ファンタジアランドのアイデア

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米中の貿易戦争の煽りででブラジル産大豆が急騰した   アイデア広場 その404

2018-10-02 16:54:04 | 日記

 米中両国の貿易戦争で、世界の大豆貿易の構図が変わってきました。大豆など米国産穀物が中国の輸入減で余るとの見方が広がり、国際相場が下がりました。中国がブラジル産にシフトし、米国産がだぶつくとの観測が広がったためです。ところが、中国が大豆の代替調達をアメリカ産からブラジル産に切り替えたために急騰しているのです。この急騰に困ったのが、EU諸国です。EU諸国は、ブラジル産を輸入していました。中国との価格競争に巻き込まれる事態に陥ったわけです。ブラジル産が、米国産より割高になってきたのです。中国の大豆輸入は、1億トンを超します。世界の大豆生産が、3.7億トンですからその巨大さが分かります。大豆の需要は、ブラジル産だけでは賄えない現実があります。消息通は、米国産大豆の価格が大幅に下がれば、中国は再び輸入する可能性もあると見ています。いずれ、高い関税を上乗せしてでも米国産も調達せざるを得ない状況になると判断しています。この競争に、日本も巻き込まれ始めました。米国産の大豆は、安く輸入できます。でも、ブラジル産の高騰は、日本で豆腐用に調達する食品会社の収益を圧迫する構図が生まれているのです。
 そこで、大豆の生産地と消費地、そして安定供給と消費について考えてみました。今年の世界における大豆生産は豊作で、前年比10%増になっています。トウモロコシも豊作になっています。米国産の大豆とトウモロコシの価格は、10年ぶりの安値圏にあるのです。米国産大豆の60%が、中国向け輸出になっていました。中国は25%報復関税を、米国産大豆にかけました。アメリカの生産者も中国の消費者も、困っているわけです。アメリカ産輸入大豆では、日本にも苦い経験があります。1973年にアメリカのニクソン大統領が、大豆輸出禁止を宣言しました。アメリカから大豆を輸入していた日本は、大変困りました。そこで、1979年に日本企業はブラジルにセラード開発事業を起こしたわけです。日本の技術援助で、1200万㏊の荒地を大豆とトウモロコシの穀倉地帯に変えました。ブラジルを穀物王国にしたのです。日本は、大豆やトウモロコシの安定供給地をアメリカとブラジルに確保したことになります。世界の食糧生産や消費量の増加を考慮すると、別の地域に、安定供給地を確保したいところです。食料安全保障からの観点からは、できるだけリスクを軽減したいのです。
 第2のセラード開発地の候補は、アフリカと極東ロシアが考えられます。極東ロシアは、温暖化で耕作可能な土地が増えています。アフリカの農業は、肥料が十分に供給されれば、その可能性を持っています。ロシアとの国交正常化の遅れを考慮すると、アフリカから手を付けていった方が良いという感触を持ちます。アフリカの中でも、安定した国であるモザンビークが候補になると見られます。アフリカ東海岸に面したこの国は、ブラジルのセラードとは緯度も同じで、気候も似ているのです。モザンビークは、土地が基本的に国有地です。国家でプロジェクトを行う場合、思い切った土地利用ができる国でもあります。雨量の比較的多いモザンビークを含む東アフリカは、穀物生産に適した土地になっています。
 ここからが、提案になります。セラードを開発したブラジルの技術者達が、モザンビークで農業開発支援を行っています。その理由は、モザンビークとブラジルは、国の言葉が同じポルトガル語なのです。意思疎通が、極めてスムーズに行えます。日本は資金援助に重点を置き、ブラジルの技術者が農地を開発しやすいように支援します。セラードを開発したブラジル人技術者達が、プライドを発揮できるように環境整備をするわけです。大豆やトウモロコシの生産が順調になれば、アフリカ諸国に食糧を輸出する国に発展します。もちろん、一定の大豆やトウモロコシを日本に輸出してもらう契約を忘れてはいけません。日本の農業技術者は、これから不足していきます。食料生産に従事する他国の技術者を育成することに、目配りをする時期に来ているようです。できれば、モザンビークに肥料工場を建設することができれば、大豆やトウモロコシ生産は飛躍的にたかまるでしょう。