ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

木材の需要が増加・広葉樹大径のニーズ・入皮のある木材 アイデア三題噺262 

2019-08-31 17:28:24 | 日記

 住宅の梁などに使う北アメリカ産丸太の対日輸出価格が、高騰や下落を繰り返しながら高めに推移しています。木材の需要は増えることがあっても、経済成長が続く限り減ることはありません。特に、中国や東南アジアの富裕層は、家の建築における木材の良さが徐々に浸透しています。各地域で生産された無垢の材は、高く評価されています。日本でも、木材の生産が少しずつ軌道にのり、無垢のスギ材やヒノキ材を輸出する力を付けつつあるのです。成長し伐採時期のスギ材やヒノキ材が、他国に比べ豊富にあります。これを輸出することは、合理的な手法になります。高級な無垢の材木を育てるには、枝切りや間伐などを丁寧に行うことが求められます。一方、今まで低級材として扱われていたバークポケットのある床材が、見直されているのです。
 そこで、最近の木材に付加価値を付けて売り出すことを考えてみました。世界的にみると、広葉樹大径材生産は枯渇した状態にあります。日本には、この広葉樹がたくさんあるのです。コナラなどの広葉樹を中心とした森林を回転させていくことは、日本の自然に合った林業経営になります。針葉樹の無垢の木材を安定的に供給することもひとつの選択肢になります。また、世界的に不足している広葉樹の大径材を輸出材として供給していくこともひとつでしょう。そして、最近注目されている木材があります。この木材は、環境擁護派に評価されているものです。「入皮」のある木材が、それに当たります。
 光合成で育つ樹木は、鳥や動物などに樹皮が傷つけられると、傷ついた部分を体内に取り込み自ら癒そうとします。癒やすことには時間がかなりかかります。でも、確実に修復していきます。鳥に傷つけられた樹皮を体内に取り込み修復したものが「入皮」です。この入皮はバークポケットと言われています。業界ではずっとバークポケットのある床材は、低級品の扱いが続いたのです。例えば、キツツキがつついた痕跡だというバークポケットのある床材は低級材でした。
 キツツキが巣穴を掘る部分は、木の悪い部分が多いのです。この巣は、深さが30cmほどの穴になります。でも、その木は枯れないのです。キツツキが巣穴を掘る場合、若い木を選びます。キツツキが掘った穴は、4~13年と経るうちにふさがり、太く健康な木になります。環境派の人びとにとって、入皮の形成過程やキツツキの巣の跡が、床材にあることは非常に価値があることなのです。足下に、生態系の複雑な営みがいつでも見られる生活は心を豊かにしてくれるのでしょうか。消費者の関心は、高級な無垢の木材だけでなくなっています。彼らの関心は、倫理要件(環境・人権・地域)にまで広がっています。入皮は、この関心を満たしているのです。バークポケットのある床材は低級材でしたが、今はニーズの高い床材になってきています。
 余談ですが、キツツキが木に穴を開けるのは、虫を食べるためです。そして、巣穴を作るためです。この鳥がたくさんの穴を開ける木は、虫に食われておりすぐに枯れる木なのです。弱い木を早く枯らして、新しい木が生えやすいことは森にとって望ましい事です。キツツキは、人手が除去できない木の中の虫をついばんでくれます。鳥たちが、森を元気にしてくれる役割を評価する流れが出てきています。この証拠が、キツツキなどに傷つけられた入皮ということになります。



