ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

日本の漁業 その1 養殖漁業と魚粉

2016-07-29 19:33:24 | 日記
日本の漁業 その1 養殖漁業と魚粉

 今年の土用丑の日は、7月30日(土)です。皆さんウナギ料理に舌鼓を打つことでしょう。すでに中国からウナギが空輸されてきて、税関を通過しています。ご存じのように現在のウナギは、養殖で育てられています。ウナギの善し悪しは、魚粉によるといわれています。特に、高品質のペルー産の魚粉は、栄養面において飼料として欠かせません。この魚粉が2014年には不足し、ウナギの値段が「うなぎ登り」になったことはご存じの通りです。今日は、養殖漁業と魚粉の関わりを蒲生さんに、トット記者がインタビューします。

記者「今年のウナギは、平年より安くなると聞いています。どうなるのでしょうか」
蒲生「ペルー産の魚粉が、7月中旬で1トン20万円程度です。これは2014年と比べて3割以上安い価格です。養殖魚の飼料原料となる魚粉が、内外で軒並み下落しました。その意味で、平年よりは、安心価格で食べられます」

記者「ペルー産の魚粉は、なぜ注目されるのですか」
蒲生「クロマグロを30kgに育てるために、500kgの餌が必要です。海洋生態系で食物連鎖の下に位置する小魚を『餌魚』といいます。餌魚には、マイワシ、ニシン、カタクチイワシ、シシャモなどの小魚がいます。餌魚は、海洋生態系の中で最も大量に生息している魚です。これらの魚は、大きな群れを形成しています。プランクトンの豊富な海に群れを作って生息しているため、餌魚は容易に大量に漁獲できる魚でもあります。ペルー沖は、この餌魚であるカタクチイワシの大漁場なのです。このイワシを魚粉にして、世界の養殖業者に供給しているわけです。この魚粉の価格の上下動が、世界の養殖業者の注目を集めるのです」

記者「大漁場なら、毎年一定の漁獲だが確保できるのではないのですか。確保できると分かれば、価格は安定すると思うのですが」
蒲生「はい、そうもいかない理由があります。例年ペルー政府は4月ごろに漁獲枠を発表し、4~7月にかけて漁をすることになります。今年は漁獲枠の発表が6月まで、ずれ込みました。でも、曲がりなりにもカタクチイワシの漁獲枠が180万トンと決まり、市場に安心感が広がったのです。ペルーで遅れていた魚粉の供給不安が薄れるとの見方から、国際価格が急激に下がったのです」

記者「供給不安があれば、もっと値上がりするのではないのですか」
蒲生「苦い経験があります。2014年のカタクチイワシ漁を、ペルー政府が中止を決定しました。結果として魚粉が供給出来ず、養殖魚の値上がりが起こりました。各国の企業は、ペルー政府が中止の決定を行うかもしれないと考えています。そのリスクを念頭において、対策を練っています。今回は漁の遅れで、ペルーの魚粉生産会社の資金繰りが悪化したようです。安値で中国の需要家に販売されました。ペルー業者の足下を見られ、安値販売に繋がったようです。魚粉の在庫はあるという観測が、国際価格を下落に導いたともいえます」

記者「ところで養殖魚といえば、クロマグロが思い出されます。クロマグロの養殖が、優先された理由はどんなところにあるのですか」
蒲生「マグロ漁は、最近になって大規模漁業の世界に登場してきたのです。タラやニシンに比較すると、新参ものです。マグロの中でも、クロマグロやメバチは近年価格が急上昇したものです。サバ科に属するクロマグロやメバチ以外のカツオなど多くの魚は、管理目標よりも資源量が多く良い状態にあります。クロマグロは、高い市場価格と旺盛な需要によって、漁獲量を高めてきました。この二つが、クロマグロの捕獲努力量と漁獲量が急増してきた理由になります。ソマリア沖の台湾クロマグロ漁船は、軍艦が護衛されながら入漁をしています。それだけ、利益があがるのでしょう」

記者「人間の美食とは、恐ろしいものですね。急激なクロマグロの漁獲量の増加は、絶滅種になるとの警笛を鳴らしています。なされています。そこで次に取られた方策が、クロマグロの完全養殖ということだったのですね」
蒲生「これからの養殖業は、高級魚が対象になります。養殖業の飼料コストは、全養殖コストの6~7割になります。餌の確保が、最大の課題になるわけです。餌は小魚をそのまま与えるか、小魚をペレットにして食べさせるかになります。現在の養殖場では、生餌の利用から魚の成長に合わせた各種のペレットへと餌料を転換しつつあります」

記者「ペレット餌料に魚粉が、一定の割合で入っているわけですね」
蒲生「はいそうなります。今の養魚法は以前より、数段に進んでいます。餌を効率的にタンパク質にしていく、餌の開発も進んでいます。魚粉の国際価格の変動から、魚粉を少なくする配合まで、開発されています。大豆のミールを使った飼料の開発も進んでいます。どこの成長時点で、どんな餌料を与えれば良いのか、時間と共に正確さを増してきているわけです」

記者「ある面で、工場生産のようになっているわけですか。養殖場がある限り、漁場で獲れた魚は、必ず餌魚として売れるということになりますね」
蒲生「はい、今は冷凍庫の余裕がある限り、魚問屋はどんな魚でも買い入れます。イワシ、サバ、サンマなど一度に大量に獲れる魚は、どれだけ豊漁になっても値がつきます。養殖場で使う餌料は、漁獲物の最後の受け皿になるのです。冷凍技術が進歩した現在は、漁獲があれば冷凍して保存し、いつでも餌に転換できる体制ができています。薩摩揚げやちくわは、これらの原料になるすり身の冷凍技術と保管技術の進歩で、いつでも大量ストックや大量生産、そして安定供給が可能になっていますよ」

記者「ウナギやマグロの値段が、遠く離れたペルーのカタクチイワシの捕獲によって、影響されるとは思いませんでした。土用丑の日は、安心してウナギを食べたいです。今日はありがとうございました」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。


コンパクトシティのコンパクトビジネス 高齢者の小遣い稼ぎ

2016-07-26 21:08:37 | 日記
コンパクトシティのコンパクトビジネス 高齢者の小遣い稼ぎ

 コンパクトシティは、行政や医療機関、そしてスーパーを含む主要機能を1キロ平方メートル内に集約した町です。後期高齢者(75歳以上)の増加にも対応できるように、バリアフリー化がなされています。特に、生活習慣病の予防には、多くのノウハウを蓄積しています。そのノウハウについてトット記者が、藤堂さんにインタビューしました。

記者「高齢化の進展により、日本の医療費は40兆円を越えました。そして、介護費が9兆円といわれています。年齢により、患者負担の格差が拡大しています。65歳以下は一人当たり17万円、65歳以上は72万円の医療費がかかっています。2025年には、医療・介護費は74兆円になると推定されています。どのようにすればよいのでしょうか」
藤堂「健康寿命を長くすることです。活動量の多いグループは、健康寿命が長いことが分かっています。活動できる場を設け、住民の皆さんが楽しく暮らしていけるようにすれば良いわけです」

