長屋茶房・天真庵

「押上」にある築60年の長屋を改装して
「長屋茶房・天真庵」を建築。
一階がカフェ、2階がギャラリー。

いなせな江戸木遣りで、じいちゃんをおくった

2016-03-12 09:03:12 | Weblog

昨日は、天真庵で二年やった「気骨の鮨会」のじいちゃんの通夜。

「佐賀のがばいじいちゃん」という通称だったけど、本名は片渕禎典。享年77歳。

二年前に初めてこられた時に、ガンの手術を3回やって、今は病院にいかず、

酒を抗がん剤にして過ごしています、とのことだった。「死ぬまでここで鮨を月に一度やります」

ということで始めた鮨会。昨年の9月が千秋楽になった。まるで生前葬をするみたいに、

「元気になったら、鮨のメンバーをよんで、ささやかなおわかれ鮨パーティーをやらせて」という電話

が最後になった。かなり体はきつかったと思うけど、気骨を死ぬまで忘れなかった人だ。

昨日は江戸木遣りの同志が、いなせな法被を着て、江戸木遣りでじいちゃんをおくった。

木遣りというと目出度い時に聞くものだと思っていたら、人をおくる時にもうたわれてきたものもあるのを知った。

同じ席で酒を酌み交わした人は、じいちゃんが40年間やったお店に40年間通った人だった。

ぼくは二年しかつきあっていないけど、40年の思い出話に、なんとなくうなずけて、いっしょに彼らの人生

の舞台にあがっているような不思議な気持ちで酒を飲んだ。

孫のまさくんが寂しそうにいていたので「鮨はおしえられんけど、蕎麦を習いにこいや」と声をかけた。

じいちゃんとの出会いは春慶寺で蕎麦を打ったところからの仏縁。

そばの「つなぎ」がときどき、不思議な結びを演出してくれる。今朝は、普段よりも少し気骨のある蕎麦が

打てた、ような気がした。