<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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「天空の城ラピュタ」や「火垂るの墓」など、ジブリの作品も含めて数多くのアニメーションの背景画やコンセプトデッサンを手がけている山本二三の展覧会を訪れてきた。
神戸に買い物に出かけてLLビーンに寄った後、神戸市博物館の前を通りがかったら偶然に開催されていたのであった。
しかも、偶然にも本日が最終日で、このブログを見て「おお、ジブリ関係の展覧会じゃないか」と思って出かけても、もう明日からは開催していない展覧会なのであった。

ジブリの作品と言うか、日本アニメーションの作品は作画が美しいのが特長で、毎回それが一つの魅力になっている。
多くの人は宮崎駿自身がその美しい絵を描いているように錯覚しているのだが、実際はそうではない。
多くの優秀なスタッフが一コマ一コマ丁寧に仕上げている。
宮崎駿は監督なので、そのスタッフたちを束ねて統率しているのだ。
山本二三もその優秀なスタッフの一人で、この人が描き上げる数々の絵は、多くのジブリファンを魅了している。

先述の「天空の城ラピュタ」はもちろんNHKTVシリーズの「未来少年コナン」、大阪民放の「じゃりン子チエ」、アカデミー賞作品の「千と千尋の神隠し」などなど、数々の作品を手がけている。

実際に展示会で公開されていた作品は「火垂るの墓」の背景画を中心に、その他実際の映画の製作に使用された「映画用絵画作品」なのであった。

殆どの作品が映画の縦横比に合わされた水彩画だった。
横30cmくらいで縦20cmくらい。
光と影の表現が素晴らしく、知っている映画作品であれば、どのシーンに使われたものであるのか容易に判断することのできるものを中心に展示されていた。
とりわけ「もののけ姫」に使われた村の背景画や、風景はリアリティが強く印象的であった。
また、闇の表現や草木の描写は驚くものがあった。
これらは自分で何か絵を描きたいと思う場合、その筆致を学ぶことでかできる優秀なお手本作品でもあったのだ。
尤も、芸大での私はここ十年以上自分で絵を描くことはほとんどない。
企画書などに添付する絵が必要な場合は絵筆を使うと面倒くさいので、いつもコンピューターにCGを描かせてしまっている。
正直、芸大卒業の企画マンではなく、手抜きマンと言われても仕方がない技量ではあるのだ。

ただ、こんに素晴らしい映画用の背景やコンセプトの絵であっても、絵画として見た場合はかなり物足りなさを感じることも、これまた実感なのであった。

これは随分と以前になるが、京都国立博物館で「スターウォーズ展」が開催された時に、実際の映画のマットペイントを見たときにも感じたものと同じ感覚であった。
つまりどういうことかというと、フィルムに撮影されたものをスクリーンに投影してみるのと、実際に絵画作品と同じようにして見るのとでは大きな違いがあることであった。
リアルに描かれているアニメ用の絵は、なんとなく物足りない。
何かが欠けてしまっているように思えてならなかった。

きっとこれは絵画は人の心のフィルターを通して鑑賞するように描かれている。
ところがマットペイントやアニメーションの絵はレンズを通して鑑賞するようにできているという違いがあり、この違いはかなり重要なんじゃないかと思えたのだ。
また、アニメーションの絵は、それだけでは完結しているものではなく、セル画やその他のエフェクトと組み合わせなければ作品としては、何か物足りないものになってしまうものだとも、思えたのであった。
なお、展覧会そのものは素晴らしく、会場はごった返していた。

雑踏の嫌いな私は祭りもUSJも苦手なのだが、このような有名でポップな展示会は、かなり苦手なのであった。



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