記者「先日は人力発電を使った健康増進について、お話をお聞きしました。他にどんなものがあるのですか」
藤堂「やはり人力発電ですが、料理好きの方の事例があります。テレビの料理番組を1年間、ブルーレイで録画した高齢者の方がいました。1年間録画すると、1000種類以上のビデオによる料理が集まります。この1000種類を、イタリアや中国などの料理や食材別の料理に分類しました。このビデオを自転車をこぎながら、毎日1時間で3~5本、見て覚えていくわけです。もちろん、気に入った料理については、自分で作ったことはいうまでもありません。昂じた方は、本場まで行って食してきた方もいましたよ」

記者「体を動かしながら、料理の知識を入力し、運動が終わると自分で調理をするというわけですね。調理には、食材の鮮度の見極め、食材の値頃感、包丁さばき、合理的な時間の使い方など頭も、手も、体もすべて使います。これは、健康に良いわけです」
藤堂「はい、単に運動をするより、頭を使いながらの運動のほうが、健康寿命には効果的なのです。認知症などには、有効な処方だと専門家も推奨しています。前にも言いましたが、1日当たり2000歩の身体活動を増やすことで、医療費を3~4万円を削減できます。『二本の足は、二人の医者』という言葉があります。歩いている分には、急速な体力の低下はないのです」

記者「コンパクトビジネスで、高齢者の方が小遣い稼ぎしているとお聞きしたのですが。それはどんなことですか」
藤堂「体を動かす延長線上に、考え出された小遣い稼ぎです。運動に飽きてしまう高齢者が始めたことです。お金にならなかった地元の資源を、お金に変える里山ビジネスです。コンパクトシティの周りには、農地があり、そのまた周りには、放置された山林があります。山林は、地域の資源の一つです。その山林に入り、高齢者が薪を苅りだしたのです。」

記者「薪は、わずかな稼ぎですが、高齢者に小遣いをもたらしたわけですね」
藤堂「薪の苅りだしの結果、山の手入れが進み始めました。薪の使用は、わずかですが灯油の使用量を減らしています。町の資金が、外部に流出する量を少なくしました。その分、地域内でまわるお金の量が、増えているわけです。荒れた山林が、里山として使えるようになり、キノコやタラの芽など旬の食材も流通するようになってきました」

記者「運動の代わりに、里山の仕事を始め、それがコンパクトビジネスとなり、意外な広がりを見せたわけですか。町の中心部の周りには農地があり、さらにその周りに里山があるわけですよね。そこまでの道路の補修はどうしているのですか」
藤堂「この町は、道路の補修を高齢者にしてもらっています。里山で働いている人達が、のんびり補修をしています。セメントなどの材料は、町が支給します。簡単な工事用具は貸し出しをしています。でも手当は出さないでやってもらっています。100m程度の補修は、半日程度で終わりますよ。舗装作業を業者に委託すると、この方式の3倍以上の予算がかかります。高齢者による舗装は、1500ヵ所にも及びましたよ」

記者「何か良い結果はあったのですか」
藤堂「思わぬ結果が出ました。道路の補修費を高齢者が行ったことで、6億円の節約ができました。このお金の半分は、若者向けの公営住宅の建設に使いました。さらに家賃を民間の半分程度にし、医療費や給食費を無料にし、子育て環境を整えました。すると、若者の定住が進み、外部から定住してくる人も増えてきました」

記者「団塊の世代が75歳以上になると、後期高齢者は2200万人以上になります。介護の人材は、37万人不足するといわれています。多くの自治体で、人材確保を巡って競合が激しくなるといわれています。この町の状況をお聞かせ下さい」
藤堂「はい、出生数の減少は、財政や福祉制度の破綻、産業構造の変化、そして人不足の問題を引き起こします。全国で少子高齢化が進む中で、この町の若者は笑顔で暮らす場になっています。若者が住みやすい町づくりを、高齢者が率先して行っているからです。介護を担う若者が、潜在的に増えているのです。医療費や介護費を節約して、そのお金を若者が住みやすく、働きやすい場の建設に回しています。コンパクトビジネスで、町の自然を守りながら、小遣いを稼いでいます。さらに、町の道路の補修をしながら、お金を節約し、そのお金を若者に還流しています」

記者「工夫をすれば、高齢者も楽しみながら、いろいろな地域貢献ができることが分かりました。今日はありがとうございました。」
藤堂「また来て下さい」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



奈々ちゃん「社会に必要な能力アップ」について語る

2016-07-22 21:35:33 | 日記
奈々ちゃん「社会に必要な能力アップ」について語る

 日本教育の行く末を心配した隼人君が、いろいろ考えています。OECDの報告によると、日本の教員は最低の勤務条件だということです。日本の教育現場がこれ以上に良くなることは、難しいようです。公教育制度に頼る一方、自分の力でより良い方向を目指そうと考えました。そこで、いくつかのアイデアを出したのです。今日は、隼人君のアイデアと奈々ちゃんとの話し合いについてです。

隼人「小学生の教育費は、年間合計30万円です。公立小学校に払うお金は7万円、塾やその教材費が20万円、その他の習い事が3万円となっています」
奈々「そうです。付け加えると公立中学校は45万円、中学校に13万円、塾やその教材費に27万円、その他の習い事に5万円、さらに私立中学は130万円、学費が90万円、塾やその教材費30万円、その他の習い事に10万円となっています。隼人君は、これについて何か、意見があるのですか」

隼人「はい、小学生は塾に多くのお金と時間をかけて、現在の学力を維持しています。でも、『全国学力・学習状況調査』によると、秋田県と北陸の3県がいつも優秀な成績を上げています。秋田や北陸の県は、大都市に比べて塾は極端に少ないのです。つまり、小学校や中学校までは、塾に行かなくとも、学力や学習状況は確保できるということではないかと思いました」
奈々「そうですね。教育立国のフィンランドには、塾はありません。それでも、国際レベルの教育水準を保っています。一方、アジアで常に上位に入る韓国や上海は、塾や家庭教師が全盛です。日本の場合、『全国学力・学習状況調査』の状況から判断すると、義務教育までは塾にいく必要はないかもしれませんね」

隼人「これから日本では、どんな人材が求められるようになるのですか。それによって、どの分野に学習の力点を入れるか決めていきたいのですが」
奈々「そうですね。知的財産、知的所有、新製品などの開発能力、現場の作業工程の改善能力などのある人達が、求められています。知識や技能を駆使し、新しいものを作り出していく能力が求められているわけです。自分の知識を時代の状況に合わせて、いろいろな形に加工できる人ともいえます。」

