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南海電車の急行につり革を持って乗車していてふと見上げると、電車の屋根の下にその電車の製造年を示す小さなプレートが貼られていた。

「昭和39年製造」

おおお!45年前に製造された電車やんけ。

最近引っ越して通勤に南海本線を利用することが多くなった。
南海電車といえばJR以外の現存する私鉄では日本最古の鉄道会社。
創業百数十年。
だからといってはなんだが半世紀近くも前に製造された車両が今も現役で走っているのは大手私鉄としてはいかがなものか。

そういえば南海電車の乗り心地は平行して走っているJR阪和線と比べるとかなりグレードダウンだ。

かつてJRが国鉄だった頃。
私は両親と共に国鉄阪和線沿線に住んでいて、ちょっとお買い物というと阪和線の快速電車で天王寺へ出かけることが少なくなかった。
当時、国鉄阪和線を走る電車はそれはそれはバラエティに富んでいて、
「どこから探してきたんだ、そんな車両」
というような、恐ろしく古いピンク色した木造ボディの電車が『わ~~~ん、わ~~~~ん』モーターの音をたてて走っていた。
他の男の子と同様、鉄道少年だった私は車両の連結部に貼られていた製造年月日をチェックしたところ、

「日本国有鉄道(旧漢字で書かれていた)昭和7年製造」

と書かれていた。
おおおお!お母ちゃんと同い年やん。
太平洋戦争をくぐり抜けてきていた車両なのであった。

この時、昭和二十年代、と思ったあなたは甘い。
この時、昭和五十年代なのであった。
もちろん乗り心地が良い筈はなく、
「ああ、クッションの効いた南海電車のほうがええわ」
と子供心に南海電車の奇麗な車両が羨ましかった。

あれから幾年月。
事態は一変。
民営化されたJRは溢れる資金で新型車両を次々に導入。
とりわけ阪和線は関西空港開港と同時に最新型の車両が快速として導入され、南海電車との立場が逆転した。

そもそも電車の寿命というのはどれくらいなのか。
自動車なら45年も同じ車に乗り続ける人はほとんどいない。

ともかくペンキを塗ってごまかさずに乗り心地の良い新しい車両を買ってくれませんかね、南海さん。

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