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1993年に製作された日本映画「僕らはみんな生きている」は真田広之主演のコメディなのであった。
詳細は正直忘れてしまった感があるが、「面白かった」ことだけは覚えている。
劇場で見ずにビデオで鑑賞すると、かなりの割合で印象がこのようになってしまう。
やはり映画は劇場で見なければならない、な、吉田くん。

この映画、コメディなのだが、妙にリアリティが溢れていたこともなんとなく記憶に残っている。
というのも、当時は確かソビエト連邦が崩壊したばかりで世界中政治情勢が少しばかり混沌としていて、とりわけ東ヨーロッパで革命に近い社会変化が発生していた。
おまけに東西冷戦が集結すると、国際パワーバランスも崩壊し、東西対立よりもキリスト教対イスラム教の図式が鮮明になり始め、イラクのクウェート侵攻に続く湾岸戦争が展開されたりしたのであった。

湾岸戦争では日本人を含む外国人がフセイン政権に体の良い人質に取られ、アントニオ猪木などの説得によりやがて救出されるにおよんだのであったが、当時の日本政府はアホの限りを尽くしており、邦人救出に自衛隊はおろか日本航空さえ派遣することが出来ない体たらくであった。
日本人の多くは自力で、或いは米国や英国など同盟国の力を借りてトルコやシリアに脱出。
海外の自己防衛も完全なDo it yourselfというホームセンター状態なのであった。

だからといってはなんだが、
「そんな国で住んでたら、また旅行で滞在していたらどうなるんだろ?」
という疑問を日本人なら誰もが持ち始めたのも当然なのであった。

で、この映画はかなりタイミングの良い映画であった。
凡そはコメディなのだが、実をいうとシチュエーションはあまり笑えないコメディで
「アジアの某国でクーデターが発生し、そこに駐在していた日本人商社マンやメーカー社員がいかにして、そこを脱出したのか」
というのが面白おかしく描かれていたのだ。

翻って現在。
なんでこの映画を話題にするのかというと、アルジェリアのプラントを襲って17人もの日本人を含む50以上の外国人が人質として拉致されるという事件が発生し、世界中を驚かせているからなのであった。
報道からの情報はまだまだ混沌としていて、どうやら日本人の中にもお亡くなりになってしまった人もいるようだ。
恐ろしいというか、なんというか。
海外駐在のリスクを一気に見せられたようなトンデモ事件なのである。

もし、年末に総選挙が実施されずに民主党政権のままだったら、もっとひどいことになっていたかもしれない。
もしかすると日揮の社員さんたちを救出するために費用も、
「なんで一番に救出しなければならないんですか。二番じゃだめなんですか」
と言われたり、
「戦争反対!危険な地域に行くことはできません」
と理解不可能なスローガンで見殺し優先政策を取られていたかもわからない。
幸いにも安部総理は大切な東南アジア歴訪も中止し、帰国。
事態の把握に向けて陣頭指揮にたっているようだ。
ただ、たっているからといってどうしようもないのが現実化もしれないが、救出費用を予算切りしそうな民主党に比べるとはるかにマシと言えるだろう。

ということで、海外で活躍する日本人は数百万人。
いつ、どこで、だれが、同じ状況に立たされるかわからないので、国はしっかりとやっていただきたいと思いつつ、映画を思い出したのであった。

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