隼人「時代にあった知識を獲得するためには、どんなことがまずできれば良いのでしょうか」
奈々「一つのヒントは、有名進学私立高校の入試問題にあります。これらの学校の入試問題には、本を豊富に読んでいる生徒を見つける問題が忍び込ませてあります。多くの本を乱読し、広い知識を持っているかどうか調べます。広範な知識があれば、特定の課題に容易に挑戦できます。課題を解決する文脈を、特定の目的のために動員できるからです。蓄積した知識を活かして、幅広い推論ができ、多様な分野の問題を解決できる可能性を持っているのです。本を多読している人は、伸びしろが大きいのです」

隼人「伸びしろのある人を求めるわけですね」
奈々「はい、可能性のない人材よりは、あるほうが良いわけです。でも、それだけでは大成しません。自制心が求められます」

隼人「自制心というと、有名な実験がありますね」
奈々「はい、『3~5歳の子どもの前にケーキを置いて、15分間食べるのを我慢したら、もう一つ上げる』というものです。我慢をしてもう一つのケーキを獲得した子どもは、3人に1人でした。」

隼人「食べることを我慢できた子ども達は、十数年後の大学適性検査で良い成績を収めていたというものですよね」
奈々「そうです。自制心は目の前の誘惑に打ち勝ち、長期の目標を達成する力になります。自制心は筋肉と同じで、使えば疲労し、回復には時間がかかります。でも、使えば強くなります。脳の素質は同じでも、育った環境や人間関係で学力の差は生まれてきます。脳も、使い続ける事でことで発達していくのです」

隼人「知識を蓄積する技能や加工する技能は、常にやっていなければならないということですね。自制心という概念があるのではなく、本を読んで、蓄積した知識をアイデアとして出力し、目標を達成するまで行動を続けることで、一連の流れが自制心として形作られていくということですか」
奈々「そう理解していただければ、嬉しいです。これからの社会で必要な技能は、いくつかあります。学習塾は、小学校と中学校では必要ないと述べました。もし、学習塾に行かないと、小学校6年間で120万円と学習塾で使う時間、中学校3年間で81万円と学習塾に使う時間が、新たに生まれます。この200万円のお金と時間を使って、これからの社会に必要な技能を身につけることは可能です」

隼人「どんな技能が考えられますか」
奈々「最初に、パソコンでワードやエクセルの操作です。1分間で英語で60語か日本語で120語を打ち込める程度は身につけておくことです。自分なりにある程度の記憶術は、身につけて置いた方が良いでしょう。記憶量を増やし、それを想起しやすいように加工しておく技術を身につけておくのです。思い出すために調べる時間が、馬鹿にならないのです。本を読むには、技術があります。重要な文脈を、捉える力を磨くことです。速読については、ある程度本に親しんでいれば、速く読めるようになります。すべて速読で解決しようとすると無理が生じるようです。本を読む場合、注意しなければいけないことがあります。悪書を読まないことです。これは時間の浪費に加え、ブラック情報が知性の質を低下させていきます。プログラミングにもチャレンジすることも良いですね。これらのことを、200万円と学習塾に行く時間を利用して行えば良いのです。集中と選択は、大切です」

隼人「確かに、パソコン、記憶術、読書術、プログラミングなどは、これからの社会には必須のものになりますね。これらの技能と学校の勉強を両立させれば、今の僕にない潜在力ができるかもしれません。潜在力を自由自在に使えれば、楽しいでしょうね。今日はありがとうございました」
奈々「また来て下さい」


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ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



奈々ちゃん「日本教育の劣化」について語る

2016-07-19 21:14:09 | 日記
奈々ちゃん「日本教育の劣化」について語る

 小学6年生の隼人君が、日本の教育について奈々ちゃんに聞いています。おじいさんに、「昔の日本の教育は素晴らしかった」と聞かされたことが、理由のようです。最近、とみに知的好奇心が旺盛になった隼人君が、教育についての知見を深めたいようです。以下は、奈々ちゃんが、隼人君に話した日本の教育の実情とその解決策です。

隼人「昔の日本の教育は、どんな点が素晴らしかったのですか」
奈々「戦後の日本の強みは義務教育を終えていれば、全ての工員がオートメーションの作業工程でもロボット化された作業工程に対しても適応していたことです。1970~80年代には、世界の多くの教育や産業の専門家が、日本の教育を視察に来て絶賛していきました。確かに、一定の素質を持つ人達の能力を、一定の水準に引き上げる点では、日本の教育は優れていたのです」

隼人「でも、どうして最近日本の教育は遅れているという評判を聞くのですか」
奈々「OECDなどで行っている学習到達度調査(PISA)などで、最上位から少し落ちたことが理由かもしれません。あと、世界における大学の順位なども関係しているのでしょう。結論からいうと、15歳レベルにおいて日本の教育は健在です。むしろ、良好な教育を支えてきた教員の健康やモラールが、今後は心配になりますね」

隼人「先生方は、8時間労働ですよね。どうして健康が問題になるのですか」
奈々「教育立国として有名になってきたフィンランドの教員の実労働時間は、6時間16分です。日本の教員の労働時間は、11時間6分なのです。ちなみにフィンランドの教員の睡眠時間は7時間43分で、日本の教員は6時間23分です。日本の先生方は、睡眠時間まで削って超過勤務をしています。無報酬の超過勤務の現状を考慮すると、日本の教師の待遇はOECDでは最低のランクに入っているのです」

隼人「先生方の待遇が悪くなると、どうなるのですか」
奈々「かって日本の教師は、高い教育水準、高い給与、高い競争率、水準の高い校内研修で世界の教育界をリードしていました。教員採用には、教員希望者を引き寄せる魅力があったのです。2000年の教員採用の倍率は12.6倍でした。2013年においては、4.3倍に低下しています。特に教員採用の倍率低下は、東京や大阪の大都市において顕著に起きています。都会における教員志願者の人材劣化が起きているのです。今後この流れは、地方へと拡大するでしょう。教員には優秀な人材が集まらない状況になっているのです。」

隼人「先生のモラールに関係すると思うのですが、どうすれば意欲を持って先生方は私たちを教えてくれるようになるのですか」
奈々「OECDなどで発表する統計資料によると、日本の授業研究の頻度は、小学校が優位を維持し、中学は世界平均レベルで、高校は最下位に位置しています。小中高と進むにつれて、研修意欲の低下が現れているようです。先生方のモラールを高める方法には、二つ考えられます。一つは、校長の役割です。今までは、教員の勤務を重点的に評価する役割でした。校長の役割を授業の改善や専門性の開発をするリーダーとしての役割に変えていくことです。実は、専門性の開発や授業の改善において日本の校長は、世界最低のレベルにあるのです。今現在日本の校長は、行政の末端に位置しています。行政からの伝達を忠実に行う校長が、評価されてきました。外国では、教師の専門性を発揮向上させ、教育目標を達成させる経営者が評価されます。教師の専門性を高める研修の改善も校長の役割になります。日本もこのような方向になっていくでしょう」

隼人「先生方の研修授業は、時々やっていますよ。僕たちも緊張してやりますが、先生もかなり緊張しているように思うときがあります」
奈々「隼人君の体験した研修授業は、校内研修といいます。残念ですが、多くの研修授業は、『評価と助言』が主になり、専門家としての学び合いのレベルには達していません。現在の校内研修や教育委員会の研修は、専門家としての能力を高める研修にはほど遠いのです。教育学の最新の知識を学ぶことや、授業を観察し研究する機会が少ないといえます。そこで、校長先生のリーダーシップと経営の能力が求められるわけです。徐々に、経営優先の人選が行われるようになっていますので、ゆくゆくは隼人君も安心できる授業になりますよ」

隼人「もう一つは、何なのですか」
奈々「雑務が多いのです。日本の学校組織は、多くの中間管理職により官僚化されるようになりました。優秀な教師が、教室から隔離されるようになったのです。中間管理職が増えたことで、学校組織は分業化が進み、会議と雑務が増加しました。児童生徒の皆さんより、会議や雑務が大切になったのです。先生方は、中間管理職や校長に報告書などの文書を作成します。フィンランドでは、文書作成が月に5.7回です。日本では4倍の22.8回と極端に多いのです。教育委員会から校長、教頭、主任、教員と系列化する官僚主義は、教師の専門家としての自立性を劣化させる機能を持っています。教員や主任、そして教頭などという分業化は、教職の専門職性を衰退させ、専門家共同体を解体していきました。教師は孤立し、雑務と会議の多忙化に苦しみ、専門家としての自立性を喪失させていったわけです。」

隼人「ずいぶんひどい状況になっているようですが。どうすれば良いのでしょうか」
奈々「校長がリーダーシップを取り、先生方の専門家として能力を高める経営をすることです。日本の教員と学校の自立性は、どの国より低い結果を示しています。これを、以前のように教師自身が、研修を行えるようにしていけば良いのです。教師自身の研修が全盛の時、日本の教育は世界から憧れで見られていたのです。日本の高度成長も、これらの先生方が育てた子ども達で行われていたのです。当時の校内研修、市町村における研修、全国研修などは当時としては、見るべきモノがあったのです。当時は、どの国より優れた自立性があったと思われます。教育の劣化を防ぐ解決策は、教師の自立性や校長のリーダーシップによる学校の経営にあると期待したいのです。」

隼人「おじいちゃんの話が少し分かりました。昔は先生方が僕たちに向いき合いながら過ごす時間を確保していたわけですね。そして、僕らにあった教え方を、自主的な校内研修の中で見いだしていたわけです。その経験を市町村の研修会や全国の研修会で発表していたわけですか」
奈々「そうなります。現在は、教員が自立できない状況です。教師の自立性が低下する中で、教育の劣化が起きているわけです」
隼人「少し、日本の教育の事情が分かりかけてきました。でも、現在の教育をよくする方法をもう少し教えてほしいと思います。もう一度、僕たちが有益に教育を受ける仕組みを教えて欲しいと思います。
奈々「わかりました。次の会にお話しましょう」

注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。

奈々ちゃん「内的動機づけ」について語る

2016-07-15 19:44:09 | 日記
奈々ちゃん「内的動機づけ」について語る

 小学6年生の隼人君が、自分から勉強したくなる方法を模索していました。今までは、おじいちゃんやおばあちゃんに良い成績をとったら、ゲームソフトを買ってあげるとか、お小遣いをもらうとかで、勉強意欲をかき立ててきたのです。でも、長続きしないのです。みんなより遅れてることを自覚しているようです。何か良い方法はないかと、奈々ちゃんを訪ねてきました。以下は、奈々ちゃんと隼人君の「内的動機づけ」についての話し合いの経過です。

隼人「どうしたら、勉強をしたくなるんですか」
奈々「やればできる問題に出会うことが大切です。問題は、なるべくやさしい分かりやすい入門書を選ぶことが良いでしょう。やさしい問題を解いていくのです」

隼人「どうしてやさしい問題なのですか。難しい問題に挑戦した方が、伸びると思うのですが」
奈々「隼人君の場合、今まで勉強の蓄積がまだら模様なのです。つまり、できる分野とできない分野が、デコボコしているわけです。勉強をやり直すときは、これまでの勉強してきたことを復習し、『できる・できない』を確認することが重要になります。人は理解している問題のほうが、確認しやすいのです。やさしい問題を選び、確認していくことが早道なのです。勉強は、最小の努力で最大の成果を上げることも大事になります」

隼人「勉強は長くやればやるほど良いと思っていました。でも、違う考えもあったのですね。もっとも、長い勉強は嫌いでしたけど」
奈々「たとえば15分間勉強する時、最初の5分は初期努力という形で頑張ります。そして、最後の5分間を終末努力という形で頑張るわけです」
隼人「中間の5分は、どうなのですか」
奈々「中間は、中だるみです。つまり、ただやるだけという形になってしまいます」

隼人「そうか、初期努力と終末努力を長くすれば、勉強は効率的になるわけですね。ただダラダラと長くやれば良いというわけでは、ないということですか」
奈々「はい、そういうことになります。ですから、やればすぐできる問題に、集中して取り組みます。難問は飛ばして、やさしい問題で自信をつけた方が良いのです。やさしい問題には、難問を解く鍵が隠されています。やさしい問題を数多く解く中で難問に対処していくことも可能なのです。」

隼人「先生から教えてもらったときは分かったように思うのですが、家に帰るとできなくなっているのです。これって頭が悪いのでしょうか」
奈々「悪いのではありません。分からないものは、小さく刻んでいくと分かるようになるものです。いわゆるスモールステップを刻んでいけば、複雑で難しい問題も分かるようになるものです。隼人君の先生の場合、『教え込み型』で早く教えすぎるという面があるのかもしれません」

隼人「どうしてですか。早く分かるように教えるのは、先生の仕事だと思います。分かるように教えてもらっていますよ。分からないのは、自分が悪いと思うのですが。違うのですか」
奈々「分かるように教えてばかりいたら、こども達は、自立できないのです。先生が闇雲に知識や問題の解答を与えてしまったら、隼人君は自立した学習者に育ちませんよ。自立して学習する子どもは、『教え込み型』の授業からは育っていかないものです。最近、文科省で行う『全国学力学習状況調査』の結果に一喜一憂する学校や教育委員会があります。教育委員会の意向に迎合する学校もあると聞いています。迎合する学校では、全国学力学習状況調査の対策問題をしている事例もあると報告されています。本末転倒なのです。文科省は、自ら考え自ら学習する子ども達を育てようとしています。そのための調査なのです。学習には、『内的動機づけ』が大切なことは誰もが分かっています。どうすれば、子ども達が自立して勉強するのかが、現在の課題なのです」

隼人「『内的動機づけ』って何か凄いことのように聞こえますが、具体的にどんなことなのですか」
奈々「外的動機づけは、分かりますよね。成績が良かったら、『小遣いを上げますよ』とか、『ゲームソフトを買ってあげますよ』などというものです。内的動機づけは、報酬など関係なしに、常に喜んで勉強や家の仕事に取り組むようになることです。心理学の分野では、外的動機づけから内的動機づけに高めて行くモデルが提示されるようになりました」

隼人「それってどんなモデルですか」
奈々「簡単に図式化すると、外的調整→取り入れ的調整→同一化調整→統合的調整→内的調整→内的動機づけというモデルになります。外的調整は、『先生がうるさく言うから勉強する』というような外的刺激が中心です。取り入れ的調整は、『不安だから勉強する』などの外的刺激ではなく、今の隼人君のような個人の内面から出てきているものです。同一化調整は、自分にとって重要だから勉強する段階で、勉強することに喜びを感じる段階です。統合的調整は、勉強することが価値があることだと感じ、勉強に喜びを見いだす段階といえます。内的調整は、内的動機づけの最終段階になります。常に喜んで取り組むようになる段階です。もちろん報酬など関係なく、勉強すること自体が楽しい、知ることが楽しいという感情が優先する段階です」

隼人「『内的動機づけ』の最終段階までいけば、楽しいでしょうね。自分で調べながら勉強することに必要なことは、どんなことですか」
奈々「辞書を使いこなすことが、自立した勉強の第一歩です。自立した勉強を志した場合、辞書を購入してもらう必要があります。調べた単語に付箋を付けていきます。分からない単語には、別の付箋を付けます。付箋はお気に入りのものを準備すると遊び感覚でできます。勉強には、遊び心も大切ですよ。付箋の数で調べた単語、分からない単語が把握できます。調べた単語を可視化し、数量化していくのです。分かる単語を短時間で反復し、長期記憶として保持し、想起しやすいようにしておきます。分からない単語は重点的に反復し、海馬にその重要性を分からせてから通過させて、側頭葉に長期記憶として保持していくことはお話しましたよね。単語数が増えれば、読める文章も増えてきます。」

隼人「前回の記憶力と今回の内的動機づけの話は、有意義でした。自分でやりたいなと思った課題を、小さくわけて自分でできる分量にすれば、できるような気がしてきました。自分のできる問題を数多くやって、次のステップにいけるようにしたいと思います。今日はありがとうございました」
奈々「どういたしまして」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



奈々ちゃん記憶力について語る

2016-07-12 19:26:29 | 日記
奈々ちゃん記憶力について語る

 小学6年生の隼人君が、物覚えが悪いと困っています。中学校に入ると覚えることもたくさんあり、勉強が大変になると聞いて意気消沈しています。何か良い方法はないかと、奈々ちゃんを訪ねてきました。以下は、奈々ちゃんと隼人君の記憶力向上についての話し合いの経過です。

隼人「勉強はしているんだけど、なかなか覚えられないんですよ。肝心なとき思い出せななくて、困っています。何か良い方法はありませんか」
奈々「細かく説明すると、記憶は『記銘』、『保持』、『想起』の三段階に分けて考えられます。記銘は、短期記憶ともいわれるものです。どんなに頭の良い人でも、一度に5から9の記憶を処理するのが限度なのです。7プラスマイナス2の法則ともいわれています。この記銘は、脳の海馬という所に行きます。ここで重要と判断された記銘は、脳の側頭葉などに保持されます。側頭葉に保持されて、長期記憶になるわけです。重要と判断される基準は、海馬に送られてくる刺激の強さや回数になります。長期記憶になれば、思い出すことができます。短期記憶の場合、すぐに忘れ去られていく運命です。なかなか覚えられないということは、短期記憶から長期記憶になる効率が、悪いともいえます。」

隼人「覚えられないということは、短期記憶が長期記憶になっていない。海馬に重要と判断させる勉強の仕方が必要ということなのですね」
奈々「ある面では、そうですね。イギリスの首都ロンドンは、複雑な街並みです。ここのタクシーの運転手は、普通の市民より海馬が発達しているといわれています。ロンドンを自由に運転することが、運転手の海馬を常に発達させているのです。私たちも海馬を鍛える学習をすれば、記憶力は高めていけますよ。海馬は毎日刺激を受けると、かなりの頻度で神経細胞を増やしていきます。積極的に学習を続けると、海馬は刺激を盛んに受け、神経繊維のタンパク質の合成が進み、記憶力は向上していくのです」

隼人「本当ですか。どんな方法があるのですか」
奈々「隼人君は、覚えることが多いことは実感していますよね。記銘から保持に至る過程では、繰り返しが効果的です。復習すると確実に、長期記憶が増えます。復習するタイミングは、10分から1時間で、口に出して読んだり書いたりすることです。もう一つは、エビングハウスの忘却曲線の下降が6~7割になったころ、再び繰り返します。こうすることで記憶は定着するわけです。これが『言うは易く行うは難し』ですね。記憶を確実に固めるのであれば、1週間に1度復習することです。現実的な方法としては、毎日の授業が終わった休み時間に、音読をして反復します。そして帰ってから家で、読んだり書いたりして授業内容を確認します。そして週末に1週間のまとめの復習をするわけです。」

隼人「授業が終わった後に復習、家に帰って復習、週末の土曜日に復習と、確かにこれだけやれば、覚えることができるかもしれませんね。でも、俺できるかな!」
奈々「全部繰り返して覚えようとすれば、大変ですよね。でも、私たちが『覚えられない』というときは、ほとんどが『思い出せない』場合のことなのです。『想起』の過程が問題になります。『想起』には覚えるための言葉や数字、思い出しやすくする言葉や数字、思い出すきっかけを引き出す言葉や数字を忍び込ませておくことが必要です。記憶する時に、忘れないような身体の部分や数字を準備して置くのです。たとえば、東北六県を覚えようとするする場合、身体部分の忘れない言葉として『頭、目、鼻、口、耳、首』を準備します。次に覚える言葉として『青森、秋田、山形、岩手、宮城、福島』をあげます。『頭にリンゴを乗せた青森の子ども』、『目がきれいな秋田美人は小野小町』という形で覚えていきます。単独で覚えるよりも、連想できる形で覚えた方が、思い出しやすくなります。特に、自分の体験に繋げると、すっと記憶に入り、すっと想起されることが多いようです。1度に覚える量は、短期記憶で覚えれる個数は5~9でしたね」

隼人「記憶には、記銘と保持、そして想起があることがよく分かりました。想起するモノの中に、自分なりに思い出しやすい言葉を入れておくと良いわけですね」
奈々「そういうことです。でも私たち人間は、気まぐれな面があります。気分の良いときは、記憶の仕組みが円滑に働き、記憶力は向上します。悪いとき、隼人君は、授業内容がわかりますか」

隼人「友達とケンカをしたり、ストレスがたまっているときは、勉強に乗り気にはならないです。授業の内容も上の空というかんじかな!」
奈々「ストレスがたまっている状態では、脳の働きも低下し、記憶は忘れやすい状態になっています。反対に、健康で幸せな人間は、記憶力が向上していきます。楽しいということは、快感の状態にあります。勉強が楽しくなれば、集中力が生まれます。短期記憶が長期記憶に移行しやすくなるわけです。快感が得られれば、脳からドーパミンが放出されます。この物質が出てくると、自らを高めたいという欲求が、ますます生じてくることになります。積極的に学習しようと思うときは、予習や新しいものを覚える攻めの勉強が効果的です。蛇足ですが、気分が落ち込んでいるときは、守りの勉強といわれる復習が効果的です。ルーティンで復習を行い、復習をやっているうちに意欲がでてきた時、攻めの予習や新しい分野の学習に取り組むことが良いようです」

隼人「最低でも、復習はしなければいけないんですね。気分が乗らないときは、ゲームやテレビで時間を過ごしていたけど、あまり良いことではなかったのかな!」
奈々「はい、授業の修了後、復習を3~5分行う。1日の授業の復習を30分行う。1週間の復習を1時間行う。復習する時間と場所をスケジュールの中に組み込むのです。その時間は、誰が何といおうとやってしまいます。その後で、遊ぶわけです。隼人君のやり方を止めさせる友達は、良い友達ですか。隼人君の記憶を悪くする友達は良い友達でしょうか。友達と自称する人達は、お互いの学習を尊重するはずですよね」

隼人「記憶力というのは、自分個人だけでなく、友達や家族との関係でも良くなったり悪くなったりすることがよく分かりました。今日はありがとうございました」
奈々「どういたしました。また来て下さい」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



人材の確保と育成  その3 BOPビジネスから次のステージへ

2016-07-08 18:27:50 | 日記
人材の確保と育成  その3 BOPビジネスから次のステージへ

 今BOP(Base of the Economic Pyramid)ビジネスが、関心を集めています。BOP層の人々は、一人当たり年間所得3000ドル以下階層で、全世界の人口の40億人を占めます。大部分の人々は、途上国に住んでおり、急速な経済成長の渦中の中にいるのです。つまり、BOP層は、次の新たな購買層として期待されています。現在においても、5兆ドルの購買力を持っています。10~20年後には、大きな市場を形成することになるでしょう。平賀さんと藤堂さんからBOPビジネスを取り巻く将来について語っていただきます。

平賀「BOPビジネスは、極めて小さい単価マージンを、膨大な販売量で補うという収益構造を持っています。軌道に乗れば、景気に左右されず、安定した収益を上げることができます。ネスレやコカコーラなどは、アフリカの市場の末端まで届く流通網を構築し、その利益を享受しています」
藤堂「日本企業では、味の素がナイジェリアで広く1袋5円の味の素を販売していますね」

平賀「はい、味の素は日本で最もBOPビジネスに習熟した企業ともいえます。もっとも、味の素の戦略は、BOP層から育つ中間所得層にもターゲットが向けられています。味の素が南アメリカのぺルーで2002年から販売している即席袋めんは、現地で50%以上のシェアを占めるトップブランドです。中間層の増加にともない、即席袋めんよりワンランク上のカップ麺の販売も始めていますよ」
藤堂「味の素といえば、1991年にベトナムで販売を開始しています。伝統食でもある『フォー』など汁物に多く利用されており、現地のうま味調味料市場のトップシェアになっています。学校給食プログラムなどの支援策にも協力していますね。学校という組織に食い込むことは、これからのビジネスチャンスが広がることを意味していますね。ベトナムは教育が、しっかりしている国です。アフリカの国々はどうなのでしょうか」

平賀「アフリカ全体の就学率は、70%程度まで向上しています。読み書きそろばんを教えることが出来れば、BOP層の所得はより向上します。持続可能な経済の発展は、教育と連動しているものなのです。でもアフリカの場合、都会における貧困層の教育に遅れが見られます」
藤堂「やはり働きながら、学習をする仕組みをつくらなければならないのでしょうか。失業が少なくなり、働く人が多くなれば、BOP層は所得を増やし、現在より生活は豊かになります。所得が増え、生活が豊かになれば、より高い教育を求めるという好循環が始まります。日本の定時制教育のような制度を導入し、教育の質を向上させる方法は考えられないでしょうか」

平賀「そうですね、中等教育や高等教育を終了してから働くより、働きながら必要な知識を獲得した方が、アフリカの実情には合っていそうですね。ビジネスの部門で働くためには、識字率が高い人材とそれを生かせる人材が必要になります。産業で求められる人材は、原料の調達、製造、販売までのビジネスサイクルの中で成果を上げる人ということになります。所得を増やしながら、ステップアップしながら教育の質を高めていくことが望ましいでしょう」
藤堂「働く人達は、雇用の内容に見合った知識と教育が必要になるということですね。話はそれますが、今アフリカに帰国する多くの知識人がいると聞いています。現地の人達と帰国エリートの融合は上手くいっているのですか」

平賀「これまでは、優秀なアフリカ人は欧米諸国に職を求めることが多かったのです。ところが自国の経済成長を目の当たりにして、アフリカに戻りつつあります。ナイジェリアでは高学歴の専門職の知識を身につけた人達が、1万人も帰国しています。母国に帰国して、起業する動きが始まっているのです。ところが頭脳部分は良いのですが、問題は頭脳の指示に従って働く技能者の不足です。」
藤堂「日本の高度成長は、頭脳の指示が技能者により円滑に受け入れられ、製品化したという経緯があります。QC活動や『カイゼン』により品質を向上させました。これらを担ったのが、均一の学力を持った技能者達でした。アフリカですぐにこの技能者を準備することは、難しいようですね」

平賀「そうですね。アフリカ系の米国人で、巧みに言葉を操り弁の立つ男子が、集団の中で重要な地位に就きます。アフリカでも尊敬される人達は、多くの具体例を上手に話す人物です。具体例は、昔話の形式で話されます。100以上の昔話を話せる人物は、仲間をまとめる力を持っています。アフリカでは、西欧流の高等教育を受けた人とは別に、現地の習慣や文化の中で優秀と認められた人の存在も重要になります」
藤堂「何となく分かるような気がします。私どもが行っている『世界の子ども達に絵本を届ける運動』があります。アフリカでは、絵本を何度か読んですぐに覚えてしまう子どもがいるようです。これらの子ども達は貧しく、学校にはなかなかいけないというのです。でも能力はあり、リーダーの素質は十分にあるという報告が入っています。これらの子ども達を対象に、技能者を養成する仕組みをつくってみたいと考えています。」

平賀「全体を均一に養成するより、一部の隠れた優秀な人材を養成した方が、今のアフリカでは、成果を上げるかもしれません。BOP層の生活必需品を対象にした販売に従事させると、これらの子どもは力を発揮するかもしれませんね。優秀な人材を確保するには、その国の教育制度の整備を待つより、企業自身が自前で育成したほうが効率的です。ある鉱山開発プロジェクトでは、国の公共的サービスではなく、学校や診療所を自前でつくり、そこで働く優秀な人材もプロジェクト側で雇用しています」
藤堂「プロジェクト側が、労働者の子どもや家族のための学校や診療所を建て、周辺環境を整備しているということですか。そこで優秀な人材も育てていく仕組みもつくっていくことですね」

平賀「はい、アフリカの投資は8割が資源関連です。国の経済を安定させ、雇用を増やすには製造業の育成が欠かせません。製造業を安定的に継続するには、優秀な技能者の存在が不可欠です。さらに食品加工やアパレル産業を誘致できれば、国内と輸出の両方に需要が見込めます。」
藤堂「アフリカにおいて、物流網と電力の整備は、着々進んでいます。後は、そこに従事する技能者の確保と育成だけです。今の時点では、公教育より企業が率先して人材育成していくことが効率的ということですか。最終的には、近代的生産技術工業に適応できる大量の人材の育成を官民一体で成し遂げていくことになりますね。平賀先生、今日はありがとうございました」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



人材の確保と育成 その2 留学生と二人三脚

2016-07-05 19:41:03 | 日記
人材の確保と育成 その2 留学生と二人三脚

 小売業は、パートやアルバイトへの依存度の高い職種になります。コンビニなどでは、人手不足が深刻になっています。日本人だけでなく、外国人の採用を巡って激しい競合が起きているのです。コンビニの業務は、マニュアルがしっかりしており、ある程度の日本語が出来れば、外国人でも対応しやすい仕事です。各店舗は、留学生を対象に、アルバイトの採用を増やそうとしています。人材獲得と育成に詳しい平賀さんに、トット記者がレクチャーを受けました。

記者「都内の多くのコンビニ店で、外国人店員が、流ちょうな日本語を操り、円滑に販売業務をこなす姿を日常的に見れるようになりました。この様子をどう捉えればよいのでしょうか」
平賀「少子高齢化の時代では、必然的な流れです。すぐれた外国人の人材を獲得する仕組みをつくった企業が、優位な地位を確立します。たとえば、ローソンはベトナムの民間の人材教育機関と連携し、研修所を開設しています。日本への留学予定の学生に対して、コンビニ業務を学ぶ研修を行っているのです。受講生には本人の希望を聞きながら、留学先に近いローソンの店舗へのアルバイトを紹介をすることも行っています。また別の大手コンビニチェーンは、全国の専門学校と連携して、留学生にコンビニのバイトについての説明会を開いています。接客を通じて、日本語力の向上につながるため、人気は高いといわれています」

記者「これらの仕組みを活用すれば、職場や学校に慣れるリードタイムは速くなりますね。コンビニ以外の企業は、外国人の人材獲得にどのようなスタンスで望んでいるのですか」
平賀「大学と企業の連携が重視されるようになっています。静岡大学では、アジアの優秀な高校生に授業料免除で留学を要請しています。さらに、卒業後は、外国でも人気のあるヤマハやスズキの就職に有利になることをPRしています。もちろん、地元企業でもあるヤマハやスズキも、留学生のインターンシップに協力しています。地方の大学は、地元企業と協力しながら、留学生を確保し、大学で育てる体制を急ピッチで整えつつあるのです。留学生が、地元で働くことは地元の経済にメリットになります。自国に戻って、地元企業の斡旋役になることも、企業の海外進出にはメリットになります」

記者「留学生は、駅伝のためにだけやってくるのかと思っていました。スポーツだけでなく、経済の仕組みにの中で必要とされていたのですね。ところで、どんな人材が望まれているのですか」
平賀「日本人にも求められることですが、異文化と積極的に交流できる人材です。異文化と交わることに、新たな価値やビジネスモデルを作り出したいという前向きな姿勢を持つ学生ですね。国や地域の特性を理解し、ビジネスの違いに対応できる人材ともいえます。一定の語学力は必要ですが、英語が出来ればビジネスは上手くいくとわけではありません。むしろ、話をシンプルに説明できる論理力が必要です。中東やロシアでは、話があちこちに脱線しながら、人間関係を築いて結論が出てきます。欧米では、論理が首尾一貫していなければ、受け入れてもらえません。異分野を頻繁に動き回ってきた人達は、土地の言葉に鍛えられ、説得力ある人材に育てられてきました。こんな人達を、世界は求めています」

記者「日本の学生は、周りの雰囲気を乱さない行為が美徳とされてきました。自分の意見を抑え、論理的主張は苦手です。日本の学生が、異文化を経験してきた学生と接触すればどうなるか、楽しみですね」
平賀「はい、日本でも先進的高校では、一流大学の留学生を自校に招いて、討論会などをしています。広い世界を知って、自分のこれからの進路を考えていくわけです。日本の高校生や大学生が留学生と切磋琢磨して、成長することが望ましいわけです。日本留学の大きな理由に、日本について知りたいことがあるようです。」

記者「どんなことですか。彼らは、世界について多くを知っているわけでしょう」
平賀「はい、その世界ができなかったことを知りたいようです。日本は、1945年に敗戦となり、国土は焦土と化しました。そこから復興しました。現在は世界で第3位の経済大国になっています。なぜ、無から有が生じたのか、日本に関心のある留学生はこの点を知りたいのです。」

記者「日本中を周り、地方の人々の働く姿や近代の遺跡を見れば、ある程度分かりますよね。もっと知りたいなら、半年とか1年滞在して地域を調べることになりますね。でも、大学生の留学生には、単位の関係で難しいでしょう」
平賀「いや、そうでもないのです。今の大学は、単位の互換性の制度を作っています。必要な単位は、別の学校でも修得可能になっています。日本の特色ある地方と大学を訪れて、地方の有形無形の資源を自分の目で見ることは、彼らの財産になります。オーストラリアの留学生が北海道のニセコに行けば、スノウパウダーの素晴らしい雪原に魅了されます。本州と北海道の海底トンネル工事が、1964年に始まりました。当時から新幹線様式のトンネルとして計画していたということを知れば、日本の技術力と先見性について感嘆することでしょう。そして悲しいことですが、夕張のように栄えていた地域が地盤沈下していった理由も知ることでしょう」

記者「なるほど、日本各地を見ていくことで、日本の実情を把握し、ビジネスチャンスの芽を育んでいくわけですね」
平賀「日本の労働人口の減少をカバーするには、日本人による効率化の追求がまず第一です。次に、外国人労働者の確保があります。高い能力を持った外国人労働者を、確保し養成することになります。短期的には、東京オリンピックを見据えて、増加が見込まれる訪日外国人客に対応できる人材の確保になるでしょう。企業が行っているのは、多言語でアルバイトの情報を発信し、留学生などの外国人アルバイトの採用を強化する対策です。でも、長期的には、対外的に活躍できる人材と、国と国の橋渡しができる人材の育成です。たとえば、インドネシアは、平均年齢29歳の国です。日本は45歳でこれからの消費の拡大は格段に違います。そこに、日本で教育の受けたインドネシアの人材が活躍できれば、日本の企業にとってメリットが生じることは間違いありません」
記者「優秀な人材を留学生の中から育成して、自社の戦力として活用する仕組みが重要になっていることですね。各国の文化や習慣に対応した進出計画が大切になります。そこには、留学生の持つ現地の知識が不可欠になります。もちろん、日本を理解した留学生の支援が必要なことも分かりました。今日はありがとうございました。


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。


コンパクトシティから 健康配当金と人力発電

2016-07-01 21:19:02 | 日記
コンパクトシティから 健康配当金と人力発電

 東北地方の市町村では、自宅から生鮮食品の売っているお店まで500m以上の距離があるところが多いのです。65歳以上の高齢者が500m以上ある店舗に通う割合は、全国平均39%です。でも、東北地方は60%を超えています。いわゆる高齢者の買い物難民の問題が、起きているのです。今後、高齢化のペースが急激に増える世代が、団塊の世代です。この世代が75歳以上になると、2200万人が後期高齢者になります。首都圏の1都3県でも、2025年には175万人まで増えます。買い物難民と医療介護の問題が、でてくることになるでしょう。高齢者の1人当たりの医療費は平均72万円以上です。介護費も年々増えていきます。高齢者先進国の日本には、これからいろいろな問題が生じてきます。日本の高齢者対策について、トット記者が藤堂さんにインタビューしました。

記者「日本の医療費は、40兆円を越えました。介護費用が10兆円といわれますから、医療と介護費の合計で50兆円かかっていることになります。日本の税収が56兆円程度ですので、ほぼ税収の大部分は、医療介護費でなくなることになります。このように考えて良いのでしょうか」
藤堂「少し違います。医療費40兆円の内、患者負担が5兆円、国と地方の負担(いわゆる税金)が15兆円、国民と企業(保険)が20兆円という内訳です。ですから、50兆円の全てが税金というわけではありません。でも、少子高齢化がこのまま進むと、2025年には医療介護費が74兆円に膨らむという数字がでています。」

記者「恐ろしい数字ですね」
藤堂「はい、もう少し困った数字があります。生活保護を受けている方は、医療費が無料です。今後高齢化が進むにつれて、生活保護を受ける方は増えていきます。現在、3兆円が生活保護者の方に配られています。それプラス医療介護費ということになります。日本は憲法で『文化的最低限の生活』を保障しています。以前は、白米と味噌があれば幸せだという時代もありました。でも、生活水準が高く設定されていますので、生活保護費の支給も高くなります。このような高コストの保障制度や医療介護制度を維持していくには、知恵が必要になります」

記者「どんな知恵ですか。あれば素晴らしいことですが」
藤堂「簡単です。支出を減らし、収入を増やせば良いのです。一つの解決策が、コンパクトシティになります。この町の医療費節約について、ご説明します。住民の皆さんは、税金と医療保険を払っています。それを、無駄使いしない仕組みをつくりました。40兆円医療費のうち、入院医療費は15兆円です。入院し治療する人達は、健康に無関心な傾向があります。この無関心層は、全体の70%です。この層の人達は、医療費がかなり高額です。さらに、将来的にも罹患リスクが非常に高い人達になるのです。このリスクの高い人達が、入院しなくなれば良いわけです。全国にあるコンパクトシティの病院は、電子カルテで会員を管理しています。傘下の病院のカルテを会員番号で管理し、これをビックデータ手法で予防医学に利用しているのです。税金や保険は払うけど、病院に来ない患者が増えれば、町は潤います。予防が徹底し手術や入院期間が少なくなれば、入院医療費は減ります。これも、町を潤すことになります」

記者「予防といっても、成功しないダイエットと同じようになりませんか」
藤堂「予防医学を成功させる仕組みがあります。当然、人間ドックや通常の検診は一般の組織よりも詳しく行います。ビックデータから出てくる傾向を分析し、個人個人にあった運動処方や生活のスタイルを提案していきます。さらに、普通の保険給付だけでなく、『健康配当金制度』を設けました。一定の期間、入院治療しない場合には、株式配当と同じように配当が配られるものです」

記者「健康であれば、配当金が出るという仕組みは励みになりますね。でも、ダイエットは自分をほめるだけとか、単なるプレゼントだけでは成功しないとおもうのですが?」
藤堂「確かにそうです。『二本足は二人のお医者さん』といわれるほど、歩いている分には急激な体力低下はないとか、活動量の多い集団は、認知症になる割合が低いとか、これらのことは、大部分の人が知っています。分かってはいるけど、やれないのです。良い習慣をやり続ける最良の方法は、生活の中に組み込むことなのです」

記者「生活にどのように組み込むのですか」
藤堂「食事や睡眠のようにです。人間は労働が8時間と生理的時間が8時間、余暇が8時間という3区分法で生活します。高齢者は、余暇が16時間、睡眠や排便などが8時間になります。囲碁が強くなりたいなら、プロ棋士の棋譜を並べることが基本です。NHKの囲碁対局をビデオで何度も見れば、棋譜並べと同じことになります。見るときは時間を決め、トレーニング用の自転車のペダルをこぎながら見ることがポイントです。自転車の運動は、30分から90分になります。これを毎日やれば、強くもなりますし、健康にもなります。」

記者「確かに好きなことを見ながら、身体を動かしていれば時間はすぐに過ぎてしまいますね。でも、効果はどうなんですか」
藤堂「自転車で30分から90分ですと、歩数にして2000歩から6000歩程度です。これを1年間続けると、一人3~4万円の医療費を削減できるというものです。」

記者「他にどんな効果がありますか」
藤堂「はい、二つあります。一つは最近学会等でいわれてきたことですが、運動をしながら脳を使うと認知症になりにくいという事例が、数多く報告されています。もう一つは、社会参加という面があります。ペダルをこぐと自転車は、電気が発生する仕組みになっています。1時間こぐと電力量は70Whで約2円の電気代を稼ぐことができます。リハビリとスポーツジムを兼ねたトレーニングジムには、10台の自転車が設置されています。1日10時間使い、300日、そして全国の50ジムを合計すると1年で300万円の売電ができたのです。このお金は『世界の子ども達に絵本を届ける運動』に寄付しました。自分のためにだけでなく、社会にも貢献しているという意識は、想像以上に高齢者の士気を高めているようです」

記者「運動と趣味を絡めて行う手法は、面白いですね。いつの間にか、運動も趣味も行っていた点が、新鮮でした。今日はありがとうございました」
藤堂「どういたしまして、また来て下さい」


注意
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