4月5日(金)は今年の中国の「清明節(せいめいせつ)」になり、5日(金)・6日(土)・7日(日)は三連休の国民の休日となった。日本では「春のお彼岸」にあたる季節の祭祀日。中国各地では先祖の墓参りに行ったり、中国共産党の活動や戦争で、地元の英雄とされ亡くなった人々を慰霊する催しなどが中国各地で行われていたことをテレビで報道されていた。
日本の九州から関東にかけては桜の季節となる4月上旬、亜熱帯地方の福建省では、植物や木々や花々、気温などのようすなどから、「春なのか?秋なのか?初夏なのか? 」 四季のはっきりしている日本から来ていると季節が混乱し 気持ちが少し落ち着かなくなってしまう季節となる。気温も、ある日の最高気温は12度くらいの日もあれば、その翌日は35度になるといったぐあいにとても変化が大きい。
福建省地方の伝統的建築様式をデザインしている閩江大学構内の南門近くにある大学のホテル「福建閩院酒店」。正面玄関を入ると、老子・荘子的な自然木を使った木像の背景には、山水的な風情を感じる石を磨いた円形のものが置かれている。そのすぐそばには、蓮の花(レプリカ)が大きな鉢に入れられ、その後ろには「梅の花に集まる小鳥」を描いた屏風。中庭は中国風の周り回廊で囲まれている。
中庭を出て水辺の方に向かうと、今の季節は「黄色く色づいた紅葉か」と見間違う、黄色い花を咲かせる樹木。日本人の私などは、秋の風情をふと感じてしまう。
大学構内に広がる針葉樹林は、2週間あまり前から新芽が出はじめて、今が新緑の季節。針葉樹林の中に入って行くと小さな沼もある。バナナはまだ小さいが房(実)を付け始めている。水辺には柳などの新緑が雨上がりの時などはみずみずしい風情となり「春」を感じる。
1年間を通じて常緑樹の多い亜熱帯地方の福建省。しかし、紅葉する樹木も20%ほどある。その樹木の多くは、日本人からみれば不思議なのだが、秋の11月よりこの3月から4月にかけて紅葉する樹木の方が多いのだ。3月下旬に落葉をし始め、落ち葉がたくさん歩道に積もり秋の風情。落葉した後、新芽が1週間後にはグングンとすごく早く成長しはじめ、2週間後には新緑の樹木へと早変わりする。私のような日本人は、季節感がついていけない。季節感が混乱し気持ちが落ち着かなくなる。
新緑の樹木と紅葉の樹木や落ち葉が同時にある風景なわけだが、日本の京都などの季節に比べて1か月半くらい気温的にも季節的にも早く推移するこの時期、3月下旬ころには躑躅(ツツジ)が満開となる。亜熱帯・熱帯の南洋の島々で主食ともなっているタロイモ系の植物(大きな葉)もここ福州には多い。
京都では5月上旬に咲く藤の花は、ここでは3月下旬から4月上旬ころに満開となる。35度ちかくの気温になる日もあるので、日傘姿の女子大生の姿も、大学構内ではよく見られるようになってきている。もう、あの暑い、半年間は真夏となる福州の初夏の始まり。
アパートから大学までの通勤途中にある「倉山万達(ワンダ)」近くで、大学からアパートに戻る途中でバスを降りて、一面の紅葉のような場所に行ってみた。黄色い花を咲かせる樹木が満開となっていた。秋の季節感覚に包まれてしまう。綺麗なのだが、気持ちは何か落ち着かない福州の春。
季節感が混乱していて、なんだか、乗り物酔いをしているような変な季節感となる。中国福建省福州の生活も、もうすぐ6年間になるが、この季節の移り変わりには 慣れることはないなあ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます