モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

ローマンカモマイル(Roman chamomile)の花

2009-06-30 08:08:26 | その他のハーブ
(写真)ローマンカモマイルの花


キク科の花はどれも似ているが、「ローマンカモマイル」は葉に特色がある。
細かい切れ込みがある柔らかい緑色の葉で、白と黄色の1.5cmの小さな筒状の花がこの葉を背景として浮き上がって見える。
そして、りんごのような香りがあり、葉・花は香り豊かなハーブティーとして利用される。

「ローマンカモマイル」は、最も古いハーブの一つであり古代エジプト時代から皮膚疾患・風邪などの薬として使われてきた。
また、近くにある植物を元気にする力があると信じられていて、最近では、コンパニオンプランツとして注目されている。混栽することによって連作障害・害虫予防などに利用される。
バラの根元に「フィーバーヒュー」を置き始めたところ、元気に育っているように、病害虫の予防としてのコンパニオンプランツとなる。

学名には、地面を這うりんごの香りがする植物で、高貴・上品を意味する“noble”が与えられている。薬用としての価値だけでなく香り豊かで美しいという価値が認められてきたハーブだが、この美しさを写真で切り取るのはなかなか難しい。

育て方は意外と面倒で、梅雨と夏場対策が欠かせない。
通気性と保水性のよい土に植え、葉が蒸れないようにすきこむ。
匍匐性があるので、通気性が悪くならないように葉を刈り込み、梅雨の時期は雨にあてないようにし、夏場は半日陰で育てる。

鉢植えの場合は、株が成長した梅雨の時期に株分けすると良い。
コンパニオンプランツとして利用する場合は、花を咲かせないように茎が伸びてきたら刈り込んでおくとよい。香りが楽しめる芝生ともなる。

一年草の「ジャーマンカモマイル」と良く似ているが、
「ローマンカモマイル」は、つぼみが頭を下にさげ水切れでしおれたようになり、また、黄色の筒状花の部分が盛り上がっていないので、「ジャーマンカモマイル」とこの2点で識別できる。

(写真)ローマンカモマイルの葉と花
        

ローマンカモマイル(Roman chamomile)
・キク科カモマイル(ローマカミツレ)属の耐寒性がある多年草。
・学名は、Chamaemelum nobile (L.) All.。属名は、ギリシャ語で地面を這うという意味に由来し、“Chamae”、リンゴを意味する“melum”から来ている。種小名のnobileは高貴なを意味する。
・英名はRoman chamomile、Garden chamomile。和名はローマカミツレ。
・原産地はヨーロッパ・地中海沿岸で日本には薬用植物として明治1年に輸入。
・草丈20cmで、1株から15~20本程度の茎が生える。
・開花期は6月で、白色の舌状花が咲き特有のリンゴのような香気がある。
・湿気・暑さには弱い。夏場は風通しの良い半日陰で育てる。
・開花後花だけを摘み取り、茎は6月梅雨前に剪定をかねて1/3を収穫する。

命名者:
Allioni, Carlo (1728-1804)は、イタリアの植物学者。

<参考>近縁種「ダイヤーズカモマイル」
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エキナケア(Echinacea)の花

2009-06-29 07:47:56 | その他のハーブ
(写真)エキナケアの花


ハリネズミのようなこの花は、いつのまにか庭から消えてしまった。改めて今年チャレンジして育てることにした。
この「エキナケア」は、ハーブ園、庭などの定番となっている花になっているが、原産地アメリカからヨーロッパに伝播した花として、メモリアル的な花であることに改めて気づかされた。

今、見直されているハーブ
アメリカの先住民は、蛇にかまれた毒、感染症などにこの「エキナケア」使っていたという。最近の科学では、抗ウイルス性があり白血球を増やすことが確認されていて、エイズなどの治療役の研究がされているという。

プラントハンター草創期の花
「エキナケア」は、米国の中部・東部の乾いた原野に咲き、この花がヨーロッパ・イギリスに伝わったのは、プラントハンターの草創期にあたる。

ロンドン郊外のフルハムにはロンドン主教の公邸がありそこには立派な庭があった。1675年に英国国教会ロンドン主教となりここに住んだコンプトン主教(Compton,Henry 1632-1713)は、植物を育てるのが大好きで、彼が管轄した新植民地アメリカからもその教会の組織を使って植物を送らせた。
組織的なプラントハンターの最初は、このコンプトン主教のネットワークを活用したことから始まった。キュー植物園をベースとして国家的な事業に仕立て上げたバンクス卿(Sir Joseph Banks, 1743−1820)が出現するのは一世紀ほど後となる。

ちょっと先回りをするが、このコンプトン主教の死後彼が集めた珍しい植物をひきついだのは、植物の販売カタログを最初につくったクリストファー・グレイ(Gray, Christopher 1693?-1764)で、さらにこのグレイのフルハムにある栽培園を後に引き継いだのが南アフリカで「ガザニア」を採取したバーチェリーの先祖となる。

江戸時代には染井がナーサリーの集積した場所であったが、フルハムもコンプトン主教以後ナーサリーの集積する場所となる。

このコンプトン主教のプラントハンターとなったのが、バニスター(Banister, John 1650-1692)であり、彼はブラジル、西インド諸島での布教活動の後、1678年にコンプトン主教からアメリカ・バージニア植民地に伝道師として派遣され、植物採集も行いコンプトンのところに採取した植物などを送り出していた。この中に、「エキナケア」があったという。

ヨーロッパに最初に「エキナケア」をもたらしたのは、バニスターということになるが、バージニア植民地の裁判所職員クレイトン(Clayton, John 1686-1773)も、1730年代にバージニアで採取した多数の植物標本をオランダの植物学者グロノヴィウス(Jan Frederik Gronovius)に送っている。クレイトンの植物標本は、グロノヴィウス及びリンネのアメリカ植物研究と分類の下敷きになる重要な部分を占めたという。

「エキナケア」は、科学的に見直されるハーブであり、大航海時代以降のアメリカからヨーロッパに渡った植物の中でも登場人物がいたるところで登場するメインランドにある植物でもある。

(写真)エキナケアの立ち姿
        

エキナケア(Echinacea)
・キク科ムラサキバレンギク属の耐寒性がある多年草。
・学名は、Echinacea purpurea(L.)Muench 1794。属名のEchinaceaは、ギリシア語でハリネズミ、針を意味する“echinos”が由来。種小名は紫を意味する。
・英名は、purple coneflower、エキナケア。
・原産地は、アメリカ合衆国の中部・東部の乾いた高地の草原
・草丈が60-100㎝で葉は細長く一本立ちの茎の上に頭状花を咲かせる。
・開花時期は6-9月で、脱色した感じの赤紫色の花が長期間咲き続ける。
・日当たりが良く水はけがよい土壌。
・殖やすのは春と秋に株わけで殖やす。

命名者:
Moench, Conrad (1744-1805):ドイツの植物学者・大学教授
コレクター:
Banister, John (1650-1692)、英国国教会の修道士・プラントハンター、
Clayton, John (1686-1773)、バージニアの裁判所の職員・プラントハンター。クレイトンがバージニアで採取して1730年頃にヨーロッパに標本を送る。

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ベルガモット‘アルバ’(bergamot'Alba')の花

2009-06-28 09:33:32 | その他のハーブ
(写真)ベルガモット白の花


        

ベルガモットには、真っ赤な花色だけでなく、白、ピンク、パープルなどの花色の園芸品種があるが、そのうちの一種。

株丈が小さく真っ白な花が咲く「ベルガモット・アルバ」。
英名では、'Snow White'『白雪姫』などの園芸品種があり、1955年に作出されたという。


ベルガモット‘アルバ’(bergamot'Alba')
・シソ科ヤグルマハッカ属の耐寒性がある多年草。
・学名はMonarda didyma L. 'Alba'。属名のモナルダは、スペインの医師・植物学者でダリアを栽培したマドリッド植物園の園長ニコラス・モナルデス(Nicholas Monardes)による。
・英名は、その香りがベルガモットオレンジに似ているので、ベルガモット(bergamot)、別名として蜂がこの花を好むのでbee balm(ビーバーム)、monarrda(モナルダ)、Oswego Tea(オスウェゴ・ティー)。和名はタイマツバナ(松明花)。
・原産地は、北アメリカ東部。森林の日当たりが良い湿地に自生する。
・草丈30-60㎝で赤のモナルダよりも小さい。アメリカ先住民が愛用していたハーブ。
・日当たりが良いやや湿り気味の土壌が適している。
・白い粉が吹いたようなうどんこ病にかかりやすいので、春先に殺菌をし風通しの良いところで育てる。
・開花期は、6-8月で、真っ白な4-5㎝の立体的な花が茎の先端に咲く。
・柑橘系の香りが全体からし、ベルガモット・オレンジに似たさわやかな香りがする。
・若葉、花は、サラダ、ハーブティー、飲み物の風味付けなど利用範囲が広い。生・乾燥させて入浴剤としても利用される。
・開花後は、株が疲れてうどんこ病が出やすいので、収穫を兼ねて茎を1/3ほど残してカットするとよい。花後にはお礼の追肥を。
・一年おきに春先に地下茎の株わけで新株を作り増やすとよい。鉢で育てる場合は、繁殖力が旺盛なので、元気な茎を残しカットする。
・殺菌性チモールを含むので風邪に効果があり、ハーブティーはリラックス効果があるという。その割にはイギリスとの戦争に突入したのであまり飲まなかったのだろう。

コレクター
Seymour, Arthur Bliss (1859-1933) 1891年
この「ベルガモット」は、アメリカ先住民のブラックフィートインディアン(Blackfeet Indians)がハーブとして活用していたが、西洋人としての採取者は、シーモア(Seymour, Arthur Bliss 1859-1933)が記録上での最初のコレクターのようで、1891年にノースカロライナで採取している。
シーモアは孤児だったが親類に育てられ、5歳の時には猩紅熱にかかり耳が不自由になったりしたがイリノイ大学に入学した。植物・菌類に興味を持ち卒業後も助手として残ったが、1886年からハーバード植物標本室のフェローとして務め、生涯8万種もの菌類を分類しそのレポートを書いた。ハーバード大学の菌類学は彼が基礎を作ったといってもよい。

(写真)清水公園ハーブ園に咲くベルガモット‘ピンク’
   

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オレガノ(Oregano)の花

2009-06-27 13:07:36 | その他のハーブ
(写真)オレガノの花
        

古代ローマの料理に関して唯一残っている書物というのある。
『アピキウスの料理書』といわれるものだが、アピキウスは、人生の最大の関心事は美味な食事であり、料理と食べる楽しみに没頭し美食家として歴史に名を残したが、わずかな宴会に一元首の収入に当たる額をつぎこんでいたので、借金で首が回らなくなったという。

『アピキウスの料理書』は、3世紀を過ぎるまでは誰にも知られていなかったようだ。記されたラテン語から4世紀後半に誰かによる編集でできたと推定されているが、この中に「オレガノ」が“ソースをおいしくするスパイス”として書かれている。

「オレガノ」「スイートマジョラム」は同じ属にある近縁のハーブで、“生なら「スイートマジョラム」、乾燥は「オレガノ」”といわれるぐらいイタリア料理に欠かせない。

違いは、「オレガノ」は樟脳のような香りとほろ苦い味がし、甘い香りで繊細な味がするマジョラムと比べると野性的でくせが強い。だから「オレガノ」のことを「ワイルドマジョラム」とも呼ぶのだろう。


「オレガノ」は歴史が古いハーブで、“幸せをもたらすハーブ”として尊敬されているが姿かたちに特色がなく、今的な言葉で言えばタレント性が感じられない。ストレートに言えば、山路にある雑草といったところが似つかわしい。

メキシコを含めて地中海性気候で育つハーブの印象として、派手系のメキシコ原産のハーブに対して小アジア・地中海沿岸のハーブは地味系が多い。

しかし、人間社会での有用性は薬草としても、香り付けの香草としても優れており、
見かけで才能はよくわからないということを地で行っている。

オレガノを形態で区分すると、3タイプがある。
オレガノの仲間3グループ
(1)オレガノ、ワイルドマジョラムと呼ばれるオリガヌム類(本稿)
(2)スィートマジョラムを代表とするマヨナラ類
(3)オレガノケントビューティなどの観葉植物のアマラクス類


一般的にオレガノと呼ばれるのは、
オリガヌム類のワイルドマジョラムであり、緑色の葉と野性的な香りがする。この香りには殺菌効果があるので食品の保存材としても使われてきた。また、ホップが使われるまでビールの苦味付けとして利用されていたという。

オレガノは、耐寒性があるので育てやすい。タネから育てる場合だけ注意が必要で、これは参考書を読んでいただきたい。注意点は、「オレガノ」は、直射日光に弱いため、陽に当たった葉は暗緑色となりとてもきれいとはいえない。半日陰などで直射日光を当てないようにして育てる。

キッチンハーブとして使う場合は、
オリガヌム種のグリークオレガノ(O.vulgare subsp.hirtum)がお奨めだが、育った苗には香りにばらつきがあるので、いい香りがするものを選んでこれを株分け、さし芽などで増やすと良い。

(写真)オレガノ立ち姿
        

オレガノ(Oregano)・ シソ科ハナハッカ属の耐寒性がある丈夫な多年草。
・学名は Origanum vulgare。英名がOregano、Wild marjoram、和名はハナハッカ。
・原産地は、ヨーロッパ南部からアジアの東部。
・草丈は、50~60㎝
・開花期は7~9月で円錐状の花穂は直立して白い花を咲かせる。ピンク、紫の花色もある。
・乾燥には強いが直射日光に弱く葉色が悪くなるので、場所に留意する。
・開花後枝を刈り込むと秋に新しい枝が出る。葉を増やすには刈り込むと良い。
・ミントのような香りがし、トマトとの相性がよいのでイタリア料理の必需品。

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フロックス・マキュラタ(Phlox maculata)の花

2009-06-26 08:24:26 | その他のハーブ
(写真) フロックス・マキュラタの花


アメリカ合衆国東部の草原(meadow)に自生するフロックス・マキュラタは、円錐形に花が集まって咲く
コモンネームとしてmeadow phlox(メドウ・フロックス)とも呼ばれているが、まさに、湿った草原が自生地の花だ。

その花姿は、同属のフロックス・パニキュラータ(Phlox paniculata)と同じ直立の茎の頂上に花が密集し、円錐形を形作る。

花は、白地の花弁を、淡いピンクの色が矢車のように5枚の花弁に線を描き
ユニークな模様となっている。
確かに、甘い香りが漂い、好き好きがあるが悪くはない。

フロックスは、バラと同じぐらい育て方が難しい。うどんこ病、ハダニ、根ぐされなどの問題を抱える。陽射しのある風通しの良いところでやや過湿気味に育て、春先に殺菌をしておくとよい。

(写真)フロックス・マキュラタの立ち姿
        

フロックス・マキュラタ(Phlox maculata)
・ハナシノブ科フロックス属の耐寒性がある多年草。
・学名は、Phlox maculata L.(フロックス・マキュラタ)。英名はmeadow phlox(メドウ・フロックス)メドウは草原とか湿地の意味、別名wild sweet William。
・原産地は北米(南東部米国)の湿った草原。
・草丈、40~70㎝で直立し、茎の先にピラミッド型にピンクと白の色の花をつける。
・開花期は6~7月。甘い香りがする。
・うどんこ病にかかりやすいので、春先に予防的な薬を散布しておく。

フロックス・マキュラタを発見したリンネの使徒Kalm
フロックス・マキュラタの命名者はリンネだが、コレクターは、スウェーデンの植物学者ピーター・カール(Pehr Kalm 1716 - 1779)で、サルビア・リラータ‘パープルボルケーノ’の採取者でもあった。

彼は、ツンベルグ同様にリンネの弟子であり、植物研究が遅れている未開拓地に送り込まれることでも運命をともにしている。

カールが送り込まれたところは、スウェーデンの科学アカデミーが探検地を決定していた北米、カナダであり極寒地での繊維産業育成に役立つ植物収集(=ハンティング)だった。

1747年に北米の探検旅行に出発し、ペンシルバニアに1748年に到着したが、ここで、ベンジャミンフランクリンと知り合い友情を結ぶ。
ベンジャミンフランクリンは、言うまでもなくアメリカ独立宣言にかかわり、いまでは偽札が多い100ドル紙幣の顔となっているが、その多彩さはダヴィンチのようでもある。

カールは、ナイアガラの滝をヨーロッパに紹介し観光地としたことでも知られているが、植物ハンティングの旅は、5大湖周辺だけでなくモントリオール、ケベックなどをも探索した。

最大のプラントハンティングの目的であった、スウェーデンでの絹産業の振興は、持って帰った桑の木の種が育たないことで失敗したが、北米探検旅行の本はその後出版され、ドイツ語、フランス語、米語などに翻訳され、その当時の北米の動植物の世界と植民地の生活がヨーロッパに伝わった。

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スカシユリ“エロディ”(Lilium 'Elodie')の花

2009-06-25 11:35:56 | その他のハーブ
(写真) スカシユリ“エロディ”の花


「スカシユリ“エロディ”」は、60㎝程度の茎の先に7個のつぼみがつき、6月になると美しいパールピンクで半八重咲きの花が順に咲き、庭のアクセントとして彩を豊かにする。

「スカシユリ」自体が園芸が盛んになった江戸時代に「エゾスカシユリ」と「イワトユリ」を交雑して作られた園芸品種だが、「スカシユリ“エロディ”」はそのハイブリッド品種となる。

その親の一つである「エゾスカシユリ」(Lilium dauricum Ker Gawl.)は、
北東アジア・北海道の海岸近くの砂地に生息し、オレンジ色に紫褐色の斑点がある10cm程度の花を上向きに咲かせる。
ヨーロッパには1830年代にシーボルトによってもたらされたようだ。

もう一つの親である「イワトユリ」(Lilium maculatum Thunb.)は、
日本の中部以北の沿岸の岩場・砂地に自生し、日本海沿岸では5月下旬から6月に開花し、太平洋沿岸ではこの1ヵ月後に開花する。赤味が入ったオレンジ色に赤褐色の斑点が入り12-13cmの花が上向きに咲く。
「イワトユリ」の学名は、1794年にツンベルク(Thunberg, Carl Peter 1743-1828)が命名者するが、種小名のmaculatumは斑点を意味する。
「イワトユリ」の別名は「スカシユリ」と呼ばれるが、野生種を「イワトユリ」、  園芸品種を「スカシユリ」 と区別して呼ぶ。


ヨーロッパをときめかした日本のユリ
ユリ属は、北半球の亜寒帯から亜熱帯地域に96種が分布し、日本にはそのうちの15種がある。ヨーロッパには12種ぐらいしかないので、中国・日本のユリがもたらした驚きは鮮烈だったようだ。
日本のユリは、幕末にシーボルトによってヨーロッパにもたらされ「イースター・リリー」として大流行した。
そういえば、バラの場合も同じような歴史があり、日本・中国の原種がユリ・バラの園芸品種の歴史を大きく変えることとなる。

<興味があれば以下を参照ください>
その45:西欧をときめかした日本のユリ①
その46:西欧をときめかした日本のユリ②シーボルトとカノコユリのストーリー

(写真) スカシユリ“エロディ”の立ち姿
        

スカシユリ・エロディLilium 'Elodie'
・ユリ科ユリ属の多年生の球根
・学名は、Lilium asiatic 'Elodie'。スカシユリの園芸品種。
・スカシユリは、エゾスカシユリとイワトユリの交雑で作られた園芸品種。
・草丈は、60‐80㎝
・開花期は6-7月。肉厚の花弁、パールピンク色のセミダブル八重咲き。
・日当たりの良い場所で、排水のよい土壌で湿り気味に育てる。

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マシュマロウ(marsh mallow)の花

2009-06-24 08:51:00 | その他のハーブ
(写真)マシュマロウの花


「マシュマロウ」の花は、白地に紫のしべがアクセントとなり、上品さをかもし出し敬虔な気持ちにさせられる。カソリック教会で出会うカラーバリエーションなのでそう感じるのだろうか?

「マシュマロウ」は、東ヨーロッパ・北アフリカの海岸近くの沼地に自生し塩分に強い性質を持つ。古代ローマ時代には、マロウ類は野菜として食べられていて、その中でも一皿の「マシュマロウ」はご馳走のようだった。

薬としての利用もされ、マロウ類の中でも呼吸器系・消化器系に高い薬効があるハーブと信じられ、学名自体が効果をうたったものとなっている。

また、かつては「マシュマロウ」の根を乾燥させ粉末にしてソフトキャンディの“マシュマロ”を作っていたが、いまでは、卵白・ゼラチン・砂糖などで作られているので使われていない。子供の頃は、甘酒とマシュマロが食べたくて風邪をひきたかったものだ。

最近では、「マシュマロウ」をくしに刺してロウソクの火で焼き、恋占いと称するギミックにも使われているが、古の頃は、無罪を証明するために真っ赤に焼けた鉄を握り、やけどをしなければ無罪という宗教裁判的なことがあり、司祭の目を盗み、マシュマロウ・卵白からなるものを手に塗りやけどを防ぐことに使ったという。
同じ占いでも時代が違うと大分重みが違う。


栽培で注意することは、春先に剪定し丈を詰めたほうがよいが、剪定しなかったら2m近くの草丈となり写真が撮り難いほど成長した。
また、日当たりが良い場所で育て、夏場は乾燥させないように水遣りを小まめに与える必要がある。

(写真)マシュマロウ花と葉
        

マシュマロウ(marsh mallow)
・アオイ科ビロードアオイ属の耐寒性がある多年草 、戸外で越冬できる。
・学名は、Althaea officinalis L.(アルタイア オフィシナリス)。属名のAlthaeaは、ギリシャ語で、病気が治る、回復する、治療するcureを意味する"althaia"が由来。種小名のOfficinalis(オフィシナリス)は、ラテン語で『薬用のmedicinal、薬効の』を意味する。
・英名は、marshmallow、white-mallow。和名は、ビロードアオイ。
・原産地 ヨーロッパ・中央アジアの塩分のある沼地に自生する。
・草丈 1~1.2mで直立する。葉はカシワのような大柄な葉で優しい黄緑色。茎・葉には柔らかいビロードのような繊毛がある。ここからビロードアオイとも呼ばれる。
・新芽が伸びてきたら摘心を春に行い丈を調整する。
・開花期は、6~8月で、白い花が多数咲く。
・marsh(湿地)に育つmallow(アオイ科の植物の総称)ということで、夏場は水切れに要注意。
・冬場は、根元10cmぐらいで切り戻しておく。
・殖やし方は、早春に植え替えとともに株分けをする。
・利用範囲が広く、ハーブティ、サラダ、根はゆでてバター炒めで食することが出来る。捨てるところがない優等生。
・古代ギリシャ時代は、咳止めなどの薬として使用された。

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ヤシガニで泡盛

2009-06-23 18:05:06 | グルメ
神田錦町のとある地下一階に怪しげな店が月一回オープンになる。
その名は、八重山バー『こがめ』。
八重山といえば、沖縄石垣市の八重山諸島を指す。

そう、このバーは、沖縄八重山諸島の貴重な食材と八重山で作っている泡盛が楽しめる店で、月に1回だけオープンになる常識では成立しない面白い店だ。

先週の第三土曜日が今月一回だけのオープンであり、珍しいモノがあった。
西表島産の「ヤシガニ」だ。
名前は聞いたことがあり、硬い甲羅、凶暴な性格、夜行性ということは知っていたが姿かたちを見たのは初めてだ。

(写真)姿蒸しされた「ヤシガニ」


この貴重品の「ヤシガニ」の姿蒸しを6人ぐらいで食べてみた。
なるほど甲羅は硬くペンチで砕かないと開かない。
足の部分を分け合い食べてみたが、毛ガニよりも美味いと思った。
淡白でスッキリした味わいであり、植物性の餌を食べているせいかやさしさがあった。生臭さなど余分な雑味がなくこれまで食べたカニの中でも最高の味わいだった。

ミソがまた素晴らしかった。
コクがあり、柔らかく、口の中でパ~ッと広がるこの味は何なんだ?
と思うほどだった。

箸の先にチョッピリつけてなめ、泡盛をグビッと飲む。
最高級のウニを超える味が至福の感激をもたらす。 美味いものを食って幸せになれたのは久しぶりだ。

6人とも夢中で残すところ無くしゃぶりつくしたので、「ヤシガニ」も本望であったろう。なんて人間の屁理屈が顔をだすが、「ヤシガニ」はいざ知らず我々は感動ものだった。

(写真)「ヤシガニ」


「ヤシガニ」は、カニの仲間ではなく、ヤドカリの仲間で陸上の甲殻類では最大級の体格を誇るという。
ヤシの木に登ってヤシの実を落として食べるので「ヤシガニ」といわれるが、実は何でも食べる雑食のようだ。生息地域は、インド洋からミクロネシアそして八重山諸島までと非常に広い。
肢が10本で前の2本が巨大な鋏となっており、この破壊力はすごいという。何しろあの硬いヤシの実を破壊して食べるので挟まれたら一巻の終わりだ。

この「ヤシガニ」も生き難い時代になって来ているようだ。自然環境の減少と交通事故で頓死しているという。植物には庭という新しい環境が出来たので、ここに移転すれば生存できるが、動物・昆虫などは難しい。
いづれ、養殖などがされるようになると種は保存できるのだろうが、それまでが大変のようだ。

八重山でも貴重な名物料理のようだが、青い海と空の下でなく、地下のバーで食した「ヤシガニ」には、素直にその味で感動した。
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コモンマロウ(Common Mallow)の花

2009-06-23 08:18:28 | その他のハーブ
(写真)コモンマロウの花


梅雨の時期になると「コモンマロウ」の花が咲く。
赤紫色の花に濃い赤紫の模様が入り、この複雑さが魅力となっているが、何となくゼラニュウムに似たような模様がある。

イスラムの世界では「ウスベニアオイ」が「ゼラニュウム」に変身したという伝説があり、こんな印象を昔の人も持ったのだろうか?

