モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

アネモネ・シルベストリスの花

2009-04-10 07:49:14 | その他のハーブ
(写真)アネモネ・シルベストリスの花


アネモネといえば真っ赤な花を思い出すが、
アネモネ・シルベストリスは純白で、昨年は一輪しか咲かなかったが、今年はつぼみを含めて3個も咲きそうだ。

5枚の純白の花びらに見えるが、これは花びらを保護する萼(がく)が大きくなったものでフクジュソウにも似ている。
このアネモネは、風に揺れる姿が美しく、風の花wind flowerとは良く名付けたものだ。この手弱女ぶりが興をそそり様々な物語を創ったのだろう。
本当に楚々とした美人系だな~と感心する。

適した環境は、冷涼な森林の樹の下なので、夏場には風通しのよい半日陰に移動させたほうがよい。そして、開花後に切り戻しをすると秋にもまた開花する。手を入れるとそれに答えてくれる花でもある。


アネモネの伝説
アネモネは、ヨーロッパ南部から地中海沿岸東部・シベリアまでのユーラシア大陸温帯に150種ほど自生する原種があり、日本にも12種ほど原種があるという。イチリンソウ、アズマイチゲ、エゾイチゲ、ニリンソウ、サンリンソウ、シュウメイギクなどである。シュウメイギクは、キク科の仲間ではなく、英名がジャパニーズ・アネモネ(Japanese anemone)というようにアネモネの仲間なのだ。

中近東・ヨーロッパに原生するアネモネにはいくつかの神話・伝説があり、いづれも悲しい恋の物語となっている。
その中でもっとも知られているのが、ギリシャ神話の愛の女神アフロディテ(ローマ神話ではヴィーナス)が美少年アドニスを一目見て恋するようになり、猟好きのアドニスがイノシシにさされて殺された。この血がアネモネになったとも、アフロディテの流した涙がアネモネになったとも言われる。

アネモネの花言葉は、“はかない恋”“背信の恋”といわれ、フクジュソウのアイヌ神話にも似た物語がある。
洋の東西を問わず、神話は人間の想いが創ったところがあり、非恋であるほど心を震わせ教訓としても語り継がれるのだろう。
フクジュソウの学名はAdonis amurensis であり、属名アドニス(Adonis)は美少年アドニスから来ている。

アドニスが流した血が、真っ赤なアネモネを作ったといわれているが、もう一つの史実は、十字軍により真っ赤なアネモネがヨーロッパにもたらされたという。
第二回の十字軍(1147年~1148年)は失敗に終わり、兵士・戦死者を連れ帰る船にエルサレムの土をピサに持ち返ったが、この土から真っ赤な花が咲き“キリストの血”と呼ばれるようになり、ヨーロッパの修道院に広まったという。

ディオスコリデスのアネモネ
アネモネは、紀元前からある植物で、ディオスコリデスの薬物誌にも記載されている薬草で、アネモネの根の絞り汁を鼻孔に注入すると頭を浄化するというが実践しない方がよい。
ディオスコリデスの薬物誌に描かれたアネモネは、実によく描かれている。
植物画の父といわれるクラテウアス(Krateuas 紀元前132-63年)の絵はすごい。紀元前1世紀頃に描かれた絵とは思えないほどの今でも通じる写実性がある。

(写真)アネモネの葉と花
       

アネモネ・シルベストリス(Anemone sylvestris)
・キンポウゲ科アネモネ属の耐寒性がある多年性の球根。
・学名は、Anemone sylvestris L.。流通名アネモネ・シルベストリス。属名のアネモネはギリシャ語で風を意味するanemosから来ている。
・英名はwind flower。風に揺れる花をあらわしているとか、タンポポ同様に風により種が運ばれるところからついたといわれる。
・原産地は、北ヨーロッパからシベリアの森林の乾いた樹の下。
・耐寒性は強いが耐暑性が弱いので夏場は風通しの良い半日陰で管理。
・草丈30cm程度ですらっとした茎の先に美しい白い花が咲く。この白いのは花びらではなく花弁を保護する萼(がく)です。
・開花期は春(4~6月)から秋で、開花後に切り戻せば何回か咲きます。
・高温多湿に弱いので夏場は通風のよい涼しい場所で管理する。
・球根を株わけで殖やす。
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