1000万人の認知症患者を減らす  スモールアイデアNO322

2019-08-30 17:38:05 | 日記

 2007年に認知症の男性が、徘徊の途中、電車にはねられて死亡しました。この男性は、年齢が91歳で、要介護4の支援を受けていたのです。JRは、事故処理にかかった費用720万円を、見守り責任のある家族に請求しました。裁判は、6年間争われました。2013年に、名古屋地裁は720万円全額を、男性の妻に払う事を言い渡したのです。裁判では、家族の見守り責任があるとされ、支払いが命ぜられたわけです。これを不服として、妻は上告しました。2014年の名古屋高裁では、360万円について妻の責任を認定したのです。金額は半分になりましたが、一審、二審の判決の論理がまかり通ってしまうと、日本社会は大変なことになったことでしょう。
 日本の認知症患者が460万人を超えています。予備軍は400万人いるという事実が最近、公表されました。認知症とは、正常に成人になった人が、病気や事故などのために知的能力が低下し、社会生活に支障を来すようになった状態とされています。認知症の患者の方は、頻繁に徘徊を繰り返します。彼らの徘徊を完全に防ぐことは、不可能だとだれも理解しています。もし、徘徊の途中の事故が家族の責任となるならば、家族は認知症患者につきっきりになります。仕事もできず、家事もできない状態になるのです。見守りを厳しくして、事故に会わないようにするわけです。でも、見守りのすきにいなくなってしまうことは、ひんぱんに起こっていることなのです。
 見守りの責任があるとされた妻は、事故当時85歳で、要介護1の支援を受けていました。高裁判決の時には91歳になっていたのです。認知症の患者数は、急増しており、その大部分は在宅で療養していました。これらの見守る家族は、相当に疲弊していました。その上に、重い責任が加わる判決は、認知症の介護や見守りに関わる多くの人たちに衝撃を与えたのです。でも、日本の司法にも常識はあったようです。2016年の最高裁で「認知症患者による事故の賠償責任は監督者である家族にはない」という判決がなされました。この最高裁の判決には、政府の伏線がありました。2015年に策定された認知症の国家戦略には、就業継続や社会参加の支援強化が盛り込まれていました。認知症にたいする世論が、家族から社会が支援する方向に動いていたのです。社会の流れが、家族の責任から社会の支援という形で合意形成がなされてきたともいえます。2007年から2016年までの10年間で、認知症に対する支援体制が変化してきたわけです。
 「認知症になると何もかも分からなくなる」という偏見が、まだまだあるようです。認知症では、知的能力が徐々に侵され、ゆっくりと症状が進行していきます。軽度認知障害は記憶以外の判断力、見当識、会話能力などは正常です。軽度認知障害とは、認知症の前段階のことで、認知症を早期発見するために考えられたものです。この軽い認知障害は、日常生活は一人でできますが、仕事によっては多少の支障が出ることもあります。病状進行とともに、共感する力や同情する力はしだいに低下していきます。認知症とその予備軍を合わせた数が800万人を超え、まもなく認知症1000万人時代が到来するとも言われています。10人に1人が認知症になるわけです。これからの時代は、「認知症の人とともに暮らす時代」であることを覚悟することも必要なことです。
 認知症が増加の背景には「認知症を増加させる病気」と「増やす生活様式」の増大にあります。例えば、高血圧症や糖尿病の患者は、増加しています。高血圧のある人は、ない人に比べ2~3倍、認知症になりやすいのです。糖尿病をもつ人は持たない人に対して2倍程度、認知症になりやすいことがわかっています。これらのデータは、きちんとした疫学的調査によって示されています。また、うつ病に罹った人は罹患歴のない人と比較して、認知症になる危険性が2~3倍高いとも言われています。これらの病気は、予防が大切になります。予防を適切に行っていれば、多くは防げます。もしくは、軽減することができるものです。高齢期の認知症を予防するためには、中年期(40~50代)の生活のあり方が重要です。この時期に予防を徹底すれば、1000万人が500万人と減らすことも可能でしょう。現在の健康保険制度は、病気の予防のために使用することは認めてこなかった経緯があります。これからは、予防に対する健康保険の適用を段階的に考えていく時期になっています。政府に求められることは、疾患の治療から予防へとより大きく舵を切っていくことです。司法より早めに対策をたてていた行政のがんばりを、見てみたいものです。


子ども食堂が高度人材の養成機関になる  アイデア広場 その494

2019-08-29 18:06:15 | 日記

 まだ食べられる食品を廃棄廃棄せずに、フードバンクに提供する企業が増えています。ローソンと三菱食品などの企業は、フ-ドバンクへの寄付を始めています。これらの企業が力を入れる理由は、企業の環境対策などを重視するESG投資が普及してきたためです。この投資とは、環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行なう投資のことです。 ESG評価の高い企業は、事業の社会的意義、成長の持続性など優れた企業とされています。日本でもフードバンクへの食品寄付を巡り、法人税の控除対象になるようになりました。税務上、廃棄と同じように扱えるため「寄付のハードル」は下がっているのです。フードバンクは食品を無料で受け取り、食品を必要としている家庭や施設などに提供しています。ここで取り扱う食品量は、2015年時点で3800トンになっています。最も、企業が廃棄する食品は300万トンですので、0.1%強がフードバンクに回されていることになります。
 フードバンク発祥の地は、アメリカです。フードバンクに関しては、欧米は民間企業の取り組みや法整備が先行しています。フランスでは、2016年に食品廃棄禁止法が施行されました。この法律により、賞味期限切れによる食品廃棄を禁じたために、フードバンクの活用が促進されています。アメリカでは、2016年からスクーバックスが同国の全店舗で売れ残った食品をすべて寄付しています。幸福の条件には、社会に貢献することとか、人の役立つことが含まれています。フードバンクは、この意味で幸せにする事業になるかもしれません。
 日本では、十分に食料の買えない家庭が一人親の世帯で32%にも及んでいます。経済的理由から、必要な食料を買えない家庭が増えているのです。経済的に、学習に従事できない子ども達もいます。でも嬉しいことに、日本にはその悲惨な実情を見過ごすことのできない人達もいるのです。彼らは民間団体を立ち上げて、無料で安価な食事を提供する「子ども食堂」の担い手になっています。子供の貧困問題への関心の高まりなどから、団体数は2017年の80から2019年には120に増加しています。日本の家庭には、食生活に困り、学習活動に悪影響を与えつつある負の要因が存在しています。
 スターバックスという世界的なコーヒーメーカーは、面白い側面を持っています。アメリカの大学スポーツクラブは、慈善事業を積極的に行っています。アメリカの有名大学であるワシントン大学のスポーツ選手は、地域小学校の読書プログラム活動を行っています。この活動に必要な費用を、スクーバックスが支援しているのです。この企業の面白い点は、慈善事業を援助するけど、税金を国にできるだけ納めない姿勢を取っていることです。税金を払わずに、社会貢献に力をつくしているわけです。日本の「子ども食堂」の中にはプロの料理人が調理をし、美味しい料理を提供する事例も増えています。子ども食堂が、貧困世帯だけではなく、地域の憩いの場として機能し始めている面があります。世界的潮流を見れば、貧困家庭には食事だけでなく、教育の向上を付与する活動も盛んになっているようです。
 日本でも、新しい潮流が出てきています。ワシントン大学の読書プログラムではありませんが、体育大学が中学校の部活動の支援をしているのです。部活動の指導者不足に悩む自治体は多くあり、その不足している面を支援しています。運動の経験がない顧問もおり、中学校の部活動を十分に指導できない顧問もいます。指導者の指導不足を乗り越えて、練習環境を改善していくことを目指しています。ソフトバンクから貸与されたタブレットで練習の様子を撮影し、仙台大学に送信します。大学の専門教員が、フォームなどで改善点を指摘します。動画に活矢印を書き込んだり、音声を取り込んだりして中学側に送り返す仕組みです。ソフトバンクは、仙台大と協力し遠隔地の気仙沼市の中学生を指導する取り組みを始めたのです。このような運動への支援が、机上の学習に応用されることも、有効な方法でしょう。このようなエドテックによる学習支援を、子ども食堂においても導入してほしいものです。
 2020年度から、小学校でプログラミング教育が必修化されるます。福島のある英語学習塾は、コンピュータープログラミングの考え方を学ぶ講習会を開いています。講師が、英語を交えてプログラミングを指導しているのです。子どたちは、ブロックを組み立てて作ったロボットの動きをタブレット画面で入力すます。どうすすれば自分の思い通りにロボットが動くかを、試行錯誤しながら入力を繰り返します。スピードや方向、強さを調整しプログラミングの流れや考え方を学ぶわけです。楽しみながら、プログラミングの基本的流れを身に付けてもらう企画です。
 遠隔操作による教育とこれから必要になるプログラミング習熟を、子ども食堂で行うことが可能になれば、経済格差による教育格差は是正されるかもしれません。AIの人材が、渇望されています。AIの人材は、簡単にいえばデータティエンテイストです。データマイニングを自由に操れる人達と言っても良いでしょう。データマイニングの技術には、微分や統計学が必修です。微分や統計学を教科書どおりに学んでも、理解できない子ども達がいます。微分ができなくて学習の進度が伸び悩んでいる子どもは、数列の理解に戻って始めることが基本です。この学習には、エドテックが有効です。エドテックとは、教育とテクノロジーを組み合わせた造語です。この手法を利用したリクルートは、蓄積した140万人の学習履歴データ分析して、学習方法を助言しています。理解できない子ども達に、モデルを基づいて学習のやり方を助言しているのです。
 子ども食堂が、食事をし学習をする場として成立する環境は整いつつあります。環境や社会課題への取り組みを重視する投資の観点から、食糧を大量に廃棄する企業へは厳しい視線が注がれています。この食糧は、フードバンク通じて子ども食堂に提供されています。企業は、次世代の高度人材を求めています。工夫次第では、子ども食堂が知的訓練の場になります。社会的課題に敏感な企業は、この食堂に教育投資をしてはどうでしょうか。人権や教育格差という側面と人材確保という側面から、投資をする企業が出てきてほしいものです。子ども食堂が、日本の人材養成の孵卵器になることを期待しています。

ビジネスの視点から可愛いを分析 スモールアイデアNO321

2019-08-28 20:06:50 | 日記

 最近は、「可愛い」を一つのコンセプトにしたファッションや商品が出現しています。可愛いは、漠然としていてなかなか対象として捉えることが難しいものです。でも、可愛いは、日常生活でよく体験しています。たとえば、乳幼児の笑顔を見ると親は自然と笑顔になってしまいます。これは、可愛いという具体例のひとつです。また、子犬や子猫を見ると、癒やされる人びとがいます。これも、可愛いのひとつの姿になります。また、可愛いの代表として、有名なモデルにデイズニーランドのミッキーマウスがいます。世界中で愛されるこのキャラクターが登場したのは、1928年でした。最初は、やんちゃでいたずら好きのキャラクターでした。これらの「可愛い」には、特徴があります。
 そこで、この可愛いについて考えてみました。初期のミッキーマウスは、頭が小さく手足も長かったことが分かっています。このキャラクターは、時が経つにつれて、頭が大きくなり丸みを帯びていくのです。ミッキーマウスだけなく、人気のあるキャラクターやくまモンなどのぬいぐるみは、胴体に比べ頭部が非常に大きく、手足が短いものがあります。頭部が非常に大きく手足が短いものは、かわいいと感じられることが分かってきました。ある分野のプロはかなり以前から、この事実を知っていました。それは、写真屋さんです。写真屋さんは、写真を撮るときは、あごを引いておでこを前に出し上目づかいにするとステキに見えることを知っていたのです。彼らは、アゴが小さくおでこが広く写ると可愛く見えることを経験的に知っていたわけです。「カメラを見て下さい、アゴを引いて、はい、チーズ」には、理由がありました。アゴ小さく写り、おでこが広く写ると可愛くなります。この言葉は、可愛く写真を撮る要素が凝縮していたのです。蛇足ですが、乳幼児も子犬や子猫も、そしてミッキーマウスも頭が大きく、手足が短いのです。
 近年は、これらの経験則を科学的に再現できるようになってきました。たとえば、デジタル映像で子犬の顔を長く作成します。この長い子犬の顔を、連続的に丸顔にして作業をします。すると、丸くなるにつれて、子犬が可愛くなっていくのです。顔が大きく、目が大きい場合、可愛いとみられます。これをビジネスに利用したものが、プリクラです。可愛いを演出するためには、まぶたを二重にし、カラーコンタクトを入れて瞳を大きくすることが一般的です。最近のプリクラやスマホの写真には。目を大きく加工する編集機能がついています。この写真の加工する編集機能は、大きくて丸い目はかわいさを作り出すことに関係しているわけです。目は大きく、鼻は小さくすると可愛いとなります。顔を連続的変化させる技術があれば、もちろん目や鼻を操作することも可能です。目や鼻などを希望の形にしたい方には、デジタル映像の世界では実現が可能になっています。
 可愛いを実現するだけでも良いという人は、多いとようです。でも、それだけでは楽しくありません。可愛いを、より積極的に活用する仕組みを考えたいものです。可愛いものは、「快」であるとする心理学者がいます。この見解は、大部分の研究者に受け入れられているようです。快は、人間を活動的にします。活動的な人は、可愛いものを見るとパワーアップするようです。ある実験では、子犬などの幼い動物(可愛い動物)を見た後の成績の向上率は35%で、おとなの動物をみた後では9%などという結果が出たようです。もっとも、この成績の向上率は、平均値です。可愛い動物をみた後に、成績の下がった人達もいたのです。可愛いを見たり触れたりすることで、全ての人の成績を上げることはできません。でも、ある特定の人びとには、効果を上げる手段になるかもしれません。この特定の人を囲い込めば、いくつかのビジネスが効率的に行うことができるでしょう。
 最後に老婆心ですが、尖った形より丸い形が好まれます。お店のテーブルは、四角より丸形が良いことになります。かわいいものを見ると自然と笑みがこぼれるので、気分が良くなることが分かっています。ですから、ビジネス目的で作られたキャラクターは、消費者に好まれるようにより幼い体型に変えていくことになります。可愛いは、主観的と思われがちです。でも、よく見ていくと、そこには一定の様式があるようです。商品開発では、可愛いを演出することと、機能面での充実をはかることが成功につながるかもしれません。



刷り込み・いい加減・真面目  アイデア三題噺261

2019-08-27 16:07:24 | 日記
 日本人は、「いい加減にする」とか「適当にやる」という不真面目なことが大変苦手です。彼らは、赤ん坊の頃から何でも真面目にやることを強いられてきました。働くことの大切さ、ムダづかいしないことの教えに、反対する人は少ないのです。努力して、経済的社会的地位を確保すべきという論理には、なかなか反駁できないものです。多くの人びとが、「いい加減さ」を許さず、明確なものを求める傾向があります。そんな日本の風潮に、変化が見えてきました。蛇足ですが、「いい加減にする」ということは、「良い加減にする」という解釈が成り立ちます。「適当にやる」は、「適切に当を得て行う」という解釈がなりたちます。どちらも、良い意味で使うことも可能になるのです。
 そこで、日本人の真面目に対する姿勢の変化について調べてみました。昔は家に一台のラジオやテレビで、みんなが同じドラマや音楽を聞いて見て楽しんだものです。「笛吹童子」の時間になれば、家族がNHKラジオに耳を傾けていました。テレビがようやく庶民の手に入る頃になると、テレビの持っている家に集まり、相撲やプロレスを見たものです。ぜいたくや華美な服装が、冷ややかな目で見られる風潮もありました。やがて2台目のラジオ、2台目のテレビが当たり前になり、親子でも、違うドラマや音楽を楽しむようになります。親子の心理的離乳が、加速していった時期かもしれません。日本では、「和をもって貴しとなす」という精神が堅持されてきました。でも、海外には、「異をもって貴しとなす」という精神があることに気づき始めます。異なものを受け入れる土壌が、出てきたのです。「和」が正解なのか、「異」が正解なのかを、明確に示すことは難しい命題です。でも、明確に示すこはできなくとも、「和と異」の範囲内に正解があることは、おおよそ理解できます。現在は、重点の置き方の差だということになっているようです。
 国内でも、新しい状況が生まれて来ました。これまでは、60歳前になくなる短命社会でした。多くの人は、老年問題に心をわずらわす前に亡くなっていました。生きていれば、苦しいことも面白くないこともあります。生き生き老いる方法や楽しく生きる方法などは、考えるに値しない問題だったのです。でも、60歳で定年になり、100歳まで生きる人が出てきました。40年間、老と付き合う生活になります。今までに経験しなかった生活に、直面するようになりました。この40年間を、真面目一方だけでは暮らすのが大変だということが認識されるようになりました。例えば、75歳以上の高齢者は、いくつもの疾患を抱えているケースが多いのです。病院に通って治療をしても、身体機能の状態が、若い頃より治療の効果が小さくなってきています。捻挫など2~3日で治っていたものが、1週間も2週間もかかるようになります。高齢者は複数の疾患を抱えている場合、そのすべてを治療することば不可能だということに気づくのです。病状が回復したのは、丈夫になったのではなく、病弱に慣れたということに気づくのです。そして、彼らはどの疾患を治療すべきかという優先度を決めていくわけです。蛇足ですが、高齢者の痛みの閾値は、鈍くなってきています。以前は痛いと感じていたレベルより、痛みが強くならなければ、感じない体になっています。
 多くの高齢者には、「死ぬまではたとえわずかでも前に進めるだけは進むべきだ」とか、「いい加減は悪いものであり、いい加減さを許さない」という刷り込みがあります。でも、世界を見渡すと、白黒はっきりさせない生き方も選択肢として評価されてきました。「良い加減」な生き方が、物事の視野を広げ、思考の柔軟性を高めるとも言われるようになりました。この生き方が、ストレスを軽減し、健康な生活を可能にすることが実証されてきたのです。良い加減な生き方や適当な生き方には、若いうちからの訓練が必要なことも分かってきました。極端な言い方をすると、常に「いかに怠けるか」ということを考える訓練が重要だとも言われるようになりました。幸福な人生の真っ只中で人生を終えたいのであれば、良い加減な生き方を試行錯誤を通じて実現することになるかもしれません。



スマート農業で地域の活性化を計る  スモールアイデアNO320

2019-08-26 19:37:25 | 日記
 先日、新聞読んでいると2件のスマート農業に関する記事がありました。ひとつは、福島に関するものでした。原発事故のために避難指示が出た地域では、農業の復興が遅れています。この地区の農業が、疲弊しているのです。でも、太平洋沿岸に沿ったこの地域は、温暖な気候で森林と、肥沃な土地に囲まれた地域でした。長い避難生活の中で荒れていく農地に心を痛めた方が、「紅梅夢ファーム」を立ち上げたというものです。もうひとつは、北海道の事例でした。岩見沢市で、スマート農業の実現に向けた実験が進んでいるというものです。農業従事者の高齢化で、従来の農業ができない現状があるようです。2つの地域とも、広い農地が確保できるという利点があります。さらに、少子高齢化を乗り越えて、地域農業の持続性を確保したいという強い思いがあります。その思いに応えるかのように、大学や企業、そして行政が支援する体制を整えています。ITCを活用したスマート農業で、地域社会を活性化することを目指しています。
 そこで、スマート農業の実証実験の最前線を見ながら、今後の農業のあり方を考えてみました。2つの実験農業で目玉になっているものが、GPSを利用した自動運転トークターの活用です。無人のトラクターが耕す後ろや横から、人が乗ったトラクターで種や肥料を蒔くのです。一度の作業で、複数の農作業を終えるという仕組みです。今後は耕す機能だけでなく、露地野菜の収穫も自動化していく機能も付与していく計画のようです。もっとも、この程度の機能は、世界の先進農業国ではすでに取り入れられています。
 例えば、ドイツでは、平均農家の耕作地は100㌶になります。ドイツのトラクターは、1日に10㌶以上を耕作する能力を持っています。このトラクターはコンビマシンを連結しており、播種と鍬入れの複数の工程を一気にやることができます。異なる作業を同時にこなすために、何度も同じところに農機を走らせる無駄がないでのです。この農機は運転しながら、土壌水分データを記録整理できるセンサーも備えてあります。作物を刈り取りながら、測定した結果を地図に表示し送受信ができる優れものです。どこに肥料をいれれば良いかを、地図上に示してくれるのです。これは、肥料の節約に繋がります。100㌶の農地を耕し、収穫し、販売する作業を、1.5人で経営しているのです。蛇足ですが、トラクターは全て自動で動き、運転手の仕事は、想定外に人や動物が作業中の畑に現れた時の対処だけになります。
 ドイツと並ぶ先進国の日本は、ドイツの上をいくスマート農業を開発することでしょう。
大学や企業、そして自治体は、農業ロボット技術とITCを活用した世界トップ級のスマート農業を目指すことで合意しています。タブレット端末で、数十m離れた場所からトラクターを操作することもできます。さらに進化させて、東京の監視センターから北海道の農地で動く無人トラクターを制御することもできるようになるようです。複数の農地で稼働する無人トラクターを、遠隔監視センターで同時に動すことも可能になるようです。たとえば、カボチャの収穫をロボットトラクターが行う計画もあります。日本全国のカボチャの収穫を、東京の監視センターで行うことも可能になるかもしれません。さらに、進化させて、カボチャとジャガイモを別々に収穫することができれば素晴らしいことです。収獲だけではもの足りない場合、食味の良い作物だけを収穫できる仕組みができれば、市場との連動は円滑になるでしょう。
 このスマート農業の主旨には、農業の担い手を育成するという目的もあります。一連の取り組みでは、非熟練者の作業効率や疲労に関するデータも集めています。これからの先進的農業では、熟練の技術が無くても広い農地で適度に稼げる技能が求められます。欲をいえば、高品質な農産物を効率的に生産し、収益を上げ、そして非熟練者でも早期の技術習得できるという道を目指したいわけです。スマート農業は、地域農業の人材育成も大きな目的になります。紅梅夢ファームでは、2017年、2018年と地元の農業高校や大学生計4人を社員として迎えています。スマート農業の先端技術が新たな可能性を生み、若い人材を育成していくことを期待しています。
 

