<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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私の地元大阪で最もお気に入りの美術館が天保山サントリーミュージアム。
ちなみに都内で最もお気に入りの美術館は恵比寿の都立写真美術館。

天保山サントリーミュージアムが2010年12月26日に閉館されるというニュースが発表されて4ヶ月。
初めて聞いた時はあまりのショックで今後飲むウイスキーはニッカにしようと心に決めたぐらいだった。
ところが残念なことにニッカウヰスキーの銘柄がひとつも頭の中に浮かんでこず、結果的にウイスキーは未だ国産の場合オールドを飲んでいる。
ニッカの人はもうちょっと広報に努めるように。

経済紙の報道によるとミュージアムの閉館はサントリーがキリンと経営統合されるための布石なのだそうだ。
が、東京にあるサントリー美術館は閉館されず、サントリー本社のある大阪のサントリーミュージアムが閉鎖されるのは明らかに首都圏偏重ではないかと思われ、地元愛に溢れた私の悔しさも少なくない。
先週新聞などで伝えられたように新会社はキリンの比率の方が多い。しかし最大の株主がサントリーの経営一族。
まるでピクサーを買収したディズニーなのに、その大株主はスティーブ・ジョブスという構図みたいなのだ。
なのであるから、もっとしっかりと地元の文化施設を保護していただきたいと思うのだ。

ところで、大阪市は今、未着工の大阪市立近代美術館の助成金をめぐって国から「金返せ」のプレッシャーを受けている。
計画した通りの建設と開館をしなければ罰金をとるというのだ。
もしかするとサントリーミュージアムの行方は、創業家によるサントリーミュージアムの大阪への寄付で終わるのではないか、と楽観主義者の私は予想している。

ちなみに大阪の主たる文化施設は企業の寄付によって作られたものがすくなくない。
例えば大阪市立美術館の建つ天王寺公園は住友家の旧宅跡。
大阪市立東洋陶磁美術館は倒産した安宅産業から住友が受け継いだ文化財を住友が大阪市に寄贈したことで開設された施設であるわけだし、大阪府立中之島図書館も住友家の寄贈で、さらに現鉄筋コンクリート作りの大阪城も2割が大阪市民、8割が住友家からの寄贈による文化施設なのだ。

住友家ばかりが目立つのは仕方がないとしても、大震災で被害を受ける以前は天下りゼロだった阪神高速道路公団や、8つの橋を除くとすべて民間で管理をしていた江戸期大阪の道路インフラなどを考えていくと、大阪は民間企業が作る街、という遺伝子を持っているということもできるわけだ。

サントリーミュージアムは大阪の世界的建築家・安藤忠雄による設計。
故佐治敬三会長の指揮で作られたという、そういう意味でも文化財。

ともかく世界的大阪企業サントリーによるミュージアムの行方とその後の利用法が大いに気になるところなのだ。


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