goo blog サービス終了のお知らせ 

tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

笑顔がこぼれて

2008-03-28 22:50:23 | 日記

前にも書いたが、入院患者のうち8割を占めるのが腰痛を訴える患者達だ。彼らは手術を受けるのだが、入院期間は10日から14日と比較的、短期間だ。だから、顔見知りになって挨拶を交わすようになったと思ったらすぐに退院となってしまい、親しく話をする機会があまりない。
それでも、ぼくの入院と同じ時期だった腰痛の年配の男性は、食堂で一緒に食事をするうちに親しくなった一人だった。
この病院の食事は、給食センターから人数分の食事を満載した手押しワゴンが到着すると、ナースセンターから
「食事の用意ができました。歩ける患者さんは食堂へ。病室で食べられる患者さんはテーブルを片付けてください」
とのアナウンスが入る。
手術するまでは、足首に錘をぶら下げてベッドに縛り付けられて身動きできなかったぼくは、ベッドで食事をするしかなかった。だが、手術が終わって縛り付けられていたベッドから解放されるや、ぼくは食事は食堂に出向いて備え付けのテレビを見ながら食べていた。入院患者で食堂に来て食事をするのは、いつも3~4名程度で少数派だ。ほとんどの入院患者はベッドに食事を運んでもらって食べていた。彼は痛む腰をさすりながらいつも食堂へやって来ていた。
彼と一緒に食堂で食事をするうちに、お互いにいろんな話をするようになった。
彼は会社をすでに定年退職していたのだが、以前はガラス製造の会社に勤めていたらしい。ガラスの製造工程や、船積みの仕方などいろいろなことを彼は教えてくれた。聞けば家はぼくの家と同じ地区でさほど遠くはない。子供は2人。孫もいるらしい。
彼の腰椎の手術の日に、たまたま食堂で本を読んでいたら、手術に立ち会った彼の家族が食堂へやってきた。彼の奥さんがとても心配そうにしていたので、「大丈夫ですよ」なんて適当に元気づけてあげたのだが、それ以来、奥さんは彼を見舞うたびにぼくのベッドにも挨拶に来てくれていた。
特注のコルセットができるまで動けなかった彼だが、手術後、2日ぐらいで歩行器を使って歩けるようになり、また食堂で顔をあわせることができるようになった。腰をひねるのは禁じられていたものの、そのうちに、コルセットを巻いてスイスイ歩けるようになり、手術後1週間で退院。家族が付き添う中、病室で挨拶をして退院していったが、一家には笑顔がこぼれていた。彼の退院していく様子を見ていて、ぼくも幸せ一杯の気持ちを覚えていた。やはり、人は健康が一番なのだ。

ところで、腰痛。古代人の遺骨などを見ても、椎間板はかなりの割合で変性しているらしい。人類はその昔からずっと腰痛に悩まされていたようだ。ただ、人間は二足歩行を始めたことで腰痛持ちになったという説には根拠はない。椎間板の変性やヘルニアは、20歳を過ぎれば誰にでも見られるのだが、すべての人が腰痛を訴えているわけではない。現代人の病気としての腰痛や肩こりは、ひょっとしたらストレス社会での心の問題が大きくかかわっているような気がするのだがどうなのだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする