長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

白井晟一が生きた時代

2010-06-19 07:32:48 | Weblog
グーグルで「好きな建築家」と検索してみる。
何年も不動の一位にあるのが、白井晟一。
松涛美術館や芹沢圭介美術館などを、設計した建築家。
天真庵のピアノの横にかかってある「生」という書も
、白井さんの書。建築を中心に、書、装丁などでも、いいものを
残した。ぼくの師匠、達磨の高橋さんの「達磨」の字も、同じく
白井晟一さんの書である。そして、白井さんを父にもち、師匠とした
白井磨(いくま)さんが、ぼくのこころの師であり、広島の達磨の
建築をしたひとだ。

7月5日(月)から30日(金)まで、東京造形大学付属横山記念マンズー美術館で
「SIRAI、いま」(白井晟一の造形)という展覧会がある。

それにさきがけ、本日渋谷でシンポジウム「白井晟一が生きた時代」
がある。

美しいものを残したひとは、死んだ後にも、生きている。
白井晟一さんが死ぬまで愛用していた柱時計も、まだまだ天真庵の
入り口で、元気に時を刻んでいる。

美味求真

2010-06-18 07:26:21 | Weblog
今、発売中のBRUTUSの内容が「美味求真」。びみぐしん、というらしい。
大分出身の政治家で、木下謙次郎という人が「美味求真」という食の本を書き、ベストセラーになったということだ。煎茶のお稽古をしているときに、「かぼす大使」を
自認する女子に教えてもらった。彼女の縁で、来月から天真庵の二階に
大分の別府から、竹職人さんたちがきて、「竹細工の教室」をやることになった。

奇しくも、今回のこのBRUTUSに、天真庵も紹介されている。
66pから4ページに渡って、「Dan & John」という特集があり、
2人の外人さんが、新しいIXYを持って、東京下町を散策している記事がある。
最初のページは、ふたりが、お店の前のプランターのところで、座っている
写真だ。次の見開きページは、お店の外観や、お店の中の様子が
写っている。すべてが、そのカメラで撮影したもの。
Danさんたちも、なかなかおもしろい人たちだったが、壇一雄さんや、
水上勉さんたちの記事も、なかなかおもしろかった。

ぼくの蕎麦の師匠、達磨の高橋さんの座右の銘が
「上求菩提 下化衆生」(じょうぐぼだい げげしゅじょう)。今回の
美味求真を見て、それを連想した。
上を向いて、毎日修行をして菩提(悟り)を求め、下はその教えを
説いて民を幸せにする、みたいな意味。彼が弟子をとるか否かを
悩んでいた時に、この言葉と出会い、弟子に教える、という道を
選んだらしい。そして、その末席に自分がいる、という縁をいただいた。
天恩感謝。

今日は「スケッチの会」。みんな1歩1歩前進して、うまくなってきた。上求菩提 下化衆生・・・・なにごとにもあてはまる。いい言葉だ。



一楽

2010-06-17 07:57:01 | Weblog
15日発売の「女性自身」に天真庵が紹介されている。
ので、朝散歩の時に、十間橋通りにある通りの会長の
やっているお店で、掲載誌買おうと思ったけど、勇気が
でなかった。「これにのってるんで」といえばすむのに、
なんだかとまどった。九州男児としては、ボボブラジルと
いえないことのように、女性週刊誌など買うことが
できないのだ。

夕方青年がきた。黒田陶苑の愛子さんの個展にいったらしい。
無釉の信楽の器をえらくきにいった様子。作家とも話が
できたということ。
青年は陶芸を趣味でやりながら、カフェで働いていたが、
「陶芸家になる決心をした」とのこと。久保さんの黄瀬戸に
ホボブラジルのアイスコーヒーを入れて、ふたりで乾杯をした。
青年があこがれる焼き物は?と質問すると、「からつです」
と帰ってきた。「一楽、二萩、三唐津」と言われるように、
昔から茶人たちは、唐津を好んで愛用してきた。

これも縁かと思い、川上清美さんの個展のハガキを青年に
さしあげた。青年の働くカフェの近くの「炎色野」(ひいろの)
で、18日(金)、つまり明日から、川上さんの個展が始まる。
ぼくは、煎茶人なので、あまり持っていないが、川上さんの斑唐津の
抹茶椀と、朝鮮唐津の水差しは、持っている。時々、箱から
出して眺めているだけで、幸せな気分になるものだ。
川上清美さんというと、大半が女性をイメージするけど、正真正銘の
九州男児である。

今日は休み。午前中に焙煎などをして、午後は紅茶。もとい煎茶。
「一楽」ではないけど、煎茶人だった大分の田能村竹田の晩年の
画帖に「亦復一楽帖」(またまたいちらくちょう)というのがある。
二階のギャラリーにも、竹田が描いた煎茶を楽しんでいる絵が飾ってある。
毎日毎日の日常のことを昔から「ケ」といってきた。反対に
非日常のことを「ハレ」という。お祭りなどが、それにあたる。
毎日繰返される日常の中で、お茶を飲んだり、音楽を聴いたり、
自然の声を聞いたりするたびに、「ハレ」を感じ、
「これもまた一楽」「これまた一楽」と、人生を楽しんだ先人たちの
生き方に学ぶこと多し。





2010-06-16 07:53:54 | Weblog
5時に蕎麦を打ちにいくときは、雨はあがっていたけど、
6時くらいから雨がふってきた。
池のめだかは元気だ。はやく卵からかえってもらいたいものだ。
稚魚用のエサも売っていたので、ゲットした。「祝・メダカ誕生」
の日も近い?

昨日は書をしよう会だった。めずらしく男子のほうが多かった。
順受の会(論語の会)は、圧倒的に男子の会だけど、そのほかは
圧倒的に女子が多い。昨日の取材の雑誌もやはり「女子カメラ」だった。
モデルもスタッフも元気でハキハキした女子たちだった。とても
楽しく撮影ができた。

今日は「かっぽれ」。
先生は女子だけど、生徒は男子2人。
浴衣がびしょびしょになるくらい、厳しい芸の仕込みだけど、
その後に飲むビールが格別な季節でもある。

女性自身

2010-06-15 07:22:49 | Weblog
今日発売の「女性自身」というのに、天真庵と
spice cafeが紹介されるらしい。
Spice Cafeのシェフとぼくが、有名な女優さんと
「浮名を流す」みたいな記事ではないと思うけど・・
京都時代は、先斗町新聞あたりに、書かれそうなことは
やっていたけど、今は浮名というより、メダカがよってくる
浮き草みたいなものだ。

今日の午前中も、「女子カメラ」?
女性専用のカメラ雑誌が取材にくる。ので、はやくおきて
お店で蕎麦を打った。

昨日は「ダメ中」だった。先生は、いつものように満面の笑顔
で颯爽と登場。ひとりの存在がこんなにまわりを明るくする、
そんな女性だ。
「あなたが、いるだけで、まわりのひとが明るくなる。
あなたが笑うだけで、まわりの人たちも笑う。そんな、あなた、に
わたしもなりたい」の主人公みたいな人。

そういえば、さきほど英語の勉強会にくる「ゆず」さんからメールがきていた。
彼女はテレビのドラマなどのシナリオナリターで、

週末の20日(日曜)に放送になります。
夕方4時からの、スペシャルドラマ。
東海テレビ制作「名古屋やっとかめ探偵団」です。
爪功さんが、おばあちゃんを演じます!byゆず

今日は「書をしよう会」。
先週のコンサートに貞本先生が、きた。
彼が「天真庵」と揮毫をし、雨戸でつくった看板にはりつけ、
それを玄関脇に飾ったのが、2007年の春。
9割の人がなんと書いてあるか、わからないけど、わけがわからくても
くる不思議な人たちと、いろいろな出会いをいただいている。
今日も、不思議な文人みたいな人たちが、やってくる。

明日は「かっぽれ」
次の世代の人たちに、この世界を伝えていきたい、と思う今日このごろ。










梅雨入り

2010-06-14 07:17:08 | Weblog
今日は朝から雨。
いよいよ梅雨入りだ。久保さんの家から
いただいてきた山野草たちは、みな元気に育っている。
「水があう」というけど、植物にとっては、「土があう」
のが、一番大切。京都の骨董屋からもらってきた木賊も
元気だ。

先日、やまねさんが、枯れた木賊(とくさ)を「これもらっていいですか?」
というので、「どうぞ」とさしあげたら、かばんから、竹片をだして、削って
いた。クラリネットの口にするところに、振動させるあれ(なに?)だ。
(来月の21日に、天真庵でN響のふたり+大宅さんのピアノのコンサート
がある。)
昔から小唄なんかでも、「庭に木賊が生えている」ところは、「美人が住んでいる」
みたいなのがある。昔から、花や茶をやる人の庭には、木賊を植えていて、
鋏を磨いたり、茶花にしたりした歴史がある。

今日は「ダメ中」こと、ダメから始める中国語の日だ。
中国語を日本で学ぶというのは、たいへん骨が折れる。
でも、茶や仏教や禅など中国からきた分化は、枚挙にいとまがない。
明日は「書をしよう会」。貞本さんも天安門事件のころに、中国に
留学して「書」を勉強していた。ので、中国語はペラペラ。
明々後日は「かっぽれ」
そろそろ、二期生が集まってきそうな予感。浴衣をきて、かっぽれを
するくらい爽快なものは、この世にふたつとない。


ひたすら、蕎麦打ち

2010-06-13 07:33:50 | Weblog
昨日は、真夏のような暑さだった。
蕎麦もソーメンみたいに、つるつるとお客様の
おなかの中に消えていった。
今日は朝はやくおきて、ひたすら蕎麦打ち・・・
よくも毎日そばを打ってあきないものだと、自分で関心しきり。
連休あたりから、たくさん蕎麦をうって、やっと最近つかみかけて
きたものがある。理屈ではないところに、おもしろい世界がある。

池のめだかたちも元気だ。姫睡蓮も、朝だけ、ピンクの可憐な花を
水中から顔をだすようにして咲いている。「おはよう」といってるみたいに。

今日も「もなか屋」の営業日。

明日は「ダメから始める中国語」
明後日が「書」。
中国語と書が続く日は、少し飲みすぎるきらいがある。


もなか屋

2010-06-12 07:12:25 | Weblog
今日と明日は、オープンエアーな場所で
「もなか屋」がオープンする。なかなか好評で
平日も「やってないのですか?」と何人かの人に
聞かれた。週末のみ営業。バニラ味のみ、一個100円也。
いたって、シンプルな内容だ。
「ほんものは、みな簡素」の典型みたいなものだ。

今日は、板木ができてくるはず。
貞本門下生のみっちゃんが、無垢の一枚板に、何かを
書いてぶらさげる。よく京都の小さなお寺の玄関なんかに
ぶらさげてあるやつ。「御用の方は、これをたたいてください」
とか書いてある。
東京の銭湯でも、昔は、○を筆で書いて(円相という)、その板木が
玄関に吊るされたら、「お湯が沸きました」という意味だったらしい。
ここ下町には、まだたくさんの銭湯があり、子どもがいくと、ヤクルトを
おまけしたくれたり、ときどき、ジャリ銭が足りなくても、「いいよ」
なんかいってくれる銭湯がある。

銭湯といえば、京都三条に「さくら湯」というお風呂があった。学生時代に
よくいった。湯上りに、ビールが小さなグラスで一杯だけサービスされる。
それを飲むと、呼び水、いや呼び酒になって、「一杯」となり、
「もう一杯」となり、おなかもいっぱいになる、というあんばいだった。
あまり関連性がないけど、そこでよく、フルチンでまっこう法をやる
じいちゃんがいた。
庭の池に最近メダカか卵を産んだ。その池に、かえるがよくボーッと
足を広げて浮かんでいる。その姿を見ると、そのおじいちゃんを
思い出す。もっとも、足を広げたかえるには、チンチンはついてないけど・・


メイド喫茶

2010-06-11 07:05:52 | Weblog
昨日は、清澄白河の小山富美夫ギャラリーの奈良美智展を
見にいった。
清澄庭園の近くの倉庫を改装したところにあり、
タカ・イシイギャラリーとかも同じ建物の中に入って
いるので、この地が、日本の「現代アート」の聖地に
なっている。
ちょうど小山さんが会場にいたので、作品のことや、この建物
の話などを聞く。世界的なギャラリストだけど、おごったところがなく、
普通のにいさん、みたいなところがいい。
タカ・イシイギャラリーにも、知り合いがいるので、のぞいてみた。

清澄には、秋葉にいった後、三越前まで歩いて、半蔵門線で
いった。秋葉といえばオタクの聖地。
ぼくが、初めて会社を興したのが、秋葉原、正確には
外神田の4階建てのテナントビルの一室。しばらくぶりに
その前を通ってみたら、ガラスに「メイドマッサージ」
という張り紙があった。周りに「メイド喫茶」もたくさんある。
コンピュータのソフト会社も、怪しげな事業だけど、秋葉には
不思議なお店がいっぱいになった。奈良さんの作品をいきなり「オタク」
と繋げるのはなんだけど、日本の「オタク」は、この星の共通語に
なったことは否めない。ま、うちにも時々「珈琲オタク」や「蕎麦オタク」
がやってくるが・・・

秋葉といえば「まるご」がいい。
昨日は久しぶりに「まるご」でひれかつとキリンビールで昼飯。
今はこれでいっぱいになるけど、創業した20代のころは、それに
ごはんのおかわりをもらい、食後には須田町のたけむらで、粟ぜんざい
などを食べた。須田町といえば「ぼたん」。若かったけど、新しい
取引先ができると、必ずこのお店にいって、鳥すきを食べながら
酒を飲んだ。

今日はお仕覆の会。
明日明後日は、「もなか屋」の営業日。







メダカの学校は・・

2010-06-10 08:18:23 | Weblog
今日はおやすみ。
東京都墨田区界隈は、月に2度「燃えないごみ」
の回収がある。オープンエアーな元犬小屋を
改装したので、燃えないゴミがあまたあった。
それらをゴミだししたら、脱糞したみたいにすっきりした。
サクラがふたつめの桜色の花弁を開花させ、池のメダカが
卵を産んだ。孵化したら「祝・メダカ誕生」なんて書いて、お店の
たらいにいれて、おこうかしらん。
小さな命だけど、宇宙の悠久の流れの中で、生きとし生けるものたちは、
さらさらと、たださらさらと、流れていく。生・滅・生・滅・・を
繰り返しながら。ひともおなじ。

昨日は「クラリネットの夕べ」だった。
今年昭和音大を卒業した前田瞳さんのクラリネットに、
現役の音大生の杉本奈津美さんと、野代奈緒さんがピアノを
演奏してくれた。みんなお客さまや、スケットとして天真庵デビューは
していたが、演奏するのは始めてで、しかも師匠のN響のやまねさんが、お客さん
としてくるので、その緊張たるや、想像にあまるものがある。
こころを落ち着かせるために、宇治から届いたばかりの玉露を、ガラスの
急須で入れて、久保さんの斑唐津の煎茶椀に注ぎ、ささやかなお茶会をした。
玉露を飲むと、一瞬にして、体の毛細血管の隅々まで、血がお茶になる、
ような感じがする。

生誕200年を迎えるブルグミュラーの「クラリネットとピアノの
ための二重奏曲の演奏が始まると、臍下丹田に気がこもるような落ち着いた
調べが、お店全体に広がってきた。
エンディングは、山根さんがかつて演奏してくれたブラームスの
クラリネットソナタ。目をつむって聴いていると、弟子と師匠が
楽しそうに競演しているように感じた。
「師というものは、弟子が発見するもの」だと、つくづく思う。
良い師との邂逅ほど、生きていて、大切なものはない。

師匠の山根さんもカウンターに座って、弟子たちの演奏を堪能していた。
その横では、山根さんの書の師匠の「さだもとさん」が、いつものように、
一升酒を堪能していた。教育というのは、やはり、教えあう、学びあうもの。
「共育」である。メダカの命と同じように、誰が生徒か先生か、などどうでも
いいので、みんなで1歩でも成長していけるような「場」でありたいと、
しみじみ思うクラリネットな夜だった。
7月第二水曜日の「下町の小さな音楽界」は、ももちゃんの薩摩琵琶をやる。
東京音大に在学中の一昨年に、「お茶会&コンサート」をやってもらったことがある。
煎茶と相性のいい音楽。

東京音大といえば、ピアニストのぶんこちゃんが押上に越してくることになった。
近くにスタインウェイのピアノがある「日本酒が美味いピアノサロン」ができる。
ぼくが、彼のサロンに蕎麦を打っていったことがある。その時に用意してくれた
青磁の古伊万里の蕎麦猪口が、よかった。
蕎麦前に、吉田明の三島の平茶碗にそばがきをいれ、久保さんの志野に
少しぬる燗にした酒を注いで飲む。そんなことがまた近くでやれるように
なると思えば、ワクワクしてくる。

器といえば、ときどき蕎麦を手繰りにきてくれる奈良さんの
器展が、清澄白川の小山登美夫ギャラリーで19日までやっている。
今日の午後にぶらりとのぞきにいってみよう。タカ・イシイギャラリー
ものぞいてみたいし・・・