<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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映画「ハッピーフライト」を見ての最初の感想は、「よくもまあANAが自分の会社を舞台にすることを許したな」ということだった。

お調子者の副機長。
しっかりしているようで、芯があるのかないのかわからない機長。
運動会系の整備責任者。
工具を簡単に忘れるヒラの整備士。
高校生みたいな客室乗務員。
客を小ばかにしたようなグランドホステス。
などなど

「もう、ANAには乗りたくない」
と思った観客は予想以上に多いのではないかと思ってしまうくらいドタバタな映画だったのだ。

尤もこれの映画の舞台設定をJALでやったりなんかすると洒落にならない。
「御巣鷹山を忘れたか」
と吼え出す人たちが必ずいて、笑うに笑えない状態が出現するだろうし、かといって架空の名前の航空会社だと、ただでさえ作り話的ドラマが、よりいっそう作り話になってしまってシラケていたに違いない。

ともかく、2本連続でなかなか楽しいヒット作を飛ばしていた矢口監督も、かなりお疲れの模様ではある今回の作品なのであった。

「ハッピーフライト」の物足りなさはなんといっても人物を描ききれていないというひと言に尽きる。
もちろんドタバタコメディであるのだから、そんなに奥深く人物を描かなくても良いといえばそれまでだ。
しかし、航空機映画の基本は潜水艦映画と同じで人物描写がしっかりしていないと見るに堪えないものになってしまう。
個々の個性が濃くても、その背景にあるものが弱いと奥行きの無いつまらないドラマになってしまう。
この「ハッピーフライト」の平坦さは「ヒコーキマニア」や「飛行機の飛び方」「写し方」など細かな点にこだわりすぎて、肝心のドラマを忘れてしまっていたのだろう。

こっちとしては見ている途中から内田幹樹の「査察機長」を思い出し、アメリカ製ドタバタ映画のカルト的作品「フライング・ハイ」を思い出し、当然のことながら「大空港」や「ダイハード2」も思い出したのは言うまでもない。
でも、どこをとってもこれら一連の飛行機関係の映画や小説には及ぶものではなかった。

それに羽田空港は羽田空港でロケーションをすべし。
羽田空港の中に入ると、いきなり関空の出発ロビーだったので私はビックリしたのだった。

ということで、矢口監督にはゆうっくりとご休息をいただいて(20年くらい)、次回作で名誉を挽回してもらいたいと思うのであった。

~「ハッピーフライト」2008年作 東宝映画配給~

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
こんなん、ありまっせ (船長@ヒコーキ好き)
2008-12-15 19:01:38
初めまして、船長です(爆)

どうも「ハッピーフライト」はイマイチだったようですな。
CMを見ても、ANAを舞台にしたドタバタ、という印象しか残っていません=いずれCSで見ればいいや。

それよりも、公開記念番組の方が見応えあるかも。
http://www.fujitv.co.jp/cs/program/7214_076l.html

昨夜、最終回を見ましたが、グランドスタッフを丁寧に紹介していました。トーイングカーの同乗ルポとか空港消防隊の実機を使った訓練とか、普段は見られない映像満載。
確かフジテレビ739で17日17:00から再放送されます。
ぜひ、録画予約を!
 
 
 
いらっしゃいませ (監督@とりがら管理人)
2008-12-17 06:24:34
ブログ移転開始後、初のご訪問。
ありがとうございます(笑)

船長さん指摘の記念番組は知ってまっせ。
AppleのPodCastで配信されておりすでにダウンロードしてます。

それとです。
うちはフジテレビ739は見れまへん。録画しといてください。

 
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