「コモンマロウ」は、花以上にハーブとして愛されてきた。
葉や花は食用にされ、サラダ・ハーブティとして利用される。乾燥させた葉や花を煮出したものはのどや気管支などの痛みをとる効果があるという。

育て方はいたって簡単で、腐葉土を多くした土で栽培し、春先に株を新しくするために、古い株を剪定し新しい芽を伸ばすようにする。

(写真)コモンマロウの立ち姿
        

コモンマロウ(Common Mallow)
・アオイ科ゼニアオイ属の耐寒性がある多年草
・学名は、Malva sylvestris.L.。英名がコモンマロウ(common mallow)、high mallow、和名はウスベニアオイ。
・原産地は、南ヨーロッパ。
・草丈60㎝~100cmで、大柄な葉にはビタミンが豊富。
・開花期は5~8月。開花期に花と葉を収穫しハーブティーに利用する。レモンを入れると青からばら色に変化する。
・耐寒性強いので、戸外でも大丈夫。
・耐暑性やや弱い。鉢の場合は、マルチングし乾燥を防ぐ
・こぼれダネでふえ野生化しやすいので注意する。
・3月頃に、地上部10cm程度を残し剪定し株を若返らせる。
・さし芽でも増やせる。冬越しした株元近くの元気なわき芽をさし芽する。

        
<Contents of the last year>
属名のMalva(マルウァ)は、ギリシャ語でやわらかいという意味に由来し、薬用・食用で栽培されてきた。サラダにも良いそうだが、見た感じでやわらかいとは思えず、まだ食べたことはない。

この花は日本の風土になじんだ純和風の香りがするが、原産地は小アジア・ヨーロッパ南部で江戸時代にこの変種のゼニアオイが日本に入ってきたようだ。


近縁種のタチアオイ(=ホリホックHolly-hock)は、5万年前のネアンデルタール人の墓で発見された野草の中にもタチアオイの花があったぐらい古い歴史がある。

ヨーロッパには十字軍の頃に伝わり、日本にはもっと早くに、シルクロードを通り中国経由で入ったようだ。
敦煌130洞窟(366年からはじまる)の壁画にもタチアオイの1株が描かれているようであり、シルクロード経由で中国に伝来した裏づけとなっている。

和名のタチアオイは立葵と書くが、葵は、葉が傾いて日に向かい根元を日に照らさないように守るところからきており、知恵があって揆(はかる)=葵になったという。

徳川氏の家紋は“三つ葉葵”であり、由来は諸説あるようだがめでたい植物としての評価があったようだ。

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ムスクマロウ(Musk mallow)の花

2009-06-22 09:52:41 | その他のハーブ
(写真)ムスクマロウのつぼみ、開花直前、花




        


薄いピンクが入った大きな花が咲いた。花のサイズは8-10cmとかなり大きい。
今年は、つぼみの数が少ない代わりに大きい花を咲かせたのだろうか?

この大きな花が咲く直前の写真が撮れた。
つぼみが大きくなり、折りたたんでいた花びらが開花している途上のシーンで、なるほどという折りたたみ方だった。

ムスクマロウ(Musk mallow)
・アオイ科ゼニアオイ属の耐寒性がある多年草。
・学名は、Malva moschata Blanco。英名がMusk mallow、和名はジャコウアオイ(麝香葵)
・原産地はヨーロッパ、北アフリカ。
・草丈は、60-80cmぐらいで、コモンマロウよりは小ぶり。
・土壌は肥沃でやや湿り気味にする。
・開花期は6~8月。薄いピンクが入った直径5-8cmの花が咲く。
・柏のような形をした葉には名前どおりのムスクの香りがする。葉の形はコモンマロウに近い。
・葉は茹でて料理に使える。ビタミンA・B・Cを含む。

命名者は、1753年にリンネが多くの植物に学名をつけたが、その後の1837年にブランコ(Blanco, Francisco Manuel 1778-1845)が命名する。
ブランコは、スペインの修道士・植物学者であり、聖アウグスチヌスの修道士としてフィリピンに派遣されここで晩年に国中を旅行し1837年にフィリピンの植物誌を書く。この植物誌はリンネの体系に準じていてフィリピンの包括的な植物相としては初めての著作物。
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