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tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

救急病院

2008-03-10 12:07:40 | 日記

運び込まれた病院は、県でも昔から有名な整形外科がある病院だという。その病院へ向かう途中、携帯電話で受付に電話して、氏名、症状などを連絡し、救急の手配を依頼した。Yさんの言うところによれば、いきなり自家用車で病院に駆けつけても、電話で連絡をしていなければ、すぐには見てもらえないらしい。前にメンバーが怪我した時に付き添った彼女の経験からのアドバイスだった。山道で揺れる車の中で痛みに耐えながら、病院の電話番号をネットで調べて連絡する。だが、携帯電話で病院に連絡するには電波の繋がる見通しの良い区間に車を停めて話さざるを得ない。この病院への移動中は、ある種のショック状態になっていたのかもしれない。怪我の痛みから一刻も早く解放されたいと思う気持ちと、ややもすれば気を失って楽になってしまいたいという誘惑とで僕の心は揺れていた。

山道を何とか降りて30分程度で病院に到着し、すぐさま受付に。痛みに耐えてがんばって携帯で連絡したことが功を奏して、どうやらすんなりと応急処置をしてもらえそうだ。車椅子に座って整形外科の受付で待っていると、ほどなくして名前を呼ばれて怪我した部位のX線写真の撮影。診察台の上で「足首を上に」とか、「こうやってぐいっと横に」などと撮影技師から言われるが痛くてできない。若い方の技師が僕のつま先をそっと動かす。その瞬間、激痛が走り僕はうめいてしまった。「そりゃ無理だよ」もう一人の年上の技師がつぶやく。どうにか、何枚かのX線写真の撮影は終了。
もとの受付でしばらく待っていると20歳台後半と思われる若き女医が現れ、診察室に移動して診察を開始した。診察は簡単だった。怪我をした状況を聞かれたような気がするが、実は女医さんの顔もはっきり覚えていない。やはり、気が動転して放心状態だったのだろう。診察室から僕だけが外に出され、部屋の中には僕に付き添ってくれたYさんが残される。なぜ僕に診察結果を直接言わないのだろうと不安になっていたら、Yさんが診察室から出てきて「骨折」という診断結果と「即入院」の必要性を告げた。
しばらく待っていると、再び診察室に呼ばれ、さっきの女医さんから入院の意思確認があった。どうやら先ほど僕に直接診察結果を言わなかったのは、Yさんを僕の身内の人だと勘違いしたらしい。さて、入院すれば退院できるまでに2~3ヶ月かかるに違いない。整形外科の分野では評判の良い病院と聞くが、なにせ自宅から遠すぎた。そのうえ、会社を休まざるを得ないのだが、そのための諸連絡をするにも、自宅に帰って連絡先を調べる必要がある。また、松葉杖で退院することになるのだろうが、病院から自宅までタクシーで帰るとなると気の遠くなるようなタクシー代が必要になるかもしれない。
一方、病院側として年末に整形外科の受け入れを縮小した事情もあるらしい。受け入れのベッド数が不足していることから、できれば地元の病院に入院してほしいとのことだった。

そんな事情もあって、僕は自宅へ帰って明日、地元の病院に入院することに決めた。時計を見ると午後5時。ひょっとしたらクラブには東京へ帰るメンバーが残っていて、その車に便乗して自宅付近まで送ってもらえるかもしれない。僕は診察をしてくれた女医さんに、地元の病院に入院することを告げた。女医さんはうなずくと、僕の足の応急処置を始めた。といってもできることはあんまりなく、足の形に添った当て木を当てて患部を湿布することだけだった。医療材料の進歩は目覚しいものがある。おそらく、水硬化性のレジン(ゲル状瞬間接着剤みたいなもの?)をサンドイッチにした厚みのある帯を適当な長さに切り、水で湿らせた後に足の裏からふくらはぎに沿わせて密着させる。骨折した箇所を湿布薬で上から覆うと全体を包帯でぐるぐる巻きにしてできあがり。足の裏側に密着するレジンは発熱をはじめ、急速に足の形状そっくりそのままに硬化した。
つま先の部分、はみだした繊維状の硬化した樹脂があちこちに引っかかりそうで怖いのだが、そうしている内にあっという間に応急処置は終了。
<夜中に患部がはれあがって足先がしびれるようなら、救急車を呼んででも病院に行くように>と念をおされる。僕が現在一人暮らし中ということを聞きつけたYさんが、今夜を一人で過ごすことをすごく心配してくれた。だが、僕はなんとなく自宅の方がゆっくりできそうな気がしていた。

コメント
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