モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

オーストラリアンローズマリー(Westringia fruticosa)の花

2018-06-14 13:27:57 | ローズマリー&ラベンダー
(写真)ウエストリンギア・フルーティコサ’バリエガータ’(Westringia fruticosa 'Variegata')の花


オーストラリアの東海岸の崖の上で育つ『ウエストリンギア・フルーティコサ(Westringia fruticosa)』は、 「オーストラリアン・ローズマリー」といわれるようにその灌木の立ち姿と葉の形はローズマリーによく似る。

本来のローズマリ(Rosmarinus officinalis)は、地中海周辺の海岸近くに生育し、属名のRosmarinus は、“海の雫(しずく)”を意味するように、ブルーの花は地中海の一滴の雫のようだ。

(写真)ローズマリー(Rosmarinus officinalis)の花


これに対して、オーストラリアン・ローズマリーの花は、古代からの神々の物語とか神秘性とは無関係であるがごとく、明るく健康的でスッキリとしていて、地中海原産のローズマリーとまさに対極的なポジションにいるような印象を受ける。

温暖で乾燥したところが適地なので、梅雨時期には軒下、夏場は半日蔭、冬場は室内または霜の当たらないところが良い。ということは 鉢植えで育てることになり、地植えの場合は木陰等場所を選びたい。
開花期が 初春から初夏までと比較的長く、剪定をうまくやれば1mぐらいの高さのブッシュを作れそうだ。

【学名にある過去の記録】
学名のウエストリンギア・フルーティコサ(Westringia fruticosa (Willd.) Druce 1917)は、1917年に英国の植物学者ドルース(Druce, George Claridge (1850-1932))によって命名された。
ドルースは後にオックスフォードの市長となるが、私生児として生まれ薬局の見習いからスタートし、試験に合格し薬剤師となりオックスフォードで薬局を経営するようになる。また、植物学に興味を持つようになり、ロンドン・リンネ協会、王立協会のフェローにも選ばれたというので趣味の領域を超えた活動であることは間違いない。

ところで、オーストラリア東岸の海岸線に育つこの植物が1917年に命名されること自体が遅すぎるので、この疑問を調べると・・・・
オーストラリア大陸にヨーロッパ人が初めて到着したのは1606年であり、オランダ人の航海士ウイレム・ヤンツーン(Willem Janszoon Blaeu 1571–1638)がオーストラリア大陸の北部に到着した。
一方、ウエストリンギア・フルーティコサの原産地であるオーストラリア東海岸に初めて到着したヨーロッパ人は、エンデバー号で世界一周航海をしていたイギリスのジェームズ・クック(James Cook 1728-1779)であり、1770年にオーストラリア東海岸、シドニーの南方のボタニー湾に上陸した。

なお、このクック船長の第1回の世界一周航海には、後の英国科学界の重鎮でプラントハンターを世界に送り出した27歳のサー・ジョゼフ・バンクス(Sir Joseph Banks 1743− 1820)がこの探検隊の博物学者という役割で乗船していたので、バンクス卿達が採取した可能性もある。

つまり、ウエストリンギア・フルーティコサ(Westringia fruticosa (Willd.) Druce 1917)は、1770年代にオーストラリア東海岸で採取され命名されても良さそうなことが分かる。

このヒントは、学名“Westringia fruticosa (Willd.) Druce 1917”の中の“(Willd.)”にある。
1917年にドルースによってウエストリンギア・フルーティコサと命名されたが、それ以前に“(Willd.)”によって別名で命名されている。ということを意味する。

“(Willd.)”は、ドイツの植物学者カール・ルートヴィヒ・ヴィルデノウ(Carl Ludwig Willdenow、1765-1812)であり、1797年にCunila fruticosa Willd. と命名している。
この属名のCunilaは、北米・南米原産の植物に1759年に名付けられた。

ヴィルデノウは、南米を探検したフンボルトの師匠であり、フンボルトたちが収集したアメリカ大陸の植物の調査研究をし植物地理学を創設した人物であったが、北米・南米原産の属からオーストラリア原産のウエストリンギア・フルーティコサ(Westringia fruticosa)が分離された。

単純なことだったが、植物地理学を構築したヴィルデノウが北米・南米の植物グループにオーストラリア原産の植物を入れたことは良くなかったが、誰がオーストラリア原産の植物をヴィルデノウに持ち込んだんだろうかということが気になり始めた。この人物が最初の採取者かもわからない。