6000万人の訪日外国人を目指す  スモールアイデアNO319

2019-08-24 18:40:07 | 日記

 日本の観光事業は、4000万人の訪日客から6000万人の訪日外国人を目標に動き出しています。東京五輪の開催や訪日客の急増に合わせて、ホテルを増設しています。このままのペースでホテルを建設していくと、客室が余るのではないかと心配されています。業界の方は、ビジネスホテルが急増しているが、フルサービスの高級ホテルは5%程度しか増えていないと言います。ビジネスホテルは、余剰感がでています。でも、高級ホテルの成長はまだまだ余地があるようです。世界の富裕層が好む高級ホテルの不足は、2020年以降も続くとのことです。2018年のアメリカからの訪日客数は2017年に比べて11%増の152万人でした。これは、7年連続で2桁増の記録になっています。欧州ではドイツやイタリアの訪日客も前年に比べて、やはり2桁増でになっています。アメリカやヨーロッパ諸国の訪日外国人は、アジアを含めた全体の伸び率8.7%を上回っています。
 訪日外国人の1人当たりの宿泊費は、アジア圏は2~6万円台で、欧米圏は7~10万円になります。アメリカやヨーロッパ諸国の訪日外国人は、旅行支出のうち、宿泊費にかける割合が大きいのです。余談ですが、沖縄県恩納村で開業した「ハレクラニ沖縄」というホテルがあります。このホテルは、全360室の客室があります。その単価が、5万円以上と沖縄では最高価格帯のホテルです。ハレクラニ沖縄は、7~8月の予約はほぼ満室なのです。現在の予約客は日本人が中心ですが、将来は外国人客の誘致も念頭においているようです。欧米の観光客は、このような高級ホテルに泊まる割合が多いのです。日本のホテル業界が高級ホテルに力を入れる背景には、欧米からの訪日客の増加がひとつの要因になっています。
 そこで、今後の訪日外国人の方に対する観光対策を考えてみました。オリンピックやその後に開催される大阪万博をにらんで、訪日外国人6千万人を目標に掲げています。でも、客数増で稼ぐビジネスモデルにはいずれ限界がきます。その限界を露呈している都市に、古都京都があります。京都市内では、低料金のゲストハウスなど簡易宿所が急増しています。簡易宿所の客室数は、2018年度末時点で12000室と、2014年度比で9000室以上増加しています。多くの簡易宿泊所の存在が、市民生活に支障をきたす観光公害の問題も起こし始めたと指摘されています。本来、宿泊施設にはフロントがあり、管理者がいるのが普通です。でも、管理人が不在で、外国人の宿泊者に適切なアドバイスをしていないために、問題が起きています。安全面から、この管理人をおくように規制を強めているようです。手ごろな料金で泊まれる簡易宿所への規制を、強化し始めたことになります。京都は、観光客の「数より質」を重視する方向に舵を切ったわけです。
 京都市では観光客の強急増に伴い、渋滞や騒音などがおきています。この問題を解決する方策として、観光客を増やすビジネスモデルを追究するより、顧客の満足度という点から観光を捉える姿勢に転換しています。満足度を高めるために、付加価値の高い収益を得て、都市を美しくするための資金源を確保することも狙いになります。観光客向けの料金を高めに設定し、得た資金を観光地の整備や文化財の修復費用に充るわけです。京都市は安全性やサービスの水準を維持することで宿泊客の満足度を獲得する方向を模索しています。
 私ども熟年は、京都というと修学旅行の思い出が強く残っています。大部屋で食事をし、雑魚寝で過ごすことが当たりまでした。でも、良い思い出になっています。京都が目指す満足度の高い観光には、高級ホテルも含まれるでしょう。ところが、日本には高級ホテルの代名詞といわれる5つ星ホテルが、32軒しかないのです。他国と比較しても、貧しさが浮き彫りになります。ロンドンの79軒やパリの61軒、そしてニューヨークの60軒で、欧米の都市に比べて半分程です。これはイギリスやフランではなく各都市の5つ星ホテルなのです。アジアの中では、中国の137軒やタイの112軒、インドネシア58軒を大きく下回っているのです。
 もっとも、5つ星ホテルが少ないということは、これからの可能性があるということになります。嬉しいことに、訪日外国人は確実に増加しています。富裕層も、増加傾向にあります。欧米の富裕層は、滞在日数が多く、宿泊に支出を多くかける傾向があります。高級ホテルが高い稼働率を維持できれば、高い収入を得られます。観光行政の軸足を数より質に移す戦略は、満足度を高めることを通して成立します。そんな高級ホテルが、適度に建設され、収益を上げて欲しいものです。




