<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地



「旅行社から届いた、アライバルビザ発行の許可書があるんですが。」
「拝見させていただけますか。」

困惑顔のお姉さんは、私が差し出した許可証を一目見て、いっそう深刻な表情になった。
なぜなら、その許可証は私のパスポートナンバーを除いてすべてミャンマー語で書かれていたからだ。

「やっぱり読めませんか?」

関西空港のタイ国際航空のチェックインカウンターに勤務する英語堪能なお姉さんでもミャンマー文字で書かれたミャンマー語は理解できないらしい。

「............。」

お姉さんは書面を見たまま考え込んでしまった。
軽い殺気を感じて振り返ると私の後ろに並んだ客がちょっとイライラしている。
なんとなく嬉しい。

「旅行社から英文の書類も届いているんですが、見ます?」

と私が言うと、

「拝見させていただきます?」

と笑顔を維持したまま、しかし「なんで早よ、それを言わんのかい」という語調でお姉さんは言った。
私が英文の書類を手渡すと、お姉さんは先に手渡したミャンマー語の書類と見比べている。
読めもしないミャンマー語の書類と見比べて果たして分かるのか、理解に苦しむところだが、お姉さんの職責上、目を瞑ってあげるのが得策であろう。

「あの~、コピーをとらせていただいて構いませんか?」

とお姉さんは言った。
私に拒絶する理由がないので「どうぞ」というと、お姉さんはコンベアベルトを大股で渡り、コピーを取りに行った。

「これが関西空港からバンコクまでの搭乗券。」

カウンターに戻ってきたお姉さんは書類を私に返却し、搭乗券を発券してくれた。

「そしてこれがバンコクからヤンゴンです。」
「どうも。」
「ただ、私共もミャンマーのアライバルビザについては把握しておりませんので、入国できるかどうかの保障はいたしかねます。」
「わかりました。」
「そこのところ、ご承知おきください。」

ミャンマーのアライバルビザはまだ一般的ではないので注意してください、という旅行社のコメントは本当であった。

つづく



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