地底人の独り言

いつまでもみずみずしい感性を持ち続けて生きたいと願いつつ、日々の思いや暮らしを綴っていきます

閉架措置

2013年08月18日 | ひとりごと

『はだしのゲン』松江市教委が閉架措置、その背景に「歴史認識」があるのが怖い

 今朝の朝日新聞で報道しているが、「漫画家の故中沢啓治さんが自らの被爆体験を基に描いた漫画『はだしのゲン』について、松江市教委が市内の全小中学校に対し、「描写が過激」として児童生徒に貸し出さないよう要請」しているとのことだ。

 それを受けて、松江市内の小中学校49校のうち39校がゲンを全巻保有しているが、全校で子どもたちが自由に見ることのできない閉架の状態になっているそうだ。出版元の汐文社によると、「学校現場におけるこうした措置は聞いたことがない」そうだ。

 この松江市教委の措置の背景には、「ありもしない日本軍の蛮行が描かれており、子どもたちに間違った歴史認識を植えつける」として、小中学校から『はだしのゲン』の撤去を求める陳情がある。その陳情はそのものは不採択となっているが、複数から「教育委員会の判断で適切な処置をすべき」との意見が出て、それを受けて市教委が協議し、教師の許可なく自由に閲覧できない「閉架」を決めたとのことだ。

 こうした「魔女狩り」が横行し、それを受けて「自主判断として『従う』」。まさにいつか来た道だ。今回の松江市教委の「閉架措置」の表向きの理由は「描写が過激」だが、その実「歴史認識を植えつける」という議員の声に屈服したものと指摘せざるを得ない。それが怖い、何も読めない、何も言えない、そんな時代が間違いなく近づこうとしている。軍靴の足音も聞こえている。今回の松江市教委の決断は、そのことを告げている。

 私は今年、『はだしのゲン』の作者である中沢啓治さんを追悼する意味で、映画「はだしのゲン」(第一部)の上映会を開催した。今回の松江市教委の動きに代表される「危険な動き」に対抗する意味でも、映画「はだしのゲン」の上映を進めなければと思う。そして同時に、今後も読書の自由、人間の精神活動の自由などを大切にして、生きていきたいと考える。

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