追記 2024-05-30 09:15:46
TMDは効くんじゃないですかね。
TMDは、渦励振やガスト応答など風よる振動の低減目的で用いられることが多く、地震による揺れの抑制には不向きでした。
地震動は一般的に継続時間が短く、TMDが作動する前に収まってしまうので、効き目が悪いのです。
でも、3.11の時の揺れのように、共振状態にあって3分も4分も揺れる場合は効くはずですよ。
つぎの動画は多段振り子式TMDの動作確認試験です。
記 2024-01-14 08:40:50
WTCビルは南海トラフ地震が起きるとおそらく倒壊します。
なぜ、倒壊するか?
理由は二つあります。
(1)地盤の卓越周期と建物の固有周期が合っているからです。
(2)大阪平野の地盤の特性上、表面波が長時間継続し減衰しないからです。
2011年東北地方太平洋沖地震の際にWTCビルの近くで得られた波をみてみましょう。
■ 観測点
KiK-net此花(OSKH02)
■ 震度
計測震度= 3.19 震度3
たかだか震度3ですよ。
揺れの大きさは全然たいしたことない。
■ 地表面加速度
240秒までしかデータが採れていない
大阪平野では240秒は不十分
■ 変位応答スペクトル
スペクトルが尖ってますね。
なんだか嫌な感じです。
卓越周期は6.5秒。
これに当たったらOUTです。
■ シミュレーション
1次の固有周期が6.5秒程度になるように適当なモデルを作ってシミュレーションしてみましょう。
仮想モデルの固有振動特性はこんな感じです。
3次までの固有振動モードを使って応答解析を行いました。
減衰定数はh=1.0%、入力波はNS波を使いました。
こうなりました。
最上階の変位応答です。
うわっ、1783mm
地表面の震度は3なのに最上階では2m近く揺れるんだ
なにもしなかったら、WTCビルは南海トラフ地震に耐えられませんよ。
ほぼ間違いなく倒壊します。
なにか耐震対策してるのかなと調べてみると、制震ダンパーを取り付けていました。
でも、どれだけ効くかねぇ。
制震ダンパーで2%の付加減衰が期待できるとして、h=3.0%で計算したらこうなりました。
計算上は効くけれど、実際はたぶん効かないと思います。
■ 大阪平野の揺れの特徴
大阪平野は北に六甲と北摂、東に生駒・金剛、南に和泉、と壁のような山地に取り囲まれていて、
これらの壁で表面波が反射を繰り返すのでなかなか減衰しないのです。
大阪平野の地下構造
長周期の波が長時間継続するのが大阪平野の揺れの特徴です。
さらに、人工地盤なので堆積層が厚いことも長周期の波が作られる原因になります。
また、これも重要ですが、規模の大きい地震は規模の小さい地震に比べ長周期の波を多く含むのです。
港湾の施設の技術上の基準・同解説(上巻)平成19年7月pp.332-333、につぎのように書かれています。
つまり、地震の規模が大きくなるにつれて、とりわけ長周期成分が大きくなることがわかる。
地震動の長周期成分の影響を受けやすい長周期構造物(高層建築物や長大橋梁、石油タンク、免震構造物等)
を検討の対象とする場合は、特にマグニチュードの大きな地震に注意する必要がある。
大阪平野の人工島にWTCビルを作ってしまったのがそもそもの間違いなのですが、でも作ってしまったので
いまさら悔やんでも手遅れです。南海トラフ地震が起きないよう祈るしかありません。
■ 東北地方太平洋沖地震 WTC osaka、社内は地震パニック!!
ミズノクリスタ(地上31階147m高)が窓の外にみえるので、揺れている部屋は中間層なのでしょう。
最上階では、片振幅1.3mの揺れが5分以上続くので、最上階にいた人は生きた心地がしなかったはずです。
書庫が滑っていましたね。それをみると周期は5秒~6秒ですかね。中間層なので2次3次も交じっているかもしれません。