モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

宿根姫ヒマワリ と ひまわりへのオモヒデ

2008-05-31 07:29:54 | その他のハーブ
(写真)宿根姫ヒマワリの横顔


ヒマワリへの思い
オランダ生まれのヴィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh 1853-1890)

彼は、「ひまわり」を好んで描いた時期があり、生涯で7枚描いた。
現存するものは6点で、そのうちの1点が日本にある。
バブル絶頂の1987年に当時の安田火災海上(現損保ジャパン)が58億円で購入した。

これが高いか安いかは別にして、
ひまわりに執着して描いたゴッホのヒマワリ観は、
現在の我々が感じるイメージでもあるが、
それ以上に明るい未来・理想・情熱などの思いを象徴するものであったようだ。

ヨーロッパにはない、アメリカ大陸原産のヒマワリを
マドリードの植物園に持ってきたのは、コロンブス後のスペイン人であり、
育ての親となったのは、
スペインの医師・植物学者ニコラス・モナルデス(Nicholas Monardez 1493-1588)だった。

モナルデスは、1571年に出版した『新世界の薬草誌』で、
タバコは20以上の病気を治し空腹や渇きを軽減するとタバコ擁護論を展開し、
タバコの普及に弾みをつけたことで著名だが、
マドリードの植物園でヒマワリを栽培したのもモナルデスだった。

だが、ヒマワリがスペインから国外に持ち出されるのに100年近くもかかり、
17世紀になって、フランス、ロシアに伝わったという。

そしてその200年後には、南仏アルルでゴッホが「ひまわり」を描くことになる。

日本には、江戸時代の元禄期に中国から入り、太陽を追って動くので「日廻り」という名が広まったようだ。

「ゴッホのひまわり」7点のうち1点が現存しないが、
これは、大正時代の1920年に白樺派美術館設立のために
芦屋の実業家山本顧彌太が購入したが、太平洋戦争の空襲で消失したようだ。

ゴッホが描いてから30年後のことであり、
「ゴッホのひまわり」に託したい、白樺派の武者小路実篤の見果てぬ夢があったのだろう。
その夢も戦争とともに消えてしまったようだ。


ヒマワリは、2mにならんとする大きく迫力がある1年草だが
これと対照的な、
30cmと小柄で、葉が美しい、多年草の、ささやかなヒマワリのようなものが咲いた。

八重咲きであり不揃い感があるので注意深く見ると、
花弁が3枚づつまとまり、何かのサインをするように広がっている。

(写真)宿根姫ヒマワリの花


宿根姫ヒマワリ
・キク科ヘリオプシス(和名キクイモモドキ)属の耐寒性がある多年草。
・学名は、Heliopsis scabra Dunal。別名はヘリオプシス、和名はキクイモモドキ、別名が宿根姫ヒマワリ。
・原産地は北アメリカの西部。
・草丈50~100㎝で5~9月の夏咲き。
・5cm程度のイエローオレンジ色の花が咲く。一重と八重があるがこれは八重咲き。
・葉は長楕円形で濃緑色、ザラザラしているのが特色。ザラザラしていない葉の場合は別種のヒマワリモドキ(Heliopsis helianthoides)
・耐寒性・耐暑性とも強く、日光と排水のよい土で育てる。
・わが国へは明治時代の中頃に渡来したようだ。

(写真)姫ヒマワリの立ち姿


(補)学名の由来
宿根姫ヒマワリの学名は、Asteraceae Heliopsis scabra Dunalであり
命名者Dunalは、フランスの植物学者Dunal, Michel Félix (1789-1856)だ。

彼は、ヨーロッパ最古の医学部で有名なモンペリエ大学の植物学教授であり、
トマト、ジャガイモなどの新大陸アメリカの産物が所属するナス科での著名な研究業績があり、
これらの功績を評し、ナス科の一つの属に彼の名前つけた“Dunalia”属が出来た。

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美しいディープ・ブルー・バイオレットの花 サルビア・ウリカ(Salvia urica)

2008-05-30 07:55:26 | セージ&サルビア
肌寒い曇り空だがその中で2cmぐらいの大き目のブルーの花が一気に咲いていた。

(写真)  deep blue-violetの花


ディープ・ブルー・バイオレットともいえる深い青紫のすばらしい花が咲いた。
この花を見ていると、暑さもしのげそうだが、
真夏には長期休暇をとるしっかりモノでもある。

“いい仕事をするには、休まなければならない!”
ということを訓えてくれているのだろう。
ウリカの花が咲かなくなったら夏休み。これがメッセージであり
忙しいビジネスマンにお奨めしたい植物でもある。
そうあなたです!!

(写真)上から見てみました


サルビアウリカの歴史
メキシコ、グアテマラ、ホンジュラスの暖かく湿った山腹で自生し、
美しいディープ・ブルー・バイオレットの花を咲かせていたが、
この美しさに気づき歴史(欧米の)に登場してきたのはつい最近で、
新種として命名・登録したのがEpling, Carl Clawson (1894-1968)だった。

彼は、この時代のアメリカ大陸でのサルビア属の権威でもあったが、
美しい青紫の花を咲かせるサルビア・ムエレリの命名者でもあった。

彼にこのようなチャンスが残されていたのは、
薬草などの有用植物は、秘匿されていたにしてもコロンブス以降積極的に調査・採集されたが
中南米での有用でない美しいだけの花に関心が向いたのが20世紀だった。
ということを意味しているのだろう。

日本にいつ入ってきたか定かではないが、現時点でもポピュラーではないようだ。
審美眼は人によって異なるが、育てるのがさほど難しくはなく
深いブルーの美しい花は、
休むことの大切さを気づかせ、こころのケアーに有用なのだが・・・


サルビア・ウリカの栽培
耐寒性が弱い宿根草だが、-3℃まで耐えられるようなので、
花が終わった12月頃に切り戻し腐葉土などでマルチングをしておくとよい。
積雪にも耐えてきているので根を守れば庭でも栽培が出来る。

夏場は、暑い陽射しを避ける半日陰が望ましく、
乾燥させないように水遣りに注意する。
3年目には結構な大株になるので、一回り大きい鉢にかえるか新しい株を作っておく。

昨年秋にわき枝をカットし、さし芽で4本作っておいたが
これが順調に生育し、この株に見事な花が咲いた。
屋根の下でのさし芽でも越冬できたので、結構丈夫な植物のようだ。

ちなみに
親元のウリカは、今春に全滅してしまった。
危機一髪で子孫を残したことになる。
全滅した原因は、根づまりをおこし過剰な水分で弱ってしまったためであり、
教訓として、大好きな花木は、10月頃にさし芽をつくっておくことを学んだ。

(写真)さし芽で育てたウリカの花穂と葉


サルビア・ウリカ(Salvia urica)
・シソ科アキギリ属の耐寒性がない多年草。
・学名は、Salvia urica Epling。英名はブルーブッシュセージ(Blue Bush Sage)。
・原産地は、メキシコ、グアテマラ、ホンジュラスの暖かく湿った山腹で自生。
・草丈は50cmぐらいで株張りが50cmと旺盛。
・耐寒性が弱いので強い霜に当てないようにする。
・日あたり、水はけの良い肥沃な土で、あまり乾燥させないように育てる。
・夏場は風通しの良い半日陰でそだてる。
・開花期は初夏と秋で、5月末~6月、9月~10月で夏場は休む。
・10~20cmぐらい育ったところで、摘心(1~2回)を行い枝を増やす。
・株が古くなると弱くなるので、3年目ごとにさし芽で増やす。

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スイートマジョラム(Sweet marjoram)の葉と花

2008-05-29 08:13:29 | その他のハーブ

(写真)スイートマジョラムの花


スイートマジョラムは、小潅木であり40cm程度に育ったが
今はヒョロッとした弱々しい枝であり、
この枝の先に
“こぶ”のような“結び目”のような白緑色の丸いつぼみがついた。

“結び目”の様から“knotted marjoram”という英名がついているが、
この結び目に、ほころびが生じたかと思ったら、
なんと、拡大してみると4枚の花びらからなる白い花だった。
これがいくつも咲き始め、多少いい香りがし始めた。

(写真)花のアップ


イタリア料理のエッセンス
イタリア料理に欠かせないハーブ。スイートマジョラム。
乾燥したものをニンニク、トマト、タマネギ、ワインなどと一緒にいれ、香味を利かせたスパイスとして利用する。

しかし、スイートマジョラムは、
乾燥よりも生を利用し、料理の最後に加えるのがよいという。
葉と花のついた小枝を肉料理、トマトソース、パスタ、スープなどに加えると
独特の苦味が味を引き締めるという。

今年初めて栽培に挑戦し、肉料理で使ってみようと思っているが、
栽培上は意外とひ弱なところがありそうだ。
肉料理の薬味としてのライバルであるタイムの生命力の強さに勝るうまさがあるのだろうか?
これにチャレンジだ!

オレガノ属(Origanum)は、多年草と亜潅木36種がヨーロッパ全土に分布し、
属名は、ギリシャ語のoriganon“苦いハーブ”に由来する。

通称オレガノと呼ばれるオリガヌム・ウルガレ(Origanum vulgare)もこの属であり、
マジョラム同様にイタリア料理に欠かせないハーブだが、
乾燥ではオレガノ、生ではマジョラムといわれている。

スイートマジョラムの育て方
ということは、大事に育てる価値ありということだが、
耐暑性、耐寒性とも弱いようであり、
夏場は半日陰で西日をあてないようにし、かつ、乾燥させないようにする。
陽射が強いところでは、敷き藁などのマスキングをする必要がありそうだ。
しかも、1年目は、株を作るために、枝葉を大事に成長させるということで
あまり食べてはいけないようだ。

冬場は、霜に当てないように屋根下か室内取り込みの必要があり、
根元を5cm程度残してカットし敷き藁・腐葉土などでマスキングすると良さそうだ。

花に格別魅力があるわけではないので、
うまければ許せそうだがどうだろうか?

Get knotted!! 
ということにならなければよいが??
(オット失礼!!汚い言葉で・・・・)

(写真)スイートマジョラムのつぼみと葉


スイートマジョラム(Sweet marjoram)
・シソ科オレガノ属(和名ハナハッカ属)の耐寒性がない多年性潅木。関知では1年草扱い。
・学名はOriganum majorana(オリガヌム・マヨラナ)、英名は Sweet marjoram(スイートマジョラム)、knotted marjoram(ノッテドマジョラム)。
・原産地は、地中海沿岸。
・草丈は30~50cm
・開花期は夏場で、1年目は7月下旬と遅めに白い花が咲く。
・根が浅いので暑さに弱く、こまめな水遣りとマルチングで直射日光を避ける。
・乾燥を好むので梅雨時は軒下に避難させる。

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ダイヤーズ・カモマイル(Dyer’s chamomile)の花

2008-05-28 07:45:41 | その他のハーブ

(写真)ダイヤーズ・カモマイルの花


この花には様々な名前がある。
ゴールデンマーガレット(golden marguerite)とも言われるが、
確かに、真冬に咲く純白のマーガレットに似ている。

マーガレット(marguerite)は、
ギリシャ語で“真珠”を意味するマルガリーテス(Margarites)に由来し、
真珠のごとき上品で謙虚でかつモダンでもある美しさを見るものにもたらしてくれる。

この花も、マーガレットのようではあるが、
マーガレットと対比させると
小麦色に日焼けしアクティブだがクラシカルな上品さを持った美しさを感じる。

(写真)ダイヤーズ・カモマイルの立ち姿


カモマイルの歴史
カモマイルは、
人間との付き合いが長く、生活にとって有用なハーブの一つであり、
その語源・由来は、ギリシャ語の‘khamai’+‘melon’からきており
‘khamai’は‘on the ground’であり、‘melon’は‘apple’を意味し、
“地上のりんご”を意味する。

“メロン”が“りんご”という違和感があるが、
現在メロンと呼んでいる果実のことをこの時代には“りんごのように甘いウリ”といっており
melopepon=melon(りんご)+pepon(うり)となる。

古代のエジプトでは、マラリアに効く薬としてカモマイルを利用し、
香りの良いこのハーブを彼らの太陽神にも捧げたという。

ローマンカモマイルは
りんごのような香りがし、摘みたての生花のティーは香り高くおいしいと紹介したが、

ダイヤーズ・カモマイルは
ローマンカモマイル、ジャーマンカモマイルのように薬効がない代わりに
天はすばらしい能力を与えてくれた。

それは、シルクやウールを明るい黄色からオリーブ色までに染めることのできる能力で
‘Dye’は染めるを意味する。
花を摘み染料にするが生花でもドライでも良く染まるそうで、
鉄を媒染にするとオリーブ色に染まるそうだから化学は面白い。

(写真)つぼみと葉


ダイヤーズ・カモマイル(Dyer’s chamomile)
・キク科カモマイル(ローマカミツレ)属の耐寒性がある多年草。
・学名はAnthemis tinctoria(アンテミス属ティンクトリア)。
・英名は染料となるという意味でDyer’s chamomile、 他にはgolden marguerite、golden chamomile、 yellow chamomile。和名はコウヤカミツレ。
・原産地はヨーロッパ、コーカサス地方、イラン。
・草丈50~60cmで茎は4~8本に分岐する。
・開花期は5月。濃い黄色の舌状花が咲く。花の色形からゴールデンマーガレットと呼ばれる。
・成長が早いので、株分け・鉢替えをまめにする。既に1回替えている。
・花後(露前)に強めに切り戻し丈をつめ風通しをよくする。これにより葉のロゼット形成が容易になる。

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スイセンノウの花

2008-05-27 07:06:39 | その他のハーブ

白い柔らかな毛で覆われ
灰緑色でフランネルの生地のような葉を持つスイセンノウ
別名ではフランネルソウ。
この花が咲いた。

(写真)スイセンノウ


濃いピンク色で、5枚ある花びらの一片が身をすくめるがごとく恥らっている感があり、
フラットに咲かないところが色香を感じさせる。
ナデシコ科の花は、妙にこのような色香を感じさせるところがある。


センノウの仲間たちと歴史
和名で“センノウ”といわれているものの仲間は、チョッとややこしい。
世界では約30種、日本には6種あるが
属名が“リクニス(Lychnis)”といわれたり“シレネ(Silene)”といわれたりしており、
帰属をめぐっての縄張り争いが続いているようだ。

淡いピンクの大柄な花が咲くビスカリアで知られるコムギセンノウは、

以前はビスカリア(Viscaria)にいたが、
リクニスとシレネの間で揺れ動いており、
現在は、シレネ コエリ・ローサ(Silene coeli-rosa)にいる。

国境線での争いみたいなものが植物にもあるということだろう?

スイセンノウは、江戸時代の末期1850年頃に日本に入ってきたようだが
原産地はヨーロッパ南部で、乾燥した山岳地帯で生育し
大昔はフランネル或いはフェルトのような柔らかな葉を
ローソクの芯に使っていたという。
世界大戦の頃は、布不足でランプの芯に使われていたというから
燃えるような赤が似合う花なのだろう。

(写真)スイセンノウの花


スイセンノウ(酔仙翁)
・ナデシコ科シレネ属の耐寒性がある多年草。
・学名 Silene coronaria (=Lychnis coronaria)。英名はRose Campion 、dusty-miller、Mullein Pink。和名がスイセンノウ(酔仙翁)。
・別名は、フランネルソウ。全体が柔らかな毛で覆われており、フランネルの生地に似ているのでついた。
・原産地は南欧
・草丈50~60cmで真っ直ぐ上に伸び、白い繊毛で覆われた灰緑色の葉が特徴。
・開花期は5~6月で、濃いピンクの花が咲く。
・乾燥に強いが、湿気に弱い。水はけのよい土で育てるだけで十分育つ。

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サルビア・パテンスの花。 自然が創る完璧な“そらいろ”

2008-05-26 07:36:01 | セージ&サルビア
初夏の花がやってきた!!
春から夏へ、赤系からブルー系へ
突然やってきた。

ドキッとしてしまった。
この驚き共有できるのだろうか?
まずは写真を!



パテンシスの花は、サルビアの中ではとても大柄で4~5cmはある。
その巨体をキャンバスに
空の色を思わせる鮮明なブルーでやってきた。

日常見慣れないスカイブルーな色であり、
この花の色を表現するボキャブラリーのなさを痛切に感じてしまう。
非のうちどころのない色と形の調和。

パテンシスは、花数が少なく、昨年は一輪づつ時間差でしか咲かなかったが
一度に4個も咲き、つぼみも多くこれも驚きだ。
暑さに弱いので半日陰で育て、秋の陽でこの花の色を見てみたい。

(写真)珍しくたくさんの花がついた


サルビア・パテンスの歴史
メキシコ原産の花であり、
英名でのゲンチアン・セージは、リンドウ色をしたサルビアということだが、
命名者は、スペインの植物学者Cavanilles, Antonio José(Joseph) (1745-1804)。

彼は僧侶でもあり、ラテンアメリカ、西インド諸島、オーストラリアの多数の植物の命名者となる。
彼が命名したものは、
パテンスのように「Lamiaceae Salvia patens Cav.」で“Cav.”と表記される。

パリ(1777~81)での滞在の間に、彼はフランスの植物一家として著名なジュシュー家の
ロラン・ド・ジュシュー(Laurent de Jussieu 1748-1836)と勉強を一緒にしている。
ジュシューは、リンネの植物分類体系をより自然に近づけた「自然分類」を発表した。
発表年がフランス革命の1789年であったため「植物学革命の書」とも呼ばれた。

パリから帰国後の彼は、1801年にマドリッドの植物園の責任者になり1804年に亡くなった。

(写真)結構あるぞ!!サルビア・パテンスのつぼみ


サルビア・パテンス(Salvia patens)
・シソ科アキギリ属の耐寒性がある多年草。
・学名は Salvia patens。英名はゲンチアンセージ(gentian sage)、和名ソライロサルビア
・原産地はメキシコ。
・耐寒性は強いが耐暑性は弱い。梅雨の時は花を出来るだけ雨に当てない、夏場は風通しの良い半日陰で育てる。
・草丈50~60㎝
・開花期は6~10月、大柄なブルーの花が数少なく咲く。
・夏場は無理に花を咲かせないようにすると秋に咲く。

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ラムズイヤー(lamb's ears)の葉と花

2008-05-25 07:09:24 | その他のハーブ

(写真)ラムズイヤーの立ち姿


ラムズイヤーは、羊の耳というだけあって、
銀白色で繊毛に覆われた肉厚の長楕円形の葉に特色があり、
この手触りのよい素材に触ると、誰でもがやさしくなれる感触を伝えてくれる。

コーカサス地方が原産地であり、陽射があり乾燥した冷涼なところがお気に入りで
日本の高温多湿には合わないが、
鉢うえで梅雨の時は屋根のした、暑い夏には木陰など半日陰に移動させると
銀白色の柔らかな質感が目をなごませてくれる。

5月下旬になると、葉の付け根辺りにネックレスのようにぐるりとつぼみがつき
ピンクの口唇型の小さな花がひっそりと咲く。
決してきらびやかではないが、乾燥した岩肌の大地での潤いのような輝きがある。

庭の色彩をコーディネイトする時に欠かせない色合いであり、
葉の色が灰緑黄色の美しいプリムローズヘロン(Primrose Heron)など
園芸品種が結構あるので、庭をコーディネイトする時に検討すると良さそうだ。

(写真) ネックレスのようなラムズイヤーの花


ラムズイヤーの歴史
ラムズイヤーの属名スタキス(Stachys)は、ギリシャ語のStachusからきており、
“穀物の穂(ear of grain)”或いは“穂(a spike)”を意味している。
穂のようにのびる花序に花がつくところから名付けられた。
チョッとわかりにくいが、
穀物でも、ムギなどではなくトウモロコシなどの穂とすると感じがつかめる。

このラムズイヤーは、K.Kochによって1849年に採取され学名が命名されたので、
Lamiaceae Stachys byzantina K.Koch と表示されているが

Karl Heinrich Emil Koch (1809 – 1879)は、
ドイツの植物学者でラムズイヤーの原産地であるコーカサス地域での植物採集で著名で
彼の採集した植物コレクションは残念ながら大部分失ったようだ。

彼は、博物学者&南アメリカの探検でも著名なフンボルトの実兄が1810年に設立した
Friedrich Wilhelms Universitat・現ベルリン大学の教授に1847年からなり
その後、ベルリン植物園、ベルリン園芸協会などで要職をも務めた。

ちなみに
園芸協会は、植物への関心が浸透した1800年代初頭にロンドンから始まった。
その園芸協会を生み出す原動力は、
“コーヒーハウス”に集まった園芸の趣味人だった。
“コーヒーハウス”といえば、フランス革命だけでなく、協会・学会・メディア・保険など
‘近代’を産み出す基地となった。

(写真)ラムズイヤーの葉


ラムズイヤー(lamb's ears)
・シソ科スタキス(和名イヌゴマ)属の耐寒性がある多年草ハーブ。
・学名はStachys byzantina(=S.lanata)。英名Lamb’s ears、和名ワタチョロギ、別名スタキス。
・原産地は、西アジアからコーカサス(イラン、トルコ、アゼルバイジャン、アルメニア)
・草丈は30センチでほふく性があるので横に広がる。
・花は、初夏から秋の赤紫の小花が穂に付く。
・湿気・夏場の直射日光に弱い点を注意。梅雨の時は屋根下に、夏場は風通しの良い半日陰で育てる。
・耐寒性は強いので、霜が当たらないところであれば戸外でもOK。

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サルビア・スペルバ・ローズクィーン(Salvia superba ‘rose queen’ )の花

2008-05-24 09:15:20 | セージ&サルビア


スペルバ・ローズクィーンの花は、
ピンクの口唇形の小さい花が、花穂の周りにたくさん咲き
これが林立している。

目線を下に移すと
珍しく行儀・品格がない頼りなさそうな葉と
その上に咲く品のよさを感じる花とのギャップを感じる。

花が咲くまでは、品のない葉の成長を寛大に見てあげる必要がありそうだ。
この我慢が、花をめでることが出来るという、
栽培者に努力を強いる珍しい花だ。

(写真)ローズクィーンの立ち姿


5月はじめから咲き始めていたが、氏・素性を調べるのに時間がかかってしまった。
それでもよくわからないというのがこの花で、
S・スペルバの園芸品種であるが、スペルバ自体が交雑種で
S・シルベストリスとS・ヴィリカウリスとの交雑で出来た種ではある。

S・シルベストリスは、S・ネモローサと同じであり、
原産地は、バルカン半島を中心とした南欧からアジアにかけての原野で
草丈40cmでたたずむ姿は、森の賢人(woodland sage)といわれている。

S.ヴィリカウリスは、S.アンプレクシカウリスと同じであり、
原産地、トルコ、東南欧の温暖なところでネモローサと同じ地域で生育している。

この2種が交雑したのがサルビア・スペルバということなのだが
チンプンカンプンで親がよくわからないことになる。
まだまだわからないことがあるというのがわかっただけでも成果があった。

