<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地



子供の頃から科学雑誌が大好きだ。
小学生の頃は学研の「科学」と「学習」のうち「科学」を買ってもらっては付録を大いに楽しんだものだった。
まったくもってグリコのおまけと同じで中身よりも付録が楽しみな雑誌であったわけだが、そういう体験は私の年代では誰もが持っている思い出でもあるだろう。

中学生になると天体に興味を持つようになった。
きっかけは岡山にある父の実家に行って夜中に空を眺めると大阪では見ることのできない素晴らしい星空があることに気がついた時と、関西テレビで深夜に放送されていたスタートレックこと「宇宙大作戦」にハマった時期が重なったことだ。
そこでたまたま岡山県総社市にあった書店で月刊「天文ガイド」なる雑誌を立ち読みした瞬間にビビビと感じるものがあり、天文学の世界に魅了されてしまったというわけだ。
岡山は日本でも有数の星空の美しいところで国内最大の天体望遠鏡を持つ東京大学の天文台も設置されているくらいだ。

当時、天文の雑誌は今も発刊されている「天文ガイド」と今はなき「天体と気象」という2つがあってどちらも高校を卒業するまで購読していた。

高校生になると「宇宙大作戦」にハマっていたこともあって異星人やUFOなどの「トンデモ科学」にも興味を持ち始め、先に挙げた硬派な2誌以外にも「UFOと宇宙」という雑誌を購読し始めた。
ちなみに私が雑誌投稿をして初めて採用されたのがこの「UFOと宇宙」で、テーマは「UFOの飛行原理」なのであった。
確か、
「UFOは惑星間で影響しあっている重力を利用して恒星間飛行している」
という、明らかにスタートレックの「ワープ航法」に影響を受けたような理論を述べて採用された記事なのであった。
なお、公の出版物に初めて自分の名前が登場したのはニッポン放送で放送されていた「欽ちゃんのドンといってみよう!」で欽ドン!賞を頂いた小話が掲載された集英社の「欽ドン!part4」というペーパーバックだったが、これは余談。

大学生になると「宇宙」よりも「映画」に夢中になってしまい、天文からは離れることになるのだが、この年に創刊された雑誌が科学雑誌「ニュートン」であった。
東京大学教授で日本沈没の元ネタのプレート理論を提唱し、太い黒縁の眼鏡を少し傾けて掛けている姿が印象的な竹内均先生が編集長ということで大いに注目した雑誌なのであった。
そして期待は裏切られることがなかった。

豊富な写真。
綺麗なイラスト。
専門的すぎないわかりやすい解説の数々。

天文だけではなく生物や化学、地学にいたるまで、すべての科学分野を網羅するその紙面は、硬派な「日経サイエンス」や、当時は全く知らなかった「ナショナルジオグラフィック」にも勝るとも劣らない内容で、すっかり魅了された私は定期購読者になったのであった。
天文から映画に興味は移行したが私は基本的に科学が大好きだったのだ。

その雑誌「ニュートン」が今、廃刊の危機に瀕している。
その原因は元出版者社長が詐欺罪で逮捕され、詐欺で集めていた資金がこの雑誌に投入されていたことが判明したからである。
ニュートンを出版していた出版社は昨日民事再生法を申請した。
事実上倒産。

メディアでは「ニュートンの発行継続に全力を注ぐ」と伝えられているが、どうなることか分からない。

会社はともかく数々の素晴らしい記事を掲載し続け、毎年ノーベル賞受賞者を輩出するほどの科学立国日本になったことに少しは献身したはずの雑誌「ニュートン」。
今後もどこかの出版社が発行を続けることを期待してやまない。
一人の科学ファンからの希望なのである。

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