ファンタジアランドのアイデア

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水道事業の赤字を軽減する方法  スモールアイデアNO 289

2019-05-23 04:22:04 | 日記

 「蛇口をひねっても何も出てこないんだもの、びっくりしちゃった」と、3月19日北海道積丹半島にある人口約3千人の古平町の全域で、水道が使えなくなりました。川の取水口と浄水場を結ぶ管が、故障したのです。断水の原因となった浄水場の設備更新は、億単位の費用がかかり、順延を繰り返していたのです。古平町が今の水道網を整備したのは、1970年代でした。水道は、9日後には無事復旧しました。
 水道の漏水や破損は全国で、年間2万件以上になっています。高度経済成長時に、敷設した水道管の老朽化も深刻になっているのです。水道設備の法定耐用年数である40年間を過ぎ、全国の水道インフラの老朽化が加速しています。水道インフラの維持費と修理費用は、増加の一途をたどっています。日本の水道が劣化した背景には、人口の減少にあります。このまま減少が続けば、日本の水道利用量は、2050年には4割近く減るとされています。実際、水道水の利用者が減って料金収入が目減りし、30%以上のの市町村の水道事業が実質的な赤字に陥っています。水道事業を民間へ委託する方式もあるのですが、この方式をとった市町村では、年々料金が上がるという不満が出るケースが出てくるのです。水道先進国のフランスのパリなどでも、民間委託が行われました。でも、水道料金が値上がりして不評を買っているようです。日本の水道事業は、経費を料金収入で賄う独立採算が原則になっています。水道インフラは、鉄道などと異なり住民がいる限り撤退はできない事情があります。
 そこで、水道事業の赤字を少しでも減らす方法を考えてみました。耐用年数が過ぎた設備が、増加しているのです。でも、市町村の予算が足りないために、インフラの更新が思うように更新できないのです。現在の方式を続ける限り、水道事業だけでは、経営を黒字にすることが難しいようです。水道単体の事業では黒字にならないとすれば、複数の事業を組み合わせて黒字にしていく手法が浮かび上がってきます。
大都市では、水道検針員は、1ケ月平均4000世帯の検針をしています。これを電力使用を計測するスマートメーターのように、自動化する動きがあります。KDDIは各家庭の水道メーターに専用の発信器を併設し、検針の無人化の事業を進めています。検針の無人化が実現すれば、検針作業のコスト削減に繋がります。それ以上に、期待されることが個人情報を得ることができる点です。水道使用量の検針の無人化は、自動的に収集したデータを携帯基地局を通して、専用のサーバーに送る仕組みになっています。この無人検針が実現すれば、リフルタイムで水の使用量の把握できるようになります。送られたデータは、1人分の量は少なくとも、何百万人分が集まるとビッグデータになるわけです。膨大なデータを分析することで、今何が起きているのか、今後何が起こるかを予想することが可能になります。集積したデータを分析することで、「トイレ回数が増加しているので、糖尿病が疑わしい」とか、「1日に何度も入浴しているので認知症が疑わしい」などの情報が得られます。ライフラインである水道の利用量から、高齢者の安否を含めた生活リズムを把握することが可能になるわけです。
 さらに、水道管の各所にセンサーを設置して老巧化の度合や漏水箇所を把握できれば、古平町のような悲劇を防げるかもしれません。センサーから集まるデータを分析することで、破損箇所を予測し、漏水の予兆を察知することは技術的に可能になっています。水道管や設備の老巧化、そして故障による漏水も、即座に把握できるメリットも生じます。破損箇所を予測し、その保守に先手を打ちながら、水道事業を停滞させず運営できます。破損した箇所を修理したり、漏水を止めながら作業をするよりも、破損する前に計画的に修理を済ませれば、維持コストは節約できます。その上、水道の利用状況から健康把握ができれば、医療費や介護費の節約になります。水道の利用から得られるビックデータを活用して、健康維持を図るわけです。このデータを上手に活用できれば、市町村の医療費や介護費を減少させることができます。減少した何割かを水道局に払い戻す仕組みができれば、水道の赤字が縮小することになります。これに電気の使用量を組み合わせれば、より詳しい情報を集めることが可能です。スマートメーターの設置と利用は、すでの始まっています。今ある資源を利用して、利益を上げる仕組みを作るわけです。この仕組みを利用して、高齢者の安否を含めた生活リズムを把握し、見守りのシステムを構築し、市町村の予算を節約する仕組みを作ってほしいものです。