(写真)直立型でなく横に広がるウエストリンギア・フルーティコサ


ウエストリンギア・フルーティコサ(Westringia fruticosa)
・シソ科ウエストリンギア属の半耐寒性常緑の低木。
・原産地はオーストラリア東部のニューサウスウェールズ州の海岸近くに生息し、日本では、オーストラリアンローズマリーとして流通している。
・学名は、ウエストリンギア・フルーティコサ(Westringia fruticosa (Willd.) Druce 1917)で、1917年に英国の植物学者ドルース(Druce, George Claridge (1850-1932))によって命名された。
・属名のWestringiaは、スエーデンの医師でコケ類の専門家Johan Peter Westring (1753-1833)を称して名付けられ、オーストラリアの低木25種が属する。種小名のfruticosaは、shrubby=生茂る低木を意味する。
・開花期は春から初夏
・樹高は1~1.5mで横幅も同じぐらいをみる。
・常緑で夏場は半日蔭で育てる。冬場は半耐寒性なので霜の当たらないところで育てる。
・水遣りに注意する。乾燥気味に育て、土が乾いたらたっぷりと与える。梅雨時は軒下などで育てる。
・生け垣などに使われるようだが、横に広がるので狭い庭には不向きだろう。
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ローズマリー・ホワイト(Rosmarinus officinalis var.albiflorus)の花

2016-04-07 14:21:04 | ローズマリー&ラベンダー
(写真)ローズマリー・ホワイト(Rosmarinus officinalis var.albiflorus)の花

ローズマリーは、地中海の海の雫(シズク)と言われるようにブルーの花が多いが、ローズマリーでは珍しい白い花が二年目にしてやっと咲いた。

このローズマリーは、ローズマリー・オフィキナリス(Rosmarinus officinalis)の変種で、白い花はローズマリーでは珍しい。
しかし、民間伝承では全てのローズマリーはかつて白い花を咲かせていたが、聖母マリアがユダヤの王ヘロデの軍隊から逃れる時に彼女のマントをローズマリーの茂みにかけたらブルーの花になった。という言い伝えがある。

Rosmarinus の語源は、rōs (“dewしずく”, “moisture”) + marīnus (“marine海”, “of the sea”). Literally meaning "dew of the sea海のしずく"であり、地中海の海のしずくはホワイトではなくブルーでなければならないはずだが・・・・。

ということで、すべてのローズマリーはかって白い花を咲かせていたという無理筋をつくったのだとしか思えないが、奇跡があること自体面白いし、この程度のデフォルメはほほえましい。

写真のローズマリーは、2年目で樹高20㎝程度だが、80cm~100cmまで直立で成長するというので、日当たりの良い乾燥気味の土壌で生垣としても利用できそうだが、鉢植えで何処まで行けるかやってみることにした。


(写真)ローズマリー・ホワイトの葉と花


ローズマリー・ホワイト
・シソ科マンネンロウ属の半耐寒性の常緑低木。
・学名はRosmarinus officinalis var.albiflorusで、属名のRosmarinusは、雫(シズク)を意味し、種小名のofficinalisは、薬用を意味する。そして、varは、Rosmarinus officinalisの変種を意味し、最後のalbiflorusがalbus (“white”) + flōs (“flower”)で白い花を意味する。
・樹高80cmで直立性、葉は肉厚な針形で芳香がある。
・四季咲性で春から夏、秋から冬にローズマリーでは珍しい白い花を咲かせる。
・水はけが良く、乾燥気味の弱アルカリ性の土壌で、日当たりの良いところがベストな環境。

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レースラベンダー・ゆづきの花

2009-09-12 07:42:46 | ローズマリー&ラベンダー

(写真)レースラベンダーゆづきの花


「レースラベンダー、ピナータ」の原産地は、アフリカの北西沿岸にある現スペイン領の島、カナリア諸島だが、

日本で作出された珍しいレースラベンダーがある。
作出者は愛知県田原市の福井恒芳氏で、2008年12月に品種登録の出願がされているので最近作出された新品種でもある。

