ファンタジアランドのアイデア

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デュアルタスクを利用した高齢者介護  アイデア広場 その409

2018-10-19 20:06:28 | 日記

 東北コープ は、脳を鍛えるアプリ「かんたん脳トレ」を東北大学と共同開発しました。このアプリには。脳年齢測定器もついています。多くの人は、自分の脳が実質どの年代に相当するのかを知りたいものです。分かれば、それなりの対処方を考えます。加齢を防ぐ対策も進んでおり、買い物を通じて高齢者の健康を高めている施設も増えています。東北コープの試みは、その延長線上にあるともいえます。このアプリの優れた点は、いくつかあります。数学計算などのゲームを継続して遊ぶと、アプリ内でポイントが加点する仕組みです。さらに、ポイントを一定数を獲得すると、コープで使える割引券をもらえるという点です。
 そこで、加齢を防ぐコープやスーパーの試みについて考えてみました。あるスーパーは、介護や福祉施設と手を組み、専用のショッピングカートで買い物をする仕組みを作りました。閉じこもっているだけでは、広い意味での脳の老化が加速していく現実を介護施設側は憂慮していたのです。要介護者を、スーパーに解き放つわけです。するとスーパーを専用カートで動き回り、自分の欲しいものを手に入れようとする強い意欲が現れたそうです。それまでの施設内の要介護の人達は、リハビリには消極的だったそうです。ところが、専用カートを使った施設内の練習には積極になったのです。専用カートで好きなものを自由に買える楽しさを覚えてしまったのです。より自由に、広範囲に見て選ぶという意欲が、リハビリに取り組む姿勢を向上させていったようです。結果として、体の動きも脳の活力も良い方向に向かったとも言われています。
 東北コープの取り組みは、組合員の高齢化が進む中、加齢の防止や認知症予防につなげるサービスと位置付けられます。アプリを通した優待特典を用意することで、自宅にこもることを防ぎ、外出を促すわけです。コープの店内に入れば、脳を使う場が提供され、体を動かす場も提供されることになります。閉じこもっているだけだと、身体機能も脳の機能も衰えます。コープのアプリは、衰えるという課題克服に貢献するものです。割引券がもえるという特典が、利用者にどのような消費行動を促すのかが分かれば、今後の高齢者対策に寄与するものになるでしょう。「かんたん脳トレ」から派生する行動が分かれば、他の高齢者用のサービスにも応用することができる道が開けるわけです。
 高齢者は買い物をする中で、運動と計算、そして店の空間認知機能を維持することになります。狭い家や施設ではできないことが、スーパーなどでは可能になるわけです。買い物をする中で、『体を動かす』、『頭を使う』、『人とふれあう』という3つのことが同時に行われます。最近、デュアルタスクが、認知症の進行を防止する方法として脚光をあびています。これは、2つのことを同時に行いながら体と脳に負担を適当にかけて能力の維持と向上をめざす方法です。買い物は、2つ以上のことを同時に行っているわけです。高齢者を要介護状態にしないように、ショッピングをリハビリに活用している理由が読み取れます。蛇足ですが、適度な運動とは、どの程度の運動でしょうか。それは、65歳以上ではどんな動きでも良いのですが、身体運動を毎日40分程度をすれば良いとされています。店内を見ながら、40分程度歩き回り、買い物を楽しんでいれば、自然とこの運動量を確保することになります。その中で、買いたい物の計算などを行っていれば、脳の機能も維持されることになります。でも、40分も歩く時間がもったいないという方には、短い時間でも効果のある方法もあります。欲をいえば、1日8千歩程度の運動をしてもらいたいわけです。でも、できない場合は、20分程度を少し強めの運動が推奨されます。この運動の目安は、「何とか会話ができる程度の早歩き」が一つの目安になります。この強度の運動を5分間以上すると、うつ病の発症率は10分の1以下になるという報告もあります。
 余談になりますが、高齢者には仲間の存在が大切です。親しくなくとも良いのです。挨拶する程度の仲間でも良いのです。もしかすると、この程度の仲間が理想かもしれません。最近の進んだ地域では、スーパーと地域が連携する傾向もあるようです。元気になった施設の高齢者が、スーパーの周りのお店を訪れることのできる連携が進んでいるのです。専用カートの成功に続き、近隣の商店街との連携も実現しているのです。施設の高齢者が一人で入れるレストランや喫茶店を、商店街ぐるみで準備しています。施設単位の介護から、地域ぐるみの介護の仕組みができつつあるというわけです。東北コープの 脳を鍛えるアプリが、運動を加味したものに昇華し、続いて、地域との連携が含む内容に広がりを求めていってほしいものです。