<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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前回5年前のベトナムへの旅ではタイ国際航空を利用した。
バンコク経由でホーチミンシティことサイゴンへ飛んだのだ。
当時、関西空港からサイゴンまではすでに直行便が飛んでおり、なにもわざわざタイ国際航空を選ぶ必要はなかった。
しかし私は帰りにバンコクに寄り道ができるタイ国際航空を選んだのだった。
もちろんバンコクに寄り道をするからといっていかがわしいフーゾク店巡りをするためではない。
チャトチャックのウィークエンドマーケットで買い物をしたり、タイ東急百貨店と棟続きになっているマーブンクロンショッピングセンターでお気に入りのタイポップスのCDを買ったりしようかと考えてのことだった。
そしてなによりもスターアライアンスメンバーであるタイ国際航空を利用することにより全日空のマイレージポイントを貯めようという思惑が最も大きかったのは言うまでもない。
なんていっても国際線のマイレージポイントは魅力的だ。

バンコクのドンムアン国際空港を経由したフライトは少しばかり時間のかかることを除いたら、いたって快適なものだった。
でもそれは一人旅だったから可能な旅だったのかも分からない。
今回は家族連れ。
さすがに嫁さんや娘を連れて観光客で賑わう巨大ショッピングモールのようなスワンナプーム国際空港の中をウロウロするのはかなり疲れる。
それに、
「タイを経由したらなんにもならへんやん。空港閉鎖されたら同じやん」
という嫁さんの指摘も考慮しなければならなかった。
確かにバンコクの空港が市民の政治的デモンストレーションで閉鎖されたらかなわないという理由でタイ旅行を回避しベトナムを選んだのにバンコク経由だったらなんにもならない。
だから今回の旅は関空からサイゴンへの直行便、つまりベトナム航空を利用することになったのであった。

初めてのエアラインを利用する時はいつも緊張が伴う。
「大丈夫なのか、その会社」
という緊張感だ。
とりわけアジアのチープなエアラインを利用することの多い私は搭乗数日前からいい知れぬ不安感とと緊張感が増してくることが少なくない。
機種は古いし、万一事故に遭遇するようなことがあっても家族に残る保証金は驚くほど少ない。
ベトナム航空にしても同じだった。
5年前、IMFから最貧国というお世辞にも名誉とは言えないレッテルが剥がされたばかりの発展途上国だったベトナムのエアラインはまさにそういう類いの不安感を私に与えていた。
だから東南アジアの先進国であるタイのフラッグキャリアを利用したという側面もあった。
またベトナムはアメリカと国交が回復して日が浅く、ベトナム航空の飛行機は私が不安視するエアバス社かベトナム戦争時代からの支援国家ソ連改めロシアのイリューシン社が設計製造している機種が主流だった。
エアバスは「あの」フランス人が設計している飛行機だし、イリューシンに至っては「あの」ロシア人が設計している飛行機である。
とりわけ後者は飛んでいること自体不思議な存在だ。
「落っこちたり、着陸に失敗したらどうするんだ。」
という不安にさいなまれていたことは言うまでもない。

ということで、あれから5年。

関空からの直行便を利用することになった私はとりあえずベトナム航空がどんな機種を使って飛ばしているのか。
インターネットで調べてみた。
すると成田便と関空便では随分と扱いが異なり差がつけられていることを発見したのである。
つまり、成田とホーチミンを結ぶ便はB777であり、関空とホーチミンを結ぶ便はA330なのであった。

ご存知の人も多いだろうがボーイングB777は航空史上最も安全な旅客機で就航以来十余年、深刻な人身事故を発生させたことがほとんどない。
一方エアバスA330はといえば私たちがベトナムへ飛び立つ僅か一月前、ブラジルを飛び立ってフランスのパリに向う途中、大西洋上で謎の消息を絶ったエールフランス機と同じ機種なのであった。
ともかく南シナ海の藻くずとなって消え去ることのないように祈るばかりであった。
もちろん心配性の嫁さんにはA330という飛行機がどのような飛行機であるのかは内緒にしておくことにした。

つづく

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