とそれに相応する行動を続けることになります。たとえば、食物連鎖の中で「食われる側の立場」で、しばらく考えてみます。すると、食べられないようにするための方法がでてきます。それは毒物であったり、協力者の確保だったりと自身を守る仕組みが考え出さてきます。ビジネスや市場は絶えず変化しており、変化の見つけ方さえわかれば、アイデアもそれ相応に出てくるものです。単独で、生きていくことが難しい世の中になりました。今の社会は、アイデアの産生能力やコミュニケーション能力などの育成が求められます。

1、アイデアの作り方
 アイデアは、既存の要素を新しい組み合わせでつくり出すことができます。そのアイデア作成には、一連の過程があります。アイデアを作り出したい人は、既存のデータをできるかぎり収集します。そのデータを徹底的に考えに考えます。そして、いったん考えたことを忘れて、潜在意識にデータの組み合わせをまかせます。深い睡眠を取ったり、散歩をしながらアイデアが生まれ出るのを待ちます。アイデアが生まれたら、それを誰にでもわかるように具体化するという流れになります。ある面で簡単ですが、これが意外と難しいのです。
 多くの情報に接する環境が、整いました。適切な情報を選択して、新しいアイデアを量産する人達も現れています。彼らは大量の情報に接しながら、考えるという少し矛盾した作業を両立させています。速さや効率を重視しながら、安全や安心を確保するという矛盾することに応える手法があります。この両者の最適化を探る手法を、彼らは会得しているのかもしれません。
 データ集めにも、単純なものから複雑なものまであります。頭が十分に働かない時間帯には、単純な資料集めや単純な作業をすることになります。頭がさえてきたときには、複雑な仕事を行うことになります。単純な仕事や複雑な仕事を循環させながら、当面の課題のための資料と一般的知識の貯蔵をたえず豊富にしていくことになるわけです。課題を持って、情報や知識を蓄積していくと、潜在意識の中で情報や知識の整理と組合せが無意識の中で行われます。組み合わせが行われ、情報が繋がります。情報が繋がり新しい有意義なものがアイデアとしてアウトプットされることになります。
 溢れる情報を、全て捕まえることはできません。飛び交っている情報を、自分が持っている好奇心を元に集めていきます。いくつかの好奇心を持ち、飛んでくる情報をひっかけて集めることになります。いくつか集めて、具体的な形にするわけです。具体的になったものが起点となって、情報が吸い寄せられてきます。いくつかの好奇心を持っていれば、みんなと同じ情報を材料にしながらでも、異質の面白いアイデアはできるようです。もちろん、異なる複数の材料に好奇心を持って調理すれば、より幅の広いアイデアが産生されていくことになります。本や新聞と接する量の多い少ないによって、情報の格差が生じることは知られています。材料も多く仕込んだほうが、多様なアイデアができるということのようです。

2、アイデアの深化
 作業の中で「探しに探して」、「分かった」、「みつけた」という段階が、仕事で必要なアイデアの誕生ということになります。探しに探してみつける段階にこぎつけるには、試行錯誤の段階を経なければなりません。その試行錯誤の中で、アイデアを作り出してくるのです。どんなお仕事でも、1万時間を勉強すれば、プロになれるといわれています。平日8時間労働で250日間の合計の時間は、1年で2000時間になります。5年で1万時間になり、仕事を5年間一生懸命すれば、良き専門家になれるかもしれないというわけです。5年間ひとつの仕事に集中すれば、その分野のアイデアをつくり出す工夫をいくつも持つことができます。でも、単に1万時間を投資すれば、誰でも第一人者になれるというものではないようです。試行錯誤を繰り返す1万時間を持つことが、良き専門家になるためには必要です。
 新しいものをつくり出す材料になる情報は、世の中に満ちあふれています。新しい組み合わせを見つけ出せるチャンスは広がっているわけです。アイデアを作れば、そのアイデアから、さらに新しいアイデア作り出されます。連想ゲームのように次々とアイデアを連鎖させていくためには、速さが何よりも重要になってきます。注意も必要です。近年、ウェブの大量な情報に遭遇すると、長期記憶を持続させる処理プロセスが働きにくくなるという報告があります。つまり、検索エンジンなどの情報をシャワーのようにあび続けていると、脳内で作られる新しい発想やアイデアが作りにくくなるという説です。確かに、クラウド化された知識に頼り切ってしまうと、アイデアの想起が鈍くなる現象は出てきています。
 アイデアや創造力は、学習した知識の蓄積の上でつくり出されていきます。新しく生み出されたアイデアは、次の開発の創出にとっての重要な役割を果たしていくわけです。アイデアや創造力が増えれば増えるほど、課題を解決する発想法が出てくることになります。でも、限られた仲間や集団の中でつくられたアイデアの蓄積からは、斬新なアイデアがなかなか出てこないものです。自分の専門以外の分野からも、知見が求められる時代になっています。


