<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地



恵比寿にある東京都立美術館に「東方へ」という、古い時代の旅写真を集めた展開会を観賞しに出かけた。
ホームページで見かけた鎌倉の大仏に大勢の古人が乗っかった写真に好奇心をかき立てられていたのだった。

恵比寿駅で下車して出張疲れの重い身体を引きずりながら恵比寿ガーデンプレイスを目指した。

大阪人である私は本来イラチ(関西弁でせっかちの意味)なのでムービングウォークは阪急梅田であろうが、地下鉄心斎橋駅であろうが、JR京葉線東京駅であろうが、関空であろうが、小走りに通っていくのが普通である。
ところがこの日は疲れが尋常ではない一方、夕方には大阪に帰らばければならなかったので無理をして出てきたということもあり、駅から続く長いムービングウォークでは手すりによっかかり、ボーと立ち止まっていたのであった。

「邪魔だよ」
と言われているのではないかという感覚で、他の人がぐんぐん私を押しのけて先へ進んでいった。
こういうところも、大阪人の私なので本来なら「なんいすんじゃい!」となるところなのであったが、疲れていたので、
「もうどうでもええわ。キョンキョンみたいに美味しそうにビールでも飲みたい」
なんて具合に、沿道に張られたサッポロビールのポスターを眺めていたのであった。

そんな「疲れた雰囲気」をぶちのめしたのは「東方へ」という展覧会ではなく、
「プレスカメラマンストーリー」
という戦前戦後の報道写真を扱った展覧会なのであった。
なぜ、ぶちのめされたかって?
それは、東京は築地に、大阪は肥後橋にそれぞれ東京と大阪に本社を持つA新聞が意外にも、普通にまともな、つまり正当な写真を展示しているからなのであった。



プレスカメラマンストーリーという展示会ポスターを見て報道写真の大好きな私は当然「お、これは見んとあかんやんけ」と思った。
ところが次の瞬間「でも、どうでもええわ」となってしまったのであった。
その理由は、この展覧会の主催が「A新聞」だからであった。

A新聞といえば、言わずもがなの嘘つき新聞。
文化人を名乗る執筆者や教養あると自負する階層の人たちを読者に持つと言われているので、一見すると素晴らしい新聞のように騙されてしまう人が多いのでだが、近年はサンゴ礁の落書き「KY事件」や、「煙幕を毒ガス」捏造事件、そんでもって似たような頭を持った国営放送とやり合った政治家圧力創作事件などなど、大スポや東スポでも乗せない記事が満載の新聞社だ。
したがって、プレスカメラマンストーリーなどといっても、どんな写真が飾られているのやら思いやられる。
もしかすると、そのフロアだけ「東京都立南京大虐殺博物館」になっているかも知れず、見ると不愉快になるだけのギャラリーではないかと思ったのだ。

そんな私を見に行かせることにしたのは、
「3つセットになったお得な観賞券がありますが」
とのチケットカウンターで勧められたからであった。
たかだか、100円だけ得するチケットなのであったが、せっかく東京まで来ているのだから見ても良いか、という気持ちになったのであった。
カウンターのオネエサン、サンキュー!
ただし、美術館のスタッフがみんなみんなマスクをしているのには違和感を覚えた。
先月、インフルエンザで大騒ぎした大阪からやってきた私への当てつけに見えなくもないが、まさか、そんなことはあり得まい。
もしかすると、ビョーキに感染することを防いでいるのではなくスタッフ達がビョーキを持っているので来場者に迷惑をかけないようにマスクをしているのではないかと思うことにした。

で、ギャラリーは驚きの連続であった。
この「驚き」のため疲れが吹き飛んだぐらいであった。

まず、戦中のレポートではきっちりと日本軍の味方をしているのだ。
今や、「国のために」なんて考え方はみじんもないA新聞の体質を鑑みると、まったくの別会社の感があった。
とりわけ上海の外国人(日本のエリア)租界への中国人が入ってくることを許し、しかも日本兵に倫理を促す掲示がされているところなど、先の大戦中の「日本兵は残虐だ」というA新聞の一貫した人民日報的要素がまったくなく、驚くばかりなのだ。
掲示には帝国軍人として恥ずかしくないよう、敬礼はきっちりと、中国人市民をいたわり、日本国ここにありという気概を示すよう記されていて、感動さえ覚えるのだ。

しかし、これは罠かも知れない。
A新聞のことだから、きっと「こういう掲示をしなければ残虐なる日本兵はあらゆる残酷な行為を実行したのだ」と示したいのではないか、とちょっと疑ったあと、もっとビックリするような写真が展示されていた。
それは、
南京に進駐してくる日本軍の写真で、ホンモノの笑顔でそれを歓迎する南京市民の姿が写っているのだ。
街の様子を撮影した写真も数多い。
日本兵目当てに風呂屋を営む中国人。
商売に精を出す中国人。

山賊のような毛沢東率いる中国共産党や、腐敗と傲慢が服を着てヤクザの親分を実践している蒋介石の国民党のような連中といるくらいなら外国軍の日本軍と一緒にいた方がよっぽど安全かつ自由であったことが窺えるものばかりだった。
大虐殺を裏付けるものは何一つ無い。
A新聞の写真とは思えない、ストレートな内容なのであった。

一瞬、夢ではないかと思ったぐらいだった。

ということ、残念ながら今日で展覧会は終了。
A新聞の違った側面を発見できる、良い機会であった。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )