モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

フィーバーヒュー と 野草のキク科の花

2008-06-30 10:01:34 | その他のハーブ

フィーバーフューは、
偏頭痛に効果があるということで見直されているハーブのようだ。
知らなかった~。

改めてハーブの専門書を見ると、結構大スペースで書かれており、
歴史あるハーブであることがわかったが、
ネット検索すると、健康食品、サプリメント、薬用ハーブ的な販売情報は多いが
園芸情報が少ないというギャップもわかった。
へえ~園芸よりは健康食品としてのニーズが高いのだ~

(写真)フィーバーヒュー・ゴールドの花


そのフィーバーヒューの花が咲いた。

和名はナツシロギク。葉からも強い香りが漂い
15㎜程度の小さな白い花が、黄緑色の羽状の葉の頭上に咲いた。
この種は葉の色が特色で、フィーバーフュー・ゴールドという。

地上部の茎、葉、花など全てが薬用ハーブとして古代から使われていたようであり、
咲き切った時期に根の上から刈り取り乾燥させてティー・浴用などで使用するという。

ローマンカモマイルと花が似ているが、葉がまったく異なる。
フィーバーフューは春菊のような葉であるが、ローマンカモマイルはコスモスのような葉だ。

フィーバーフューの原産地は、
地中海沿岸のバルカン半島からアジア西部の荒地で
乾燥に強く冷涼なところが適している。
このたくましさが、別名で、ワイルドカモマイルと呼ばれるゆえんだろう

だが日本の高温多湿な庭に合わないようであり半日陰のほうが良さそうだ。
この点が、園芸品種として魅力がないのかも?


野草のキク科との比較
よく似た花が身近な野原などにある。
耕作していない畑一面に白い花が咲いており、
散歩の途中であまりにも良く似ているので、確認するために写真を撮った。

(写真)野原のキク科系の花


調べてみたら、二つほど候補に挙がった。
北アメリカ原産のキク科系の花、ヒメジョオン(姫女苑)ハルジオン(春紫苑)だ。

開花時期はちょうど重なっており、今が一番わかりにくい時だが、
葉と花びらからヒメジョオンではないかと思う。

この花は、大正時代に日本に入ってきたようで、
生命力があるので、庭から逃げ出して野生化していったようだ。

秋の頃の野菊というと、情緒があり里の秋を思い出すが、
外来種が野原を支配しているというのも現実なのだと気づかされた。

フィーバーフューも野生化する生命力がありそうだが、
高温多湿には会わないので、
ラベンダーと似た気候のところで野生化し広がる可能性がある。

(写真)フィーバーフューの葉と花


フィーバーヒュー・ゴールド(Feverfew・Gold)
・キク科ヨモギギク属の耐寒性がある多年草。
・学名は、Tanacetum parthenium。英名がFeverfew(フィーバーフュー)、和名はナツシロギク、別名マトリカリア(以前の学名)。
・ワイルドカモマイルとも呼ばれ生命力が強い。
・原産地は地中海沿岸でバルカン半島、アジア西部。
・草丈50cm程度で、葉はキク科の特徴である羽状で深く裂けている。
・開花期は、6~7月。
・茎の頭に散らばって花をつける。花びらは白で中央の管状花は黄色。
・高温多湿に弱いので、風通しを良くするように葉、枝をカットする。
・乾燥するとハダニがつくので注意。
・開花後に茎、葉、花を刈り取り、乾燥させ入浴、ティーなどで利用できる。
・さし芽、種で殖やす。タネの場合は秋まきだと翌年に花が咲くが、春まきだとその年は咲かないで翌年開花となる。理由は、長日植物なので、日が短くなってから長くならないと開花しない。

名前の由来
tanacetum
ギリシャ語『ヨモギギク属=タンジー属。永久immortal、不死immortalityを意味する"athanasia"、"athanasia"が由来』
parthenium
パルテノン神殿
英名のフィーバーフューは、ラテン語の「解熱」と「追放する」を意味する合成語で薬効にちなむ。

参考サイト
「野草の世界」ヒメジョオン:
http://www.asahi-net.or.jp/~uu2n-mnt/yaso/tanken/natu/yas_himejoon.htm

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アネモネ、ベロニカ・オックスフォードブルーの二番咲き

2008-06-29 11:23:14 | その他のハーブ

春を忘れるようになってしまったが、
“春は、喜びと美をつれて駆け足でやってくる。”
という名文がある。

その代表が、クロッカスとアネモネだ。

わが庭では、アネモネが咲く前に、ベロニカ・オックスフォードブルーが咲いたが・・・


この、早春の花「アネモネ」「ベロニカ・オックスフォードブルー」
切り戻しておいたら二番咲きとなった。

(写真)ベロニカ・オックスフォードブルーの二番咲き


(写真)アネモネ・シルベストリスの二番咲き


アネモネは切り戻しをすると秋までに何度か咲くが
ベロニカ・オックスフォードブルーが二度咲きするとは思わなかった。

アネモネはヨーロッパの世界に魔術的な劇的な登場をしたが、
裏庭の半日陰のところで休息を取っており、水遣り以外では意識しなくなっていた頃に
白い花を咲かせたので オッと驚いた。

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梅雨の中休み とんぼとチョウ

2008-06-29 09:12:31 | メダカ・昆虫
今日はG1最終の宝塚記念。午後から浅草で祝勝会??

土砂降りなので、大外から何が飛び込んでくるのでしょうか?
てなことを考えていると頭が回転して止まらなくなるので、

昨日の梅雨の中休みでの花と昆虫でリラックスを・・・・


(写真)ブラジリアンセージととんぼ




ブラジリアンセージ(サルビア・ガラニチカ)に今年初のとんぼが羽を休めていた。
最初は、ズームでとっていたが、接写を試みても逃げない。

久しぶりに昆虫図鑑を引っ張り出し、調べてみた。

「ノシメトンボ」のようだ。

羽の先にこげ茶色があるのが特徴で、このとんぼにもある。
本州の池、沼、田んぼで生息し、羽化後は林などで過ごすという。

シオカラトンボとともにポピュラーなとんぼだ。


(写真)ユリの葉にとまるチョウ


このチョウははじめて見るチョウだ。

昨年は、沖縄・奄美のチョウ(ツマグロヒョウモン)が多数見るようになり、
都市部の温暖化による生態系の変化を実感した。

さて、このチョウはなんだろう??

近いのは
「シジミチョウ科のキマダラルリツバメ」のようだが特徴が似ていない。

(参考サイト)Web 日本産蝶類図鑑
http://webzukan.hp.infoseek.co.jp/index.shtml

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オキザリス ・トリアングラリス(Oxalis triangularis)紫の舞

2008-06-28 08:36:43 | その他のハーブ

緑、濃い緑、淡い緑、銀灰白色だけでは花壇の彩に深みがつかない。
そこに、オキザリスのトリアングラリスという三角形の葉を持つ
濃い紫色が加わると緑系の色彩に濃くが加わる。

花などどうでもいいほどこの色彩には、ユニークネスがある。

でも、6月になると淡いピンク色をしたラッパ型の花が咲く。
朝、曇りの日など硬くドアを閉じているが、
陽がさすと花びらを開き
バックの濃い紫色の葉色に押されて白い色に見えてくる。

(写真)オキザリス・トリアングラリスの花と葉


南アメリカ、ブラジルが原産地であり、
半耐寒性というが関東以南では十分戸外で越冬できる。
球根で増えるので、冬場は地上部が枯れても問題はない。

むしろ問題は、高温多湿の梅雨以降の時期で、乾燥気味に涼しいところで育てたいが
蒸れたりしてカビがつきやすくなるので、菌がついたものは取り除く。
再生力があるので、生命力は強い。


名前の由来 
学名 Oxalis regnellii 'Triangularis' に注意すると
‘Oxalis’は、ギリシャ語“すっぱい”“酸のある”を意味し、
‘Triangularis’は、三角形を意味する。

間にある‘regnellii’は、ブラジリアンセージ、サルビア・ガラニチカを発見した
Regnell, Anders Fredrik (1807-1884)だった。

レグネルは、ブラジルなどで100を越える新種を発見しており
オキザリスもレグネルが発見したのかと思ったがそうではなかった。

発見者は、Wood, William (1745-1808)で、南米ボリビアで発見されたようだが、
ウッドは、英国人でキリスト教の一会派であるユニテリアン派の牧師&植物学者
という以外はよくわからない。

ユニテリアン派というのが気になってわき道に入ってしまったが、
17世紀のヨーロッパで科学革命の旗手であったニュートン(Sir Isaac Newton 1642-1727)
もユニテリアン派の信者だったようだ。
万有引力の法則を想起し、晩年は造幣局長を務めながら錬金術の研究に没頭していたようであり
最後の(科学的な)錬金術師とも言われる。

錬金術から化学が生まれたように、
大航海時代以降の16世紀からの植物への関心は、
輸入超過で王室財政圧迫の原因であった香辛料の獲得から
より積極的に有用植物の発見と王室の資源化に向かい
その根底のところで、自然及びその秩序の法則の発見へという科学思考へ向かった。
(性善説のとらえ方ですが・・・)

こんな時代背景の下に、南アフリカ、北米、南米、中国、日本、オセアニアなどへの探検が起きている。
いまの時代には感じられない直感的・体験的なフロンティアがあった。

“紫の舞”は、メインロードを引き立てるがゆえに味があるのだと思いはじめた。

(写真)オキザリス・トリアングラリスの花


オキザリス ・トリアングラリス(Oxalis triangularis)紫の舞
・カタバミ科カタバミ属の球根植物で、半耐寒性の多年草だが、戸外でも越冬する。
・学名は、オキザリス・レグネリー・トリアングラリス(Oxalis regnellii 'Triangularis')。別名セイヨウカタバミ
・原産地は、南アメリカ ブラジル。
・性質は強健。多湿を嫌いやや乾燥気味に育てる。
・開花期は、6~8月。淡いピンク色の花。日が暮れると花はしぼむ。
・草丈は、10~15cm。濃い赤紫の三角形の葉が特色。
・葉は密集するので、病気になりがちなので、風通しのよいところに置く。なった場合は、葉を全て刈り取っても直ぐ若葉が出てくる。
・花壇・庭のカラーコーディネイトに適している。

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ラベンダーセージ(Lavender Sage)の花

2008-06-27 08:25:44 | セージ&サルビア
サルビア・インディゴスパイヤーのことを、日本ではラベンダーセージと呼んでいる。

ラベンダーセージとは、良くぞ名付けたものだ。
黄金のキーワードを2つも持ち、これ以上わかりやすいものがない程よく出来ている。
流通名は本当にわかりやすく設定してある。

だが、こんなラベンダーはないので、ラベンダーに失礼だと思う。
また、正式名称と結びつきにくくなってしまうので修正をしておこう。

サルビア・インディゴ・スパイヤーは、
藍色の(インディゴ)花が、スパイラルのように天に向かって伸びている(スパイヤー)
そんな姿を現している。
発見者が名付けただけあって特徴を良くとらえている。

(写真)サルビア・インディゴ・スパイヤーの花


昨年秋にさし芽で殖やした苗が生長し、草丈90㎝、花穂30と成長し
美しい青紫の花が咲いた。

写真から確認したら5月末に咲いており、晩秋まで咲き続ける長距離ランナーだ。

第一弾が咲き終わる7月頃に思い切った剪定をしてあげないと、
秋の花つきが悪くなるし、台風などの強い風にも弱い。

この花の唯一の欠点は、行儀が悪いことで、支柱と剪定で矯正をしてあげた方が良い。
誕生の歴史などが参考になるかも・・・・

(写真)インディゴ・スパイヤーの花穂


インディゴ・スパイヤーは偶然に発見
サルビア・インディゴ・スパイヤーは、カルフォルニアにあるハンティングトン植物園で、
1970年代に偶然発見され、1979年には普通に栽培できるようになった。

発見者は、ハンティングトン植物園の園芸家マグレアー(John MacGregor)
“ミツバチの好意でつくられた”ハイブリッド種であり

その花姿から、 “Indigo Spires(=藍色のせん塔)”と名付けた。

まさに、次から次と咲く花穂は30cm以上もあり、教会などの尖塔ににている。
ただ、直立ではなく無鉄砲なところがチョッと違うかな?

S.インディゴ・スパイヤーが発見された場所では、
“Salvia farinacea”“Salvia longispicata”が咲いており、両方ともメキシコ原産のサルビアであるが、
この両種が交配して出来たのが“Salvia Indigo Spires”だといわれている。


インディゴ・スパイヤーの親元の履歴
それでは、親元を確認して見なければ・・・・・
“サルビア・ファリナケア”は、日本でもなじみの花でブルーサルビアとも呼ばれ、
初夏から晩秋まで紫色の花を咲かせるが、耐寒性がないため1年草扱いされる。
かつて栽培していたが、1年草は手間がかかるためいまは手を出していない。

もう一方の、 “サルビア・ロンギスピカタ”は、日本ではまだなじみがなく私も初めてだ。

この花は、1840年にメキシコの南西地域で発見され、
発見者はベルギーの植物学者ガレオッティ(Galeotti, Henri Guillaume 1814-1858)
1835年から5年間メキシコの植物相調査を行っており、このときに発見したようだ。

なかなか良さそうな花と思うがどうだろう。

このように確認してみると、
草丈は短いが、花姿は S.ファリナケアから受け継ぎ、
サルビア・ロンギスピカタからは、無鉄砲に発育するところを受け継いだのであろうか?
ハイブリッド品種を作り出す交配に手を出すと、
面白いが、人生の短さをも味わうのだろう! きっと。

(写真)咲き始めの頃はひげが目立つ


ラベンダーセージ(Lavender Sage)
・シソ科アキギリ属の半耐寒性の多年草。関東以西では戸外でも越冬できる。
・学名は、Salvia 'Indigo Spires' (S.farinacea x S.longispicata)(サルビア・インディゴスパイヤー)。
・英名は Indigo spires sage、園芸店では、ラベンダーセージ(Lavender Sage)で流通する。
・ブルーサルビア(Salvia farinacea)とサルビア・ロンギスピカタ(Salvia longispicata)との交配で作られた。といわれる
・草丈は、50~150cm。支柱を立て風対策をする。
・春先に剪定し草丈を低くして花を咲かせることが出来る。
・開花期は、6~10月と長期間咲く。咲き終わった花序はカットすると良い。
・さし芽で殖やす。10月頃に剪定をかねて切った枝をさし芽する。

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フロックス・マキュラタ(Phlox maculata)の花

2008-06-26 12:19:33 | その他のハーブ

(写真)フロックス・マキュラタの花


円錐形に花が集まって咲くフロックスの第二弾は、

アメリカ合衆国東部の草原が原産地のフロックス・マキュラタ。
コモンネームとしてmeadow phlox(メドウ・フロックス)とも呼ばれているが、
まさに、湿った草原が自生地の花だ。

その花姿は、同属のフロックス・パニキュラータ(Phlox paniculata)と同じ
直立の茎の頂上に花が密集し、円錐形を形作る。

花は、白地の花弁を、淡いピンクの色が矢車のように5枚の花弁に線を描き
ユニークな模様となっている。

確かに、甘い香りが漂い、好き好きがあるが悪くはない。

(写真)フロックス・マキュラタの立ち姿


フロックス・マキュラタ発見にまつわる物語
フロックス・マキュラタの命名者はリンネだが
コレクターは、スウェーデンの植物学者ピーター・カール(Pehr Kalm 1716-1779)だ。

彼は、ツンベルグ同様にリンネの弟子であり、
植物研究が遅れている未開拓地に送り込まれることでも運命をともにしている。

カールが送り込まれたところは、
スウェーデンの科学アカデミーが探検地を決定しているが、北米、カナダであり
極寒地での繊維産業育成に役立つ植物収集(=ハンティング)だった。

1747年に北米の探検旅行に出発し、ペンシルバニアに1748年に到着したが、
ここで、ベンジャミンフランクリンと知り合い友情を結ぶ。
ベンジャミンフランクリンは、言うまでもなくアメリカ独立宣言にかかわり
いまでは偽札が多い100ドル紙幣の顔となっているが、
その多彩さはダヴィンチのようでもある。

ナイアガラの滝をヨーロッパに紹介し観光地としたことでも知られているが、
植物ハンティングの旅は、5大湖周辺だけでなくモントリオール、ケベックなどをも探索した。

最大のプラントハンティングの目的であった、スウェーデンでの絹産業の振興は、
持って帰った桑の木の種が育たないことで失敗したが、
北米探検旅行の本はその後出版され、ドイツ語、フランス語、米語の翻訳され
その当時の北米の動植物の世界と植民地の生活がヨーロッパに伝わった。

リンネは、植物分類でその多くを活用した。
フロックスの命名者がリンネになっていることがその証でもある。

(写真)フロックス・マキュラタの花


フロックス・マキュラタ(Phlox maculata)
・ハナシノブ科フロックス属の耐寒性がある多年草。
・学名は、Phlox maculata L.(フロックス・マキュラタ)。英名はmeadow phlox(メドウ・フロックス)メドウは草原とか湿地。wild sweet William。
・原産地は北米(南東部米国)の湿った草原。
・草丈、40~70㎝で直立し、茎の先にピラミッド型にピンクと白の色の花をつける。
・開花期は6~7月。甘い香りがする。
・学名はリンネが命名。

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アルカネット(alkanet)の花

2008-06-25 08:04:23 | その他のハーブ

アルカネットと化粧
アルカネットの根は、染料の原料となり
古代エジプトでは、女性の頬紅・口紅に使われたという。

頬紅なんかの化粧という考え方自体があったのだろうか??
本当かなと思って、チョッと調べてみると
クレオパトラは、目の周りを黒く塗っていたという。

近代のアイシャドーは、“愛の証”の誇示のようだが、20世紀に確立したようで、
古代は、“魔よけ”であったようだ。

古代の常識は、人間の穴から悪魔が入ってくると信じられており、
目の周り、口などを塗るのは“魔よけ”のためのようだ。
だから悪魔が驚く、どぎついほどの色が塗られていた。
渋谷あたりを歩いてみると、なるほど納得という“魔よけ”に会ったりもする。

ちなみに日本では、目じりを赤く塗ったようだが、これも“魔よけ”のようだ。

現代のアイシャドウは、“魔よけ”よりさらに進化し、
危険サインが出ているのに、飛び込んでいきたくなる“わな”となっている。
これをアルカネット効果ということにしておこう。

(写真)アルカネットの花


しかし、わが庭ではアルカネット効果は見られなかった。

アルカネットは、忘れられた存在で3年も仮眠していた。
成長もせず、花を咲かせもせず、枯れ死もせす、放置されていた。

春先に鉢がえをしてあげてから動き始めた。
茎が伸び、葉が茂り、日照りでは脱水症状でダウンし、そしてつぼみがつき
花が咲いた。

10㎜をきる大きさの紫色の小花が咲き、
久しぶりに安堵した。
植物の久しぶりは1年単位になるので大変だ。 ホッ~~。

(写真)アルカネットの花序


アルカネットの命名者ツンベルグ
意外だったのは、アルカネットの命名者が
江戸時代に日本に来た、スウェーデンの大植物学者 ツンベルグだったことだ。

ツンベルグ(Carl Peter Thunberg 1743-1828)は、
リンネがスウェーデンのウプサラ大学で教えていた時の一番弟子にあたり、
鎖国で空白地帯の日本の植物相を調べ採集することを目的に、
唯一交易していたオランダ東インド株式会社の医師となり、日本に向かった。

歴史として面白いのは、
オランダ人になりきらないといけないので、オランダ語を学習するために
1772~1775年の間南アフリカに滞在したが、
ここで、キュー王立植物園のプラントハンター第一号フランシス・マッソンと会い、
植物採集の探検旅行などをも一緒にしたことだ。

ツンベルグは1775年8月に長崎につき1776年12月にはオランダに戻ったので、
日本滞在は約1年半だが、1784年に出版した『Flora Japonica(フロラ・ヤポニカ)』には、
812種もの日本の植物が記載されており、
日本にとっても、ヨーロッパにとっても画期的なことであった。

ツンベルグは、学問的な功名を意図して押し花的な標本を集めたが
マッソンは、そんなことよりも園芸での生きた植物の採集に力点をおき、苗、種を集めた。
二人の生きかたはまったく異なっていたが、植物知識の空白地を埋める最前線で
組織的に活躍したプラントハンターでもあった。



アルカネット(alkanet)
・ムラサキ科アンチューサ(和名ウシノシタグサ)属の耐寒性がある多年草
・学名はAnchusa officinalis Thunb.。英名はアルカネット(alkanet)ビューグラス(bugloss)、別名アンチューサ(Anchusa)
・属名のアンチューサは“紅”、種小名のオフィシナリスは“薬効”という意味。命名者はツンベルグ(Thunberg)。
・原産地はヨーロッパから小アジア
・草丈50~70㎝、細かい毛で全体が覆われているので高温多湿に弱い。
・乾燥気味に育てる。
・開花期は6~10月で茎の上部に花穂がつき赤紫の花をつける。
・樹木の下などの半日陰でも育てられる。
・根は口紅の色付けに使われる染料が取れる。

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サントリナ・ロスマリニフォリアの(Santolina rosmarinifolia)花

2008-06-24 07:28:29 | その他のハーブ

サントリナがやっと花を咲かした。

3年前から、サントリナ・グレーを殺虫剤代わりに庭の植栽として栽培し始めたが
この種は、いまだいっこうに花を咲かせない。

どうも刈り込みをやらなかったのが敗因のようで、
この時期に思い切った刈り込みをしてあげることにした。

(写真) サントリナ・ロスマリニフォリアの花


いま咲き始めたサントリナは、ロスマリニフォリアで、
ローズマリーに似た葉
甘い香り
ボンボリのような黄色のキク科の花
そして、背丈もあまり高くならないので、鉢植えに適している。

原産地がイベリア半島からフランスの地中海沿岸なので、
乾燥気味で、やせた砂地が適している。
梅雨と夏の直射日光は避けてあげたほうがよく、半日陰の屋根下がこの頃は適している。

サントリナ・グレーの失敗は、刈り込みをしなかったようであり
花後に思い切った刈り込みが良さそうだ。
このときに、元気のよい枝をさし芽すると花壇の縁などで彩りと、防虫効果が期待できる。

(写真)華奢な茎に揺れる花とつぼみ


ローズマリー(Rosmarinus officinalis L.)のRosmarinusが意味するものは、“海の雫”であり、
この花のブルーの花は、“海のしずく”そのもののようだ。

サントリナ・ロスマリニフォリアは、ローズマリーのような葉(Folia)をしている植物
ということで名付けられた。
学名も覚えやすく違いが識別しやすい工夫がされていることがわかるが、
イージィでもある。

ちなみに命名者は“L.”はリンネをさす。

サントリナ・ロスマリニフォリア(Santolina rosmarinifolia)
・キク科サントリナ属の耐寒性がやや弱い常緑小低木。
・学名は、Santolina rosmarinifolia L.(サントリナ ロスマリニフォリア)。英名はlavender cotton(ラベンダーコットン)、和名ワタスギギク。
・原産地は地中海沿岸地域(フランス、ポルトガル、スペイン)
・丈は30cm程度で草のように見えるが木で、直立する。
・葉はローズマリーのようなヤナギ状の灰緑色の素晴らしい葉をつける。
・開花期は、6~7月、頭上に黄色い花を咲かせる。
・日当たりが良く風通しの良いところが良い。
・乾燥気味の砂地がよく、肥料はあげないでも良い。
・梅雨の時は屋根下などに取り込むと良い。
・花後に強めに刈り込み株を更新する。
・サントリナにはサントリナオイルという香の成分があるので甘い香がする。
・中世には、殺虫成分で殺虫剤として使われてきた。
・庭のカラーコーディネーションとして活用するだけでなく、除虫としても活用。
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ダークパープルが渋い。サルビア・スプレンデンス(Salvia splendens)の花

2008-06-23 07:21:34 | セージ&サルビア
何故か国体などの大きなスポーツ大会になると
真っ赤な花がパレードコースの脇などに植えられている。

この真っ赤な花は、サルビアであることが多かった。
この頃は、この真っ赤な花が嫌いだった。(いまでも嫌いだが・・・)

きれいに整備された競技場に、とってつけたように真っ赤なカーペットを作り、
そして、大会が終わると取り払われる。
主催者の安直な構想での花の選択が嫌いだったのだろう。

だがついに、手を出してしまった。

結構 気にいってしまった。

だが、緋色のサルビアではなく、ダークパープルの花だから。

(写真)S.スプレンデンスの花


もう直ぐ咲き終わるので、葉を1枚残す感じで切り戻しておくと
その下から新しい芽が出て秋にはまたこの花に会えるという。

置き場所は、ブラジルといえども標高が高い高地に自生しているので
高温多湿を避け涼しい半日陰が良さそうだ。

冬でも10度以上を保てれば多年草の性質を引き出せるかどうか試してみよう。

S.スプレンデンス発見者の話
サルビア・スプレンデンスは、
ドイツ生まれの植物学者セロウ(Friedrich Sellow 1789-1831)によって
ブラジルで発見された。

セロウはポツダムの王立庭園の庭師の子供として生まれ、
庭師の勉強を積み、ベルリン植物園で働きながら勉強をし、
1810年にはパリで当時に最高の植物学者であるラマルク(Jean-Baptiste Lamarck)
キュヴィエ(Georges Cuvier)から教えを受け
科学的な植物学に接した。

1811年には、フンボルト(Alexander von Humboldt 1769-1859)の支援を得
オランダとイギリスで勉強をしたが、ナポレオン戦争が始まりドイツに戻れなくなり
縁あって、1814年にはリオデジャネイロに行った。


そこでセロウは、ブラジルを中心に植物探索を行い900以上の新種を発見しており、
ブラジルの植物研究への貢献は素晴らしいものがある。

セロウが採取した植物は、スポンサーがいるロンドンにも送られており、
そのうちの一つがS.スプレンデンスだった。
この花は、当時“Lee's Scarlet Sage”と呼ばれ、
イギリス、ドイツでの夏の園芸商品として人気を博したようだ。

1831年彼は42歳の若さで亡くなった。なんと川で溺れ死んだようだ。

ポツダムの庭師の子供が、当時のヨーロッパ最高の植物学者たちの知遇をえて
これを吸収し、植物学的な真空地帯であったブラジルで花開き
駆け足で一生を走り抜けていった。

その1輪が緋色をしたセージスカーレットセージ(Scarlet sage)を残して。

すでにその機会を失した私は、緋色をしたセージを嫌い
ダークパープルなセージを楽しむことにした。

(写真)S.スプレンデンスの立ち姿


サルビア・スプレンデンス(Salvia splendens)
・シソ科アキギリ属の耐寒性がない多年草だが、越冬が難しいため1年草として扱う。
・学名は、Salvia splendens Sellow ex Roem. & Schult。英名はscarlet sage。別名bonfire salvia(大きなかがり火のようなサルビア)。和名はヒゴロモソウ(緋衣草)
S.コクシネアもスカーレットセージと呼ばれるが、こちらが本筋。
・原産地はブラジル。
・草丈30cm程度。
・開花期は6~10月で花と顎のツートンのダークパープルが美しい。花が散っても顎だけでも様になる。
・花が咲き終わったら切り戻しておくと秋に2番目の花が咲く。

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燃えるような フロックス・パニキュラータの花

2008-06-22 09:03:53 | その他のハーブ

(写真)炎の花フロックス・パニキュラータ


フロックスは、北アメリカ大陸が原産で、例外としてシベリアにも1種があるそうだ。
ベーリング海峡が陸続きの時に
シベリアに何らかの形で旅行した種がいたのだろうかというロマンチックな疑問がわく。

性質は強健で春から夏にかけて美しい花を咲かせ
燃えるようなピンクの花が、遠くから見るとピラミッド形をなし、
近づいて見ると、茎という幹線にいくつかの支線がつき
一つの支線がサテライトを形成し花のプラットフォームとなっている。

(写真)花序のサテライト


この花は、夕方に甘い匂いを発するというが、いまだ嗅いだことがない。
姿は美しいが上品ではないとも言われる。

言わんとする気持ちは、別名の“オイランソウ”に表れていそうだ。
頭上のあでやかな飾りから“おいらん(花魁)ソウ”とも言われたのであろうか
或いは、燃えるようなピンクの色も含めて名付けたのかもわからない。

そこには、願望があったのか、蔑視されたのか不明だが、シンボライズの妙を感じる。

“花魁”は、江戸吉原の高級遊女の呼称で、京では“太夫”と呼ばれていた。
“花魁”になるためには、
芸事(三味線、舞踊)、教養(古典、書道、茶道、和歌)に優れていないといけないというので
才能は別にして努力を嫌うヒトには難しい大変な職業でもあったようだ。

華やかさを支える才能と努力、
わかっているヒトはこれを愛で、わからないヒトはこれを嫌う。
フロックス・バニキュラータからこう感じたのであろうか?

(写真)フロックス・バニキュラータの立ち姿


フロックスの名前と普及の歴史

フロックスは、ギリシャ語で“火”という意味のPhloxを語源とし、
phlogi-fourusは火炎色の花、フロックスに似た花となる。

テオフラストスが炎の色をした花卉植物をフロックスと呼んだそうだが、
いまではどの植物のことかわからなくなっている。
ただ、炎のような真っ赤な花というイメージだけはフロックスに引き継がれた。

学名のフロックス・パニキュラータは、
花が集まった房(花房)が茎の頭上に集まり円錐形を形成するので
パニキュラータ(=円錐花序)という名がつけられた。

和名では、クサキョウチクトウと呼ばれているが、
キョウチクトウ(夾竹桃)に似た葉をしているということで名付けられたようだ。
http://www.botanic.jp/plants-ka/kyouti.htm

日本には明治時代に伝わるが、ヨーロッパに伝わったのも18世紀以降であり
伝播の歴史は新しい。

イギリスへの伝播は、
薬剤師で植物学者のジェームズ・シェラード(James Sherard 1666-1738)は、
ロンドン・グリニッチの南エルタムに栽培園を所有し、
この当時の珍しい植物を栽培していた。

この庭は“エルタムの庭”として有名になり、リンネなどにも植物の情報を提供しているが、
北米産のフロックス・パニキュラータもこの庭で咲いていた。

このことを紹介したのは、ドイツの植物学者ヨハン・ヤコブ・ディレニウス(Johann Jakob Dillenius 1687-1747)であり、
1732年に紹介している。
フロックス・バニキュラータは1732年以前にヨーロッパに伝わったといえる。


フロックス・パニキュラータ(Phlox paniculata)
・ハナシノブ科フロックス属の耐寒性がある多年草。
・学名は、Phlox paniculata(フロックス・パニキュラータ)。英名はFall phlox、Perennial phlox。
・和名は、クサキョウチクトウ、別名はオイランソウ、宿根フロックス。
・原産地は北米(テキサス)
・草丈、40~50㎝で直立し、茎の先にピラミッド型にピンク色の花をつける。
・開花期は6~9月と夏中花が咲く。
・春に株分けで増やす。
・明治時代に日本に伝わる。

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