■ 中国の高層ビルで“ナゾの揺れ” 原因は「避雷針」(2021年9月10日)
避雷針は関係ありません。
原因は建物の背後にできるカルマン渦による渦励振です。
高さ350mの建物なら風が吹いたら揺れるに決まってるじゃないですか。
TMDを設置すればよいのですが、固有周期が長いので中々難しいですよ。
横浜のMM21ビルには振り子を折り畳んだ多段振り子式TMDが設置されています。
■ “波打つ”巨大つり橋 3日間も続き全面通行止めに(20/05/07)
この鉛直振動も渦励振です。
渦励振から曲げねじれフラッターに遷移する可能性があるので早く止めなければいけません。
タコマナロウズ橋は曲げねじれフラッターが起きて落橋しました。
タコマ事故以来、吊り橋の断面はできるだけ流線形になるように設計されています。
長大吊り橋は渦を発生させちゃダメなんです。
中国は先端技術はすごいけれど、古典的な技術は大雑把なんですね。
追記 2022.10.04
剛性には鉛直成分と捩じれ成分の連成項は無いのですが、非定常空気力に連成項が生じます。
つまり、鉛直方向に振動すると非定常空気力によって捩じれ振動が励起されるので渦励振は危険なのです。