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tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

東京ウェーデルン(3)

2007-02-25 21:25:15 | プチ放浪 山道編
秋葉原はぼくらの世代では、中古あるいはパソコンのパーツを買うスポットというイメージがあったが、現在は新しいオフィスビルが建つIT産業の拠点となりつつある。つまり、雑多なゴミゴミした街から“新ビル”に見ることができるような近未来的な街に変貌を遂げつつある。もう数年もすれば、フィギュアやプラモデル等のオタクアイテムをチェックするために秋葉原に通っているオタクたちが、「あー昔アキバってあんなだったよね。懐かしいよね」なんて言うようになるにちがいない。最近の都会の変化は急速で、目を見張るものがある。うかうかしていると時代の変化に取り残されそうだった。そうしているうちにバスが到着。バスに乗り込み、いよいよ出発だ。スキーのハイシーズンでしかも3連休の前夜ということもあり、バスの座席は満席だった。若者のグループに混ざって、子供を連れた家族連れが何組か乗ってきた。大きなラゲージを抱え派手なスキーウエアに身を包んだ乗客たちの中に混ざって、セーターとスラックスにモスグリーンのアウタージャケットを着込んで、手にはディパック一つだけの身軽な格好のぼくは、まわりの雰囲気から完全に浮いていた。自分でも場違いな所に来てしまったような感じを覚える。他の乗客も、ぼくのことをスキー客ではなく帰省客とでも思っているのかもしれない。
定刻の午後10時30分、バスはターミナルを出発した。練馬インターから関越道(藤岡)を経由して国道18号で途中休憩を挟みながら長野まで。バスはそこから明早朝、長野県志賀高原のスキー場に到着する予定である。ぼくは久しぶりに学生時代に戻ったように心が弾んだ。ここまでくれば、仕事を完全に忘れて、日常生活から切り離される。明日から雪原の銀世界を滑りまくると思うだけで心が躍った。日頃のストレスも、いやな人間関係も、日常性の枠の中で行動していることから発している。銀世界は、こうした日常性から完全に切り離してくれる。たとえそれが一時の錯覚であったとしても、心が限りなく自由になれる。乗り合わせたの乗客たちは、賑やかに談笑してすでに心ここにあらずといった感じだ。その中に混ざって、ぼくを含めたヒトリスト(単独のスキーヤーたち)は明日に備えて早くも眠り始めている。バスは光があふれる電飾の街アキバを後にした。
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