目標を達成する勉強方法  スモールアイデアNO 318

2019-08-23 19:25:48 | 日記

 学習では、熱中することが後にきわめて好ましい影響を及ぼします。良い成績を残す子は、何かに熱中しています。小学生の時、なにかのきっかけで勉強が面白くなったりすると、熱中の状態にはまるようです。分かってくればなお面白くなるもので、成績もそれなりに向上し、勉強を継続する傾向が続きます。面白さやその成果が、勉強する習慣を形成していくわけです。非常に具体的なことは、勉強する習慣がつくと教科書に書いてあることがわかってきます。幼児期から小学校高学年までは、脳の機能を成熟させる準備期間と捉えられています。でも、中学生の頃に入ると、脳は知識を記号的に収納するのがうまくなります。小学生の頃は、感情的な要素を含む知識を収納していました。これはこれで、将来の可能性を拡大させる意味で大切な要素です。可能性を拡大したり高めたりするこの大切な時期を経て、合理的な学習の最適時期に入っていくがわけです。いわゆる、大人の脳になっていくのです。
 この大人脳は、子どもの脳と違って効率が良いのです。大人脳は「分類と組み合わせ」によって、要領よく知識を増やす脳になります。この脳は、全ての知識を吸収していきます。例えば、英語の勉強法として最も効率的なのは教科書を丸暗記することといわれています。この丸暗記などは、工夫次第で簡単に行うことができます。丸暗記した英語を、録音を通して通学電車で聞くだけで、英語の読む聞く能力は向上して行きます。これに英作文をできるようになれば、基礎的な英語は形成されます。英語を3歳当たりから早期教育をする必要はなく、中学校からでも十分という主張が正当化される所以です。高度な専門分野の知識は、体系化されています。この知識を確実に脳に記憶し、いつでも出し入れができるようになる時期でもあります。この時期に、知識内容を理解するとともに、自分の頭から取り出しやすい形にして、入れる仕組みを作った子どもは優れた人材になる可能性を秘めています。いわゆる大人脳になり、本格的な勉強や仕事に最も向いている状態になる時期ともいえるのです。
 でも、世の中は理想論をすぐに実現するほど、甘くはないようです。首都圏の公立高等学校に通う生徒3300人を対象に、学習行動に関する追跡調査を行ないました。調査対象校は、地元で一番手の進学校と3~4番手の中堅進学校の2タイプが選ばれました。学偏差値でいえば、一番手が70以上で、後者は50台半ばから60台前半の生徒達です。この2タイプ生徒の学習行動には、大きない違いが認められました。中堅進学校生徒の学習時間は、進学校の生徒に比べて少なかったのです。中堅進学校の生徒は、定期テスト期を除く平日の学習時間が30分以下の生徒が7割を超えていました。彼らは、スマホやテレビに費やす時間も多かったのです。大学受験に対する姿勢にも、甘さがあるようです。合格できそうな大学でも、進学した後に勉強についていけない大学であれば、選ばない傾向が強いのです。 余談ですが、内定した大学生が、辞退する傾向のあるデータをAIで調べた企業がありました。企業としては内定者辞退は、是が非でも防ぎたいものです。事前に分かればと、藁にもすがる気持ちだったのでしょう。その情報には、企業のニーズがあったわけです。これは、高校生を入学させる大学でも言えることでしょう。大学としても、入学してから困難な学問に打ち込まない学生より、挑戦を続ける学生を入学させたいでしょう。大学全入の時代を迎え、少しでも良い人材の情報は大学にとって必要になるでしょう。
 現代は、ストレス過剰社会です。これによって、心や体にさまざまな病気が起こります。ストレスには、「物理的なストレス」と「心理的なストレス」とがあります。ストレスホルモンのコルチゾールが慢性的に出ると、血流が悪化し血糖や血圧が上昇します。この物質が慢性的に分泌されると、胃腸の働きが悪くなったり免疫力が低下します。コルチゾールが慢性的に出ると脳や体のあちこちに病気やトラブルが起こりやすくなります。現代社会の中で生活する若者は、知らず知らずのうちにストレス社会を乗り切る方法を身につけているのかもしれません。
 余談ですが、トロイの遺跡を発見したシュリーマンは、語学に習熟していました。この語学の能力を使い商売を成功させました。彼は独学で、数カ国語を自由に操れました。シュリーマンの目的は、トロイの遺跡を発見することでした。ビジネスを成功させた後は、そのお金を夢の発掘につぎ込んだのです。目的があれば、その目的を達成させるためのスぺックを用意できるものです。有力進学校生徒にも、家庭学習が30分以下は2割程度いるそうです。進学校でも、中堅校でも、30分以上勉強すれば、それなりの目標をつかむことができるようです。要は目標の設定が大事になるということでしょうか。もっとも、学校の授業が楽しければ、30分の家庭学習はスムーズにできるようです。



学校におけるクレーマー対策  アイデア広場 その493  

2019-08-22 17:59:26 | 日記
 電車の中で赤ちゃんが泣いていると、迷惑な顔をする方がいます。厚かましい人は、お母さんに泣かさないように注文をつけることもあるようです。赤ちゃんが泣くのは、当たり前です。泣いている赤ちゃんを抱いているお母さんに、「すいません」と言わせるような社会は良くありません。「元気に泣いて、気持ちの良い赤ちゃんですね」と声をかける社会であってほしいものです。弱い立場の人に強い人が、圧力をかける場面をよく見るようになりました。クレーマーの出現です。
 そこで、クレーマーの行動を穏やかにする方法を考えてみました。特に目に付く場所は、学校や病院です。クラス担任や看護師の方が、その被害に遭うようです。まず、クレーマーの行動パターンを、映像で蓄積します。学校や病院には、安全管理上監視カメラが配置されるようになります。このカメラの存在を、学校や病院の施設を利用する方には認めてもらうことになります。秘密軍事基地に入る人間のプライバシーは、保護されないという考えがあります。学校や病院は、安全の観点から一定のプライバシーが免責されると理解してもらうわけです。できれば、最近の優れた音声技術を使って、クレーマーの言動も収集し蓄積したいものです。最低限のプライバシーを守るために、人名や本人と分からないようには配慮します。監視カメラとインターネットを接続し、データを収集するシステムを作ります。このシステムに全国数千人のボランティアモニターに、クレーマー行為かどうか判定してもらうわけです。もちろん、データや会話のモデルを繰り返し視聴していただいて、クレーマー行為を学習します。この学習は、人工知能(AI)が得意とするものです。いっそ、AIに判定してもらってもよいかもしれません。現在、市町村や都道府県に設置された仲裁機関を介する形式を取れば、クレーマーによる被害者の負担は軽減されるようです。しばらくは、この方式を使いながら環境整備をしていくことにします。
 モンスター行為を指摘するだけでは、解決にはならないでしょう。どのような処方をしたら、モンスター行為が少なくなったのかというデータ収集も必要です。人の行為を個人のレベルで捉えるよりも、そのモンスターのまわりに張り巡らされた人間関係やトラブルから、原因を探っていったほうが良い場合もあります。個人の行動は、家庭とか職場とか、そして地域の影響によって出てくるものです。ある小学校のお母さんクレーマーは、子どもの成長が心配でした。そのことで必要以上に、クラス担任強い言動で要求を強いる行動を取っていました。校長や教頭のいうことを聞かずに、担任の言葉尻を捕まえては、問題行動を起こしていました。学年が進級し、クラス担任が替わった時、新しい担任は毎日子どもの様子を知らせるようにしました。みんなと変わらない生活や学習をしていること、友達との人間関係などを知らせたわけです。子どもの様子が分かるようになり、お母さんのクレーマー行動が減少したそうです。クレーマーの行動要因を知ることも大切になります。このような事例を数多く集め、対策事例を作ることも解決の一つになるでしょう。


満足を提供するスポーツクラブ  スモールアイデア NO317

2019-08-21 17:38:40 | 日記


 現在のフィットネス(スポーツクラブ)業界は、市場規模4500億円、施設数4500軒、会員数400万人程度の規模で営まれています。これらのスポーツクラブでは、常連会員を多く囲い込むことが1つの成功要因になります。その安定した状態で、会員の要望をかなえていくことで、スクール経営を実現していくことになります。スクールビジネスでは、常連会員が多くいると安定した収入が見込めます。会員の方も、通い続けることで体調を管理し、健康を維持できるというメリットを享受できることになります。もちろん、楽しさの要素も不可欠です。
 スポーツクラブ業界の年間の個人消費金額は、平均して10万円前後になるようです。月会費にすれば、8000円程度です。1万円を超える月会費のときには、他のクラブとは違う付加価値が必要になります。会員の要望を、早く確実に満たす仕組みが求められます。会員は、要望が満たされなかったり、楽しく学べなければすぐにやめてしまいます。スクール事業を経営していくのなら、「会員はあっさりやめるもの」と覚悟しておくことです。移り気な面を持っていることを、忘れてはいけないでしょう。一方、信頼を得ることも大切です。保護者が、子どもを安心して預けられる学習塾があるそうです。そこでは、「塾に通うだけでは成績は上がらない」とはっきり保護者に言い放すそうです。学び事は、教える側だけでなく、学ぶ側が真剣にならなければ、成果を上げることができません。スポーツクラブにおいても、この学ぶと教えるの関係は成立します。会員はあっさりやめるものと覚悟して、そのうえでどのように対応するかが重要になります。
 そこで、スポーツクラブの経営を上手に運営する方法を考えてみました。そのヒントは、定額食堂にあるようです。動画や音楽を定額配信するサブスクリプション(サブスク)の波が、飲食店に広がっています。例えば、あるラーメン店は、8600円を払えば1ヶ月食べられる仕組みになっています。12杯食べれば、元が取れるといううたい文句です。飲食業では利用が何度でも利用されると、食材費などのコストが比例して増えることになります。上手く運営するカギは、利用者数と損益分岐点の予測になります。一般に飲食業の売上高は、客の回転率と客単価で決まります。定額制の場合、客単価は決まっています。客の払うお金は定額になりますので、契約が多く来店者数が少なければ大きく儲け、たくさん来ると赤字ということになります。それでも、一定数の利用客を安定して確保できる魅力があります。赤字にならずに、定額食堂を運営しているお店の中に、スポーツクラブの求めるヒントがあるわけです。
 スポーツクラブは、百花繚乱をなしてきています。ダンスやヨガスタジオ、スイミングスクール、女性専用のフィットネスクラブやヨガスタジオ、ランニングスクール、ボルダリングとますます増え続けています。様々なスクールが増えたことも、安定した会員の確保を難しくしているようです。さらに、歌、ギターなどの音楽教室、料理教室、カメラ教室、語学教室などの文化系スクールも乱立してきました。スポーツクラブは、他業種との「時間の奪い合い」競争にもさらされています。
 そんな中で、新しい芽が見えるようです。あるスポーツクラブは、新会員募集のために健康診断の受診を条件にプールの利用券を発行したり、懸賞を用意したりしたする手法を使い始めました。水泳だけでなく、健康や懸賞を前面に押し出してきているわけです。ここから、出てくるアイデアは、競争にさらされているスポーツクラブを、各自の健康や興味関心に合わせて再統合してはどうかというものです。乱立しているスポーツクラブや文化系のスクールを、会員のニーズにしたがって、統合していくのです。スイミングをしてから、ヨガスタジオに寄って、ギターなどの音楽教室を経て、料理教室で昼食を食べ、夜のおかずを1~2品作っていくなどのコースを設けられたら楽しいでしょう。このコースを1万円で、可能にするわけです。8000円を超える満足を1万円のコースで満喫してもらうことになります。