(写真)葉とつぼみ


サルビア・スペルバ・ローズクィーン(Salvia superba ‘rose queen’)
・シソ科アキギリ属の耐寒性がある多年草。
・学名はSalvia ×superba Stapf [×sylvestris × villicaulis]
・原産地は、ヨーロッパからアジアで交雑種が多い。
・草丈は、20~30㎝で、群生させると美しい。
・開花期は5~11月と長く、開花後に切り戻すと秋に再度咲く。
・水はけのよい土で乾燥気味に育てる。
・耐暑性および耐寒性はー10℃と強いが、梅雨に弱いので開花後に切り戻す。

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チェリーセージの風景 と チェリーセージ・ピンク

2008-05-23 07:17:50 | セージ&サルビア
6番目で最後のチェリーセージ(サルビア・グレッギー)がやっと咲いた。
園芸店でのタッグは“チェリーセージ・ピンク”。
だが
咲いた花を見ても、とても“ピンク”には見えない。

かといって、本来のチェリーセージでもない。
一体、何なのだろう?
という疑問を持ちつつ

花を見ると・・・・・・
オレンジでもなく、赤でもなく
強いて言えばサーモンピンクなのでしょうか?

(写真)チェリーセージ・ピンクといわれる花?



4月から咲きはじめたチェリーセージなどがつくる我が庭の風景です。
この中には、
チェリーセージ(赤)
チェリーセージ、ミクロフィラ・ホットリップス(白と赤で唇のように)
チェリーセージ・オレンジ(オレンジ色)
チェリーセージ・パープル(赤紫)
ビナフォーレッドバイカラー(赤紫)
それぞれが写っています。

花も、葉も小さいため遠景ではとらえにくいところがありますが
大半が鉢植えで地植えは少ない構成になっています。

(写真)チェリーセージがつくる庭の風景


 

チェリーセージ・ピンク(Cherry Sage ‘Pink’)
・シソ科 アキギリ属(サルビア属)の耐寒性がある常緑の小木。霜を避ければ外で越冬する。
・学名は、Salvia greggii (S.グレッギー)、英名がAutumn sage(オータムセージ)、和名はアキノベニバナサルビア。
・ グレッギーは、1848年にメキシコでJosiah.Gregg (1806-1850)が発見。
・原産地は、アメリカ・テキサスからメキシコ。
・庭植え、鉢植えで育てる。
・草丈は、60~80㎝で茎は木質化する。
・花の時期は、4~11月。
・咲き終わった花穂は切り戻すようにする。また、草姿が乱れたら適宜切り戻す。

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ビスカリア・チェリーブロッサム(Viscaria Cherry Blossom)の花

2008-05-22 07:09:28 | その他のハーブ


日本名で“コムギセンノウ(小麦仙翁)”といわれるだけあって、

小麦のように茎が伸びその先に結構大きな白い色をしたつぼみがつき、

翌日には、ハート型をした5枚の花弁からなる淡いピンクの花が咲く。

陽の光が弱い朝方とか曇りの日はこのピンクが映える。

(写真)ビスカリア・チェリーブロッサムの花


原産地は地中海沿岸でナデシコ科シレネ属の1年草だが、
以前属していたビスカリア属の名前が残っている。
日本名の由来は、仙翁寺に咲く中国から伝来のナデシコをセンノウといったが
ビスカリア・チェリーブロッサムは、小麦畑に咲くナデシコの類ということでついた。

(写真)つぼみと立ち姿


ビスカリア・チェリーブロッサム(Viscaria Cherry Blossom)
・ナデシコ科シレネ属の耐寒性がある1年草。以前はビスカリア属に分類されていたた。
・学名はSilene coeli-rosa‘Cherry Blossom’。英名はRose of Heaven、和名がコムギセンノウ(小麦仙翁)。
・原産地は地中海沿岸。
・草丈50~60㎝で、開花期は5~6月。
・小麦のような細い茎を伸ばし、この先に淡いピンクのグラデーションのある花をつける。
・日当たりの良い、風通しの良い場所で、多湿を嫌うので水やりは表土が乾いてからたっぷりと。
・肥料は、植え付け時に元肥を入れる程度で少なめに。
・おなじナデシコ科シレネ属のスイセンノウと似た花。

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