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彦四郎の中国生活

中国滞在記

現代中国における宗教事情❶—中国政府が公認している5つの宗教―そして「邪教」とは‥

2018-05-31 21:45:25 | 滞在記

 アパートに隣接している福建師範大学(倉山校区)の正門付近に、4月20日ごろから1週間あまり「防犯邪教浸透」の大きな看板や、それに関連する「防犯邪教、邪教撲滅」の説明看板が広く展示されていた。看板設置の展示主催団体は、福建師範大学の「武装学部や社会歴史学部」、そして地域の「共産党地域委員会」である。

 「邪教」とはいったいどういう宗教を指すのかとの説明や具体的な「宗教団体」なども書かれている。例えば、中国で多くの信者をかってはもっていた「法輪功」、キリスト教系の「統一協会」や「モルモン教」「エホバ」など十数種類の宗教団体である。終末思想が教義に入る宗教なども全て「邪教」である。「全民行動起来、堅決反対邪教!」というスローガンなども書かれている。

 「大学生是一个有追求、有梦想、有好奇心的群体、这都不坏事‥‥」(大学生時代とは、いろいろなことを追及したり、夢想に陥ったり、好奇心旺盛をもつ。これはすべてが悪いわけではないが‥‥。しかし、邪教などに夢想したりしてはいけない!)   そして、邪教にからめとられた若い人や学生が捕えられ裁判を受ける写真なども掲示されている。

 同じ時期に、閩江大学でも「反邪教」の大きな看板が掲示されていて目立っていた。おそらく中国各地の大学でのキャンペーン期間なのかもしれない。中国に初めて赴任した2013年9月から、中国の都市でも農村でも、この「反邪教」キャンペーンや掲示は、いたるところで見ることができた。

 ―中国政府が公認している宗教とは―

 中国政府が公認している宗教は、カトリック・プロテスタント・イスラム教・仏教・道教の5つだ。キリスト教は中国では「耶蘇教(やそきょう)」と書かれる。カトリックとプロテスタントで2つとカウントされているが、イスラム教はスンニ派やシーア派もまとめてイスラム教と定義、仏教も同じく真言宗や天台宗や禅宗など宗派問わず仏教という扱いだ。

 中国の宗教信仰で最も人口が多いのは「道教」だ。これは全国いたるところに「道教寺院」がある。そこに祀られているものは、三国志の英雄「関羽」であったり、地域の歴史的偉人であったりさまざまだ。キリスト教を信仰する人(クリスチャン)の数は、少なく見積もっても1億3000万人で、共産党員の約9000万人を超えている。仏教寺院も全国各地にかなり多い。

 宗教活動が認められるのは、教会や寺院、モスクなどの建物内や敷地内のみで、敷地外のありとあらゆる活動は禁止されており、講演や募金、福祉活動なども宗教活動としては行えない。

 5つの宗教以外だと、55の少数民族が独自に信仰する民族宗教や地域宗教などがあり、多くが自然や先祖崇拝、既存の宗教などが融合したものが多いとされる。大きなものでは、内モンゴルや中国東北三省に多いラマ教(チベット仏教)がある。私が住む福建省は台湾海峡の両岸地域は「媽祖信仰」の天後宮が多くみられる。これらの民族宗教に関しては、敷地外でのパレードなどの活動は黙認されている。これら少数民族宗教は、中華人民共和国が建国された時からの少数民族優遇策で、事実上容認されている。

 ―経済発展の中、信仰に救いや安らぎを求める人が増加―

 経済が発展する中で中国も仕事や人間関係、将来への不安などでストレスを抱える人が増えており、宗教を信仰する人が増えてきているといわれている。現代中国では、「5宗教と民族宗教」に限って言えば活動制限は多いが、日本人が思っている以上に信仰的には自由さがある。ただ、1949年に中華人民共和国が建国以来、共産党政府は一貫して宗教は国家統治のマイナス要因との認識を変えていない。かって毛沢東が「宗教は毒」と発言したこともよく知られているし、チベットの状況を見ればそれはよくわかる。あくまで宗教は国家、中国共産党を超えるものではなく、政府の監視下に置くというのが中国政府の宗教政策となっている。

 ―中浯政府が目を光らせているものは―

 1949年の建国直後には廃仏運動が全国的に繰り広げられた。文化大革命時期には、すべての宗教が敵認定され攻撃対象となり、多くの宗教施設が徹底的に破壊されつくした。そのため、中国にある教会や寺院、モスクなどは古いものが少なく、2000年以降に再建されたものが多い。特に、中国政府が目を光らせているものは、集会等で不特定多数の人が集まること。そして、それが反政府や反共産党勢力となることである。一度、中国政府が、反政府団体とみなすと徹底的に規制して団体を壊滅へと追い込む。そのいい例が「法輪功(法輪大法)」であろう。

 ―外国からの宗教が新たに公認されることはありえない―

 中国国内で生まれた「新興宗教」、ましてや外国の新興宗教などは、新たに公認する、または容認するということは、現代の中国ではありえないというのが、中国の宗教事情だ。キリスト教に関しても、「カトリック」と「プロテスタント」以外の、新興宗教(キリスト教の一派)は、中国での活動は公認されておらず禁止の対象(邪教)となっている。活動的にも信仰的にも厳禁対象だ。

 昨年から、大学などでの「キリスト教に関する行事(クリスマスイベントなど)」を禁止する通達が行われた。

 

 

 

 

 

 

 

 


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