<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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宮崎駿の「風の谷のナウシカ」を劇場で見てきた。
これまでビデオやテレビで何度か見ていて初観ではないのだが劇場で見ることになったのは今回が初めて。
で、同じく初めて知ることになったのが映画は音声がモノラルサウンドだったということなのであった。
正直かなりびっくりした。
あの宮崎駿の作品であっても、このころはまだステレオサウンドにするだけの予算がなかったのか、それともモノラルで良いと判断されたのか。
なにかこう、ものすごく物足りない感覚に陥ってしまったのだった。

「風の谷のナウシカ」は私が大学生の時に公開された作品だ。
当時の私は宮崎駿だからといってとりわけ見に行きたい、と思うことはなかった。
というよりも当時の私は日本映画はアニメであろうがドラマであろうが見たい、などと思うことは決してなかった。
「な〜に?日本映画〜〜〜........見たくない。お金、捨てたくない」
という感覚なのであった。
大学ではかの依田義賢先生、宮川一夫先生、森田富士郎先生方の指導を受けていたにも関わらずだ。
いかにアホな学生であったかは理解できよう。
実にワンオブゼム的な学生なのであった。

でも、これには大きな理由がある。

私は高校時代から日本映画を見に行っては連続的に期待を裏切られるということを経験していた。
高校に進学した1978年はSF映画ブームだった。
このブームは前年に米国で大ヒットした「スターウォーズ」に始まる世界的な潮流だったのだが、このブームに乗っかって日本でもSF映画が作られた。
それが最低なのであった。
記憶に残る恐ろしい映画は2本。
現千葉県知事の森田健作が主演していた「惑星大戦争」。
志穂美悦子がウェディングドレスをまとってアクションしていた「宇宙からのメッセージ」。
当時どちらもCMが盛んだったので期待して見に行ったのだが「バカにしてんのか!」と言いたくなるような作品だった。
惑星大戦争はいたるところスターウォーズの焼き直しシーンがありどっちらけ。
宇宙からのメッセージは一箇所だけ見せる特撮があるものの、その他は学芸会。
ほんとにひどいものなのであった。
この年に楽しめた映画は「柳生一族の陰謀」と「赤穂城断絶」ぐらいだった。
その後、日本映画には足を運んだのだが、どれもこれもつまらない。
究極は1983年の「南極物語」。
健さん主演の映画ということで期待して見に行ったにも関わらず、その映画は単なる動物映画を下回る品質の犬の芸オンパレードだった。
もう「犬がそんなことするかい!」というようなシーン満載なのだった。
「なんで高倉健がこんな映画にでるねんな」
と毒ついたのは言うまでもない。

「風の谷のナウシカ」は丁度このころ公開された。
見るわけがないのである。

よってポスターはよく目にしていたにも関わらず見たいということにはならなかった。

この映画を見たのは社会人になってから。
テレビの映画劇場で放送されているのを見て「風の谷のナウシカ」がただものではないことを知ったのであった。

今回コロナウィルス禍による映画館の苦境を救うべく、ジブリやディズニーの過去の作品が緊急リバイバル上映されていて、この中に「風の谷のナウシカ」が含まれていたのだ。
劇場の大画面と立体音響で同作品を楽しめるめったに無いチャンスだと思った。
料金も大人1100円で安いではないか。

ということでいざ劇場へ入って見てみて驚いたのは大画面だが立体音響でなかった、ということだ。
画面もなにやらワイドスクリーンにしては幅が狭い。
テレビを意識したサイズであることを知った。
絵も少々雑な部分があり、
「予算かな」
と思わせるものがあった。
翌々日に「千と千尋の神隠し」を見に行ったので、その差を歴然と体験することにもなった。

それにしても劇場でのリバイバル公開というものは、なにか新しい発見があるものだ。


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