<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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「新しい資本主義」を掲げて首相になった岸田さん。
ロシアのウクライナ侵攻のどさぐさで、意味もわからず説明も不十分だった「新しい資本主義」が有耶無耶になっている。
もしかするとホッとしていたりして、

「国民が忘れてくれたらいいのにね」

と思っているところかもしれない。
が、新しいもクソッタレも関係ない時代が100年ほど逆戻りして「武力で現状変更が当然」というところが隣国に出てきてしまった。
こういう時は発想力と行動力がリーダーに求められるのだが、果たしてなんでもかんでも「皆さんにお聞きして」の評論家では期待できそうになさそうだ。

正直「誰がこんなヤツ、首相に選んだんだ?」と言いたい人は多いことと思う。

この「こんなヤツ」が率いる愚策の一つにガソリン助成金がある。
石油元売りに税金から支出した金で援助してガソリンの小売価格を下げようというアイデアだ。
この政策を耳にしたとき、最初に頭に浮かんだのは、
「石油元売が着服する」
と、
「誰か石油元売りからリベート取っとるに違いない」
という考えだった。
どちらも証拠がないのでなんとも言えないが、思ったほど安くないガソリン価格を考えるとあながち間違いではないのかもしれないと思うこともある。

そもそもガソリンを下げたところで喜ぶ法人はタクシー会社かバイク便といったところ。
物流を担うトラック輸送、JR貨物、ヒコーキ、船舶はガソリンを使わない。
それに温室を多用する農業でもガソリンは使わない。
だからガソリン助成金は物価に反映されないし、法人はガソリン価格をも上回る軽油や航空機燃料に頭を悩ますことになる。

燃料高騰で助成金なら、どうし燃料を使用する法人に対して使った軽油など燃料の量に応じて控除をするようにしないのか。
きっと法人は大歓迎するし、運賃をできるだけ据え置くことにもつながるので物価上昇を食い止める一つの要素にもなる。

「そんなこと言って、ガソリンが高くなったら通勤や買い物、旅行に困るじゃないか」

と言う人も出てくるだろう。

でもガソリンが高くなると人々は自家用車や社用車とは違う交通手段を選ぶようになる。
日本は世界に秀でたる公共交通網が整った国だ。
とりわけ首都圏、関西圏はおおよそ鉄道が通っている。
それも「1時間に1本」というようなローカル線ではなく「10分に1本」だとか忙しいのになると「2分ごとに1本」というようなエレベーター顔負けの密度で走っている鉄道がある。
その鉄道駅を起点にしたバス網も助成金を受けながらもほぼ整っており臨海工業地帯の海際とか、限界村落といった超不便なところを除きたどり着くことが可能だ。
コロナが始まってから公共交通網は利用者が激減して運賃収入で困っているところでもある。
ガソリン車を利用せず、公共交通利用者が増えることはインフラ経営にメリットがある。

またどうしても自動車に乗りたい人は燃費を追い求めるだろう。
高いガソリンを購入するくらいならEVやハイブリッド、高効率内燃機関の新車を買い求める。
畢竟、普及しているようでしていないEVの普及。
ハイブリッドや高効率内燃機関により燃料消費量が激減して地球温暖化ガス排出削減にもつながるというもの。

こういう「一つ政策をとったらいくつにも広がる」という方法をなぜ、あの人とそのスタッフは思いつかないのだろう。
5000円配りたい、などと言っている場合ではないのである。

「新しい資本主義」を唱える人は「わらしべ長者」をまずは知るべきだ。


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