ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

企業の利益と社会的課題解決を両立させる仕組み  スモールアイデアNO 204

2018-10-29 20:47:29 | 日記

 イギリスでは、刑務所に入った受刑者が社会復帰して、再び罪をおかした受刑者を収容するお金が1人400万円かかります。蛇足ですが、日本の受刑者にかかる費用は、一人300万円です。これは、生活保護受給者に支援する額よりはるかに高額になります。イギリスの再犯者を1,000名減らすことができれば、政府は40億円の予算を節約できます。イギリスの楽しいところは、この減らす事業を、NPOが引き受けているのです。ある事例では、民間投資家から8億円を調達して、受刑者やその家族、そして地域に社会復帰支援プログラムを実施しています。8年間の支援プログラムで、再犯率が23%も低くするという成果を上げたのです。さらに面白いことは、目標を達成すれば、行政コストの一部を、民間投資家にリターンしているのです。例えば、1,000人受刑者のうち23%が再犯をおこさない場合、40億円の23%が節約されるわけです。9.2億円が節約されたことになります。8億円を集めたNPOは、差し引き1.2億円の利益を出したことになります。投資家に8億円を返して、1.2億円を自分たちの所得にできるわけです。
 近年、投資家によっては、社会的貢献が十分ならば、金銭的リターンが市場平均より低くても良いと考える人が増えています。社会貢献の目標に到達できずに失敗しても、やむを得ないという姿勢です。再犯防止プログラムの事例では、投資家がリスクを背負っています。この事業が失敗しても、行政にはコストは発生しません。成功した場合に限り、予算より少ないお金が支出されるだけなのです。行政の関わる問題は、増加を続けています。ホームレスの問題、失業、家庭崩壊、教育格差、糖尿病予防などの社会問題に、行政は立ち向かわなければなりません。でも、効果的に対応できる方法がないようにも見えます。
 今まで、人々の目には見えていなかったものが、投資のテーマとして見える化されてきています。行政で使うお金で解決するよりも、民間で行った方が割安で、効果のある方法が開発されてきているのです。例えば、人工透析の治療費は、年間一人当たり500万円かかります。2015年、国内で透析療法を受けている患者数は32万人でした。毎年5千人のペースで、増加している現状があります。この32万人の方が、年間1兆6千億円の医療費を使っているわけです。蛇足ですが、人工透析を、利益を上げるビジネスとしてしまう医療機関もあるという現実があります。糖尿病の患者は、1,000万人と言われています。この患者が、最も重くなると、人工透析を利用することになります。糖尿病の予防や治療は、3段階あるとされます。第1段階は、メタボの段階での予防です。この段階で、止めておけば無料でしょう。第2段階は、インスリンと運動の併用による予防になります。この段階の費用は数万円です。最後に、500万円の人工透析の治療になるわけです。患者が糖尿病になる前に、努力する段階はいくつかあります。この段階で、医療機関やスポーツ団体、そしてNPOなどが減らすプログラムを提供する仕組みを認めるのです。例えば、全国チェーンスポーツジムが、運動療法により糖尿病患者の人工透析者数をゼロにした場合、政府はスポーツジムに1兆6千億円を支払うという仕組みにするわけです。国民は健康になり、仕事の生産性を上げます。税金は今まで以上に入ってきます。国民もスポーツジムも、そして政府もウインウインになるという楽しい構図ができるわけです。