<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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5年ほど前。
神戸市内のとある化学薬品メーカーさんから、

「3年前に購入した実験台の引出しが全部落ちてしまっているんです。他社製ですけど修理できるかどうか見てもらえますか?」

との問い合わせが販売店から入ってきた。
修理できるかどうか不明だが、なぜ購入したメーカーではなくて別の会社、つまり私の会社にコンタクトがあったのか大いに謎なのであった。
で、JR神戸線の某駅にほど近いその化学薬品メーカーさんの研究施設に行ってみると、なるほど引出しという引出しが全部壊れて落ちている。
引出しのレールが木ビス1本でしか止まっていないのだ。
引出しに物を入れるとその重みで抜けてしまい、引き出しごとドカッとキャビネットの中で落ちているというのが、状況なのであった。

「買ったメーカーに言わなかったんですが?」
「言っても来ないんですよ。営業も修理も。」
「安かったんですか?」
「価格で決めてしまいましてね?」

外見が新品同様なのに、引出しだけが下にガタガタ落ちていたのだ。
で、メーカー名を見ていると筑波に本社を置く、業界ではちょっと有名な企業なのであった。

「あ、やっぱり」

という感じだ。
仮にこの会社の名前をファーイースト技研と呼ぶことにしよう。

同じファーイースト技研が設置した神奈川県下の大手製薬会社の研究所。
仮にこの会社の名前を信玄製薬と呼ぶとする。
信玄製薬は新研究所を設置するにさいして研究設備を逆オークションで購入。
安い所に発注する仕組みだ。
で、数社が競争して信じられない安価で受注したのがファーイースト技研。
納品したらスチールパネルはベコベコだし、カタカタ音は鳴るしで、こちらも大クレーム。
しかし、営業担当者もメンテナンスも一旦納品してお金をもらったら絶対来ない。
ある意味肝の座ったメーカーなのだ。

実はファーイースト技研はこんなこと当たり前のメーカーで、あちらこちらで同様のアコギを繰り返している。
先の信玄製薬も大阪にある研究所で数年前に同様の憂き目にあい、出入り禁止にしていたメーカーなのだが、大手企業の悲しさで数年経てば担当者も変わり、以前のキズは忘れ去られてしまっていた、というわけだ。

このファーイースト技研が先週、大阪南港にある国際展示施設で大きな展示会を開催した。
理科学系の展示会に合わせて、自社だけのパビリオンを形成した、というところだ。
同業他社はお断り。
さすがにユーザーは被害者が多いのか、招待客は1ヶ月かけて集めた販売店さん中心。
大きな会場には入り口に大きなレストランが有り、来場客にはフルコース並みの食事を提供。
周囲にはバイオ、ケミカル、動物飼育施設などの実機が並び中央には茨城の板金屋で作ったのか、新製品が並んでいた。
説明員は社員ではなく、メーカー派遣の社員たち。
こうなると家電量販店とあまり変わらないのが滑稽だ。

さらに同時開催のセミナーがすごく、各界の有名人を4人招いて特別講習。
私が行った最終日は著名な建築家、仮に名前をボクサー忠雄とすると、そのボクサーさんが講演を披露。
まさか自分を呼んだこのメーカーがインチキ納品で有名な企業と調べもしなかったのであろう。

ちなみにこのメーカー。
数年前には東京有楽町の某国際会議場で同じようなパフォーマンスをやったそうな。

STAP時代の理科学メーカー。
インチキメーカーの派手なパフォーマンスに騙されるユーザーや販売店はどれほどいるのか。
「入札から締め出してやりたい」
と言った某国立大学の先生の言葉がすべてを表していると言えるだろう。

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