「ピナータ」は薄紫の花色だが、 「ゆづき」はこの花色が脱色したような色合いであり、白に淡い紫がかすかに残っているような花色だ。

キメラ斑入りの「ゆづき」?
どこが珍しいのかを日本最大の花卉市場である大田市場の花卉部のブログから紹介すると、「ゆづき」はギリシャ神話に登場する『キマイラ(Chimaira)』のようであると推測している。

ギリシャ神話の『キマイラ』は、ライオンの頭と山羊の胴体、蛇の尻尾を持つ伝説上の怪物であり、理屈ぽくいうと複数の遺伝子情報を有する個体ということになる。

植物では、"斑(ふ)入り"、種類が異なる植物の"つぎ木"から出た芽などが複数の遺伝子情報を持つ植物ということになるようだが、
「ゆづき」の場合は、花の色素が消えて白い色となり、茎の葉緑素が消えて黄色となるところから“キメラ斑”ではないかと推測している。

なるほど、“斑入り”ということは、花とか葉などの色素の一部を欠落させるので、違った色が出てくるということがわかった。

江戸時代の日本の園芸技術は、この“斑入り”が進んでいたようであり様々な“斑入り”植物が作られていたようだ。
後ほど改めて調べることにしよう。

(写真)「ゆづき」の立ち姿
        

レースラベンダー・ゆづき
・ シソ科ラバンデュラ属の半耐寒性の常緑性低木。
・ 学名は、Lavandula pinnata ‘yuduki’。農林水産省品種登録商品。
・ レースラベンダーともいわれるプテロストエカス系のラベンダーから選抜育成された品種。作出者は愛知県田原市の福井恒芳氏で、2008年12月1日に品種登録を出願。
・ 原産地は、カナリー諸島、北アフリカ・地中海沿岸。
・ 樹高は30-50cmで、灰緑色のシダのような切れ込みがある葉、10cmほどの長い花穂に淡い白紫の花が咲く。
・ 開花期は3-11月。花後に花穂を刈り込むと長期間咲き続ける。花穂が一杯出た場合は間引きすると良い。
・ 夏場の取り扱いに注意。風通しの良い半日陰か1日二回の水遣りで水切れに注意。

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ローズマリー‘サンタ バーバラ ブルー’の花

2009-09-11 09:47:30 | ローズマリー&ラベンダー
(写真)ローズマリー・サンタバーバラ ブルーの花


ローズマリーの中でも逸品といわれている「サンタバーバラ」の花を手に入れた。

匍匐性のローズマリーで、淡いブルーの花色と明るい緑色の葉に特色があり、葉の色を除くと、カリフォルニア、サンタバーバラのデ・フォーレスト夫妻の庭園で作出された「ロックウッド デ フォレスト」にとてもよく似ている。

段差のある石垣から垂らす、或いは、鉢植えでハンギングすると多花性でもあり見事な生垣になるようだ。


この「サンタバーバラ」の作出の由来は良くわからないが、初期の頃はカルフォルニアの小さな園芸愛好家のサークルのみで知られていたようであり、作出に関わったのか広める役割をしたのがジム・ロックマン(Jim Lockman)のようだ。

ロックマンは、カリフォルニアのオークランドに住む生態学者・園芸家で、1997年にバークレーにあるフランシスコ神学大学の庭園の設計をしたことでも知られている。

このフランシスコ会派は、自然の中で学ぶことを愛しており、ジム・ロックマンは、彼が研究したアマゾン流域のジャングルをイメージする庭園を設計したという。

(写真)匍匐性のローズマリー・サンタバーバラ
        

ローズマリー‘サンタ バーバラ ブルー’(Rosemary 'Santa Barbara Blue')
・ シソ科マンネンロウ属の半耐寒性の常緑低木
・ 学名は、Rosmarinus officinalis ‘Santa Barbara Blue’。
・ ローズマリーの原産地は地中海沿岸。この品種に関しては、米国カリフォルニアで作出された交雑種のようだ。
・ 樹高30cmで匍匐性があり鉢植えが適していてハンギングなどで愉しむ。
・ 四季咲き性で淡いブルーの花が咲く。
・ 日当たりが良い乾燥した土壌が適しているが、半日陰、気温の高いところでも育つ柔軟な性質を有している。

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ラベンダー、グロッソ(Lavender Grosso)の花

2009-07-09 10:00:35 | ローズマリー&ラベンダー
(写真) グロッソ・ラベンダーの花


フランス南東部で作出されたラバンディン系統(Lavandula × intermedia Loisel.)には31種の交雑種があるという。

この“ラバンディン系統”は、イングリッシュラベンダー或いはコモンラベンダーとも呼ばれるラベンダーの中のラベンダ、“アングスティフォリア系(L.angustifolia)”と、この種よりも標高が低い600m以下の南ヨーロッパの山麓に自生する耐寒性に優れた「スパイクラベンダー」との自然交雑或いは人為的な交雑によって生まれた品種である。

最初の“ラバンディン”は、1920年代の後半に自然交雑で誕生した「アブリアリ(Abrialii)」で、これをクーロン技術で殖やし香りの良い精油を生産するラベンダーとなった。
しかし、土の中の細菌で1970年には全滅したという。

これに取って代ったのが耐暑性・耐病性に強い丈夫で育てやすい「ラベンダーグロッソ」であり、ラベンダー精油の救世主となった。

「ラベンダーグロッソ」は、いまでは“ラバンディン系統”の代表的な品種で、グロッソ(Pierre Grosso)によって1972年にフランス南部にあるラベンダーの名所プロバンスのVaucluseというところで作出された。

という説と、この地で自然交雑した品種を誰かが発見し、クーロンを作る技術を有したラベンダー育種家として著名なグロッソの名前を付けた。という二つの説があり良くわからない。

どちらでもいいが、どうも自然交雑した種を発見し、これを育てるところにグロッソが関与したという後者の説が良さそうだ。

この「ラベンダーグロッソ」が発見されたので、精油を取る商業栽培品種として広まっていったが、いまでは、その葉・花・香りの良さが評価され観賞用の園芸品種として普及している。


我が家の「ラベンダーグロッソ」は、瀕死の状態にあったが、鉢を替え日陰に置いておいたら復活し今年初めて開花した。

特徴としては、他のラベンダーと較べて耐暑性が強いので気温の高いところでも日陰で風通しの良いところなら育つようだ。
地植えすると3年で大株に育つので場所を考えないといけない。それまでは、開いた空間に一年草とかグランドカバー的な植物を植えるとか工夫が必要だ。

どうもラベンダーとは相性が悪いようでなかなか定着しないが、復活したラベンダーは初めてだ。

(写真)ラベンダーグロッソの葉と花


ラベンダー、グロッソ(Lavender Grosso)
・シソ科ラバンデュラ属の耐寒性がある常緑の小低木。
・学名:Lavandula × intermedia Loisel. 'Grosso'
・1972年にフランスのVaucluseで発見され、グロッソ(Pierre Grosso)の名がつけられたラバンディン(Lavandin)系の交雑種。
・ラバンディン系のラベンダーは、L. angusutifolia(アングスティフォリア)と  L. latifolia(ラティフォリア)の交雑種をいう。
・ラベンダーの中では開花期が遅く、6月中旬頃から長い花茎をのばしその先に花穂をつけ紫色の小花が咲く。
・排水性のよい土壌で日当り風通しが良いところで育てる。夏場は半日陰が良さそうだ。
・種では殖やせないので、カッティングでさし芽で殖やす。

命名者
Loiseleur-Deslongchamps, Jean Louis August(e) (1774-1849)
フランスの医師・博物学者・植物学者

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ローズマリー“ロックウッド デ フォレスト”の花

2009-02-06 09:51:00 | ローズマリー&ラベンダー

(写真)  “ロックウッド デ フォレスト”の花


「ロックウッド デ フォレスト」の花が咲き誇っている。ローズマリーの中でも花の形が美しい。
上の花弁2枚が直立し雄しべ雌しべが丸みを帯びるので横から見ると飾り文字の“L”のようでもある。
ローズマリーは、意外と気分やでパラパラとしか咲かないので、こんなに花がつくのはめずらしい。

この“ロックウッド デ フォレスト”は、半匍匐性なので、深めの鉢に入れ、上からたらすように仕立てていこうと思っているが、成長がのんびりしているのでかなり時間を要する。
はやく、ローズマリーのみごとな枝ぶりの数々を作りたいが、10年はかかるのだろう。

10年持つだろうかこの思い。というのが多少気になる。
こんなことを考えると、日本の盆栽のようでもあるが、ローズマリーの庭は、受け継がれる長期的なガーデニングの思想がないと出来上がらない。
10年先にも残っているのだろうか?

(写真)立ち性の枝についた“ロックウッド デ フォレスト”の花


ローズマリー・ロックウッド デ フォレスト(rosemary Lockwood de Forest)
・シソ科マンネンロウ属の常緑小低木。
・学名は、Rosmarinus officinalis (Prostratus Group) 'Lockwood de Forest'。
・属名の“Rosmarinus(ロスマリヌス)”は、“海の雫(しずく)”という意味で、地中海沿岸の波の音が届く範囲に生息してことでつけられた。
・ローズマリーのグループ名の「Prostratus(プロストラータス)」は、ラテン語で“地をはう”の意味で、枝は地を這うか垂れ下がるかする。
・Prostratusグループのローズマリーは、壁またはロックガーデンのトップからの吊り下げ形が適している。
・ローズマリーの原産地は地中海地方だが、'Lockwood de Forest' 種は米国Santa Barbaraの庭で誕生した異種交配種。(詳しくは下記に記載)
・乾燥したアルカリ性土壌を好む。
・耐寒性は強い。
・草丈は20~200cm。匍匐性(ほふくせい)あり斜面に垂れ下がるか吊り鉢に適している。
・開花期は、初夏(6~7月)と冬(12~2月)が開花期
・ローズマリーには、様々な品種があるが、名前と実物をマッチングさせることが難しい。

“デ フォレスト”夫妻が偶然に作出した新種
この品種は、ロックウッド(Lockwood)とエリザベス・デ・フォレスト(Elizabeth de Forest)夫妻が、サンタ・バーバラ(Santa Barbara)にある自分達の庭で偶然に誕生しているのに気づきしばらくしてから発見したという。
サンタ・バーバラは、ロスアンゼルスから北150kmの海岸線上にあり、今では結構なリゾート地となっている。気候的には、ローズマリーの故郷と似た地中海性気候であり土壌としては適地である。

夫妻のこの庭には、La Mortola庭園オリジナルのRosmarinus officinalis ’Prostratus’とRosmarinus officinalisの茂みがあり、この2種の異種交配によって誕生したハイブリッドのようだ。

発見の時期は定かではないが、経緯はこうだ。
1930年代の初めにサンタ・バーバラの庭にシドニー・ミッシェル(Sydney Mitchell)という人物が訪ねてきて、「イタリアのモルトラ庭園で地を這うローズマリーを見た。是非ここで育てるべきだ。」と教えてくれ、このローズマリー・プロストラータス(Rosmarinus officinalis ’Prostratus’)を手に入れた。庭には、その時にすでに木立性のローズマリー(Rosmarinus officinalis)が植わっていた。

ある日、ロックウッドはこの2種と異なる種があることに気づき、これをカッティング(挿し芽)で殖やしていた。これが後に夫妻の名前をつけた新種のローズマリーだった。

エリザベスが新種に気づいたのはロックウッドが死亡した1947年以降であり、1963年には第三者が認める新種としてカタログに掲載されるまでになり、栽培者のロックウッドとデ・フォレスト夫妻の名前が入った現在の学名として認知されるまでになった。

このローズマリーは、今では、ロックガーデン、段差のある庭でトップから垂らすグランドカバーとして世界を魅了する人気のあるローズマリーとなっている。

“La Mortola Botanical Gardens”は、イタリアのリビエラにある有名な庭園。

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ローズマリー・ディープブルー(Rosmary "Deep Blue")の花

2009-01-27 09:26:37 | ローズマリー&ラベンダー

(写真)ローズマリーディープブルーの花


ローズマリー・ディープブルーの花が咲き始めた。
ローズマリーは気まぐれなところがあり、なかなか咲かない場合がある。
この花も久しぶりに咲いたという感じがする。

ローズマリーの中では、 「モーツアルトブルー」が最も鮮やかな青色の花を咲かせるが、
この「ディープブルー」の方が青色が濃いようだ。

ローズマリーの花びらは、上が二枚で下に3枚あり、その真ん中の花びらに昆虫達が乗ると長い雄しべと短い雌しべが昆虫の背中に降りてきて花粉をつける仕掛けになっているが、見較べてみると、品種での違いがだいぶありそうだ。

「モーツアルトブルー」は、均整が取れた形をしていてシャープな感じがするが
「ディープブルー」は、やや太めのずんぐりむっくりしたところがあり雪だるまの体型みたいだ。そして、航空母艦の甲板に飛行機の着陸を誘導するようなブルーのラインが蜜のあり場所に鮮明に誘導している。

(写真)これは“モーツアルトブルー”の花です


この2年間を振り返ってみると、ラベンダーからローズマリーに軸足を移している。
両方とも日本の高温多湿の夏が苦手で、一昨年の暑い夏にラベンダーが相当なダメージを受けてしまった。
それ以来、ラベンダーを増やすのを止めローズマリーにシフトした。

ローズマリーは成長が遅く、開花も完全ではないが、ある程度耐寒性もあり夏にも耐えている。
そして、葉に触れたときに手に残る香りが素晴らしい。
さらに花が少ないこの時期に咲いてくれるのもうれしい。
さらにさらにだが、ローズマリーには老化予防効果があるのも後押しいている。

ローズマリー・ディープブルー(Rosmary"Deep Blue")
・シソ科マンネンロウ属の耐寒性が強い常緑小低木で半匍匐性。
・学名は、Rosmarinus officinalis ‘Deep Blue’。属名のRosmarinusは、ラテン語で「海のしずく」という意味で、海岸近くに咲きそのブルーがしずくに見えるところからつけられた。
・原産地は地中海地方。乾燥したアルカリ性土壌を好む。
・耐寒性は-10℃までと強い、耐暑性もあり。
・草丈は20~60cmの立ち性。
・肉厚で濃い緑色の小さく短い葉。
・開花期は、秋から春と6~7月。冬場の花として貴重。成長が遅いので苗から開花まで2~3年かかることもある。
・濃い青紫の花色は、名前のとおり深いブルー。咲き終わった花がらを取り除くと長期間咲く。
・乾燥気味に育て、湿気がない風通しの良いところで育てる。
・花が終わった頃に軽く剪定し形を整える。
・植え込み・植え替え時には苦土石灰を土に混ぜ込んであげる。
・薬用や香料用、料理用に広く利用され、若返りや、老化防止、脳の活性化に効能がある。
・ローズマリーが日本に伝わったのは、江戸時代末の文政年間(1818~1830)に渡来したという。



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ローズマリー・モーツアルトブルー(Rosemary ‘Mozart Blue’)の花

2009-01-17 07:43:24 | ローズマリー&ラベンダー
ローズマリー・モーツアルトブルーは、
ローズマリーの中では最も濃いブルーの花で知られている。
写真で見るとちょっとわかりにくいが、確かに濃いブルー色だ。

半匍匐性で株丈はあまり大きくならないので、
ハンギングで或いは、出窓から垂らすと良さそうだ。
ただし、耐寒性が弱く、耐暑性も弱いというので育て方が多少難しそうだ。

(写真)ブルーの花が冴えるローズマリー・モーツアルトブルー


モーツアルトというので、オーストリア・ウィーンで作出されたのかなと思っていたが、そうではなかった。

このローズマリー・モーツアルトは、カルフォルニア州のサンノゼの南西にある人口3万人強の高級住宅地街ロス・ガトスの育種園で誕生した。
この育種園のエド・カーマン(Ed Carman)によって選別され、彼の娘ナンシー・シュラム(Nancy Schramm)によって育てられたという。

モーツアルト通りに面した育種園の名前を取り、それで命名されたというがいつ頃かは明らかでない。エド・カーマンがこの育種園を買って越してきたのが1960年なのでこれ以降と思われる。

エド・カーマンは、米国では著名な園芸家・育種家であり米国のウエスタン園芸協会の設立メンバーでもあり、ニュージランドからキュウイーを米国に持ち込んだのもカーマンという。

サンタ・バーバラ、サンノゼなど地中海性気候のカルフォルニアは、ローズマリーの新しい生産地になっているようだ。

(写真)ローズマリー・モーツアルトブルーの立ち姿


ローズマリー・モーツアルトブルー(Rosemary ‘Mozart Blue’)
・シソ科マンネンロウ属の常緑小低木で、耐寒性が弱い。
・学名は、Rosmarinus officinalis ’Mozart Blue’。
・ローズマリーの原産地は地中海沿岸だが、このモーツアルトブルーは、エド・カーマン(Ed Carman)とその娘のナンシー・シュラム(Nancy Schramm)によって育てられた。カーマンは、アメリカ西部園芸協会の創設者の一人であり苗木栽培業、園芸家として著名で、ローズマリー・モーツアルトブルーの名前は、彼らの保育園があったモーツアルト通りの名前を採る。
・半匍匐性で樹高50㎝と高くなく横に広がるのでハンギングで育てられる。
・開花期は秋から春まで。濃いブルーの花が咲く

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ローズマリー・ロゼウス(Rosemary Roseus)の花

2008-12-15 10:17:23 | ローズマリー&ラベンダー
(写真)ローズマリー・ロゼウスの花


ローズマリーは102品種も学名が登録されているが、識別が難しく雑種化しやすいようだ。
丁度この時期がローズマリーの開花時期でもあり花の少ない冬場にはありがたい。

大部分が、ブルー或いは紫水晶のような花色が多いが、
ローズのようなピンク色の花もある。
有名なのは、“マジョルカピンク”だが、この花は、“ロゼウス”という。


立ち性で150cmほどに成長するので、素焼きの鉢などに植え
風通しの良いベランダなどに置くと、太陽の熱を吸収し夏場の涼を演出する。
こんなシーンを描いて見ていると明日が待ち遠しくなる。

(写真)一本立ちするローズマリー・ロゼウス


ローズマリー・ロゼウス(Rosemary Roseus)
・シソ科マンネンロウ属の常緑小低木。
・学名は、Rosmarinus officinalis L. 'Roseus'。
・原産地は地中海地方。乾燥したアルカリ性土壌を好む。鉢は素焼きで速く乾燥するモノがよい。
・耐寒性は強い。
・日当たりの良いところを好む。また熱を吸収するのでテラスなどに適している。
・樹高は150cmで、立ち性。
・開花期は、冬と春。ピンク色の花が咲く。
・食物の殺菌効果、調味料、老化防止としてこのエッセンスが活用されている。
・ローズマリーには、様々な品種があるが、名と実物をマッチングさせることが難しい。


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ローズマリー(rosemary)の花

2008-08-10 10:43:17 | ローズマリー&ラベンダー
8月はセージ類の夏休み時期で、
チェリーセージ,ラベンダーセージが咲いているだけ。

そんな中で、ローズマリーが咲いた。

(写真)横から見たローズマリーの花


昨年は8月末から咲き始めたがチョッと早めに花をつけた。
色合いは、白っぽいブルーで、春先の濃いブルーとは異なる。
正面から見ると、肉眼では同系色のため見にくいが
写真で横顔を見ると、雄しべ・雌しべがしっかりと昆虫を待ち構えている。

ローズマリーは登録されているだけで98品種もあり、名前と実物をマッチングさせることが難しい。

しかし、育てるのは簡単なので、入り口、通路の近くに植え、
毎日側を通ったら葉に触って、手についた香りをかぐとよい。
脳を活性化し記憶を強化するというから、高齢者だけでなく若い時から習慣化するとよさそうだ。

属名の“Rosmarinus(ロスマリヌス)”は、“海の雫(しずく)”という意味で、
地中海沿岸の波の音が届く範囲に生息してことでつけられた。
濃い緑色の葉の間からこぼれる雫に見えるだろうか?

このローズマリーの葉を枝ごとスープやシチューに入れると、肉などの臭みを消し、味を引き締める。
夏場は殺菌効果も期待できるので、利用すると良さそうだ。
乾燥させて入浴剤として使うと気分爽快となり浴室に芳香を放つ。
この二つの使い方が単純だが楽しめる使い方で、効果がよくわからないのが記憶の活性化だ。
ホント~~。
ただ、この行為は、神経を落ち着かせることは期待できるのでこれだけでもいいかも?

(写真)正面からのローズマリーの花


ローズマリー(rosemary)
・シソ科マンネンロウ属の常緑小低木。
・学名は、Rosmarinus officinalis L.。英名がrosemary
・原産地は地中海地方。乾燥したアルカリ性土壌を好む。
・耐寒性は強い。
・草丈は20~200cm。匍匐性(ほふくせい)あり。
・開花期は、秋から春と8月。
・ローズマリーには、様々な品種があるが、名と実物をマッチングさせることが難しい。

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