3、言葉によるコミュニケーション
 人類に言葉が登場したのは、数万年前ですからです。人類の700万年の進化から考えると、言葉を話すようになったのは極めて最近のことなのです。歴史が浅いために、言葉を使って自分をあますところなく表現することは難しいのです。人間は言葉を操りながらも、相手の表情や目の動きを読み相手の気持を理解してきました。コミュニケーションといっても、言葉だけでなく、表情や相手の動きを加味した相互理解を行ってきたわけです。歴史の短い言葉だけでは、相手を評価したり、理解することができないこともあります。
 親密な連帯感は、親しいコミユニケーションを提供します。一般に、食事の場を設けること自体が、連帯や和解を前提にしています。意識的にでも無意識的にでも、大事なことを話す時、食事を伴うことが少なくありません。みんなで食べると食事が、より美味しく感じられることが共食の不思議な魅力です。コミュニケーションには、自己主張する側面と、自己を抑制する側面があります。相手の事情に考慮しながら、上手に自己主張していくことは社会的スキルになります。このスキルには、会話とともにマナーや身体言語と言われるものがあります。適度に自己抑制の力を発揮していくためには、訓練の場を多く設けなければなりません。上手な主張や適度な自己抑制は、長い目で考えれば、子どもたちの財産になります。コミュニケーションには、このように言葉以外の要素もあるようです。
 囲碁や将棋は、コミュニケーション能力を高める役割を持っていることが分かってきました。このゲームは、相手の立場を読んで、優位になる手を考えます。できる子どもは、相手の顔や仕草から状況を把握し、自分に有利な展開に持ち込みます。相手の手を予測して、作戦を練る力を養うこともします。相手の立場を読む訓練を、このゲームでは日常的に行っているわけです。ある意味で、高度なコミュニケーション活動を行っているのです。囲碁将棋のゲームを通して、多様で質の高いコミュニケーションを吸収していくことも選択肢のひとつかもしれません。

4、言語以外のコミュニケーション能力
 クラスにおける問題児は、クラス運営の障害になることがあります。でも、これらの子供には学習に秀でていたり、世情に明るかったりと強みがたくさんあるものです。子どもは、正解が好きで、そして教師も好きなのです。彼らは承認欲求が強いために、影ではなく表で活躍し、認められる場面を設定していくと良い効果が出てくるようです。問題行動に対しては、彼らの得意なものを支援することになります。達成感を積みあげ、得意種目や学習に集中できるようにしていくことが教師の力量になります。
 余談ですが、アメリカで中学校において、授業に出席せず、学校にも来ない生徒たちへの対応に苦しんでいた先生方がいました。この困難さを乗り越えたものが、ヒップホップダンスだったのです。先生がヒップホップダンスを踊るのを見た生徒達は、目の色を変え夢中になりました。ダンスが、生徒たちに言葉よりも心に訴える動因になったのです。言葉よりも優れたコミュニケーション力をダンスはもっていたわけです。
 このように相互理解に関係する遊びの要素には、ミミクリー(擬態)というものがあります。ミミクリーは、簡単にいうと物まね遊びです。子ども達は、母親ごっこや料理ごっこ、そしてお店屋さんごっこなどをします。ミミクリーの行為は、子どもの世界を越えて、大人の生活にも侵入していきます。この行為は、ディズニーランドでミッキーの仮面をつけるようなものです。仮面や仮装を着けて行なう気晴しに発展することもあります。ミミクリーの最高傑作は、パントマイムと言われています。無言で、すべてを表現する芸術です。もちろん、劇や映画なども、この範疇に含まれます。

最後に
 ある実験があります。6人のカメラマンが、同じカメラ、同じ環境で、同じ男性を撮影するのです。撮影対象の男性について、億万長者、元囚人、中毒者などとカメラマンごとに違う情報を与えておきます。驚くべきことに、カメラマンごとに違った雰囲気の写真ができてきたのです。同じカメラ、同じ環境で、同じ男を撮影しているはずなのに、まるで違う写真ができたわけです。同じ機材でも与えられた事前情報により、違う映像になる理由はカメラマンの知覚が作用するからです。コミュニケーションにおいて、意思疎通に齟齬をきたした場合に、大きなイノベーションが起きることがあります。コミュニケーションがスムーズにいくことが、普通は良い流れです。でも、コミュニケーションが円滑にいかないときや間違ったときに、思いがけないアイデアが出てくるのが世の中です。このアイデアを捕まえて、ハッピーになった人々も多いのです。