平ねぎ数理工学研究所ブログ

意志は固く頭は柔らかく

素人歌詠みの短歌考

2008-02-01 08:29:18 | 短歌・詩
石川啄木の短歌は三行にわけて書かれています。

山の子の
山を思ふがごとくにも
かなしき時は君を思へり

なんとも甘い歌ですが、たとえばこんなぐあいです。
では次の歌は、どのようにわけるべきでしょう?

「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢっと手を見る」

ほとんどの人は、このようにわけるのではないでしょうか。

はたらけどはたらけど
猶わが生活楽にならざり
ぢっと手を見る

結論を言うとこれは誤りで、正解はこうです。

はたらけど
はたらけど猶わが生活楽にならざり
ぢっと手を見る

前者は、「苦しい苦しい」しか伝わってきません。
生活苦がにじみ出ていて嫌になります。
なんだか貧しさが伝染しそうです。

後者は、「はたらけど」でいったん止めて、
一呼吸おいて、「はたらけど」と続けています。
この一瞬の間がゆとりです。
生活は貧しいけれど、心は豊かです。